社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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グループホーム 慧

2025年01月09日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター
評価対象事業所名 グループホーム慧
評価対象種別サービス 障害分野 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2008年02月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人海風会
③ 理念・基本方針 <理念>
① 地域福祉の拠点を担い地域社会に貢献し、共生社会の実現をめざしてまいります。
② 利用者の尊厳を守り「愛情・誠意・忍耐」を実践してまいります。

<行動指針>
①あおぞらプランを遵守し、利用者の個性を大切に、自らの将来が描ける温かみのある丁寧な支援に取組みます。
②利用者・職員の健康と安全に留意し、医療ケアの充実につとめ、生活支援・人材育成のプログラム開発につとめます。
③組織のガバナンス(統治機構)を確立し、事業・財務の透明化と公益事業への取組を積極化してまいります。
④後援会・保護者会並びに地域社会に感謝し、一層の支援体制の構築を図ります。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 グループホーム「慧」は、社会福祉法人海風会が運営するホームの一つとして、2007年11月の開設以降、地域に根差し、十数年に亘って利用者の地域生活を支えています。
ホームは定員6名の女性専用で、様々な障害特性や生活課題のある利用者を柔軟に受け入れ、その人らしい暮らしの実現に向けた支援を行っています。
法人としてこれまで9か所のグループホームを運営していましたが、建物の老朽化や、昨今の気候変動に伴い災害警戒区域の対象となったホーム2か所を2023年に統合し、現在は6か所のホームを運営しています。ホーム周辺には系列の福祉施設や他ホームがあるほか、近隣の高齢者施設や地域住民との交流にも注力し、組織全体及び地域との連携を通じて、利用者が安心・安全な地域生活を送ることができるよう努めています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2024年07月01日
終了:2024年11月26日(評価結果確定日)
受審回数:0回(0年度)
⑥ 総評
◇ 特長や今後期待される点
◆利用者一人ひとりを大切にした個別支援を実践しています
ホームでは、法人系列の入所施設をはじめ、広く地域の関係機関から、様々な障害特性や生活課題のある利用者の受け入れを積極的に行っています。利用者の半数以上が障害支援区分5~6の重度障害で、年齢も40代から70代と幅広く、機能低下に伴う身体介助や、行動障害など対応に配慮を要する利用者のほか、明確な意思表示の苦手な利用者も複数在籍しています。職員は、表情やしぐさ、口の動き、瞬きなど、些細な変化や行動傾向にも着目し、各々の利用者の意向把握に努めるとともに、散歩や運動等の筋力強化や食器の片づけ、衣類たたみなど、身辺の自立に向けた支援を行っています。また、趣味や余暇活動を尊重し、体操教室など外部の活動への参加に合わせて食事等の生活時間をずらして対応するなど、個人の生活の時間軸を大切にした支援を心がけています。食事についても、納入業者の食材に加え、副菜やデザートに旬の食材やフルーツを随時調達して提供する等、家庭的で暖かな雰囲気づくりに配慮しています。

◆利用者の障害特性に配慮した、安全で快適な居住環境を整備しています
ホームの建物は家庭的な雰囲気を尊重し、キッチンやリビング、トイレ、浴室のほか、1階に2室、2階に4室の個室を設け、各々の希望や心身の機能や状況等に合わせて提供しています。設計段階から職員が関わり、高齢化や障害の重度化等を想定して予め廊下幅やトイレ、居室等の面積を設置基準以上の広さで確保するなど、支援のしやすさと快適性を重視した構造としています。
換気や採光に配慮し、職員が毎日清掃を行い、築17年を経た現在も清潔さを保っています。また、災害対策として2024年度はIH式の調理機器を導入しています。
女性専用ホームとして完全同性介助を実施するとともに、夕方の時間帯に必ず職員を2名配置し、安全面にも留意しています。そのほか、音に対する過敏さへの対応として空室を1室確保し、遮音やクールダウンスペースとして活用するなど、利用者の障害特性に即した工夫も行っています。

◆法人の理念・行動指針に基づき、広く社会貢献に努めています
法人理念に「地域社会への貢献」「共生社会の実現を目指す」ことを掲げるとともに、行動指針にも「公益事業への積極的な取り組み」と「地域社会への感謝と一層の支援体制の構築」を明文化しています。理念・行動指針は「海風ビジョン」として文書化し、法人として社会福祉に貢献する姿勢を明示して、職員間で認識共有に努めています。また、法人事業としてグループホームのほか、施設入所や日中活動支援、居宅支援など、障害児者を支えるための様々な事業を展開し、地域福祉の充実化にも尽力しています。
また、能登半島地震被災地支援活動に参加し、2024年6月・10月の2回に亘ってホームから職員を現地に派遣するなど、可能な限り社会貢献活動に努めています。

◆利用者の地域生活への移行とともに、さらなる社会参加に向けた取り組みが期待されます
ホームでは、入所施設等から積極的に利用者を受け入れ、一人ひとりの個別性に配慮した支援の実践に努めていますが、重度の障害や複雑な生活課題を抱えるケースが多く、単身生活等の地域移行を実現した事例はない状態です。現在、他のホームの事例を通じて法人内で情報を共有し、組織全体で地域移行に向けた取り組みを始めていることから、今後は得られたノウハウを活かす等、利用者の希望する地域生活の実現に向けた新たな取組が期待されます。
また、利用者の希望を尊重し、法人外の通所サービスや地域の活動等への参加を推奨するほか、可能な限り職員が同伴し外出や個別活動をサポートしていますが、職員の人員不足や高齢化等の状況から、活動の機会が減少しています。利用者からのヒアリングでも、活動機会の増加を望む意見が聞かれました。利用者の望む地域生活の実現に向け、社会参加のあり方を検証する等、さらなる取組が期待されます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント  共同生活援助の事業としては、不備な点が多くあると懸念していましたが、入居者評価や今後の希望を聞くことが一番の財産になりました。また、契約スタッフを中心とした支援者が、自己点検を行いつつ、働く事業所への反省点や展望を具体的に示してくれたことは、事業継続を前衛的に意識できる指標になったと思っています。
 小規模なホームとして、近所のお付き合いや理解の共有など、共に生きる社会を創出していく中で、主体的な取り組みに気づかされることも多くありました。今後、自己努力として課題意識を持ち、運営基盤の強さが持てるよう、事業展開を図りたいと考えます。
 そして、安心して暮らしていかれる入居者のためのホームを維持させていきたいと心新たにしました。何度も足を運んでくださった、評価機関のスタッフの皆様には、ご丁寧な対応に感謝申し上げます。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の理念・行動指針を記載した「海風ビジョン」を各ホームに掲示し、職員誰もが確認できるようにしています。法人の理念・行動指針は、入職時に説明するとともに、全職員が参加する年2回のグループホームセンター全体職員会議でも周知しています。

◇評価機関からのコメント

毎月の常勤会議や隔月のグループホーム会議など、個別事例を通じて理念に沿った支援がなされているか確認していますが、理念そのものを説明する機会が少ないほか、非常勤職員の割合も高く、ホームとして十分な理解浸透を図ることが課題と捉えています。定期的に理念・行動指針を確認し、認識の共有化に向け摺合せを行うことが期待されます。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人各事業所長による月2回の事務局会議で社会福祉事業を取り巻く動向や各種福祉計画、福祉サービスのニーズなどの経営環境について共有し、分析しています。また、コスト分析や職員体制、福祉サービスの内容などの経営課題についても共有し、話し合っています。人材育成や中堅・幹部の育成、大規模修繕などの中長期的な課題については同じメンバーによる中長期会議で検討し、理事会に報告しています。主な検討内容は常勤会議で職員に周知しています。

◇評価機関からのコメント

経営状況を検討する仕組みが確立しており、幹部職員間で課題が共有なされています。法人では、特に虐待防止には力を入れており、年3回全職員を対象に虐待防止研修を実施し、グループワークで事例検討するなどの取組を行っています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

中長期計画に基づき、事務局会議、中長期会議で議論して各年度の重点目標を設定するほか、法人の年度事業計画を基に、グループホームセンターとして事業計画を策定しています。事業計画の内容は、重点目標及び実施計画、消防・防災計画等の内容を記載し、事務局会議、中長期会議で進捗状況を確認し、定期的に評価しています。
計画策定にあたっては、常勤会議で出た職員の意見を反映する等、常勤職員間で共有化を図っています。

◇評価機関からのコメント

計画の内容は、利用者の生活面を重視する観点から、具体的な指標等は設定していません。 グループホームセンターの各会議を通じて、常勤職員間で共有化していますが、非常勤職員に対しては、全体会議での重点目標の説明及び回覧による周知となっています。組織全体で計画内容の認識共有を図るためのさらなる取組が期待されます。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

グループホームセンターで開催する常勤会議を通じて、ホーム全体の運営に係る課題を協議し、支援の質の向上に取り組んでいます。
個別のケースに関する支援内容については、グループホーム会議で検討し、実務に反映しています。

◇評価機関からのコメント

サービスの質向上を目指し、常勤会議やグループホーム会議を通じて、支援のあり方を話し合い、改善に向けた協議を行っていますが、一定の評価基準や、客観的な視点を用いた自己評価は実施していません。定期的な自己評価を実施するとともに、評価結果に基づいて質向上を図る取組が期待されます。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

全職員に対し、年度当初の全体会議で当該年度の重点目標について説明し、事業のあらましを伝えています。会議に参加しなかった職員には会議録を回覧しています。

◇評価機関からのコメント

年度当初に開催する全体研修を通じて、管理者から全職員に対し守秘義務及び個人情報保護、権利擁護、虐待防止等について説明し、周知しています。 管理者の役割と責任は、組織図に基づいて各職員に伝達し、掲示するとともに、ホームページやSNS等にも掲載して周知しています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

人事考課規程に人事基準を明確化し、職員に周知しています。全職員を対象に「目標・成果シート」を用いて年3回面談をし、目標設定と達成度の評価をしています。面談では職員の意向を聴取し、適宜実務に反映しています。
主に常勤職員を対象に、研修要項や研修体系図を掲示し、職務や経験に応じた研修の受講を進めています。
非常勤職員との定期面談を実施し、職員の意向や家庭の状況等を聴取して働きやすい職場づくりに努めるほか、ライフ・ワーク・バランスにも配慮した勤務編成を行っています。

◇評価機関からのコメント

法人のホームページに採用情報を掲載する等、積極的な採用活動を展開するとともに、材育成に連動した職務分掌の見直しなど、法人組織全体で総合的な福祉人材の確保・育成・定着に向けた取組を始めています。 一方、ホームにおいては、非常勤職員の病欠等により常勤職員の業務負担が増大し、課題となっています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人のホームページに情報公開ページを設け、現況報告書や財務諸表のほか、系列事業所の自己評価結果、当該年度の処遇改善加算計画書等を掲載して、事業運営の透明性確保に努めています。
入所施設やグループホームなど、障害者支援の現場が密室化しやすいことに鑑み、ホームでは風通しの良い環境作りに努めています。近隣住民にも働きかけを行い、障害の理解とともに共助の関係作りに努めています。職員間でのコミュニケーションを密にし、情報共有を図っています。

◇評価機関からのコメント

法人のホームページを通じて、情報の公開に努めていますが、各年度の事業計画書及び事業報告書、苦情とその対応などについて公表は行っていません。 今後さらなる積極的な情報公開の取組が期待されます。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人理念に「地域福祉の拠点として地域社会に貢献し共生社会の実現を目指す」ことを明示しています。横須賀三浦地区の施設協議会、横須賀市グループホーム連絡会などに参加し、地域の福祉ニーズを把握しています。自治会長との交流をはじめ、地域住民でもある非常勤職員からも様々な情報を得ています。
横須賀市の福祉避難所でもある法人系列の入所施設が近隣に所在し、有事の支援を受けられる体制を整備しています。
ホームにおいても、利用者及び職員用3日分の災害備蓄のほか、近隣住民の受け入れを想定し、若干の余剰備蓄を確保しています。また、神奈川県知的障害者施設協会を通じて、石川県能登地震の被災地応援支援に職員を派遣しています。

◇評価機関からのコメント

ホームは利用者の地域生活の場として、地域住民とお互いに助け合える関係作りに努めています。近隣の商店や飲食店のほか、図書館等の公共施設を利用する等、日常生活を通じて地域との交流を行っています。また、法人外の日中活動事業所や、体操教室など地域の活動への参加も推奨しています。 コロナ禍以前は、近隣の高齢者施設の行事等に参加するなど、定期的に地域との交流を行っていましたが、現在は活動を休止しています。
Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

入職時の研修で利用者主体の姿勢について周知するとともに、全体研修でも神奈川県知的障害施設団体連合会が掲げる障害者の権利擁護宣言「あおぞらプラン」や、法人の職員倫理要綱を中心に人権研修を実施し、利用者主体の支援について確認しています。利用者のプライバシーにも配慮し、入浴や排泄などは同性介助を徹底しています。

◇評価機関からのコメント

職員は常勤会議やグループホーム会議で、利用者の呼称など具体的な事例を挙げて、話し合い、利用者の人権尊重に努めています。 利用者のプライバシーに配慮し、居室は施錠が可能となっているほか、相談など個別の会話は他の利用者に聞こえないよう、居室で行うようにしています。職員間でも利用者が近くにいる時には他の利用者の会話をしないよう配慮しています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームページ、パンフレットでホームの情報を利用希望者等に情報提供しています。また、横須賀市にホームの空き情報を提供しています。
利用希望者等からの問い合わせは随時対応し、見学や体験入所も受け入れています。利用開始時には、重要事項説明書と契約書を用いて、利用者、家族等に説明し、同意を得ています。

◇評価機関からのコメント

入所にあたっては、1か月間の体験利用を経て利用者の意思を再確認し、正式入所をしてもらっています。体験利用中は職員皆で利用者の様子を観察して情報収集し、利用者の不安が解消するように支援しています。高齢化に伴い、介護施設等に入所する利用者に対しては、入所先の施設と引き継ぎをし、様子を見に行ったり相談に応じる等の支援を行っています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者に向けてのアンケートなどは実施していませんが、職員は利用者との日常会話の中からやりたいことや食事などの利用者の意向や満足度を把握しています。把握した利用者の意向は会議などで共有し、対応について話し合っています。

◇評価機関からのコメント

職員との個別の会話のほか、話し合える利用者には、職員が間に入って利用者同士の話を仲介し、お風呂の順番や起床時間、生活上の約束事を決めるなどしています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

要望・苦情等申立先を重要事項説明書に掲載し、入所時に本人・家族等に説明しています。ホームのリビングにも掲示しています。外部の相談口として横須賀市の窓口とかながわ福祉サービス運営適正化委員会を紹介しています。相談・苦情解決規程を整備しています。寄せられた相談・苦情は事務局会議で検討し、対応を行う体制を整備しています。

◇評価機関からのコメント

利用者の障害特性等に鑑み、意見箱は設置していませんが、職員は日々の支援の中で、利用者の様子を観察し、利用者の意見や要望を聴取しています。聞き取りは利用者のプライバシーに配慮し、各々の居室で行っています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人として、事故対応や感染症対応などの各種マニュアルを整備し、緊急時の対応について職員に説明しています。誤薬、転倒時の対応などを想定した研修も実施しています。事務局会議や衛生委員会の中で、安心・安全なサービスの実施に向けて取り組んでいます。
事業継続計画(BCP)を策定し、各事業所に配置するとともに、会議で職員に説明し周知しています。ホームの協力施設として、法人の入所施設が近隣に所在し、有事の支援を受けられる体制を整えています。

◇評価機関からのコメント

ホームでは、事故は事故報告書に記載し、職員間で共有し、対策について検討しています。また、日々の支援の中でよかった事例を「二コリほっと」として日誌に記載しています。 一方、ヒヤリハット事例の記録は行っていません。安心・安全な支援に向け、今後はヒヤリハット事例を収集し、分析していくことが期待されます。 防災対策として、2024年度にIH調理機器を導入し、被災時の停電にも備えてプロパンガスの調理機器も準備しています。年2回利用者参加による防災訓練を実施し、津波を想定した避難訓練も行っています。災害用の備蓄を行うほか、衛星電話による通信体制も整備しています
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人として、事故対応、感染症対策、虐待防止などの各種マニュアルを整備しています。
各マニュアルは必要に応じて見直しています。虐待防止、個人情報など主なものについては、入職時に説明するとともに、全職員が参加する全体研修で周知しています。

◇評価機関からのコメント

より家庭的な生活環境の提供に配慮し、標準的な業務マニュアルは作成せず、OJTを通じて常勤職員が業務指導を行っています。利用者の個別の配慮事項は個別支援計画書に基づいて実施し、利用者の状況に応じて柔軟に見直しをしています。 夕方の時間帯は職員を2名配置し、利用者の安全確保とともに、業務を相互に確認したり、相談し合うことができるよう工夫しています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

アセスメントシートを用いて、担当職員が、食事や排泄、身体状況、ADLなどについてアセスメントしています。日々の利用者の様子はケース記録に記録しています。これらの情報を基に、支援担当、サービス管理責任者、本人が参加して担当者会議を行い、個別支援計画を策定しています。計画策定にあたっては、家族等の意向を聞いています。また、相談支援事業所、日中活動事業所などからも情報を得ています。策定された計画は本人に説明し、同意を得ています。計画は6ヶ月ごとにモニタリングをし、見直しています。

◇評価機関からのコメント

生活面のアセスメントを通じて、利用者の生活に関する意向の把握に努めるほか、入居前の生活の継続性などにも配慮した支援の実践に努めています。 ホームでは、担当による面談だけでなく、日々の関わりの中から本人の意向を把握し、計画に反映しています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

アセスメントシート、個別支援計画、ケース記録等の記録は個別にファイルし、職員間で共有しています。新任職員に対しては、記録の書き方についての法人研修を実施するとともに、先輩職員によるOJTの中で指導しています。
法人の個人情報保護規程を整備し、入職時に説明するとともに、毎年の全体研修でも確認しています。利用者に関する書類は施錠可能なキャビネットに保管しています。利用者・家族等に対しても、入所時に説明しています。

◇評価機関からのコメント

事務所だけでなくホームにも個人ファイルを設置し、職員が必要時には確認できるようにしています。毎月の常勤会議、隔月のホーム会議を実施し、各利用者の情報を共有しています。 非常勤職員が多く、短時間勤務など多様な働き方の職員がいることから、日誌等の記録、会議録等の回覧、連絡ノート、スマートホンを活用した情報共有アプリなど、様々な方法を用いて情報共有を図っています。 一方、組織全体のICT化については今後の課題となっています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の基本理念や行動指針に「利用者の尊厳と権利を擁護し、個性を大切にすること」等を掲げ、利用者の意思を尊重した支援の実践に努めています。ことばだけでなく表情やしぐさ、日常の関わりなどを通じて、より正確な意向の把握と支援内容への反映に留意しています。

◇評価機関からのコメント

ことばによる意志表示が難しい場合は、画像を用いて選択肢を示す等、利用者が意思表示しやすい工夫を行い、正確な意向の把握に努めています。また、情報の量や伝え方を工夫して、判断のしやすさや安心感に配慮するとともに、褒める・感謝を示す等、意見を表明しやすい関わりを行っています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

神奈川県知的障害施設団体連合会が掲げる障害者の権利擁護宣言「あおぞらプラン」とともに、法人の理念・行動指針として利用者の人権尊重と権利擁護の方針を明文化した「海風ビジョン」を掲げ、組織全体で意識の共有化に努めています。
「虐待防止対応規程」を定め、発生防止と迅速な対応を行うための体制を整備しています。

◇評価機関からのコメント

法人の全職員を対象に虐待防止研修を年3回行い、セルフチェックリストで支援内容を確認しています。会議や事例検討で権利擁護のあり方を協議し、2024年度は職員の提案を基に「呼称」を強化項目に掲げ、ホーム全体で接遇改善と意識向上に取り組んでいます。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と安定した生活の維持・継続に向け、個別支援計画に基づき、利用者の障害特性や個別の課題に応じた支援を行っています。
日中活動や趣味、余暇の過ごし方等は利用者本人の希望を尊重し、利用者のスケジュールに合わせて食事時間を変更するなど、個々の生活の時間軸を大切にした支援に努めています。

◇評価機関からのコメント

掃除や洗濯、片付けなどの身辺の管理は見守りの姿勢を基本に、職員が一緒に行い手順を示すなど、利用者が徐々に自分で行うことができるよう配慮しています。また、お礼や感謝を伝える・褒めるなど、利用者の自己肯定感や意欲を高めるための関わりにも留意しています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

食事は宅配業者が納入するミールキットを活用し、ホームのキッチンで職員が調理して提供しています。また、旬の食材やフルーツ等を随時調達し、副菜として提供する等、家庭的で季節感のある食事提供に努めています。利用者の体調や心身機能等に配慮し、お粥や刻みなどの個別対応も行っています。
ホームは女性専用で、入浴や排泄は完全同性介助を実施するほか、夕方の時間帯は必ず職員を2名配置し、安全性にも留意しています。

◇評価機関からのコメント

食事の際は、利用者の身体機能や障害特性に配慮し、会話を楽しみながらも落ち着いて食事がとれる雰囲気づくりに配慮しています。また、スプーンでも食べやすい盛り付けや、立ち上がりやすい椅子を用いるなど、個々の状態に応じた工夫を取り入れています。 シャンプーやボディソープは個人の希望を反映できるほか、利用者の希望に基づき、泡タイプの洗顔料を導入するなど、快適な暮らしを送るための工夫も行っています。
A-2-(3)生活環境

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームの建物は2007年築で、15年以上経過した現在も、明るく清潔な環境を保っています。設計段階から職員が関わり、様々な心身機能への対応を想定したバリアフリーの環境で、玄関や廊下・リビング・浴室・トイレ等も十分な広さを確保しています。居室はエアコンのほか大型収納が設置された約7.5畳の洋室で、内側から施錠も可能となっています。

◇評価機関からのコメント

毎日職員がホーム内を清掃し、年1回定期的にワックスクリーニングも実施しています。また、2024年度は防災対策として調理機器のIH化も行っています。 物音に対する過敏さなど、配慮を要する利用者に対し、定員6名のうち空室を1室用意して直接生活音が伝わりにくい環境を確保する等、利用者の障害特性に配慮し、安定した生活を送る環境整備の工夫も行っています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

医師や理学療法士、作業療法士等の指示や助言に基づく専門的な訓練は行っていませんが、日常の生活場面を通じて筋力強化や生活スキルの向上など、障害特性や加齢等の個別課題に応じた機能・生活訓練を行っています。
機能訓練・生活訓練に関する計画は策定していませんが、ホームの引継ぎノートに具体的な内容や手順等を記載して、職員間で情報を共有しています。

◇評価機関からのコメント

加齢に伴う機能低下のある利用者に対し、職員が付き添い歩行練習を行うほか、座位の姿勢での足上げや、ゴムボールを用いた握力強化などの機能訓練を行っています。また、食後の片付けや洗濯物たたみ等のほか、公共施設や交通機関の利用に付き添うなど、生活技能を高めるための訓練も行っています。なお、 訓練目的や内容を個別支援計画に明示するとともに、今後想定される利用者の高齢化・重度化を踏まえ、専門的視点を取り入れ支援に活かす仕組みづくりが期待されます。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

バイタルチェックや排泄確認を日常的に行うとともに、年1回健康診断を実施して利用者の健康状態の把握に努めています。体調不良等で受診が必要な場合は職員が同伴し、適切な治療が受けられるよう支援しています。
利用者の半数程が服薬治療中で、常勤のホーム担当職員を中心に服薬の管理・支援を行っています。配薬・与薬・服用後とそれぞれ異なる職員が関わり、相互にチェックすることで、確実な服用と誤薬を防止する体制を構築しています。

◇評価機関からのコメント

現在、医療的ケアが必要な利用者は在籍していないほか、医療専門職以外の一般職員は医療的ケアを行わない方針としています。なお、尿道カテーテル留置等、医療的対応が必要な利用者に対し、法人系列施設の看護師の指導に基づき支援を実施した事例があります。 ホームとして、障害特性の理解とともに、医療的対応に関する知識・技術習得に向けた職員研修の開催など、学習機会の確保が必要と捉えています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と社会参加に鑑み、地域の商店や公共施設、体操教室等の利用を推奨しています。可能なケースは自由に外出を認めているほか、散歩や外食、イベント参加など、利用者の要望に応じて職員が付き添い、外出する機会を設けています。
また、利用者の希望に沿って法人外の障害福祉サービスの利用も積極的に承認しています。

◇評価機関からのコメント

コロナ禍以降、地域行事の多くが休止となり、地域との交流や活動参加の機会が減少しています。また、職員の人手不足や高齢化、ヘルパー事業所の減少に伴う移動支援サービスの縮小化等を踏まえ、ホームとして利用者の余暇活動の機会提供は不十分と捉えています。利用者からも、活動頻度の増加を望む声が聞かれています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

施設入所から入居に至った利用者が多く、各々の意向に沿って現在の生活を維持・継続できるよう、個別の状況に応じた支援を行っています。
単身生活など、さらなる地域生活への移行を希望する利用者に対しては、生活能力を高めるための支援と同時に、地域の関係機関と連携して課題を共有し、地域生活を支える基盤整備を行うこととしています。

◇評価機関からのコメント

法人内外の関係施設から重度の利用者を積極的に受け入れ、これまでに単身生活等の地域移行を図った事例はありませんが、法人系列の他ホームの実践事例を共有しながら、組織全体で移行支援に取り組んでいます。今後さらなる地域移行の実践に向け、地域生活に関する情報提供をはじめ、地域との交流や地域生活の見学・体験機会を増やす等、新たな取り組みが期待されます。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

家族支援のあり方として「地域社会や保護者と一層の支援体制の構築を図る」ことを法人の行動指針に掲げ、家族等との交流促進に努めています。担当の常勤職員を配置し、定期・随時で個別に状況報告を行うとともに、SNSを通じて日々の利用者の様子を発信しています。また、月ごとに費用の明細書も送付しています。

◇評価機関からのコメント

家族等との交流は、利用者の意向に基づき、なるべく多くの交流機会を保てるよう、また、各々の家庭事情等を踏まえ、相互の良好な関係性の維持にも配慮しています。一方、利用者からはコロナ禍により減少した面会の機会を増やしたい等、家族等とのさらなる交流を望む意見も聞かれています

利用者調査結果<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:5名
アンケート調査対象:5名
ヒアリング調査対象:4名
入居者5名に対して全員にアンケート調査を実施しましたが、自分で解答した2名、職員に手伝ってもらった2名 その他1名でした。ヒアリング対象4名のうち1名はコミュニケーションがとりにくく、ことばでの回答が得られませんでした。

アンケートからは、職員やスタッフが丁寧に接しトラブルにも対応してくれて、大切にされていると利用者は感じているという回答が多く見られました。グループホームの生活に「不満や困っていることなどはない」と回答している一方、自由に外出するなどはできていないと感じている人や、お金の管理などがわからないと回答している人がいます。
ヒアリングでは、職員は優しく接してくれる、食事が美味しい、お風呂も大きくて、一人ずつ入れることが快適だと答えていました。一人で外出ができる人は近くのコンビニや図書館などに行ったり、散歩をしたりしています。コロナ禍前は、職員と買いものに行ったり、ディズニーランドに行ったりしていたので、今後、また一緒に出かけられるといいと話していました。困ったことがある時は、ホームのスタッフが相談にのってくれる他、通所先の職員などにも相談できています。