社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

横濱中華幼保園

2022年12月07日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター

② 施設・事業所情報
名称 横濱中華幼保園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認定こども園(保育所型、幼保連携型に限る) 定員 200 名
所在地 231-0023
横浜市中区山下町142番地
TEL 045-651-0447 ホームページ www.yocs.jp/YOCS/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2021年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 学校法人 横濱中華學院
職員数
常勤職員:34 名
非常勤職員:17 名
専門職員
保育教諭 :33 名
看護師:1 名
栄養士:2 名
調理員:5 名
事務員:4 名
施設・設備の概要
保育室:9室
(設備等):遊戯室、給食室、事務室、更衣室、相談室、職員休憩室、屋外遊技場など

③ 理念・基本方針
教育・保育理念
・幼児期の教育・保育を一体的に行い、子ども達が互いの個性を尊重し、認め合いながら心身の成長が健やかにできる環境を整備します。
・幼児期より中国語に親しみながら、保育と中華伝統文化の体験型幼児教育を実施し、国際性豊かな感性と広い視野を持った子ども達を育てます。
・保育教諭の資質と専門性の向上に務め、質の高い教育・保育を展開します。
・保護者や地域の子育て支援に寄与し、地域とのつながりを大事にします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
園は、2021年にそれぞれ歴史がある法人内の保育園と幼稚園が一緒になり、幼保連携型認定こども園となりました。横浜中華學院小学部、中学部、高等部と同じ校舎内にあり、校庭や体育館も一緒に使用しています。
園は学校法人横濱中華學院内に属していますが華僑、華人のためではなく、地域に住む人々にも「親仁善隣」(周囲の国や人と仲良くする)の精神を持ち、多種多様な文化、国籍の子ども達の保育に携わっています。
特色として中国獅子舞・龍舞の伝統文化や中国語教育を取り入れています。また、英語(4,5歳児)、体操、リトミックの専科があり、子どもたちは、中華文化や英語に触れたり、体を動かすことを楽しんでいます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/25(契約日) ~2022/11/07(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【特長】
◆体験を通して、子どもたちが文化や価値観の違いを理解し、視野を広げられるようにしています
園は、保育方針に基づき日本の保育を基本としながら、中国語や中国の伝統文化を取り入れることで、子どもたちが体験を通して多様な文化や価値観があることを理解できるようにしています。中国語の挨拶や単語などを日常保育に取り入れるとともに、3歳児からは、中国語と英語、獅子舞や龍舞などの伝統文化を取り入れています。行事もひな祭りなどの日本の行事だけでなく、旧正月などの中国の行事を取り入れ、行事食や雰囲気を子どもが味わえるようにしています。たとえば、お月見で月餅をおやつに提供し、制作で台湾の習慣である焼肉を取り上げるなど、日本と中国の文化の違いを子どもが体験できるようにしています。
このような取り組みを通して、子どもたちは言葉や文化、習慣だけでなく障害などお互いの違いを理解し、多文化や多様性を自然に受け入れ共に育っています。自由遊びの時間には、子どもたちは好きな遊びを選び、日本語と中国語を交えながら友だちとあるいは一人で、それぞれの好みや関心に合わせて楽しそうに遊んでいる姿を見ることができました。

◆保育士間で連携し、子どもと保護者が安心して生活できるように支援しています
保育教諭は、クラスで子どもや保護者の様子について話し合って課題を抽出し、記録しています。情報は、保育会議で共有し、対応について意見交換し、指導計画に反映しています。日々の保育の中でも、職員間で密に声を掛け合って子どもの状況を共有し、連携しています。乳児は、0歳児は1クラスですが、1歳児は月齢、2歳児は子どもの状況を考慮して2クラスに分け、個々の成長・発達、課題に合わせて支援しています。園は中華街の中にあり、華僑や中国籍の子どもが多数在籍していますが、日本語が理解できない子どもや保護者には中国語ができる保育教諭が対応し、お手紙や掲示物も日本語と中国語を併用するなど配慮しています。発達などだけでなく習慣や子育ての考え方の違いにも配慮し、園の考え方を伝えて家庭と連携し、子どもの気持ちを尊重しながら個別に対応しています。卒園式などの行事で園服を貸し出すなど、保護者の状況に応じた支援もしています。

◆地域に密着し、連携して地域の課題解決に向けて取り組んでいます
園は、理念や方針に基づき、地域とのつながりを大切にしています。法人は、明治までさかのぼる長い歴史があり、卒業生も地域に多く、様々な情報を得ることができます。園長は、中区園長会等の地域の関係機関の各種会議に出席するほか、町内会や横浜中華街発展会協同組合など地域の多くの団体に所属していて、福祉にとどまらない地域の様々な生活課題の解決に向けて連携して取り組んでいます。地域の関係機関とも密に連携し、専門性を保育に反映しています。
職員や子どもたちも地域のお祭りで獅子舞や龍舞を披露したり、職員が地域清掃活動に参加したりしています。また、専科や龍舞の講師を始めとして地域の様々な年代の人々と接したり、お祭りだけでなく出初式や交通安全教室など地域の様々な行事に参加したりする機会も多くあり、地域住民に見守られ、子どもたちの生活の幅が広がっています。

【今後期待される点】
◆中長期計画を基に、職員も参画して年度の事業計画を作成していくことが期待されます
園は、認定こども園となったことを踏まえて、保育園・幼稚園双方の良さを生かすことを念頭に、「幼保一元化による相乗効果」「学校法人や地域の特性を活かした保育環境の確立」「中華文化を通じての人材育成」の3点を重点事項とした中長期計画を作成しています。ただし、予算書と年間行事計画は作成されているものの、中長期計画を踏まえた事業計画は策定されていません。また、理念を共有しているものの、幼稚園・保育園の良さを今後どのように生かしていくかについての話し合いも十分とは言えず、職員からも声が上がっています。
理念に沿った保育の実践に向けて職員と話し合って方向性を共有し、職員も参画して事業計画を作成し、計画的に取り組まれていくことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
認定こども園となって初めての第三者評価となりました。
幼保一元化による相乗効果を目指していきたいという強い思いがある一方で、それをどのように常日頃の保育に活かし、反映していけば良いのかを模索している現状をご指摘いただきました。
職員に対してもきめ細やかに評価していただき、職員自身の今後へのやる気にも繋がります。多様な考え方を持つ保育教諭一人一人の意見を尊重しながら、より良い保育を実施できるように心がけていきます。
保育内容については総じて高い評価をいただき、職員の日頃の努力が客観的にも認められました。それに慢心することなく、改められる部分は改め、より良い保育を目指したい所存です。
幼稚園と保育園が一元化して二年目を迎え、日々の保育内容はより一層充実したものを目指しています。ただ、幼保一元化の認定子ども園になったことによる目指す保育という理念や方向性について職員一人一人がどう考えているのか、職員間で話し合う機会がまだまだ足りていないと、今回の評価からも伺い知ることができました。その点を今後の課題として、幼保一元化による相乗効果を具体的に保育の中でいかに取り組んでいけるかを職員全体で話し合っていきたいです。
最後になりますが、今回の第三者評価受審のアンケート提出につきまして、保護者の皆様にはお忙しい中、ご協力いただき、深く感謝いたします。また、よこはま地域福祉研究センター及び調査委員の方々に感謝いたします。
幼保園として初めての第三者評価受審で気付かせていただいた自分達の良さと課題点を今後の園運営に活かしていきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

学校法人として、事業の目的及び運営方針があり、それらを受けて、認定こども園としての教育・保育理念を掲げ、理念を実現するための教育・保育目標を掲げています。教育・保育理念と教育・保育目標は、パンフレットに掲載されており、パンフレットは法人のホームページからも見ることができます。パンフレットの表紙には、「中華と日本の伝統文化に育まれ…未来の国際人へ!」という言葉で、教育・保育理念が、表現されています。事業の目的、運営方針、教育・保育理念、教育・保育目標は、全体的な計画の冒頭に記載され、職員への周知が図られています。保護者に対しては、入園説明会等で説明しています。職員、保護者、子どもたちに対して、子ども獅子舞龍舞などを通して、園の理念を体現しています。認定こども園となったことから、これからは、さらに、職員間で園の理念に沿った教育と保育のバランスについて深め、方針を確立し、浸透させていくことが期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

園長は、横浜市や中区の園長会等に参加し、事業を取り巻く動向や現状の情報を得ています。また、中華街など地域の会合には積極的に参加し、自らも婦女会の会長を勤めるなど、保育事業のみでなく、学齢児、高齢者まで幅広く視野を広げて地域全体の福祉ニーズの把握に努めています。保育のコストや利用者の推移については、法人内の会議で報告はされるものの、データで内容を把握するにとどまり、分析には至っていません。同法人には小学部があり、小学部への入学を見越して入園を希望する保護者もいるため、利用者数の心配はありませんが、認定こども園となったことで利用者が多様化し、園の特色や歴史を知らず入園する保護者も増えてきており、園としては入園説明会等で、よりていねいに説明していく必要性を感じています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

毎月法人内で理事会が開催され、経営状況等について話し合われています。認定こども園に直接関係がある内容については、その都度職員に通達していますが、全体が理解できるようなフィードバックは行っていないので、今後、書面等で認定こども園の職員にも見える形で周知することを考えています。認定こども園では、毎月職員会議で現場の状況、問題などを職員から提起し、必要に応じて法人内の理事会に提出し、役員間でも共有し、検討されます。現在、認定こども園に移行して2年目となり、教育と保育のバランスをどうとっていくのかが、子ども達に対しても、保護者や職員に対しても課題として捉えています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画は認定こども園となったことを踏まえて、双方の良さを活かせる方向で考えられています。具体的には「幼保一元化による相乗効果」「学校法人や地域の特性を活かした保育環境の確立」「中華文化を通じての人材育成」の3点を中・長期計画の重点事項としています。内容は、法人の理念に沿ったもの、中華街という地域性を活かしたものになっています。また卒園後も利用できる学童保育の設立等、具体的な成果も設定されています。今後は、計画の実現に向けて、数値目標など計画をより具体化していくことが期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

単年度の計画として、年間行事計画と予算書はありますが、中・長期計画の重点事項及び園として課題と捉えている点について、どう取り組んでいくかということが、具体的な計画として策定されておりません。今後は、理念の実現に向けた中・長期計画を踏まえ、単年度の取組について明文化し、職員と共有していくことが望まれます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:c】

事業計画は策定されていませんが、保育の部分の計画や大きな行事について、職員会議の中で意見を聞き、意見を取り入れることもあります。ただし、その意見がどのように計画等に反映されているかの説明はしておらず、その点において職員たちの計画等に対する理解は進んでいません。今後は、職員が意見を出しあい、課題を共有し、理念の実現に向けた中・長期計画を踏まえた単年度の事業計画を策定することが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

保育の内容は、入園のしおり、年間行事予定表、園だよりなどで保護者に丁寧に説明され、周知されています。それぞれ、大切なところは中国語も併記して、すべての保護者にとって分かりやすいものになるよう工夫がされています。ただし、理念の実現に向けた今年度の取組について、単年度の事業計画が策定されていないため周知されていません。今後の方向性を示した中・長期計画も含め、保護者に対する取組が期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

保育日誌には評価・反省の欄があり、毎日保育の振り返りを行い、毎週リーダー・園長がチェックを行います。気になる点には下線を引き、確認をしています。毎月の指導計画は、保育会議を行い、その月の子ども達の姿を話し合い、振り返りを行い、課題を把握して、翌月の保育計画に反映させています。各計画にも、自己評価の欄が設けられ、日々の保育実践の中で、PDCAサイクルへの取組ができる仕組みができています。第三者評価も定期的に受審しており、今回の受審に際しても、職員が担当を決め、それぞれが自己評価を行い、意見を出し、相互に検討しあういい機会となりました。今後も評価結果や日々の保育実践について、職員間で課題を共有し、話し合いを深め、より質の向上を目指す取組みに期待します。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

日常の教育・保育については、各クラスで、リーダーを中心に適宜話し合いを行い、課題があればその都度共有しています。また、課題に対し、改善策について話し合い、取組を行い、マニュアルなどに文書化するようにしています。毎月の職員会議や保育会議では、その月の評価を行い、改善策を話し合ったり、翌月の保育計画に反映させる取り組みを行っています。また、職員は個々に職業能力証明シートの作成や新学期ヒアリングのためのアンケートにより自己評価を行っています。認定こども園となって、個々の自己評価から園全体の共通の課題も見えてきていますので、今後の取組が期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、「中・長期的な事業の方向を定めた計画」として、認定こども園に移行したことをきっかけとしたこれからの園の運営について方向性を示しています。職員会議などで、園長の話として教育・保育理念や今後の方向性について職員に話をしていますが、文書化したものを職員全体で共有することはまだしていません。有事の際や不在時の権限について、安全管理マニュアルに屋外活動における指揮権が明示されていますが、権限委任までは明文化されていません。今後は、これからの方向性について文書化し、職員全体で共有すること、また有事の際の権限委任も明文化し、可視化しておくことが望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、横浜市や中区の園長会に参加し、改正された法令等について情報を得たり、全国保育団体合同研究集会に出席するなど、広く学ぶ姿勢があります。職員に対しては、遵守事項として服務規律、解雇または契約の終了、禁止事項についてそれぞれ具体的に定め、配付しています。労働契約時には、これら遵守事項について、職員と誓約書を交わしています。また、全国保育士会の「全国保育士会倫理綱領」もファイリングし、いつでも閲覧できるように備えています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、認定こども園に移行したことについて、保育園、幼稚園それぞれ培ってきた教育・保育について、良い所を活かしあうにはどうしたらよいかということに意欲的に取り組んでいます。職員から新学期ヒアリングとして、幼保移行後の感想、新園舎になってからの使い勝手、今後おこなってみたいことについて、一人ひとりから意見を聞き、すぐに実施できる取組についてはすぐに実行に移し、共通の課題も見出しています。職員が「参加したい」という研修は可能な限り参加させ、外部講師を呼んで園内研修も実施するなど、職員の学びへの意欲に対応しています。認定こども園に移行してまだ2年目であるため、こうした取組は始まったばかりです。職員間で話し合いを深め、今後の成果が期待されます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

人事関係や財務については、法人の理事会で分析を行っています。園長は、特に人員配置について、配慮が必要な子どもへの対応などを踏まえて、少し余裕のある人員配置となるように保育士の採用を希望し、実現しています。中華文化だけではなく、日本文化も併せ持ったカリキュラムが編成されているため、職員も中国語と日本語が理解できる職員が配置されています。また、職員の働きやすい環境作りのため、休憩室を広くとり、職員一人ひとりに縦長のロッカーを配備し、ウォーターサーバーも設置するなど、環境面での配慮もあります。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人員体制については、子どもの数に対して配置基準を算出し、配慮が必要な児童に対して保育士を加配しています。遵守事項をきちんと守れる人、その人の保育観などを採用の基本方針としていますが、具体的に明文化されたものはありません。一度退職した職員を再雇用制度で再度採用したり、外国籍で保育士資格を持っているけれど保育士として働けない人を事務職で採用するなど、柔軟な採用活動を行っています。また、看護師の配置や専科の教諭など、子どもたちの生活やカリキュラムに有益な専門性を持った人材を採用し、配置しています。今後は、園として必要だと考えられる人材の採用方針を文書化し、計画的に取り組むことが期待されます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

保育園創設のころから続く理念「四海兄弟」(全ての人間は人種、民族、国籍を問わず、兄弟のように愛し合うべきである。「論語」)の精神を保護者や子どもたちだけでなく職員たちにも身近に感じてもらえるようにしたいという方針があります。人事基準については、人事考課制度運用マニュアルがあり、職員が職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートに記載した内容について、園長等が評価を行います。さらに職能資格制度運用規程及び職能資格制度運用マニュアルがあります。職能資格は1等級から6等級まであり、それぞれ目標とする職務内容が示され、到達基準が明確に定められています。職員は、それに沿ったキャリアパスフレームにより、昇進・昇格についても可視化され、目安としています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の働きやすい環境づくりに努めています。新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した時期には、「特別休暇規則」(小学校休校特例措置)や(2022年新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置)等、迅速に規則を改正し、職員の心身の安全確保への対応を行いました。さらに「多様な働き方」の内規を定めたり、職員が法人に対して直接意見が出しやすくなるよう職員の「意見箱」を設置するなど職員の働きやすさへの対応に努めています。職員アンケートやヒアリングでは「残業が少なく、休みも取りやすい職場」「介護や子育てをしている職員に対して働きやすい環境が提供されていると感じる」といった意見がありました。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートに基づき、職員が自己評価を行います。職業能力証明(訓練成果・実務成果)シートで当年度の目標を設定し、年度途中で振り返りを行い、園長と副園長との面談により年度末までの目標に対する課題を洗い出します。また、年度末に向けて、職員勤務(継続・退職)移行調査を行い、面談を行います。面談では、今年度の状況として、業務において努力したことや嬉しかったこと、反省点や気になることなどを園長、副園長がヒアリングします。その際、園のいいところや改善点なども聴取し、園の運営に活かすようにしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

職員はキャリアパスフレームに沿った階層別研修や、各年齢や職種に応じた研修に計画的に参加しています。AED講習や救急法・心肺蘇生法の研修は、年度の始めや水遊びの前に受講するなど実施時期も配慮しています。園内で学びたい内容を検討し、講師を招聘し園内研修を実施するなど、外部研修と園内研修をそれぞれ実施し、質の向上を図っています。研修計画は月ごとに策定され受講者が明記されていますが、個別の研修計画や目標の設定までには至っていません。研修に参加した職員は、都度研修報告を提出し、園内で受講内容を共有しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員は、わらべうたの研修や保育者のための音楽あそびなどの技能的なもの、配慮の必要な子ども理解・保護者支援などの専門性を培うもの、職員の力を引き出すコーチングなどキャリアパス形成に活かせるものなど個別の職員の状況により計画的に研修に参加しています。職場内では、年次の浅い職員は先輩職員から学ぶことも多く、職場内のOJTが行われています。横浜市や各保育団体からの研修のお知らせに対し、参加したい人を募るなど、職員が自主的に学ぶ姿勢を大切にしています。一人の職員は、ワーキングホリデー制度を利用して台湾に1年間留学しました。休日にオンライン研修を受講した場合も、出勤扱いにするなど、研修を受講しやすい体制も作っています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生は積極的に受け入れを行っています。受け入れに当たっては、「実習受け入れ」マニュアルを整備しています。
マニュアルには、服装など実習にあたっての注意点や、子どもに対しての留意点が分かりやすく記載されています。実習生には、規程を遵守すること、誠実に実習にあたること、個人情報漏えいに注意することなどについて、誓約書を交わしてから実習に入るようにしています。また、実習生の学びたい内容や希望を予め聞き、研修プログラムを立てています。
実習はする側、受け入れる側、双方に意義がありますが、実習マニュアルにはそれが明文化されていません。文章化し、マニュアルに追記のうえ、実習受け入れ時には確認し、それも含めて説明することが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人全体のホームページに、法人の理念や基本方針が記載されています。認定こども園については、パンフレットが掲載され、保育内容等が示されています。第三者評価の受審結果はホームページ上に公表されています。
バンフレットは、地域子育て支援活動拠点の「のんびりんこ」や地域のお祭りで配布しています。
ただし、事業計画や事業報告、予算、決算は特に公表していません。また、苦情の内容や相談体制の公表もしていません。今後は、法人の透明性の確保や、地域に認定こども園の機能を広めていくための、取組みに期待します。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

経理規程、人事に関する規程が整備され、必要があればすぐに確認できるよう事務室に置かれています。こども園の経理、取引関係は税理士事務所に委託して、定期的に内容を確認するようにしています。さらに、法人全体は、外部の監査法人が監査を実施しています。指摘や助言、フィードバックされた内容は適正に是正するようにしています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園の理念・基本方針に「地域のつながりを大事にします」を掲げ、全体的な計画の「地域の実態に対応した保育事業と行事への参加」の項目に、具体的に記載しています。玄関には、民間の保育に関するパンフレットが置いてあり、個別に中区役所のこども家庭支援課・横浜市中部地域療育センターや、民間の児童発達支援事業所の情報を提供しています。子ども達は、散歩や中華街の清掃活動で地域住民と挨拶や会話を交わしています。また、現在コロナ禍で中止になった行事もありますが、地域の行事(駅伝大会や交通安全キャンペーン等)に参加したり、色々な場所で龍舞を披露しています。今年も中区民祭りや中華街の祭りに参加し、龍舞を披露する予定です。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

「ボランティア受け入れマニュアル」を園で作成しています。受け入れに対する基本姿勢は「教育・保育ボランティア・職業体験マニュアル」の中で、受け入れることの意義を明文化しています。マニュアルには受け入れ窓口や受付方法、心得や注意点が記載され、事前にオリエンテーションを行い、終了後には園長との面談があります。毎年横浜中華学院や近隣の学校と協力し、中学生や高校生を積極的に受け入れてきましたが、現在はコロナ禍で中止となっています。夏には、個別に土曜日ボランティアを2名受け入れました。これからも積極的に、受け入れていく意向があります。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

園で作成した各マニュアルに、中区こども家庭支援課、横浜市中央児童相談所、横浜市中部地域療育センター、医療機関など関係機関の連絡先が記載されています。事務室には緊急連絡先のリストがあり、いつでも確認することが出来ます。園長は、幼保小連携連絡会や中区園長会、横浜市立元街小学校運営協議会など関係機関の各会議に出席するほか、町内会に所属し、自治会や中華街発展会など多くの団体にも所属しており、各種会合に参加しています。また、地域の課題である災害に対して、近隣の学校と連携し合同津波想定訓練を行ったり、地域の防災訓練にも参加し取り組んでいます。虐待等権利侵害が疑われる子どもへの対応としては、「虐待予防マニュアル」を園で作成し、虐待予防チェックシートを使いチェックしています。又、中区こども家庭支援課や横浜市中央児童相談所と連絡を取り、連携を図っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

園長は、中区園長会幼保小連携連絡会などの各種会議や、町内会の総会・自治会や中華街関連の各種会合に参加し、地域のニーズを把握しています。また「のんびりんこ」(地域子育て支援拠点)からの情報や、地域住民(民生委員を含む)との交流、地域のいろいろな行事に参加し、地域のニーズを把握することが出来ます。保育園は長い歴史もあり、中華街の中心にあることで地域との繋がりが強く、卒園生も多いことから、いろいろな世代から情報を得ています。園として直接相談を受ける事はしていませんが、いろいろな会合や地域の住民との交流の中で、話を聞いたり相談を受ける機会があり、地域の多様な生活課題の把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

園は把握した地域のニーズに基づいて、一時保育、絵本の貸し出し(現在は感染防止で中止)などを実施しています。また育児相談や学童保育については早く開始したいという意向が強く、今後の事業や活動が期待されます。子どもたちは、地域のお祭りに参加したり、公園の清掃活動や花壇に苗を植える作業等に参加しています。(一部はコロナ禍で中止)職員も自治会での活動「クリーンアップ作戦」に毎月1回参加し、地域の活性化やまちづくりに貢献しています。法人は市からの要請を受け、体育館を避難場所と指定しています。園としても協力し、地域住民を受け入れ助け合っていく意思があります。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園の「園則」(運営規程)は子どもの人権尊重が明示され、全体的な計画に「子どもの人格を尊重し保育を行う」と記載しています。職員は、職員会議や保育会議で個々の事例を通して、人権や子どもを尊重した保育について話し合い、指導計画に反映させるよう努めています。しかし保育教諭同士は、教育・保育理念、個々の保育の標準的な実施方法についての考え方に相違があり、意思疎通が思うようにとれていません。今後は共通の考え方や意識が持てるよう、話し合いの機会を多く持つ事を期待します。園では、様々なバックグラウンドをもつ子どもが在籍し、日常生活においても中国語と日本語が使われています。行事においても、日本の文化・中国の文化を学ぶ機会が多くあり、文化の違いを伝える等して、互いに尊重する心を育んでいます。また、性差への先入観による固定的な対応をしないように配慮した保育を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

園で作成した「虐待予防マニュアル」に、「保育士はプライバシー保護について高い意識を身につけ十分配慮する」との記載があります。園内には静かに過ごせるスペースの確保、幼児トイレにドアを付ける等の環境を提供しています。乳児の排泄場面ではカーテンを引いて行ったり、プール遊びを校庭で行なう場合は、シートを貼る等外部から見えないよう配慮しています。保護者に対しては、お祭りなどで映す写真や動画に関して同意を得、写真などをホームページやブログに用いる場合は、異議のある際には保育園に申し出るようお願いをし、対応しています。「プライバシー保護」に特化したマニュアルは作成していませんが、今までの資料を再確認し、作成していきたいとの意向があります。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

ホームページやパンフレットで教育・保育理念や基本方針、保育園の提供時間やデイリープログラム、費用明細、連絡先を載せ、写真や図など用いて園の情報を分かりやすく伝えています。パンフレットは、中区の地域子育て支援拠点「のんびりんこ」に置いたり、中区民まつりの際は保育園のブースで配布しています。保育園の利用希望者に対しては、電話で随時対応しています。園内の見学は、現在コロナ禍のため行っていませんが、一人ひとり玄関で対応しています。園長、副園長、事務職員が個別に丁寧な説明を行ない、利用希望者に必要な情報を提供しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入園前に「入園のしおり」(重要事項説明書)を基に、保育の開始時間や延長保育時間、変更時について等の説明を行い、保護者の同意書を得ています。説明をする際は保護者に分かりやすく説明し、日本語と中国語で対応出来るようにしています。また「入園前確認アンケート」に記入してもらい、配慮が必要な保護者には理解が出来るまで何回も丁寧に説明する等、個別に対応出来るよう配慮しています。入園の説明会には看護師や栄養士のブースを設け、個別に説明出来るような配慮も行っています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本的には、家庭や子どもに関する情報提供や保育に関する引継ぎは行っていませんが、区役所等から問い合わせがあった際は、口頭で伝えています。卒園後、相談窓口は園長とし、気になる保護者にはいつでも相談出来る事を連絡帳等で伝えています。必要な場合は、卒園後も関連機関や保護者と継続して連絡を取り合うよう努めています。また園では、同窓会を卒園アルバムを渡す5月に開催するなど卒園後も繋がりを大切にし、園は保護者や子ども達にとって、いつまでも信頼される存在、頼れる場所であるよう努めています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

日々の保育の中で、子どもの表情から満足度を読み取るよう努めています。保護者に対しては、登園・降園時に子どもの様子について伝えたり相談に乗る等、日頃から信頼関係を築くよう努めています。年に2回開催される懇談会では、保育教諭と給食職員から、子どもの様子、給食についての説明や連絡事項等を保護者に伝え、質問事項について答えています。また、以前は保護者会がありましたが、現在は運営委員会に保護者の代表が出席をする形態をとっています。個別面談や保護者懇談会で保護者の満足度を把握し、把握した内容を職員会議や保育会議で話し合い、分析・検討を行い改善を行っていますが、保護者へのアンケート調査が実施されていないため、今後の定期的な調査の実施が期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決の責任者は園長、受付担当は総括主任保育教諭になっており、また第三者委員会の設置など、苦情解決の体制は整備されています。保護者に対しては、「入園のしおり」に記載されている苦情相談窓口について説明をし、同意を得ています。また「ご意見・ご要望等の申し出窓口設置について」に、第三者委員2名の氏名や連絡先、中区子ども家庭支援課の連絡先、意見・要望等の受付解決方法等が記載され、それは、玄関に申出書・意見箱と一緒に設置されています。苦情内容や解決を図った記録、苦情を申し出た保護者に提出した書面等は適切に保管されています。苦情に関しては、個別に保護者へのフイードバックはしていますが、公表は行っていないため、今後の改善に期待します。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

相談窓口の記載がある「入園のしおり」は保護者に配布しています。また、玄関には「入園のしおり」「ご意見・ご要望等の申し出窓口設置について」と一緒に申出書と意見箱が設置されています。日常では、連絡帳の活用、登園・降園時に声掛けをするなど、相談しやすい雰囲気づくりに配慮しています。また言葉の問題もあり、個々によって中国語で声がけしたり相談に応じています。園内には相談しやすいスペースを確保し、カーテンを付けて外部から見えないようにする等の配慮をしています。相談先には第三者委員や中区役所の連絡先が明示してありますが、権利擁護の視点から横浜市福祉調整委員会など複数の他機関の苦情解決窓口の情報を提供することが期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

毎日の登園・降園時に声がけをしたり、子どもの様子についてコミュニケーションを図る等、日々保護者との関係性を構築することで、保護者が意見を述べやすいように努めています。保護者からの意見は、口頭や電話、連絡帳、ご意見や要望の申出書、メール等で対応していますが、相談を受けたその日のうちに園長・副園長・統括主任に報告をし、迅速な対応が出来るよう努めています。相談・意見の内容は、職員会議で情報を共有しています。必要に応じたマニュアルの見直しや意見等にもとづいた取組は行っていますが、さらに多くの職員の意見が反映される工夫が期待されます。園としては、保護者からの意見をさらに吸い上げるための体制を再構築し、より迅速に対応していきたいとの意向があります。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

園で「事故防止マニュアル」が作成され、事故発生時の対応や手順等は、事例を通して職員会議や保育会議で職員に周知されています。リスクマネージメントに関しては、保育・給食・事務の各現場で責任者を決めています。特にリスクマネジメント委員会を設置する事は行っていませんが、それぞれの現場で責任者を中心として話し合いを行い、職員会議や保育会議で報告し、情報を共有しています。「ヒヤリハット」の報告書は発生状況や再発防止策等、各欄に記録し易いよう工夫しています。「事故報告」の報告書は、状況を分析し改善策・再発防止策について記録しています。職員全員で確認し、今後の対応に活かしていくよう努めています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園で「感染症対応マニュアル」「衛生管理マニュアル」を作成し感染防止に努め、職員に周知徹底してます。予防策として、保育室の換気・衛生管理に気を付けています。おもちゃは使用後消毒ボックスに入れ、自動的に消毒が出来る仕組みになっています。また、コロナ禍のため、玄関には体温を計る装置と消毒液が用意されています。子ども達は、テーブルに透明の衝立を置いて食事をする等いろいろな場面で予防対策をしています。現在、園内研修は行われていませんが、看護師が嘔吐の処理等実践的な指導を個別で行ったり、毎日乳児のクラスに入って質問を受ける等の指導を保育教諭に対して行っています。マニュアルは、看護師を中心に保育教諭とその都度見直しをしています。保護者への情報提供はボードに書いて知らせ、緊急を要する場合は一斉メールで知らせています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

園で「安全管理マニュアル」を作成しています。マニュアルには災害等発生時における対応が記載され、対応体制が決められています。備蓄に関しては、食料や備品等の備蓄リストを作成し、管理者を決めて備蓄を整備しています。防災訓練は月に2回行い、みなと総合高校・港中学・横浜中華学院と合同津波想定訓練を行っています。また、地域の防災訓練に参加したり、中区の研修で、職員が救急救命法の研修に参加しています。園では防災訓練の記録を付けたり、防災訓練の年間計画等を立てていますが、今後は「BCP」(事業継続計画)の策定も必要であると捉えています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

標準的な保育の実施方法は、各種マニュアルを作成しています。マニュアルは、職員会議や保育会議で読み合わせをし、状況において検証や見直しを行っています。その際は全体の職員会議で話し合いを行い、職員に周知徹底するよう努めています。マニュアルは、全般的に手順などが詳しく記載されていますが、マニュアルによっては留意点やプライバシーへの配慮などの記載が充分でないので、改善に期待します。保育実践に関しては、専科で行われるプログラムを多く取り入れたり、いろいろなバックグラウンドを持つ子ども達一人ひとりの発達や状況に応じて柔軟に行われ、画一的なものとはなっていません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

保育の標準的な実施方法の検証・見直しに関してはPDCAサイクルを用いて振り返りを行い、年度末や状況において、その都度見直しを行っています。しかし、多様な考え方をもつ保育教諭の意見のすり合わせが充分ではなく、標準的な実施方法の検証も不充分なものとなっています。今後は検証・見直しにあたり、職員からの意見や提案が反映されるような仕組みが期待されます。また保育教諭は、子どもの成長や状況に応じて環境設定や個別の対応方法を見直すなど、指導計画の内容が必要に応じて反映されるよう努めてます。保護者に対しては、登・降園時の会話や連絡ノート、懇談会や個別面談などから要望を聞き、保護者の意向を反映するよう心掛けています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

指導計画作成の責任者は園長で、全体的な計画に基づいて年間指導計画、月間指導計画、週案、日案、保健指導計画、食育計画を作成しています。また、3歳未満児と配慮が必要な子どもについては、個別指導計画を作成しています。子どもの家庭状況や成長発達の様子、保護者の意向については、入園時の提出書類、個人面談、登園・降園時の保護者との会話等で把握しています。指導計画はクラスで話し合い作成しますが、計画の作成にあたっては、保育会議で看護師、栄養士や調理師とも話し合いを行っています。配慮が必要な子どもに対しては一人ひとり個別に対応し、クラスや保育会議で話し合い、職員で情報を共有しています。職員は外部の研修に参加し、横浜市中部地域療育センターから年に1~2回巡回指導を受け助言を得ています。また、園の子どもが通所している民間の児童発達支援事業所とも連絡を取り合い、情報を共有しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

月間指導計画は毎月、年間指導計画は年度末に、クラスで子どもの様子などについて話し合い、計画の評価・見直しを行っています。評価の結果は、次の計画に反映し作成しています。また、年間指導計画の評価は次年度の担任に申し送りされています。緊急に計画を変更する必要が生じた場合は、個別で柔軟に対応するよう努めてますが、仕組みを整備する事が期待されます。指導計画の評価・見直しは担任を中心にクラスで行いますが、結果を保育会議や職員会議で報告し周知しています。また、PDCAサイクルを実施して課題を明確にし、改善に努めています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの発達状況や家庭の状況など等は、入園時保護者に決められた書式に記入してもらい、進級時に追記してもらっています。入園後の子どもの成長発達の様子は、保育経過記録に記録しています。日々の保育は、保育日誌に記録していますが、保育教諭の中には書き方に差異があると認識している職員もいることから、記録要領の作成や保育教諭への指導の工夫が期待されます。毎月、保育会議、職員会議を行い、会議記録を回覧しています。フリーの職員は、会議記録や伝達事項を回覧帳で確認し情報を共有しています。コンピューターネットワークに関しては、クラスにパソコンが一台ずつ支給されています。指導計画や園だより等を直接入力し、全職員で共有しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「入園のしおり」や職員に向けた「遵守事項」に個人情報に関する記載があります。また、「園則」(運営規程)には子ども記録の保管、廃棄、情報の提供に関する事が記載されていますが、個人情報保護規定等のマニュアルがないため、今後の作成が期待されます。情報の記録管理の責任者は園長で、保人情報に関わる書類や記録は施錠できるロッカーに保管・管理するなど細心の注意を払っています。職員には、入職時に「遵守事項」(個人情報保護について記載)について説明をし、同意書を提出してもらっています。また、職員会議等でも個人情報について確認し合い、周知しています。保護者に対しては、「入園のしおり(個人情報)」で説明し、同意書を得ています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、児童憲章や児童福祉法、保育所保育指針などの趣旨をとらえ、園の理念や教育・保育方針、教育・保育目標に基づいて作成されています。全体的な計画は年齢ごとの子どもの発達過程や子どもと家庭の状況、地域の実態などを考慮して作成しています。計画には、健康支援や食育、安全管理、災害への備え、子育て支援、園の特徴である伝統文化や中国語、英語、体操など、園の教育・保育の全体像を示すものとなっています。全体的な計画は、園長、副園長、統括主任が話し合って作成し、職員に提示して意見交換しました。年度末には、前年度の評価をもとに、見直しています。全体的な計画を各クラスの指導計画のファイルに綴じこみ、指導計画作成時に確認できるようにしています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

2021年に改築された園舎は窓が大きく、明るく広々としています。温湿度計、エアコン、加湿器付空気清浄機等を設置して温・湿度の管理をしていて、適切な状態を保持しています。清掃チェック表、温・湿度チェック表などを用いて、衛生的で安心・安全な環境が保たれるようにしています。熱中症指数を掲示するなど工夫しています。寝具は洗えるスポンジで年に2回業者が洗浄し、使用したおもちゃは消毒ボックスを用いて毎日消毒しています。子どもの年齢・発達にあった安全で楽しい遊具を、職員が話し合って選定しています。乳児保育室は棚、畳などで仕切り、機能別の空間が確保されています。幼児は、食事後に清掃をしてから午睡しています。必要に応じてコーナーや仕切りを用い、子どもがくつろいだり、一人で落ち着いて過ごせるようなスペースを確保しています。1階廊下には絵本コーナー、階段下には子どもがもぐりこめる場所があります。トイレは明るく、清潔に保たれています。幼児トイレには仕切りと扉がついています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

子ども一人ひとりの様子や発達状況、保護者の意向等を把握し、クラスや保育会議で話し合って共有し、個々に合わせた対応ができるようにしています。職員は、子どもの表情や言葉、態度などから子どもの気持ちを汲み取っています。年齢に合わせたわかりやすい表現を用いるように心がけ、日本語でのコミュニケーションが難しい子どもには、中国語ができる職員が対応するなど、その子どもに合わせたコミュニケーションの方法を工夫しています。職員会議で保育士倫理綱領の読み合わせをして話し合いをするなど、子どもを尊重した保育の実践に向けて取り組んでいます。園長・副園長は保育の様子を見て回り、子どもへの関わりや言葉遣いで気になる事例があった時には、声をかけ指導やアドバイスをしています。職員間でも注意しあうなど意識して取り組んでいますが、幼保園になって2年目ということもあり子どもへの対応や保育観の統一などさらなる取組が必要ととらえています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育室は、子どもの生活の流れを考慮して環境設定されていて、毎日の繰り返しの中で子どもが生活の流れを理解し、基本的な生活習慣を身につけられるようになっています。保育教諭は子どものやりたいという気持ちを大切に見守り、必要に応じて声掛けをしたり、やりやすいように並べたり、手助けをしたりと、個々に合わせた対応をしています。トイレットトレーニングは、0歳児の後半にトイレに座ってみることからはじめ、子どもの状況を見ながら保護者の意向を確認してから始めています。日本と中国の生活習慣や子育てについての考え方の違いも尊重し、保護者とも連携しながら、少しずつ無理なく自分でできることが増えるように支援しています。生活リズムが確立していない子どもは午睡の時間を長く取るなど、一人ひとりの子どもや家庭の状況に合わせて柔軟に対応しています。保育室に手洗いの仕方をわかりやすく掲示したり、自分の物の管理の仕方を指導するなど、子どもの年齢や発達に合わせた取組をしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

保育目標に「自分のことは自分でやる」を掲げ、年齢に合わせた分かりやすい環境設定をすることで、子どもが一日の流れを意識し、自分から取り組めるようにしています。おもちゃや素材は、透明な容器に入れられ、保育室や廊下、遊戯室に置かれていて、子どもが好きな遊びを自由に選んで、遊べるようになっています。自由遊びの時間には、一人で絵を描いたり、友だちと役になりきってごっこ遊びをしたり、ブロックで大きな作品を作ったりと、それぞれが自由に好きなことをして、遊んでいます。友だちと大きな声で歌い、身体を動かしたりする姿も見られます。散歩や校庭で外の空気に触れて身体を動かし、幼児は外部講師による英語と体操、リトミックの専科を設けています。中国語や獅子舞・龍舞などの中国の伝統文化も取り入れ、子どもたちが様々な言葉や文化があることを理解し、視野を広げられるようにしています。様々な年代の職員や専科や龍舞の外部講師などと触れ合うほか、パレードなど地域の行事に参加したり、地域の避難訓練や交通安全教室に参加したりと、地域住民と交流する機会も多くあります。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児は、月齢による発達差が大きなクラスですが、保育教諭間で密に情報交換し、一人ひとりの子どもの生活リズムに合わせた対応をしています。担当制は取らず皆で対応していますが、子どもの状況に応じてメンバー調整するなどし、子どもが落ち着いて生活できるようにしています。保育士は、子どもに優しく話しかけ、子どもの言葉やしぐさ、表情などから子どもの気持ちを汲み取っています。子どもからの要求があった場合には必ず応えて言葉にして確かめ、子どもが自分の思いを表出できるようにしています。スキンシップをたくさん取って子どもの甘えを受け止め、子どもとの信頼関係を築いています。保護者とは、朝夕の送迎時の会話や連絡帳などで子どもの様子を情報交換しています。離乳食を進める場合も、家庭での様子や保護者の考えを聞いて園での子どもの様子や園の方針を丁寧に説明し、相談しながら進めるなど、保護者との連携を大切にしています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

保育教諭は、子どもが自分でしようという意欲を持てるように近くで見守り、個々の子どもに応じた支援をしています。保育室には、絵本のほか、ブロックやままごと等のおもちゃが透明なケースに入れて並べられていて、子どもが好きな遊びを選べるようになっています。自由遊びの時間には、子どもたちは、友だちとごっこ遊びをしたり、一人でブロックをしたり、保育教諭に絵本を読んでもらったりしています。保育士は、子どもと一緒に遊びながら、おもちゃを足したり、場所を調整したり、遊びが広がるような声掛けをしたりしています。子ども同士のトラブルの際には、噛みつきなどの危険がない限りは見守り、双方が納得できるような個々に応じた仲立ちをしています。クラスごとの活動が中心ですが、幼児のお店屋さんごっこで買い物をしたり、ベランダから幼児の龍舞を見学するなどしています。また、地域住民と散歩で挨拶を交わしたり、職業体験の中学生と交流するなどしています。保護者とは、連絡帳や日々の会話で家庭での様子を聞き取り、連携しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

幼児は、中国語や英語、体操、リトミックの専科の時間を設けていますが、活動の合間に校庭で身体を動かしたり、朝夕には自由遊びの時間を作っています。中国の伝統文化として獅子舞や龍舞を取り入れていて、乳児の時から見て育つことで子どもたちの憧れの気持ちが育っています。年齢に合わせて目標設定し、段階を踏んで進めていくことで、3歳児は友だちと一緒に取り組む楽しさを味わい、4歳児は友だちと協力しながら自分の力を発揮し、5歳児は年長児としての自覚をもってやり遂げる気持ちが育っています。専科以外の時間には、廃材を使って皆で相談して大きな作品を作ったり、夏祭りのお店屋さんごっこで自分たちで相談して企画・準備・運営するなど、5歳児が中心となって子どもが主体的に活動する機会も設けています。保護者には、お便りやクラスノートで子どもの様子を伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

園内はバリアフリー構造となっていて、エレベーターや多目的トイレの施設も完備しています。子どもが落ち着かない時には、衝立を用いるなど工夫しています。障害のある子どもに対しては、障害の特性に配慮した個別指導計画を作成し、それに基づき子どもの状況に応じた保育をしています。個別の記録もつけています。子どもの状況に応じてフリーの保育士を配置するなどして個別に対応し、子どもが他の子どもたちとともに生活できるよう支援しています。保護者とは必要に応じて個別面談をして情報交換し、連携しています。横浜市中部地域療育センターの巡回指導で助言やアドバイスを受けるほか、子どもが通う民間の児童発達支援事業所とも連携し、一貫した支援ができるようにしています。職員は障害に関する外部研修に参加し、職員会議で報告し、絵カードを取り入れるなどしています。保護者には園のしおりに園の障害児保育についての方針を掲載し、入園時に説明しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

19時半までのデイリープログラムを作成し、月案に長時間への配慮を記載し、子どもの状況に応じた保育をしています。朝夕の自由遊びの時間には、子どもの希望を聞いておもちゃを出してコーナー設定し、ゆったりと好きな遊びをして過ごせるようにしています。幼児は、夕方に校庭で遊ぶ時間も作っています。コロナ禍のため異年齢の関わりは少なくなっていて原則クラスごとに活動していますが、子どもが少なくなる18時からは乳児・幼児が一緒に過ごしています。延長時間を利用する子どもには、捕食を提供しています。子どもの状況や保護者に伝えることを引き継ぎ簿に記載し、口頭でも保育教諭間で引き継ぎをし、確実に伝わるようにしています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画、年間指導計画に小学校との連携や就学を見据えた取組を記載し、保育しています。就学に向けて、時計を用意して子どもが一日の流れを見通して生活できるようにする、運動会明けから午睡を少しずつなくしていくなどの取組をしています。コロナ禍前には近隣小学校のフェスティバルに招待され小学校1年生と交流するなどしていましたが、現在は交流の機会が少なくなっています。併設の中華學院とは行事等で交流しています。また、年長児が横浜スタジアムでのBTボール大会に参加して他の保育園児と交流するなどしています。保護者に対しては、懇談会で小学校入学にあたっての注意事項や本の紹介などをしています。保育士は、幼保小連携事業に参加し、意見交換しています。入学にあたっては、認定こども園こども要録を就学先に送付し、口頭でも引き継ぎをしています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの健康管理に関するマニュアルに基づいて、看護師が中心となって、一人ひとりの子どもの健康管理をしています。保育中の体調悪化やけがについては、保護者に状況について連絡して、対応について検討しています。けがで判断に迷う場合には、医療機関を受診するようにしています。降園時には保護者に説明し、翌日に状況確認しています。看護師が保健計画を作成し、子どもの健康に関する情報を職員間で共有しています。入園時に既往症や予防接種の状況を保護者に健康台帳に記載してもらい、毎年確認してもらっています。園だよりに保健に関する情報を掲載するとともに、感染症の発症などの情報は園内に掲示し、保護者に情報提供しています。SIDS (乳幼児突然死症候群)について、職員に説明し、乳児は午睡時にブレスチェックをしています。保護者に対して情報提供していますが、中国語で提供するまでには至ってなく、さらなる取り組みが必要と考えています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

毎月の身体測定、年2回の健康診断と歯科健診、年1回の尿検査(3・4・5歳児)と視聴覚健診(3歳児)を実施しています。身体測定や健康診断の結果は健康台帳、歯科健診の結果は歯科健診表に記録しています。保護者には掲示と個別の用紙を用いて報告しています。医師の受診が必要なものについては、受診した結果も確認しています。子どもに歯磨きの大切さを伝えるなどの取組をしていますが、健診の結果を保健計画に反映させて保育を行うまでには至っていません。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

横浜市が策定した「食物アレルギー対応ガイドライン」を基に園としての食物アレルギー対応マニュアルを整備し、適切な対応をしています。食物アレルギーのある子どもに対しては、子どものかかりつけ医が記載した生活指導表を提出してもらい、それに基づき除去食を提供しています。職員会議でアレルギーのある子どもや慢性疾患のある子どもの情報を共有し、いつでも確認できるよう各保育室に一覧表を掲示しています。保護者には、毎月献立表を確認してもらっています。提供時には、別トレイ、別食器を用い、職員間で確認しています。保護者には、園のしおりに園の方針を記載し、入園時に説明しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

子どもたちが食に興味を持ち、豊かな食の経験をできるよう、年間食育計画を作成して取り組んでいます。季節の野菜を育て、調理してもらって食べてみたり、コメを育てて収穫し、脱穀して焚いて食べたり、4・5歳児はピザづくりなどの調理もしています。かき氷パーティや屋台風の演出など、子どもが楽しめるような食のイベントも多くあります。保育士は、子どもが完食した達成感を味わい、お代わりしたいという意欲を感じられるよう、個々の子どもに合わせて量を加減しています。保育士は、子どもの年齢に合わせて「おいしいね」「上手だね」などと声をかけ、苦手な食材は強制することなく、一口でも食べられるよう働きかけています。食習慣の違いで食べられない食材については、保護者と相談しながら個々に合わせた対応をし、徐々に園の食事に慣れるよう支援しています。食材は地元の業者から購入し、食器は子どもの成長や発達にあわせて選定しています。玄関にサンプル展示をするとともに、毎月、献立表と給食だよりを発行し、保護者に情報提供しています。現在は給食試食会は行っていませんが、クラス懇談会には給食職員も参加し、園の食についての考え方を伝えています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

献立は、季節感を大切に旬の食材を使い、薄味で食材やだしをいかした調理をしています。正月やひな祭り、七夕などの日本の行事食と、旧正月などの中華の行事食を取り入れています。旧正月に中華雑煮や大根餅、お月見には月餅をおやつに提供して台湾の習慣である焼肉の製作をするなどして、子どもに日本と中国の文化の違いを食を通して伝えるなど、園の特徴を生かした取組をしています。地域住民から寄付されたユウガオなど珍しい食材を食べる経験もしています。給食日誌に残食を記録するとともに、給食会議で保育士から喫食状況を聞いています。給食室の台は低く、乳児でも調理の様子を見たり、匂いを感じたりすることができ、子どもから直接感想を聞くこともあります。献立はサイクルメニューとなっていて、子どもの喫食状況を見て、2回目の調理に反映しています。給食職員が見に行くと子どもの喫食がよくなることから、コロナの感染状況を見ながら、できるだけ食事の様子を見に行くようにしています。マニュアルを整備し、給食の衛生管理を適切に行っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎日の送迎時には保護者と会話し、情報交換しています。クラスの活動の様子は、クラスノートを掲示し、写真も用い、保護者に子どもの様子が伝わるように工夫しています。乳児は、毎日連絡帳を用い、子どもの生活面について情報交換しています。毎月、園だよりと給食だよりを発行していて、お便りや掲示は、日本語と中国語を併記しています。年2回懇談会と個人面談を実施し、園の方針や活動内容、子どもの様子などを伝えています。運動会などの保護者参加行事を行っていて、コロナ禍でも人数制限をして時間差で行うなど工夫しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

送迎時には、職員はそれぞれの立場で保護者とコミュニケーションを取り、保護者の相談にのっています。保護者から相談を受けた職員は、園長・副園長・統括主任に報告し、対応について話し合っています。必要に応じて個人面談を設定し、内容によっては園長・副園長が対応することもあります。食に関する相談には給食職員が対応しています。相談内容によっては廊下から保育の様子を見てもらったり、関係機関を紹介するなどしています。相談内容は記録し、必要な職員間で共有しています。日本語でのコミュニケーションが難しい場合には、中国語のできる職員が対応するなどの配慮もしています。貸出用の制服を用意して卒園式等に貸し出したり、保護者から寄せられたリユースの服の販売を行ったり、七五三のお祝い着を貸し出したりと、保護者の状況に応じた支援をしています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

保育士は、朝の受け入れ時や着替え時などに子どもの身体状況をチェックし、傷などがあった場合には記録し、保護者にも確認しています。気になる事例があった時には、園長・副園長に報告して対応について話し合っています。必要に応じて、中区こども家庭支援課や横浜市中央児童相談所などの関係機関と連携しています。情報は、保育会議で職員間で共有し、皆で見守る体制を築いています。虐待の定義や発見のポイント、疑われた場合の対応などを記載した虐待予防マニュアルを整備しています。保育会議でケース検討をしたり、虐待等権利侵害の外部研修に参加した職員が研修報告をするなどしていますが、虐待をテーマにした全職員対象の園内研修を行いマニュアルの読み合わせをするまでには至ってなく課題ととらえています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

指導計画や行事計画、日誌には自己評価の欄があり、職員が自己の取組を振り返られるように定型化されています。毎月、クラスや保育会議で子どもの姿について話し合い、振り返りをしています。自己評価にあたっては、個々の子どもの課題を踏まえて心の育ちや意欲、取り組む過程などに配慮しています。年度末には、職員は「就業能力証明シート」を用いて「園の基本姿勢」「保育内容」「健康及び安全」「子育て支援」などの項目ごとに自己評価をし、それをもとに園長・副園長が「園の自己評価」としてまとめています。自己評価で明らかになった課題を園内研修のテーマに取り入れるなど、保育の向上に反映していますが、「園の自己評価」をもとに職員間で目指す保育のあり方について話し合うまでには至ってなく課題ととらえています。2年前に認定こども園になったこと、2階に分かれていてクラスも2つあることなどもあり、経験や職務などの枠を超えて話し合う機会が必要との声が職員からも上がっています。