社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ぶどうの実

2021年01月22日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 ぶどうの実 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害児入所施設(福祉型) 定員 30 名
所在地 〒241-0005
横浜市旭区白根7-10-6
TEL 045-952-1753 ホームページ http;//www.shirane.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1960年05月12日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人白根学園
職員数
常勤職員:31 名
非常勤職員:7 名
専門職員
社会福祉士:4 名
精神保健福祉士:1 名
看護師:1 名
栄養士:1 名
保育士:12 名
施設・設備の概要
居室:一人用30室
居室:二人用2室
設備:多目的ホール1室
設備:居間・食事室4室
設備:エレベーター1基

③ 理念・基本方針
<基本理念>
知識より 信仰より 愛を似て第一となす

<基本方針>
私たちは
1.人としての尊厳を守ります。
2.人権を擁護します。
3.意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。
4.社会の一員として活動に参加でき、安心できる暮らしの実現に努めます。
5.サービスの点検を行い、利用者に対して有効かつ適切な支援を行います。
6.職員としての専門的役割と使命を自覚して行動し、日々研鑽に努めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
●「ぶどうの実」は、社会福祉法人白根学園が運営する福祉型障害児入所施設です。法人は、知的障害者(児)就労・生活支援総合事業として入所施設・通所事業所・就労支援事業所・グループホーム等、多くの施設や事業所を横浜市で運営しています。当施設は、相鉄線西谷駅またはJR横浜線鴨居駅からバスに乗り「金草沢」下車徒歩10分の高台にあります。平成27年に建て替えを行い、ぶどう色の可愛らしい外観に生まれ変わり、短期入所・日中一時支援・放課後等デイサービスなどの支援を行っています。施設からはみなとみらいが見渡せ、周りは公園や学校・病院等が点在し、安心して生活ができる環境です。また、太陽光発電を屋上に設置し、「太陽光発電遠隔監視システム」を導入し、長期間の安定稼働を確保しています。

●「ぶどうの実」の入所定員は30名とし、主に知的障害児を受け入れ、障害を理由に学校教育を受けられなかった子どもたちの教育の場として設立されました。その後、養護学校が義務化され、多くの児童施設が成人施設に転換される中、家庭生活が困難な要保護児童のための施設として運営を続けています。集団生活のメリットを最大限に生かし、他者を思いやり、協力することで対人関係の基本を学びます。児童一人ひとりの生活を大切にし、個々のニーズに即した生活提供を目指しています。現在、子どもたちは4ユニットでの小集団の家庭的な雰囲気の中で生活し、職員の手厚い支援を受けながら地域の学校に通い、日々の生活を送っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/04/23(契約日) ~2020/12/22(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2017年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1.【利用者の自律・自立生活に向けた日常的な生活支援】
●「ぶどうの実」では、利用者の特性や年齢・性別を考慮した1ユニット7~8名のユニット体制を取っています。利用者と職員が日々生活する中で、利用者が意見を述べやすい雰囲気作りに努めています。施設でのルールや約束事については、ユニットごとに開催する「利用者自治会」(えがおの会)で意見や希望を聞き、柔軟にルールを変更するようにしています。「利用者自治会」は毎月開催し、休日のルールについては「利用者自治会」などで利用者との話し合いで決めています。利用者が一人で外出できるように始めの数回は職員が付き添い、その後見守りから一人での外出へと計画的に進めています。単独外出に向けては手順を踏んで計画的に進め、お金の使い方・交通ルール・公共交通機関の利用方法・買い物のルール等を体験します。利用者の自律・自立生活の実現に向けて、就学先の進路担当職員・施設担当職員・ケースワーカー・家族などが定期的に話し合いを行い、統一した方針の基で支援に当たっています。

2.【利用者の自己決定を尊重した個別支援体制】
●利用者は4つのユニットに分かれ、小集団の中で職員と利用者の距離も近く、利用者一人ひとりの意見や要望は日常会話の中で聞き取りに努めています。毎月、オンブズパーソン2名が来所し、面談を希望する利用者と面談を行い、要望等の把握に努めています。個別支援計画作成に当たっては、子どもに分かりやすいよう「ぼくのわたしの1年間」として、「私の良い所・好きな事・得意な事・苦手な事」、「将来的にやりたいこと・なりたい自分」、「今年1年間で何をするか、在学中にどうするか」等の意見や要望を聞きながら自己決定を尊重した個別支援を行っています。夏休みには利用者の要望先に一泊旅行し、誕生日外出は職員と二人で子どもの行きたい場所に行き、買い物や外食を楽しんでいます。また、4ユニットを通学先などで分けた3グループを設け、状況を把握しています。職員は利用者に寄り添い、自分の意思を表出しにくい利用者については、日々の暮らしの中で意向の把握に努め、利用者の気持ちを受け止めながら日々の生活を大切にした個別支援に取り組んでいます。

3.【地域を通しての利用者の社会的生活体験と公益的事業活動】
●利用者が地域の人々と交流を持つことは「社会的生活体験」を得るのに大切なプロセスと考え、町内会・自治会が主催する祭りや活動に参加し、社会的なルールを学ぶ機会としています。利用者は地域の夏祭りやカーニバルなどに出かけ、お金の使い方や順番を守ることを体験します。利用者の買い物などの日常的な活動についても、近隣スーパーなどを利用して生活体験をする場としています。また、学校の友達が放課後や休日に遊びに来て、園庭などで一緒に遊ぶ等、地域とのつながりを体験しながら社会性を身に付けています。さらに、通所支援事業として放課後等デイサービス事業や、毎月開催する「子ども食堂」で地域の子どもや保護者への夕食の提供等を通して、地域の福祉ニーズの把握をし、活動に生かしています。「ぶどうの実」は災害時の役割として福祉避難所として指定されており、施設の有する機能を地域に還元しています。
改善を求められる点 1.【職員の専門性の向上に向けたさらなる取り組みについて】
●入所児童の行動特性は時代と共に変化しています。強度行動障害が主だった時代から、近年は被虐待を主とした社会的養護の利用者が増え、愛着障害など幼児期の生育歴に課題を残しています。障害による行動や生活の状況等を把握し、職員間で支援方法等の理解・共有が必要になります。そのような課題に対する専門性の向上に更に取り組んでいかれることを期待いたします。

2.【安心・安全な福祉サービス提供のための分析と取り組みについて】
●「ぶどうの実向上委員会」が設置され、「事故報告書」、「ヒヤリハット報告書」で事例検討を行い、事故予防に努めています。また、防犯カメラやユニット内の見守りカメラの設置で利用者の安全確保に努めていますが、事故件数は増加傾向にあります。今後、各ユニットの状況に即した事故防止のためのチェクリスト等の作成や、毎日の安全点検を行い、事故事例の分析を基に事故防止のための更なる取り組みが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
事業者コメント

施設名: 福祉型障害児入所施設 ぶどうの実

<評価に取り組んだ感想>
   
 今回で受審は3回目になりますが、少しずつ自信めいたものも芽生えてきたように思います。自己評価では、自信をもって高い評価をつけることは難しく、どうしても謙虚な評価になります。一つひとつの評価項目で、明らかに「できている」と言えるものがなく、部分的にはできているが、全体で見ると欠けていることが多くあるというのが、自己評価での偽らざる気持ちでした。

 いつもそうなのですが、訪問調査で調査員から確認されるごとに、「できているじゃないですか」と指摘され、改めて本当に嬉しくなってきます。

 第三者評価とは、実は評価されることで大いなる自信につながる手段です。どこでも完璧なことはありません。利用者が過ごしやすく、職員が勤めやすい生活環境と労働環境をこれからも追い求めていきたいと思います。

<評価後取り組んだ事として>

 すぐに評価できなかったことに取り組むようなことはしていません。できていなかったことには、それなりの理由が必ずあります。それは利用者の生活における習慣や嗜好だったり、職員同士がより円滑な関係性が保てるようなことであったりします。その理由を追及した上で、皆で話し合いながら少しずつ改善に取り組んで行く所存です。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

●理念・基本方針は、法人の広報誌・ホームページ等に記載され、事務室にも掲示されています。創設当初より、一人ひとりが自分に合った、自分の望む生活を実現できるよう利用者主体の福祉を貫いており、理念・基本方針は利用者の人権の尊重や個人の尊厳にかかわる姿勢が明確になっています。理念・基本方針に基づく職員行動指針は、職員の行動規範となるよう具体的な内容になっています。新任職員の研修については、法人の理念・基本方針・職員行動指針について周知し、中期計画にも明示して職員に配付しています。しかしながら、日頃の言動等の中で全職員への周知徹底が出来ているとは言えない部分もあり、今後、全職員の周知状況を確認し、継続的な取り組みが必要だと思われます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

●利用者に良質かつ安心・安全な福祉サービスの提供ができるよう、福祉事業全体の分析は法人本部が具体的に把握・分析しています。法人運営会議(施設長会議)が毎週開催され、主に障害福祉を中心に制度・報酬等について確認しています。地域の各種福祉計画の策定動向と内容は、横浜市からの情報で把握し、分析しています。地域の特徴・変化等の経営環境や課題については、定期的に開催される障害関係施設の施設長会で情報交換し、把握・分析を行っています。また、福祉サービスのコスト分析等については法人本部が分析して運営に生かしています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

●経営環境や財務状況等の法人本部での現状分析を基に、毎週開催の法人運営会議(施設長会議)において、組織体制や設備の整備・職員体制・人材育成等の課題や問題点を明らかにし、常に話し合われています。運営会議には役員も出席し、経営状況や改善すべき課題について法人理事会に報告され、具体的に検討し方向性を役員間で共有しています。経営状況や改善すべき課題については、毎月の職員会議等にて周知し、職員間で課題を共有するようにしています。今後、職員同士の検討の場を設ける等、経営課題の解決・改善に向けて具体的な取り組みが望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●今年度、理念・基本方針の実現に向けたビジョンを明確にした第2期中期計画が策定されています。2020年度から2023年度までの4年間で策定し、3年目に「中間報告」が行われます。経営状況・環境等の把握・分析を踏まえた具体的な内容になっています。施設としては「過齢児対策」、「障害児通所支援事業」、「地域における公益的な取組」等が中期計画の項目になっています。中期計画は、数値目標や具体的方策を決め、実施の状況が具体的に示せるようにしており、定めた項目に関して進捗状況を定期的に確認しています。中期計画は修正を図りながら進め、次期の中期計画に反映するようにしており、場合によっては期間内に修正し見直す場合もあります。中期計画については冊子にまとめ、全職員が閲覧できるようにしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●事業計画は中期計画と連動し、前年度事業報告書を踏まえ、実現可能である計画を具体的に策定しています。予算管理も実施し、期中にもチェックを行っています。今年度の重点事業として「過齢児の成人施設への移行」、「健全な療育環境の整備」「職員の資質・支援技術・知識の向上」等を掲げています。事業計画の重点事項については、担当者・責任者を決め、具体的な成果等を設定し、実施状況の評価が可能な体制を構築しており、単なる「行事計画」となっていないところは秀逸な点です。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画は、当初幹部職員(施設長・係長・主任)により、意見の集約・反映の基で策定しています。そして、職員会議で全職員に説明して理解を求め、再策定する仕組みを組織として定めており、社会の動向・組織の状況・利用者の育ち・地域ニーズ等の変化にも対応しています。事業計画は、メール等を活用して職員に周知し、計画に沿って組織的に実践しています。また、制度・報酬改定に基づく見直し等、必要に応じて補正予算と合わせて事業計画も見直しています。今後、計画期間中において、事業計画の実施状況については予め定められた手順に基づいて把握されることが望まれます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画・事業報告はホームページに記載し、その主な内容を年4回開催の保護者会で資料を配付し、周知説明していますが、利用者には説明をしていません。事業計画の根拠となる懸案事項が過齢児・支援困難児童など特定の利用者に係わるため、周知するのは難しいと思われます。事業計画の主な内容は、利用者の生活に密接に係わる事項であり、引き続き保護者への説明の工夫を行っていくことが望まれます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

●福祉サービスの質の向上のため、職員の自己評価や第三者評価の受審など組織的に取り組んでいます。職員は「人権チェックリスト」で毎年自己評価を行い、係長・施設長が面談して評価する仕組みがあります。法人内では、各事業所のサービス等に係わるグッドジョブコンテストが毎年実施されています。その取り組みと評価は、全職員にも周知されており、職場改善・サービス改善につなげています。個別支援計画におけるモニタリング・アセスメントは年2回以上実施し、福祉サービスの質の向上に取り組んでいます。引き続き、全体の福祉サービスの評価を行い、改善策を検討・分析する場を設け、質の向上のため組織的にも取り組んでいかれることを期待いたします。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●実施した評価の結果に基づき、職員会議で施設として取り組むべき課題を明確にし、職員から意見を求める仕組みになっており、施設長が中心になって改善に取り組んでいます。しかし、文書化はされていません。また、月1回の職員会議・グループ会議・ユニット会議等で職員間での課題の共有化は図られていますが、職員参画の下で改善策や改善計画を策定する取り組みは十分でありません。感染症対策や地域活動等についての課題は、速やかに改善できることは取り組み、検証を行っています。また、時間がかかる事項は別に計画を立てて取り組み、次年度も改善の努力を継続しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●施設長は運営に関する全てを把握し、その役割と権限について職務規定に明記しています。毎月開催の主任以上の職員による運営会議や全職員出席の職員会議の他、日常的に開催されるカンファレンスやケース検討の機会に、自らの立場を明確にしています。施設長は平常時のみならず、有事における役割と責任も職員に表明し、不在時の権限委任等を含め明確にしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●施設長は、社会福祉関連法令はもとより、施設の理念・基本方針や諸規定を理解し、社会ルールや倫理に基づき職員に周知しています。法令遵守の観点から、法人本部主催の研修や、行政機関が実施する外部研修に参加し、職員が遵守すべき法令等を正しく理解するための教育に取り組んでいます。法人では、法令等を遵守した事業経営を行うためコンプライアンス規定を策定しており、職員に対して遵守すべき事項を周知しています。施設長は、施設を取り巻く社会情勢や環境の変化等を考慮し、幅広い分野の遵守すべき法令等を把握していますが、職員が理解を深めるための取り組みをさらに進めていかれることを期待いたします。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●施設長は、理念や基本方針を具体化する観点から、福祉サービスの質の向上に関する課題を把握し、改善に向けてリーダーシップを発揮しています。支援に係わる職員の取り組みと利用者の反応については常にチェックを怠らず、毎朝各ユニットを巡回し、職員との会話・利用者の行動観察等を実施しています。利用者の学校への送迎も職員同様に行っています。施設長は、職員との個人面談や運営会議・職員会議等で職員の意見を聞き取り、出来る限り職員の意見を吸い上げるよう参考にしています。また、福祉サービスの質の向上のため、職員一人ひとりの考え方や課題を把握し、職場改善のため組織的に取り組んでいます。職員には研修への参加を促し、職員の資質向上に努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●施設長は、経営の改善や業務の実効性を高める取り組みに指導力を発揮しています。財務面では月次試算表(事業活動収支・資金収支・貸借対照表)により、毎月の収支の確認を行っています。労務面では、平日や休日・夏休み等の休暇により利用者の日課が変更されることに伴う勤務シフトの変更等、必要な人員配置を行っています。職員の声を聴き、職員の年間研修計画を作成する等、経営の改善や業務の実効性の向上に向けて、組織内に同じ意識を形成する取り組みに力を入れています。また、今回の第三者評価の実施により職員一人ひとりの「気づき」が得られ、課題を把握し、同じベクトルを持って成果が上がることが見込まれます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●人材確保については、長期の採用計画を策定し、法人本部が中心となって取り組んでいます。必要な人材確保のために、法人のホームページや複数の就職サイトに求人案内を出しており、養成学校にも働きかけを行っています。正規職員の採用は、法人一括で募集・試験・採用決定を行っています。毎週開催される施設長出席の人事運営会議で採用計画と採用決定の情報を共有し、各事業所の必要な有資格職員の配置状況等を随時確認しています。新任職員は、年間研修計画を通して育成に努めています。施設として、常に必要な福祉人材の確保のため具体的方針の確立が望まれます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

●「期待する職員像等」を階層別に明文化し、人事考課に連動し、昇給・昇格に反映する体制が整っています。人事基準を明確に定め、職員に周知しています。法人の「人事考課規定」で階層別定義や代表的仕事事例を示し、職員自らが将来を描く仕組みになっていますが、その内容を職員が理解するよう周知することが必要だと思われます。年2回、人事考課として施設長・係長が職員面談を行い、全職員の満足度や意見・要望を聞き、施設長が出席する人事運営会議で定例の職員移動・昇任・昇格等を決定しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

●職員の就業状況や意向の把握は年2回の職員面談を組織的に行い、労務管理に関する責任体制を明確にしています。面談においては職員の心身の状況等も把握するようにしています。年1回、全職員のメンタルヘルスチェックを実施し、メンタルヘルス相談員を任命する等、職員の悩み相談を受ける体制を整えています。職員の有給休暇の取得状況や時間外労働のデータを定期的に確認し、職員の就業状況を把握しています。さらに、毎年「職員満足度調査」を実施し、「仕事・職場・人事育成・人事給与・労働環境・業務効率・組織風土」について調査しています。調査後は集計講評としてまとめ、課題を抽出していますが、今後、把握された意向・意見についての分析・検討する仕組みが必要だと思われます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●「期待する職員像等」を階層別に明文化しています。年2回の個別面談により目標管理と進捗状況の確認を行い、職員の育成に向けた取り組みを行っています。施設の目標や方針を踏まえ、面談を通じたコミュニケーションにより、職員一人ひとりの目標を設定しています。主任以上は年2回、「仕事の出来映えシート」・「執務態度チャレンジシート」を活用して自己評価を実施し、年度目標の確認をしています。その他、年1回「人権チェックシート」でも自己評価を行っています。自己評価結果は、係長・施設長面談により評価しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●組織が目指す福祉サービスを実施するために、基本方針や計画の中に必要とされる専門技術や専門資格を明示しています。法人内の研修委員会が「年度研修計画」を策定し、職員が計画的に参加できるようにしています。法人が主催する全職員向けの権利擁護研修は年5回実施され、年1回は必ず参加するよう義務付けています。また、横浜市社会福祉協議会の「福祉保健交流センター・ウィリング横浜」主催のキャリアパス対応生涯研修課程の研修には、主任・中堅・リーダー・管理者の研修として全職員が受講しています。研修計画の内容やカリキュラムも定期的に確認し、職員の資質向上に努めていますが今後、職員の受講状況を管理することが必要だと思われます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

●職員一人ひとりに必要な教育・研修を受講することができる体制を整えています。横浜市社会福祉協議会主催の階層別研修を活用し、職員の職務や必要とする知識・技術水準に応じた教育・研修を実施しています。新任職員の現場研修では、最低1カ月間に3回以上は同一勤務に個別的なOJT職員が付き、育成を行っています。外部研修に関する情報提供を適切に行い、強度行動障害支援者養成研修・てんかん基礎講座・性教育研修・自閉症セミナー・接触嚥下研修・接遇マナー研修等にも参加しています。職員一人ひとりが教育・研修の場に参加できるよう配慮しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

●実習生受入れマニュアルが整備され、実習生の研修・育成に関する基本姿勢やプログラム等を明文化しています。事前のオリエンテーションで施設の方針や実習中の心得・守秘義務等について説明しています。保育士を目指す学生を中心に、年間30~40名と多くの実習生を受け入れています。施設長が実習生指導のための研修を行い、職員は理解をしています。実習生受入れのマニュアル、レジメを準備し、特に専門職種の特性に合わせたプログラムを作成し、実習依頼校とは連携を図り、継続的に取り組んでいます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

●ホームページ等の活用により、法人・施設の理念や基本方針と提供する福祉サービスの内容や事業計画等が適切に公開されています。定期的に第三者評価を受審して評価結果を公表し、事業や財務等に関する情報も開示することで説明責任を果たし、さらに経営の透明化を図るため、法人広報誌を年4回発行して情報提供に努めています。また、苦情・相談体制についても公表し、苦情申立先第三者委員の設置の他、オンブズパーソン2名が毎月来所し、利用者や新任職員等と面談を行っています。情報公開については、施設種別の特性を配慮しながら今後も慎重に取り組んでいただきたいと思います。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●福祉サービスを提供する主体として、公正かつ透明性の高い経営・運営のための取り組みを行っています。事務・経理・取引等は、経理規程により運営し、職員に周知しています。施設の事務・経理・取引等については法人本部が内部監査を実施し、定期的に確認しています。法人は外部の専門家による監査支援等を活用し、経営改善等の助言・指導を受け、運営に生かしています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●基本方針に「私たちは社会の一員として活動に参加でき、安心できるくらしの実現に努めます。」と示しています。利用者が地域の人々と交流を持つことは「社会的生活体験」を得るのに大切なプロセスと考えており、町内会・自治会等が主催する夏祭りやカーニバルに入所利用者が参加しています。年4回開催の地域防災拠点運営委員会には職員が委員として参加し、地域の人々と交流の機会を設けています。利用者の買い物などの日常的な活動についても、近隣のスーパーなど利用者の希望に応じた店を利用しています。今後、地域との関わり方について基本的な考え方を文書化することが望まれます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●ボランティアについては、ボランティア受入れマニュアルを作成し、オリエンテーションで施設の方針や守秘義務等を説明する等、受け入れに対する基本姿勢を明確にし、体制を確立しています。以前は子どもへのダンス指導等のボランティアを受け入れ、また、中学生の体験研修にも協力しています。現在、個別的なボランティア希望の申込みはありませんが、旭区社会福祉協議会等からの依頼を受けており検討しています。今後、ボランティア受け入れは地域社会と福祉施設をつなぐ柱と考え、取り組んでいかれることを期待いたします。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

●福祉サービスの質の向上のため連携が必要な機関や団体と連携を適切に行っています。横浜知的障害関連施設協議会に加入し、施設長が児童部会長を務めると共に月1回、定例会を開催し、児童相談所等と連携を図り、共通の問題に対して解決に向けて協働して取り組んでいます。また、養護学校・こども医療センター等とも定期的な連絡会を設け、情報の共有化を図っています。共通の問題に関しては職員会議で話し合い、解決に向けて具体的な取り組みを行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●施設は災害時の役割として、福祉避難所に指定されており、地域に協力しています。3階「ホールにじいろ」を地域住民との交流の場として開放する等、施設の有する機能を地域に還元しています。また、地域ケアプラザが主催する「地域支え合い連絡会」に参加し、旭区自立支援協議会にも参加しています。「ぶどうの実」は、地域の関係機関・団体と連携を図り、地域の福祉向上のために取り組んでいます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域資源の一つとしての立場を意識して、施設として出来る事・やるべき事に取り組んでいます。「子ども食堂」を月1回開催し、地域の子どもや保護者に夕食を提供しています。事前申し込みで毎回40食~50食を用意し、食堂内にノートを備え、参加者が自由に意見や感想を書けるようにしています。現状のコロナ禍においては持ち帰りにしています。さらに、地域防災拠点運営委員会の委員として参加し、施設は福祉避難所としての協定を結んでいます。旭区子ども連絡会や地区社会協議会が実施する会議にも参加し、施設が有する専門的な情報を地域に提供しています。今後、引き続き施設の有するノウハウを地域に還元することが望まれます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●理念や基本方針に利用者を尊重した福祉サービスの実施を明示し、職員が共通理解を図れるよう取り組んでいます。法人内の施設長をメンバーとした権利擁護委員会を2カ月に1回開催し、利用者の権利擁護に関する取り組みの検討を行っています。権利擁護委員会での検討を受け、同作業部会で具体的に取り組んでいます。また、毎年全職員を対象に「人権チェックシート」による自己評価を実施し、職員が理解し、実践するための取り組みを行っています。職員は日本知的障害者福祉協会の「倫理綱領」や規程等を確認し、利用者を尊重した福祉サービスの提供を行っています。引き続き組織での勉強会・研修を継続することが望まれます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

●利用者のプライバシー保護に関する姿勢・責務等を明記した規程・マニュアル等を整備し、職員研修を通して理解を促しています。利用者の日常生活におけるプライバシー保護は、利用者を尊重した福祉サービスにおける重要事項として捉えています。利用者については、入所時に「個人情報及び肖像権の取扱いに関する同意書」を提出してもらい、施設構造としてユニット体制で原則個室を用意し、利用者のプライバシーが守れるよう工夫しています。プライバシー保護に関して、職員研修でより理解が図られることが必要だと思われます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

●福祉サービス選択に必要な情報は、法人のホームページに掲載し、理念や基本方針・福祉サービスの内容等を紹介しています。組織を紹介する資料は図・絵の使用等で分かりやすいものにしています。現在、入所に関しては、ほとんどが児童相談所の措置入所であり、担当者を通しての対応になっています。利用契約による利用者については、保護者(親権者)と契約しています。見学・体験入所・一日利用等の希望にも対応しています。措置入所が多いものの、利用希望者に対する情報提供の見直しも適宜必要だと思われます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

●サービスの開始・変更時の福祉サービスの内容に関する説明と同意に当たっては、児童相談所の措置入所の場合、利用者の自己決定を確認することはありませんが、利用契約者の場合は家族の自己決定を尊重しています。サービスの開始・変更時は、児童相談所と連携し、契約者家族等は同意を得た上で書面に残しています。入所時は、利用に際しての必要品を明示する等、分かりやすい資料を用いて説明しています。今後も、児童相談所と連携し、利用者が理解できるよう継続して努めていかれることを期待致します。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の状態の変化や家庭環境の変化等での変更・移行等にあたり、利用者の支援内容に不利益が生じないよう配慮しています。他施設や地域・家庭への移行においては、福祉サービスの継続性に配慮した手順と引継ぎ文書を定めています。現在、福祉サービスの変更は、そのほとんどが18歳を超えた後の成人としてのサービス利用となり、家庭・グループホーム・成人施設等への移行になります。従って、援護の実施機関も児童相談所から区役所障害支援課に変更されるため、行政上の手続きやサービス内容の説明は行政担当者が行う仕組みになっています。福祉サービス終了後も、児童相談所や行政機関と連携して継続した相談支援を期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●基本方針に「私たちは、意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。」と掲げ、利用者の意見・要望等だけの対応でなく組織として対応する仕組みを構築しています。子どもの特性や年齢・性別を考慮したユニット体制であり、ユニット担当職員が日常から利用者満足を把握するようにしています。利用者のニーズに関しては、積極的に訴えてくる利用者の声のみが反映しやすくならないよう、また、月1回の「利用者自治会」(えがおの会)が形骸化しないよう、ユニット担当職員が取り組んでいます。「利用者自治会」(えがおの会)がさらに活性化されるよう取り組んでいただきたいと思います。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

●苦情解決の体制(苦情解決責任者・苦情受付担当者・第三者委員)を整備し、苦情解決の仕組みを確立しています。苦情解決の仕組みでは、責任者・担当者・第三者委員の氏名を記載した内容を玄関ホールに文書で掲示しています。重要事項説明書にも、苦情申立先の連絡先電話番号とメールアドレスを明示し、第三者委員2名・オンブズパーソン2名の肩書と氏名、横浜市福祉調整委員会の連絡先を明示しています。保護者には、入所説明時や保護者会で苦情解決の仕組みを説明しています。苦情内容については、第三者委員まで上げることはなく、受付後の個別対応で解決しています。解決後の開示に関しては職員及び第三者委員に行っていますが、当該の利用者家族以外には行っていません。日常生活の中で把握した小さな苦情についても整理し、苦情発生時に生かすよう期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

●利用者が必要に応じて相談が出来、意見が述べられる環境作りをしています。ユニット体制で職員と利用者の距離が近く、利用者からの意見や要望は日常会話の中で聞き取りに努めています。利用者からの相談は申し出により受けていますが、その状況により本人の居室や相談室等、プライバシーの確保に努めています。内容が全体に係わる場合は他の利用者も一緒に相談を受けています。日常的な声掛けや文書作成により、相談しやすい環境作りを継続していただきたいと思います。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

●支援における最も重要で十分な時間が必要なことは利用者からの声を聴くことと考えており、日常的な支援現場で話すだけでなく、その行動・表情・言葉の抑揚など支援員として感じたことを大切にしています。年間スケジュールで決まっている月1回のオンブズパーソン2名の来所により、希望する利用者が面談し、利用者の要望の把握に努めています。相談内容は記録に残しています。苦情対応マニュアル等を整備し、相談や意見を受けた際の対応を定めていますが、定期的な見直しに取り組むことが望まれます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

●リスクマネジメントに関する責任者を明確にし、安心・安全な福祉サービスの提供をしています。事故発生時の対応と安全確保の手順についてはマニュアルに沿って実施し、職員に周知しています。事故の報告は、申し送りや職員会議で行う他、メール配信で全職員に速やかに報告しています。「ぶどうの実向上委員会」を設置し、事故報告書・ヒヤリハット報告書で事例検討を行い、事故予防に努めています。また、防犯カメラやユニット内の見守りカメラの設置により、利用者の安全確保に努めています。今後、事故事例の分析を行い、事故件数の減少に努めることが望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●感染症対策の責任と役割を明確にした管理体制を整備し、感染症の蔓延防止に努めています。感染症の予防と対応について、感染症対応マニュアルを作成し、職員に周知徹底しています。マニュアルは看護師が主に見直しを行い、職員会議で職員に伝えています。新型コロナウィルス・インフルエンザ・ノロウイルス等、集団生活で起きやすい感染予防について対策を講じています。特に、法人の系列事業所でコロナ感染があり、横浜市から感染予防の指導を受け、施設としても感染予防取り組みの徹底を図りました。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●災害時の対応体制(職員体制・避難先・避難方法等)は、事務所に掲示し、いつでも確認できます。「ぶどうの実消防計画」に基づき、毎月、火災・地震を想定し、夜間・休日を含め想定時間・想定場所を変えて避難訓練を実施し、年1回、消防署の指導を受けています。また、モバイルアプリによる職員の緊急連絡網を整備し、施設が「土砂災害警戒区域」に所在するため、避難確保計画を作成しています。さらに、BCP(事業継続計画)も作成して備えています。救急救命法の研修は法人内で実施し、新任職員は必ず受講しています。災害時の備蓄類に関しては、リスト化を図り、50人分5日間の食料や毛布・トイレ・空気ベッド等を備えています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法が記載されたマニュアルを整備しています。ADL等に関する基本的な支援の他、外出や買い物等の自立支援、清掃等の二次的な支援に関する実施方法が文書化されています。福祉サービスの提供・実践は、利用者の特性や必要とする支援に合わせるべきもので、標準化できる内容と個別的に提供・実践すべき内容の組み合わせとなっています。個別的な内容は随時変更しながら、当該利用者に合わせた支援になるよう努めています。標準的な実施方法について、研修や個別の指導等により職員に周知徹底することが望まれます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法の検証・見直しは随時行っています。検証・見直しにあたり、個別支援計画の内容が必要に応じて反映されています。標準的な実施方法については、利用者が必要とする福祉サービスの内容の変化や新たな知識・技術の導入により見直しが必要であると認識し、検証や見直しを継続的に実施し、福祉サービスの質の向上につなげています。今後、検証・見直しについては組織的な取り組みが必要だと思われます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

●児童発達管理責任者が個別支援計画の策定に関する責任者となっています。アセスメントシートに、身辺自立・家事・健康・学習等12項目について5段階評価を行っています。また、「利用者の希望・困っている事」を記載しています。子どもの意向を反映できるように「ぼくのわたしの1年間」として「私の良い所・好きな事・得意な事」、「私の苦手な事」、「やりたいこと、なりたい自分」等、利用者にわかりやすい言葉で表現し、職員が記載しています。アセスメントの作成には、支援員・看護師・栄養士の意見も反映されています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

●定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っています。個別支援計画には、項目・達成目標・具体的支援内容・支援機関・優先順位を記載し、利用者一人ひとりの状況に応じて支援を行っています。個別支援計画の実施状況の評価は年2回実施し、見直しに当たっては利用者の意向を聞き、説明後利用者に署名を得ています。意思表示が困難な利用者については、連絡が取れる家族には意向を確認しますが、基本的に利用者本位で検討しています。また、計画見直しに当たり、利用者の様子によっては主治医や学校から意見をもらっています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の身体状況や生活状況等は、利用者台帳(フェイスシート)に記録が適切に行われています。個別支援計画におけるアセスメントでも、各利用者の状況が確認できます。パソコンソフトにより、各種日誌の他、各利用者のプロフィール・生活記録・支援記録・受診記録・事故報告等を全ての職員が確認できるようにしています。業務日誌には利用者の様子の特記事項を記載しており、各種会議に出席できなかった職員は必ず議事録を確認するよう、職員間で共有を図っています。今後、記録する職員で記録内容や書き方に差異が生じないよう職員の指導等が望まれます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

●個人情報保護規程や文書管理規程に沿い、利用者の記録の保管・保存・廃棄・情報の提供に関する規定を定めています。法人として「個人情報保護規程」を整備し、個人情報に関する苦情受付・解決、および適正な情報管理のための責任者等を規定しています。個人情報に関しては不適切な利用や漏洩がないことを重要事項説明書で説明し、文書化して同意を得ています。利用者の記録類については、法定保管年数が定められており、基本的には法定年数を遵守するようにし、記録の管理方法は業務規程に定め、鍵のかかる戸棚で管理及び保管を行い、その扱いについて職員へ周知徹底を図っています。記録管理の責任者は施設長ですが、職員へ再度の周知が望まれます。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●「個人の自律および自立」や「社会参加」の実現を具体化する観点から個別支援を行っています。入所利用者は、措置と契約の利用者が混在しています。措置入所の利用者は、被虐待ケースなど児童相談所が決めた援助方針に基づくことが多く、家族との交流制限など個別支援計画において本人の意向が反映されない場合もあります。施設でのルール・約束事や行事・イベント等は、ユニットごとに毎月開催の「利用者自治会」(えがおの会)で意見や希望を聴き、柔軟に対応しています。自立度の高い利用者は、単独外出やグループ外出をしており、お金の使い方・交通ルール・公共交通機関の利用方法・買い物のルール等の体験については計画的に行っています。さらなる「利用者自治会」の活性化が期待されます。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

●利用者の権利擁護のため虐待等の権利侵害の防止・発生時の対応等、利用者の権利侵害について職員が具体的に検討する機会を定期的に設けています。利用者には児童相談所から入所時に「子ども権利ノート」が渡され、権利侵害等の必要な説明を受けています。また、「緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書」において、必要な説明を行い、利用者本人(保護者)、主治医の承認を得ています。行政への虐待の届出・報告の手順等については明確にしています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●基本理念に「意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。」・「利用者に対して有効かつ適切な支援を行います。」を掲げています。個別支援計画において、年2回以上のモニタリングとアセスメントを実施し、全利用者について自立支援の項目を設けています。利用者の自立に向けた計画は個別支援計画に反映しています。自立生活の実現に向けて、学校の進路担当職員・家族・施設の担当職員等が参加して話し合い、利用者に応じて統一した方針の下で支援に当たっています。退所後の生活については、家庭復帰・措置延長以外では、グループホームや自立訓練事業所等の見学会を実施し、その動機付けを行っています。さらに、法人運営の自立宿泊型訓練施設で自立に向けた訓練も行っています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●コミュニケーションは、利用者の表現や意見の自由を保障するものであり、意思疎通やコミュニケーション手段を確保するための支援や工夫を行っています。アセスメントシートに、気持ちの表現や非言語コミュニケーションの取り方など利用者の特徴を記載し、利用者の表現方法を職員が共有化し、利用者への個別的な配慮を行っています。言語によるコミュニケーションの難しい利用者は、その訴えを丁寧に聞くことでコミュニケーションを諦めないことに努めています。必要な利用者は月1回言語治療に通う支援を行っています。引き続きコミュニケーション手段の確保と必要な支援に取り組んでもらいたいと思います。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●ユニット体制で利用者と職員が日々生活する中で、利用者が相談しやすい雰囲気作りに努めています。職員は利用者との信頼関係の構築に努め、子どもの気持ちや発言を受け止めるようにしています。利用者からの申し出により、随時個別面談の機会を設け、相談内容により利用者の居室か相談室で行っています。利用者の相談内容等については施設長等へ報告し、記録を残すことで他の職員と情報を共有しています。今後、相談内容を基に、支援の工夫が望まれます。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

●個別支援計画に基づき利用者の希望やニーズにより選択できる日中活動の多様化を図っています。利用者の障害程度や特性に合わせたグループ別の外出等の機会を設けています。自立度の高い利用者は、単独外出やグループ外出をしています。単独外出については手順を踏んで計画的に進めています。お金の使い方・交通ルール・公共交通機関の利用方法・買い物のルール等を学びます。ほとんどの利用者が日中は学校教育を受けているので、休日のプログラムが主となります。休日に職員とドライブに出かけることもあります。引き続き、日中活動と支援内容の充実を図ることを期待します。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●職員は、障害に関する理解と支援の専門性の向上に努めています。入所者の行動特性は時代と共に変化し、自傷他害など強度行動障害対応が主だった時代から、近年は被虐待を主とした社会的養護の利用者が増え、愛着障害など幼児期の生育歴に課題を残しています。そのような課題に対する専門性が追い付いていない現状もあります。障害による行動や生活の状況等を把握し、職員間で支援方法等の理解・共有するよう努めています。個別的な配慮が必要な利用者には、支援方法の検討や見直しを図り、生活の環境整備等を行っています。定期的なケース検討会議の他、随時担当者間のカンファレンス等において課題の共有はしっかり行っています。個別的対応については、課題が残されており、更なる取り組みが望まれます。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●利用者の日常生活の支援は、利用者の日々の心身の状況に応じて適切に行っています。ADL等に関する日常的な支援は滞りなく行っています。食事は、各ユニットキッチン内に炊飯ジャー・スープジャー・電子レンジを備え、利用者に合わせた食事時間に温かい食事が提供できるよう配慮し、年齢や発達に応じて、食習慣が習得できるようにしています。入浴は、介助や見守りが必要な利用者には必ず職員を配置し、介助は同性介助とし、毎日入浴しています。排泄支援に関しては、職員が支援方法や排泄の状況の共有化を図り、個別対応を行っています。身体障害を伴う利用者は現在入所していません。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

●利用者の尊厳と居住空間の快適性や安心・安全に配慮した生活環境が確保されています。各ユニットのキッチンやトイレ・浴室等の共有スペースは、毎日委託業者が掃除して清潔を保っています。自立度の高い利用者の居室は利用者自身に任せつつ、職員が手伝っています。トイレや浴室にはドアを設備し、居室は原則個室で施錠も可能であり、プライバシーの確保は適切に行われています。居室にはロッカーと衣類ダンスが設置され、利用者の衣服や私物を置くことができます。障害程度・種別・特性等でユニットに分けて支援を行っていますが、利用者同士の相性等によりトラブルもあり、居室変更など簡単に出来ない事から、必ずしも利用者一人ひとりの意向に応えるには難しさもあります。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

●利用者の心身の状況に応じた生活訓練は行っていますが、身体障害を伴う利用者は現在入所していないため、機能訓練に関する支援は現状行っていません。生活訓練の一環として、外出・買い物・金銭計算などは本人の希望を入れながら計画的に行っています。ADL面で未自立な利用者は、その面での訓練を計画的に行っています。幼児から、小遣いの金額を学年ごとに決め、「小遣いの約束」を決めています。施設でのルールや約束事については、ユニットごとに行われる「利用者自治会」で決めます。個別支援計画でのモニタリングは年2回実施しており、生活訓練計画や支援の検討・見直しを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●健康管理に関するマニュアルに基づき、利用者の健康状態を確認し、体調変化時の迅速な対応等を適切に行っています。必要な利用者には入浴後の全身検査により、ケガやあざ等の有無を確認しています。健康診断は、就学している利用者は学校での健康診断を含めて年2回行い、18歳以上の利用者は年1回実施しています。嘱託医は近隣に所在し、子どもの体調変化時やインフルエンザの予防接種等の際に受診できる体制を取っています。定期通院の付き添いや常勤看護師による健康チェック、嘱託医師への相談等、連携・対応を適切に行っています。今後、職員の個別指導等を定期的に行っていただきたいと思います。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

●「緊急時医療対応マニュアル」を備え、施設長・看護師の指示の下で対応していますが、服薬も含めた医療面は一義的に常勤看護師が管理・チェックを行っています。看護師は服薬マニュアルに基づいて服薬管理を行い、医務室で薬・薬手帳等を管理し、誤薬がないよう一日分をユニットごとに袋に入れています。アレルギーについては、入所時の面談で確認しており、はっきりしない場合は入所後に専門病院を受診し、医師の指示に従って対応しています。利用者の健康状態の把握・定期服薬は看護師の指導の下、ユニット担当職員が行っています。引き続き、医療的な支援に関する職員の個別指導等を定期的に行うことが望まれます。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●「自立した生活及び地域社会への参加」を実現する観点から利用者の希望と意向を重視した支援を行っています。夏休みには利用者の要望でテーマパークへ一泊旅行をし、誕生日外出は職員と二人で利用者が行きたい店に行き買い物や外出を楽しんでいます。地域の図書館に出かける利用者もいます。学校の友人と遊ぶことについては、特に制限せず、互いの家を行き来しています。学習は、各居室の自分の机やリビングの机で行い、学校の宿題や利用者本人の希望する学習について時間を設けて支援しています。学力や障害の程度に応じた学習支援は今後の課題となっており、取り組みに期待されます。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●利用者の社会活力と地域生活への移行や地域生活を継続する支援を行っています。地域生活を目指す利用者については、個別支援計画に位置付け、同一法人グループホーム等に限らず、成人施設情報・自立サポートセンターの情報を伝え、見学や体験入居の機会を設けています。地域生活への移行は、利用者本人・家族・学校・児童相談所・区役所障害担当者等のカンファレンスを繰り返す中で、見学等を組み入れながら進めています。利用者の自立生活の実現に向けて、利用者に応じて毎月・半年ごと等の期間で話し合い、統一した方針の基で支援しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●家族の課題や対応方法・行事参加については、カンファレンスを行い、検討しています。被虐待ケース等の養護性の高い利用者など、児童相談所の措置理由に係わる場合以外は積極的に家族との交流を図っています。1年間に撮った利用者の写真を保護者に確認してもらい、年1回保護者に渡しています。施設の行事については、年度当初に保護者に案内を郵送し、保護者会(年4回)で行事の動画を見てもらうこともあります。法人の広報誌は年4回発行し、保護者に郵送しています。週末帰宅、長期休暇中の帰省等帰宅に支障がない場合に限り、利用者本人家族の希望通りに実施しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の育ちと発達の能力を尊重し、利用者の最善の利益を保証することを基本とする発達支援を行っています。利用者の課題や問題については、児童相談所と協議し、個別支援計画に改善計画を明確にして支援しています。利用者の意向を反映できるように「ぼくのわたしの1年間」のシートで把握し、出来る事を引き出しながら自立に向けて支援しています。学校教育とも連携を図り、必要な発達段階での支援を行っています。保護者とは必ず施設が間に入り、直接学校と保護者がやり取りすることはありません。過齢児については、福祉保健センターと密に連携を図り、日中活動として歩行訓練、運動、調理活動を提供していますが、支援プログラムの作成は課題となっています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:c】

●入所児童は幼児から18歳までであり、評価外です。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:c】

●入所児童は幼児から18歳までであり、評価外です。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:c】

●入所児童は幼児から18歳までであり、評価外です。