社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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なかワークトレーニングハウス

2023年05月11日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 なかワークトレーニングハウス 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労継続支援(B型) 定員 20名(利用人数:22名) 名
所在地 231-0023
横浜市中区山下町253-1 横浜職能開発総合センター2F
TEL 045-651-0345  ホームページ http://yoko-fukushi.or.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2020年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 横浜社会福祉協会
職員数
常勤職員:3 名
非常勤職員:5 名
専門職員
精神保健福祉士:2 名
社会福祉士:1 名
精神保健福祉士・社会福祉士:1 名
施設・設備の概要
作業室:2
相談室:1
更衣室:2
事務室:1
食堂:1
静養室:1
洗濯室:1
トイレ:建物共用:3ヶ所(男性用・女性用・多目的)

③ 理念・基本方針
私たちの理念は「福祉の追求です」
「ご利用者の幸福の追求」「地域貢献の追求」「職員の幸福・職務環境の追求」「今を、未来を支える福祉の追求」を基本理念としています。
私たち社会福祉法人 横浜社会福祉協会は、昭和27年に戦後横浜の地で住む場所を失い、戦争の混乱から様々な困難を背負われた方々に、暮らす場所・食事・医療という「福祉」を提供したことから始まりました。大切なのは、法人の起源から変わらない「目の前の困った人を支える」その想いです。私たちは「人」と「福祉の心」を大切にする法人であり続けます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
横浜市が運営していた横浜中福祉授産所の民営化に伴い、当法人が引き継ぐ形で2020年4月に開所しました。横浜市が運営していた当時の利用者12名と受託作業、工賃の仕組みを継承しています。現在登録利用者は22名となり、受託作業も増えています。平均工賃は26,000円です(2021年度)。利用者の平均年齢は26.2歳と比較的若く、いずれ機会があったら一般就労したいと希望をもっており、体力向上のため作業は基本的に立位で行っています。作業内容は、金属部品の組み立てや封入作業、シール貼りなどが中心で分かりやすく細かい作業が主となっています。開所後より目標としていた自主製品作製の取り組みも、福島県伊達市の協力を得てイノシシの革を使った製品の作製をはじめており、今後も拡大を目指しています。
職員8名の内4名は就労移行支援事業所経験者ですが、管理者以外は福祉職経験がありませんでした。経験はもちろん大事ですが、何より大切なのは「利用者の幸福とは何か」といった目標・目的を追求し続ける気持ちと、最大限利用者に寄り添い味方で居続けることだと考えています。企業経験者が多いこともあり、利用者が安心・安全の中で「働くことって大変だけど楽しい」と感じていただけるような支援を目指しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/11/01(契約日) ~2023/04/11(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)利用者の努力と達成感に配慮した支援を行っています
施設での作業は多岐に渡っており、一つの作業にとどまらず全ての利用者が全ての作業にかかわることができるように配慮しています。障害特性や得意・不得意もありますが、実物・写真・図等を使用した分かりやすいマニュアルを作業室に備えると共に、職員は利用者個々に寄り添った指導を心がけています。自主製品の製作にも積極的に取り組み、日々の作業開始時には利用者本人がその日の作業目標を立てて取り組んでいます。目標に向けた努力、達成の喜びが味わえる仕組みとなっています。

2)利用者に施設や活動の意義を分かりやすく伝える努力を行っています
「パンフレット」「利用のしおり」「重要事項説明書」「利用契約書」等は、ふりがなをつけて作成し、利用者や家族に分かりやすいように作成しています。利用者の幸福を考え、目的を追求し、利用者に寄り添う支援を行っています。利用者が施設での作業や活動を通し、就業や自立のために必要となる内容が理解しやすく説明されています。

3)利用者の意向を尊重した支援を行っています
利用者が主体となって開催する「利用者会」や「保護者会」で、利用者同士が施設での作業や生活について話し合う機会をもっています。事業所へ希望の活動を提案し、利用者・職員含め作業の実施方法や施設の環境を整備しています。自分たちの活動・生活を作り上げる実感をもてる仕組みとなっています。

4 )マニュアルや会議録等の作成・保管が望まれます
支援や危機管理等に関しての方法は確立していますが、マニュアルの整備や管理が不完全です。職員間での意見交換や協議は多く実施されていますが、議事録の作成や管理が十分ではありません。誰でもが確認しやすく管理できるマニュアルを整備し、議事録を作成し、施設内の情報共有が望まれます。

5 )地域ニーズを把握し地域貢献への検討が期待されます
地域の相談支援事業所や行政機関等とは常に連携しています。事業所や行政から利用の相談を受けていますが、コロナ禍で地域のニーズ等を収集する段階までには至っておらず、地域とのつながりは希薄となっています。今後、地域との交流や会合の場を増やしていくことが期待されます。避難訓練等を地域を含めて行うなど、地域と協力して貢献することへの検討が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 第三者評価受審の自己評価の過程で、全職員で評価項目に丁寧に向き合えたことは、大変有意義な経験でした。サービスについて客観的な視点で相対的に議論ができ、職員の捉え方の違いや共通点を確認できる機会となり、自分たちの組織には何が有って何が不足しているのかを具体的に『知る』ことができました。この『知る』は、大きな励みとなりました。マニュアルの不備については、すでに改善に着手しております。地域交流活動は、コロナ禍で活動できずに温めてきた構想を今年度より計画的に形にしていきたいと考え動き出したところです。
 ご利用者の皆様、保護者の皆様、ご協力いただきました関係者の皆様、ありがとうございました。今後もサービスの維持、向上ができるよう『学び』を継続していきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念や基本方針は法人のホームページやパンフレットに明記されています。新入職員には法人が実施する新人研修時に資料等を用いて半日から1日かけて説明しています。パート職員に対しては入職時に施設長から周知されています。利用者や家族に対しては利用開始時にパンフレット等にて説明をしています。利用者や職員に対し理念や基本方針の周知は図っていますが、周知状況の確認は不十分と感じており、今後確認方法の構築が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向については2ヶ月に1度開催される法人内の事業部会(高齢・障害)での情報交換や、法人から配信されるメールの他、地域で開催される横浜障害事業部会、情報サービスかながわからの情報等で把握に努めています。利用者の推移、利用率については毎月、月次報告を法人に送り、内容を分析しています。開所3年目とまだ日が浅いため地域の福祉計画の策定動向や福祉サービスのニーズ、潜在的利用者等の把握はしきれていません。今後、地域の特徴や変化を踏まえた運営に向け、情報収集・分析が期待されます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

管理者は法人の事業部会や地域の横浜障害事業部会等への参加で得た情報や年末に出される法人の事業計画を基に、経営環境や組織体制、職員体制、人材育成、財務状況を分析し、課題や問題点を抽出しています。一方、分析した内容の詳細は職員に周知できておらず、事業継続の必要性や喫緊の課題等最小限の内容となっています。今後、課題や問題点を職員に周知し、施設全体での経営課題の解決・改善に向けた取組が期待されます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

法人の中・長期計画が明確でないため施設内で周知・共有されておらず、ホームページ等での公表もされていません。今後、法人理念や基本方針の実現に向けて、組織体制や設備の整備、職員体制や人材育成等を分析し、経営課題や問題点の明確化、また、それらの解決・改善に向けた中・長期の事業計画、収支計画の策定と、評価の仕組み作りが望まれます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

法人の中・長期計画は明確にされておらず、施設内でも共有できていませんが、施設の単年度の事業計画は、前年度の事業計画の実施状況や利用者数の推移等を基に策定されています。内容は事業内容や利用者推移の分析等から「利用者の処遇」「地域への貢献」「職員育成」「研修計画」等となっています。今後は中・長期計画を踏まえての事業計画を策定し、さらに数値目標を設定するなど評価可能な内容となることが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は施設の自己評価、職員の自己評価や日々集められる職員の意見を基に施設長が策定しています。事業計画策定において職員の意見は反映されていますが、職員が定期的に話し合う機会は設定されていません。半期毎の施設長と理事長との面談で評価や見直しについて話し合われますが、職員を含めての評価・見直しの機会はあまりありません。今後、職員全員が事業計画策定に参加・評価が行われることが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、年度始めの利用者会(毎月開催)や保護者会(隔月開催)において資料を用いて説明をする他、施設食堂内に掲示し、誰でも確認できる形としています。法人ホームページ内の施設紹介の中に事業計画の掲載はなく、事業のコンセプトや活動内容等の掲載にとどまっています。今後、ホームページ等の活用により利用者・家族にとどまらず利用希望者等への幅広い周知が望まれます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

法人の「目標支援制度」に則り、年度始めに施設長との面談を通して、職員は事業計画に沿った業務や知識・技術の向上などについて年間目標をたて、中間期・期末期にも面談を行い、中間考査や評価を実施しています。「目標支援制度」は常勤・非常勤ともに実施し、サービスの質の向上を図っています。事業所としての課題を把握して、自己評価や目標支援制度の改善を目指しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:c】

法人の「目標支援制度」により職員個人の知識・技術の向上を図り、その評価は定期的に実施していますが、事業所としての評価・分析の方法が確立されておらず、改善策や改善実施計画は主に法人と施設長が検討する形となっています。今後、職員参加による事業としての自己評価の実施・分析により課題を明確化にし、改善へ向けての取組が期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は年度初めの運営調整会議において、その年度の具体的な目標や取組について職員に周知しています。管理者としての職務や責任は、法人策定の服務規程・就業規則等に記載されています。事業所の職務分掌は開設年度に一度作成していますが、内容が不充分だったため令和5年度の完成を目指し、作成中となっています。有事の際の施設長の役割と責任、施設長不在時の権限委任等については災害、救急等マニュアルに明記し、研修等で職員に周知しています。 今後、施設長としての役割、責任などを組織内の媒体を通して表明することが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は法人規程の行動指針・服務規程や経理規定等の理解に努める他、法人内の研修や行政の主催する研修にも参加し、障害者福祉のみならず関連法令についても情報を得ています。法人内の他施設との情報共有も日常的に行っており、得た情報は運営調整会議や施設内に掲示し、職員にも周知しています。虐待防止については職員全員に外部研修の受講を勧め、報告書の提出により理解度を確認しています。環境配慮等幅広い分野についても更なる取組を検討しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は朝礼・夕礼や日々の活動への参加を通じ、サービスの現状や質、環境等を把握し、職員の意見も確認することで課題の把握に努めています。障害者福祉未経験の職員が多いため、経験のある施設長は積極的に職員の指導にもあたっています。外部で実施された苦情解決研修に職員の参加を勧める等、組織内の体制を整備中です。職員の意見が積極的に出されるように、施設全体での課題の抽出や課題解決に向けた施策の検討を行っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は法人の服務規程・就業規則・給与規程等を理解し、毎月職員の勤務状況について法人のシステムでデータを共有しています。施設長は法人で開催される経営会議において経営状況の報告やコストバランスを含めた財務や労務等についても分析を実施しています。職員配置については施設長が各職員の技術や知識、経験等を踏まえ適正を見極めて職員配置や役割分担を行っています。職場環境のレイアウト等については職員のみならず利用者の意見も踏まえ、活動しやすい環境となるよう随時変更しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人材の確保については法人で行う他、必要に応じて各施設でも実施しています。開所より3年目までの間、利用者の推移や事業の状況を鑑み、その都度職員や非常勤職員の雇用を行い、現在は定着していますが、今後の事業の発展や更なるサービスの質の向上を目指した人員確保等の計画には不足を感じています。事業計画を踏まえ、法人との人員確保・育成計画の確立や取組が期待されます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念である「福祉の追求」を基に「期待する職員像」を人事制度マニュアルに示しています。人事考課制度等により法人の基本理念の達成を目指した職員の専門性や職務の成果、貢献度等を評価し、人事管理を実施しています。マネジメント層やスタッフ層毎のキャリアパス、目標支援制度の導入等により、職員の意向や目標に対しての評価・分析を行い、職員一人ひとりが自らの将来の姿を描くことができる総合的な仕組みとなっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の出退勤や休暇取得等の労務管理の責任者は施設長となっています。就労状況はICカードで管理し、毎月施設長が法人にデータを送り情報の共有をしています。毎年健康診断とストレスチェックを実施しており、結果の思わしくない職員に対しては相談機関への紹介を行って改善を図る等の努力をしています。インフルエンザの予防接種やコロナワクチンの接種も実施しています。就業状況の意向については、日々の目標設定や中間・期末に行う施設長との面談、日々の会話等で把握し、希望に添う形となるよう配慮しています。作業室のレイアウトについては利用者・職員の意見を取り入れて、働きやすい環境となるよう随時変更しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業計画では職員育成について明記しており、法人のキャリアパスや人事考課制度の中で「期待する職員像」を明確にしています。目標管理制度による職員個人の資格取得や業務についての目標設定、年度始め・中間期・期末に実施する施設長との面談による評価等を通し、自己覚知や自己理解を深めるような取組、育成を図っています。また、法人内研修や外部研修の情報の提供や、職員が希望する研修を受けられる体制を整備しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

事業計画の中に年10回の研修が定められ「権利擁護」や「感染症」等幅広い知識を身につけられるようにしています。新入職員に対しては「新任職員研修」「新任職員フォローアップ研修」を通じて、法人の理念や基本方針の理解や福祉職として身につけるべき内容を伝えています。また、横浜市社会福祉協議会や中区福祉保健センター等が主催する研修への参加も勧め、幅広い知識の取得を図っています。研修計画の評価や見直しは法人が行っており、施設としての意見が反映されづらいため、職員全体の意見が反映される仕組みとなることが期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の知識や技術水準、専門資格の取得状況等については入職時や状況が変化した際に施設長が確認・把握し文書で管理しています。新入職員をはじめ職員の経験や習熟度に配慮したOJTは施設長が中心となって実施しています。外部研修の情報収集や職員への周知も行い、階層別研修やテーマ別研修等への参加も積極的に勧めています。職員の研修参加についてはシフトの配慮や他職員間での協力により、業務に支障のない体制を整備しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

施設長は精神保健福祉士実習指導者研修を受講していますが、これまで実習生の受け入れ実績はありません。今後は管理者が社会福祉士実習指導者研修の受講を計画する他、社会福祉士・精神保健福祉士資格を取得している職員の実習指導者研修の受講やマニュアルの整備等を進め、実習生受け入れの体制を整えていく予定としています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームページに理念や基本方針、施設の事業内容は掲載されていますが、事業計画、事業報告、予算・決算情報等についての公開はされていません。苦情解決の仕組みについては、利用者・家族に対し利用開始時に重要事項説明書を用いて説明する他、施設内に苦情解決の仕組みついてのポスターを掲示しています。第三者委員も設置して氏名等を書面で伝えていますが、連絡先は法人となっています。利用者が必要時に第三者委員に連絡がとれるよう配慮が望まれます。今年度初めての第三者評価受審となりますが内容については公表する予定です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事務・経理・取引等についてのルールや権限・責任者等は法人の「経理規定」「服務規程」等に記載され、職員会議等で職員に周知されています。規定は職員がいつでも確認できるよう文書で管理されています。年に1度法人の内部監査を実施する他、外部の監査法人による監査も実施し、その際に経営改善等に向けた指導も受けています。職務分掌等の見直しも行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との関わりについて事業計画に明記しており、個別支援学校等、就労支援機関、企業や地域からの見学に対応することで、地域において開かれた施設であることをアピールしています。通常の業務作業とは別に、中土木事務所より近隣の公園や歩道の清掃作業を受託し、地域での活動を行っています。また、同法人運営の地域ケアプラザでのバザーで自主製品の販売等も始めています。「よこはまシニアボランティア事業」に登録し、作業の準備等にボランティアを受け入れています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

地域の特別支援学校や相談支援事業所等の見学は積極的に実施しており、事業計画にも明記していますが、受け入れに対しての基本姿勢は明文化されていません。また、「よこはまシニアボランティア事業」にも登録し、ボランティアの受け入れを実施していますが、受け入れについてのマニュアル等が整備されていません。今後、学校見学、専門学校等の実習、ボランティアの受け入れについて明文化し、職員での共有が期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の相談支援事業所や行政機関等とは常に連携をとっています。施設長がこれまで他の施設勤務において構築したネットワーク等はありますが、リストや資料の作成には至っていません。法人内での会議や「横浜障害事業部会」等において新たな社会資源の情報を集めています。また、地域の関連機関・団体と連携を取り始めており、まだ定期的な会議までには至っていないものの、今後のネットワーク構築に積極的に取り組んでいます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

計画相談事業所や行政から利用の相談等は受けていますが、コロナ禍での開所だったこともあり、地域とのつながりは希薄となっています。ただし、法人内の地域ケアプラザのバザー等にも参加を始めており、施設の事業内容等を伝えるとともに地域の福祉ニーズや生活課題を把握していく努力もしています。関係機関・団体との連携や地域の会合等への参加も視野に入れ、方向を検討中です。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:c】

通常実施している作業とは別に地域の道路や公園等の清掃作業を受託しています。コロナ禍での開所だったこともあり、地域のニーズ等を収集する段階までにはなっておらず、今後関係機関や地域住民との交流や会合の場を増やしていく計画です。施設では防災計画による避難訓練等の実施をしていますが、地域を含めての訓練はできていません。今後は地域との協力体制も含めて連携を図っていく予定です。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

戦後の混乱期から始まった法人の取組、理念は、現在も受け継がれています。「人」と「福祉の心」を大切にする法人であり続ける理念から、利用者を尊重する基本姿勢は基本中の基本です。入職時の新人研修はもとより、所内研修、外部研修、朝・夕の職員ミーティング、日常的なOJTを活用して取り組んでいます。特に、他業種から転職した職員にとって、福祉用語は耳慣れない言葉が多いため、「尊重」「基本的人権」「自己決定」等は具体的な業務の中で理解できるよう、事例を挙げて充分説明しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所では利用者の個人情報の保護に万全の体制をとっており、個人情報保護方針「なかワークトレーニングハウスにおける個人情報の取り扱いについて」を策定しています。施設長を責任者とし、適切な管理に取り組んでいます。必要時には利用者の援助を同性職員が行うなど配慮をしています。更衣室には個人管理の鍵付きのロッカーを貸与し、入口はカーテンを設置して外から見えないように配慮しています。工賃支給の際は、利用者を一人ずつ別室に呼び、他者から見えない環境で金額の確認をしています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

利用希望者にホームページや事業所のパンフレットで必要な情報を提供しています。パンフレットは特別支援学校や相談支援事業所等に置いています。パンフレットの文章には全てふりがなを付けて分かりやすくしています。見学希望者は原則的にすべて受け入れ、事業所の基本姿勢や作業の様子、設備について丁寧に説明をしています。体験希望者には、日数を柔軟に対応できることを伝えて希望を聞いています。利用希望者には、その方が有意義に施設を利用することができるかを考慮し、希望作業種によっては他施設も紹介しながら説明をしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始・変更時は、保護者や協力機関の協力を得ながら、利用者の自己決定を尊重しています。利用開始前に「重要事項説明書」等の説明を丁寧に行い、同意を得ています。利用者への説明は、緊張感を和らげながら閉じた質問、開いた質問を組み合わせて、負担にならず誘導にならないように工夫しています。書面にはすべてルビを振り、分かりやすい文章、見やすい構成を心掛けています。説明中の利用者の様子から、修正が必要だと感じたら、直ぐに修正をしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

関係機関と連携し、常に利用者の最大の利益を第一に考えています。カンファレンスには必ず参加して、必要な情報の引継ぎや情報収集に努めています。福祉サービスの継続性を配慮し、当事業所のサービス終了者には今後も相談できることを口頭で伝えていますが、書面にはしていません。地域の福祉サービス利用終了者からの問い合わせ・相談を受けています。継続性に配慮した引継ぎマニュアルや所定の様式は現在ありません。今後は移行時の引き継ぎに関するマニュアル作成が期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者満足に関する調査は定期的に行なわれてはいませんが、工賃支給日に個別で相談面接や聴取を行い、作業室に「聞きたいな」BOXを設置しています。職員等は利用者満足を把握する目的で、利用者会や情報交換会等に出席しています。いつでも事務所のドアは開けてあり、帰る時も必ず顔を合わせ、利用者が意見を話しやすい環境づくりに努めています。利用者から意見があれば速やかに検討し、具体的な改善を図っています。今後定期的に利用者満足度を確認する機会や方法の取組が望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

利用者・家族に対しては利用開始にあたり「重要事項説明書」を用いて苦情相談窓口担当者、苦情解決責任者、第三者委員の設置と苦情解決に対する仕組みを説明しています。施設内の掲示板にポスターを掲示し、発言が苦手な利用者を考慮して、「聞きたいな」BOXを設置する等、日常的に意見を言いやすい環境を作っています。毎月行われる利用者会では「皆からの意見」の時間を作り、様々な提案や質問、確認等が行われています。情報交換会でも保護者からの意見を聞く時間を設けています。これまで苦情の申し出がないことから、さらに仕組みを周知する必要があると考えています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

利用開始時に「利用のしおり」を渡し、社会人としてのマナーについて説明しています。また、朝礼、夕礼、昼食時に使用する食堂の壁面にも約束事を書いたポスターを掲示しています。利用者には日頃から「相談したいことがあれば、いつでもどの職員にでも声を掛けてください。うまく話せなくても大丈夫!あの…と声をかけてくれればOKです」と伝えています。利用者から声が掛かった際には相談したい職員を聞いて対応しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は、利用者からの相談や意見には誠意をもって耳を傾け、正論や一般論をその場で伝えることを禁忌としています。対応した職員は速やかに管理者に伝え、その後の対応はその都度検討する仕組みとなっています。「聞きたいな」BOXを設置し、苦情や意見、相談など何でも書いて入れることができるようにしており、管理者が定期的に開錠して確認しています。今後は、相談や意見を受けた際の記録の方法や報告の手順、対応策の検討等について定めたマニュアルの整備が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

日常作業に潜む怪我等の事故防止に対しては、企業勤務を経験した職員が多く、それを活かして作業の見直しを行っています。安全メガネの使用、重量物を持つ時の体勢の手順書等を掲示しています。「職場の2S(整理・整頓)」「一に清掃」を実践し、基本動作の重要性を繰り返し確認することで事故防止に努めています。リスクマネジメントに関する責任者は施設長で、今年度は外部のリスクマネジメント研修に職員1名が参加しています。ヒヤリハット・事故報告の収集等、報告に基づく要因分析と改善策・再発防止等の実施が期待されます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

今年度より月1回、法人内の感染症対策委員会に参加しています。新型コロナウイルスに関しては、昨年度に引き続き、感染予防対策や新情報共有を鶴見ワークトレーニングハウスと速やかに連携して行い、職員間でも共有しています。情報は利用者や家族も共有し、感染予防に努めながら活動を進めています。委員会で嘔吐物処理研修を企画し、事業所内の職員研修を実施し、マニュアルを整備しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回、職能センターと合同で防災訓練を行っています。地震発生時の行動確認と避難場所の確認を行いました。職員の安否確認はクラウドサービスを利用してスマートフォンで行えるようにし、半年に1度送受信の確認をしています。有事の際の備蓄リストは2ヶ所に掲示しているほか、保護者にも渡しています。食品、飲料水で賞味期限が切れるものは随時買い換えています。災害時の対応は外部コンサルタント会社に委託してBCPマニュアルを作成し、職員研修を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

サービス提供や作業マニュアルの作成については法人の倫理行動マニュアルに則って行われています。作業マニュアルは写真や図等を用い職員も説明しやすく利用者にも分かりやすい形としています。作業は個別の障害特性に配慮し、適切な作業に自信をもって携われる配慮をしています。障害やアレルギー疾患等の情報は個別のファイルに記載し、職員全員が共有できる形としています。障害特性の理解や対応については法人内研修、外部研修や施設内のOJT等によりスキルアップを目指しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

作業プログラムやマニュアルについては、日々の作業の中で職員や利用者の意見、要望を確認し、随時見直しを行っています。情報の共有は朝夕のミーティングや運営調整会議で行い、個別支援計画の内容の反映等についても検討しています。個別支援計画は半年毎に作成していますが、標準的な実施方法の検証や見直しは定期的に実施されていません。今後標準的な実施方法の検証・見直しを定期的に行い、職員・利用者の意見や提案が反映される仕組み作りが期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

法人規定のアセスメントシートを用いアセスメントを行っています。個別支援計画は利用開始前の面談や半年ごとの作成時期に、サービス管理責任者(施設長)が中心となり作業室職員等が参加して作成しています。その際、利用者の要望等を意向を確認し、個別支援計画に反映しています。個別支援計画作成にあたり利用者や家族からの意見は確認していますが、関係職員(外部の関係者含む)からの意見の確認や手順について明確には定められていません。今後個別支援計画作成についての手順や意向の把握、関係職種との連携の方法等の仕組みの構築が望まれます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

サービス管理責任者を中心に半年ごとの個別支援計画が作成され、必要があればその都度利用者・家族、職員に確認し、内容の変更がされていますが、緊急に変更する場合や関係職員への周知の仕組みの整備はされていません。今後個別支援計画の見直しや利用者・家族の意向の確認、変更の手順や周知方法等、組織的な仕組みの構築が望まれます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

利用者の身体状況・生活状況や障害特性については利用開始時や状態変更時に個別ファイルに記載し朝夕のミーティングや運営調整会議等で職員に周知しています。日々のサービス提供については業務日誌や作業日誌に記載し、確認できる仕組みとなっています。記録内容や書き方については職員毎の差異が生じないよう施設長が日々確認し、必要時に指導する他「記録の書き方」研修の受講を勧め、内容を運営調整会議で周知しています。書面での記録やパソコンシステムでの情報共有はしていますが、全職員が確認できているか、内容の理解度の確認はできていないため、今後全職員の確認・理解度を把握できる体制構築が期待されます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報の保管・保存・廃棄・情報の提供については法人の「個人情報取扱指針」「特定個人情報等取扱規定」に定められ、事務所内に「個人情報取扱指針」を掲示しています。事業所においては施設長を責任者とし、個人ファイルや文書は鍵付きの書庫に保管され、鍵の管理は施設長が行っています。利用者等個人名の入った一時的な文書やメモ等はシュレッダーにて破棄しています。権利擁護や個人情報保護等についての研修の受講も実施し職員の理解を深めています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用開始前に実施している体験実習は、日数の設定を利用者の希望で行っており、日々振り返り面談をして利用者の状況確認、意向を把握しています。利用者は個別支援計画書の「具体的な到達目標」を「日常生活」「対人関係」「行動態度」「作業」に分けて自分で決定できるよう支援しています。意思の表出や自己決定ができるように日々職員は利用者と一緒に作業をしながら、細やかな支援をしています。1日の作業の終わりには、利用者一人ひとりの様子を職員間で共有し、活動の記録(サマリー)をしています。運営調整会議では思い込みや決めつけが生じないよう、職員同士の活発な意見交換に時間をかけています。職員はチーム支援(職員同士の支援)、ナチュラルサポート(障害者の就労支援において、職場の上司や同僚などが障害のある従業員をサポートすること)を支援の基本とし、利用者の最大の利益、利用者の味方であることを確認しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

権利擁護は、対人援助の基本姿勢としてマニュアルがあることだけで満足せず、内部研修でも取り上げ職員の周知を図っています。年2回全職員参加の内部研修を行い、日頃の行動を確認する機会としています。他施設での虐待等の事案があった際には、管理者が朝礼、夕礼等で取り上げて注意喚起をしています。利用者や家族に対しては、意見や苦情の申し立て窓口等を「重要事項説明書」に明記して説明を行い、分かり易い文章にして掲示しています。話すことが苦手な利用者のためには、「聞きたいな」BOXを作業室に設置しています。虐待防止等の取組は、虐待等の権利侵害を防止することのみならず、発生時の迅速かつ適切な対応について、体制、手続きや方法等を具体化し、全ての職員が理解しておくことが期待されます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者が日々の生活支援により自律・自立した生活を実現するため、利用者一人ひとりの望む未来を理解したいと考えていますが、確信が得られずもどかしい場面もあります。利用者の理解力やコミュニケーション力、社会生活力は個別なものであるため、見守りや受容を原則として、利用者と一緒に十分な話し合いを持ちたいと考えています。そのための新しい知識や情報は、相談支援事業所、区のケースワーカー、卒業した学校の先生等関係機関との連携により入手し、必要に応じて情報提供しています。保護者との連携は必須で、必要に応じて日常的に電話や書面で連絡しています。相談支援事業所等とはモニタリング期だけでなく必要に応じて連絡を取り合っています。「諦めない」「焦らない」が職員の心得だと考えています。利用者個別の特性もあり、自律・自立への動機づけが今後の課題と考えています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身の状況に応じてさまざまな機会や方法でコミュニケーションを図っていますが、全職員は利用者から話し易い、相談し易い職員でありたいと考えています。その手段はその時、その利用者によって異なって当然だと考えられますが、利用者から「話したい」という意思表示があった場合は、利用者が望む形で話を聞く環境を作っています。意思表示が困難な利用者に対しては、朝の挨拶をはじめ、作業時の様子等から、何気ない声掛けを行ったり、表情や反応によってコミュニケーションの個別的配慮に取り組んでいます。利用者のコミュニケーションスキル向上への支援は、時、場所、場面に応じた話し方をしてみたり、ステップを明確にして見本をやってみたり、もっと良くするためにはどうしたらよいか常に一緒に考えています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

「利用のしおり」の中で「相談」を大切なこととし、「心配なこと、わからないこと、モヤモヤしてること、イライラすることなどがあったら、遠慮なく職員に話しましょう」と明記しています。誰に話す、どのように話す等の方法は機会を作って伝えています。利用者からの相談に対しては、時間と場所を考慮して安心して話せるようにしています。職員からの声がけも利用者に応じて行い、説明はゆっくり丁寧に理解を確認しながら行っています。意思決定に要する時間は内容によっても異なるため、焦らせず、何度でも相談の時間を取る等工夫しています。相談内容についてはサービス管理責任者に報告し、関係する職員と情報共有しています。工賃支給は個別に行ない、何でも話せるコミュニケーションの場としています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

就労継続支援B型事業として作業プログラムは多種多様な経験ができるよう作業種の獲得に務めています。民営化後に広がった作業種がいくつかありますが、次年度以降も更に拡大していく計画もあります。作業の進め方も工程分析を行い、利用者が参加し易くなるように工夫しています。余暇活動の状況把握は利用者と保護者から行い、情報交換会にて情報共有と情報提供を行っています。一般就労を希望する利用者には、個別支援計画において取り組むべき課題を明記し、それに基づく支援を行っています。施設を職場としている利用者には、工賃向上や社会生活スキルを学ぶ場として支援を行っています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

障害の状況に応じた適切な支援と支援の質の向上を図るため、有資格職員から、また経験豊富な職員から、専門知識や支援技術の伝達を行っています。職員によって支援に差が生じることはあってはならないのでスーパービジョン(管理者から指導・教育をしてもらう)も行っています。外部研修は希望と年間計画に基づいて参加し、運営調整会議での報告と報告書の回覧で情報共有しています。利用者の不適応行動等には利用者全員の心身の安全を最優先として対応しています。個別的な配慮を必要とする利用者に対しては、作業室やパーソナルスペース(他人が近づいてくると不快に感じる空間や心理的距離)、作業種などを考慮しています。次年度は職員のスキル向上等のために、他施設での実習を計画しています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:c】

就労支援事業所であること、日常生活においての動作は自立が要件であることなどから、基本的に食事や排泄・入浴等についての支援はありません。食事の提供はありませんが、食堂で利用者と職員が一緒に摂るため、食べるスピードや飲水の状況を確認したり、健康面についても様子を観察したり、利用者の心身の状況を確認する等、コミュニケーションを多くとれるよう配慮しています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の生活の場は利用者にとって快適でくつろいで過ごせる環境が必要です。日常的には職員と利用者は「職場の2S(整理・整頓)」「一に清掃」を実践し、作業の基本動作の重要性を繰り返し確認することで安心・安全を確保しています。作業室、食堂、談話室、トイレ等は清潔であり、適温と明るい雰囲気が保たれています。利用者が使用する設備や備品等は安全で快適に使用できるように点検しています。静養室を別途用意し、利用者が必要になった時には休息でき、また一時的な個別の支援場所としても利用しています。利用者の可能性を広げるために、さまざまな作業種を取り入れていく予定です。そのため、安全第一に、専有面積の広さを活かした環境整備とIT化を日々すすめています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自律・自立生活と社会参加を通じた自己実現を図るため、機能訓練・生活訓練を行っています。利用者は就労時に活かせる体力やコミュニケーション能力をつけるため、日々の作業を基本的には立位にて実施するように支援しています。時々作業室1・2を変更するなど、多くの利用者や職員と協力し合い作業を行えるように工夫しています。年2回、個人支援計画書を個別に作成し、これに基づいた支援をしています。地域のケースワーカーや相談支援事業所職員による定期的なモニタリングを実施し、利用者の心身の状況や意向等に応じて検討・見直しを行っています。また、月1回程度、外部の相談員が来所して利用者の相談等に乗っています。関係職種の適切な連携のもとに機能訓練・生活訓練が実施されています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者が健康に安心して生活を送るため、日常的な健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応を適切に行っています。利用者の検温を毎日行っています。昼食は食堂で職員も一緒に食べており、食事を食べるスピードなど様子を観察しています。また、太り気味になった利用者には様子を聞いて、職員で情報共有し、身体を動かすように勧めています。施設には静養室内にベッドがあり、休息できる設備があります。利用開始時に、「重要事項説明書」に協力医療機関を明記して説明しています。また、利用開始時に利用者の健康状態把握のため「健康診断問診書」を提出してもらっています。アレルギーの有無、持病、かかりつけ医等が記載してあります。体調変化時は、緊急連絡先(保護者)に連絡後、かかりつけ医に連絡すること、緊急性がある場合には救急車を要請することを伝えて同意を得ています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者を地域社会の一員として尊重し、社会参加や学習のための支援を行っています。地域の情報紙の掲示やイベントを案内し、主体的に参加できるように工夫しています。就労支援センターと連携し、勉強会の案内を行ったり、相談支援事業所と連携し、余暇活動の充実への取組も試みています。事業所内の勉強会は、不定期ではありますがSST(社会生活技能訓練)を行ったり、警察署の協力を得て、利用者の「こんな時どうしたらいい?」「これって犯罪?」に対応する講座を開催しました。また、利用者の希望により、作業の効率、正確性向上のための勉強会を行った実績があります。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の生活や住まいへの希望と意向を尊重し、住み慣れた地域での生活が継続できるように支援しています。利用者の希望と保護者の希望が一致しない場合もありますが、行政や関係機関と連携し、利用者の最大の利益を模索しています。そのためには常に最新の情報が必須であり、発信すれば答えてくれる人間関係・関係機関との連携を進めています。日常生活に必要な衣食住に関することは、利用者との何気ない会話の中や持ち物とその管理、衛生状態等から入手することが多く、簡単で分かり易い方法等を具体的に伝えることで好奇心に繋げられるように支援しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍で、時間短縮開所の延長、検温、昼食時の黙食の徹底、来館者の制限、所外レクリエーションの中止等、利用者や職員の安全を最優先してきています。隔月で、保護者、相談員、管理者等による情報交換会を開き、作業室の見学や施設からの報告、利用者の様子の報告等を行い、参加できなかった方や家族等にも議事録を渡しています。コロナの影響で三者面談は思うように実施できていませんが、必要に応じて保護者に電話等から報告や家庭での状況を確認しています。3~4月頃に1時間程度の三者面談を予定しています。休日や長期休暇時、管理者が施設の携帯電話を所持していることを周知し、いつでも連絡できるようにしています。体調不良への対応は、利用開始時に説明し、同意を得ています。家族へ支援が必要な場合は、関係機関と連携して対応しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの働く力や可能性を引き出し、利用者の希望や障害に応じた支援を行っています。現在利用者の多くは、機会があったら一般就労をしたいと希望しています。中福祉授産所からの流れもあり、働くための体力向上に向けた立位による作業、労働対価としての工賃の意味から工賃出来高制を継承しています。作業中のコミュニケーションは丁寧語を基本とし、挨拶や返事、「報連相」を日常的に実践しています。必要に応じて治具を提供したり、スピードや正確性、効率、疲労し難い方法等を個別に助言しています。アセスメントに基づき、適応しそうな求人情報があった場合は速やかに利用者に資料を提供し、「ご家族と相談してみたらどうですか」と伝えしています。今後も利用者・家族の希望に添うように協力していく計画としています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が工賃を得る機会が平等となるようにと考え、原則的には誰もが全ての作業に携われるよう配慮していますが、困難な場合はきちんと説明をして同意を得てから別作業を行ってもらう等の配慮をしています。また、支援者の説明不足から発生するミスを防ぐため、視覚的で分かり易いマニュアルを用意しています。新規作業は職員間で工程分析を行い、手順を確認しています。1日の作業スケジュールは作業室毎に行い、利用者の不明点がないように確認し易いよう配慮をしています。日常的なアセスメントから作業種を広げられるよう企業等へアプローチしたり、他施設等からの情報を基に適切な見積を提示したりして工賃向上への取組を行っています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:b】

就労支援センターやハローワーク等との定期的な連携は行っていませんが、就労移行支援事業に従事していた職員がいるためネットワークはもっています。計画相談事業所や当事者から離職後の利用相談もあります。コロナ禍であったため民営化後の就職者はいませんが、就職することを目標とせず定着のためのノウハウを蓄積しています。法人内では定着支援事業も行っており、利用者から希望があれば繋げる準備もしています。仕事の機会の拡大は徐々に行っており、新規作業の拡大に努めています。地域の企業等との関係性の構築を今後の課題と考えています。