社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ふくじゅ保育園

2021年03月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 ふくじゅ保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 126 名
所在地 〒212-0058
川崎市幸区鹿島田1-21-8
TEL 044-201-8080 ホームページ https://www.choujyu-f.jp/fukujyu.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2011年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 長寿福祉会
職員数
常勤職員:27 名
非常勤職員:4 名
専門職員
保育士:28 名
管理栄養士:4 名
栄養士:1 名
施設・設備の概要
居室:保育室6室
設備:子育て支援センター1室
設備:事務室・医務室1室
設備:調理室1室
設備:ホール1室
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<法人理念>
『縁』(えにし)
子ども、地域、未来、であい
保育に係わりであった、子ども、地域、未来を周りから見守り、支えていくことを大切にしていきます

<ふくじゅ保育園 理念>
・子ども一人ひとりを大切にし未来に生きる力を育てる保育
・安心できる環境の中で保護者から信頼され地域に愛される保育

<保育方針>
1.子どもの最善の利益を尊重する
2.健康的な生活環境を提供する
3.基本的な生活環境を体得する
4.協同、協力により信頼関係を築く
5.自然と触れ合い心身を豊かにする
6.体験を通じて感性を養う

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<ふくじゅ保育園の特徴的な取り組み>
・保育所保育指針を共通の基盤とし、評価、研修等、様々な取り組みをし、職員間で理解を共有し、一貫性を持って保育を行っています。
・保育者が互いを尊重し、保育を見合い、多面的、多角的な検討をし、保育の質を高めています。
・一人ひとりがリーダーシップをとれる場があり、多様な視点を得る開かれた取り組みを行っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/04/07(契約日) ~2021/03/04(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2014年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【施設・事業所の概要】
●ふくじゅ保育園は社会福祉法人長寿福祉会(以下、法人という)の運営です。法人は、川崎市中原区に2園(長寿保育園、井田保育園)、川崎市麻生区に1園(あさのみ保育園)、そして川崎市幸区鹿島田にふくじゅ保育園があり、計4つの保育園を運営しています。全園は十分な敷地を有し、周囲には自然が残る立地に位置しています。法人の保育活動理念に「子どもたちの今と未来を守る保育」、「自然を愛し五感を育む保育」、「地域とつながり育ち合う保育」を掲げ、日々の保育に実践して取り組んでいます。

●ふくじゅ保育園では、「地域とつながり育ち合う保育」について、法人理念である『縁』(えにし)を大切にし、子ども、職員、保護者、地域の方々がこの「ふくじゅ保育園」に集い、保育に関わり、出会った子ども、地域、未来を周りから見守り支えていくことを大事にして考え、丁寧に保育に当たっています。担任以外の職員も子ども一人ひとりに対応した保育が行えるよう、クラス会議や職員会議、ミーティングの場を大切にし、気になる子どもも含め、密に情報交換を図り、全職員で全園児を見守る保育に向けて尽力しています。

●法人では、「あいうべ体操」を推進しています。「あいうべ体操」は医師が考案し、舌や口周りの筋肉を鍛えることにより、口呼吸の改善につながり、自然治癒力を高め、簡単な口の体操でアレルギー性疾患等にも症状が改善する体操として推進を図っています。法人では系列全園でこの体操を実施しています。「あいうべ体操」は法人でムービーを制作し、法人系列の長寿保育園の園長が作詞・作曲し、職員が手作りで制作したかわいい絵・動画と、園児たちの元気いっぱいの歌声で、子どもたちの表情まで伝わってくるような楽しいムービーとなっており、ふくじゅ保育園のホームページにも掲載し、家庭、地域へ発信して啓蒙しています。

◇特に評価の高い点
1.【子どもたちの『今』と『未来』に向けた保育】
●ふくじゅ保育園は、理念に沿い、戸外遊びを奨励して五感を育み、子どもの健やかな成長を支援しています。日々、たくさん遊んで体を動かし、自然の中から四季折々の草花の彩りや香り、草や土の手触り、鳥や虫の鳴き声、川の流れる音等と触れ合いながら、五感の刺激を大切した保育に力を入れています。子どもたちは自然に豊かな感性を育み、美しいものを美しいと感じることができる人へと成長するでしょう。また、薄着保育を推進し、健康な体作りを促進し、「あいうべ体操」の口の体操によりアレルギー性疾患等の症状の緩和を目指す等、ふくじゅ保育園は、子どもの将来に向けて健康増進、感性を育み、「今」を豊かな「未来」につなげるよう取り組んでいます。

2.【園庭の豊かな自然から育む保育】
●ふくじゅ保育園の園庭には四季折々の豊かな樹木が植栽されています。園庭には畑もあり、実のなる木が沢山あります。素晴らしいのはこの園のクラス名(0歳児:いちご、1歳児:みかん、2歳児:もも、3歳児:ぶどう、4歳児:ゆず、5歳児:うめ)の樹木が実際に「クラスの木」としてある点です。そして、子どもたちは自然から色々な気づきや感動を味わいます。0歳児(いちご)は、木ではなく畑にあり、0歳児の小さな手でいちご摘みをします。1歳児(みかん)はミカン狩り・2歳児(もも)はモモ狩りを遊びに取り入れ、3歳児(ぶどう)は、いつ頃収穫できるのか自分のクラスの木を気にして保育士に聞く等、植物の成長・季節を知る良い機会となっています。4歳児(ゆず)はアゲハ蝶の幼虫がゆずの葉を食べているのを発見し、「ゆずを守る」べく幼虫を捕獲しますが、その幼虫はクラスで飼育し、子どもたちは幼虫からさなぎ、やがて成虫になる変化を観察し、最後はアゲハ蝶を外へ逃がしてあげる等、命の大切さも学びます。5歳児(うめ)は収穫後にジュースやジャム作りを楽しみ、自然と生活とのつながりや、季節のめぐりを知り、自然の変化を園庭の木々から学び、味わっています。正しく、自然に親しんだ保育園生活と言えると思います。

3.【地域とつながり育ち合う保育】
●「地域とつながり育ち合う保育」では、ふくじゅ保育園の最も大切にする『縁』(えにし)を根幹に取り組んでいます。法人の理念である「縁(えにし)」を重んじ、ふくじゅ保育園の保育方針に、「一人ひとりの子どもの気持ちに寄り添い、やさしい言葉かけを行い、共感することを大切にしています」を掲げ、保育目標に「心身ともに健康な子」、「豊かな感性をもてる子」、「十分に遊び込める子」とし、良く食べ、良く遊び、良く眠ることを大切にして保育に当たっています。法人名の『長寿』に沿い、心身ともに健康であることを重要に捉え、‟元気いっぱいに心も身体も育まれる”保育に尽力しています。また、厨房に管理栄養士・栄養士、調理師を配置し、園独自で食事の提供を行い、五感の1つである食育を重視して、「縁(えにし)」を大切にした子どもの育成に力を入れて取り組んでいます。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【「こども家庭センター」のさらなる活用について】
●ふくじゅ保育園の隣には「こども家庭センター」(中央児童相談所)があり、相互に連携を図っています。こども家庭センターに寄せられた近隣からの苦情について相談を受けた際は、解決に向けて助言を行い、また、搬入業者の紹介等も行っています。児童相談所の特性として、近隣合同での避難訓練の実施等は難しい面もありますが、緊急時にはセンターへの入室も許可されている等、普段から良好な協力・信頼関係が築けている様子が伺えます。児童相談所には様々なノウハウが蓄積されており、こども家庭センターには、児童福祉司や児童心理司、保健師、心理職員、児童精神科医等の多職種が在籍しています。作業療法士、言語聴覚士、理学療法士との連携もあり、保育園にとって有益な知識・技術を得る機会が多々、あると思われます。こども家庭センターに研修の講師を依頼したり等、すでに実施している取り組みもありますが、今後はさらに異職種・多職種との交流を目指し、知見をより深め、多様なケースにも応じられる、幅広い知識を持つ地域の保育園へと展開していかれることを期待いたします。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名:ふくじゅ保育園


<評価に取り組んだ感想>
   
 「ふくじゅ保育園」の根幹を全職員で話し合い、確認し合う機会になりました。若い職員が多く、「子どもの最善の利益」や保育理念・保育目標等々は理解しながらも、子どもの気持ちに寄り添う・保護者の気持ちに寄り添うことでも日々忙しく、満足していたところでした。

 経験年齢に関係なく時間をかけ意見を出し合い、改めて「ふくじゅ保育園」の保育を考える機会になり、職員がさらに資質向上できたと思っています。

 自己評価票では職員の専門性・資質向上に向けた取り組みにもなったかと思われます。また、1年に1回の監査以外にも、評価機関を通して「第三者評価」を受審することの意義も全職員で共有できました。


<評価後取り組んだ事として>

改善点について土曜日グループで具体策を提示し、職員会議にて改善策を打ち出し、保育の質の向上、働きやすい職場づくりに努めています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●ふくじゅ保育園は、社会福祉法人長寿福祉会(以下、法人という)の経営です。法人の理念として、『縁』(えにし)を大切に考えています。『縁』とは、子ども、地域、未来、出会いを言い、一人ひとりの子どもの気持ちに寄り添い、言葉かけを行い、共感することを大切にして保育を実践しています。法人の理念に沿って、保育園の理念「子ども一人ひとりを大切にし、未来に生きる力を育てる保育」、「安心できる環境の中で保護者から信頼され地域に愛される保育」により、豊かな感性を持った子どもの育成を目指しています。理念はホームページ、パンフレットに明示し、玄関にも掲示しています。理念は具体的に展開、実践されており、4月、系列園4園全体での法人研修時に理事長から理念についての訓示を受けています。保護者には4月の懇談会時に、理念、保育方針について説明しています。法人研修ではテーマについての発表があり、今年は誌上で話題となった、法人が推進する「あいうべ体操」を発表する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、レジュメだけの発表となりました。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

●事業・経営環境の変化については、幸区の園長会(年3回)、幼保小の園長・校長連絡会(年2回)に参加し、情報収集及び把握に努めています。また、少子化対策や人材確保等についても分析しています。民生委員との連携により地域の子育てサロンに参加し、ニーズの収集や課題を把握し、川崎市、幸区からも保育業界の情報や分析結果を入手し、職員会議等で検討しています。園長は、定期的に保育のコスト分析を行い、できる限り低価格・高品質の保育を目指して取り組んでいます。さらに、川崎市から地域福祉計画の情報提供を受ける等、連携を図っています。川崎市の待機児童対策で保育園の新設等が相次ぐ中、他園の経営状況等についての分析は法人で行っています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

●経営課題については、基本的に法人の事務局及び園長会、主任会で経営状況や改善すべき課題について検討しています。法人系列4園と協力しながら現状の把握、分析を行い、各園で定期的にミーティングや会議等で経費や経営状況について報告及び、具体的な提案を行い、職員間で取り組み、実践結果を報告し、組織全体で取り組んでいます。また、地域や社会の動向については、全社協、市社協等からの情報、専門機関との連携により情報を収集し、職員に周知しています。人材確保の課題については、法人に人事部を設定して推進を図り、就職フェアに参加する等、具体的に取り組み、職員にも協力を仰いでいます。採用後の人材育成については育成計画を持ち、実施しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●ふくじゅ保育園では、中・長期的な計画として、設備の老朽化等に伴う増改築を1つのテーマとしていました。定期的な設備の安全点検や園庭整備を実施する中、複数の目で現状や改善の必要性を確認した結果、経営課題において大事に至る前の対処を重視し、訪問調査の際には大改修が実行されていました。計画は、法人の中・長期計画に沿い、法人の理事会で意思決定の上、組織全体の先を見据えた改善に取り組んでいます。また、人事、職員体制についても、法人の園長会で各園の現状報告を行い、早期対応に努めています。さらに、法人系列全園で理念に沿った保育目標の統一を図る検討を進めています。また、川崎市からの委託を請け、特別事業の1つとして地域子育て支援センターを園内に併設する等、その活動に対しても川崎市から十分な評価を得ています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●法人として長期ビジョンを持ち、見通しを検討していますが、中期計画としての型ではなく、単年度の事業計画の中にタイミングを図りながら事業計画に組み込むように進めています。例えば、各園が3年ごとに予算化されることを踏まえ、長期計画でのレンタル布団の更新(3年に1回)を単年度の事業計画に組み込んでいます。単年度事業計画には、害虫駆除、布団乾燥・消毒、カーテンクリーニング、備蓄品や食器の追加等、環境整備をベースとして作成し、実施時期については毎年確認して事業計画化しています。また、行事や保育参加後の保護者アンケートでの意見や、一時保育、地域子育て支援センターの利用数、苦情件数等も計画に反映するようにしています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

●法人で各園の事業計画をまとめて行政に提出しています。計画では、「事業計画」と「年間指導計画」の両建てで策定し、事業計画は、年度の施政方針的な面と保育業務に関する計画、併せて工事等、中期計画に係る面を中心としています。年間指導計画では具体的な保育の展開の計画とし、行事に関する取り組み方や、事後の評価・反省を担当者中心に定め、職員会議で話し合い、共有及び推進を図っています。評価・見直しは、年間指導計画は定期的に実施し、事業計画は年度初めや、実行の直前等に行っています。職員に対しては、繰り返す時期や各詳細について報告及び周知し、理解を促しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

●年間指導計画は、保護者に対しては行事計画に落とし込み、入園進級説明会や懇談会でスライド・資料で具体的に示して説明を行っています。また、園だよりや、玄関やクラス内での掲示、メール等を活用して浸透するよう工夫しています。重要事項説明書には幼児教育、乳児教育、主食提供等の事業計画について分かりやすく明記し、理解を促しています。保護者の意見等については、玄関に意見箱を設置し、意見が述べやすい環境作りに努め、意見を抽出するよう努めています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

●保育の質の向上については、「職員に必要な経験の目安」に沿った自己評価を実施しています。「職員に必要な経験の目安」は「期待される職員像」とし、在籍年数の区分けにより目安にて策定しています。その目安に見合う目標設定(プレ自己評価)を行い、9月に職員面談を実施して、目標の確認及び助言を行い、本人の意向や希望も把握しています。書類に関する向上については、先ず、クラスや行事担当の小グループ単位で検討や提案を行い、幹部クラスが助言してまとめ、会議や書面を通して変則グループにて検討を図り、全職員で再検討を行い、決定、実施へとつなげ、段階を踏みながら組織的に取り組んでいます。年間計画策定に当たっては、各職員の自己評価表やレポートを踏まえて実践していく体制で進めています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●目安に沿った自己評価や年間指導計画の評価、第三者評価結果等から取り組むべき課題を抽出し、補う部分を分析し、職員にフィードバックしています。今年度は特に、保育所保育指針を分析し、「カラー(経験別)会議」での「パープル(上級者)会議」で決定した内容を職員にフィードバックしました。改善に向けた体制を整え、ヒヤリハットや苦情等から早急に具体的な状況や対応を書面化し、ミーティングで共有を図り、改善策を検討しています。また、会議においても再度振り返りや反省を行い、次につなげています。課題としては、個人評価の分析とフィードバックについて、各職員の「気づき」をどう促していくのか、課題の抽出において、自己評価を基に職員面談の機会を増やし、また、視点を変えて職員面談を上級者が実施する等、上級者の育成を兼ねながら、評価の分析結果に一石が投げられるやもしれません。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●園長の権限と職務、園長の役割、責任については、職務分掌規定を定め、園長の役割・責任を明確にしています。保護者へは、入園説明会等で説明し、周知しています。職員には、毎日のミーティングや各会議で日々の保育への助言や、園の方針、状況について伝え、園長の役割・責任を表明しています。園長は、園だよりのコラムには園及び園長としての考え方を掲載し、玄関等に掲示物を作成または公表、発信する等、理解を促しています。有事(災害、事故等)における園長の役割と責任に関しては、防災マニュアルを整備し、避難訓練のあり方を担当と共に検討し、明確化されている有事や訓練時の職員の役割分担が最善であるか、常に熟考しています。組織として、園長不在時の権限委任等を含め、明確にしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園長は、遵守すべき法令等を十分に理解し、社会福祉施設経営実務セミナー等、外部研修に参加して経営等に関して学び、経営と運営面に生かしています。特に、守秘義務の大切さを繰り返し職員に伝え、意識に働きかけています。法令遵守に関しては法人の園長会で研修を受講して知識を深め、法人の委託社労士から法的チェックを受けられる体制が整っています。外部研修や会議で得た情報については職員に周知して共有認識を図り、専門機関への取次もそれぞれのケースに応じた選択肢を提案し、実践しています。100万円以上の契約、ゴミの産業廃棄物に関する契約、レンタル布団、布おむつの契約等に関しては合見積を取り、経理の透明性を図っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●保育の質の向上、保育士の資質向上については、前出の「職員に必要な経験の目安」(期待される職員像)の項目に沿ってチェックし、保育士の資質、強いては保育の質の改善に取り組んでいます。園長は、職員一人ひとりの話に耳を傾け、一人ひとりの素質やキャリアに合わせた評価、助言を行うよう心がけ、質の向上に努めています。毎年、キャリア別チームの構成や、組織のあり方を共に考え、園内研修やキャリアアップ研修を活用して自己研修の案内を促す等、職員が資質向上に取り組みやすいよう環境作りに尽力しています。園内グループ活動では、「研修グループ」を設け、外部研修を受講した職員に対して報告会を実施し、園全体で知識・技術を深めるよう取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●園長は常に変動する社会情勢や保育ニーズ、保育環境に関する情報を収集し、事務職員とも連携を取りながら職員と情報を共有し、改善・対応策を検討しています。経営改善の取り組みは主任会を中心に行い、規程だけに捉われず、保育現場の声を吸い上げ、子どもや職員にとって効果的な方法を模索し、負担軽減が図れる体制作りを推進しています。勤務に関しては、働き方の多様性に配慮し、7時間勤務者、時短勤務等、編成を実現し、残業についても月2時間以内を心がけ、ダイバーシティの概念を組織内に推進し、プロセスイノベーションが生まれやすい環境作りが成されています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●人材の確保については、法人本部で人事について検討し、人材確保の動向を計画的に行っています。例えば、実習生向けのポスター作成と掲示による発信や、バスツアーの実施、園見学会の開催、就職フェアへの参加等、積極的にアプローチを行い、担当は気軽に話しやすい年齢の近い職員を配置して対応しています。職員に対しては、「職員に必要な経験の目安」を公表し、キャリアアップ研修や発達コーディネーター研修の受講・取得等を推奨し、段階的に昇進・昇給につなげ、「見える化」を図り、定着につなげるよう計画しています。リクルート関係誌にふくじゅ保育園園長を紹介した掲載記事をきっかけに、11月に4人の見学者があり、媒体効果が生まれました。また、YouTubeにふくじゅ保育園の「あいうべ体操」の動画を掲載して園の取り組みを広く周知し、法人でもホームページを活用して人材確保につなげるよう取り組んでいます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

●期待する職員像として「職員に必要な経験の目安」を職員に示しています。「職員に必要な経験の目安」を基に職員一人ひとりが、自らの将来像を描けるよう支援しています。人事基準(採用、配置、異動、昇進・昇給等に関する基準)については就業規則に定め、就業規則は職員に配付しています。人事基準は明確にし、キャリアパスを基に手当が支給されます。また、法人内外の現状を踏まえながら経験年数、能力の明確化、雇用形態等を加味して必要に応じて改善、向上できるよう努めています。キャリア別の会議では、職員一人ひとりが求められたり期待されていることを確認し合う場を設け、年度初めの辞令や、年度途中の園長や主任との面談で先の見通しや意識改革につながる評価や助言を行っています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

●職員の就業状況については、園長、主任(副主任)との面談を行い、職員一人ひとりと話す時間を設け、ストレスチェックを実施し、定期的に心身ケアに配慮しています。園では、シフト編成に配慮し、時短勤務や産休、育休等の取得を推進してワーク・ライフ・バランスに配慮し、労務管理に努めています。福利厚生面では、衛生帽、ジャージー、Tシャツが無償支給され、法人で公益財団法人神奈川県福利協会に加入し、職員は観光、エステやテーマパーク等、あらゆる施設等が利用でき、永年勤続褒章(互助会)が授与される制度もあります。また、忘年会や食事会を行い、職員間でコミュニケーションが図れる機会を設けています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●職員一人ひとりの育成については、「職員に必要な経験の目安」を基に自己評価の目標を設定し、目標についてレポート提出をした上で定期的に職員面談を設け、一人ひとりの思いや希望、人事意向等を聞き、職員一人ひとりの目標を共有し、資質向上、育成に取り組んでいます。ふくじゅ保育園は、事務室は開放的で明るく、人員にも余裕があり、職員間・クラス間での情報共有や同世代間での安心感、主任の配慮等、相談しやすい雰囲気があり、先輩職員への信頼にもつながり、将来像が描ける組織と園の雰囲気が「自律型育成」へとつなげる環境があります。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

研修については、「職員に必要な経験の目安」の中に期待される職員像が経験年数に沿って具体的に明示されており、年間研修計画を策定して園内研修・外部研修への参加につなげています。研修受講後は、「研修報告会議」や、「ちょこっと研修」と称して全体で知識・技術を共有し、積極的に学びの場を設けています。また、専門資格の取得を推奨し、発達コーディネーターやキャリアアップ研修等に参加し、見合った対応が成されています。受講予定の研修については研修内容、カリキュラムの評価と見直しを行い、次期の計画に反映させています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

●職員の知識、技術水準、専門資格の取得状況等については、法人で把握し、人事管理を行っています。外部研修については、職員一人ひとりの自主研修用のファイルを用意し、各自が外部研修を選択して参加できる体制を整えています。また、職務別の研修や連絡会もあり、情報共有を図り、学びが広がっていいます。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外部研修への出席からオンライン参加の変更となり、Wi-Fi環境を整えon-line対応ができるようにする等、設備投資を行い、継続して教育が行われています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

●実習生の受け入れに関しては「実習生対応マニュアル」を作成し、実習生の受け入れ担当は主任としています。マニュアルを基にオリエンテーションを行い、実習の意識・目的を明確にし、園の方針・保育内容の理解を促し、子ども・保護者への配慮点、実習での留意点等について基本姿勢を伝えています。成果のある実習ができるよう学校側と連携を図り、実習中は実習依頼校が巡回し、三者で話す場も設けています。職員のスキルアップも併せてマニュアルを職員会議で確認し、受け入れ体制を整えています。実習生の受け入れでは、保育士、栄養士の育成を受け入れています。実習生からの入職もあり、卒園児も保育士を希望して園の実習に来ています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

●法人は社会福祉法人であり、運営の透明性に努め、理念・基本方針、保育の内容、事業計画等は公開しています。パンフレットは園見学などの用途に合わせて使用し、また、幸区年長児の作品展(於:幸市民会館)や幸区の子育てフェスタに設置し、情報を提供しています。園に併設されている地域子育て支援センターには法人の冊子をいつでも渡せるように用意しています。第三者評価の受審結果や苦情・相談の体制や内容については園の掲示板に公表しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●ふくじゅ保育園では、経理規定により、事務・経理・取引等のルール及び職務分掌について明確化し、公正且つ、透明性の高い適正な経営・運営に取り組んでいます。園長、事務員の管理により、周知すべき事項は全職員に周知するよう心がけています。経理等の内容については法人の内部監査を受け、CPVシステム担当者に会計について確認を受け、法人の評議員会の監査、会計処理については公認会計事務所の指導を受ける等、指摘を踏まえ、実情に即した経営改善への取り組みを行っています。法人理事会での決定事項の報告や、指摘があった事項に関しては、職員へ周知し、話し合い、改善しています。監査での指摘事項があれば、速やかに改善できるよう体制を整えています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●地域との関わりについては、運営方針にも掲げ、保育園の専門性を生かして地域の子育て支援に努めています。散歩時に地域の方へ挨拶をしたり、散歩先の公園では譲り合いや声をかけ合って地域の親子等と交流しています。行事等には近隣の方々や事業者に事前に案内を出し、園と連携のある事業者を紹介する掲示も行っています。保育園併設の地域子育て支援センターの利用親子に対してホールを開放したり、行事への参加ができる取り組みを行い、同年齢児との関わる機会を設けています。社会資源の情報等については、ニーズに応じた社会資源の紹介を行う他、交通安全教室、不審者に対する防犯教室、ひとみ座の人形劇、クリスマス、フェスティバル、餅つき等の行事にも近隣の方を招いて交流を図っています。子どもたちは幸区の保育まつりや作品展に参加し、地域の方や地域の他保育園と交流を持っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

●ボランティアの受け入れについては、「ボランティア受け入れマニュアル」を作成し、中学生の体験学習、高校生のインターンシップの実習及びボランティアの学生を積極的に受け入れています。受け入れに際しては事前にオリエンテーションを行い、最後に終了証を渡し、次世代育成に貢献しています。保育体験中は、分かりやすい言葉で伝え、子どもとの関わりが楽しいと思える経験ができるよう工夫しています。川崎工科高校とは授業の一環として保育園での職場体験が組み込まれ、協力しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

●問い合わせに対し、関係機関の情報を提供できるよう、関係機関・団体のパンフレットの資料を保管しています。幸区役所の保健師や南部地域療育センター、中央児童相談所等とは連携をとっています。園長は、川崎市及び幸区の園長会議へ参加し、関係機関の関係者とも連携を図り、連携状況は記録に残し、必要事項は全職員へ周知しています。職員に対して日々、「報告・連絡・相談」の大切さを話し、一人で対応をせず、必要に応じて園長、主任が対応するようにしています。虐待の早期発見については、虐待マニュアルを整備し、送迎時の親子の表情、着替え時やおむつ交換時に意識して子どもを観察するよう留意し、家庭での虐待等が疑われる場合には、幸区役所の保健師や専門機関と連携を図り、併せて職員間で情報を共有し、適切に対応するようにしています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●地域の福祉ニーズの把握では、川崎市や幸区の園長会議、幼保小連絡会に参加し、関係機関の情報によりニーズを把握するようにしています。また、民生委員や町会長等からも情報を入手するようにし、関係ある方々は園行事に招き、関係を維持するよう努めています。日常的に園庭開放を行い、乳児クラス(1、2歳児)と年齢に合わせて地域の親子と交流を持ち、一緒に関われるように企画及び実施しています。園庭開放の他、一時保育、地域子育て支援センターの利用者からも近隣の情報等を入手しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

●地域の福祉ニーズに沿う事業として、地域子育て支援センターの併設と一時保育の実施があります。地域子育て支援センターについては、保育園が保有するノウハウを生かして、親子体操、栄養士が行う離乳食講座、絵本講座(絵本の読み聞かせ)等、内容の充実を図り、一時保育の利用者も多く、園の行事への参加や園児との交流ができると好評を得ています。散歩先では公園等のゴミ拾いを行い、年長児はクリーンレンジャーとして園周辺の環境整備(せせらぎ遊歩道の清掃等)を行っています。また、「子ども110番」の設置や、防災用品・備蓄品をやや多めに備え、地域貢献も考慮して準備しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育理念に子どもの最善の利益を第一義にすることを明記し、「心を育てる保育」(異年齢児との関わりや、五感を使って楽しむ保育等)を推進している点がふくじゅ保育園の特長です。園の保育方針を職員が正しく理解し、同じベクトルで保育・手法で進めています。基本的人権については、人権の勉強会を行い、子どもの人権について話し合っています。倫理規定やマニュアルにも明示し、職員には自覚を促しています。性別、出自等で個人を差別するような関わりがないよう定期的に職員間で確認を行い、子どもが互いを尊重する保育については保育者が率先垂範を行い、異年齢保育を通しても生活するスキルを育んでいます。幼児クラスではロッカーの配置の工夫を行い、女児の着替えの場所として配慮しています。支援が必要な子どもへの配慮、選択肢のある保育の工夫、自由に遊べるスタイル等、子どもを尊重し、画一的にならない工夫に努めています。園には、発達指導コーディネーターの職員が5名在籍し、子どもを褒めて、育てていることを保護者も気づき、好感情を抱いています。外国籍の子どもは少ない園ですが、食育や絵本等を通して世界や生活習慣等の違いを伝えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

●子どものプライバシー保護に関しては、入職時に説明を行い、子どものプライバシー保護、虐待防止に関する知識、社会福祉事業に携わる者としての姿勢・責務を周知し、職員は理解して保育に当たっています。特に、川崎市は「子ども権利条例」を制定している都市であり、子どもの権利については先進都市であり、職員もそれを踏まえて人権擁護チェックリストを使ってチェックを行い、自覚しています。また、作業に応じた環境設定に努め、身体測定時の目隠しカーテン、トイレの個室化(ドア付き)、個人面談用の相談室他、面接の複数対応、個人情報の取り扱い、プール使用時の目隠し等に配慮しています。個人情報に関する書類は事務所で施錠のできる場所に保管し、取り扱いについて周知徹底をしています。個人情報の使用に当たり、入園時に保護者から個人情報同意書に同意を得ています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●ホームページに必要な情報を掲載し、随時、更新をしてタイムリーな園情報を提供しています。幸区役所や園併設の地域子育て支援センター(ぶるーべりー)にパンフレットを置き、来園者についてはパンフレットを手渡し、希望に応じて説明をしています。園見学は、平日・土曜日・併設の地域子育て支援センター利用時等、希望者のニーズに応じて対応し、パンフレットとパワーポイントの画像を用いて説明を行い、土曜日見学者には、3グループ程に分けて丁寧に説明を行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●保育の開始時、変更時の説明と同意については、園のしおりや重要事項説明書に沿って説明を行い、必要に応じて同意の署名を得、保護者へもコピーを渡して保管をしています。保育内容の変更時等では、保護者が理解しやすい工夫や質疑の時間を設けて説明を行っています。重要事項説明書に関しては、パワーポイントを活用して分かりやすく説明を行い、同意書を得ています。また、入園準備号として冊子を作成し、持ち物等を一覧表にする等、保護者の立場に立った配慮が成されています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●個人の記録は常に整理・管理がされており、引き継ぎがいつでもできる体制になっています。就学先の小学校へは必ず保育所児童保育要録を提出していますが、通園途中の保育園の変更等については保護者の同意、若しくは区役所の依頼で提出する場合もあります。転園・退園における情報提供については守秘の問題に配慮し、相談に応じる旨は伝え、転園した園から問い合わせがあった場合は慎重に連絡調整を行うことにしています。卒園児には行事の招待状を送り、園との関係性を継続・維持しています。「年長さんにエールを送る日」では、1年生やその保護者を園に招き、各々の小学校の情報交換の場としています。卒園後の保育の継続性における文書化については、卒園時に子どもや保護者に向けて「保育園はずっと味方 いつでも来てね 相談に乗るよ」と記載したメッセージを渡しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●子どもの満足については、日頃の保育の中で子どもの満足を確認しています。保護者の満足度は、行事ごとのアンケートの他、年間で園に対する意見、要望を聞く機会を設けています。行事時のアンケートで意見等を抽出し、改善点等を検討し、懇談会(年3回)では保護者が参加して良かったと思える懇談会を意識し、保護者のニーズに応えるようにしています。また、保育参加を実施し、おやつ終了までの1日に参加してもらい、昼に個別面談や、保護者同士のブレイクタイム(懇親)を開催し、保育の状況、保育方針の理解を促す機会を設けています。また、ふくじゅ保育園では一般的な運動会は開催せず、「親子で楽しむ」ことに主眼を置いた行事「ふくじゅファミリーフェスティバル」を実施しています。今年度に関しては、新型コロナウイルス感染症予防の観点から保育参加等の親子行事が全て形を変え、子どもたちだけでの活動となっているため、普段の様子を知ってもらおうとプロのカメラマンに撮影を依頼し、保護者に向けてDVDを配付しました。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

●苦情解決の仕組みでは重要事項説明書、入園のしおりに苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の氏名を記載し、書面にして掲示もしています。苦情が述べやすいようにポスト(意見箱)を設置し、いかなる苦情に関する内容も記録として残し、職員間で改善策を検討しています。意見に対して、検討結果は保護者に対してフィードバックし、受けた苦情等は公にできる内容は玄関に掲示して公表しています。苦情・意見の解決までの経緯、対応、記録は職員に周知し、保育の質の向上に役立てています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

●保護者が相談や意見を述べやすい環境作りとして、日頃から積極的に保護者とのコミュニケーションを図るよう努め、雰囲気作りを大切にしています。保護者からの相談は担任のみならず、経験の長い職員や園長等も対応し、日常から保護者への声かけを積極的に行い、相談しやすい雰囲気作りを心がけています。相談や意見は園長に報告する体制が定着し、保護者も園に声が届いていることに安心感を抱いています。また、発達コーディネーターの職員も複数在職しており、保護者の希望や相談内容に応じて親身に応じています。相談スペースとしては事務室や相談室で行い、プライバシーにも配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

●日頃から、保護者が相談しやすいよう職員体制に配慮しています。「保護者対応マニュアル」を備え、「病院受診マニュアル」等、個別のマニュアルも整備し、定期的に見直しを図り、適切に対応できるよう努めています。職員は、送迎時等に保護者の様子を敏感に感じとり、声をかけるよう努め、保護者の意見は積極的に把握し、組織的かつ迅速な対応を心がけています。相談に対して、検討時間のかかる場合は中間報告をして、保護者に安心感を提供するよう配慮しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●リスクマネジメントに関して、組織体制、責任者を明確にし、事故発生時の対応を明確にしています。「防災マニュアル」、「事故発生時対応マニュアル」を整備し、職員に周知しています。事故発生時にはミーティングで話し合い、マニュアルを基に事故報告書やヒヤリハットを記入し、分析・改善策を話し合い、再発防止に努めています。日々の保育準備時の点検に加え、月担当グループがチェックリストにて安全点検及び園庭整備を実施し、出入口の施錠、防犯カメラを設置し、リスクマネジメント体制を整えています。保育中の事故、ケガの対応については、年度初めの保育説明会にて保護者に知らせています。園内で起きたケガや事故は、事故報告書に記録し、ミーティング等で速やかに報告・共有を図り、反省や改善を踏まえ、事故防止策を検討しています。園内研修では、救急救命法の習得、AED操作、事故発生時シミュレーション、散歩先避難訓練、SIDSチェック、不審者対応等を実施し、緊急時に備えています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●感染症の予防や発生時の対応については、保健担当職員が区の担当者会に参加し、サーベイランスにて収集した情報は職員間で情報共有を図っています。保護者に対しては、ほけんだより、感染症情報等の掲示を行い、タイムリーな情報提供に努めています。「感染症マニュアル」を作成し、保健担当職員を中心に嘔吐処理等の保健衛生研修を実施しています。感染症罹患の疑いがある場合は、医務室に保護して対応しています。日常的に電解次亜水(殺菌性電解水)で保育室等の掃除、玩具の消毒を行い、衛生管理に努め、新型コロナウイルス感染症予防を踏まえ、手洗い・手指消毒を徹底して実施しています。ゴミの分別については、ゴミ箱の違う蓋の色(3色)を用意して紙・生ゴミ・普通のゴミを分別して環境に配慮しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●災害時の対応体制、組織図、避難場所については事務室内に掲示し、職員がいつでも確認できるようにしています。自衛消防体制を編成し、園長を自衛消防団長とし、組織的に安全確保のための取り組みを行っています。毎月避難訓練(地域子育て支援センター利用の親子も参加)を行い、地震、火災、多摩川が近いので河川氾濫等を想定した訓練も取り入れ、防災訓練を実施しています。災害用備品では、緊急用電源、投光器等を管理し、太陽光発電機、かまどベンチを設備し、職員用ヘルメット、軍手、皮手袋はいつでも取り出せるよう設置しています。通常の散歩用リュックは避難用として必要数を常備し、避難訓練日には全クラスで確認しています。備蓄リストを作成し、備蓄倉庫の管理は給食職員を中心に管理しています。毎年、消防署員による総合避難訓練も実施しています。また、隣接するこども家庭センター(中央児童相談所)とも協力して避難訓練を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法については園のしおり、保育説明会で周知すると共に、マニュアル(職員に1冊配付)に徹底すべき標準的な実施方法を記載し、組織全体で実施しています。教育・研修は新任研修、園内研修の充実を図り、マニュアルに沿って研修を進め、標準的な実施の統一に努めています。標準的な実施方法は画一的なものにならないよう、子どもの「やってみたい」という意思を尊重し、柔軟に活動等に取り入れるよう工夫しています。園では、常に新しい生活様式を取り入れ、職員会議で周知をし、会議録として残しています。また、川崎市とも連携して、最新情報を共有し、最善策を徹底するよう努めています。今後、数年間、新型コロナウイルス感染症が社会に及ぼす影響を見据え、今回の園内での対策を一過性のものとせず、現状の最善の継続予防、対処方法をマニュアルに付記しておくと良いと思われます。都度の記録ではなく、マニュアルに付記することによって、途中経過の現状の最良の対処方法(標準的な実施方法として)が園内で徹底できると思います。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

●指導計画については定期的に評価・反省を行い、クラス会議や全体会議にて報告し合い、検討を図っています。マニュアル等についても見直しを行い、今回の新型コロナウイルス感染症予防対策のように日常の保育内容を改善する等、変化に応じて充実補強に努め、変更の場合は職員に周知しています。また、職員一人ひとりが意見を出し合える会議の在り方を工夫(全体会議、ピアサポート(カラー会議)、グループ単位の会議等)し、在籍年数に関係なく意見・発言ができるよう、意見は実施方法等の検討に生かしています。さらに、保護者アンケートでの意見も検討をして改善できることは取り入れるようにしています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

●指導計画策定の責任者は園長とし、部署ごとに年間指導計画、食育計画、月案、週案を作成し、主任、園長に事前提出を行い、会議でアセスメントを実施し、園長の決裁を受け、策定しています。アセスメントには担任、リーダー、主任副主任、園長、栄養士、発達支援相談コーディネーター等、ニーズに応じたメンバーが参加して様々な視点からの意見をまとめ、実施しています。指導計画には全体的な計画を年度ごとに全職員で見直し、次期計画に反映させています。併せて個人カリキュラム、発達支援記録も立案しています。支援困難ケースの対応については、川崎市役所、幸区役所、幸区・隣接区の保健師、南部地域療育センター、中央児童相談所等と連携を図り、対応しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

●指導計画は、毎日、毎週、毎月、毎年の間隔で評価・見直しを行っています。指導計画の変更点や課題は朱書きにて示し、次回の改善に反映しています。また、専門機関との連携による助言を保育の計画に生かすようにしています。指導計画の評価・見直しにあたり、標準的な実施方法に反映すべき事項、子ども・保護者のニーズ等に対する保育、支援が十分ではない状況等、保育の質の向上に関わる課題等を明確にして、明文化・記録されることが望まれます。また、マニュアルは必要に応じて変更及び対応を行っていますが、保育の質の向上に係る課題は区分けをし、マニュアルに反映すると尚良いと思われます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

●子どもに関する年間サマリーに関しては、小学校に提出する保育所児童保育要録に相当するフォ-マットで学年ごとに観察児童記録として記入しています。(幼児は「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」を捉えた記録用紙となっています)保育の実施状況・発達状況、生活状況に関しては児童票に記録し、各クラスリーダー、主任、園長の順に提出し、指導を受け、共有化を図っています。必要な情報の共有については都度ミーティングや全体会議、書面等で迅速に周知しています。さらに、新任職員も各種会議(クラス、行事担当、全体)に参加し、経験を積めるよう輪番制とし、議事録等の記述内容は主任、園長が確認及び指導を行っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

●子どもの記録類については法定保管年数が定められており、基本的には法定年数を遵守することにしています。定められた規定に応じて卒園児の記録、児童票は鍵のかかる書庫にて保管し、書庫、保管棚の鍵は園長、主任が管理し、保管規定後、業者に依頼して廃棄しています。個人情報保護マニュアル、個人記録及び書類、USBの取り扱い等、管理について職員間で共通認識を図り、丁寧に扱うようにしています。個人情報の取り扱いについて、保護者へは重要事項説明書で説明し、理解の上、同意書を得ています。子どもの記録の保管・保存・廃棄、情報の提供に関するマニュアルを規定し、職員に周知しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

●全体的な計画は、年度末に全職員で見直しの場を設定して策定しています。初年度の全体的な計画は児童憲章、児童の権利に関する条約、児童福祉法、保育所保育指針等を踏まえ、園の保育理念、保育方針、保育目標に基づいて、子どもの最善の利益を実現できる趣旨で作成し、2期目に当たる今年度については保育方針等を踏まえ、子どもの発達過程、地域との連携等を考慮し、各クラスで情報収集して策定しました。この園の特色である、戸外活動中心の保育については、異業種間(保育士、栄養士)の意見を取り入れながら計画しました。また、毎月のカリキュラム会議等で、全職員が情報共有できるよう努めています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

●生活環境については、各クラスの担任が日常の安全点検を実施し、併せて月1回、複数の職員による安全点検を実施・報告しています。清掃、消毒については電解次亜水を使用し、衛生管理に配慮しています。各保育室には温湿度計、エアコン、空気清浄機、加湿器が設置され、乳児便器にはおまる式に手すりが付いており、2歳児クラス以上は幼児型便器が設置されています。子どもの発達に合わせた環境設定(玩具の入れ替え等)を行ない、園庭玩具の充実、絵本コーナーの設定、ホール、オーニング(日除け)の設置、業者による年2回の布団乾燥と3年ごとの寝具入れ替え等、環境設定に力を入れています。その他、環境へ留意している点では、家具や玩具は安全な木の素材を採用し、2歳、3歳児用のままごとコーナーには畳、カーペット、ベンチを備え、一人ひとりの子どもが寛いで、落ち着いて過ごせる場所の設定に配慮しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●クラスの編成では複数担任制を採用し、クラスの運営に余裕を持って子どもに関わることができる体制を整えています。保育の進め方は保育士主導ではなく、子ども発信の保育を実施し、子どもの人権尊重を最優先課題と心得、子どもの思いを引き出す言葉がけを念頭に保育に当たっています。子ども個人別に発達個人記録、発達支援記録を作成し、記録についての連続性を大切にしています。また、食育に力を入れ、調理保育は子どもの思いを反映するものを考え、大切に継承しています。保育の展開については、クラス間の共有が重要と考え、職員間のコミュニケーションを十分に取るよう指導し、共に豊かな人間関係が育まれるよう保育に当たっています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発達に合わせて、生活に必要な基本的生活習慣を身につけられるようクラスごと、個人カリキュラムに基づいて支援しています。基本的生活習慣の習得に当たり、強制することなく、一人ひとりの子どもの主体性を尊重し、集団生活の中で自分もやってみる、できた気持ちを重ねることを大切にして習得できるよう支援しています。特に、乳児については月齢及び成長に合わせて個別対応を行い、一人ひとりの差異を考慮し、併せて食事のマナーが身に付くよう働きかけ、生活習慣へとつなげています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

●子どもが自主的・自発的に生活と遊びができる環境を整備しています。色紙、折り紙、クレヨン等は子どもが自由に使えるようにして子どもが独創的な遊びや自由発想で遊べるよう支援し、様々な表現活動ができるようにしています。遊びでは、室内のコーナー遊びや、ホールや園庭で体を動かして遊び、園庭の四季折々の樹木・草花、夏野菜の栽培等、身近な自然に触れ、季節の産物と遊び、戸外の活動では年齢に応じた行き先を選択し、散歩に出かけ、多摩川河川敷まで歩いて出かけることもある等、様々な遊びを通して五感を育んでいます。また、生活と遊びを通して、友だちとの人間関係が育まれるよう、異年齢児との関りを大切にし、みんなで一体感を体感する遊び等を取り入れています。地域との交流では、散歩時に行き交う地域の方との挨拶を大切にし、園行事での地域の方との交流や、併設の地域子育て支援センター、一時保育の子どもとも交流を行い、ふれあいを大切にしています。年長児は「クリーンレンジャー」と称して遊歩道の落ち葉拾いやごみ拾いを行い、地域に貢献しています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●0歳児の体力、睡眠、休養、活動への配慮として、家庭内と同様に、長時間安定して過ごすことに適した生活環境と遊びに工夫を施し配慮に努めています。特に、0歳児が安心・安定できるよう、保育士等と愛着関係(情緒の安定)の構築に努め、1対1の授乳、オムツ交換の際の言葉がけや、子どもの表情を観察し、子どものアクションに応じて応答的に関わり、愛着関係の醸成に努めています。離乳食は栄養士、保育士、保護者と離乳食相談を実施し、睡眠については、子どもに合わせて午前・午後睡眠を導入し、子どもの体力、休息に配慮しています。遊びの面では、興味や関心を持つことができるよう生活や遊び方を工夫し、パーティションを活用して落ち着ける空間作りを行い、心地良い色彩、手触りの良い木の玩具等を提供する等、安心して過ごせるよう工夫しています。家庭との連携を密にして保育に当たっています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳未満児(1歳、2歳児)の保育については、養護と教育の一体的な展開を開始する期間と位置付けられていますが、まだ養護の比重が大きい時期を考慮し、一人ひとりの性格と家庭環境を理解し、家庭と連携を密にして子ども一人ひとりの状況に合わせ、子どもが自分でしようとする気持ちを大切にして保育に当たっています。探索活動では、探索が十分に行えるような環境を整備し、援助しています。異年齢児との交流については日頃から大切に捉え、朝・夕の時間や延長保育及び、土曜日の時間に交流を持っています。友だちとの関わりでは保育士等が適切に仲立ちを行い、地域子育て支援センターの利用者や様々な年齢の子ども、保育士以外の大人(栄養士や地域の方々等)との関わりを持つ機会を設け、人間関係の基礎を緩やかに援助しています。子ども一人ひとりの状況に応じて家庭と連携した取り組みや、配慮が成されています。2歳児は、トイレットトレーニング、育児相談など保護者と連携して進めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳児は、個の興味・関心と集団での活動を並行して園生活を過ごしています。保育では、集団の中で安心・安定を確保しながら、遊びを中心とした子ども一人ひとりの興味や関心のある活動に取り組めるよう環境を整えています。異年齢保育では、豊かな人間関係を育んでいます。また、保育士が適切に関わりながら養護と教育を意識して保育を進めています。4歳児の保育では、集団の中で自分の力を発揮できるよう、友だちとも楽しみながら遊びや活動に取り組めるよう環境を整えています。5歳児の保育に関しては、集団の中で一人ひとりの子どもの個性を生かし、友だちと協力してやり遂げるといった活動や創造した遊び等に取り組めるよう環境を整え、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」についてもサポートしています。異年齢保育では、下の子どもたちのお世話を進んで行っています。子どもの育ちや取り組んできた協同的な活動等については、写真や記録に残し、保護者や地域・就学先の小学校等に保育所児童保育要録、電話での申し送りを通じて伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●障害を持つ親子等に対する施設環境に配慮し、施設のバリアフリー化、障害者トイレ(1階、2階)を設備しています。障害のある子どもの状況に配慮した個別の発達支援記録にて課題、支援方法を明確化し、クラスの指導計画と関連付けて保育に当たり、発達支援記録も残しています。計画に基づき、子どもの状況と成長に応じた保育を行い、子ども同士の関わりに配慮しながら、共に成長できるように援助し、保護者との連携を密にして、園生活に配慮しています。園には発達支援コーディネーターが5名在職し、手厚い支援ができています。必要に応じて、医療機関や専門機関と連携を図り、職員は、個人発達記録会議の開催や外部研修(障害児保育等)受講者より研修報告を共有し、必要な知識や情報を得ています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●1日の生活を見通し、その連続性に配慮した子ども主体の計画性を持って取り組んでいます。子ども一人ひとりの体調を考慮し、様子により保育途中でも休養させる等、子どもの状況に応じて、穏やかに過ごせるよう配慮しています。夕方の延長保育では合同保育になり、年齢の異なる子どもが一緒に過ごせるよう生活、遊びにも工夫し、安全に過ごせるよう配慮しています。子どもの状況については職員間でクラスごとの連絡ノートや乳児・幼児の合同掲示板を活用し、伝達漏れのないようにしています。乳児クラスは連絡帳で連携を取り、幼児クラスでは活動記録に活動内容・連絡事項を記載し、漏れの無い伝達に努めています。保育時間の長い子どもには、夕方に補食の提供を行い、日替わりにて主食に代わる内容で提供しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

●全体的な計画の中に小学校との連携や就学に関連する事項が含まれており、それに基づいた保育が行われています。子どもが小学校以降の生活について見通しを持てる機会を設け、近隣保育園数園との年長児交流会や、保育士による学校訪問(授業参観、運動会、入学式等)を実施し、小学校教諭の保育園訪問もあり、情報交換を行っています。5歳児の担任は保育所児童保育要録を作成し、園長が確認の上、該当小学校へ提出しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

●川崎市の健康管理マニュアルを基に、保健マニュアルを作成し、マニュアルに基づいて子どもの心身の健康管理を行っています。また、子どもの健康に関する健康管理計画を作成し、計画を基に年間指導計画を策定しています。入園前健診における子ども一人ひとりの健康状態を把握し、定期的な健康診断結果、身長体重測定を職員間で共有し、保育に役立てています。毎月、「保健だより」、「薄着だより」を発行し、家庭と園の双方から子どもの健康管理に努めています。午睡のブレスチェックでは、0歳児が5分ごと、1歳児が10分ごと、2歳児は15分ごと、3歳以上児は30分ごとに、それぞれ安全確認を行い、記録しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

●健康診断・歯科健診を定期的に実施し、健診結果は記録して関係職員に周知しています。健康診断・歯科健診の結果は健康手帳に記載し、歯科健診の結果は結果報告書にて報告を行い、健康診断・歯科健診の結果は家庭での生活に生かすよう、保護者に伝えています。特に、必要に応じて(要再検)かかりつけ医への受診を強く勧めています。歯科健診時には歯科医師等により歯磨き指導や健康な歯について話を聞き、子どもたちに働きかけています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●アレルギー疾患・慢性疾患等のある子どもについては、医師の指示の下、子どもの状況に応じた適切な対応を行っています。除去食アレルギーガイドラインに沿って該当児の保護者と面談を行い、献立表、除去カードを配付して連携を密にしています。朝のミーティング時に、アレルギー児の献立確認を行い、アレルギー確認ボードでも確認しています。食事の提供では、専用トレイ・食器を使用し、テーブルには色別布巾を備え、着席の位置にも配慮しています。配膳では厨房内、保育士と栄養士、保育士と保育士のトリプルチェックを実施し、誤食が無いよう十分に注意しています。職員はアレルギー疾患、慢性疾患等について研修を受け、必要な知識・情報を得、技術を習得して保育に生かしています。毎年、アレルギーのアナフィラキシー対応としてエピペンの技術習得の研修も行っています。園では、半年ごとに健康管理委員会へ子どものアレルギーの確認に関する書類を提出しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●食に関する豊かな経験ができるよう、保育の計画の1つとして食育計画を位置づけ、取り組みを行っています。食育計画に沿った調理実習や植物の栽培・収穫を年齢に応じて行っています。園では、子どもが食事を楽しむことを大切に考え、自園調理を行い、食材の厳選、味付け、調理方法を工夫し、子ども一人ひとりの咀嚼能力等に応じて食材の形状に配慮し、発達に合わせた献立と、温かい食事を提供しています。食器は、材質や形状等に配慮し、強化磁器製の食器を採用しています。乳児クラスでは、月齢と発達に応じて栄養士、保育士が連携の下、個別に離乳食を提供し、口腔発達と食材チェックリストに沿い、栄養士、保育士、保護者の三者で離乳食移行の面談を実施しています。食事の際はテーブル、椅子の高さは年齢や、個々に応じて背あて、足置きを使用して正しい姿勢でおいしく食事が取れるよう工夫しています。食事は、3歳~5歳児はホールで一緒に食事を行い、異年齢で食べる楽しい雰囲気作りを心がけています。子どもの食生活や食育に関する取り組みは家庭と連携して行っており、給食だよりには食に関する情報提供や人気レシピ等を掲載し、さらに保護者に向けてレシピを配布し、家庭での食育につなげています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発育状況や体調等を考慮した、献立・調理の工夫をしています。メニューは川崎市作成の献立を参考にしながら、出汁の使い方、味付けを考慮した園独自のメニューを作成しています。献立は、季節感を心がけ、旬の食材を取り入れ、給食だよりに掲載し、食材提供事業者の顔写真入りパネルを掲示して食への関心につなげる取り組みも行っています。メニューは2週間サイクルを採用し、日々の喫食状況を書面に記載し、また、保育士から口頭で報告を受け、次回のサイクル時の調理方法などに反映させています。伝統行事や季節感のある行事食なども工夫し、誕生日会の会食メニュー等は毎年テーマを挙げて実施しています。子どもたちが育てた野菜は食育に活用していますが、今年度はコロナ禍の影響もあり職員が栽培し、収穫後、食育に活用しました。全職員は毎月、細菌検査を実施し、食事提供時には衛生帽・エプロンを着用して衛生に十分注意しています。園では、生ごみ処理機を導入し、残飯は栽培用等の肥料として活用しています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

●乳児は連絡帳を活用し、幼児は活動記録を使用して子どもの様子を保護者と共有しています。降園時には保護者への伝達や1日の様子を伝え、情報を提供しています。保育のねらいや保育内容については、保護者の理解を得る機会(新年度説明会、懇談会、面談等)を設け、クラスだよりの発行等、様々な機会を通して保護者と一緒に子どもの成長を喜び、共有できるよう努めています。また、園生活の様子は、写真販売や活動のトピックス内容を写真を用いて掲示し、保育参加にて子どもの様子を見る機会を設けています。家庭の状況、保護者との情報交換の内容、相談等は必要に応じて記録し、職員間でも共有しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●日々、保護者とコミュニケーションを図り、送迎時には明るい挨拶を行い、保護者が声をかけやすいよう心がけています。ふくじゅ保育園は、明るい開放的な玄関と、事務室のオープン的な雰囲気、迎えてくれる職員の笑顔が保護者等へ安心感を与え、信頼関係作りのベースとして醸しています。保護者から相談がある場合は、応えられるよう体制を整え、相談内容は内容に応じて職員、又は主任・園長等が適宜対応するようにしています。相談内容は面談記録用紙に記録を残し、それぞれの事情に配慮し、保育所の特性を生かして保護者への支援に努めています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

●園長は、虐待等権利侵害の兆候を見逃さないよう心がけ、子どもの心身の状態、家庭での養育の状況について把握に努めています。「虐待に関するマニュアル」を作成し、家庭での養育の状況・保護者と子どもとの関わり、送迎時の視診、親子の表情・態度等を観察し、保護者の気持ちを丁寧に受け止め、虐待の予防に努めています。虐待等権利侵害の可能性があると職員が感じた場合は、速やかに園長に報告し、保育所内で情報を共有し、関係機関との連携、相談ができる体制を整え、日々の申し送りや、言葉、服装、食事の取り方、持ち物等で変化があった際に対応できるよう指導しています。また、キャリアアップ研修や外部研修を受講した職員から、研修報告を受け全職員が学びを深める機会を設け、知識を深めた上で対応に努めています。虐待等権利侵害となる恐れがある場合には、予防的に保護者の精神面、生活面の援助をするようにし、要件により園長・担任が専門機関職員と面談も行っています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

●園長と職員は年間の目標を決め、年2回、自己評価を実施し、自己の振り返りと意識向上につなげています。各保育士の自己評価をクラス内で反映し、園の課題をチームとで確認し、質の向上に努めています。園では、個人用自己評価表として、新人用自己評価表、一般保育士用自己評価表、園長用自己評価表があり、それぞれが取り組み、引いては園全体で質の向上が図れるよう研鑽しています。また、職員一人ひとりが意見を述べ、課題を達成できるよう、クラス別・経験年数別会議を設け、より良い保育園作りにつなげています。さらに、日々の保育を振り返りができるよう、法人・主任・園長で作成された自己評価や、カリキュラム、保育日誌、個人記録の反省・評価、カリキュラム会議の評価・反省を設け、それらを基にして保育士の自己評価を推進しています。各保育士の自己評価に挙げられた課題を集積して保育園の課題としてとりまとめていますが、得られた保育園の課題は中・長期期計画に落とし込み、解決期日を決め、日程管理に取り組んでいかれると尚良いと思われます。