社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

つばさ

2020年02月13日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 つばさ 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 地域活動支援センター 定員 20 名
所在地 213-0026
神奈川県川崎市高津区久末1694
TEL 044-755-6522 ホームページ
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2012年09月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:2名 名
非常勤職員:2名 名
専門職員
社会福祉士:2 名
サービス管理責任者:1 名
施設・設備の概要
(居室数):作業室:2  事務室:1  面談室:1
(設備等):食堂:1  ロッカールーム:1  トイレ:2

③ 理念・基本方針
法人理念として
1.共生社会を目指します。
2.先駆的で開拓的な事業を展開します。
の二点を中心に据え、その達成のため
・人権尊重とサービスの向上
・インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者主体の支援
・地域との共生・ニーズの多様化複雑化への対応
・コンプライアンスの徹底
・説明責任の徹底
・人材確保育成
・ガバナンスの強化
・財政基盤の安定化
・国際化・積極的な社会貢献活動への取り組み
等11項目の基本方針をあげています。

施設の方針
〇利用者個々のニーズに応じた働く場と日中活動を提供し、選ばれる事業所を目指します。
〇利用者自身によるサービスの選択と決定の支援をします。
〇豊かで充実した地域生活のために個別的、ライフサイクルに応じた支援をします。
〇地域生活を支えるためのネットワーク作りを目指します。
〇家族への情報提供と信頼関係の確立を図ります。
〇利用者の人権保障と権利擁護に努めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
 川崎市に住み自立度が高く社会参加さらに就労を目指す障がいを持つ方に、利用されている施設です。
 一般就労を目指す方向けの「チャレンジコース」と、在宅から第一歩を踏み出す方向けの「ゆっくりコース」、利用者のニーズに応じた二つのコースを設け支援していきます。
 「チャレンジコース」では、近隣の就労援助センター及び企業との連携を図り、多様な働き方へのアクセス性を向上させ、さらなるステップアップを目指していきます。また、高津区の自立支援協議会の取り組みである、「みんなの居場所づくり委員会」へ積極的に参加し、地域との交流の場を提供します。
 「ゆっくりコース」では、週一日からの利用を用意し、無理なく通えるペースで始められるようにしています。また作業についても一つの物にじっくり取り組めるような環境を整えます。
 さらに定期的な利用者ミーティングを開催し、利用者さんの意見を直接反映した企画や余暇活動を取り入れていき、達成感と仲間意識を感じられる参加型の施設を目指します。また、施設としてあらゆる制度にも属さない人に対しても、この施設だけではなく地域の他の事業所と連携を深めることにより、その人に合ったサービスが紹介できるように体制作りをしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/03/30(契約日) ~2020/02/04(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1) 気持ちの良いかかわり方を常に模索しています
 地域活動支援センターとして様々な作業を行っています。中でもいくつかの作業は専用の治具を用いたり(必要に応じて利用者が作成する場合もあります)、刃物を用いたりする作業もあります。そのため用具の使い方などで安全に配慮しています。
 指示が強くなったり、叱咤することが無いように、当人だけでなく周囲の利用者にも辛くならないように配慮しています。どのような場面であっても、互いに気持ちの良いかかわり方が出来るように、職員間で話し合い、日常の支援に活かしています。


2) 利用者の自己実現の枠を超える働きかけをしています
 施設の利用者はなんらかの障がいを持った方ですが、自立度の高い一人の個人、人間として変わるところはないという思いで支援しています。これまで利用してきた制度や過ごしてきた環境の中で、障がい者というカテゴリーの中に利用者自身が身を置くのではなく、自己実現を考えています。利用者の自己実現のための様々な枠を取り外すような支援をしています。
 障がいを持っているから電車に乗れないのではなく、自由に行動することが出来ようにしています。美味しいものを食べに行くことが自由に出来る、という気持ちを持ってもらえるように支援しています。


3)他事業所との連携によりその人に合ったサービスを模索しています
 利用者一人ひとりが望む暮らしの実現に向けては、単独の事業所で取り組むのではなくフォーマル、インフォーマルを含む活用可能な社会資源を最大限動員し、地域のネットワークで利用者を支える仕組み作りが重要であると考えています。
 集中的な支援を要するケースでは、生活支援、相談支援、訪問医療、訪問介護等の事業所と連携し、定期的な家庭訪問を交代で行うなど、ネットワークで利用者の生活を支える取組みを行いました。
改善を求められる点 1)職員と利用者の話し合う機会の検討
 月に一度、土曜日には利用者の有志を募り、部活動を行っています。普段できない外出や会食など、「お出かけ部」「食べる部」と称して楽しみにしています。
 利用者アンケートにもあるように普段から職員との会話を望んでいる声も多い状況です。利用者とのかかわりの中で会話する時間が足りないことを職員は感じています。土曜日のこの時間を使った個別またはグループでの話し合える時間を持たれることが期待されます。


2) 非常勤職員も含めた人事制度等の検討
 管理者は複数施設を兼務しており、常時不在の状態が多くあります。法人本部との間に情報伝達、意思決定のプロセスなど多くの点で課題が生じています。とりわけ人事面で問題が多く、チャレンジシートによる目標管理が、人事考課・昇給などに反映されておらず、非常勤職員には目標管理の制度がありません。職員の半数を超える非常勤職員に研修等教育のチャンスが無い状態にあります。非常勤職員も含めた人事制度の見直し改善の検討が望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 今回の評価を受け、日々の取り組みや法人全体の体制を客観的にみることができ、改めて自己評価の低さに気づかされました。日々の努力をしっかりと評価し、不十分な点に関しては施設全体で協力して改善に当たれるよう努力していきます。また施設長と現場の職員との良い対話の機会となり、コミュニケーションの重要性を再認識しました。情報交換と意思の疎通を重視し、施設として芯の通ったブレのない運営を心がけていきます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

 法人の理念、基本方針が適切に明文化されて、新人研修等で職員に渡される職員ハンドブックに記載されていいます。事務所にも掲示されて、法人理念は職員に周知されています。理念を踏まえたうえで、施設の方針や事業計画で掲げた重点課題を中心に支援の在り方を確認しています。サービス開始時点で利用者に配布する重要事項説明書には施設の目的と運営方針を掲載しています。
 法人の理念などを会議や研修会などで職員への継続的に周知することはありません。理念や基本方針を、わかりやすい資料などで利用者や家族へ伝えることはしていません。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

 施設では事業年度前に事業計画書を作成しています。その中で地域的な制度条例や特徴・変化等を捉えて年度の重点課題を設定しています。事業計画書は法人に報告しています。
 法人では経営分析等が行われていることは職員に知らされていますが、具体的な内容についてまでは職員に周知されていません。法人から職員に情報提供・意思疎通を図り一体感を持つためにも、検討が望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

 施設では事業年度前に事業計画書を作成し当年度の重点課題を策定し、施設ごとに経営課題に取り組んでいます。法人では独自に中長期計画等を策定し経営分析等が行なわれていることを職員に周知しています。施設に対する具体的な経営状況についてまでは職員には知らされていません。
 施設側では重点課題に対しての取り組みを行い、振り返り課題抽出等のPDCAサイクルを行っていますが、書面等で明確ではなく職員に周知されていません。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

 中・長期プランは法人として作成していることは職員に知らされていますが、内容について現場職員には周知されていません。施設としての単年度計画は中期・長期計画とリンクして作成されておらず、法人と施設管理者間の連携が課題となっています。
 中・長期計画は施設の成果等の評価を行える具体的な内容ではなく、施設の状況に応じた見直しにつながっていません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 法人の単年度の計画には、中・長期計画の内容を反映した事業内容が示されています。施設としては単年度の事業計画を前年度末に作成しています。
 2019年度の事業計画書では重点目標として①工賃向上・就労促進、②法人内外を問わない事業所間連携の強化、③事業規模の拡大(地域活動支援センターB型事業への移行)、④職員が充実し、かつストレスなく働ける業務環境の整備の4点を掲げています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

 事業計画の実施が、あらかじめ定められた時期、手順にもとづいて把握されています。職員等の参画や意見の反映のもとに、施設としての重点課題である「事業規模の拡大(地域活動支援センターB型事業への移行)」について取り組んでいます。法人全体に関わる事項でもあり、調整が難しい状況です。
 事業計画の評価・見直しは、あらかじめ定められた時期・手順が決まっておらず、評価の結果にもとづいて事業計画の見直しを行っていません。事業計画や人事計画などで法人側と施設側の調整が課題となっています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

 事業計画の主な内容が、利用者や家族等に周知(配布、掲示、説明等)されていません。資料を作成して利用者等がより理解しやすいような工夫はなく説明していません。
 利用者が事業計画の立案に参加できるよう意欲向上に向けて、周知の取り組みが期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

 現状認識と課題の抽出が課題となっており、事業計画でも重点課題をとして4点掲げています。重点課題に対しての取り組みも行なわれていますが、法人の中・長期計画がとの整合が図られていません。第三者評価等を計画的に受審していますが、PDCAサイクルにもとづく質の評価への取組が法人も含め組織的に実施されていません。
 

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

 職員間で課題の共有化が図られて、組織として取組むべき課題を明確にしています。福祉サービス第三者評価等を初めて受審して、評価に取り組んでいます。評価結果に基づいた改善はこれからの課題となっています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:c】

 管理者は近接する5施設を兼務しており、副管理者が常駐しています。管理者が多忙のため常時不在の状態であり、自らの福祉施設・事業所の経営・管理に関する方針と取組を明確にすることが課題となっています。
 管理者は、自らの役割と責任を含む職務分掌等について文書化するとともに、常駐者への権限移譲も明確にして、会議や研修において表明し周知を図ることが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 遵守すべき法令等を法人の規則などで示しています。管理者は近接する5施設を兼務して常時不在の状態で、正しく理解するための取組が十分に行われていません。
 法令等は政令市の条例等の違いがあるため、川崎市エリアとして法令等を正しく理解するための取り組みが望まれます。常駐しています副管理者を中心に、事例などを示して職員に周知することが急がれます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:c】

 副管理者や職員は利用者支援に対して、質の向上に意欲をもって取り組んでいます。利用者には福祉の枠を超えて実社会で働くというリアリティを持ってもらうようにしています。作業の指導などの場面では押し付けることなく、多くの人に係わってもらい、互いに気持ちの良い関係を心掛けて支援して質の向上に繋げています。
 実施する福祉サービスの質の向上に関して、管理者と職員による組織的な取組につながるように、管理者の指導力が期待されています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:c】

 経営改善や業務の実効性の向上に向け、日々職員間で検討が行なわれております。サービスの質の向上のために必要な人員配置や予算などを数字で法人にアピールできるように、作業の獲得、売上向上を図っています。経営の改善や業務の実効性の向上に向けて、管理者による人事、労務、財務等を踏まえた分析は行えていません。人員配置、職員の働きやすい環境整備等、具体的な取り組みが課題となっています。
 近隣の事業所との共同受注や地域の商店との連携などで着実に受注を増やして、経営の改善に努めています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

 必要な福祉人材や人員体制に関する基本的な考え方や、福祉人材の確保と育成に関する方針が確立しています。法人は常勤職員を直接雇用して、非常勤職員は施設で採用しています。
 常勤職員は法人内で異動があり勤務時間が決められており、勤務時間に幅のある非常勤職員とで調整して対応しています。専門職の配置等、必要な福祉人材や人員体制に計画にもとづいた人材の確保や育成については法人と施設との調整に課題があります。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

 法人が用意した職員ハンドブック等で法人の理念・基本方針に基づいた「期待する職員像」を明確にしています。採用・配置・異動などについては定められており、職員等に周知されていいます。人事管理は法人で行っており、施設や職員を対象に仕組みを作っています。
 法人で職員処遇の水準や処遇改善の必要性等を評価・分析するための取組を行っていますが、運用に関して施設との調整が課題です。職員の意向調査もありますが、分析も含めた結果などについて、職員は知らされていないと認識しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

 法人は年2回のメンタルヘルス対策について専門の窓口を準備し工夫を行なっています。利用方法について徹底されておらず、職員が利用しずらいと感じています。ワーク・ライフ・バランスへの配慮要請から、月に一回有給休暇が取れる仕組みを作っています。
 常時勤務は常勤職員1名、非常勤職員2名の施設であることもあり、職員の希望・意向は確認し改善に努めています。月に一度行っていた職員会議を、長引かないように職員会議と支援会議のふたつに分けて行うようにする等の工夫をしています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 法人が直接雇用している常勤職員と、施設雇用の非常勤職員に分かれています。常勤職員には二か月に一度チャレンジシートを元にした目標管理が義務付けられていますが、非常勤職員には制度・仕組みとしての目標管理は行われていません。
 常勤職員についてはチャレンジシート等で意向・目標を設定しますが、非常勤職員には明確なものはありません。常勤職員のチャレンジシートについては個別面接がありません。職員が設定した目標について、中間面接や進捗状況の確認も行われていません。法人として人事考課・昇給等にどう活かされているのについても職員に周知することが期待されます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

 組織が目指す福祉サービスを実施するために、法人として「期待する職員像」を明示しています。教育・研修についても常勤職員と非常勤職員の違いがあります。教育・研修計画はありますが、計画の見直しやカリキュラムの評価・見直しを定期的に行っていません。
 職員への資格取得にも積極的に法人は支援しています。常勤職員には個別に加算に結び付く資格として、社会福祉士、サービス管理責任者、福祉住環境コーディネーター等の資格取得を勧めています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

 法人は利用者の権利擁護等の研修に力を入れています。施設は本部から遠隔地で開催時間が夜遅くのため、参加が難しい現状です。研修内容により、非常勤職員参加の制約もあります。職員の経験や習熟度に配慮した個別的なOJTはできていません。
 職員一人ひとりが、教育・研修の場に参加できるよう配慮しています。法人の研修はネット配信でライブビューイングが可能で、内容によってはDVD等を作成しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

 実習生等の福祉サービスに関わる基本姿勢を明文化してません。実習生等の受入れマニュアルはなく、実習生の受け入れは行っていません。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

 法人として情報公開は行っていますが、施設単体としては行っていません。第三者評価の受審結果、苦情・相談の状況について公表を検討しています。地域や利用者に対して、情報公開を行ってこなかったこともあり、法人・施設の理念等について、社会・地域に対して明示・説明することが今後の課題です。事業所で行っている活動等を説明した印刷物や広報誌等を地域へ配布していません。
 法人の方針を地域や職員にまで周知することが課題です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

 法人より事務・経理の権限やルールについて施設側に通達があります。施設側ではその変更に合わせて対処していますが、全体像を把握しずらく職員に徹底されていません。定期的なエリアマネージャー訪問による方針周知や事務員の派遣による事務確認等の取り組みが望まれます。
 内部監査などの仕組みはあり、会計監査法人の指導に基づいて改善を図っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 地域とのかかわり方等について基本的考え方を文書化しておらず、利用者向けの掲示などは行われていません。町内会に参加しており地域との交流を図っています。利用者の買い物や通院等では、特に地域における社会資源を利用するような取り組みは行っていません。
 配送作業や近隣のお寺の境内清掃等の作業を通し、利用者は近隣地域と触れ合っています。また近隣の商店に利用者がトライアルで働き始めるといった事例もあり、積極的に地域交流を進めています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

 ボランティア受け入れについて明確な基準などを設けてはいません。ボランティア受入れについて、登録手続、ボランティアの配置、事前説明等に関する項目が記載されたマニュアルを整備していません。
 ボランティアスタッフとして2名の方に作業の支援を行ってもらっています。コミュニケーション能力の高い人生経験の多い方が作業を通して相談や助言を行い、利用者が安心感と信頼感を持たれています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 本部からは遠隔の土地で、自治体の違いから、地域的な近隣の福祉施設・事業者との連携を深めています。地域活動支援センターとしての立場から、さまざまな利用者の意向・特性を考慮し、利用者に合ったサービスを探し出すことが出来るように配慮しています。
 共同受注や作業分配などを行うためグループホーム、就労継続支援B型、相談事業所等との関係を深めています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

 地域の福祉ニーズや生活課題の把握に努めていますが、実施する事業や地域の会合への参加、地域住民との交流活動などから得ることが出来ていません。社会福祉協議会等と協議しながら地域課題の解決に向けた取り組みを模索しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

 さまざまな事業者などと連携した支援を心掛け実践しています。町内会にも加入し地域交流を図っています。近隣に対して情報提供などは行なっていません。他の機関等と連携して、地域コミュニティの活性化に参加しています。
 施設紹介や定期的な交流の機会を持つなど地域資源として周知を図ることが課題となっています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 法人の理念は事務所に掲示し折に触れ確認しています。法人は「倫理綱領」や規程等を策定し、職員が理解し実践するための取組を行っています。施設では理念をもとにして事業計画に重点課題を策定し、日々の支援に活かしています。
 個々の福祉サービスの提供について、日頃から職員間で話し合い、一方的な指導にならず、職員間・職員利用者間、利用者間の気持ちの良い関係を構築できるように配慮しています。法人では基本的人権への配慮、利用者の尊重という事柄についての啓発の研修等が特に力を入れて行われています。利用者を尊重した福祉サービス提供の標準的な実施方法や基本的人権への配慮については、定期的に状況の把握・評価等には至っていません。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人としてプライバシー保護に関する規程やマニュアルを作成しています。他のサービス事業者や医療機関などとの連携を目的とした情報提供については「個人情報の提供について」で説明され、同紙の「個人情報の提供に関する同意書」にて確認・押印を求めています。
 施設内のプライバシー保護については個別のロッカーの設置、作業室内をパーテーションで区切る等の工夫の他、建物内の壁の薄さから個室での面談時の声が外に漏れてしまうことの配慮から、気にならない程度の大きさでラジオ放送を流す工夫をしています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

 関係機関に募集チラシなどを配ることが、利用希望者への主な情報発信となっています。施設を利用する人たちは関係機関からの紹介が多くなっています。川崎市には福祉関係のデータベースがなく、自分に合った施設を探すのが困難な状況です。地域の施設の横の繋がりによって情報交換がなされ、いままでの実績などからこの施設を紹介されるケースが多い状況です。施設の内容に関するインターネット等の情報発信の取り組みが今後の課題となっています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

 サービス開始の際は、利用者に重要事項説明書・サービス利用契約書また「実習にあたって」といった書類を用いて説明しています。利用者特性に合わせてルビを振るほか、別紙に要約版を用意する等工夫しています。変更などの際も、都度利用者に面談等を通して理解を求めています。
 意思決定が困難な利用者への配慮についてもルール化を行い、適正な説明、運用が図られる工夫が必要とされています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

 施設に通う利用者には、障害認定をしていない、障害者手帳を取得していないなど、制度の狭間に置かれている利用者も少なくありません。こうした利用者が他の施設等へ移行する場合、サービスの継続性に配慮し、移行先への引継ぎは特に配慮を行っています。同時に利用者や家族に対しては、サービス終了時に「何かあればいつでも相談に来るように」と伝えています。
 他の福祉施設・事業所や地域・家庭への移行にあたり、福祉サービスの継続性に配慮した手順と引継ぎ文書は定めていません。何らかの理由により移行先での継続が困難となった場合に備え、本事業所に登録を残しておくこともあります。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 利用者との日常の会話など様々な機会を捉えて、利用者満足を把握し、サービスの質の向上に努めています。半年に1度(初年度の利用者は3か月に1度)の定期的な個別面談や、月1回実施する利用者ミーティングで、ニーズ把握と利用者満足度把握をしています。本人の希望があれば随時面接を行っています。
 施設では定期的な利用者満足度調査は実施していません。今後に組織的・定期的に取り組むように検討しています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

 苦情解決の仕組みについては「重要事項説明書」に明記しており、同説明書を用いて利用者・家族に説明しています。事業所内には苦情解決窓口の掲示を行い、匿名で意見を出せる「意見箱」も設置しています。
 職員は日頃から利用者との相談しやすい関係づくりを心掛けると共に、利用者との定期的な面談の機会も捉え、苦情等の吸い上げに努めています。さらに来所するボランティア等の力も借りながら、相談しやすい環境づくりを更に進めることとしています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

 利用者には「いつでも話したいことがある時には話をしてほしい」と伝えており、希望に応じて随時、相談の機会を設けています。一方、管理者や主任クラスの職員との相談を希望する場合、面談の時間の確保が困難な場合も多くジレンマとなっています。折に触れ、全ての職員が相談にのることができる旨利用者に伝えると共に、相談しやすい関係づくりに努めています。
 相談場所については、作業室とは異なる部屋を利用し、プライバシーへの配慮に留意していますが、防音対策など面接に適した環境の整備が期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

 利用者の意見は、職員との日常の会話はもちろんのこと、半年に1度(初年度の利用者は3か月に1度)の定期的な個別面談や月1回実施する利用者ミーティングの機会を捉え、積極的な把握に努めています。相談を受けた後は、対応職員任せにはせず、第三者を介したり、職員会議などで相談内容を共有し、解決に向けた対応を図っています。
 相談や意見を受けた際のマニュアル等を整備して、その意見等にもとづき、福祉サービスの質の向上に関わる取組が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

 ヒヤリハットについては集計や発生要因の分析を行っています。また過去のインシデント事例では、臨時の職員会議を開催し、再発防止に向けて、危険物の取扱いに係るガイドラインを作成しました。
 今後に向けては、ヒヤリハットの分析結果の職員への周知や、法人のガイドラインも踏まえた事業所としてのリスクマネジメント体制の整備などが期待されます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

 発熱時の対応など、事業所内部で一定のルール化を図っていますが、感染症対策について予防から発生、対策に至る組織的な管理体制は未整備です。
 法人作成の最新のガイドラインが事業所に配布されたところであり、指針に基づき、事業所内で必要な予防策や発生時の対応の再確認が望まれます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

 年に4回以上の防災訓練を実施しており、昨年度実績では、合計5回の訓練を実施・参加しました。事業所内では防災備品の確認や救護の講習、地震想定の避難訓練を行ったほか、法人全体の防災訓練にも参加しました。
 施設周辺の避難場所や危険区域の把握にも努めています。今後に向けては、備蓄管理や防災計画など、消防署との関係の構築を図る予定です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:c】

 施設における主なサービス内容は、作業の提供、就労支援、日常生活支援、余暇活動などがあります。作業の提供については、メール便の仕分け・配達、フェライトコアの組み込み、ノズル清掃などを行っています。これらの作業について職員の違いによる支援内容の差異をなくすため、一部の作業種では標準的な実施方法を文書等で示した「手順書」を掲示しています。
 標準的な実施方法が適切に文書化して職員に周知徹底していません。新たな手順書の作成にあたっては、障害特性により文書や口頭での理解が困難な利用者への視覚支援も念頭におき、映像(DVD)などを用いることも検討する予定です。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:c】

 福祉サービスの標準的な実施方法の検証・見直しに関する仕組みがありません。検証・見直しにあたり、職員や利用者等からの意見や提案が反映されるような仕組みもありません。今後、標準的実施方法の組織的な検証・見直しの仕組みづくりが期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

 個別支援計画の策定は、各利用者の入所月を起点として常勤職員が案を作成し、サービス管理責任者を兼務する所長の決裁にて決定します。他の職員に関しては支援会議が周知の場となっています。個別支援計画の様式の冒頭には利用者の要望を記入する欄を設けており、各利用者のニーズを明示しています。個別支援計画策定にさまざまな職種による関係職員の合議や利用者の意向把握を含んだ手順を定めていません。
 支援困難ケースの支援では、事業所単独で抱え込むのではなく、フォーマル、インフォーマルを問わず活用できる地域の社会資源を出来うる限り動員し、地域のネットワークにより利用者の地域生活を支える方針で支援を行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

 個別支援計画は、通常半年ごとにモニタリングを行いますが、利用初年度の利用者に関しては、必要があれば3か月に1回のモニタリングを実施しています。モニタリングでは具体的到達目標や支援内容に対する評価を行い、評価結果は「個別支援計画評価表」に記載の上、利用者・家族に説明し、同意を得ています。職員には会議で周知を図っています。
 見直しによって変更した個別支援計画の内容を、関係職員に周知する手順を定めていません。個別支援計画の評価・見直しに手順を決め、福祉サービスの質の向上に関わる課題等を明確にすることが望まれます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

 サービスの実施記録については、情報を的確にかつ客観的に記載できる「記録作成のリーダー」を養成中で、今後リーダーを中心に記録の質の向上を目指すこととしています。今年度からパソコンのネットワークシステムが法人内で導入され、パソコン上での議事録の回覧など、速やかな情報共有が可能となりました。
 利用者の身体状況や生活状況等を、組織が定めた統一した様式によって記録していません。組織における情報が的確に届くように、システムの活用が期待されます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

 法人作成の「個人情報保護規程」に、個人情報の取り扱いを定めています。また、事業所作成の「利用契約書」には個人情報の保存期間や利用者自身の記録閲覧について定め、契約時に本人・家族に説明を行っています。
 利用者から「個人情報の提供についての同意書」を取得する際に、同意書を必要とする理由、提供する情報の範囲、提供先、提供条件などについても説明を行っています。更に、記録管理の責任者が設置や個人情報保護の教育や研修が期待されます。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

 利用者の自己決定を尊重するエンパワメントの理念にもとづく支援を行っています。作業室では、工程毎に色の異なるテープを床に貼り、動線をより短くかつ明確化しています。作業台に星座名をつけ、ホワイトボード上の部屋の見取り図にも明示するなど、部屋の「構造化」と「見える化」を行いました。作業室の環境の整備により、職員が同じ指示を繰り返す場面も減り、利用者がより主体的に作業に取り組むことが可能となりました。
 また利用者への関わり方では、できないことへの叱責ではなく、できたことや良い所に注目しながら、「気持ちのよい関わり」を心掛け、利用者のエンパワメントを行っています。声掛けの仕方については、周囲の利用者も気持ちよく活動ができているかどうか、をひとつのバロメーターとして工夫しています。
 利用者一人ひとりへの配慮が、個別支援や取組を通じて具体化が難しい状況ですが、月1回、利用者ミーティングを実施しています。今年度は、利用者による「生活のガイドライン策定委員会」を立ち上げ、9項目に及ぶ生活のルールのガイドラインを作成しました。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

 権利侵害の防止に向けた取組みとしては、日常の支援場面で、職員に対し気づきを促しています。職員会議では利用者を叱る場面も権利侵害につながりやすいことを伝えるなど、職員各自が支援を振り返る機会を設けています。権利擁護をテーマとした研修会には非常勤職員を派遣しました。身体拘束に関しては、法人のマニュアルに緊急やむを得ない場合の手続きと実施方法を定めています。
 施設では利用者状況に鑑みて、身体拘束を要する場面は想定しにくく、利用者に周知していません。職員間に権利侵害の防止と早期発見するための具体的な取組の認識が薄くなっています。そのため会議等の場面で、他の事業所で発生した権利侵害の事例を挙げながら、職員への注意喚起を図っています。権利侵害が発生した場合に再発防止策を検討し、理解のもとで実践する仕組みが明確化されていません。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 施設においては、利用者の自律・自立生活に向けた支援に力を入れています。職員も高い意識を持ち、個々に応じた支援に努めています。利用者の生活支援においては、家族との個別面談のほか連絡ノートの作成や、家族を交えたカンファレンスの実施など、家族との連携に努めています。関係機関との連携では障害者就業・生活支援センター等と情報交換を行うほか、集中的な支援を要する独居のケースでは、生活支援、相談支援、訪問医療、訪問介護等の事業所と連携しています。定期的な家庭訪問を交代で行うなど、関係機関が協働で利用者の生活を支える取組みも行いました。
 一人ひとりの望む暮らしの実現に向けては、単独の事業所で取り組まず、フォーマル、インフォーマルを含む活用可能な社会資源を最大限動員し、ネットワークで支えるしくみが重要であると考えています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 障害特性から口頭でのコミュニケーションが苦手な利用者については、作業工程や作業内容を分かりやすくするため視覚的な情報提供の方法等を工夫しています。作業室の「構造化」を図るなどの環境整備に努めています。言語が不明瞭であるなど、コミュニケーションに困難を抱える利用者については、「話をしたい」という本人の気持ちを大切にしながら支援を行っています。
 家族の協力の下、地域の専門機関との連携を図っています。言語聴覚士(ST)等の専門職の活用も視野に、利用者への専門的支援の提供を目指しています。現在コミュニケーション機器の活用を要する利用者の在籍はありません。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

 全ての利用者について、半年に1回、定期的な個別面談の機会を設けています。利用初年度の利用者については、必要であれば3か月に1回、個別面談を行います。利用者に対しては「いつでも話したいことがある時には話をしてほしい」と伝え、希望に応じて随時、相談の機会を設けています。
 管理者や主任クラスの職員に相談を希望しても、実際には時間の確保が困難な場合も多く、ジレンマとなっています。今後に向けては、相談の意思を表明することが困難な利用者向けに、相談を希望する意思をカードで示す仕組みも検討予定です。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

 一般就労などステップアップを目指す、「チャレンジコース」を支援しています。在宅から第1歩を踏み出し、無理のないペースでじっくり取り組む「ゆっくりコース」も準備し、個別支援計画に基づく支援を行っています。作業内容は、メール便の仕分けと配達、住宅補修関係の部品のノズルのバリ取り、フェライトコアをケースにはめ込む作業、商品の袋へのラベル貼りがあります。近隣の寺の清掃や仏具磨きなど、新たな支援メニューも開拓しました。多様な作業種を準備し、各利用者の担当業務はローテーションさせています。個々の適性を見極めながら、利用者が主体的に取り組める様に作業環境を工夫し、職員手づくりの補助用具も用意しました。
 レクリエーションの企画では、利用者の意向にもとづくレクリエーションが提供できていません。利用者からの発案が難しい際には、職員からも新たな発想での提案を心掛け、今までにない体験による新たなニーズの広がりを目指しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 個々の障害に応じた適切な支援を行うために、職員は支援会議等において支援内容・方法について検討し、必要に応じて見直しを図っています。職員が適切な支援を行うためには、前例踏襲や経験則ではなく、専門的知識の習得による職員の「専門性」の向上が重要であると考えています。
 利用者の不適応行動などの行動障害に個別的かつ適切な対応は難しい状況です。専門的支援に向けた研修の一環として東京都内や横浜市内で先駆的取組みを行う就労継続支援B型や就労移行支援施設の見学を行いました。そのほか、非常勤職員を積極的に研修会に派遣し、「自閉症スペクトラムの理解と支援」をテーマにした研修にも参加しました。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:c】

施設において、個別支援計画に基づく食事、入浴、排泄、移動・移乗の支援対象者の在籍はありません。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 1階と2階の作業室は、それぞれ動線の確保に留意した安全で効率的な作業環境が工夫されています。各利用者の使用する道具類は作業室内の各自のロッカーに整理されています。利用者が安心して安全に作業に集中できる様に、パーテーションを効果的に設置しています。どこで何をするのか、作業場所、作業工程、作業内容などを視覚的に理解しやすくする施設内の「構造化」や「見える化」に努めています。
 体調不良の際や、クールダウンを要する際は、静養室で休息をとることが可能です。今後に向けては、必要なパーテーションを増設し、音や視覚的に過敏な利用者への更なる環境整備や、防音対策などプライバシーに配慮した相談室の整備なども検討していく予定です。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:c】

施設では、機能訓練、生活訓練は行っていません。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

 職員は支援場面において、常に利用者の健康状態の把握に努め、普段とは異なる利用者の言動等に留意しています。気になる変化等を発見した場合には速やかに職員間で情報共有を行い、対応を図ることとしています。
 利用者の服薬管理については自己管理としていますが、特に配慮を要する利用者に関しては、服薬状況を把握し緊急時に備えています。医師又は看護師等による健康相談や健康面での定期的説明の機会はなく、利用者の体調変化等における医師などとの手順・対応を文書化して決めていません。サービス提供中の急病・けが等の対応については、重要事項説明書において、速やかに緊急時連絡先(家庭等)と連絡をとること、必要に応じて救急隊等と連絡をとり対応をとることなどを定めています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 事業計画書においては、「自己実現を目指す場」としての活動も位置付けています。利用者が地域社会のあらゆる活動に参加でき、生きる喜びや充実した人生を送れるよう支援を提供することとしています。昨年度は四半期に一度のレクリエーションを実施し、スポーツレクや散策、忘年会など余暇の提供を行いました。
 レクリエーション等の企画では、利用者からの発案に加え、職員からも新たな発想での提案を心掛けています。利用者にとって今までにない社会参加や経験を重ねる機会を提供することで、本人のニーズの広がりを目指しています。区の自立支援協議会の取組みである「みんなの居場所づくり委員会」の参加により、地域との交流の場を提供していくこととしています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 施設では、積極的な営業活動や作業室内の「構造化」などにより、生産性の向上や工賃アップの実現を図っています。地域生活を支える関係機関との良好な関係を構築し、利用者の地域生活への意識や意欲を高める支援に努めています。就労援助センター等と協働し、他事業所への実習や見学を行った結果、内1名は、アルバイトにつながり、雇用契約も結ぶことができました。
 近隣企業に定期実習を行った利用者は、経験を積み、賃金を受け取る段階に至っています。更に近隣の他法人の事業所10カ所と共同で作業を受注することができました。その結果、施設間のネットワークが構築され、作業情報の共有により新たな仕事につながるケースもあり、様々な取組みが利用者の地域生活支援に好循環を生み出しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

 利用者支援にあたっては、家族のコンセンサスを得ながら進めることが重要であると考えており、家族と意見交換をしながら双方向の取組みを目指しています。重要事項説明書には、事業所運営やその他、悩み事等について家族の相談を受け付ける旨明記しています。
 利用者の生活状況等について、定期的に家族等への報告を行っていませんが家族の抱える不安についての相談に応じています。必要に応じて家族や区の担当者を交えたカンファレンスも実施していますが、利用者の体調不良や急変時の家族等への報告・連絡ルールは文書化していません。更に成年後見人制度についても話題とし、制度利用につなげています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】