社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ホームくれよん

2025年12月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社 R-CORPORATION
評価対象事業所名 ホームくれよん
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム) 
設立年月日 2019年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 特定非営利活動法人 すけっちぶっく川崎
③ 理念・基本方針 <理念>
1.地域の人々に共感と信頼が得られる事業を行うことにより、地域の人々が障害の有無にかかわらず、共に暮らす生活の喜びを実感できる支援を行います。
2.地域社会の一員として、共に生き、共に感じ、そして共に成長する。
3.地域の関係機関と連携し、相談に来られる方々と地域福祉の向上を目指します。

<基本情報>
1.人権の尊重
利用者ひとり一人の基本的な権利を守り、差別・虐待・権利の侵害を許さず、安心して過ごせるようにします。
2.意思決定の支援
利用者の意思を尊重し、ひとり一人が自らの意思で選択や決定できるよう支援していきます。
3.地域社会との共生
生まれ育った環境のもと、自立・自律した生活が送れるよう支援していくことと、地域社会と連携していけるよう支援します。
4.様々なコミュニケーションツールを活用し、利用者それぞれの意思を理解していきます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 <事業所の特長的な取組>
1.毎日を楽しく暮らし、生きる喜びを感じあえるような関りを行う。
2.ひとり一人がその人らしく生活ができること。
3.伝統と文化を大切に四季折々の行事(暦)。
4.どのように支援(関わること)すれば生きやすくできるかを考えること。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2025年08月13日
終了:2025年11月21日(評価結果確定日)
受審回数:初回
⑥ 総評
◆ 特長や今後期待される点
<概 要>
●ホームくれよん(以下「当ホーム」という。)は、JR「川崎駅」の南方約2㎞の住宅街に位置し、JR南武線「川崎新町」から徒歩3分程度です。ホームの周辺は住宅や学校等が存在する閑静な環境を有し、川崎駅にも近く、渡田の商店街がある等、利便性にも恵まれています。また、バス路線である国道140号線が近隣にあり、交通の便も良い場所です。

●ホームの運営主体は、特定非営利活動法人すけっちぶっく川崎(以下、「法人」という。)です。法人は、川崎市幸区南幸町に所在し、川崎市内に当ホームを含めて、障害者共同生活援助事業所を3か所運営・実施しています。法人と当ホームは車で15分程度の距離にあり、機能的な強みを持っています。

●当ホームは、知的障害を有する成人女性が入所し、夕方から翌日の朝までと、土・日・祝日に職員の支援を得て生活をしています。定員は4名ですが、現在、障害の程度が中・重度の3名が当ホームで暮らしています。建物は、市道に面した木造2階建ての戸建てで、利用者の居室は、1階に2室、2階に2室の計4室を有し、6畳間が3室、4.5畳間が1室の構成にて、各部屋には押入が設置されています。居室は各室とも窓があり、日当たりも良く、採光・通風等は良好です。利用者は日中、生活介護事業所等、他法人の経営する日中活動を目的とする事業所に通っています。女性のみが入居する当ホームでは、みんなでお化粧やネイルを楽しんだり、休みの日は買い物や散歩に出かけ、クリスマスや誕生日会等ではケーキでお祝いしています。

◇特長・今後期待される点
<特 長>
1.【利用者のエンパワメントによる、利用者・職員の満足度の向上】
法人と当ホームの一体的な運営が図られていることが、特徴として挙げられます。法人とホームのスタンダードな関係性では、法人の方針の下、各ホームの運営が図られていることが多く見られますが、すけっちぶっく川崎では、法人本部にサービス管理責任者を置き、サービス管理責任者と各ホームの職員が連携して利用者支援に当たっています。いわば、法人とホームが一つのホームとして機能しています。法人の基本理念は明確であり、利用者の自立・自律を目標としており、利用者が、「生活の喜びを実感できる」、「地域の一員として、共に生き、共に感じ、共に成長する」ことを目指しています。理念の実現には、法人とホームの地理的・機能的な距離が強みとなっています。サービス管理責任者と担当者が同一方向を向き、利用者に「駄目なことは駄目」、「良いことは良い」と繰り返し、辛抱強く理解を求め、習慣付けることにより、一つひとつ利用者ができることを積み重ねて満足度を高めています。さらに、利用者の状態や意向を把握しながら支援を工夫し継続することにより、利用者個々にできることが実現できた時の達成感を得られたことにより、職員がこの仕事を選んで良かったと感じられる職場づくり=「利用者と職員の満足度の向上」が、法人の目指すところです。職員・利用者インタビューでは、利用者は「生活が楽しい」、職員は「仕事のやりがいがある」と話を伺いました。

2.【明確な目的と戦略的な人材育成】
法人本部職員を除き、全てのホームの職員は非常勤職員ですが、法人では常勤職員・非常勤職員の区別なく、一人ひとりの職員として職責を果たすことができる職員を、次のように明確な目的を持って戦略的に育成しています。業務は、ワンオペレーション(一人仕事)を基本とし、各ホームには責任者を置かず、先任・後任の差はありますが、職員は全て同格です。職員育成の目的は明確であり、利用者の自立・自律支援に向けた知識・技術はもちろん、職員の意識・姿勢の習得を特に重視して職員育成を図っています。職員育成は、サービス管理責任者や先任職員によるOJTの他、毎年2月に行う法人研修(毎年2月実施)で、PDCAサイクルや報・連・相の重要性に加えて、法人の由来・理念・心構え・気づきの大切さ・CS(利用者満足度)・ES(従業員満足度)等について、繰り返し徹底しています。さらに、目標管理制度を採り入れ、頑張った業務(D)・その成果(C)・今後の取組(A・P)をサービス管理責任者と担当者が毎年2回の面談で確認・評価しています。外部研修では、スキルアップ研修や、障害特性の理解・障害者特性に即した支援に資する研修を厳選して受講を促進すると共に、オンライン研修・動画研修を取り入れることにより、職員の受講の便宜が図られています。

3.【働きやすい職場づくり】
法人では、「職場環境要件」を定め、職員が働きやすい職場づくりを計画的に進めています。当該要件中の、「職員の資質の向上」では、上記2.に記載した取組に加え、実務者研修受講支援や受講に係わる学習時間の確保・シフト調整の他、キャリアパスを定め、資格と人事考課(処遇)との連動を図っています。「労働環境・処遇の改善」では、会議やミーティング、SNSを利用して、コミュニケーションの活性化を図ることによる良好な職員関係の維持・向上や、利用者支援方法のアドバイス、報・連・相の活性化による事故防止と効率的な業務推進等が図られています。また、非正規職員から正規職員への転換制度の設置や、ホームページ等を活用した経営・人材育成理念等の組織内容の「見える化」を図っています。さらに、ワーク・ライフバランスを考慮したシフト調整や有給休暇の取得奨励を行っています。ホームの職員は非常勤職員で給与は時給ですが、毎年昇給があると共に、夜勤手当をはじめ資格手当等業務に関する多岐に亘る手当が設けられています。そして、人事考課と連携した賞与制度、70歳(延長有)までの継続雇用、社会保険加入、退職金制度設置等、職員処遇改善が図られています。因みに、数年働けば一人暮らしや共稼ぎで生活できる程度の収入が得られ、自身の裁量・ペースで仕事ができる現状の職務環境の魅力から、これまで正規職員への転換希望はないとのことでした。

4.【個人情報のセキュリティ管理の徹底】
個人情報は、利用者の支援計画やモニタリング結果記録、担当者会議の要点、生活支援アセスメントシート等がまとめられた利用者個々の冊子の他は、ほぼ全ての記録や書類はシステムに搭載されています。システムに搭載された各種記録や書類は、共通して閲覧できる書類等のグループと、ホームごとに閲覧できる利用者の個人情報が含まれる書類等のグループに分けられています。後者の個人情報等が含まれる書類等については、閲覧できる職員の権限が設定されています。管理者・サービス管理責任者には全ての書類等を閲覧できる権限を、ホーム横断の兼務職員は関係するホームの書類等を閲覧する権限を持ち、1つのホームのみに従事する職員は当該ホームのみの書類等の閲覧権限とし、それぞれ設定することにより個人情報の管理が厳格に行われています。

5.【利用者の余暇活動の充実】
当ホームの利用者の障害程度は中・重度ですが、健康で体が動くこと、女性4名定員の小規模なホームであることから、法人系列のホームの中では最も家庭的で、利用者のまとまりのある温かいホームであると認められます。日中活動事業所への通所のない土・日・祝日には、午前中はそれぞれに、或いは、職員と一緒に散歩や買い物を楽しんでいます。また、午後にはトランプ等のゲームやカラオケの娯楽を楽しんでいます。職員のインタビューでは、他のホームと比べた当ホームの特徴として、余暇活動の充実が挙げられ、職員が工夫して一緒に楽しむ時間を持っています。利用者インタビューでも「カラオケやゲーム、散歩、買物等が楽しい」と話を伺うことができました。


1.【法人の経営基盤の強化と事業多角化について】
現在の法人形態は、特定非営利法人で事業規模等に対して法人税が徴収されています。直近の事業活動計算書を考察すると、当該年度の経常収益はあるものの税引き後は赤字となっています。近い将来、社会福祉事業や公益事業に非課税の社会福祉法人への移行を検討されることと、事業の多機能化を図ることにより、経営基盤の充実・強化を進められることが期待されます。事業の多角化に当たっては、利用者支援の一貫性や生活の充実を図る上でも、生活介護や就労継続支援事業等、利用者の日中支援に関わる事業に取組まれることが望ましいものと思われます。利用者の仕事の場を提供する事業の実施については、法人の中・長期的な目標にも掲げられており、計画的に早期の実現が図られることを期待します。

2.【利用者の自立・自律機能の向上に留意した支援、保護者との連携方法の統一化について】
当ホームの見学の際、日中活動事業所から帰宅した利用者に、職員が冷蔵庫から冷たい麦茶を出してコップに注ぎ、利用者に提供しているところを見かけました。一般家庭では、外出先から帰った際には自分で冷蔵庫から麦茶のポットを取り出して自分でコップに注ぎ飲むことが普通の光景ですが、疲れて帰ってきた利用者を労う心遣いは貴く、理解できますが、利用者の能力維持や生活習慣を確立する上でも、利用者ができることは自ら行うことが適当と思われます。また、「サービスをする側」、「サービスを受ける側」と認識が分かれてしまい、共同生活の意味が薄れてしまいかねません。ついては、支援方法をホーム内・法人内で確認されることを期待します。次に、保護者との連携について、職員インタビューの中で、法人内のホームによって担当者が保護者と連絡を図る、管理者に保護者連絡を依頼する、と対応が分かれていました。通常、法人本部職員が保護者に連絡をするということは事故対応等特別の場合を除いては考えにくいことですが、これは管理者が担当者の直属上司のように、法人本部とホームの関係が近いことがデメリットとして現れているものと認められます。支援業務はワンオペレーションですので、日常、利用者に接しており、利用者を一番理解している担当職員が責任を持って保護者と直接連携し、利用者のみならず保護者の意向も尊重した支援方法を検討・実施することが業務の一環として求められます。当ホームでは保護者連絡を自ら行う職員と、管理者に依頼する職員が混在していることでしたので、通常の保護者連絡は担当職員が行い、トラブルにつながりそうな重要なことに限った保護者連絡を管理者に依頼する等、法人・当ホームで保護者連絡のルール化・統一化を図られることを期待します。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント 施設名 すけっちぶっく川崎     
           
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
開所、運営を始めて6年半。自分たちの仕事がどうであるかまた、どうであったかを確認、気付けることができればと思い、受審しました。

様々なご意見とアドバイスをいただけ、第三者という外からのご意見はとても、大事な言葉でありました。
歩む道に間違えはなかったと思えた内容でした。
利用者、職員のそれぞれの思いを背負い、これからの力になっていくと思えました。
ありがとうございました。

≪評価後取組んだこととして≫
1.ハラスメント及び個人情報(プライバシー等)等についてのオープン化と確認。

2.法人強化についてのプロジェクト。

3.再度の見直し。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

「障害の有無にかかわらず、共に暮らす生活の喜び」・「共に生き、共に感じ、そして共に成長する」・「利用者が、地域において自立・自律した日常生活・社会生活を営むこと」、誰しもが思い、願うことである。成長して生きていきたい。当たり前の世の中が薄らいでいっているように感じる。ひとり一人が思い描けるような職員集団にしたい。法人の理念・行動指針については毎年、法人内研修にて説明と周知している。

◆評価機関からのコメント

利用者の自立・自律を促し、利用者が日々の生活の中でできることをひとつずつ増やし、成長していくことによって利用者が喜びを感じられる生活の実現を目指していく理念は、明確です。基本方針は理念を実現するための行動指針となっています。理念・基本方針は毎年2月に実施される法人研修で、職員への周知・徹底が図られると共に、理念に沿った支援の姿勢や心構えについて、管理者がホームを巡回する際にも意識して職員に伝えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

毎月の運営会議等で報告をしている。省庁や行政からのメール等については、各ホームへメールを転送し共有をしている。収支決算報告書については、障害福祉サービス等情報公表システム(WAMNET)に掲載をしている。各ホームの予算執行については詳細には報告ができていない。今後の課題として検討をしていきたい。社会福祉事業を取り巻く動向や各種福祉計画、福祉サービスのニーズ等の経営等については本部内で検討し各ホームへ周知している。また、コスト分析や職員体制、福祉サービスの内容等の経営課題についても同様に本部内で検討し周知している。

◆評価機関からのコメント

国や市からの福祉施策の動向等はメールで適時配信される為、入手した国・市等の情報は各ホームにメールを転送することにより即時に周知が図られています。また、法人の経営方針や利用者支援に関わる指示、他類似施設の事故等の情報は、毎月第二水曜日に開催される法人本部2名のサービス管理責任者と各ホームの職員、計5名による運営会議で伝達・確認・協議が成されています。さらに業務上必要な情報はメールやSNSで即時に伝達を図っています。法人の経営状況は情報を公開し、職員にも伝えられていますが、各ホームの経理は法人本部で行っているため、職員にはホームの経営状況が実感として捉えにくい状況です。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

本部にて、法人・各ホームの年度の目標を設定する他、法人の年度事業計画を基に、グループホームの事業計画を策定している。事業計画の内容は、目標及び実施計画、消防・防災計画等の内容を記載し、共有化を図っている。

◆評価機関からのコメント

中・長期の目標として、組織の不変の目標である「利用者が生きる喜びを味わえる事業(支援)」を行っていくこと、次のステップとして「利用者が仕事をする場」の事業の計画・実施、そして、利用者が帰宅できる間は利用者の帰宅を促し、「家族という集団を大切にしていく」の3点を重視した取組を進めていくこととしています。中・長期の目標は運営会議やホームごとの職員会議で周知しています。事業計画は、ホームごとに策定されています。法人は利用者支援の姿勢・考え方を重視しており、法人の事業計画は、基本理念・運営方針・共同生活支援事業(事業内容・各ホームの支援内容・職員研修)で構成されており、内容は毎年同様です。当ホームの事業計画は左記の記載内容の通りですが、事業計画の中に、入居者個々の支援目標が掲げられていることが特徴的です。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

グループホームで開催する職員会議を通じて、ホーム全体の運営に係わる課題を協議し、支援の質の向上に取組んでいる。 個別のケースに関する支援内容については、グループホーム会議で検討し、支援に反映している。

◆評価機関からのコメント

利用者の自立・自律度の向上が組織的な目標ですので、利用者支援に当たってはPDCAサイクルに沿った持続的な取組を重視しています。この為、グループホーム会議の活用は勿論、法人研修や目標管理においてPDCAサイクルの意義や、実施効果の理解を促しています。PDCAサイクルの研修の視点は、個別性重視の援助、ニード中心、QOL重視、エンパワメント、自己決定による自立です。目標管理では、Do-CAPシートを用いて、頑張った業務(D)、その成果(C)、今後の取組み(A/P)を管理者・サービス管理責任者と職員が振り返り、支援の改善を図る取組を行っています。さらに、利用者満足度調査を毎年実施し、結果を当ホームの自己評価に活用しています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

全職員には、法人研修や各会議にて、年度の重点目標について説明し、事業について伝えている会議に参加しなかった職員には会議録を回覧している。基本的に会議は、リモートにて行っている。会議以外では、支援システムを使用しての伝言や、引継ぎノートを使用し職員へ周知している。

◆評価機関からのコメント

法人の管理者はサービス管理責任者であり、法人本部内在籍のサービス管理責任者と共に、各ホームの担当職員と協働して利用者支援に取組んでいます。法人と各ホームの距離は近く、法人の考えや方針が実際の支援に反映し易いことが、この組織の特徴です。また、各会議等の他、目標管理の職員面談時や法人研修においても継続的に組織の方針等を周知しています。管理者不在時の権限移譲は事業継続計画(BCP)に明記しています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の人事考課規程に則り人事基準を明確化し、職員に周知しています。全職員を対象に「目標管理シート」を用いて年2回面談を実施している。目標設定と達成度の評価をしている。面談では職員の意向を聴取し、適宜実務に反映している。職員には、職務や経験に応じた研修の受講を進めている。職員の意向や家庭の状況等を聴取して働きやすい職場づくりに努める他、ライフ・ワーク・バランスにも配慮した勤務編成を行っている。

◆評価機関からのコメント

人材育成の考え方は明確であり、利用者の自立・自律を辛抱強く継続的に促し、できたことを利用者と共に喜び合える人材の育成です。OJT、法人研修、目標管理もこの目標に沿って戦略的に行われています。職員の資質の向上や労働環境・処遇の改善、情報公開等を内容とする職場環境要件を公表して働きやすい職場環境づくりに取組んでいます。各ホームの職員は非常勤職員ですが、昇給、各種手当の設置、社会保険の加入、退職金制度、70歳まで継続雇用(延長有)、有給休暇制度、人事考課と連動した一時金の支給等、処遇の改善が図られています。福祉人材の育成に関する実習生の受入れについては、昼間は利用者・職員が不在となるため、受入れに馴染まない事業形態です。なお、働きやすい職場づくりの取組に、ハラスメント防止のための規定整備を加えることが期待されます。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人のホームページに情報公開ページを設け、現況報告書や財務諸表の他、系列事業所の自己評価結果、当該年度の処遇改善加算計画書等を掲載して、事業運営の透明性確保に努めています。入所施設やグループホーム等、障害者支援の現場が密室化しやすいことに鑑み、ホームでは風通しの良い環境作りに努めています。近隣住民にも働きかけを行い、障害の理解と共に共助の関係作りに努めています。職員間でのコミュニケーションを密にし、情報共有を図っています。

◆評価機関からのコメント

法人は特定非営利活動法人ですが、社会福祉法人に求められる内容と同等の情報が公開されています。情報公開のツールは、法人のホームページと内閣府NPOホームページです。法人のホームページは大きな見やすい表示で法人案内・利用者向け情報・採用希望者向け情報をビジュアルに掲載しています。内閣府のホームページでは、法人の現況や事業報告、定款、計算書類等が掲載され、透明性が確保されています。内部監査等は行っていませんが、管理者がサービス管理責任者としての業務の必要上、各ホームとの常時連絡や定期巡回を行うと共に、企業の現役の役員である監事が企業経営の視点で理事会や職員研修でアドバイス等を行っています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人理念に「地域の人々に共感と信頼が得られる事業」・「地域社会の一員として」・「地域の関係機関と連携」を明示している。ホームごとに地域の方々から様々なことで、お問合せ等をいただいている。「元気に歩いていたよ。」、「歌を歌って歩いていたよ。」等、利用者を気にかけていることが伺えるお話である。災害時用にホームにおいてが、利用者及び職員用3日分の災害備蓄品の他、近隣住民の受入れを想定し、若干の余剰備蓄を確保している。

◆評価機関からのコメント

理容・買い物・散歩等、生活に地域資源を活用しています。特に、当ホームでは、近隣に神社があるので、地域のお祭りに参加する等、地域での生活に馴染み、ごく自然に楽しんでいるようです。ボランティアについては、利用者が生活する家ですので、利用者の意向やプライバシー、セキュリティ等の問題から積極的な受入れは行っていませんが、掃除のボランティアを有償で受入れたことがあります。学校教育への協力については、特別支援学校を訪問して障害者支援事業等の講演を行っています。また、障害者支援に関する相談に応じており、千葉県等、県外からの相談にも対応しています。地域の関係機関とは、川崎市内の障害者相談支援センターと常時連携すると共に、年1回、法人が開催する「地域連携推進会議」での区の担当者や地域住民の代表者等と情報交換等を行っています。
Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人内研修をはじめ、介護等においてまた、入職時においても、利用者本位主体について、利用者本位主体の支援について確認している。利用者のプライバシーにも配慮し、入浴や排泄等は同性介助を徹底している。

◆評価機関からのコメント

理念そのものが、利用者が主体であることを明示しており、基本方針(行動規範)が理念を実現するための基本姿勢・取組み方針となっています。理念・基本方針は、法人の運営規程の中の運営方針の柱にも明記されています。さらに、基本理念・基本方針(行動規範)、利用者支援等事業経営の具体策、PDCAサイクルの意義等、法人が職員に伝えたい真髄を「法人の業務の考え方について」として取りまとめ、職員に配付して理解を図っています。  法人が大切にするこれらの内容は、さらに毎年の法人研修で継続的に意識の喚起を図っています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームページやパンフレットにおいては、ホームの空き状況をお知らせはしていないが、ホームの情報を利用希望者等に情報提供している。利用希望者等からの問い合わせは随時対応し、見学や体験入所も受入れている。利用開始時には、重要事項説明書と契約書を用いて、利用者、家族等に説明し、同意を得ている。

◆評価機関からのコメント

ホームページに法人の案内や利用者向けのコーナーを設け、大きな見やすい表示で示し、ブログ等も掲載し、ホームでの生活がイメージできるよう分かりやすく情報を提供しています。見学は随時対応しており、運営概要等簡潔な資料を用いてホームの生活を説明しています。体験入所は1週間の受入れを行っています。法人3ホームを通じてホームからの移行は自宅復帰のみであり、これまで施設等に移行した事例はありません。なお、法人内のホーム間の移動はありましたが、その際は、移動のメリット・デメリットを分かりやすく図式化して、利用者・家族の理解を得ています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者に向けのアンケート等を実施して満足度の把握している。また、職員は利用者との日常会話等から、やりたいことや誕生日メニュー等の利用者の意向を聴く等している。

◆評価機関からのコメント

利用者ができることを増やすことによって、生活を営むことに喜びを感じてもらえる支援に日々取組んでいます。利用者との会話やニーズ把握の為に、利用者がリラックスできる昼食や夕食時を活用しています。また、法人3ホーム合同でのバスハイクを毎年実施する他、利用者の希望を聴取して、誕生日のケーキや正月の献立等に取り入れています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

要望・苦情等申立先を重要事項説明書に掲載し、入所時に本人・家族等に説明している。重要事項説明書に外部の相談口として川崎市の窓口とかながわ福祉サービス運営適正化委員会を紹介している。相談・苦情解決についても整備している。寄せられた相談・苦情は、本部内で検討し、運営会議や各ホームの会議にて検討・周知している。

◆評価機関からのコメント

要望・苦情の対応内容については左記の自己評価の通りです。法人の特徴としては、法人内部に第三者委員を置かず、苦情解決責任者(管理者)で解決できなかった苦情等は、直接、川崎市の担当課やかながわ福祉サービス運営適正化委員会に委ねるシステムを採用し、重要事項説明書等で利用者・家族に周知しています。利用者・家族からの意見要望の聴取は、利用者には話しやすい場所や職員の選択に沿い、家族にはメール、電話等で随時聴取等の対応が成されています。一方、当ホームには意見箱の設置がありません。意見箱の有効性の課題はありますが、苦情・要望が述べやすい多様な環境整備の一つの手法としての意見箱ですので、設置が望ましいと認められます。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人として、事故対応や感染症対応等の各種マニュアルを整備し、緊急時の対応について職員に説明している。安心・安全なサービスの実施に向けて取組んでいる。 事業継続計画(BCP)を策定し、各事業所に配置すると共に、会議で職員に説明し周知している。

◆評価機関からのコメント

法人のマニュアルは、感染症や事故の防止・発生時対応に特化されています。これは、通常業務の目的が利用者の自立・自律支援と明確であり、利用者支援の姿勢や心構えが重要で、業務遂行上の手順等のマニュアルの必要性が低いことによるものと認められます。法人では、上記の他、業務の継続を目的とした、「新型コロナウィルス感染症発生時における業務継続計画」を策定し、法人研修等を通じて職員周知を図っています。さらに、アンガーマネジメント(怒りの感情のコントロール)や、ハラスメントに関する職員研修を実施し、利用者支援等でのトラブル防止を図っています。法人では、報・連・相(報告・連絡・相談)が、事故防止や、業務の効率性やコミュニケーションの向上に特に有効であるものとして、研修や会議、日頃の業務を通じて職員に注意喚起を行っています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人として、事故対応、感染症対策、虐待防止等の各種マニュアルを整備している。 各マニュアルは必要に応じて見直している。虐待防止、個人情報等主なものについては、各会議にて説明すると共に、法人内研修にて周知している。

◆評価機関からのコメント

法人のマニュアルについては、上記の「13」に記載した通り、事故等の予防や発生時対応に特化して策定されています。また、虐待防止のため、行動指針や運営規程に利用者の人権の尊重、虐待防止を明記すると共に、「身体拘束適正化指針」を設け、毎月、虐待防止・身体拘束適正委員会を開催して、適切な利用者支援に努めています。これらマニュアルや各会議での検討結果は、法人研修や職員会議を通じて周知徹底が図られています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

アセスメントシートを用いて、担当職員が、食事や排泄、身体状況、ADL等についてアセスメントを行っている。日々の利用者の様子はケース記録に記録している。これらの情報を基に、職員会議を開催し個別支援計画を策定している。計画策定に当たっては、利用者のみならず家族等の意向も聞いている。また、相談支援事業所、日中活動先等からも情報を得ている。策定された計画は本人・家族に説明し、同意を得ている。計画は6ヶ月以内に1度モニタリングを行い、見直しを行っている。

◆評価機関からのコメント

利用者のアセスメントの実施方法は左記の自己評価の通りです。法人のアセスメントシートは、利用者ごとに、「基本的生活習慣」、「生活スキル」、「社会スキル」、「社会参加」、「コミュニケーション・対人関係」の区分で支援効果や支援課題を把握しています。また。個別面談記録により本人・家族の意向を把握して、アセスメント結果と共に、個別支援計画の策定・見直しに反映しています。アセスメントを行う上では、利用者が日中利用する事業所の意見や、利用者に関わりのある障害者相談支援センターの意見を聴取し反映しています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

アセスメントシート、個別支援計画は個別のファイルに管理し、ケース記録等の記録は支援システムにて一括管理している。記録の書き方については、法人研修を実施すると共に、入職時の研修にて伝達、OJTの中で指導している。 法人の個人情報保護規程等を整備し、入職時に説明すると共に、全体研修や会議にて確認している。利用者に関する書類は施錠可能なキャビネットに保管している。利用者・家族等に対しても、入所時に説明している。

◆評価機関からのコメント

法人では、利用者の自立・自律に向けた日々の支援の成果に注視しています。このため、利用者に関する日々の記録の書き方について、支援記録を記載する意味・目的から書き方、記載後の確認に至るまで、毎年の研修で繰り返し徹底指導しています。日常のOJTでも同様な視点からの指導を行っています。紙ベースの個人情報は個別支援計画等に限定されており、法人本部の鍵のかかるロッカーで厳正に管理されています。また、紙ベース以外の記録や書類等は、パソコンのシステムで管理されており、職員が共通に閲覧できる情報と、ホームごとの個人情報を含むセンシティブな情報に区分され、後者の情報は、職員が関わる範囲に限って閲覧権限の設定が成される等、厳重な個人情報管理が行われており、評価できます。また、重要事項説明書で個人情報の保護・利用の内容等は、利用者・家族に周知が図られています。上記の通り、個人情報の管理は厳格に行われていますが、個人情報保護に関する規程は、職員の守秘義務規程に限られているため、個人情報保護の目的や、保護すべき情報、個人情報の利用・開示の手続きや、個人情報取り扱い担当部門等を明示した、法人としてのプライバシー・ポリシーを法人のホームページ等で公開されることを期待します。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人の基本理念や行動指針に「人権の尊重」・「意思決定の支援」等を掲げ、利用者の意思を尊重した支援の実践に努めている。言葉だけでなく表情やしぐさ、日常の関わり等を通じて、より正確な意向の把握と支援内容への反映に留意している。

◆評価機関からのコメント

法人・ホームでは、「利用者が何か一つでもできる喜びを感じてもらえたら」との思いで、「利用者ができる喜びを感じ、生活を楽しく過ごせる」ことを目標に支援計画を立て、日々の支援を行っています。利用者支援に際しては、あらゆる方法を試みながら利用者の意向やニーズの把握に努めています。なお、当ホームでは、意思の疎通ついて格別問題のある利用者はいないため、「利用者に好きなように過ごしてもらうことを基本としている」とのことでした。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

「虐待防止対応規程」等を定め、発生防止と迅速な対応を行うための体制を整備している。

◆評価機関からのコメント

法人では、基本方針(行動規範)の第一に「人権の尊重」を位置付け、差別・虐待・権利の侵害を許さないと明記しています。利用者の権利侵害の防止を図るため、管理者を虐待防止責任者するとともに、虐待防止・身体拘束適正化のための指針等を定め、毎月の運営会議を活用し、虐待防止・身体拘束適正化委員会を開催することなど体制を整備しています。なお、上記の虐待等の防止体制については、各ホームの重要事項説明書により、利用者・保護者へ説明しています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と自立した生活の維持・継続に向け、個別支援計画に基づき、利用者の障害特性や個別の課題を抽出し支援を行っている。 休日や余暇の過ごし方等は利用者本人の希望を尊重し、個別支援計画に盛りこむなど、個々の生活を重視した支援に努めている。

◆評価機関からのコメント

法人・ホームでは、利用者が何か一つでもできる喜びを感じてもらえるようエンパワメントを重視して、利用者一人ひとりが自分の能力で生活を楽しく過ごせることを目標に個別支援計画を立案しています。このため、個別支援計画の策定やアセスメントの様式に利用者・保護者の意向欄を設けて、利用者ニーズを大切にすると共に、帰宅時等での保護者の気付きを重視して記録しています。なお、生活のルールは利用者の合意を得た上で、注意事項を食堂・リビング等に掲出すると共に、金銭管理は利用者個々の管理とする等、一定のルールの下で、利用者が極力自分の意思や能力で生活ができるよう促しています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

食事は宅配業者が納入する冷凍のおかずを湯煎し、ご飯・お味噌汁は職員が、ホームのキッチンで調理して提供している。また、旬の食材やフルーツ等を随時調達し、副菜として提供する等、家庭的で季節感のある食事提供に努めている。利用者の体調や心身機能等に配慮し、お粥や刻みなどの個別対応も行っている。入浴や排泄は完全同性介助を実施するほか、ホームによっては夕方の時間帯は必ず職員を2名配置し、安全性にも留意している。

◆評価機関からのコメント

食事の提供方法は、左記自己評価の通りですが、毎月、季節に応じた献立や行事食、スペシャルメニューが用意されています。因みに、8月では、「おついたち」として赤飯・たらの煮物等を提供し、「夏まつり」として焼きそば・焼き鳥・たこ焼き・タイ焼き等を、「山の日」では冷やし中華等、また、「焼肉の日」等が設けられています。宅配業者のメニューは朝・昼・夜に分かれていますが、平日の昼は利用者が不在のため、昼と夜のメニューを比較して麵類等利用者の好む昼の献立を夜の献立に振り替える等、サービス管理責任者が配慮しています。利用者インタビューでは、食事は好評でした。入浴は、利用者が自分の意思で毎日入浴しています。トイレについても、夕方排便を職員が促す他は、夜間は利用者自らがトイレを利用しています。
A-2-(3)生活環境

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

それぞれが生まれ育った環境のもと、自立・自律した生活が送れるよう支援している。玄関や廊下・リビング・浴室・トイレ等も十分な広さを確保している。

◆評価機関からのコメント

当ホームの居室には窓があり、日照、通風に恵まれています。一戸建ての木造建築でホームの中では、特に家庭的な雰囲気を有しています。部屋の作り付けのものは押し入のみで、カーテンや家具等生活備品は利用者の馴染みのものや好みのものを用いて自分の部屋として愛着・安心感が得られるよう配慮しています。ホームのルールや生活を送る上での知恵(例えば、洗濯ものは裏返して干す)等を注意書きや口頭で伝える他は、利用者が自分で生活できるよう利用者の自主性を尊重しています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

実施していない。

◆評価機関からのコメント

当ホームの利用者の平均年齢は若く、機能訓練等に関しては訓練等を要する利用者がいないこと及び、生活のサイクルが夕方から朝までであることから、実施していません。なお、当ホームでは休日の午後に介護予防体操を行っています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

バイタルチェックや排泄確認を日常的に行うと共に、利用者の健康状態の把握に努めている。体調不良等で受診が必要な場合は職員が同行して、適切な治療が受けられるよう支援している。利用者の半数程が服薬中であり、職員が服薬の管理・支援を行っている。服薬に関しては、職員側がすべて服用の支援を行っている。確実な服用と誤薬を防止する体制を構築している。

◆評価機関からのコメント

体温測定等により毎朝・夕バイタルチェックを行っています。体重測定を毎月行う他、歯科医による口腔内のチェックを3か月に1度実施しています。また、内科や精神科の医院に協力依頼を行っています。当ホームでは、1名が薬を自己管理しており、職員が服薬チェックを行っています。他の利用者は、薬に日付と名前を記載して職員が薬を提供し、服薬の確認を行っています。薬に関する事故は全ホームを通じてこれまで発生したことがありません。法人では健康管理マニュアルを作成し、研修等で職員に周知徹底を図っています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の自立と社会参加に鑑み、地域の商店や公共施設等の利用を推奨している。週末は、地域への散歩や買物等を行い、外出する機会を設けている。

◆評価機関からのコメント

当ホームの利用者は、買い物や散歩等はほぼ問題なく自分でできています。日中は生活介護等を行う他法人の事業所へもバスを利用して通っています。近くの神社の祭りや盆踊り等にも参加して地域での生活を楽しんでいます。利用者が上記の事業所の通所時等に利用できる川崎市内を運行する路線バスが無料乗車券(ふれあいフリーパス)の取得申請等、役所の申請を利用者が主体的に行うことができるよう、職員が同行してサポートしています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

各々の意向に沿った生活が、維持・継続できるよう個別の状況に応じた支援を行っている。

◆評価機関からのコメント

障害者自立支援法の施行時は、施設利用者が障害者のグループホームで暮らすことが地域生活移行として認識されていました。現在は、アパートや家庭等で、自立・自律して生活することが地域生活移行の究極の形と捉えられています。ホームでのヒアリングでは、利用者の一人暮らし等には否定的でしたが今は、職員のアドバイスがあるので、安心・安全に生活できているが、自ら考え自分だけで生活しなければならない一人暮らしには無理があるというのが、主な理由でした。管理者との対談では、サテライトも考えたことがあるが、折角ホームで培ってきた生活習慣が一人暮らしで壊れてしまうことが、最も危惧されるところであるとのお話でした。当ホームの利用者の自立・自律度は比較的高いと認められますが、一人暮らしに移行した場合、果たして日々、計画的に自ら生活を営み、楽しく暮らしていくことができるのかを考えると、確かに、障害者の一人暮らしへの移行には、現在の日本の社会制度・障害者支援制度も含めて、重い課題があると改めて考えさせられます。生活援助の一つの形態として、障害者がより主体的に生活を営むことが期待される障害者のケアハウスが首都圏を中心に設立されています。しかし、現状では、供給量が乏しく、行政の支援も充分ではないため、入居費用も高い要因があります。また、何よりも人間関係の調整の問題から知的障害者の入居のハードルが高くなっています。いずれにしても、障害者が地域で安心してより主体的な生活を送ることができる選択枝(政策)が増えていくことが求められます。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

家族等との連携については、週末の帰宅が外出等家族等との交流促進に努めている。SNSを通じて日々の利用者の様子を発信している。また、毎月月ごとに費用の明細書も送付している。

◆評価機関からのコメント

法人では、「家庭」を大切に考え、親の生きている間はできるだけ帰宅することを利用者・家族に推奨しています。また、日々の利用者の様子はSNSで保護者に配信しています。一方、電話等で保護者との連絡をする必要が生じた時は、当ホームでは、管理者に保護者との連絡を委ねています。日々利用者と接する職員が利用者を最も理解していますし、家庭からホームに戻る際の保護者からの気付きなども利用者支援の重要な情報になります。職員と保護者との円滑な情報交流を図り、協働して利用者支援に取組まれることを期待します。

利用者調査結果<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:3名
アンケート調査対象:3名
ヒアリング調査対象:1名
1.スタッフは、あなたに対して乱暴な言葉遣いや態度をすることはありませんか。
ありません。優しい。良くしてくれる。
2.スタッフは、あなたの部屋に勝手に入ったり、無断で持ち物を触ったりすることはありませんか。
ありません。ノックや声を掛けてくれます。
3.あなたからスタッフに相談することはできますか。
相談します。丁寧に答えてくれます。
4.スタッフはあなたの生活の目標や計画について、あなたの意見を聞きながら一緒に考えてくれますか。
一緒に考えてくれます。おまわりさんになりたかった。
5.スタッフはあなたにあなたから預かっているお金の使い道や使った金額などを毎月、報告してくれますか。
お金は自分で管理しています。カードで買うので残額は分かります。
6.スタッフはあなたがホームでの暮らしについて嫌なことや困りごとを相談したときはすぐ対応してくれますか。
相談したらすぐに対応してくれます。そのままになったことはありません。
7.あなたはグループホームの職員以外でホームでの暮らしについての困りごとや悩み事を相談できる人がいますか。
仕事は新聞を袋にする仕事をしています。仕事場で相談する人はいません。
8.スタッフはあなたが具合の悪い時やケガをしたときはすぐ対応してくれますか。
対応してくれます。熱のある時や具合の悪い時は医者が来てくれます。
9.あなたは好きな時に外出したり、買い物に行ったりなど、ホームで好きなように過ごすことができていますか。
買い物に一人でいきます。ゲームなど好きなことをしています。
10.ホームでの暮らしが好きですか。楽しいですか。
まぁ好きです。楽しいです。困っていることはないです。
●インタビューでは、上記の他、「食事が楽しみ」との発言もあり、グループホームの生活に概ね満足されていると認められました。