社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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戸塚はなえみ工房

2025年09月26日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 戸塚はなえみ工房 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労継続支援(B型) 定員 30(27名) 名
所在地 244-0003
横浜市戸塚区戸塚町1420ー27
TEL 045-864-4801 ホームページ https://www.denkikanagawa.or.jp/service/hanaemi.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2022年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
職員数
常勤職員:7 名
非常勤職員:7 名
専門職員
社会福祉士:3 名
精神保健福祉士:3 名
施設・設備の概要
居室数:作業室/3、食堂、事務室、集会室、面接室、静養室、男女更衣室、和室、男性ロッカー室、女性ロッカー室
設備等:トイレ(男女)、多目的トイレ、シャワー室(男女)、管理倉庫、倉庫、機械室、電気室、廊下、中庭

③ 理念・基本方針
【法人理念】
○障害者の社会的自立  ○地域福祉の充実  ○福祉の啓発
【使命と誓い】
○最善・最適な幸福の提供 ○絶えざる研鑽と成長
【運営理念】
働く経験を積み重ね ひとりひとりの人生を豊かにする
【目指す支援】
作業を通じて、ひとりの社会人として次のことが身につけられるよう支援します。
○役割を果たす ○自分で選択する ○得意、不得意を知る ○家族以外の人に頼る ○趣味・ストレス発散方法をもつ

④ 施設・事業所の特徴的な取組
昭和56年に横浜市が設立した横浜市戸塚福祉授産所を、令和4年4月に当法人が民間委託として引き継ぎ、3年が経過したところです。利用年数の長い利用者が多くおり、利用者の高齢化も目立っています。一方、戸塚はなえみ工房になってから利用を開始された方が現在では施設の3分の1を占め、そういった経過から利用者層が多岐に渡ることが特徴です。利用者層は、以下の通りです。
①加齢により次なるステップへの移行を要する利用者
②この先も長く利用を継続されるであろう利用者
③スローステップで就労を目指す利用者
④企業からの離職後支援や復職支援を要する利用者
施設プログラムは「働くこと」を基本とし、年間を通して固定されたスケジュールに沿い、社会人としてのルールやマナーに則って作業室内軽作業を中心に取り組んでもらっています。また、当法人の強みを最大限に生かし、おひとりおひとりのご希望に応じて企業就労への挑戦も積極的に支援しています。民間委託になったことの意味を重要視し、他(多)機関連携を念頭に、利用者本人のみならず、(高齢の)ご家族にとってもより適した支援が提供できるよう努めています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2025/02/13(契約日) ~2025/09/22(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 0 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)市から移管4年目で就労支援における確かな実績を積み上げています
2022年4月横浜市から移管されて以来、就労支援の環境の改善に努めてきました。整理整頓に力を入れ、作業環境を改善しました。「ここは仕事をする場所」という意識を浸透させ、作業時間、休憩時間をきちんと決めてメリハリのある過ごし方にしました。工程は視覚化して、利用者が迷わないよう工夫しており、落ち着いて業務に従事できる環境を整えています。「利用者の満足度が高い」というのが事業所の実感です。復職や就労の実績を積み、移管から4年目として確かな歩みを進めています。

2)本人の通所目的に添った丁寧な個別支援をしています
事業所は「加齢により次なるステップへの移行を要する利用者」「この先も長く利用を継続されるであろう利用者」「スローステップで就労を目指す利用者」「企業からの離職後支援や復職支援を要する利用者」がおり、本人の通所目的が多岐にわたっています。横浜市戸塚福祉授産所時代から30年以上在籍している利用者もおり、次なるステップへつないでいく必要性も視野に入れています。自らの考えを表出するのが難しい利用者の場合は複数の選択肢を示しながら意思決定のフォローをしています。スローステップで就労を目指す利用者、リワークを目指す利用者に対しても職員間だけでなく、関係機関と連携を図りながら本人の自己決定に基づく丁寧な個別支援で就労や復職につなげています。

3)運営理念に基づいたサービスの提供を行っています
事業所の運営理念を「働く経験を積み重ね ひとりひとりの人生を豊かにする」とし、「働くこと」を意識した環境設定の中、利用者は、紙器組み立て・食品梱包・部品組み立てなど受注軽作業を中心とした作業を行っています。ネット通販向け製品を展開する企業から新規作業を獲得するなど、受注先の開拓もしています。封入作業では治具(自助具)の工夫・開発をしたことで、すべての利用者が参加できる作業となり、封入ミスの減少にもつながっています。また、福祉サービス経験豊富な常勤職員のほか、製造現場に携わってきた人材を非常勤で採用をし、就労現場目線からの支援もできています。

4)個別研修計画を作成し、職員の継続的な育成プログラムが望まれます
就労継続支援事業所として利用者の多岐にわたるニーズに応えていく支援力、将来の事業所のあるべき姿を企画・実行していく構想力が職員に求められています。現在、新規採用者向けの育成プログラムはあります。今後、職階層別のキャリアパス評価制度と考課面談を活用し、職員別の個別研修計画を作成することや、継続的、組織的な経験2年以上の中堅向けの育成プログラムを作り、実践することを期待します。

5)非常勤職員との認識が、より共有できる取組に期待します
非常勤職員は主に生産工程の管理を担当し、常勤職員は利用者の特性に基づいた福祉的な支援を担当するという分担が明確となっています。そのため生産現場で利用者への個別支援が必要な事態になると、主に常勤職員が対応しています。現在、利用者のケース会議には、非常勤職員は参加していませんが、今後は非常勤職員も利用者の特性などについての理解と知識を共有すれば、現場における対応力がより高まると思われます。非常勤職員と常勤職員の認識の共有を深めるための工夫に期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
横浜市から委託を受け3年が経過したこのタイミングで第三者評価の受審ができたことは、私たちの施設運営が利用者・ご家族にとって理解、納得できるものであるか、第三者にとって説得力のあるものとなっているのか、一度立ち止まって考えるにはとても良い機会でした。特に横浜市戸塚福祉授産所からの継続利用者・ご家族にとっては、運営母体が変わることへの不安が多くおありだっただろうことを思うと、利用者調査(アンケート)にご協力くださった方々のほとんどが事業所に対し「(どちらかといえば)満足」と回答されていたことがとても励みとなりました。
自己評価においては、職員全員で日々の支援や組織としての在り方を振り返り、「強み」・「弱み」を把握することで、「強み」は自信に繋がりより強固なものに、「弱み」に対しては一つずつ具体的な対策を持って取り組もうとする意識が芽生えたと感じています。特に常勤・非常勤間の認識共有による対応力向上に向けては、作業能力表のブラッシュアップや利用者のケース会議への非常勤職員の同席など、できることから少しずつ取り組み始めています。これらの取り組みは現場職員から声が上がり始まったことです。第三者評価受審の何よりの成果だと考えています。現状に慢心することなく、これからも周囲からの意見に耳を傾け、支援力向上に向け努力していきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

働く経験を積み重ね ひとりひとりの人生を豊かにする―これは、法人の理念を元にして、事業所独自に掲げた運営理念です。ここは働く場であること、働くこと、働き続けることが自己実現につながり、人生を豊かにするという考え方が運営の視点となっています。職員間では、毎年度初めの全体ミーティングで確認し合っています。夕方に開く振り返りミーティングにおいて、一人ひとりの様子を共有して、運営理念に沿った支援ができているかを確認しあっています。見学時の資料に記載し、運営の根幹としてアピールしています。事業所内の各所に掲示し、事業報告書、重要事項説明書にも明記しています。職員は入職時や年2回の考課面談で確認しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向、地域の福祉計画等にも目を配りながら、法人による中・長期計画の作成に当たり、事業所の責任者もその一員として参画しています。利用者数、利用者像の変化を統計的に集計し、予算の執行状況を月次で法人本部に報告しています。毎月の予算決算、収支の状況はグラフ化して、毎月の職員全体ミーティングで共有しています。経営状況の把握はしていますが、結果を分析し、改善につなげていく取組に課題があると考えています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

事業所の目下の経営課題は、新規利用者の確保です。利用者の高齢化や予測のつかない退所が経営の不安定要素です。この課題は、事業所職員の間では認識を共有していて、取組が進んでいます。昨年度は見学会を4回開き、50名が参加しました。パンフレットのサイズを大きくし、写真で分かりやすいものに刷新しました。このような取組で新規利用者の獲得や実習受入れにつながったと考えています。法人の経営課題全体について、直接現場で利用者支援を担う職員への周知や、横断的な取組に課題があると認識しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

2024年度~2027年度にわたる法人の「中期経営指針(Denkiプラン)」を策定しています。その中に当事業所としての計画を盛り込んでいます。利用者の高齢化や工賃の向上への課題、企業就労やリワーク支援への取組、人材育成と組織力の強化など具体的なビジョンを掲げています。安定経営の基礎となる利用者人数、事業収入予想立て、年度ごとに目標を持って取り組んでいます。次期「中期経営指針」は、来年度から見直し作業を見込んでいます。計画作成が形式的に終わらず、実効性のある内容にしていくことが課題と感じています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

「中期経営指針」を踏まえて、今年度の事業計画を策定しています。法人事業部としては利用者満足度の向上、収支バランスを踏まえた運営等を目標に挙げています。これに基づいて事業所は、平均工賃の向上、新規利用者獲得目標、一日あたりの平均利用者数は数値目標とし、この他見学会の体系化、職員研修、給食サービスの導入などサービスの質の向上のための取組を計画にしています。事業所の職員が事業の振り返りをしっかり行い、そのうえで事業計画に参画できる取組にしていきたいと考えています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画のたたき台は主任職員が行い、事業所長が確認して作成しています。計画の実施状況については、上半期、下半期ごとに事業報告を主任が作成し、事業所長が確認した上で、理事会に報告しています。事業計画の策定や事業報告は、法人からしかるべきタイミングで指示があります。職員の参画や内容把握は職員個々の意識に委ねている点を今後改善すべき課題と捉えています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

毎年度6月中に利用者家族に配布する前年度の事業報告書に、当年度の事業計画を掲載しています。利用者会や家族会がないため、直接説明する機会はありません。今後、利用者や家族に事業計画を伝える機会を持ち、施設に対する安心感や信頼感を深める取組を実施することが期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

生産活動については日々のミーティングでサービスの現状を把握し、課題があると改善の取組を繰り返しています。予算に対する売り上げをチェックし、工賃の目標実現のための現状を把握をしています。利用者の個別支援計画は、目標を定めてケース会議等で検証し、半年に一度の見直しを繰り返しています。例年、事業報告はサービスの振り返りを職員が分担して記載し、次年度の事業計画へとつなげています。定められた評価基準に基づいた自己評価は実施していないので、今後の取組に期待します。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

毎年の事業報告は、職員が分担してまとめています。収入と工賃、苦情解決・虐待防止・安全衛生、余暇活動、新たな課題と支援ニーズなどを振り返り、各項目ごとにデータを交えて分析して評価を行い、次年度の事業計画に改善策を挙げています。職員間で課題の共有化を図り、職員の参画のもとで改善策や改善計画を作成しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

横浜市から2022年4月に移管され、市による運営を引き継ぎながらも、就労継続支援事業所としてあるべき事業所の姿、働く経験を積み重ねることで人生を豊かにするという運営理念を独自に打ち立てています。管理者の役割と責任は運営規程や業務分担表に明記していますが、広報紙などに掲載することはしていません。有事における管理者の役割と責任について、不在時の権限委任などを明確化することが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所として直接関わる法令として、障害者総合支援法については、熟知するよう努めています。例年市の集団指導に参加し、関係法令のアップデートを継続的に行っています。労働基準法、労働安全衛生法など就労継続支援事業所として必要な法令について研究し、内部研修を実施しています。介護保険関連は、法人内のケアプラザ職員を講師にして研修しています。虐待防止、身体拘束については法人のガイドラインがあり、事業所で研修をしています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

利用者本位のサービスとなるよう、気配りや目配りをしています。例えば、これまで仕出し弁当であった昼食を、本年4月から食事提供体制加算がつく給食の提供を導入しました。そのため、利用者負担を減少することができました。また、給食提供の際に、嚥下が困難な利用者のために、ムース食や柔らかい食形態で提供したり、むせやすい利用者のために食事前に嚥下体操をするなどの非常勤職員によるプログラムを主導しました。職員から作業環境を改善したいという意見が出れば、事業所全体の課題として取り組む仕組みを整えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

人事、労務、財務状況を踏まえながら事業計画や日々の業務の振り返りを通じて、必要な改善措置は速やかに実行するように努めています。全体ミーティングや常勤者ミーティングにおいて取り組むべき課題を具体的に示して、実行に移しています。給食サービスを開始したり、就労者を2名輩出して加算を獲得するなど、経営改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

常勤職員の採用は本部が担当し、非常勤職員の採用は事業所が担当しています。事業所としては、必要な人材を本部に伝えています。新人や異動職員の育成については、主任が中心となり事業所が育成計画を作成し、3ヶ月を目途に習得事項と目標を定めて振り返りをしながら実施しています。非常勤職員は特に生産管理の経験をもつ企業出身の人材を確保するように努めています。これまでは、法人の母体となる労働組合からの紹介が主でしたが、ハローワークも活用するようになりました。新任職員の育成プログラムはありますが、その後のキャリアごとの育成プログラムを構築して、職員の育成や定着に結び付けることが課題です。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人によるキャリアパス評価制度があり、職階ごとに利用者支援、日常業務、外部交渉、人材育成、事業所運営、などの領域の業務目標を具体的に定め、これが法人の「期待する職員像」となっています。考課面接は3月と9月の年2回実施します。キャリアパス評価項目に沿って、職員本人と評価と考課者(管理職2名)で行い、0(行えていない)、1(助言を要する)、2(自立して行える)で評価します。全部の項目が2であれば昇格します。このほか働く姿勢や自己目標を振り返り、達成次第で昇給のレベルが上がります。考課者研修や被考課者研修はありますが、部門ごとに評価基準の統一性に課題があると感じています。また各職員ごとのキャリア形成について見通しが持てるようにしていきたいとしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

事業所長は労務管理の責任者として、職員の身体的、精神的健康状態を日々確認しています。勤怠管理システムをチェックするなかで時間外労働や有休消化の状況を把握しています。法人は時間外労働は月平均6時間以下、有休消化率95%以上を行動目標として掲げています。毎年、メンタルヘルスの調査票を職員に配布し、問題があれば産業医と面談できる仕組みです。外部相談窓口も設置しています。職員の働きやすさを考え、車、自転車通勤や通勤経路を複数認めたりなど柔軟に対応しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

キャリアパス評価制度の中で、初級主事、主事補、主事、主査、副主幹、主幹、参事、参与という職階に応じて、期待される業務レベルを具体的に示しています。利用者支援、日常業務、外部交渉、人材育成、事業所運営などの領域において、どれだけ達成したかを、年2回の考課面接のなかで職員と話し合っています。業務評価だけでなく、責任性、積極性、協調性、規律性などの働く姿勢についても半期ごとに振り返り、自分の目標を立てて実現するよう促しています。新規採用職員、未経験の異動職員については、3ヶ月毎の目標を立て主任が中心に面談をしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

事業所が支援するケースは多岐に亘り、高齢化する利用者、今後も長期に継続が見込まれる利用者、スローステップで就労を目指す利用者、企業在籍でリワークをめざす利用者、それぞれに対応できる支援力をもった職員を育成することを、「中期経営指針」で示しています。これに対して法人は、職階ごとに受講すべき研修の一覧(県社協)を事業所に示しており、事業所としては、最低年に1回は研修に参加するように職員に促しています。これまで苦情解決、スーパーバイズ、リスクマネジメント、障害特性に応じた支援、就労支援研修などに参加しています。今後は、研修計画を組織的に管理し、事業所がめざす人材を育成することが期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員の知識、技術水準、専門資格の状況は事業所長が把握しています。新規採用職員などには、育成プログラムを作成し、3ヶ月を目標に主任が教育を担当しています。外部研修に参加した職員は、研修報告を法人のイントラネットにアップすることになっています。受講料、交通費は事業所が負担しています。職員が積極的に希望する研修には受講できるよう、体制をとっています。今後は個人別の研修計画を作り、職員の育成を具体的に進めていくことが望まれます。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

現在、事業所内に直接実習生を指導ができる資格を保有した職員がいません。法人内で所定の資格を有する職員が実習生を受入れた後、実習プログラムの一環として、事業所での実践的な業務体験を提供し、実習生の学びをサポートする体制を整えています。今後は、実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修や育成に関する考え方やマニュアルを明文化することが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページには、法人ならびに事業所の理念や基本方針、事業報告、財産目録、計算書類、苦情申し出窓口、個人情報保護規程を開示しています。また、フォトギャラリーに活動の様子を公開しています。苦情解決は、苦情を利用者トラブル、軽易、苦情、重大な苦情の4種類に分けて、その内容と対応策を第三者委員が加わった苦情解決委員会に報告します。重大な苦情は、事業報告として報告、公開しています。事業所パンフレットは基幹相談センター、区役所、支援学校等、関係機関に配布しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所の事務、経理、取引等は、経理規程や事務決裁規程など法人のルールに基づいて執行しています。法人系列の別の就労継続支援事業所とテーマを決めて、相互に業務の執行を適切に実施しているかを点検する形で、内部監査を年に1回実施しています。経理については、定期的な監事監査を受けており、この他社会保険労務士、弁護士等に相談できる体制をとっています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

就労継続支援事業所は企業から軽作業を受注するという性格上、地域住民との交流やイベントの開催などは特に行っていません。ただし、取引企業はなるべく近隣の業者を選ぶようにしています。また、移管前は市の施設であった特性上、現在も選挙会場として食堂、集会室を提供しています。利用者が活用できそうな地域の社会資源や情報などを掲示板などで提供するなど、利用者の余暇や社会参加をサポートする取組が期待されます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

学校との関係では、特別支援学校を中心に実習生の受入れは積極的に行っています。また、学校から依頼があれば、障害者雇用についての講演などに協力しています。今後、ボランティア受入れについての基本姿勢、ボランティア受入れの手続きについてのマニュアルなどを明文化することが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

利用者にとって必要な社会資源、関係機関は各利用者のファイルに記載し、職員間で共有化しています。利用者家族のニーズに適切な社会資源を案内できるよう、基幹相談支援センターリスト、後見的支援室のパンフレット、計画相談受入れ可能リストなどは、常に用意しています。区の自立支援協議会には区内20か所の就労継続支援事業所B型が参加しており、本会や分会に参加して情報収集や交流をしています。地域の関係機関・団体との協働的な取組や、利用者のアフターケアなどのための地域のネットワークづくりは、今後の課題です。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

区の自立支援協議会の本会、部会(日中活動部会等)に参加することで、地域の福祉ニーズを把握をするように努めています。また、基幹相談支援センターや計画相談支援事業所、特別支援学校等との連携においても情報を得て、ニーズの把握をしています。今後は、地域の会合参加や住民との交流活動に積極的に参加して、地域に根差した情報を広く取り入れていくことが期待されます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

選挙会場として事業所を提供しています。また、特別支援学校から依頼があれば、講演に協力をしています。今後は、これまで積み上げてきた専門的知見を地域に還元するような交流活動を行うことが望まれます。また、地域コミュニティーの活性化や街づくり、地域の防災体制への協力など、施設の機能を生かした貢献も期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「障害者の社会的自立」「地域福祉の充実」「福祉に対する啓発」を法人の理念それに基づく事業所独自の運営理念「働く経験を積み重ね ひとりひとりの人生を豊かにする」としています。入職時研修や毎月の全体ミーティング等で全職員に周知し、福祉サービス事業を推進しています。基本的人権への配慮については、法人として「虐待防止ガイドライン」を定め、毎年障害者虐待防止法の内部研修を実施し理解向上に努めています。今後、作業指導を中心として勤務をしている非常勤職員に対しての状況の把握・評価等に関して、その成果を可視化する仕組みを構築する必要があると考えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

トイレ、着替えなどのためのロッカー室は男女別に設置しています。体調不良やクールダウンが必要な場合は個人で過ごせる静養室を使用することができます。個人ロッカーは施錠ができ、職員が確認をする必要がある場合には必ず本人の承諾を得ています。本人の羞恥心を伴う支援には必ず同性職員が対応するなど、事業所内で職員は利用者のプライバシーに配慮したサービスを提供しています。今後、プライバシー保護に関する規程・マニュアル等の整備することが期待されます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所の情報はホームページのほか、パンフレットを支援学校や相談支援事業所といった関係機関に送付をし、関係機関から必要な人に渡しています。パンフレットはサイズを大きくしたり、柔らかな色合いにしたり、写真を載せたりと事業所の現状がより分かりやすくなるよう新しくしています。個別申込での見学のほか、年4回見学会を実施しています。昨年度は相談支援事業所など関係機関および特別支援学校を対象とし、130名を超えた見学者があり、複数名の新規利用につながっています。実習期間を設けているので、作業が希望者に合うかどうか確認してから契約を行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

利用開始に必要な利用契約書・重要事項説明書は利用者の障害の程度や特性に合わせた要約版があります。要約版は平易な文章でふりがなをふっています。その他にもさらにかみ砕いた言葉、手話、身振り、手ぶりも交えながら本人が理解できるよう説明をしています。毎年の更新時には更新有無の確認をしています。利用契約書・重要事項説明書に変更が生じた際には速やかに書面で知らせています。以上のように事業所では個別に丁寧な説明をしていますが、実際に行っていることをルール化した文書の作成は今後の検討としています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

退所者に対しては、地域の関係機関と連携しながら方向性を検討できる体制をとっています。横浜市戸塚授産所時代からの利用で他の福祉資源のつながりを持たない利用者が多いため、必要に応じスムーズな引継ぎをするために、家族の同意を得たうえで「情報提供書」を用いることもしています。また、事業所でのサービスが終了した後もいつでも相談に応じられるよう事業所の連絡先を明記した「退所届」のコピーを本人・家族に渡しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の障害特性により、利用者懇談会を定期開催することは難しいですが、毎年6月の個別支援計画改定に合わせ利用者アンケートを実施し、希望や意向を聞いています。事業所で昼食提供を開始する際は、試食をして味や舌ざわりなどの意見を聞き、食事に反映をしています。バスハイク、暑気払い等レクリエーションを行う時は利用者から行き先、食べたいもの等の行事前アンケートで希望を聞いています。また、家族会に関しては家族の高齢化に伴い参加人数が少なくなっていたことから、横浜市から現事業所に民間移管をした際に廃止をし、個別のやりとりを充実させるようにしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情受付窓口(担当者)は事業所長、解決責任者は第一障害福祉部長です。口頭や電話等のほか、第三者委員には匿名でメールを送ることもでき、意見や要望が出しやすいようにしています。法人の「苦情解決事業集計シート」を用い、利用者間トラブル・軽易な苦情・苦情・重大な苦情に分けてどのようにそれらが出されたか、検討内容、改善策を含めどのような解決に至ったかを記録しています。結果は事業報告書の配付、ホームページに掲載することで公表をしています。今後は苦情解決の仕組みを利用者が分かりやすい内容に変更し、再掲示することを検討しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

本人の心配事や困り事があれば職員に相談をしてほしい、と常々伝えています。利用者は仕事と休憩時間のけじめを守っており、相談事は仕事時間以外に職員に話を持ちかけています。相談内容によっては面談室を使い、プライバシーに配慮をしています。利用者から直接の発信がない場合も日々の発言や行動から見える変化に気を配り、職員側から声をかけ、必要に応じて面談を勧めています。さらに利用者からの相談や意見を述べやすいよう、今後は苦情解決の仕組みを利用者に分かりやすい内容に変更し、再掲示することを検討しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

利用者からの相談や意見は日々のミーティングや毎月のミーティングで話し合い議事録に残しています。職員間で対応を協議したうえで事業所としての対応を決めています。法人共通の「苦情解決事業集計シート」も活用しており、昨年度は「利用者間トラブル」が15件、「軽易な苦情」16件、「苦情」が4件、「重大な苦情」は0件でした。マニュアルは苦情解決事業規程と一体化したもので、苦情解決責任者は第一障害福祉部長です。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

利用者に事業所内で安心・安全に過ごしてもらうため、日々のミーティングの中で1日の様子を確認しています。職員は出勤するとミーティング記録・ホワイトボードの情報・作業確認ボードを必ず確認してから業務に携わることとしています。また、今月のヒヤリハット一覧を作成し、全体ミーティングで話し合うほか、毎月法人内で行っている「安全衛生委員会」に事業所から職員1名が出席し、持ち帰った月次推進事項についても共有し、取り組んでいます。さらに、利用者に対しても年1回以上、理解しやすい資料を使ったKYT(危険予知トレーニング)講習をしています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、感染症に関する「業務継続計画(BCP)」に従った対応をすることとしており、組織的に動くことができます。コロナ禍が過ぎた現在も、利用者への手洗い、うがいの励行や食堂のアクリル板の設置のほか、事業所内各所の消毒を継続しています。また、毎月法人内で行っている「安全衛生委員会」に事業所から職員1名が出席し、会議で得た情報を持ち帰り、職員間で共有し、感染症対策に生かしています。昨年度の事業報告書では事業所内感染症流行がなかったことを報告しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、災害時のための「業務継続計画(BCP)」に従った対応をすることとしています。年2回、利用者も参加する防災訓練を実施しています。1回は消防署の協力を得て指導やアドバイスを受けており、定期的に体制の見直しを図っています。備蓄品は「防災備蓄品在庫表」で利用者・職員3日分程度を確保し、主任が管理をしています。備蓄品は分散して保管をしています。また、必要な計画は適宜行政に提出し、事業所の立地状況等を確認したり、メールによる訓練も実施し、関係を築いています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

標準的な実施方法の基本として、「利用者対応の基本」という文書は、施設の運営理念をもとにして作成しています。事業所がめざす支援、指導の視点、利用者との会話・コミュニケーションへの配慮点、個人情報や守秘義務、作業指導の留意点、利用者に注意する方法、作業指導における指示方法、利用者の特性への理解、利用者の体調把握について記載しています。職員は毎年4月の全体ミーティングでこの文書をもとに方向性や各職員の役割を確認しています。作業内容の工程は、利用者に分かりやすいよう視覚化し、手順は掲示しています。日々の振り返りミーティングやケース会議で実施状況を確認しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

標準的な実施方法の検証・見直しは、日々の振り返りミーティング、常勤ミーティング、全体ミーティンケースやケース会議で行っています。利用者から事前アンケートをとり、個別支援計画の見直しが必要な場合は、計画書のたたき台を作成したうえで、担当職員、主任、サービス管理責任者によるケース会議を行って改善しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

サービス管理責任者を責任者として、定めたアセスメント評価指標に基づいて個別支援計画を策定しています。アセスメントは、日常生活、対人関係、基本的労働習慣について、自立レベルから支援レベル、要改善レベルまでを評価しています。現状の力をもとに障害特性に配慮しながら6ヶ月の目標を設定し振り返りをしています。担当職員が記録を分析しながら原案を作り、ケース会議、個別支援会議を経て、利用者への説明と交付の手順を踏むことになっています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の見直しの前に、利用者全員に事前アンケートを行っています。事業所をどう思っているか、やりたい仕事、苦手なこと、自分の目標を覚えているか、行事について、給食についてなどの項目があり、自由に意見を書けるようになっています。利用者の意向や日々の観察を通じて半年に一度のペースで計画の見直しを実施しています。日々現場で利用者に作業指導をしている非常勤職員との間で、個別支援計画の内容、支援方針についての認識共有が十分でないので、改善したいと考えています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

入所時に作成する利用者個人票、利用者の基本的データベースである「利用者情報ソース」、個人ファイルは統一した書式で管理しています。日々の記録はパソコンで書き込み、職員間でリアルタイムで共有化し、書き込みを追加できる仕組みになっています。記録の書き方は職員によってまちまちであり、職員への指導については改善が必要であると考えています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人の個人情報保護規程を定めており、利用目的の特定と目的外の利用制限、取得の制限、データの適正管理、などのルールを定めています。事業所としても独自に、職員が特に留意すべき行動について具体的に列挙してある文書を使って、全体ミーティングで定期的に繰り返し確認しています。利用者の写真動画の使用について個別に同意書を得ています。利用者ファイルなどは事務所で施錠管理しています。文書管理の責任者は事業所長で、文書管理規定により文書の保存期間は5年間、期間後はシュレッダーで廃棄しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所は「加齢により次なるステップへの移行を要する利用者」「この先も長く利用を継続されるであろう利用者」「スローステップで就労を目指す利用者」「企業からの離職後支援や復職支援を要する利用者」がおり、本人の通所目的が多岐にわたっています。横浜市戸塚授産所時代から30年以上在籍している利用者もおり、次なるステップへつないでいく必要性も視野に入れています。自らの考えを表出するのが難しい利用者の場合は複数の選択肢を示しながら意思決定のフォローをしています。スローステップで就労を目指す利用者、リワークを目指す利用者に対しても職員間だけでなく、関係機関と連携を図りながら本人の自己決定に基づく丁寧な個別支援で就労や復職につなげています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

運営規程や就業規則の中で、利用者を尊重する、利用者の権利擁護を包括的に示しているほか、法人として「虐待防止ガイドライン」を定めています。事業所職員が権利擁護に関する外部研修に参加した時には、その資料に基づいた内部研修を実施するほか、障害者虐待防止法に関する定期的な内部研修をしています。新聞やニュース報道された他事業所等の不適切事案についても、ミーティング等で職員間で共有、話し合い、意識の向上に努めています。事業所では、利用者の権利擁護に関するさらなる理解や意識の向上に非常勤職員を含む全職員で努めていくことが必要と考えています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者に、「働く」ことを意識できるよう、日々の全体朝礼・終礼を取り入れたり、ロッカー室で作業用の上着に着替えたり、チャイムと同時に作業を開始できるよう気持ちの余裕を持ってもらうため、作業開始3分前の予鈴を導入するなど、職場で働くための意識作りをしています。今年度からは昼食後の眠気覚ましや気分転換を図り作業効率が落ちないよう、13時30分から音楽に合わせた軽い運動を取り入れています。けじめ、マナーを学ぶ機会も設け自立のための動機づけをしています。また一人ひとりの障害特性や性格を踏まえ、こだわりが強かったり、行動パターン変化が苦手だったりする個々のケースを踏まえた支援をしています。通所途中で買い物をしてバスに間に合わず遅刻してしまった場合には、予定を踏まえた行動ができるように支援しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、利用者の障害特性のほか、それぞれの癖、表情、行動、機嫌、不穏の前触れなど観察、確認しながらコミュニケーションをしています。発語が難しい利用者の場合は、複数の物を示し選んでもらったり、「はい」か「いいえ」を選択できる言葉かけをするなどしています。その他、パソコンの音声認識システムで職員の言葉をすぐ文字化してそれを見てもらう、筆談ボードを使う、手話でやりとりするなど個別に対応しています。職員は一人ひとりが発するサインを見逃さないよう観察し、十分な意思疎通に努めています。本人の気持ちを推し量りながら一人ひとりに合わせたコミュニケーションをし、職員と利用者が気軽に会話を楽しめる関係性を築いています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

本人の心配事や困り事があれば職員に相談してほしいと常々伝えています。利用者は仕事と休憩時間のけじめを守っており、相談事は仕事時間以外に職員に話を持ちかけています。利用者から直接の発信がない場合も日々の発言や行動から見える変化に気を配っており、職員側から声をかけ、必要に応じて面談を勧めています。相談を持ちかけられ、本人の気持ちを傾聴することで解決する場合のほか、検討案件や要解決案件が生じた際は、面談室を使い、プライバシーに配慮しながら個別面談をしています。また、職員単独で判断できない内容は、事業所長(兼サービス管理責任者)を中心に夕方の職員ミーティングで共有、検討をし、事業所として一貫性のある対応ができるよう努めていますが、本人の意思決定の適切な支援に関し、さらに丁寧な対応が必要と考えています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所は「働くところ」と利用者が意識できるよう支援しています。作業は箱折り、ナンバリングの部品組み立て、コーヒー梱包・シール貼り、掃除キットの封入・封緘などがあります。封入作業では治具(自助具)の工夫・開発をしたことで、すべての利用者が参加できる作業となったほか、封入ミスの減少にもつながっています。利用者の希望や必要に応じたグループワークも実施しています。例えば年4回のレクリエーション活動の一つのバスハイクでは「公共の場での集団活動(マナー・ルール等)を学ぶ」「外部施設で自力で選択、注文、支払いなどの経験をして社会性を育む」「自分のお金で余暇を楽しむことで日々の仕事の大切さを知る」などを目的として開催することについて事前に利用者に説明をしています。事業所は「働くところ」ですが、レクリエーション活動ではゲームで盛り上がったり、自分の体力に合わせたウォ―キングコースを選んだり、皆でオフの時間を楽しんでいます。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉士、精神保健福祉士といった資格を持ち、経験豊富な職員が揃っており、利用者それぞれの障害特性・性格などに応じた適切な支援ができるよう努めています。利用者の行動障害に対しては、面談や環境調整などで未然に防ぐようにしたり、他機関とも連携を図り、医療機関へのつなぎや情報共有もしています。利用者によっては事業所内でのタイムスケジュール表を個別に作成し、パーティションで仕切った場所で一人で作業をする配慮をしています。業務日誌や連絡帳を自ら書くことで仕事に対する意識を持てるよう配慮しています。今後は、職員間での情報の共有をさらに密にし支援をしていく必要性があると考えています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

今年度から希望制の給食の提供を開始しています。各利用者の生活状況・健康状態・障害特性に応じ、普通食・やわらか食・ムース食の3種類を用意し、適切な食事が提供できるようにしています。利用者は自分で食事を摂ることができるので、職員の介助はありません。給食は好評で申込者が増えています。排泄に関し、失敗があった時は同性職員が援助し、必要に応じてシャワー室を使用しています。また、必要に応じて事業所の車いすで移動援助をしています。事業所は原則送迎サービスはしていませんが、持病により自力通所が難しくなった利用者に対し、限定的に職員が送迎に付き添う体制をとった事例があります。個別対応の詳細がすべて個別支援計画に落とし込めていないことが現在の課題と捉え、職員間での共有をさらに密にし支援をしていく必要性があると考えています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

事業所は横浜市戸塚福祉授産所時代からの建物をそのまま引き継いでいます。清掃(兼給食)専門の非常勤職員が日々事業所内清掃をしています。中庭があり、それを囲む掃き出し窓や作業場等の窓から陽光が入るので建物内は明るく清潔感があります。中庭に季節の花々のプランターや椅子を置き、利用者が気分転換できるようにしています。利用者のクールダウンが必要な場合には一人になれる静養室を使用しています。これまでの事業所の利用状況や老朽化を考え、授産所時代にはなかった網戸を設置したり、丁寧なワックスがけで床の古い汚れを取り除いたりしています。今後も庭の有効活用、冷房が故障している箇所、トイレの温便座設置など修理や工事について検討し、利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境の確保をしていこうとしていますが、予算の関係等あり進まない部分もあります。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

通所歴の長い利用者が多く、加齢による身体面・体力面の低下がありますが、作業は基本立って行うことで健康維持・機能低下防止に努めています。発作や体力面の心配がある利用者には、傍らに椅子を置きいつでも座れるよう安全対策をしています。昼食時に誤嚥にならないよう嚥下体操も取り入れています。通所の初期段階ではその人に応じた環境設定・声かけ・見守りなど対応を密にしています。本人の事業所内でのさまざまなことの習得状況に応じて、声かけを減らし見守りを増やす支援をするように切り替えています。また、利用者によっては個別の業務日誌を書き、本人の状況や考えていることを把握するようにしました。それを職員だけでなく、医師、作業療法士等と共有し、ケースカンファレンスで連携しながら本人が安全に作業が遂行できるよう努めた事例があります。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

職員は日々利用者が通所した際の表情や様子を確認し、検温しています。手洗い・うがいやアルコール消毒を行いながら感染症予防を継続しています。年1回の集団健康診断は検診車で実施しています。半年ごとの協力医による内科健診もあり、定期的に健康状態の把握に努めています。家庭やグループホームでの様子も聞き、支援に生かしています。また、利用者向けに法人所属の管理栄養士を講師に招き、栄養講座を開催しています。食べ物の写真を使い、体に必要な栄養素について毎日食べている食事を振り返り、足りている栄養素、不足しているものを一緒に考え、食べることの大切さについて学んでいます。利用者の関心も高く、積極的な発言がありました。その他、作業中に体調不良の時は静養室で休んで様子を見たり、家族に連絡をして病院に行くかの判断を仰いだりしています。利用者の健康管理等についての定期的な研修に関しては今後の検討としています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

医療的な支援は実施していないため、非該当です。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年4回のレクリエーションのうち2回の新緑ハイキング、バスハイクの外出レクリエーションの前には社会性やマナーを守ることの大切さのワークのほか、どんなところに行きたいか、何を食べたいかなど、利用者から意向を聞いています。新緑ハイキングでは出発前に健康講座を開き、ウォ―キングの効果やコツ、適した服装やハイキングの目的など話しています。ハイキングは長距離・中距離・短距離のコースを設け、参加者それぞれのニーズに合わせた班編成にしています。暑気払い・おつかれさま会は事業所内で開催し、ゲームや昼食を楽しんでいます。その他ワークで氏名や住所を正確に書くことができるよう書字練習もしています。利用者によっては語彙力、適応力をつけるために自分で業務日誌をつけることもしています。また、自立度の高い利用者は休日に自分の行きたい所に行き、友人と会ったり、実家に帰ったりしています。ガイドヘルパー支援を受けることもしています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の多くが電車・バスの公共交通機関や自転車等を利用して通所をしています。スマートフォン、パソコンなどで必要情報は自分で得ている利用者もいます。その中でも、実家から独立しグループホームで暮らしたい、別事業所のほうが本人に合っていると思われる場合など、関係機関と情報共有しながら支援しています。今年度は利用者向けに自分の将来についてイメージが持てるための勉強会を実施しています。現在グループホームに入居している利用者に生活の様子を話す機会を設けると、参加者から多数の質問が出て勉強会が盛り上がりました。また、開所から3年間で数名の他事業所や在宅移行者がいます。B型事業所として提供できるサービスの限界を踏まえながらサービス移行について本人・家族と話し合い、移行をしましたが、移行したことが本人・家族の意思を尊重できていたか、事業所本位になっていなかったか常に課題としています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

一部利用者の家庭やグループホームでの状況、事業所での過ごし方、本人への対応について、連絡帳を使用しています。本人の気持ちが不安定な時やいつもと様子が違う時は家庭等で何かきっかけがあったのか、電話で連絡をとることもしています。家族会に関しては家族の高齢化に伴い参加人数が少なくなっていたことから、横浜市から現事業所に民間移管をした際に廃止をし、個別支援計画作成や中間時の話し合いを始め、個別のやりとりを充実するようにしています。年4回季刊発行している「はなえみ通信」は職員体制、レクリエーション、利用者向け講座、新規受注先紹介など事業所の活動の様子を写真やイラストを交え分かりやすく伝えています。家族等とコミュニケーションを図りながら、本人希望と家族の希望の食い違いなどの調整を行い、本人にとって最善の方向になるよう努めています。利用者の体調不良や急変時の家族等への報告・連絡ルールの明確化については今後の検討としています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害児施設ではないため、評価外です。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所は「加齢により次なるステップへの移行を要する利用者」「この先も長く利用を継続されるであろう利用者」「スローステップで就労を目指す利用者」「企業からの離職後支援や復職支援を要する利用者」がおり、本人の通所目的が多岐にわたっているため、それぞれの意向・希望に沿った個別対応に努めています。事業所では製造現場に携わってきた人材を非常勤で一部採用をしているので、福祉目線だけでなく、作業効率化、品質工程管理、安全意識の知識等就労現場目線からの支援もできています。事業所は「働く場所」であることを利用者に認識してもらえるよう日々働きかけています。丁寧な個別支援から就労を目指す利用者のトライアル雇用につなげたり、リワークを目指す人の復職事例もあります。事業所が運営を開始してから4年目を迎えますが、この間複数名の就労実績があります。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

封入作業では治具(自助具)の工夫・開発をしたことで、すべての利用者が参加できる作業となったほか、封入ミスの減少にもつながっています。受注先の企業が利用者が扱いやすいような部品組み立てのための治具制作の協力をしてくれています。個別支援計画に本人の意向として「製品梱包や運搬を手伝いたい」「箱折りをやりたい」等聞き取り、それに向けた支援をしています。本人の障害特性・性格・体力等も考慮しながら、パーティションで仕切った場所で一人作業をする、椅子に座って作業をする、立ち流れ作業で箱折りを協力しながら行い、まとめていく利用者の様子の確認が訪問調査時にできました。また、工賃については出来高制から時間給に変更をしています。利用者が理解できるよう、工賃とは、工賃をもらえる日、工賃のもらい方など分かりやすく記した「戸塚はなえみ工房 工賃のきまり」で説明をしています。新規の受注開発もできており、年2回の賞与も含めた平均工賃は2万円台を維持しています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人は神奈川県の産業別労働組合の一つである電機連合神奈川地方協議会の社会福祉活動から障害者の就労や雇用の問題に焦点を合わせた事業を展開してきている土台があります。事業所の運営理念を「働く経験を積み重ね、ひとりひとりの人生を豊かにする」とし、「働くこと」を意識した環境設定の中利用者は、紙器組み立て・食品梱包・部品組み立てなど受注軽作業を中心とした作業を行っています。職員は、利用者一人ひとりのペースに合わせながら「働くこと」「企業就労」のための支援をしています。ネット通販向け製品を展開する企業から新規作業を獲得するなど、受注先の開拓もしています。事業所は就労支援経験豊富な職員が揃っているためその人の意向や希望に沿った丁寧な個別支援ができ、就労希望利用者のトライアル雇用につなげたり、リワークを目指していた人が復職したりした事例もあります。