社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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森のエルマー保育園

2024年04月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 学研データサービス

② 施設・事業所情報
名称 森のエルマー保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 223-0058
横浜市港北区新吉田東3-6-33
TEL 045-546-6202 ホームページ https://elmer-kids.com/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2004年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 特定非営利活動法人森のエルマー保育園
職員数
常勤職員:11 名
非常勤職員:16 名
専門職員
保育士:14 名
栄養士:1 名
調理員:3 名
保育補助:8 名
施設・設備の概要
居室数:保育室6室、調理室、事務室、
    トイレ
設備等:園庭、図書室、遊び場、
    エルマーと小さいおうち

③ 理念・基本方針
保育理念
①NPO法人森のエルマー保育園は児童福祉法に基づき、乳幼児の保育を行います。
②ひとりひとりの子どもが現在を最もよく生き、望ましい未来を創り出す力の基礎を培う場となる保育園をめざします。
③職員は豊かな愛情をもって接し、児童の処遇向上のため、知識の修得と技術の向上に努めます。
④保護者や地域社会と力を合わせ、児童の福祉を積極的に増進し、あわせて地域者社会における家族援助を行います。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 森のエルマー保育園は1984年12月、3名の保育士と10人の子どもたちにより「エルマー保育園」として産声を上げました。以来、保護者や地域の要望に応えながら、受け入れ人数及び対象年齢を広げ、2004年4月より認可保育所として運営しています。
 「きょうのおやつはリンゴとシシャモ。」の看板が目を引く当園では、手作りの給食とおやつに力を入れています。安心、安全な食材を全国各地から取り寄せ、旬の食材を使い、日本の伝統食である和食を中心とした食事を提供しています。子どもたちからは「おいしい」との声が上がり、保護者には、出汁の試飲や味噌作りなどを通して和食の魅力を伝え、健康的な食事への関心を高めています。さらに、味噌作りには卒園後も保護者や卒園生が参加するなど、園と地域を結ぶ取り組みへと広がりを見せています。
 園行事は、季節に合わせて春はたけのこ掘り、夏はお楽しみ会、秋は芋掘り遠足、冬はクリスマス会や節分などを行っています。中でもたけのこ掘りやさつま芋掘りでは、子どもたちはどろんこになって自然と触れ合っています。そのほか日頃から散歩活動を取り入れ、子どもたちは四季の移り変わりを五感で楽しんでいます。
 地域に根ざし、地域に開かれた園として、地域の子育て支援事業にも力を入れて取り組んでいます。広報紙「エルマー子育て新聞」には、地域の子育て家庭との交流計画や保健情報などを掲載し、町内会の回覧板を通して周知して、地域の子育て家庭の支援につなげています。 
 園は年間テーマである「子育て目標」を「子どもの笑顔がみたいから、家族・エルマー・地域で対話と交流を重ね、思いやりの共育ち!」とし、園長から職員及び保護者に向けて、繰り返し丁寧に説明しています。さらに、園の活動に対して職員だけでなく保護者も振り返りを行うなど、職員と保護者が一体感を持ち、より質の高い保育や環境づくりに取り組んでいます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/07/05(契約日) ~2024/03/25(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2018年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◆ 安心・安全の手作り給食とおやつが子どもたちの心身の健康を支えています
 「食べることは生きること」のビジョンのもと、日本の伝統食である和食を中心とした給食とおやつを提供しています。食事のおいしさの決め手となる出汁の素材にもこだわり、全国各地から安心・安全な食材を取り寄せ、旬の食材も取り入れて、子どもたちの「舌」を育てています。食事は陶器製の和食器で提供し、子どもたちは日本の食文化に触れるとともに、落としたら割れることを理解して0歳児から大切に扱っています。栄養士や調理員はクラスを巡回して喫食状況を把握し、次の献立や調理法に反映させるなどして食事の質を高めています。実際に子どもたちの残食は少なく「おいしい」と評判で、心身ともに健康な体づくりにつながっています。

◆ 長年にわたり地域に根ざし、これからも地域とともに歩んでいく保育園です
 園は子育て支援事業を計画し、地域の親子を園の活動に招待して園の子どもたちと交流し、職員は保護者の育児相談にも応じています。地域向け広報紙「エルマー子育て新聞」は町内会の回覧板を通して周知され、子育て家庭の支援につながっています。保護者には行事やクラス会などの機会をとらえて園長から丁寧に保育の説明を行い、「エルマー通信」や保護者の振り返りも踏まえ園との共通認識を深めています。また、長年にわたる交流から地域住民や企業との信頼関係も構築されており、さまざまな場面で協力を得られています。多彩な活動を通して、園、地域、保護者との一体感が醸成され、地域の中で存在感を放ち地域とともに歩んでいく保育園です。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 4回目の第三者評価受審でした。評価基準も変わり、どのような評価になるのか心配な面もありましたが、園の強み、弱みを再認識することができたのは第三者評価の力だと思っています。利用者アンケートでも園の理念を94.9%以上の方々が理解して下さり、給食は子どもの状況に考慮し、工夫されたものになっているかの問いには100%のイエスをいただき、たいへん励みになりました。
 これからの保育園はますます大きな時代の変化にさらされ、難しい運営が迫られています。職員や保護者・地域社会の方々のご協力を得て地域に必要とされる保育園をめざして、今後も努力していきたいと思います。
 最後に今回の第三者評価の調査に携わった、評価機関の担当者様、評価調査者の方々、またお忙しい中、保育園へのアンケートにご協力いただきました保護者のみなさまにこの場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 法人の保育理念は、園のホームページやパンフレット、入園のしおり、重要事項説明書などに記載されています。保育理念は、当園の前身である「エルマー保育園」の設立当初から当時の職員が大切にしてきたことを明文化し、愛情をもって子どもを育て、保護者や地域と力を合わせて児童福祉を推進していくという園の姿勢を表明したものになっています。この保育理念について、職員は毎月の職員会議で暗唱しており、園長からも繰り返し伝えられています。保護者には、入園前の見学時や入園説明会、新年度説明会などの機会に園長から説明し、保護者向けの「エルマー通信」の中でも理念につながる内容を発信しています。今回の利用者調査では、園の理念・方針の周知について約95%の保護者が「はい」と回答しており、保育理念の保護者への浸透率の高さがうかがえます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 園長は、横浜市港北区の施設長会や横浜市の私立保育園園長会、港北区社会福祉協議会の保育所分科会、園の運営委員会などに参加し、社会福祉事業の動向や地域ニーズについて把握しています。また、園は地域子育て支援事業である「エルマーとおひさまの会」を毎週開催しており、参加した子育て家庭からもニーズの把握に努めています。近年の傾向として地域では1歳児の保育ニーズが高まっていることを把握し、園は定員変更や1歳児クラスの弾力化などを検討するなどニーズに応じられる運営を目指しています。保育のコストや保育所の利用者の推移については、理事会で分析し検討しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 法人で取り組むべき経営課題は明確になっています。例えば、園の大規模修繕やアフターコロナの運営方針、入園児の減少などについて、年3回の理事会で話し合っています。理事会の内容は、園長が職員会議で周知しています。園においても障がいのある子どもや配慮の必要な子どもが増えていることへの対応や、アフターコロナの園行事の運営などについて話し合っています。特に今年度は、園の「子育て目標」を「子どもの笑顔がみたいから、家族・エルマー・地域で対話と交流を重ね、思いやりの共育ち!」に定め、コロナ禍で自粛していた保護者や地域との交流に力を入れています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 中長期計画は、法人が園の状況や社会情勢に鑑み作成しています。中期計画は2023年度から2025年度までの3年間、長期計画はこの3年を踏まえた2026年度以降の目標を掲げています。中長期計画では、「事業計画の動機及び目的」「具体的な中長期計画」「人財計画」の柱において方針、現状、課題、ビジョンなどが明確になっており、人財計画においては要員計画や資金収支計画の現状を踏まえた数値目標も明記されています。また、地域とのネットワークを十分に発揮し地域に根ざした園として、「地域と共に子どもを育てる保育園」をはじめとした7つの保育園像が明示され、それぞれに実現に向けた具体的な方策が示されています。計画の見直しは、毎年3月の理事会で行われています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

 単年度の事業計画は、中長期計画の内容に基づいて園長が作成しています。年間を通して取り組むテーマである「子育て目標」を掲げ、7つのビジョンとそれに基づく計画が明記されています。「子育て目標」は、園長が子ども、保護者、職員の状況を踏まえ、大切な言葉を紡いで作成したものです。この目標の達成に向けて、今年度のビジョンとして「保育の質の向上」「食を通した健康な体づくり」「保護者の子育て支援」「職員の資質向上」「地域との共生」などが挙げられています。今後は、それぞれの計画に具体的な数値目標や成果を設定し、ビジョンにどの程度近づいているかの評価が行えるような内容にされると、さらに良いでしょう。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

 単年度の事業計画に掲げる「子育て目標」の振り返りは、上半期(8月)と下半期(1月)の運営会議の中で全職員一人ひとりが行っています。子ども、保護者、職員に対する自身の取り組みを振り返り、足りないところは行動に移していけるよう意識を高めています。この振り返りを経て、毎年3月の職員会議で全職員が参加して事業計画の振り返りを行い、その内容を基に園長、主任、リーダーで話し合い、次年度の事業計画を策定しています。作成された事業計画は、年度初めの職員会議で職員に説明しています。事業計画の評価の時期と手順は明確であるため、今後はこれを明文化されるとなお良いでしょう。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 事業計画の主な内容については、保護者には新年度説明会で資料に基づいて園長、主任が中心となって説明しています。また、食に関する内容は栄養士が専門的な知識に基づいて説明しています。保護者向けの園の広報紙として毎月「エルマー通信」を発行し、この中にも事業計画につながる保育活動を掲載して保護者の理解を図っています。園の取り組みに保護者が参加しやすいように、行事開催は土曜日の午前中に設定し、新年度説明会は数回に分けて少人数で実施し、保護者交流会は父親交流会、母親交流会を企画するなどさまざまな配慮と工夫をしています。実際に園の行事や会合には、多くの保護者が参加しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 園ではリアクションペーパー(振り返りシート)を導入し、行事、各種会議、研修、保護者向け講演会、子育て支援事業などの実施後に職員一人ひとりが振り返りを行い、改善に向けた取り組みにつなげています。保育の内容はフロアリーダー、主任、園長が評価する体制があり、気になるところや指導すべきことがあれば、クラス担任に伝え改善に導き、状況によっては職員会議の議題に挙げて話し合っています。毎年園の自己評価表に基づいた自己評価を実施しており、第三者評価も5年に1回定期的に受審しています。園の自己評価結果は幹部会議等で分析し課題を挙げています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

 園の自己評価結果は文書化して事務所に保管しているほか、保護者の閲覧用として玄関に設置しています。園の自己評価結果により明確になった課題は、職員会議をはじめとした各種会議で全職員に共有され、改善に向けて話し合っています。園では、リアクションペーパー(振り返りシート)による振り返りの機会を多く持ち、職員だけでなく、保護者が参加する行事や講演会、研修の後には、保護者も同様に振り返りを実施しています。園の改善に向けた取り組みの評価がこの振り返りで確認できるため、必要に応じて計画に反映させて、さらなる質の向上に努めています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 園長は、当園の前身である「エルマー保育園」の設立者でもあり、以来保護者及び地域との関係を深め、地域に根ざした園を築いてきました。子ども、保護者、職員の状況を見つめ年間の「子育て目標」を打ち出し、目指す保育園の姿を内外に発信し、この目標を職員には職員会議で繰り返し伝え、保護者には「エルマー通信」の中で園長自身の言葉でわかりやすく解説し、大切にしている思いを表明しています。園長の役割と責任は運営規程に明記されており、職員は入職時に確認しています。有事の際の権限委任について明記された一覧が事務室に掲示されており、職員はいつでも確認できるようになっています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園長は順守すべき法令等について、港北区施設長会や横浜市私立園長会、港北区社会福祉協議会等の会議に出席し、理解を深めています。特に家庭での虐待や不適切保育、ハラスメント等に関する情報については、新聞記事を切り抜き各種会議で職員にも周知し理解を深めています。また、環境への配慮として皮まで食べられる新鮮な野菜を仕入れ、子どもも食べ残しが少なく、食品ロスにつながっています。職員に対しては、入職時に全国保育士会倫理綱領を用いて説明し、子どもの人権等の指導を徹底しています。園内研修でもグループワークを通して、子どもの権利について学び合っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 園長は毎日各クラスを巡回し、子どもの様子や職員と子どもとの関わり、各種指導計画や日誌、記録類、おもちゃの管理や清掃の仕方などの衛生面などあらゆる場面に目を配り、現状の把握に努めています。その際、気づいたことがあれば、職員に指導やアドバイスを行っています。園長は職員との対話を大切に考えており、職員の意見に耳を傾けボトムアップの実践に努めています。また、園内研修として外部講師を招いた講習を通して職員の能力向上を図るなど、教育や研修の充実にも力を入れています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 経営の改善や業務の実効性の向上に向けて、園長と主任は人事、労務について管理及び分析を行い、財務については、園長と事務員で管理及び分析をしています。園長は主任と連携し、職員の勤務時間の管理を行い、時間外労働や一部の職員への過重労働などの偏りが出ないように調整をしています。時間外労働が多い職員には個別に声をかけ、業務内容の確認をしています。また、有給休暇の取得を積極的に推奨したり、職員のプライベートの充実のために三連休には園の予定を入れないなど、職員の心身の健康に配慮しています。このような取り組みから、園では職員の勤続年数が平均して15年となっており、働きやすい職場環境を作り上げています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 園では、子どもたちの安全、安心の面から横浜市の配置基準以上の人員と必要な専門職員を配置しています。配置については、職員の経験やスキルから園長が判断しています。人材育成については「人事考課票ステップアップ自己評価票」に基づいて行っています。採用活動については、保育士養成校への求人票の配布、ハローワークの活用、横浜市主催の就職相談会への参加、園のホームページの活用など、さまざまな取り組みをしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 「人事考課票ステップアップ自己評価票」「ステップアップ計画」にて期待する人物像が明確になっており、職員にも周知されています。「人事考課票ステップアップ自己評価票」には保育士用、栄養士用があり、それぞれの職種に合わせた評価の観点が設定され、本人、リーダー、園長が評価する仕組みです。「ステップアップ計画」には経験年数に応じて期待する人物像が明記され、役割、役職、身につける能力、職務内容、昇給の要件などが明記され、職員が自ら将来像を描くことのできるものとなっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

 職員の就業状況や意向の把握等に基づく労務の管理責任者は園長となっています。主任は職員同士のバランスと行事の予定を確認し、毎月のシフトと日々の配置を検討しています。また、園長と主任は連携して職員の休暇や業務負担の情報を基に、有給休暇の取得状況や時間外労働時間を確認、分析し、職員一人ひとりにとって働きやすい職場環境になるように調整し、必要に応じて助言や指導を行っています。職員の健康管理については、健康診断、インフルエンザ予防接種の補助をしています。職員の相談窓口として、主任、園長は話しやすい雰囲気作りに努めているほか、外部講師も職員との個別面談に応じられるようにしています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 職員は、「人事考課票ステップアップ自己評価票」に基づいた自己評価を行い、年度の振り返りを反省欄に記入し、その内容を踏まえて次年度に向けた取り組みを記入しています。この取り組みに対し、8月に園長とリーダーによる個別面談を行って、現状や課題について話し合い、年度末には園長による個別面談にて1年間の反省と次年度に向けた取り組みを話し合い、目標を明確にしています。今後は進捗状況を可視化できるように、中間の個別面談の記録欄を設けるなどの工夫が望まれます。園ではさらに、今年度の新たな取り組みとして「生きるための基礎力シート」を導入しました。これは、職員自身の生活をより良くするためのもので、個々に目標を設定し、グループワークで他の職員の取り組みを聞きながら自身の振り返りを行っています。職業人としてのスキル向上と、人としての生活の質の向上の両面から育成に取り組んでいます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 園長は職員に対し、「ステップアップ計画」を基にして、それぞれの役職に応じて必要とされる専門技術や資格などについて話をしています。また、ステップアップ計画に連動し、「職員研修計画表」が作成されています。職員研修は「基本的・基礎的研修」「緊急的・専門的課題に対応する研修」「職種別研修」の3つに体系化され、主に勤続年数に応じて必要な研修を受講することになっていますが、全職員が受講するものとして、子どもの人権研修、個人情報、ジェンダー、ハラスメント研修や外部講師による研修も計画されています。受講管理及び研修内容の評価は園長と主任が行い、次年度の研修計画の作成につなげています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 園長、主任は職員一人ひとりの知識や技術水準を把握し、個別指導や研修受講を通した能力向上を図っています。無資格の職員には子育て支援員や保育士資格の取得支援を行うなどのバックアップにも力を入れています。新入職員の教育には、主任が保育の理念や方針、心得を丁寧に説明するほか、あえて多くの職員に関わってもらうことで出勤から退勤までの流れ、保育中の職員の動きなどを習得できるようにしています。研修受講については、職員本人からの申し出のほか、職務の必要性から園長、主任が判断して派遣しています。正規職員と長時間勤務の非常勤職員には年1回以上の受講ができるよう支援しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

 「実習生受け入れマニュアル」「実習生と実習指導者が共に育ち合う保育実習」の文書が作成されています。園は実習生の受け入れは園の保育を見直す機会になるとともに、園の透明性にもつながると考え、積極的に実習生を受け入れています。受け入れ前には職員会議でマニュアルを確認し、職員全員が共通の認識をもって実習生を迎えています。また、実習生に確認した上で、保護者にも受け入れ情報を周知しています。養成校と実習生の希望があれば、実習中に養成校の担当者が実習生と面談をしたり、園と情報交換をしたりして連携するなど、有意義な実習になるよう支援しています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

 園のホームページには、保育理念をはじめ園の概要、保育内容がイラストや写真を活用して分かりやすく掲載されています。苦情・相談の体制や内容は、入園のしおりに明記され、玄関にも掲示しています。園では、毎週、子育て支援事業である「エルマーとおひさまの会」を開催し、地域の社会資源としての役割を果たしています。このように保育内容の透明性を確保している一方で、事業計画、事業報告、予算、決算情報や第三者評価受審結果、苦情・相談に基づく改善・対応の状況について公開がないため、今後の取り組みに期待します。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 園における事務、経理、取引等のルールについては、運営規程、経理規程に明記され事務室に保管されており、職員はいつでも閲覧できるようになっています。園では、保育に必要な物品の購入がある場合、主任に申請し園長が決裁をしています。園では年1回、理事会の監査人による内部監査を実施し、適切な運営が行われているかの確認を行っています。外部による監査としては、園の運営に関する会計や税務面においては月1回税理士事務所から、労務管理においては年1回社会保険労務士から指導、及び助言を受けており、今年度は助言に基づいて法改正に伴う就業規則の変更を行いました。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園の保育理念のひとつに「保護者や地域社会と力を合わせ、児童の福祉を積極的に増進し、あわせて地域社会における家族援助を行います」を掲げ、地域との関わりについての基本的な考え方を表明しています。園では、自治体や地域からのイベント案内やチラシなどを玄関に設置しており、保護者に対する情報提供に努めています。また、園は地域の一員として、地域の祭りに積極的に参加したり、地域の子育て支援活動に協力したり、地域の企業と合同で防災訓練に参加したりしています。毎週、子育て支援事業「エルマーとおひさま会」を開催し、絵本の貸し出しや育児相談などを実施しています。さらに、こうした活動を伝える広報紙「エルマー子育て新聞」を発行し、地域の保育ニーズに応えるべく取り組みを推進しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

 ボランティア受け入れに関する基本姿勢は園のパンフレットに明記され、「子どもたちがさまざまな年代と交流ができる」「園の保育を見直す機会」などの観点から積極的にボランティアを受け入れています。園では、近隣の中学校へ毎年、職業講話で職員を派遣し、さらに職業体験として2、3名を受け入れています。職業講話や職業体験の際に、次年度の受け入れの打ち合わせをし、園として地域貢献も含め積極的に受け入れる姿勢を示しています。また、地域の老人会と連携し、けん玉やこま回し、折り紙などの伝承遊びを通して交流の機会としています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

 園の関係機関として港北区こども家庭支援課や港北福祉保健センター、横浜市総合リハビリテーションセンター、横浜市北部児童相談所などの連携機関のリストを作成し、事務室に掲示しています。関係機関は職員会議でも周知されています。また、障がいのある子どもや配慮が必要な子どもについては、関係機関と適宜連携して情報を共有し、適切な対応ができる体制を整えています。例えば地域療育センターによる年1回の巡回相談では、助言を受けフィードバックを通して子どもとの良い関わりを構築できるよう努めています。家庭内での虐待の疑いがある場合には、横浜市北部児童相談所に連絡することになっています。また、園長は、地域の小学校、民生委員、港北区社会福祉協議会、保育園が参加する要保護児童対策地域協議会に出席し、情報の共有、連携に努めています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 園長は、年4回実施される港北区社会福祉協議会や港北区の施設長会等に参加し、地域の福祉ニーズや課題の把握に努めています。また、小学生の登下校の見守りに協力したり、地域の町内会の活動に参加し地域住民との交流を通して福祉ニーズの情報を得ています。また、地域の老人会との交流を通して、地域の高齢者世帯の課題なども把握しています。園では子育て支援事業「エルマーとおひさまの会」を通して育児相談や絵本の貸し出しなどを行っており、参加した保護者に積極的に声をかけて必要があれば育児相談に応じています。加えて栄養士が必要に応じて離乳食や食物の栄養価などの相談に応じられるように準備を整えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 子育て支援事業として「エルマーとおひさまの会」を毎週開催し、地域の子育て家庭を園の誕生会に招いたり、育児相談や栄養士による離乳食相談などに応じたりしています。また、こうした活動を伝える広報紙「エルマー子育て新聞」を発行して町内会の回覧板に入れて回覧し、地域の子育て家庭の支援につなげています。園の近隣の公園では、年1回職員と保護者が掃除に参加して近隣住民とも良好な関係を維持しています。また、町内会の避難訓練にも積極的に参加しています。有事の際には、非常食の提供のほかガスコンロ、ライフジャケット、ラジオなどを貸し出す意向があります。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園の保育理念の一つに「ひとりひとりの子どもが現在を最もよく生き、望ましい未来を創り出す力の基礎を培う場となる保育園をめざします」を掲げ、子ども一人ひとりを尊重した保育を実践しています。また、この理念は職員会議で暗唱され、職員への周知を徹底しています。園では、職員の入職時に全国保育士会倫理綱領を園内研修で理解し、子どもを尊重した保育の実践につなげています。また、年3回「子どもの人権について」をテーマとした園内研修を開催し、各職員が自身の保育を振り返り、考える機会としています。さらに、毎月の会議では、横浜市が発行している「よりよい保育のためのチェックリスト」を活用して、言動を振り返る機会としています。子どもたちの保育においては行事などに向けて話し合う場を設け、お互いを尊重するようになるなど成長の機会としています。また、子どもたちへの性差への先入観を植え付けないように男女で色やおもちゃの区別はせず、名前の呼び方などにも配慮しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

 子どものプライバシー保護については、「おむつ替え手順書」「水遊びマニュアル」などの各種手順書やマニュアルに明記しており、入職時に全職員が確認しています。トイレにはついたてやドアが設置してあり、プライバシーに配慮した仕様となっています。また、保育室の棚は可動式となっていて、職員の判断でプライバシーの配慮が必要と感じた場合は配置を変更しています。子どものプライバシーに関しては、職員の会議でも議題として話し合い、保育内容にも反映するよう努めています。こうした配慮事項については、保護者が安心して子どもを預けられるよう保護者会でも周知されています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 園のパンフレットを利用希望者に配布して保育所選択に必要な情報を提供しています。園のホームページには写真やイラストを多く載せ、園のパンフレットは折り方を工夫するなどして、分かりやすく興味が持てるように作成しています。園見学には1回につき1~3組程度を受け入れ、説明や質問に丁寧に対応できるようにしています。見学者には、実際に園内を見てもらうほか、乳児の生活の一日の流れや子どもたちの年間の活動のアルバムを使って丁寧に説明しています。利用希望者から必要経費を聞かれる質問が多かったことから、必要経費の一覧表を作成するなど情報提供について適宜見直しをしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 保育の開始にあたり入園前の2月の保護者会では、園長から入園のしおり及び重要事項説明書に基づいて詳しく説明しています。説明にあたっては、事前に配布をした入園のしおりや資料を見てきてもらい、当日に不明点を話し合うことで、その日のうちに齟齬を解消できるように工夫をしています。特に配慮が必要な保護者には、ルビをふるなどして配慮しています。説明後には、保護者の同意を得たうえで重要事項保護者同意書にサインをして提出してもらい、書面で残しています。園では毎年、新年度説明会を行っており、新しい学年での保育内容について、保育理念や子育て目標に照らして、分かりやすく保護者に伝えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園では保育の継続性は大変重要であると考え、年齢ごとの写真、本人の得意なことや苦手なこと、有効な支援などを記入する引継ぎ文書が用意されています。転園や退園後の相談の窓口は園長、主任、クラス担任とし、引き続き相談できることを口頭で伝えるほか、転園や退園カードにも記載し子どもに渡しています。退園する子どもには、最終日には担任、フロアリーダー、主任などが見送るなど困った時に頼れる保育園になるように丁寧に対応しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は日々の保育の中で、子ども一人ひとりの様子や表情、言葉、保育中に撮影した写真の表情などから満足しているかどうかを把握するよう努めています。また、行事の際には、子どもたち同士で話し合い内容を決めることが多く、その際の発言や表情からも満足度を確認しています。保護者においては、個人面談や日々のコミュニケーション、行事ごとのリアクションペーパー(振り返りシート)などから満足度の確認をしています。そのほか、園長、主任が出席する新年度の保護者総会も保護者の満足を確認する場になっています。このようなさまざまな機会に得た情報から課題やニーズを抽出し、職員会議等で話し合われています。保護者の意見を受けて、今年度は行事の集合時間の変更や予備日の設定などの検討をしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 相談・苦情解決責任者を園長、相談・苦情受付担当者を主任とし、第三者委員を2名配置して苦情解決の体制を整備しています。苦情解決の体制は入園のしおり及び重要事項説明書に記載し保護者に説明するほか、玄関掲示により周知しています。また、玄関に意見箱が設置され、匿名でも意見や要望の申し出ができるようにしています。受け付けた苦情や意見はファイリングされ、職員に周知されています。受け付けた苦情に対しては、できるだけ速やかに改善策を検討するように努め、保護者に対して検討した内容と対応策を伝え、解決に至るまでのプロセスは詳細に記録しています。意見の内容と改善策については、個人が特定されないよう配慮し、掲示や園だより等で公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 園では、日頃から保護者とのコミュニケーションを大切にしており、話しやすい雰囲気づくりに努めています。重要事項説明書の「苦情相談窓口」の項目には、相談・苦情受付担当者、相談・苦情解決責任者、第三者委員の氏名と連絡先のほか、面接、電話、文書などの方法により、相談・苦情を受け付けていること、玄関の入り口にご意見箱を設置していることを明記し、伝える手段が複数あることを周知しています。重要事項説明書は入園時に各家庭に配布しているほか、苦情解決の仕組みを玄関に掲示して、いつでも確認できるようになっています。保護者との面談は園に隣接する事務所で行っており、プライバシーに配慮し落ち着いて話し合いができるようにしています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

 職員は日々の挨拶を大切にし、送迎時には保護者に積極的に声をかけ、子どもの園での様子や家庭での様子を共有できるように努めています。また、玄関には意見箱を設置し、行事後にはリアクションペーパー(振り返りシート)で意見や感想を収集するなど保護者からの意見、要望等の把握に努めています。意見等を受けた際には、苦情対応マニュアルに基づいて対応し、面談が必要となった場合には、面談の手順書を基に対応しています。把握した相談、意見等については、できるだけ速やかに対応するよう努めていますが、時間がかかる場合には、保護者に進捗状況の報告を随時行うなど丁寧に対応しています。園は意見や相談は貴重な質の向上の機会と捉え、職員の会議で共有し改善に向けて検討しています。マニュアルは年に2回振り返る機会を設け見直しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

 リスクマネジメントに関する責任者は園長となっており、日々の保育で収集したヒヤリハットや横浜市から得られる事件・事故の情報、子どもの安全が脅かされる報道については、職員会議で周知して職員一人ひとりの意識を高め、園内研修のグループワークを通して園内の安全確認及び事故防止につなげています。園内で事故が発生した場合は、事故対応マニュアルに則って対応しており、その日に発生した事故については全職員に周知しています。職員は、横浜市や港北区が主催する事故防止に関する研修会にも積極的に参加しており、参加者は職員会議で研修報告を行っています。マニュアルは年1回職員会議で見直しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 感染症対策の責任者は園長となっており、環境整備係と主任が中心となり、感染症対応マニュアルを基に園内の衛生管理に努めています。感染症発生時の対応、予防については、園内研修で周知しています。例えば、感染症が発生しやすくなる時期に合わせて嘔吐処理の手順の確認をしたり、毎年消防署による救急救命の研修をしたりしています。また、各クラスに空気清浄機を配置し、適宜換気するなど感染症の予防対策を徹底しています。感染症が流行した際は、罹患した保護者に了承を得た上で玄関で人数と病名、症状の掲示や口頭で保護者へ周知し、注意喚起しています。マニュアルの見直しは年1回、職員会議にて実施しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 園には自衛消防隊の組織及び役割分担表が整備され、年間の避難訓練計画に基づき火災、地震の訓練のほか、保護者の協力を得て年1回の災害時引き取り訓練を実施しています。また、園の所在地が浸水想定区域となっているため、水害訓練も実施しています。BCP(事業継続計画)が策定され、職員にも周知されています。災害時等の安否確認においては、電話連絡、災害用伝言版、園のホームページの掲示板を活用することとしています。非常食の備蓄は給食職員がリストを作成して管理しています。また、年1回消防署と連携して消火訓練を実施したり、近隣の企業や地域と連携して避難訓練を実施したりしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

 日々の保育に必要な標準的な実施方法は「業務マニュアル」を中心にまとめられ、子どものプライバシーや人権に配慮した内容となっています。おむつ替えや水遊びなどの手順をはじめとした標準的な実施方法について、全職員で共通認識を得るために、年度初めに園長、主任、リーダーが中心となり、業務マニュアルに綴じられた各種手順及びマニュアルの確認、周知をし、新入職員には個別の指導をしています。園の保育が標準的な実施方法に基づいて実践されているかについて、各種指導計画の定期的な振り返り、評価、反省を通じて確認したり、フロアごとの会議で議題に挙げて話し合ったりしています。保育実践は画一的なものではなく、子ども一人ひとりの状況に合わせて、より適切な方法を検討し実践しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 業務マニュアルの検証と見直しにあたっては、日々の保育の中での職員による気づきや意見を受けて、実施方法や手順の確認を適宜行い、年度末の職員会議にてマニュアルの見直しにつなげています。また、見直しにあたっては、職員が実際にロールプレイングを行い手順を検証するほか、感染症の大流行などによる社会情勢の変化に鑑み年度の途中でも変更する場合があります。変更した内容は、必要に応じて指導計画にも反映させているほか、行事後に行うリアクションペーパー(振り返りシート)の内容や、口頭で受けた保護者の意見や提案等も検討し業務マニュアルに反映しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

 入園時に保護者に提出してもらう「入園前の様子(生活調査票)」「児童票」や入園時面談から、家庭での子どもの食事や睡眠、排泄などの状況を把握して職員間で共有し、個々に合わせた保育について話し合っています。障がいのある子どもについては、港北区北部児童相談所、横浜市総合リハビリテーションセンターなどの関係機関と協議することもあります。全体的な計画に基づいて、クラス担任及び主任を中心に年間指導計画、食の年間計画、年間保健計画、月間指導計画、週案、日案などの指導計画を作成し振り返りを行っています。0~2歳児や障がいのある子どもの個別計画には、子どもと保護者の具体的なニーズが書かれています。今後は3歳以上児の子どもに関しても指導計画を作成することが望まれます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 月間指導計画の内容は月1回、各クラス代表及び主任、栄養士が出席する保育会議で話し合われています。ここで決定されたことは全職員に周知できるように、職員玄関に掲示しています。計画に基づいた保育内容を急遽変更する場合は、フロアリーダーを中心にその場にいる職員と相談をして、園長に確認してから全職員に伝達して情報を共有できるようにしています。年間指導計画は四半期ごとに全職員で振り返りを行い、それを踏まえて年度末にクラス担任が主任とともに反省を記入し、次年度のクラス担任に引き継いでいます。課題があれば改善に向けて検討し、次年度の保育計画に生かしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 子どもの発達状況や生活状況は、個人記録、児童票、健康台帳などに記録しています。記録の方法について園長や主任、フロアリーダーが随時指導を行い、職員によって内容や書き方に差異が出ないように配慮しています。園長、主任、各フロア代表は保育カンファレス会議を週1回月曜日に開催し、各クラスの様子やその週の予定、職員の勤務状況などの情報共有を行っています。フロアごとの情報共有はフロアノートで行い、またフロア間においてもノートで申し送りができ情報を共有しやすい環境となっています。園ではさらに、情報がより早く正確に伝わるように、要点を取り出して付箋に書いておくなどの工夫をしています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 運営規程により、子どもの記録の保存や廃棄に関する規定を定めています。記録管理の責任者は園長とし、個人情報に関する書類は事務室の鍵のかかる棚に保管し、パソコンやタブレットはパスワードで管理しています。子どもの記録は自宅に持ち帰らない、撮影した子どもの写真は必要以上に使わない、など個人情報保護の観点から入社時及び職員会議で園長から説明をしています。また、園内研修において個人情報の取り扱いについて学んでいます。園には「個人情報マニュアル」があり、職員はこれを理解して保育活動を行っています。保護者には、入園時面談で「個人情報の取り扱いに関する同意書」に基づいて、個人情報の利用目的、第三者への提供の制限について説明を行い、同意書にサインをして提出してもらっています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

 全体的な計画は「児童福祉法」や「保育所保育指針」をとらえ、事業運営方針でもある保育理念や保育目標「丈夫な心と体づくり」「地域と共に育ちあう」に基づいて作成しています。また、地域の実態や家庭の状況、リアクションペーパー(振り返りシート)の内容なども考慮されています。計画には0~5歳児までの年齢別保育目標や、養護と教育が一体となった子どもの発達過程が書かれています。計画の見直しは、年度末に非常勤職員も含めた保育にあたる全職員が参加して行っています。朝番や遅番などの意見も聞けるように、出勤している時間帯に小グループで行う工夫もしています。7月、1月の年2回定期的に全体的な計画の振り返り会議が行われ、それを生かして年度末に見直し、次年度の計画を作成しています。乳児から幼児への保育の連続性が分かりやすいよう見直し、また活動内容の精選を行い、次年度の計画の作成に反映しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

 園舎全体が漆喰の壁や無垢の木を使用して建てられていて、室内の温度、湿度、換気などの環境は、各保育室に温湿度計、エアコンなどを設置し常に適切な状態を維持しています。園の前には交通量の多い道路がありますが、室内は静かで柔らかい日差しが入っています。布団乾燥は月1回業者に依頼し、年末には布団の入れ替えを行い衛生管理に努めています。保育室内は生活に応じて落ち着ける場所が作れるように、棚やパーティションは可動式になっています。保育士が素早くテーブルを片付け、次の行動が取りやすいように保育室内に安全に収納できる家具があります。睡眠時はロールスクリーンを使用して適度な陽光を調整したり、グループごとに家庭的な雰囲気で食事をしたりして、食事や睡眠のための心地良い空間を確保しています。手洗い場やトイレは1日2回以上清掃や消毒を行って清潔を保っています。子どもが並んで待つスペースには足型シートをはり、利用しやすいように工夫しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

 保育士は保護者との個人面談や登降園時などの情報交換から、子どもの発達や家庭環境などの個人差を把握して一人ひとりの子ども状態に応じた保育を行っています。子どもが安心して自分の気持ちが表現できるように、子どもと1対1で関わる時間を作ったり、抱っこやハイタッチなどのスキンシップを多く取り入れ、信頼関係を育んでいます。自分を表現できる力が十分でない子どもには、安心して自分の気持ちが表現できるようにゆっくりと待ったり、子どもの気持ちをくみ取って保育士が代弁したりしています。保育士は大きな声を出すことはせずに子どものそばに行き、穏やかに子どもの分かりやすい言葉で話しかけています。トイレや目につく所に肯定的な言葉かけへの「言い換え表」を掲示して職員が意識して行動できるように促し、職員会議やフロア会議では言葉づかいについて話し合う機会を設けています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

 基本的生活習慣は、指導計画を基に一人ひとりの子どもの発達に合わせて、日々の繰り返しの積み重ねの中で身に付けていくことを基本としています。1~3歳児では少しだけ手伝う、4、5歳児では見守って励ます、できたとき認めるなど、自分でやろうとする気持ちを尊重しています。食事やトイレなどの基本的習慣の習得は個人差が大きいので、無理強いすることなくその子の意欲を大切にしています。本来自分でできることであっても職員に助けを求めて来たときには手伝い、その子の気持ちを大切にしています。フリースペースやフロアに設けたコーナーなどを活用して休息の場をつくり、一人ひとりの子どもの状態に応じて活動と休息のバランスが保たれるようにしています。生活習慣を身に付ける大切さを伝えるために、着替えの仕方やトイレトレーニングの方法、手洗いの必要性などについて、その場で具体的に説明したり、絵本や絵カードを見ながら視覚を通して分かりやすく伝えたりしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

 子どものおもちゃは種類ごとにボックスに入れ、中身の写真を貼り自分で探せるようにしています。子どもの自主性が発揮できるように、おもちゃや洋服が出しやすいかごを用意して、取り出しやすい配置にしています。一日の中で動と静の遊びを取り入れた活動の計画を立て保育を進めています。0、1歳児は床にカーペットを敷いて転倒でのけがを防ぎ、体を使って遊べる環境を用意しています。3~5歳児は紙や空き箱、クレヨンを子どもの手の届く所に設置して、自由に表現活動ができるようにしています。園庭や近隣の公園、農道への散歩などに毎日出かけ、戸外で遊ぶ時間を確保し自然と触れ合う機会を多くしています。園のすぐ近くには、地域の人の厚意により生まれた子どもたちの遊び場もあります。当番活動や鬼ごっこやゲームなどのルールのある遊びや、0~2歳児と3~5歳児が一緒に過ごす異年齢交流などを通して、人間関係が育まれるように支援しています。町会の人との豆まき、地域の老人会との毎月1回の伝承遊びなど世代交流の機会を設けています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 発達の違いが大きい0歳児では、さらにきめ細かく一人ひとりの生活リズムや体調に合わせて休息をとったり遊んだりしています。子どもが安心して職員と愛着関係を育めるように、慣れ保育には特定の保育士が関わり、喃語には笑顔で応答しています。園では布おむつを使用しており、取り換える機会が多いことで清潔が保たれています。また、おむつ換えの度に子どもの表情を見ながら「ふれあい遊び」をするなどスキンシップをとる機会も多く、情緒の安定につながっています。おもちゃは子どもの手の届く所にあり、さまざまな触感の布やゴムの素材で作られた柔らかい物が用意してあります。保護者に発行している「エルマー通信」には、年齢や発達に合った遊びや生活の仕方を写真で分かりやすく説明してあり、家庭でも実践できるようしています。登降園時の会話や連絡帳での連絡はもとより、年1回のクラス会(懇談会)や個人面談、子育て研修会を行い、保護者との連携を密にしています。個人面談にはできるだけ両親で来てもらい、生活リズムや身辺の自立などの現在と未来の5歳児の姿を示し、保護者と園が共に子育てを考えています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 自我の育ちが目覚ましい1、2歳児の保育では、その子のもつ特性や性格に合わせて「○○したいの」「○○したかったのね」などの共感的な言葉かけを行い、子どものやりたい気持ちを受け止めながら保育をしています。自分でやりたい気持ちを尊重して、見守りながらそっと手を添えたり、やりやすいように向きを変えたりして、自分でできた満足感が持てるようにかかわっています。自発的に探索活動ができるように、時間を十分に確保し、遊具を目につきやすく手の届く所に置くなど環境を整備しています。自分の思いが強かったり、言葉の伝達がうまくできなかったりして友達とトラブルが起きることもありますが、保育士が間に入り「貸して」「いいよ」などの言葉が言えるように促しています。また、保育士は「○○ちゃんもやりたいんだって」と相手の気持ちを伝え、友達との関わりの仲立ちもしています。対応方法を保護者と連携して保育を進めています。散歩や砂場、伝承遊びでは、さまざまな年齢の子どもとの交流をはじめ栄養士や地域の高齢者など保育士以外の大人と関わる機会も多くあります。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 3歳児の保育では、一人ひとりの個性に合わせて興味や関心をもって遊びに取り組めるように、空間を棚やパーティションで仕切り、ままごとや人形遊びなどをして遊び込める環境を作っています。4歳児では、集団の中で自分の力を発揮できるように、遊びの中にトランプや絵遊びなどを取り入れています。職員は初めは子どもと共に取り組み、徐々に友達同士で遊びが進められるように配慮して保育を進めています。5歳児ではお楽しみ会や遠足、プレイデー、運動会などの行事に向けて、子どもが準備から当日までの役割を分担して行っています。その過程で子どもの一人ひとりの良さが生かされ、友達と話し合いながら協力して進めていけるようになっていきます。職員は必要な材料を用意したり、話し合いに助言したりして、子どもたちがやり遂げた満足感や達成感が味わえるように関わっています。園で取り組んだことは、活動の様子が分かるように「速報」や「エルマー通信」を作成して保護者に伝えています。速報は主に節分や食育活動、芋掘り遠足などの行事を伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 玄関のスロープ、段差のないフラットな保育室など障がいに配慮した環境設備が整えられ、棚やパーティションで落ちつけるコーナーを作っています。障がいのある子どもの個別計画とは別に、クラスの日案の中にも障がいのある子どもの記入欄を設けていてクラスの指導案と関連付けています。子ども同士の関わりによって共に成長していけるように、障がいのある子どもも他の子どもと一緒に遊びや生活を共にしています。保護者とは障がいの特性を共有して、経過記録や日頃の園内での取り組みを伝えています。横浜市総合リハビリテーションセンターや保健師とは必要に応じて連携し、巡回訪問の際には集団生活で起きる問題や日常の関わり方について相談し助言を得ています。職員は横浜市総合リハビリテーションセンターへの視察や研修会に参加して、必要な知識や情報を得て報告書にまとめたり、フロア会議や職員会議で報告したりしています。園の保護者には、入園時のオリエンテーションや個人面談時にパンフレットを配布して、障がいのある子どもに関する情報を伝えています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

 各クラスにデイリープログラムがあり、1日の生活の連続性に配慮して、保育活動の環境や保育内容を決めています。着脱や食事などの場面では、少人数に分かれて家庭的でゆったり過ごすことのできる環境にしています。乳児には状況に応じて朝寝や夕方のまどろみを取り入れ、子どもの状況に応じて穏やかに過ごせるようにしています。オープンな保育室であるため、日常的に異年齢の子どもと一緒に過ごすことが多く、特に朝、夕の延長保育の時間帯や、登園児が少なくなる夏季には異年齢でかかわる機会が多くなっています。延長保育を利用する子どもには、18時30分以降に軽食を用意しています。担当する保育士が交代する際には、一人ひとりの子どもについて口頭で報告すると共に、各階にあるフロアノートに記入して引き継いでいます。保護者に情報が漏れなく伝えられるように連絡帳やフロアノートを活用し、また写真入りの「速報」を玄関に掲示して具体的に伝えたりしています。担当保育士と直接話をしたい保護者には十分な時間を確保できるように配慮し、代わりに別の保育士が保育に入るなどして対応しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

 5歳児の年間指導計画の中に「小学校生活に期待して日常生活の中で自分の経験を言葉で話す機会を持つ」と記載し、小学校との連携や就学を意識した活動を保育に組み入れています。子どもが小学校以降の生活に見通しが持てるように、5歳児は幼保小交流として近隣の小学校に行き、1年生との「じゃんけん汽車」の遊びを通した交流活動や、音楽室や図工室の学校探検などを行っています。各家庭には、幼保小交流に向けて上履きの準備や履き方の練習を依頼し、就学に向け保護者の意識も高めています。幼保小交流の実施後には、小学校での取り組みの様子をエルマー通信などで写真入りで伝えています。区の幼保小の連絡会には園長とクラス担任が参加し、小学校の担当者と意見交換をするなど就学に向けて連携を図っています。保育所児童保育要録は園長の責任のもと、0~5歳児の経過記録を基に5歳児のクラス担任が中心となって作成しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 感染予防、蔓延防止予防など子どもの健康管理に関するマニュアル、及び「心身ともに健康なからだを育てる」のテーマのもとに各月の目標や保健行事、指導の留意点及び保健活動を計画した「年間保健計画」が作成されています。登園時には子どもの健康状態を確認して、各フロアに設置してあるフロアノートに記入し、全職員が必ず目を通し情報を共有できるようにしています。さらに、0歳児には「朝の申し送りチェック表」を設けて体調を細かく記入しています。保育中の子どもの体調の変化やけがについては、保護者に連絡をして連絡張にも記入し、翌日には必ず保護者から子どもの様子を聞き、各フロアに設置した事故簿に記録をして、事後の確認をしています。エルマー通信のほけんだよりでは、その時期に多い子どもの病気や健康に過ごす方法、園の方針や取り組みについての情報を発信しています。乳幼児突然死症候群についてはチェック表に基づいて子どもの状態を確認し、保護者にも入園説明会や必要に応じて資料を配付し説明しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

 健康診断及び歯科健診の結果は健康台帳に記入され、記録を残しています。結果は園長、各フロア代表が参加する保育カンファレス会議や各フロアでの打ち合わせで共有しています。健康台帳は事務室の戸棚に保管されており、職員は必要な時に見ることができます。健康診断や歯科健診の結果を受けて、子どもたちには体や歯に関する絵本を読んだり、病気で困った時の話をしたりするなど、子どもの発達に合わせて分かるように伝えています。また、栄養士とも連携し、給食の献立にはよく噛める食材を取り入れたり、砂糖の使用量に配慮したりしています。保護者には、健康診断や歯科健診の結果を連絡帳に記入し降園時に伝えています。健康診断の前には保護者が園医に聞きたいことを用紙に書いてもらい、当日は保育士が園医に聞き取りをして、保護者に回答しています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を基にアレルギー対応マニュアルを作成しています。食物アレルギーのある子どもには、給食は除去、あるいは代替食の対応をしています。給食やおやつを提供する際には、名前の付いた専用のトレーを使用し、給食室では複数の職員で声出し確認を行い、一番最初に提供するなどのルールを徹底しています。また、座る席を固定してアレルギー札を立て、他の子どもたちにも分かるようにしています。概ね勤続3年以上の保育士が食物・アレルギー疾患についての研修会に参加して知識や情報を得て、職員会議で研修報告を行っています。食物アレルギーのある子どもがいるクラスには、他の保護者に、子どもの衣服に朝食の付着がないようにお願いをして理解を図っています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

 園長や事務、栄養士、調理員などで構成される食生活部門で情報を共有し、子どもたちが食に関して豊かな体験をし関心を深めるために、米研ぎ、野菜洗いなどの「食」の活動を保育の計画の中に取り入れています。保育士と栄養士、調理員と連携して保育を行い、まずは食事を楽しめる雰囲気作りをしています。0、1歳児は個々の発達に合わせて食材の大きさや量、切り方などを変えています。また、発達に応じてスプーンやフォーク、箸と食具を変えて食事の援助を行っています。給食やおやつを提供する際には、温かさや冷たさ、適度な重みを感じられる陶器製のものを使用しており、特に乳児用の食器はすくいやすいように深みのある形状のものにするなど配慮しています。給食は毎日おかわりを用意していますが、食の細い子どもには最初に盛り付ける量を少なめに調整し、徐々に食べる量を増やしていけるよう配慮しています。また、食事の前には栄養士のお話の時間を設け、その日の食材の話をしたり、子どもの質問に答えたりして、子どもたちの食への関心を深めています。保護者には、クラス会で食の楽しさや大切さについての対話や、食事のおいしさの決め手となる出汁の試飲の機会を設けるなど連携を図っています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

 園では「舌が育つ6年間」を大切に考え、給食とおやつはすべて手作りとし、安心・安全の食材を使った和食中心の献立を基本としています。出汁の素材であるかつおと昆布の産地を厳選し、味噌は園で手作りし、食事とおやつは陶器製の和食器を使って提供するなど、日本古来の「和食」を大切にしています。献立には旬の野菜を多く取り入れ季節を味わい、七夕やクリスマス、ひなまつりなどの行事食は見た目にも楽しい盛り付けにして食べる意欲を促進しています。また、食事を提供する際には、おひつや保温効果のある鍋を使用して、食事を適温で食べられるようにするなどの工夫をしています。食事の時間には栄養士や調理員が各クラスを回り、子どもの食事の様子や食べる量、好き嫌いを見ています。月1回開かれる給食会議では、こうした巡回で気づいた内容や給食日誌を基に、肉が嚙み切れていなければ細かくカットする、残食の多いごぼうの調理法を変える、材料の見直しをするなどの検討をしています。衛生管理においては、衛生管理マニュアルを基に温度管理や清掃、手洗いなどが適切に行われています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

 園児全員に連絡帳があり、家庭との情報交換に役立てています。0~2歳児の連絡帳は複写式になっていて園でも保管ができるので後で確認することができます。3~5歳児はノート式連絡帳で毎日の情報交換を円滑にしています。エルマー通信では、保育内容の写真を多く使用する、保育の意図にはマーカーを付けるなど保護者に分かりやすく伝える工夫をしています。職員は発行したエルマー通信の振り返りを行い、園の大切にしている保育をより一層保護者に分かりやすく伝えるための改善を行っています。園の「子育て目標」を保護者と共有し、子育てをテーマにした研修会を開催し、保護者と保育士が共に学び子どもの成長を支援しています。研修会を通して保育や園の意図も伝わり、利用者調査では95%の保護者が保育理念や方針を理解しているという結果が得られました。家庭の状況や、保護者との情報交換の内容は、面談表や経過記録に記録してありますが、気になることがある時は職員で共有し、方策を考え実施しています。個人面談の時は事前にアンケートで情報を得て、保護者の質問に的確に答えられるようにしています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 送迎時には保護者に積極的に声をかけてコミュニケーションをとるように努めています。また、毎日の送迎以外にも新年度説明会やクラス会、各種行事など保護者が園を訪れる機会は多く、職員との交流を通じて信頼関係を育んでいます。保護者からの相談があれば、保護者の都合に合わせて時間と場所を設定し、落ち着いて話が聞けるように配慮しています。また、個人面談でも相談にのっています。保護者との面談には常に職員2名で受けるようにして、終了後は相談内容の記録をして、その後の経過も記録しています。即答できないような相談には、園長や主任の助言が受けられる体制があります。園の玄関には子育て支援に関するリーフレットやチラシを設置するほか、園の栄養士からは料理のレシピや出汁の取り方、エルマー通信では発達に即した絵本や遊びの紹介をするなど、保護者の子育てに役立てられるような情報を提供して支援しています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

 毎日の送迎の際には保護者から家庭での子どもの様子を丁寧に聞き、朝の受け入れや着替えの際には視診を行うなど、普段と変わった様子がないか観察しています。虐待の可能性があると感じた時は、クラス担任だけでなくフロアの職員や主任、園長に速やかに情報共有し対応を検討しています。また、保護者の様子にも目を配り、気になる場合には声をかけたり、定期的に面談をしたりしています。虐待の話題は職員会議で年1回は取り上げて全員で考え、虐待をテーマにした園内研修においてもマニュアルを振り返り、発見方法や対応の仕方を協議して理解を深めています。マニュアルは事務室の誰でも手に届く場所にあり、気づいたことは書き込みをし検討したり、新しい情報を追加したりして整備しています。園と関係機関との連携体制があり、子どもに不自然なけがや通常と異なる言動が見られた場合などは、園長が関係機関に連絡することになっています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

 園は保育実践の振り返りに積極的に取り組んでいます。各種指導計画の実践の振り返りは、日誌や活動ごとの記録、保護者のリアクションペーパー(振り返りシート)等に基づいて行われています。特に月1回の保育会議では、各クラス代表、主任、栄養士、園長が参加し、各年齢のカリキュラムの内容について細かく分析し意見を出し合っています。職員一人ひとりの振り返りは、リアクションペーパー(振り返りシート)を活用し、行事、各種会議、研修等さまざまな機会をとらえて振り返りを行っています。さらに年1回「自己評価票ステップアップ自己評価票」に沿った自己評価を行い、リーダー、園長も評価したうえで面談を行い、次年度に向けた取り組みを明確にして保育の改善や専門性の向上につなげています。これらの振り返りや職員一人ひとりの自己評価を踏まえ、全体を見渡したうえで園としての自己評価を毎年12月に園長が作成しています。園長は、今年度の子育て目標である「対話と交流」を大切にし、グループワークによる職員同士の対話や、職員と保護者及び地域との対話を推進し、そこから気づきを得て、さらに質の高い保育の実践につなげていけるように職員を導いています。