社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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弥生苑

2023年03月22日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 弥生苑 評価対象サービス 2022~ 高齢者福祉サービス版
対象分野 特別養護老人ホーム 定員 90 名
所在地 241-0802
横浜市旭区上川井町1241-1
TEL 045-922-5141 ホームページ https://toureikai.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1997年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人藤嶺会
職員数
常勤職員:25 名
非常勤職員:35 名
専門職員
介護支援専門員:1 名
生活相談員:3 名
看護職員:6 名
管理栄養士:1 名
機能訓練指導員(ST):1 名
施設・設備の概要
(居室数)個室(6):(設備等)相談室、会議室
2人部屋(14):浴室、医務室、静養室
4人部屋(14):ボランティア室

③ 理念・基本方針
【法人理念】
  やさしさ、思いやり、ふれあいを大切に
   高齢者の豊かな生活を築いていくことを目標にします。
【事業運営方針】
 1.すべてのお客様を人生の先輩として敬い、一人ひとりの人格・生命を尊重し、その人らしく安心して、安全に生活できる環境・サービスを提供することに努めます。
 2.お客様の視点に立ってサービスの見直しを行い、自立・自信につながり、心から満足していただけるサービスが提供できるように、研修・研鑽に取り組み、サービスの質の向上に努めます。
 3.社会資源として地域福祉の拠点となり、地域の方々が安心して暮らせる環境作りに貢献できるよう、開放的で透明性の高い経営を目指します。
 4.当事業所は社会福祉法人としての社会的責任の重さを真摯に受け止め、健全な経営を行うよう、全ての法令を遵守いたします。
   また、従事者は、業務に関連する規程及びルール・秩序を遵守し、社会的信用を損なわないように努めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
〇介護保険制度移行後早期より看取りの介護に取り組んでいる。お客様の入所時に、本人及び家族と話し合い、看取りの介護を希望するかどうかを確認している。希望する場合は承諾書に署名・捺印をもらっている。終末期に入ると、介護職員や看護職員、生活相談員、介護支援専門員により「看取り介護計画書」を作成し対応している。日々の状況は「経過観察表」に記録し、人生の最期をここで送ることができて良かったと思えるよう、丁寧な介護を行っている。入所されているお客様が退所された後も、環境美化、花壇などのボランティアとして活動を続けて頂けるご家族もおられる。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/06/20(契約日) ~2023/02/08(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2007年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
〇介護保険制度施行前に開設された従来型の特別養護老人ホームで、お客様は2、3階の個室や2人部屋、4人部屋にて日々の生活を送っている。お客様の要介護度は高く、経管栄養を必要とする方も10人を超えている。
〇コロナ禍により、面会や外出行事が制限される中、お客様の日常生活が潤いのある生活となるよう、職員は工夫して日々の介護にあたっている。職員と一緒に月ごとの壁面装飾に取り組み、アジサイの花や七夕飾り作りなどを楽しんだり、施設内を職員がワゴン車で回り、お菓子販売を楽しんでもらっている。また、出前の日を企画して、好きなものを選んでもらっている。
〇施設の開所当初から、身体拘束は行わない姿勢を貫いている。エレベーターや階段、居室など、施設内は開放的で、誰もが自由に行き来している。認知症の方も多いが、お客様の表情は皆明るく、落ち着いて生活を送っている。
〇お客様にはおいしいものを、お客様が食べたいものを提供するという施設の考えのもとで食事を提供している。パンが好きな方が多く、月1回、厨房でパンを焼き、焼きたてを提供している。日常の食事も、薄味にこだわらず味付けを普通にする他、季節の旬のものを献立に取り入れ、七夕や七五三、クリスマスなどの行事食を提供している。食事時には栄養士が各フロアを巡回して、お客様の声を聞いて献立に反映している。
〇生活相談員を3人配置し、緊急時や看取り介護の対応だけでなく、いつでも介護の現場をフォローする体制を整えている。理事長や管理者をはじめとして、生活相談員や介護支援専門員、看護師、栄養士が毎日各フロアを巡回し、お客様に声をかけている。アットホームな雰囲気の中で、お客様は毎日を過ごしている。
〇事故防止委員会、褥瘡予防委員会、身体拘束・行動抑制予防委員会、排せつ委員会、感染症予防委員会、給食委員会、防災委員会など、各委員会が活発に活動している。褥瘡予防委員会では、数種類のベッドマットを準備し、排せつ委員会では、介護職員が排せつ用具の選定や価格の交渉を自ら行っている。また、コロナ感染拡大のリスクを低減するため、陰圧装置設置の補助金申請を行っている。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 お客様ご家族等のご面会、ご入所希望のお客様等のご見学、地域のボランティア等、職員以外の方々の目が入りにくい状況となってしまったコロナ禍において、また慢性的な福祉業界の人員不足の現状において、自施設のサービスの質が低下していないか、職員の接遇はきちんとできているか、職員本位のサービス・日課になっていないかという反省点から、今回の第三者評価を受審させていただきました。
 自己評価からヒアリングにおいて、各部署の役職者を中心に職員に携わっていただいたことで、現状の自施設の状況や課題を共有できたと感じております。
 今後は、この共有できた課題やお客様の声を基に、「施設又は職員本位」でサービスを提供することなく、職員一人ひとりのスキルを向上できるよう法人として支援・教育し、事業としての質を高め、地域で安心してお任せいただけるという施設として努めていきたいと思います。
 調査・審査にご協力いただきました神奈川県介護福祉士会の皆様、自施設の職員の皆様、ありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念や事業運営方針はホームページに掲載するとともに、施設の玄関や各フロアに掲示している。4月の職員会議の場で、事業計画書をもとにして、理事長より法人理念を、管理者より事業運営方針を、あらためて職員に説明している。法人の理念は、名札ケースに入れ、職員が常に携帯して内容を確認できるようにしている。お客様や家族には、入所時に法人の理念を説明している。理念を各フロアに掲示していることから、お客様からも意見が出ることがある。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

月1回開催する経営会議や役職者会議の場で、理事長より高齢者福祉の動向について説明を受けるとともに、各事業の課題を分析している。事務長からは、市内各法人の経営や収支状況の現状についての説明がある。役職者会議の後に職員会議を開催し、職員にも状況を説明している。また、会計事務所が毎月、施設の経営状況を確認し、経営環境の変化などに適切に対応できるよう努めている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

月1回開催する経営会議や役職者会議の場で、理事長より高齢者福祉の動向について説明を受けるとともに、各事業の課題を分析している。各事業の稼働率には問題がないが、安定した雇用やスタッフの育成には課題があると捉えている。取り組むべき課題を経営会議で整理し、職員にも1日の勤務時間などのアンケートを実施して、職員の声を経営に活かすことができるよう取り組んでいる。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人として中・長期的なビジョンはおさえているが、計画書として書面化は不十分である。中・長期的なビジョンとして、大規模施設の特徴を活かした運営や、短期入所生活介護のベッド数の変更、人材の育成と活用などをあげている。市の高齢福祉施策の動向や地域のニーズを確認しながら、柔軟に対応できるようにしている。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人として中・長期的なビジョンはおさえているが、計画書として書面化は不十分である。中・長期的なビジョンのうち、人材育成や人材活用に対して、職員の研修計画などを単年度の事業計画に盛り込んでいる。事業計画は、毎年1~2月に各部署の職員の意見を集約、反映して、管理者が案を作成し、経営会議に諮っている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、毎年1~2月に各部署の職員の意見を集約、反映して、管理者が案を作成し、経営会議に諮っている。各部署は部署目標を立て、上半期の終わりに達成度を確認して下半期の目標につなげている。事業計画は、4月の職員会議の場で、全職員に内容を説明している。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画はホームページに掲載するとともに、施設内に冊子を掲示している。年1~2回、家族説明会を開催し、制度の改正の内容や、事業計画や事業報告について説明している。家族説明会は施設開所時より継続して開催してきたが、新型コロナウィルス蔓延後は開催できていない。家族の面会についても、ターミナルケアの家族以外は、オンラインによる面会となっている。事業計画について、お客様には特に説明は行っていない。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスの質の向上を目指し、朝の全体ミーティングや各委員会活動、個別のカンファレンスなどを積極的に開催し、職員の意識の統一を図っている。ただし、新型コロナウィルスの感染を予防するため、職員の健康管理を優先する必要があり、職員皆で協議する場が減っている。オンラインを活用したり、担当者が情報をまとめて書面で行ったりして工夫している。部署ごとのカンファレンスや看取りのカンファレンスなど、でき得る限り、皆が集まり協議できるよう努めている。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

骨折事故の再発防止や、介護方法の統一などについて、フロア内でカンファレンスを行い、結果を各委員会に報告している。委員会では、内容を確認、検討した後、課題を明確化して職員全体に周知している。職員間の共有化を図るため、研修会開催につなげることもある。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

「業務分掌」にて、理事長や管理者、事務長などの役割と責任について明記し、職員に周知している。月1回開催する職員会議では、会議の後半に、理事長及び管理者が話をする時間を設けている。管理者不在時の権限は事務長に委譲し、介護現場の判断は福祉推進室が担うこととしている。災害発生時の管理者の役割なども明記している。また毎朝、理事長が各フロアを回り、管理者も1日複数回各フロアを回り、日々の職員の状況やお客様の生活の様子を把握するようにしている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理事長が区の施設長会に参加する他、管理者もリスクマネジメントや安全管理に関する研修などに参加して、遵守すべき法令などの理解に努めている。入手した情報は、役職者会議や職員会議、各委員会で内容を説明して、職員に周知している。施設内に、褥瘡予防委員会や身体拘束・行動抑制予防委員会、事故防止委員会、感染症対策委員会その他の委員会を設置して、サービスの質の向上に努めるとともに、関係する法令の理解に努めている。各委員会には、役職者を必ず配置するようにしている。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

毎日、理事長及び管理者が各フロアを回り、サービスの提供状況を確認して、改善すべき点はスピーディーに対応している。感染症対策に関することなど、気になる点は職員にその場で注意を促している。また、役職者会議や職員会議に参加する他、委員会やフロア会議にもできるだけ参加して、理事長や管理者の意見を述べている。月1回開催する職員会議では、事故防止や感染予防、看取り介護などテーマを決めて、内部研修を実施している。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

毎日、理事長及び管理者が各フロアを回り、サービスの提供状況を確認して、改善すべき点はスピーディーに対応している。職員の勤務表は生活介護室のリーダーが作成している。作成に際しては、職員の休みの希望にも対応している。各フロアの人員配置についても、生活介護の現場で調整する他、紙おむつなどの備品も、生活介護の現場の職員が自分たちで選び、価格の交渉も行うようにしている。2階と3階では特性も異なることから、フロア間の異動を行い、職員がステップアップできるよう取り組んでいる。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法定を超える職員数は確保しているが、慢性的に人材が不足している中で、計画的な人員の補充や配置が困難な状況にある。常勤職員の夜勤の回数が多くなり、負担も大きいことから、パート職員の土・日曜日の勤務時間を長くするなど工夫している。職員の採用は、ホームページやハローワーク、学校、人材紹介会社などを活用して行っている。現在、若手の職員が多く、また、弥生苑でしか働いた経験がない職員がほとんどなので、職員が外部研修に参加した際には、積極的に名刺交換して、他施設の職員の話を聞くことをすすめている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

キャリアパスに基づき、15年以上前から人事考課制度を取り入れている。人事考課は前期と後期の2回に分け、各部署のリーダーが職員の評価を行っている。職員本人の自己評価とリーダーによる一次評価をもとにして、管理者と各リーダーが面接して、最終的な評価を行っている。職員の人事考課は、翌年の昇給や賞与の支給額などに反映している。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

年2回、管理者および役職者が、定期的に職員と面談する機会を設けている。職員との面談では、個々の目標の達成状況を確認している。また、面談の中で得た情報や職員の希望により、勤務形態を変更することもある。施設内に、お客様用と職員用の意見箱を設置し、意見箱の鍵は理事長が管理している。意見の内容についても、理事長が確認している。職員の有給休暇の取得状況は、事務長が管理している。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回、職員との個人面談を行い、個々の目標の設定や達成状況を確認している。職員の目標は、介護技術の向上やチームワーク作り、専門資格の取得などがある。期待する職員像は「キャリアパス」で示し、法人の理念の具体化として、笑顔と挨拶ができる職員であってほしいことを伝えている。内容がわかりやすい書籍などを管理者が職員に渡し、職員の成長やスキルアップを促している。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

全職員を対象にした年間の研修計画を作成し、職員が自己研鑽できる機会を設けている。職員は「目標管理シート」の中に、希望する研修や法人に期待するサポートなどを記入することができる。職員個々の希望を抽出できるよう、組織的に取り組んでいる。また、年6回、役職者を対象とした研修会を開催している。役職者研修は、理事長が企画し、リーダーシップや組織人として姿勢などをテーマにして、外部講師を招いて開催している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍の中、外部の研修にできるだけ参加できるよう、オンラインによる研修を活用している。内部研修に参加できなかった職員には、研修内容の情報を提供するとともに、内容の理解が確認できるよう「アンケート用紙」への記入を求めている。新人職員には、OJT(実務を通しての指導)にて、3~6ケ月間、担当者をつけて教育し、定期的な面談を行っている。新人職員の各業務の達成度は、ファイルに☆印を付け、確認と振り返りを行っている。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

福祉推進室を窓口として、短大や市採用教員の実習の受け入れを行っている。実習にあたっては、福祉推進室の担当者が初日・中間・最終日に面接し、学びやすい環境を整える工夫を行っている。また、実習校と連携し、実習指導者とともにプログラムを作成し、巡回指導時に先生との面談を行っている。コロナ対策として、実習2~3日前からの体調管理や実習当日の抗原検査、毎日の体温測定などを行い、今年度8人ほどの実習生を受け入れている。職員へは指導ポイントなどを示し、受け入れ体制を整えている。職員にとっても良い意味での緊張感があり、今後もでき得る限り実習生を受け入れていきたいと考えている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページに事業計画や事業報告、予算や決算の情報を掲載して、運営の透明性を確保するための情報を公開している。また年4回、広報誌「ハーモニー」を発行し、関係機関や家族などに配布して、施設の情報を伝えている。「ハーモニー」は、広報委員会が企画から印刷までを行う手作りの広報誌で、各部署の活動内容を紹介するページも設けている。自治会に加入し、会合には理事長が参加する他、施設行事の案内などは自治会の回覧を活用している。自治会とは、災害発生時の避難場所の協定も結んでいる。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

毎月、理事長及び事務長が、事務や経理面のデータを定期的に確認し、経営分析を行い、公正かつ透明性の高い適正な経営・運営に取り組んでいる。会計事務所が毎月、施設の経営状況を確認し、経営環境の変化などに適切に対応できるよう努めている。また、顧問弁護士や社会保険労務士に、いつでも相談ができる体制を整えている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

コロナ禍で、地域の行事は中止となり、施設の行事や買物外出なども見送っている。コロナ禍前は、年1回、地域の子どもや高齢者、障害者が集まる「孫子老の会」があり、施設のお客様数名が参加している。コロナ禍で、ここ2~3年開催を断念しているが、地域やボランティアの方を招いて、秋に「弥生祭」を開催している。お花見や外食などについても中止しているので、コロナの終焉後は再開したいと考えている。買物は職員が代行し、駅弁販売風にフロアを回っている。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティア委員会を置き、マニュアルを整え、受け入れ担当者がボランティア希望者に対応している。現在は、コロナ禍で受け入れを中止している。コロナ禍前には、縫物やシーツ交換、洗濯、車椅子のメンテナンス、傾聴ボラ、踊り、書道その他の活動に、多くのボランティアが関わっている。「弥生祭」では、継続して活動しているボランティアの方を表彰している。地域との関わり同様、コロナの終焉後はボランティアの受け入れを再開したいと考えている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の活動に理事長が役員として参加して、自治会や警察署、消防署、医療機関などとの連携に努めている。また現在は、コロナ禍で集まりが開催できていないが、地域の支え合いネットワークの会議に管理者が参加し、高齢者施設間の連携を強化して、災害発生時の地域の高齢者の受け入れ数などを決めている。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域には医療機関が多くあるが、在宅では生活が困難な医療的ケアが必要な高齢者が施設に入所している。また、精神的な疾患のある方も増えている。コロナ禍で、3~4回の開催となってしまったが、近くの特別養護老人ホームや地域ケアプラザと共同で「地域食堂」を開いている。地域との関係を密にとり、今後も地域の福祉ニーズを把握していく予定である。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

自治会と災害発生時の避難場所の協定を結び、有事の際の地域住民を受け入れる体制を整えている。地域支え合いネットワークや「地域食堂」の再開も考えている。「弥生祭」では、施設の活動内容を紹介する他に、福祉機器や高齢者の食事の形態などを地域の方に紹介している。地域の方々が気軽に足を運びやすい取り組みを、今後も行っていきたいと考えている。地域の協力があってこそ、適正な施設運営が可能になると捉えている。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念に”やさしさ、思いやり、ふれあい”を示し、法人理念を大切にして、お客様が豊かな生活を築いていくことを目標としている。運営方針や「職員倫理綱領」の中にも、お客様本人の尊重を明記している。また、施設内研修やフロア会議などで、基本的人権への配慮について共通理解を図っている。法人の理念は、玄関ホールや会議室、各フロアに提示するとともに、職員の名札ケースにも入れ、朝礼時には唱和している。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

「職員倫理綱領」に個人の尊厳を明示し、「個人情報保護に関する基本方針」や「個人情報取扱規程」を整えている。守秘義務については、常勤、非常勤職員ともに「誓約書」を提出している。ボランティアは「守秘義務に関する同意書」に、実習生は「入所者のプライバシー保護に関する誓約書」に署名、捺印している。プライバシーに配慮した支援方法は、入浴や排泄の各マニュアルに明記している。プライバシー保護の取り組みは、事業計画に明記して周知を図っている。居室のプライバシー確保のため、12月よりベッド周りの工事を予定している。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

法人の基本理念や事業運営方針は、ホームページやパンフレットに掲載している。施設の利用希望者には、生活相談員が「入所のしおり」などを用いて面接して、利用希望者の事情を確認しながら、丁寧な説明を心がけている。施設のベッドが満床で、すぐには入所が見込めないため、制度や仕組みの情報を提供している。コロナ禍で施設内の見学ができないため、動画での紹介を行っている。施設のパンフレットは、特に公共施設などには置いていない。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

サービスの開始時や変更時には、利用契約書及び重要事項説明書を用いて、サービス内容を説明し、署名、捺印をもらっている。専門用語は極力避け、わかりやすい説明を心掛けている。看取り介護については、「看取り介護指針」に基づき終末期の方針を説明し、終末ケアや延命処置に関する書面により、意向を確認している。意思決定が困難なお客様には、家族など身元引受人の承諾を得て対応している。サービスの変更については、コロナ禍のため、家族には電話で説明し、書面を郵送して同意を得るようにしている。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

特別養護老人ホームという施設の特性から、退所理由の多くは、入院や療養型病院への転院、施設内での看取りとなっている。退所時には、嘱託医や管理者、生活相談員が話し合いを行い対応している。生活相談員は医療情報や身体状況、生活状況を退所先に提供し、連携を図っている。家族には退所時に、再入所の希望を確認している。退所後、再入所したケースもある。他施設への移行時は、書面や口頭で情報を提供して、サービス内容に混乱が生じないよう配慮している。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

お客様に対して、施設生活の満足度調査やアンケート調査は実施していない。管理栄養士が食事時に食堂を巡回し、お客様の食事の様子を確認したり、食事について意見を聴き取り、食事内容の改善につなげている。生活相談員は、お客様や家族から、提供するサービスの内容について、意見や希望を聴き取り、内容を検討して改善につなげている。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

「苦情対応マニュアル」を整備し、苦情受付担当者と苦情解決責任者名を明記している。苦情解決の仕組みは玄関ロビーに掲示し、第三者委員の弁護士名も明記している。苦情受付と苦情解決の書式を分けて一つのファィルに綴じ込み、対応の経過を判りやすくしている。重要事項説明書には、相談窓口の生活相談員名や、県や市、国民健康保険団体連合会を記載している。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

施設内の3ケ所に意見箱を設置し、家族や訪問者も無記名で意見や要望を自由に記入できるようにしている。エレベータ横のボードには、運営適正化委員会のポスターを掲示している。お客様や家族からの相談は、施設内の相談室や会議室などで受け、プライバシーに配慮した環境を整えている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

「苦情解決・相談対応マニュアル」にて、苦情や相談、意見の受付から検討までの手順や記録方法を定めている。苦情や要望の内容は申し送りで伝達し、各部署のノートに記載して、全職員が内容を確認する仕組みを整えている。苦情や相談は、早期に解決するよう取り組んでいる。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

「事故対応マニュアル」にて、事故防止のための基本的事項や、事故とヒヤリハットの区分などを明確にしている。管理者をリスクマネジャーとし、月1回、定期的に事故防止委員会を開催して、安心・安全な福祉サービスの提供に努めている。また、ヒヤリハット報告を重視し、職員に対して小さな出来事でも報告書を提出するよう働きかけている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「感染症マニュアル」を整備し、職員がいつでも内容を確認できるよう、事務室のカウンターや各フロアにマニュアルを置いている。マニュアルの冒頭に感染症対策の基本として、①感染させないこと、②職員が感染症の媒介者にならないこと、③発症させないこと、④発症を早期に発見し適切な治療を行うことをあげている。職員は、具体的な感染症の症状や感染経路、観察のポイント、予防策などを学び、日々、感染症の予防に努めている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「防災マニュアル」を整備している。毎月、防災委員会を開催し、年5回の防災訓練と防災計画の立案と実施、訓練後の反省、自主点検などを行っている。防災訓練では、夜間想定の避難訓練や地震想定の訓練も行っている。災害時の備えとして、3日分の非常食を備蓄する他、毛布や発電機などを備えている。職員には、大地震対策携帯カードを配布し、各自で内容を確認できるようにしている。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

日常の介護業務に関する「介護マニュアル」を整備し、健康観察や、食事、排泄、入浴と着脱、移動、認知症について、介護のねらい、利用者の尊重、手順、介護方法、安全上の注意やプライバシーの保護などを、具体的に定めている。「介護マニュアル」は定期的に見直し、職員会議の後に動画による研修を開催している。新人職員は、新任研修やOJTにより指導を受けている。全職員が研修計画に基づいて研修に参加している。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

各マニュアルは、定期的に検証と見直しを行っている。各フロアでは、常に個別に提供するサービスが適正かどうか、自立に向けた安全で安心できる介護方法かどうかなどについて話し合いを行っている。実際に提供している個別のサービス内容を、各マニュアルに照らし合わせ、必要に応じて、各委員会につなげてマニュアルの見直しや改訂に取り組んでいる。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な福祉サービス実施計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

包括的自立支援プログラムによりアセスメントを行い、身体状況などをきめ細かくチェックしている。介護支援専門員が解決すべき課題をまとめ、カンファレンスで検討している。施設サービス計画の策定にあたっては、嘱託医や歯科衛生士、音楽療法士からも助言を受け、計画に反映している。施設サービス計画は、お客様と家族に面接して説明していたが、コロナ禍により、家族とは書面でのやり取りになっている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に福祉サービス実施計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

施設サービス計画の見直しについては、①要介護状態に変更があった場合、②状態に変化があった場合、③病院からの退院時、④入所後1ケ月、3ケ月及び6ケ月後、⑤見直しが必要と認めたときなどに随時行っている。介護支援専門員が各部署のメンバーを参集して、カンファレンスを開催している。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

職員は、日々のサービス支援の状況をケース記録に記入している。現在、パソコンへの入力ができるよう準備している。職員間で記録の書き方に差異が生じないよう、研修会を開催している。また、情報が的確に把握できるよう、フロア会議や各委員会の内容などの共有に努めている。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「個人情報取扱規程」を整備し、記録類の保管期間を定めている。情報の開示は、重要事項説明書に記載している。職員は入職時に、個人情報保護の誓約書を提出している。各種個人記録は施錠できる書庫や、パスワードを設定したパソコン内で保管している。記録管理の責任者は管理者としている。家族には利用契約時に、守秘義務と個人情報の利用目的及び第三者への提供などを説明し、同意を得ている。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:b】

最高齢者が106歳で、要介護4、5の方が多く、それぞれ心身の状況が異なるため、一人ひとりに合った施設サービス計画に基づき、日々を楽しく過ごせるよう支援している。フロアでのタオルやエプロンたたみなど、おしゃべりを楽しみながら行っている方がいる、また、好きな時間に塗り絵を楽しんでいる方もいる。コロナ禍前は、生け花や書道クラブを行っていたが、現在は中止している。その代わりに、職員と一緒に月ごとの壁面装飾に取り組み、アジサイの花や七夕飾り作りなどを楽しんでいる。外出ができないお客様のために、職員が施設内をワゴン車で回ったり、お店を開いたりして、お菓子販売を楽しんでいる。出前の日を企画して、好きなメニューを選んでいる。高齢の方も、ケンタッキーフライドチキンが食べたい、マクドナルドのハンバーガーが食べたいなど、楽しみにしている方が多い。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:評価外(特養、通所、養護・軽費)】

"
特別養護老人ホームのため、評価外とする。"

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:評価外(特養、通所、訪問)】

"
特別養護老人ホームのため、評価外とする。"

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:b】

失語症や難聴により言葉によるコミュニケーションが困難な方や、補聴器を使用しても聞こえない方が多い。一人ひとりの状態に合わせ、ジェスチャーなどでコミュニケーションをとっている。難聴の方には、職員が耳元で話をしたり、筆談をするなど工夫している。毎日、職員は全員に声掛けして話しかけているが、言葉がなく、意思表示が困難な方の話を引き出すことは難しく、会話は一方的になることがある。お客様の表情を見ながら、安心しているか、理解してもらえたかなどを判断している。認知症の方とのコミュニケーションでは、会話が成り立たないこともあるが、否定せず、受容を基本に会話している。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

権利擁護のマニュアルを整備している。また、職員倫理綱領や掲示物にも、お客様の権利擁護について明記し、職員に周知している。職員会議では、理事長と管理者からお客様の権利についての話があり、研修も行っている。身体拘束などの権利侵害に関しては、施設開所当初から禁止の姿勢を貫き、中間管理職で構成する身体拘束・行動抑制予防委員会にて徹底している。認知症の方が落ち着かず、自由な行動をとるようなときは、抑止せず、落ち着くまで職員が一緒に付き添っている。施設内のエレベーターや階段などの利用に制限は設けず、お客様は自由に生活している。職員との関係も良好だが、コロナ禍の中、面会者やボランティアなど外部の目が少ないため、職員の緊張感がゆるみ、言葉遣いが馴れあいにならないよう注意喚起している。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:b】

従来型施設のため、2人部屋や4人部屋があり、お客様のベッドはカーテンで仕切っている。ベッド間のカーテンを取り除き、仕切りを付けて、よりプライバシーが保てるよう、居室内の改修を予定している。居室内はベッドや床頭台、衣装ケース、テレビなどが置かれ、安心できるスペースを確保している。廊下や共有スペースには、ゆったり過ごせるよう椅子やテーブルを配置し、明るく清潔に保っている。廊下には、絵画や職員と一緒に製作した装飾品、楽しかった行事の写真などを展示して、温かい雰囲気を醸し出している。食堂は吹き抜けになっており、コロナ禍前は、運動会やお楽しみ会などを行っていた。食堂には、家族が持参したお菓子やフルーツなどを入れた専用の冷蔵庫を置いている。施設内の清掃は介護補助員が行い、施設外は定期的に業者に依頼しているが、看取りが終わった家族が複数訪れ、花壇の手入れや草刈りを行っている。中庭は、四季折々の花が楽しめるよう手入れをしてくれている。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

入浴前には、入浴担当者がバイタルチェックを行い、37℃以上の方は看護師に相談し、入浴不可または短めなどの指示を受けて対応している。体調不良で入浴ができなかった場合は、曜日を変えて入浴したり、シャワー浴や清拭などで対応している。一般浴、中間浴(椅子で入るもの、カプセル状のもの)、特浴の3種類の浴槽を備え、それぞれの身体状況に合わせて使用し、週2回入浴している。一般浴を利用している方は、各フロア1~2人で、自分でできるところは行ってもらっているが、浴室までの移動や浴槽内への移動は必ず介助している。現在、特浴を利用する全介助の方が増えている。入浴を拒否する認知症の方は、拒否する理由を把握し、落ち着いたときに他の職員が誘導するなど、その方に合った対応をしている。終末期を迎えた方も、看護師と相談して、負担がかからないよう状態を確認しながら、身体の清潔を保つことができるよう支援している。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

各フロア2名の介護職員で構成する排せつ委員会があり、月1回、委員会を開催して「排泄支援計画書」を作成している。排せつ委員会が中心となり、排せつマニュアルに沿って研修会などを開催している。車椅子の方や力の弱い方のために、トイレの入口ドアをすべてカーテンに改修している。トイレを使用している方の動線を把握し、障害物を置かないよう配慮している。トイレ介助の際は、便座でのポジショニングを考え、両脇柵や前柵などを活用し、安定して座ることができるようにしている。介助者は羞恥心に配慮し、カーテンの外で待機している。排泄表には尿量を数値で記入し、その方の尿量に対応できるパッドを使用している。また同性介護を希望する方には、同性の職員が介護している。施設内の臭気に配慮して、汚れたものは蓋つきのバケツに入れ、すぐに汚物処理室で処理するようにしている。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

自力で歩行する方は少なく、車椅子、特にフルリクライニングの車椅子を使用する方が多くなってきている。立位の取れる方の車椅子への移乗の際は、L字バーにつかまって立ってもらい、車椅子を差し込んで移乗する方法をとっている。アームバーが上がる車椅子を活用して負担を軽減している。フルリクライニングの車椅子への移乗は、2人での介助が多く、トランスシートやスライディングボードを使用している。車椅子の清掃は介護職員や介護補助員が行っている。ベッド回りにセンサーを使用している方には、車椅子はベッドから少し離れたところに置き、安全に配慮している。また、職員がすぐに声掛けしないようにして、職員の声掛けがストレスにならないよう配慮している。安全委員会を設け、職員の健康管理を行っている。重介護の方の移乗や移動の介護で腰痛を抱える職員が多く、休憩時間には体操などを行っている。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

調理は外部の業者に委託している。業者が作成した献立表を、施設の栄養士が修正して提供している。食品庫の温度管理を徹底して、食材を管理している。お客様にはおいしいものを、お客様が食べたいものを提供するという施設の考えのもと、食事を提供している。パンが好きな方が多く、月1回、厨房でパンを焼き、焼きたてを提供している。焼きたての甘いパンや、チーズや生クリームのパンなどが好評である。日常の食事も、薄味にこだわらず味付けを普通にして、お客様からはおいしいと好評である。お寿司の提供時には厨房の職員がパフォーマンスをして喜んでもらったり、出前の日を設けて好きなものを選んで喜んでもらうなど、楽しく食事が摂れるようにしている。季節の旬のものを献立に取り入れ、七夕や七五三、クリスマスなどの行事食を提供している。テーブルに「おしながき」などを置き、楽しく食べられるよう工夫している。食事時には栄養士が各フロアを巡回して、お客様の声を聞いて献立に反映している。また、食後には残菜を計量し、どのようなものが多いか分析して、献立に反映している。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

常食や一口大、嚥下食(ペースト状)、食事量が少ない方のための栄養食、胃ろうなど、それぞれに合った食事形態を用意して食事を提供している。月2回、言語聴覚士が訪れ、お客様の嚥下状態や食事形態、座位のポジショニングなどを見てもらっている。また、看護師にも嚥下状態を相談しながら、危険のないよう支援している。食事の摂取量が5割に満たない方は、話し合いを行い、看護師と連携しながら栄養食を提供している。胃ろうを造設している方も多く、看護師が対応している。月2回、歯科医師が訪れ、歯の治療を行い、できるだけ自分の歯で食べてもらうようにしている。糖尿病や高血圧の方には、見た目は同じように工夫して、それぞれに合った食事を提供している。また、看取り介護の方には、昔好きだったものを家族に用意してもらったり、厨房からはアイスクリームや茶わん蒸し、水ようかんなどを提供している。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

昼食の前に、唾液の分泌が良くなるように、50音の読み上げや嚥下体操を行っている。毎食後、歯磨きをしている方もいるが、歯科衛生士の助言から、1日1回、しっかり磨くことを実践している。昼食後に歯磨きや口腔ケアを行う方や、夕食後に行う方がいる。職員は、歯ブラシやコップ、クリーナー、ガーグルベースンなどを渡し、自分で磨けるところはやってもらい、最後に磨き残しがないか確認している。歯ブラシではなく、口腔粘膜を清掃する「くるリーナ」ブラシを使用している方もいる。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

褥瘡予防マニュアルを整備し、職員に周知している。新入所者や病院からの退院者には、褥瘡のある方がいる。褥瘡予防委員会を中心にして、定期的なモニタリングや評価を行い、褥瘡の改善に努めている。また、入浴時やおむつ交換時には皮膚の状態を観察している。体位変換も目覚めているときには2時間おきに行っているが、夜間ぐっすり眠っているときには睡眠を優先し、体位変換の間隔を長くするなど、様子を見ながら対応している。ベッドマットは通常マット、予防マット、治療マット、エアー体圧分散マット、エアーマットを準備し、その方の状態に合ったマットを使用してもらっている。特に看取りの方は褥瘡ができやすいため、細心の配慮を行いながら、栄養面や清潔面、体位変換の方法などを考え、多職種で連携して予防対策を行っている。介護職員研修で、褥瘡のメカニズムや、ベッド上でのポジショニング、好発部位の内容について学んでいる。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:非該当(利用者の状況により)】

"
施設の方針として、介護職員は行わないこととしており、非該当とする。"

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:b】

月2回、言語聴覚士が訪れ、必要な方の個別機能訓練計画を作成し、機能訓練を行っている。特に座位を保てない方などに対し、ポジショニングの指導をしたり、身体の変形や拘縮が強い方などを見てくれている。また、生活の中でも活用できるよう、バランスボールを足に挟んで体を揺らす方法などを介護職員に指導し、日々、行っている。また、普段は車椅子使用で生活をしているが、短い距離であれば歩行ができる方には、言語聴覚士の指導の下、職員が手引き歩行で歩く訓練をしている。タオルやエプロンたたみなどを手伝っている方もいる。また、汚物を捨てるときに使用する新聞を折る作業を手伝っている方もいる。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

認知症介護専門実践者の資格を持つ職員を置いている。認知症の方は多く、必要に応じてカンファレンスを開催し、課題の検討を行っている。他の人のポリデントを食べてしまった時には、ポリデントの保管場所を引き出しの中にしてもらうなどで解決している。また、自由に他の居室のトイレに入ることができるため、トイレットペーパーを取り出し口の中に入れてしまうケースもあり、トイレットペーパーをすべて回収するわけにはいかず、現在も対応策を検討している。職員は定期的に認知症に関する研修に参加して対応にあたっている。認知症の方の行動を否定しない、受容、傾聴するなど、基本をしっかり守って対応している。問題行動に対して薬に頼ることはせず、本人との関わりの中で、落ち着いて生活ができるよう支援することを基本としている。これまで、薬で対応したケースはない。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

体調急変時のマニュアルを整備し、対応のフローチャートを作成して職員に周知している。急変時は、生活相談員に連絡し、生活相談員が状況を確認して看護師や家族に連絡しつつ、救急車を要請している。介護現場の職員は、看護師の指示のもと、AEDの使用やその他の救急対応を行っている。救急車到着後は、生活相談員が付き添い、状況を確認している。日常の健康状態のチェックで、早めに変化を察知し、早期に受診ができるよう心がけている。1日2回、介護職員が非接触体温計で体温を計測している。また、看護師が毎日バイタルチェックを行い、状態を朝、夕の申し送りで報告して早めの受診につなげている。急変時のAEDの研修などを年間研修計画に組み入れて開催している。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

介護保険制度移行後早期より、看取り介護に取り組んでいる。お客様の入所の際に、本人と家族に重要事項説明書にて説明して、看取り介護を希望する場合は承諾書をもらっている。医師や看護師と連携し、看取りが始まると、看護師や介護職員、生活相談員、介護支援専門員で「看取り計画書」を作成している。毎日のバイタル、食事や排泄、清潔、精神面の状況を「経過観察表」に記録している。希望により家族の泊まり込みにも対応しているが、現在はコロナ禍で控えてもらっている。また、家族の面会はオンラインで行っているが、看取り介護の家族には、短い時間で直接面会してもらうよう配慮している。家族や看取り介護に関わった職員に対してのグリーフケア(悲嘆に寄り添い回復をサポートする取り組み)は、特に行っていない。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

生活相談員が、お客様の日々の生活の様子や健康状態を家族に電話で連絡している。コロナ禍により、現在も家族連絡会や直接の面会が実施できないため、電話での連絡だけでなく、敬老会などの写真を添えて手紙を送り、家族に安心してもらっている。面会はオンラインで行っているが、コロナ蔓延後は、家族と直接話をする機会が少なくなっている。家族からの相談は、生活相談員が受けているが、衣類は足りているだろうか、差し入れ持っていってもよいかなど、お客様の生活を心配する声が多い。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:非該当(特養、通所、養護・軽費)】

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特別養護老人ホームのため、評価外とする。"