社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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アグリシステム羽沢

2021年02月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 アグリシステム羽沢 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労継続支援(B型) 定員 20名 名
所在地 〒221-0863
横浜市神奈川区羽沢町586-11
TEL 045-465-6752 ホームページ https://snabi.jp/facility/18938
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2019年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:2名 名
非常勤職員:1名 名
専門職員
社会福祉士: 名
施設・設備の概要
居室:6室
トイレ:
静養室:
相談室:
更衣室:
給湯室:

③ 理念・基本方針
Ⅰ 障がい児・者、高齢者のノーマライゼーションの実現から「ソーシャルインクルージョン」(共生社会)を目指します。

Ⅱ 社会・福祉・介護ニーズに応えるべく先駆的で開拓的な事業を展開します。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
アグリシステム羽沢は6次産業化ネットワークによる農福連携と、障がい者の就労支援に取り組んでいる就労系事業の拠点です。

私たちアグリシステム羽沢が6次産業化ネットワークを推進する目的は3つあります。「障がい者の就労支援」と「農業活性化」、そして「地域振興(地場産業活性化)」です。

農産品加工事業(国産トマトを加工したトマトジュース製造)を通じて、そこに従事する障がい者・農業者・消費者が「三方良し」になるように日々努力しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/05/28(契約日) ~2021/01/18(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)「農福連携事業」への取組
就労支援事業所での作業は、部品の組み立て等の作業を受注することが一般的ですが、事業所では自主製品としてトマトジュースの製造と販売に力を入れています。法人は「障害者の就労支援」と「地域の農業の活性化」をつなげることを目標と考え、地元の農家に直接交渉してトマトの納入に協力を得ています。
大型冷蔵庫やジュース製造機などの設備投資をして製造・販売を始めています。近隣の養護学校で販売し、法人が経営する店舗等に卸しています。トマトジュース製造が軌道に乗ってきましたので、新たな販路の開拓に取り組んでいます。ジュースだけでなく、新たにジャムの製造・販売にも取組み、国が推奨する「農福連携事業」の推進にチャレンジしています。

2)利用者の自律・自立生活を支える支援
利用者への日々の生活支援は、利用者の自律・自立した生活を実現するために配慮したものになっています。職員は、常に利用者主体を念頭に置いて必要な支援をしながら、自律・自立生活のための動機付けをしています。
利用者の状況に応じて、イラスト、写真等を活用するなどコミュニケーション方法の工夫をしています。利用者が相談しやすい環境作りを行い、利用者の意向や要望等の把握に努めています。移動、移乗の支援の際にも、本人の残存能力を活かすことを心がけるなど、自律・自立生活を支える支援をしています。
改善を求められる点 1)中・長期計画の策定
法人の中・長期的な事業計画が策定されていますが、「中・長期の収支計画」がありません。特に、事業所の自主製品の製造・販売は、設備投資に伴う減価償却費の負担、製造・販売量の拡大に合わせた組織・人員体制の見直し、財政的な見通し、利用者の工賃の改善など中・長期的な見通しが欠かせません。PDCAサイクルを回す中で、改善すべき課題を明確にして改善策や改善実施計画を策定することも必要です。中・長期的な収支計画とそれを踏まえた単年度の事業計画と収支計画の策定が期待されます。

2)利用者と地域との交流の促進
利用者は、地域貢献活動として事業所周辺の清掃活動を行っていますが、地域との交流のための取組は不十分です。
活用できる社会資源や地域情報を収集し、利用者に情報提供したり、地域の行事への参加する機会を設けるなど、地域に対して、事業所や利用者への理解を深める取組が期待されます。

3)利用者意見の把握と反映の工夫
利用者満足に関しては、日常的な支援や個別に面談を行い聴取しています。利用者調査では理念等の周知、他の利用者との交流などに課題があります。この結果やや聴取した意見や要望を分析・検討し、改善の対応策と評価、見直しの検討が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
アグリシステム羽沢としては初めての第三者評価受審となりました。歴史の浅い事業所でもある為、まだまだ改善を要する点は多くありましたが、現時点において出来ている点についての評価も頂けたことで事業所としての自信にもつながりました。
しかし高い評価をつけて頂いた項目についても事業所としてはまだまだ不十分な点もある為、現状に満足するのではなく、更にブラッシュアップを図っていきたいと考えております。また改善を要する点につきましても真摯に受け止め、一つずつ着実に改善していきたいと考えております。
今回、調査員の方とのやり取りにおいて、話を掘り下げていく中で当初は出来ていないと考えていたことが実は支援者側が気が付いていないだけで実際には行っていたなど、これまで気が付かなかったことを気付かせて頂く非常に良いきっかけにもなりました。
今後も定期的に受審をしていきながら、利用者様、ご家族様にとって通所したいと思って頂ける事業所作りを目指していきたいと考えております。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページには、「2つの理念と11の基本方針」が明示され、事業所のパンフレットには、法人の理念と使命が明記されています。理念は法人、事業所が実施する福祉サービスの内容や特性を踏まえたものとなっています。基本方針は、理念を踏まえ、より具体的であり、福祉サービスを実践する上で職員の拠り所になったものになっています。しかし、理念や基本方針を利用者や家族にわかりやすく周知するための取り組みが充分ではありません。また、事業所内への理念や基本方針の掲示も確認できません。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人本部では、社会福祉事業全体の動向について把握・分析しており、定例の所長会等で説明されています。見学者や利用申込者の動向、近隣の養護学校との情報交換などから、利用者に関するデータを収集分析して、事業計画や収支予算を作成しています。地域の各種福祉計画の策定動向の内容把握は不十分です。行政機関との連携を密にするなど、さらなる地域の動向把握が望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

開設2年目の事業所としての経営課題は、経営の安定に向けての取り組みとなっています。利用者ニーズの把握、職員体制、作業内容、製品の販路開拓などが課題となっています。これらの課題には、法人の役員間で共有するとともに、事業所の職員間でも情報共有して一丸となって課題解決に取り組んでいます。利用者の利便性等を考慮して、土曜日に月2回開所するなどの試みにも取り組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

理念や基本方針の実現に向けて、5年間の中・長期的な計画を策定しています。「法人の現状分析」「5年後のビジョン」「ビジョンを実現するための戦略目標」「ビジョンを実現するための年次計画」などで構成されており、経営課題や問題点の解決・改善に向けた具体的な内容になっています。しかし、数値目標の設定や収支計画の策定までには至っていません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、実行可能な具体的な内容になっています。給付費収入、製品販売収入、受注作業収入、工賃支給額、就労者数などを積み上げた収支計算と事業計画を作成し、数値目標や具体的な成果を設定したものとなっています。中・長期的な収支計画が策定されていないため、中長期計画を反映した単年度の事業計画として十分ではありません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、職員の意見を聞いて策定しており、事業計画の実施状況は、上期、下期に把握・評価して、それぞれ事業報告書を作成しています。実施状況の把握・評価の結果は、次年度の事業計画の策定に反映していますが、当該年度中の事業計画の見直しまでは行っていません。事業計画は、職員会議等で職員に周知しており、計画内容を共有して所長、職員が一丸となって計画の実施に取り組んでいます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画書を利用者、家族に渡しています。また、自主開拓した製品について、販促用に制作した広告媒体を紹介して、利用者・家族に事業内容に対する理解を得られるようにしています。しかし、利用者・家族に事業計画の主な内容を、分かりやすく説明する取り組みは充分ではありません。利用者に就労に向けてのモチベーションを高めるためにも、事業計画の主な内容についてイラストや写真を用いるなど分かりやすい資料を作成して説明をされることが期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

職員会議で職員の意見を聞いて計画を策定し、上期、下期ごとに実施状況の把握・評価を行い、その結果を次年度の事業計画に反映するなど、組織的にPDCAサイクルにもとづくサービスの質の向上に取り組んでいます。目標管理制度に基づき、職員の自己評価は実施していますが、事業所の自己評価はしていません。事業計画の実施状況の把握・評価だけでなく、事業所としての自己評価を制度化して年1回以上実施されることを期待します。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

事業所の課題を明確にしており、職員間で課題の共有がなされています。明確になった課題について改善の方向性を検討しています。しかし、改善計画の策定するまでには至っていません。改善計画の策定及び実施は、単年度では完結できないことが少なくありません。中・長期的な視野を持って取り組むためには、中・長期計画の中で位置づけ取り組むことが必要となりますが、改善計画の中・長期的な計画への反映がなされていません。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

所長は、事業所の経営・管理に関する自らの方針と取組について、職員会議等で職員に説明をしています。事業所の職務分掌表には、所長の役割と責任が詳細に定められ、職員に周知されています。災害時の所長の役割と責任は、消防計画書に定めているとともに、所長不在時の権限委任については明確化しています。職員との信頼関係をさらに築くためにも、組織内の広報紙等で所長自らの役割と責任を積極的に表明することが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

所長は、法人の「法令遵守規程」「職員倫理規程」「ハンドブック」に基づき、法令を遵守するとともに、利害関係者(取引事業者、行政関係者等)と適切な関係を保持しています。ハンドブックには、理念、基本方針、職員行動指針、コンプライアンス、倫理行動綱領、苦情解決制度、虐待防止等が含まれており、職員の行動の拠り所になっています。また、所長は、所長会等の機会に法令遵守に関して勉強をしています。しかし、環境への配慮など幅広い分野についての法令等の把握と取組は十分には確認できません。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は、福祉サービスの質の現状について、定期的、継続的に評価・分析を行い、課題の改善等について、職員会議や日常業務の中で、指導力を発揮して取り組んでいます。具体的な取組としては、月ごとに行動目標を表に落とし込んで実行に移し、進捗状況を日々点検できるようにしています。職員は、法人の策定した階層別、テーマ別の研修計画に基づいた必要な研修に参加できるようにしています。所長、職員が一丸となってサービスの質の向上に取り組む体制を整えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は、経営の改善や業務の実効性の向上に向けて、毎月の試算表を作成し、収支状況の把握・分析と改善策の策定・実行をしています。特に、就労の事業所ですので、利用者の工賃アップが課題であるという意識を持っての取組になっています。所長は、事業所内に同様の意識を形成するよう、職員会議等で職員に働きかけています。定期的な職員との面談の中で、職員の意向の把握等を行い、所長、職員が一体となって効果的な事業運営に取り組めるように職場環境の改善に努めています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

事業所が必要とする福祉人材や人員体制に関する基本的な考え方及び具体的な配置計画は、運営規程や事業計画書に明記しています。人材の確保は、法人の人事部が計画的に行っており、福祉関係の就職説明会に参加したり、法人のホームページでの求人案内を中心に採用活動をしています。計画的な採用時研修、フォローアップ研修、職場でのOJTにより効果的な人材育成を行っています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念・基本方針に基づいた「期待される職員像」は、法人の事業計画の中で、13項目の具体例により明確にしています。「給与規程」「昇格・昇級規程」が定められ職員に周知されています。職員の職務能力、成果、貢献度等は、職員の「チャレンジシート」に基づいた中間期と期末期の面談等により評価をしています。毎年、定期的に職員満足度調査や職員意向調査をしており、その中で処遇に関することや将来のキャリアプランについてヒアリングをしており、職員の処遇改善の検討やキャリアアップの支援をしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

所長は、職員の就業状況や意向の把握を年2回の定期面談や日常の業務の中で行っており、適切な労務管理につなげています。職員の就業状況は、有休台帳や残業申請書により把握し、心身の健康やワークライフバランスに配慮しています。法人内に職員の相談窓口が設けられており、外部にメンタルの相談を受けられる環境があります。勤務シフトの作成に当たっては、職員の希望を取り入れたり、有給休暇を取得しやすい配慮をしています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の事業計画書に、13項目の具体的な「期待される職員像」を掲げ、職員の目標管理のための仕組みが構築されています。目標の設定は、所長と職員の面談により組織の目標との整合性、チャレンジ度等を確認しています。所長は、目標等を作成した職員の「チャレンジシート」をもとに、中間期と期末期に面談をして、進捗状況についての確認やアドバイスをして職員の目標達成に向けて支援をしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

職員行動指針や事業計画書の中に、「期待される職員像」を明示し、組織が目指す福祉サービスを実施しています。職員に必要とされる専門技術についても、事業計画書の中に説明があります。法人の年間研修計画は、研修委員会により、階層別、テーマ別に策定されており、職員は必要な研修を受講しています。研修委員会では、研修を受講した職員の研修報告書を参考にするなどして、計画の評価と見直しを行っています。また、外部の研修機関主催の研修にも参加できるようにしています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

定期的な面談や日常業務の中で、個別の職員の知識、技術水準、専門資格の取得状況を把握し、職員の経験や習熟度に応じて、OJTを適切に行っています。法人では、階層別・テーマ別に策定された研修計画に基づき実施しています。所長は、職員の職務や必要とする知識や技術水準に応じた研修を受講できるように配慮していまが、職員は忙しくて行けない等の課題があります。外部の研修期間の実施する研修にも参加できるようにしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

「実習計画書」に、実習生の受け入れに関する基本姿勢が明文化されています。実習の目標や実習の意味などの記載があります。実習生の受け入れに関するマニュアルを整備し、学校側とは実習を円滑に進められるように連携、協力をして受け入れの準備をしていますが、開所後間もないという事情はありますが、まだ実績はありません。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人及び事業所のホームページを活用して、法人、事業所の理念、基本方針、提供する福祉サービスの内容、事業計画、事業報告、予算、決算等の情報が適切に公開されています。運営規程には苦情解決の仕組みについて明文化されており、事業所のパンフレットには、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員が明示されているとともに、事業所の玄関に掲示しています。地域に向けては、ホームページの活用とともに、基幹相談支援センターにパンフレットを置くなどして情報提供をしています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

経理規程や職務分掌表により、事務、経理、契約等のルール、職務分掌、権限責任は明確になっており、職員に周知されています。適切な経理処理等の確認のため、定期的に法人の経理部門による内部監査が実施されています。監査法人による監査支援等も実施されており、公正かつ透明性の高い経営、運営がされています。また、監査法人の指摘事項に基づいて、経営改善が実施されています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の事業計画に、社会的責任の基本指針として、「地域交流、地域貢献活動の拡充を図ります」とあり、地域との関わり方の基本的な考え方を記載しています。事業所では、定期的に地域の清掃活動を行い地域との交流を図っています。個々の利用者のニーズに応じて、基幹相談支援センターの情報を伝え、利用を勧めています。隣接の養護学校の協力を得て、学校内で事業所の自主製品の販売を行っています。しかし、社会資源について、掲示板の利用等による利用者への積極的な情報提供や地域の行事や活動に参加する機会が不十分です。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受け入れに関しては、「ボランティア受け入れ要領」にもとづき受け入れを行うことになっています。受け入れ要領には、登録手続き、事前説明等に関する項目が記載されています。また、学校教育への協力について基本姿勢が明文化がされておらず、実施も確認ができませんでした。ボランティア受け入れに向けて、社会福祉協議会への紹介依頼等もまだ行われていないなど、受け入れ準備が不十分となっています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

利用者に福祉サービスを提供するために必要となる、関係機関・団体の機能や連絡方法を把握しています。横浜市障害者地域作業所連絡会に定期的に出席し、地域の共通の課題解決に向けた要望書の作成やアンケート調査に積極的に参加しています。また、その内容は職員会議で説明し情報の共有化を図っています。
サービス担当者会議を開催し、相談支援事業所や障害者グループホーム等とケースカンファレンスを実施していますが、個々の利用者の状況に対応できる社会資源のリストの作成はできていません。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の具体的な福祉ニーズ・生活課題を把握するための取組を積極的に行っています。
横浜市障害者地域作業所連絡会に定期的に参加し活動をしています。
近隣の養護学校の進路担当の教員を通じて、生徒やその家族のニーズについての聞き取りをしています。そうした中で、地域では身体障害者の生活介護について、具体的なニーズがあることが分かり、その対応について法人内で検討をしています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

手づくりトマトジュースの製造・販売を通して地場の農業の活性化に向けた農福連携の取組を行っています。また、月に2回施設周辺や近隣のゴミ拾い、清掃作業を実施したり、近隣の養護学校の進路先としての受け入れを計画しています。
把握した福祉ニーズ等にもとづいて公益的な事業・活動を行っていますが、地域コミュニティの活性化やまちづくりなどに貢献したり、地域の防災対策へ取り組むまでには至っていません。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者を尊重した福祉サービス提供についての基本姿勢を明示し、組織内で共通の理解を持つための取組を行っています。運営規程・事業計画書にサービス内容を明示し、職員会議等で職員へ周知を行い、倫理綱領の読み合わせも行っています。
アセスメントや面談で利用者や家族の要望を聞き取り、主体性を持って作業や活動に取り組むことができるよう支援しています。法人内外の研修に参加し、利用者の基本的人権への配慮について理解を深めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

運営規程・プライバシー保護マニュアルに明記し、利用者のプライバシー保護に配慮した支援を実践しています。利用者からの相談は、相談室や静養室を活用し、プライバシーを守れるよう配慮しています。車椅子利用者にもゆったり利用できる多機能トイレを設置し、トイレでの介助が必要な利用者への声掛け等はさりげなく行っています。職員は法人内の人権研修に参加しプライバシー保護に関する理解を深めています。利用者と家族にはプライバシー保護への取り組みを説明し同意を得ています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

利用希望者が福祉サービスを選択するために必要な情報を積極的に提供しています。
相談支援事業所や区役所などの関係機関にパンフレットの送付を行い、事業所では来訪者が閲覧、持ち帰りができるようにしています。ホームページを活用して情報提供し、利用希望者には不明点がないように丁寧に説明を行っています。見学、体験希望者の受け入れを積極的に行い、日程を調整して随時受け入れを実施しています。また、情報提供に関しては、適宜見直しをして最新の状況を伝えています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの開始・変更時の福祉サービスの内容に関する説明と同意にあたり、利用者や家族にわかりやすく説明を行っています。利用契約書には振り仮名をつけ、理解しやすいよう工夫しています。不明な点や疑問点についてはその都度答え、理解を得ています。工賃の仕組みについてイラスト図を用いながら説明を行っています。利用者や家族への説明内容は、面談記録に記載し個別ファイルで保管しています。意思決定が困難な利用者にはイラストや写真等で説明し、家族にも詳しく丁寧に伝えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの内容の大幅な変更は今のところありませんが、従前の内容から著しい変更や不利益が生じないように配慮しています。福祉サービスが終了した後も、利用者や家族が相談できる旨を伝え、各関係機関にも連携、協力していく旨を伝えています。
他の事業所や家庭への移行にあたり、入退所調整会議を開き検討内容を会議録に残していますが、サービスの継続性に配慮した申し送りの手順書や引継ぎ文書整備は課題となっています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者満足に関しては、日常的な支援の中で把握し、対応する取組を行っています。年に2回、利用者・家族と個別に面談を行い、家族がどのように受け止めているかを聴取しています。
福祉サービスの質の向上のためには、日常的に随時出される意見や要望等にその場で対応するだけでなく、聴取した意見や要望を組織として分析・検討し、改善課題の対応策への評価、見直しを検討していくことが期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

運営法人の方針により苦情解決の体制が整備されています。運営規程、重要事項説明書、苦情解決に関する規則に明記し、事業所内に苦情解決の仕組みを説明した掲示物を提示しています。
「みんなの声ボックス」を設置しましたがほとんど機能しないため、利用者が苦情や悩みを申し出しやすいように毎月、少しの時間でも個別に話をするようにしています。
所長会議等で法人内の事業所で発生した苦情内容、解決までの経緯について、プライバシーに配慮した形で情報共有しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

重要事項説明書で「適切な相談、助言、援助等を行います」と明記し、日常的な支援の中で利用者が必要に応じて相談したり意見を述べたりできる環境になっています。
利用者が意見を述べたり相談したい時に対応しているため、そのための文書をわかりやすく作成していませんが、家族等とは日々の連絡帳のやり取りの中で、相談や意見を伺っています。相談室、静養室を設置し、プライバシーに配慮して相談に応じています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

「みんなの声ボックス」を設置しましたが意見が入ることはほとんどありません。日常の支援の中で、利用者からの意見や相談について、その都度迅速に職員が対応しています。毎日のコミュニケーションや作業でのやり取りの中で、意見や要望を把握して信頼関係を構築するよう努めていますが、意見や要望、提案などを受けた後の手順、具体的な対応方法、記録方法などをマニュアルとして整備するには至っていません。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

運営法人内にリスクマネジメント委員会が設置され、利用者の安心と安全を脅かす事例の収集と要因分析と対応策の検討実施が行われています。事故発生時の対応と安全確保については、マニュアル「事故発生時と事後処理について」により明確に定められ、職員に周知しています。
事故発生時の対応と安全確保について責任、手順等を明確にし、職員会議の場でヒヤリハットの分析、事故発生事例の検討を実施していますが、職員に対して安全確保や事故防止に関する研修の実施が不十分です。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症対策について、責任と役割を明確にした管理体制を整備し、感染防止マニュアルを作成して職員に周知しています。感染症の予防に関する勉強会を開催し、感染症対策として消毒用アルコールを設置し、朝と夕には手が触れる箇所の消毒作業を行なう等の予防策を講じています。
事業所を開設して1年余りで、まだ感染症の発生がなく、実際の対応やマニュアルの見直しは今後の課題となっています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所防災マニュアルを作成し、災害時の対応体制が整っています。災害の影響を把握し、建物、設備類、福祉サービス提供を継続するために必要な対策を講じています。安否確認の方法を決め、職員に周知しています。食料や備品類の備蓄リストを作成し管理しています。防災計画を作成し、火災や地震を想定した定期的な防災訓練を実施していますが、今後、地域の消防署や自治会、福祉関係団体等との連携体制を作っていくことが望まれます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

提供する福祉サービスについて、運営規程、重要事項説明書に標準的な実施方法を記載して、利用者の尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関する姿勢を明示しています。
業務マニュアルを年に一度見直しており、その際に提供する福祉サービスが実施方法にもとづいて実施されているかどうかを確認しています。標準的な実施方法について、職員に周知徹底するための研修や個別の指導等の方策を講じることが期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法について業務マニュアルとして整備し、年に2回利用者・家族と面談し、サービスの実施方法についての意見や感想を伺って面談記録に記載しています。モニタリング会議を開催し、個別支援計画の内容が反映されているかについて、作業の手順や仕事の出し方などを職員間で検討していますが、標準的な実施方法の見直しが定期的には実施されていません。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画策定のサービス管理責任者を所長が兼務しています。アセスメントシートを活用しエビデンスにもとづいた個別支援計画の策定を行っています。利用者や家族からニーズの聞き取りを行い計画に反映させています。年に2回モニタリング会議を開催し、個別支援計画に沿って福祉サービスが行われているか関係職員で協議し、課題解決に向けた目標を設定し、各年度の始めには見直しされた個別支援計画で福祉サービスの提供を実施しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の見直しについて、毎年9月と2月に見直しを行い、全職員参加のモニタリング会議を開いて職員間の合意を得た上で最終内容を決定しています。
支援計画書の見直しにおいて支援方法等の有効性について検証し、見直しが必要な時には、アセスメントを再評価し個別支援計画案を作成して支援計画策定会議を実施しています。変更に関しては利用者の意向の確認と同意を得ています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の身体状況や生活状況等を支援日誌に記録しています。支援記録は個別支援計画の内容に沿った記録をするよう所長が職員に指導し、記録によって計画にもとづくサービスが行われていることが確認できます。
情報共有を目的とした職員会議を定期的に開催しています。職員は全員業務アカウントを持ち、パソコンのネットワークシステムを利用して事業所内で情報を共有する仕組みができています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

運営法人の個人情報保護規程によって、利用者の記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関して定めています。記録管理の責任者を設置し職務分掌表に明記しています。職員に対しては、研修を実施しています。利用者や保護者には契約時に個人情報の取扱いについて説明しています。
電子データについては、運営法人によって、法人のクラウド内フォルダでのパスワード付き保管、USBメモリの使用とスマートフォンなどでの撮影の管理、デジカメのSDカードの管理を徹底しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自己決定を尊重するエンパワメントの理念に基づく個別支援を行っています。利用者の主体的な活動については、一人ひとりの状況に応じた配慮をして、個別の支援計画に反映しています。家族と相談しながら、衣服を主体的に選択できるようにするなど、利用者の意思や希望を尊重する支援しています。個々の支援に当たっては、コミュニケーションを大事にしながら、利用者の意向に添えるように工夫をしています。しかし、行き過ぎた支援にはならないように、利用者の理解を得られるように丁寧に説明するなど「合理的配慮」を具体化しています。
生活に関わるルール等については、日常の支援や個別の相談対応の際に利用者と丁寧に話し合っています。職員は毎月の職員会議等で、利用者の権利について検討する機会を持っています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

法人は「職員倫理行動マニュアル」を定め、事業計画の中で、虐待防止の具体的方法を記載して、権利侵害の防止を法人全体の重要な取り組みとして位置付けています。この法人の方針を受け、運営規程に「虐待防止のための措置に関する事項」を設け、権利侵害防止等に向けて取り組んでいます。
法人外の権利侵害事例を用いて職員間で話し合っているほか、日常業務の中でも点検しています。その際、日々のヒヤリハット報告書は、権利侵害に関する職員の気づきを促すツールになっています。しかし、権利侵害防止のために具体的な内容・事例を収集・提示して利用者に周知するまでの取り組みはされていません。具体例を利用者に提示することは、利用者が権利について理解する取り組みとして重要なこととされています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身の状況、生活習慣や希望等を丁寧に把握したアセスメントに基づき、個別支援計画の短期目標、長期目標を設定し、利用者の自律・自立につながるように支援をしています。職員は、常に利用者が主体であることを意識しつつ利用者に働きかけ、自律・自立生活のための動機づけをしています。日常の作業や面談等で、コミュニケーションの取り方や金銭管理等に関して話をし、自分のことは自分でできるように、見守りの姿勢を基本として、必要な時に支援をするようにしています。日頃から、行政のケースワーカーとは連携しており、利用者・家族の対応が難しいときなどは、行政手続、生活関連サービス等の利用を支援しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの心身の状況に合わせてコミュニケーション方法の工夫を行っています。口頭での説明では理解の難しい内容は、文書、イラスト、写真等の視覚情報により分かりやすく説明しています。特に、工賃の説明は、理解が難しい内容ですので、図式化したものを用意して丁寧に説明し、就労意欲の向上に向けて支援しています。
週間スケジュールやデイスケジュールは絵を挿入するなど理解しやすいものを作成して、利用者が日中活動の見通しをしやすくなるよう工夫をして毎日の通所を支えています。こうした取り組みにより、利用者のコミュニケーション能力を高めつつ、一般就労につながるように支援をしています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

法人は、利用者支援の基本指針として、意思決定支援を掲げており、利用者の意思を尊重する支援としての相談等を大事にしています。年に2回、定期的に利用者・家族との面談を実施しており、要望、相談等の話し合いをしており、その内容は個別支援計画の見直しにつなげています。
利用者からは、相談の申し入れが随時行われており、その都度、相談に応じています。利用者のプライバシーに配慮し、常設の相談室をいつでも利用でき、安心して相談できる環境になっています。相談の時間は、休憩時や利用者の勤務終了後に設定するなど、勤務(作業)に支障が出ないように配慮しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所では、トマトジュースの製造、販売事業に力を入れているほか、部品の組み立て等の作業を受注しています。それぞれの作業の工程を分けて、利用者は割り当てられた作業をこなしています。割り当ては、利用者の状況を見極めながら調整をしています。レクリエーションとして、法人主催で「ふれあいコンサート」を開催しています。コンサートとともに、その際の昼食も利用者の楽しみになっています。
日中活動と支援内容の見直しは、6カ月ごとの個別支援計画の見直しに合わせて行っています。文化的な生活、余暇及びスポーツに関する情報提供、地域の様々な日中活動の情報提供は行っていません。主に就労支援に力を入れているという事業所の事情があります。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、法人内の研修計画に基づき、障害に関する必要な研修を受講しており、社会福祉士や介護職員初任者研修の専門資格の取得についても推奨しています。職員は、個別支援計画の策定、見直しや職員会議での情報交換により、利用者の状況を把握し、職員間で情報共有をすることにより、専門知識の習得や支援の向上を図っています。
暴言、大声、暴力等の著しい行動障害のある利用者は居ませんが、症状に応じて相談室で話を傾聴するなどにより、症状の改善に向けて支援しています。また、利用者間の関係性に配慮して、席の配置を変更したり、部屋を分けたりの対応を行っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画にもとづき車いす利用者で排せつ支援を必要とする利用者には、トイレでの排泄ができるように声かけをしたり、本人の様子を見守るなどの適切な支援をしています。送迎サービスを必要とする車いす利用者には、事業所の送迎車で職員が送迎しています。送迎車に乗り降りの際は、本人の残存能力を活かすため、自力で移乗できるように支援するなど自律・自立の生活を支えています。
作業時には、作業用の椅子に移乗しています。事業所内はバリアフリー構造ですが、一部スロープを移動するなど必要なときには職員が車椅子を押しています。なお、食事支援、入浴支援は行っていませんので、本項目の評価では適用しないこととします。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の快適性と安心・安全を配慮した生活環境を確保しています。道路から玄関まではスロープを設置し、平屋建ての事業所内は入口からバリアフリー設計で、作業室内では導線に障害物を置かないように気をつけています。廊下、多機能トイレ等は車椅子で利用できる広さで、手すりを設置しています。
事業所内の清掃は定期的に行っています。ジュースを製造する下処理室や製造室は、特に清潔を保って衛生管理を徹底しています。利用者が思い思いに過ごせるよう、また休息できるようベッドのある静養室を設置し、体調や気分が優れない時に使用しています。昼休みには相談室も開放し、他の利用者に影響を及ぼすような場合には一時的に使用して利用者への対応と支援を行っています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行なっていますが、十分ではありません。生活動作や作業行動のなかで、治具を使ったり拘縮を進行させないよう意図的に手を使う作業を取り入れたりと機能訓練や支援を行っています。
作業手順を写真やイラストで示して掲示し、利用者が主体的に作業に取り組めるよう支援しています。利用者の障害の状況に応じて家族からの助言をもとに、機能訓練を行なっていますが、専門職の指導や関係職種との連携は行っていません。利用者一人ひとりの計画を定め、定期的にモニタリングを行い、機能訓練・生活訓練計画や支援の検討・見直しを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っていますが、十分ではありません。日々の利用者への支援を通じて、健康状態の把握に努めています。毎日の検温や、必要な利用者にはパルスオキシメーターで酸素量を測って体調の変化をチェックしています。
就労支援施設なので医師や看護師の配置はありませんが、協力医療機関により、年に一回健康診断を実施し、その結果を受けて家族と連携・協力しながらその後の支援に活かしています。支援員が利用者の疾病に気づき、家族を支援して医療機関へ繋ぎ、入院・手術を経て回復した事例もあります。緊急時にはマニュアルに沿って救急搬送するなど、迅速な対応を適切に行っていますが、利用者の健康管理等について、職員研修や職員の個別指導は定期的には行っていません。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望と意向を把握し、社会参加に資する情報や学習・体験の機会を提供する等、社会参加への支援を行っています。インターネットの情報やパンフレット等で情報を提供しています。
利用者の友人との交流については、助言や事前介入を行うこともありますが、基本的には見守りを中心とする柔軟な支援を行っています。
人と出会う場を求めている利用者には、休日に開催されるお茶会での交流を紹介し、見守っています。また、資格取得を目指して学習している利用者へ、必要に応じ不明点や疑問点に対しての助言をして学習への意欲を高め、資格を取得できるよう支援しています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の希望と意向を把握し、地域生活に必要な社会資源に関する情報や学習・体験の機会をインターネットやパンフレット等で提供しています。地域生活への移行や地域生活について、利用者の意志や希望を尊重し、グループホームや自宅での生活を見守っています。利用者は自宅やグループホームを住まいとしているので、地域生活の継続のためにも、事業所に安全に通えるよう必要な利用者には車で送迎し支援しています。
地域の基幹相談センターやケースワーカー等と連携・協力し、地域生活に向けた支援を行っていますが、利用者の社会生活力と地域生活への移行や地域生活を続けるための意欲を高める支援や工夫を行うことも求められます。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の家族関係についてアセスメントをして、個別事情に配慮しながら家族と連携しています。年に2回、面談を実施して、利用者と家族のニーズを把握し確認した上で支援の方針を決定しています。日常的には連絡帳や電話連絡で事業所での様子を伝え、家庭やグループホームでの状況や家族の意向、困っていること等を把握しています。
利用者の体調不良や急変時における家族への連絡のルールを明確にし、適切に行っています。利用者の生活に応じて、家族の心身の状況や支援に関わる負担にも配慮し、家族の支援方法の把握や助言、相談支援事業所との連携・協力によるさらなる支援も期待されます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っています。作業工程を分割しての提供や、治具などを取り入れながら一人ひとりの働く力や可能性を引き出すような取り組みや工夫をしながら支援をしています。挨拶の仕方や態度等、働くために必要なマナーや知識を、利用者の障害の状況に合わせて助言しながら支援しています。
年に2回の面談で、仕事や支援の内容について話し合いを行っていますが、個別支援計画策定の見直しに関する話し合いだけでなく、日々の仕事や支援の状況によって定期的な報告と話し合いの場を設けることも必要です。トマトジュースの製造・販売を通して、地域の農家や福祉施設等と連携・協力しながら支援ネットワークを構築し、利用者一人ひとりの就労支援をすることも期待されます。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の意向や障害の状況に応じた仕事時間、内容、工程となっています。作業工程を分割しての提供や、治具等を取り入れながら、一人ひとりの力が発揮できるように支援を行っています。仕事の内容・工程等の計画は利用者や家族の要望をよく聞いて作成しています。
賃金算定表があり、利用者には賃金が支払われる仕組みについてイラストを用いて説明を行っています。賃金を引き上げるための取組として、新しい軽作業の獲得や、自主製品の種類を増やす、あるいは販路の拡大に努めています。
ジュースの製造にあたる利用者と職員は毎月検便を実施する、ジュース瓶への打蓋作業においては手に怪我をしないように足踏み式から手動式の装置に替えるなど、労働安全衛生に関する配慮を適切に行っています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:b】

職場開拓と就労活動の支援、定着支援等の取組を行なっていますが、昨年開設したばかりの事業所のため実績が少なく、今後のさらなる取組と工夫が必要です。
地域の農家や企業の見学・体験等を考え、関係性の構築を模索し、情報の提供、収集をしています。地域の障害者が離職した場合の受け入れ体制を作り、受け入れを積極的に行い支援しています。現在、資格取得を目指し勉強している利用者には、資格取得後は就労と職場定着に向けて支援を継続していく予定です。
地域における障害者の就職活動の支援には、働く場における「合理的配慮」を促進するために事業所側も「合理的配慮指針」の理解と促進する取組・働きかけが求められます。