社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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光風ホーム 涼風

2023年05月31日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター
評価対象事業所名 光風ホーム「涼風」
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2002年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 光風会
③ 理念・基本方針 基本理念
(1)「施設の主人公は利用者である」を基本にして、健康かつ安全で快適な生活を確保するとともに、利用者一人ひとりの人格を尊重し、人間性あふれる豊かな心を育みます。
(2)年齢及び心身の状況に応じた適切な援助を行い、各人の能力や個性をのばし、社会生活の営みに必要な自立を促します。
(3)地域や関係機関段階との緊密な連携を進め、施設における事業の充実および地域福祉の進展に寄与します。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 グループホーム「涼風」は、社会福祉法人光風会が運営する9か所のホームの一つで、2006年11月の開設以降、16年に亘って運営を行っています。定員は5名で、男性専用となっています。
建物の老朽化に伴い、2022年3月にグループホーム「清風」とともに現在の場所に移転しています。
ホームの建物は、新築2階建ての専用建物で、2階が「涼風」、1階が「清風」となっています。
法人系列として障害児・者の入所施設や生活介護、相談支援など複数の事業所があり、入所施設からホームに移行したケースや日中活動先として利用しているケースも多く、利用者と様々な場面で関わり、安定した生活を送ることができるよう支援しています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2022年10月26日
終了:2023年04月24日(評価結果確定日)
受審回数:0回(0年度)
⑥ 総評
◇ 特長や今後期待される点
◆利用者の個別性を尊重し、その人らしい暮らしのための支援を行っています
ホームでは、法人の基本理念「施設の主人公は利用者である」の考え方の下、各々の個別性を尊重し、その人らしい暮らしの実現に向けた支援を行っています。表情や発語、行動傾向など、各利用者の特性を職員間で共有し、正確な意向の把握に努めるとともに、利用者の自立や心身機能の維持・向上など、個々の生活課題や目標に応じて、日常場面を通じた生活訓練を行っています。金銭や服薬をはじめ、生活に必要な身辺の自己管理が可能となるよう支援するほか、スポーツや買い物等の機会を通じて利用者同士が協力し合い、共にスキルアップを図る取り組みも行っています。スマートホンの購入をきっかけとして、日中活動への規則的参加や計画的な金銭管理、使い方のルール設定など、様々な要素を組み入れて自立訓練を実施した事例もあります。
また、利用者の希望や特性に応じて、就労的活動や生きがいづくりなど、様々な日中活動の利用調整を実施するほか、移動支援を積極的に活用して利用者の外出機会を確保するなど、余暇活動の充実化にも力を入れています。長所を褒めたり職員から感謝を伝えるなど、利用者の自己肯定感や意欲を高め、長所を伸ばす関わりも行っています。

◆利用者が安心で暮らしやすい環境づくりに配慮しています
ホームでは、従来建物の老朽化に伴い、利用者の心身機能や生活を考慮したより快適な住まいの場として、新築の専用建物を確保し、2022年3月に現在のホームに移転しています。ホームの建物は、設計の段階から職員が関わり、安全で快適な環境に配慮しています。定員5名の小規模ユニットで構成され、全室南向きの利用者の居室は、空調や照明、収納スペースも設置されています。トイレや浴室も、安全性や使いやすさに配慮するとともに、介助等の対応を想定したバリアフリーの構造となっています。衛生面にも配慮し、職員が毎日清掃を実施して清潔さと快適性の保持に努めています。
また、より家庭的で雰囲気で食事を楽しめるよう、あえて献立表作成せず、当日の利用者の希望や季節の食材を取り入れるなど、日替わりメニューで食事提供を行う工夫も行っています。提供した献立は専用ノートに記録し、メニューが重複しないよう配慮しつつ、利用者から希望を聴取して献立の内容に反映しています。食事提供の取り組みは、利用者の大きな楽しみの一つとなっているほか、利用者・職員相互のコミュニケーションの活性化と信頼関係の構築にも繋がっています。

◆管理職層と現場職員の意識の共有化に向けた、さらなるコミュニケーションの活性化が期待されます
ホームでは「利用者が主人公である」との基本理念に基づき、全職員が共通認識の下、利用者一人ひとりを尊重した支援の実践に努めています。また、さらなる支援の質向上に向け、常勤職員の配置数増加や利用者の意向を反映した個別支援の実践など、管理運営と直接支援の双方で様々な取り組みを行っています。
 一方で、年度事業計画の内容やホーム全体の改善課題等の周知や理解・浸透の状況にばらつきが生じています。さらに、個別性を尊重したきめ細かな支援の実践と、福祉人材の確保・育成、職員処遇の改善は、相反する課題であることから、職員間の思いや認識に一部乖離が生じています。
今後はホームの運営課題を管理層・職員間で情報を共有し、改善に向けた意識の共有化を図る取り組みが期待されます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント グループホームの仕事は日々の変化によるところが多く、入所施設や日中活動と比べるとわかりづらいところがあります。今回第三者評価を受審し評価項目への回答や来所していただいた際のディスカッションで、今自分たちのやっていることは体系として説明しにくいものだと感じました。また事業運営や支援サービスの方向性について管理者と現場の違いを提示して頂きました。それは、利用者支援が良いものになっていくために光風ホームが核として取り組んでいくべきことだと考えています。丁寧に聞き取りをして頂きありがとうございました。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

「利用者が主人公である」を支援の基本方針とし、一人ひとりの利用者を尊重した支援を実施しています。法人理念を法人のホームページ、パンフレットに掲載するとともに、事務室に掲示し職員がいつでも確認できるようにしています。常勤職員に対しては、入職時に説明するとともに、法人研修でも取り上げ、周知しています。世話人には、理念や基本方針そのものの説明は行っていませんが、支援の中で大切にしていることを伝えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

管理者は、区のグループホーム連絡会等の各種会議や行政からの発信などで、福祉業界を取り巻く状況を把握しています。経営環境や組織体制、財務状況などの現状分析は法人本部で行い、課題を明確にしています。課題は法人管理職会議で報告し、共有しています。今後の動向や支援に関わることについてはホーム会議で常勤職員に周知していますが、運営上の課題の共有や支援のあり方への反映には至っておらず、さらなるコミュニケーションが必要ととらえています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の中長期計画に基づき、法人及びホームの単年度の事業計画を策定しています。事業計画は、ホーム会議で常勤職員の希望を聴取し、管理者が予算計画を軸に策定しています。策定された事業計画はホーム会議で説明し、周知に努めていますが、事業計画の理解・浸透に向けた更なる取り組みが必要ととらえています。また、世話人や利用者に対しては事業計画の説明は行っていません。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

常勤率を上げたり、2ホームに1名の常勤職員を配置する担当制の導入など、ホーム体制を見直すことで、支援の質の向上を目指しています。ホーム会議で常勤職員と改善に向けて話し合っていますが、話し合いの内容は、日々の支援が中心となっていて、課題解決に向けての職員との意識の差があり、さらなる取り組みが必要ととらえています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

業務分掌に管理者の職務や役割、責任等を記載し、職員に周知しています。法人の職務規程に職員の守るべき法令等を記載するほか、常勤職員に対しては、「評価シート」の項目に記載し、評価面談で確認しています。管理者は、ホーム会議で事業所が進むべき方向性について説明していますが、基本理念に基づくきめ細かな個別支援の実践と、効果的な事業運営を両立するための職員間の意識の共有化は、今後の課題ととらえています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

職員の採用、育成は法人本部で実施しています。法人は、人間性を重視した人材育成を行い、「評価シート」の心得および情意考課の項目に、理念の実現に向けて求められる資質や期待される姿を記載し、職員が自己点検できるようにしています。常勤職員は、適材適所の人材配置ができるよう、異動を多く行い、様々な施設を経験することで、法人への理解を深め支援の質が向上できるようにしています。また、経験やスキル、職務に応じた研修も実施しています。世話人に対しては、入職後3回の見習い期間を設け、常勤職員や先輩世話人からOJT研修を実施するとともに、主任や支援員が巡回等に適宜助言・指導を行っています。ホームとして、スタッフの常勤化やバート職員の曜日固定化など、職員が働きやすい職場づくりに努めています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人ホームページに理念や基本方針、事業所の概要、法人の定款、事業報告、事業活動収支報告書等の情報を掲載し、公表しています。法人パンフレットを基幹相談支援センターや障害者地域活動ホームに置き、紹介するなど、透明性の確保に努めています。なお、苦情・相談の体制については、重要事項説明書に記載していますが、苦情の公表は行っていません。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者は、近隣の散歩や地域の商業店舗での買い物等を通じて地域と関わり、地域住民からもホームが利用者の生活の場として、理解を得ています。なお、コロナ禍の影響で、地域行事や法人の地域交流行事が全て中止になっていることや、2022年3月の移設でまだ日が浅いこともあり、ホームとして地域との積極的な交流は行っていません。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

「利用者が主人公である」ことを支援の基本として職員間で共有しています。人権マニュアルを作成するとともに、事務室に障害者虐待の種類を掲示し、職員が意識して支援にあたれるようにしています。また、「評価シート」にも職員の基本姿勢を記載し、職員が自己点検できるようにしています。利用者の居室は全て個室で、内側からの施錠も可能であるほか、同性介助を基本としてプライバシー保護にも配慮しています。コロナ禍で利用者に外出自粛を要請する際は、利用者の望む生活の維持・継続に向け、職員間で話し合い様々な工夫を行うなど、利用者一人ひとりを尊重した支援に努めています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

入居にあたり、重要事項説明書及び利用契約書を用いてサービスの内容や費用負担、生活上のルール等を説明しています。説明の際は、項目ごとに詳しく説明し、分かりやすさに配慮するともに、書面でも同意を得ています。また、担当の相談支援専門員と連携して、利用者の特性に合わせた説明方法の工夫も行っています。
日中活動の選択にあたっては、法人内サービスを積極的に活用し、緊密な連携の下で利用者の特性に配慮した支援を行っています。一方、利用者が法人外サービスの利用を希望する場合の経営的側面について、いかにバランスをとっていくかが課題となっています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

職員は、利用者との日々の関わりを通じて随時利用者の思いを傾聴するとともに、モニタリング等の機会を通じて定期的に意見を聴取し、満足度の把握に努めています。また、本人が希望することに対し、ホームでの生活や健康面、経済面に支障がなく、現在の暮らしを継続可能で他者迷惑にならないことであれば、ホームとして積極的に支援し、実現に向けたサポートを行うこととしています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

苦情解決体制を整備し、重要事項説明書に掲載して入居時に周知しています。第三者委員を設置するとともに、横浜市福祉調整委員会など外部の相談窓口も紹介しています。ホームでは、利用者が意見を言いやすいよう、話したい時に、支援員や世話人、通所先の職員など自由に話したい人を選び、話せることを伝えています。対面だけでなく、電話でも話すことができるようにしています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者が地域で安心・安全な生活を営めるよう、危機管理等のマニュアルを整備し、緊急時や災害時に対応できる体制を整え、ホーム会議で職員に周知しています。災害時および新型コロナウィルス感染症に対しては、事業継続計画(BCP)を作成し、支援の継続性を担保できるようにしています。消防署への直通電話の設置、AEDの導入、年2回の避難訓練の実施などの取り組みをしています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者支援の実務や苦情対応、利用者の権利擁護など、様々なマニュアルを集約した「スタッフマニュアル」を策定し、職員事務室に配置して職員間で共有・活用しています。各マニュアルは随時追記や修正を行い、内容を更新していますが、2022年3月のホーム移設に伴い、より実情に即した内容の見直し・改訂が必要と捉えています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

個別支援計画は、サービス管理責任者である主任が作成し、利用者にも分かりやすい説明と記述に配慮しています。計画の内容は、6か月ごとにモニタリングを実施して定期的に見直しと修正を行うとともに、毎月開催するホームの会議を通じて職員に伝達し、共有化に努めています。
現在、より正確な利用者の意向や状態把握に向け、アセスメント手法の見直しを進めています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームの日誌に利用者の日々の状態を記録して、職員間で情報を共有しています。また、「ホーム連絡帳」を用いて業務上の伝達事項を周知するとともに、「医療ノート」や「受診記録」を活用し、診察結果や治療経過、服薬内容等を職員間で把握できるよう工夫しています。一方、職務経験の違いなどから、職員ごとの記述内容に差異が生じています。利用者の記録の内容は、主任が随時確認し、より客観的で分かりやすい記述の仕方を助言・指導しています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の基本方針「施設の主人公は利用者である」に基づき、利用者一人ひとりがその人らしさを生かしながら、心身ともに健やかに生活していくことができるよう、また、各々の暮らしや気持ちに寄り添い、共に考え歩んでゆく支援の実践に努めています。実際の支援にあたっては、利用者の意思や主体性を尊重するとともに、過去の失敗体験や目標達成のためのプロセスを相互に共有しながら、個々の成長や自立を促す関わりを行っています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の人権擁護委員会に管理者が参画し、主任をホーム内の担当者に配置するなど、障害児・者施設を運営する法人本部と情報を共有し、利用者の権利侵害の防止に向けた取り組みを推進しています。人権マニュアルを作成し、障害の基礎知識や虐待の定義とともに、利用者の権利擁護のあり方を明示して、職員に周知しています。2021年度から、全職員を対象に虐待防止チェックリストに基づく自己点検を年1回実施し、各々が支援の内容を振り返る機会を設定しています。世話人室に虐待の分類表を掲示して、職員の意識付けを図っています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者が希望する生活の実現及び維持・継続に向け、一人ひとりの生活能力の向上と身辺の自己管理が可能となるよう、見守りの姿勢を基本とした生活支援を実施しています。食事の下膳や居室の清掃は利用者自身で行うほか、利用者同士で役割分担して共有スペースの掃除を行うなど、各々の生活スキルの向上とともに、社会性や協調性を身につけるための支援も行っています。職員は、日々の関わりを通じて利用者と積極的にコミュニケーションを取り、正確な意向の把握とともに信頼関係の構築に努めています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と安定した生活の維持継続に向け、個別支援計画を作成し支援を行っています。「本人中心の支援計画」となるよう、利用者の希望や意向を正確に反映するとともに、分かりやすい記述と十分な説明に基づく同意に配慮しています。なお、利用者の理解のしやすさへの配慮から、計画の内容はシンプルな記載とし、具体的な支援内容は個別に手順書を作成するなどして職員間の対応の統一化を図っています。なお、計画書は本部の事務所で管理し、職員が随時確認できる体制にはなっていません。
A-2-(3)生活環境

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームは定員5名の小規模ユニットで構成され、キッチンやリビング、浴室のほか、トイレと洗面台をそれぞれ2か所ずつ設置しています。手指消毒用アルコールや空気清浄機を設置し、随時換気も行うほか、職員が毎日清掃を実施して清潔さを確保しています。利用者の居室は全室南向きの個室で日当たりもよく、備え付けのエアコンと照明器具を設置しているほか、スペースの許す範囲で必要な家電や私物の持ち込みが可能となっています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

住まいの場としての快適性を重視し、訓練的な取り組みは積極的には行っていませんが、利用者の自立や心身機能の維持・向上など、個々の必要性や状況等に応じて、日常場面を通じた生活訓練を行っています。金銭や服薬の管理、洗濯など個別の生活訓練のほか、スポーツや買い物など複数名の利用者同士が協力して行うことで、相互にスキルアップを図る取り組みも行っています。
スマートホンの購入を目標に掲げ、日中活動への規則的参加や作業工賃の計画的な積立を支援すると同時に、事前に利用者と話し合い、使い方のルールを取り決めるなど、様々な要素を組み入れた自立訓練を行った事例もあります。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

全利用者を対象に毎年1回定期的に健康診断を実施して、各々の健康状態を把握・確認し、必要な場合は随時医療機関の受診に繋げています。利用者の処方薬は世話人室で管理し、服薬支援を実施するほか、チェック表を用いて血圧や食事摂取、排泄等を記録し、職員間で活用しています。また、各利用者の医療に関する伝達事項を記載した「医療ノート」や、診察結果を記載した「受診記録」を活用し、職員間で認識の共有化を図っています。
利用者に対し毎日検温を実施するほか、年末から2月までの間、全職員を対象に週2回の新型コロナの抗原検査を実施し、施設内感染の防止徹底に努めています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と社会参加に向け、近隣のスーパーやコンビニ等の場所や利用方法を説明し、利用者が自分で活用できるよう支援するほか、移動支援の利用を積極的に推進し、利用者の意向に沿って自由に外出が可能となるよう努めています。具体例として、ビデオレンタル店の利用を通じて金銭管理能力や活動性を高めるとともに、返却期限を守るなどの社会性の向上を図った事例もあります。また、地域行事の情報も、掲示や口頭伝達等で利用者に知らせています。なお、コロナ禍による影響から、現在積極的な地域交流は実施していないほか、ホーム移設後1年程とまだ日が浅いこともあり、地域との交流は今後徐々に進めていく予定としています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

施設入所からホームに移行した利用者が多く、個々の希望に沿って現在の生活が維持・継続できるよう、一人ひとりの状況に応じた支援を行っています。
単身生活など、地域移行を希望する利用者に対しては、利用者本人の自活能力と提供可能な福祉サービスとのバランスを十分考慮し、安定した地域生活を維持できるかを見極めながら慎重に進めることとしています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

家族を「利用者の支援チームの一員」として、積極的な交流と連携の推進に努めています。家族への連絡は主任または常勤の支援員が担当し、随時・定期の連絡とともに、意見や要望を聴取して支援内容に反映しています。家庭事情や感染防止等の理由から、ホームでの面会や自宅外泊等が難しい場合は、近隣の商業施設等を待ち合わせ場所として利用者が赴き、面会できるよう移動支援の利用調整を実施するなど、利用者・家族の交流機会確保のための工夫も行っています。

評価後のコメント<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:5名
アンケート調査対象:5名
ヒアリング調査対象:3名
①アンケートで評価の高い内容
・グループホームの生活は好き 80%
・自分のペースで過ごしている 100%
・悩みを聞いてもらったり相談できるひとがいる 60%
 
②アンケートで評価の低い内容
・自分のお金がどのくらいたまっているか知っている
  わからない 100%
・ホームに預けているお金の使い道や金額を毎月報告してもらっているか 
聞いていない 40% わからない 60%

③調査全体でとらえた利用者の状況

ホームの建物が新しくて、静かなので住み心地はよい。食事も美味しいし、お風呂にも毎日入っているので、特に不満はないとのこと、信頼できる職員がいて、相談にのってもらえる。日中の生活介護の職員に相談することもある。意思疎通の難しい利用者もいたが、自分の好きな職員がシフトに入るのを楽しみにしていて、その人の名前を笑顔でくりかえしていた。コロナ禍では部屋から出られず不便だったが、今は家族の面会も少しずつできて、自室で過ごすのもリビングで過ごすことも自由にできていて、落ち着いて過ごしている様子だった。