社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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エヌ・クラップ

2021年03月12日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 エヌ・クラップ 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労移行支援, 就労継続支援(B型) 定員 80名(就労支援B型;72、就労移行支援;8) 利用者:79名 名
所在地 220-0055
横浜市西区浜松町14-40
TEL 045-250-6470 ホームページ http://www.souzoukuukannishi.org/index.htm
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2009年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:14名 名
非常勤職員:28名 名
専門職員
管理者:1 名
サービス管理責任者:2、兼務1 名
生活支援員:25 名
職業指導員:13 名
就労支援員:1 名
施設・設備の概要
作業室6、相談室2、事務室、会議室、休憩室、食堂、:

③ 理念・基本方針
<法人理念>
・ノーマライゼーションからソーシャルインクルージョンを目指します。
・先駆的、開拓的な事業を展開します。

<法人基本方針>
・人権の尊重とサービスの向上を図る。
・利用者さん主体の支援。
・地域との共生。
・コンプライアンスの遵守。
・ガバナンスの徹底。
・財政基盤の安定化。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
同一の建物に提供するサービスが違う2つの法人(県央福祉会・横浜共生会)が併設されており、その方のライフステージに合ったサービス提供を両法人で複合的に協力しながら行っている。
地域の関係機関や他事業所も一緒にイベントや研修なども共同で実施するなど、開かれた事業所を実践してきている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/05/21(契約日) ~2021/03/05(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(平成29年度年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1) 地域に開かれた事業所
事業所は、異なる機能を持つ別事業所との協働で、地域の障がい者のライフステージに添って、それぞれのニーズに応じたサービス提供を行っています。事業所は行政や他の福祉関係団体、自治会、商店会、PTA等と連絡会議を構成し、地域ぐるみで共通の課題の解決に向けて取り組んでいます。
移動困難な高齢者への生活支援の一環として、移動支援バスの運行に事業所の機能を提供しており、バスへの添乗を通じて地域住民と触れ合う中で新たな地域ニーズを把握しています。その他、地域で、対象を子どもに限定しない子ども食堂の実施、防災拠点としての役割の提供など、地域に開かれた事業所となっています。

2) 就労に向けた支援
就労に向けた利用者支援により、毎年度着実に一般就労に繋がる利用者を輩出しています。就労移行支援では2年を目途にしており、職場定着率も8割程度となっています。事業所では多数の様々な機能を持つ職員がいることで、充実したアセスメントを実施することが可能となり、企業とのマッチングにも十分な配慮がなされています。

3) 利用者尊重のサービス提供
利用者の人権尊重の支援については、法人の理念でもあり、人権研修に力を入れ職員に周知するとともに、職員はセルフチェックを行い意識を高めています。
又、利用者に対しては、個別支援計画策定時と振り返りの時期に利用者や家族と面談し意向を確認、その他、相談があればしっかり時間を確保して時間をかけて対応するとともに、快適性と安心・安全に配慮した作業環境を提供しています。併せて、利用者のより自立した生活の実現に向けて、社会資源情報の提供や、社会参加に向けた学習・生活スキルの習得を「せいかつ塾」として支援メニューに取り入れています。
改善を求められる点 1) 中・長期ビジョンの策定
事業所の経営改善等の必要性が認識されていますが、事業計画の中では中・長期的展望はなく、毎年度毎の課題について触れ、事業計画として示されるに止まっています。
事業所としては、経営上負荷のかかる事業の廃止を検討する中で、その事業を継続することの社会的意義を明確にするなどのビジョンがあります。今後は、法人とともに事業所としても具体的数値目標等を盛り込んだ中・長期計画の策定をすることによって、先を見据えた事業計画が策定され、経営改善が進んでいくことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
総評の中で高く評価いただいた点に関しては、事業所としても力を入れている部分ですので今後も質を高めながら継続していければと思います。

改善点の中・長期ビジョンの策定は法人としても最重要課題ですので、法人任せにするのではなく、
事業所の方からも素案を挙げるなどしながら、なるべく早い時期での中・長期計画の策定を行い、各事業所に伝播していきます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念や基本方針は、明確に策定されホームページ等で広く知らせています。事業所の方針もそれに則り作成していますが、職員に対し理念等の読み合わせをすることは無く、機会を捉えて説明するに止まっています。 
利用者や家族に対しては、利用開始時に就労を目指す事業所の方針を伝えるとともに、家族会で法人の方針を抜粋して説明をしていますが、しっかりと伝えるためのツールがありません。職員や利用者・家族に理念等を伝えることについては、不十分と考えています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向は、行政、法人やエリアごとの情報により把握し、地域状況については区の自立支援協議会等の会合に出席することで把握しています。
経営状況は、毎月本部に報告をしている月次試算票や利用状況等のデータを用い把握・分析をしており、事業所内の各作業グループにも分析結果を投げかけています。
今後は、作業室単位の分析も行い、経営的課題について具体的な対策をとっていくことが課題と考えています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、法人全体の経営環境を念頭に、事業所の経営状況についての課題を明らかにしています。職員に対しては、あくまで利用者中心の福祉サービスの提供を基本としつつ、事業継続の必要性、継続するための課題解決に向けての取り組みについて、職員会議や朝夕の打合せ時に伝え周知を図っています。
利用登録者の増加を図ること、開所日を増やすこと、経費を節減すること等々を伝えるとともに、ノー残業デーを作り業務の効率化を図るなどの取り組みを始めましたが、まだ十分ではありません。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

法人として、2019年以降の中・長期ビジョンが策定されていません。事業所としても、事業の黒字化に向けて、具体的な数値目標を定めたビジョンが必要と考えていますが、現状では、次年度までの計画を職員に伝えるに止まっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

単年度の事業計画は策定していますが、中・長期計画を策定していないため、反映したものではありません。
事業計画は、法人の理念を基本にして、事業所の存在意義や機能を明確にしたものとなっており、実施について効率や経費の面等で困難性が高くても、継続することの意義を再確認しながら策定していますが、具体的な数値目標等は示されていません。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、法人の事業計画の中から事業所としての取り組みを選択し、所長と一部の職員で案を作成しています。又、年度の積み残し事業を翌年度に再計画し、案については、作業室ごとに職員から意見を出してもらう他、職員会議で検討しています。策定した事業計画は、職員会議で内容をピックアップして職員に説明をする他、ショップ等の事業所に配布しています。
計画の実施状況は、上半期の状況を本部に報告しているものの、振り返りの機会が無く、評価は十分ではありません。事業計画に数値目標が示されていないことも、評価と事業計画の見直しを困難にしています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画については、利用者も参加できる家族会で配布資料の一つとして配布し、作業で製造している物品の売り上げグラフを添付して、事業の概要ということで説明をしています。その際、各作業室で行っている作業の内容等を補足的に説明し、より理解しやすいよう配慮しています。
事業計画を策定するに当たり、利用者アンケートを実施した経過もありますが、今後開所日を増やすにあたって、利用者が積極的に来所したくなるような計画を作ることも考えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの質の向上に向けては、職員一人ひとりの質の向上が不可欠で、法人で取り組んでいるチャレンジシートを活用して3ヶ月毎の面談を実施し職員の育成を図っています。
管理者は毎年事業所の運営状況について自己点検シートを用いてチェックし、定期的に第三者評価を受審するなど自己評価を行っていますが、福祉サービス向上に向けて更に現場と一体になった取り組みが必要と考えています。
非常勤職員に関しては評価制度が無いため、意向調査や契約更新時の所長面接などを通じ、業務の振り返りを行うとともに、日常業務の中で研修への参加を推奨していますが、計画的な参加システムにはなっていません。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

評価結果は、公表したり法人本部に報告するなどしていますが、分析の結果出てきた課題については、認識はしているものの文書化はしていません。課題は職員に口頭で伝え、改善への取り組みは、計画的には行わず随時リーダー会議で検討したり個別に職員と対応を図っています。
しかし、評価結果に基づく課題に対しては、改善策や改善計画を策定していない案件も多く、まず課題を文書化し明確にすることが必要と考えています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、職務分担表を作成してその役割と責任を明確にし、常勤職員全体の勤務分担や責任とともに職員会議で職員に配布し周知を図っています。事業所の経営や管理等についても、事業計画を説明する中で方針や取り組みを伝えています。
有事に備えては、災害時対応マニュアルを作成し、管理者不在時には支援課長が権限を任されていることを職員は承知していますが、文書として明確化はしていません。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、法人からのメールや所長会議での情報によって、関係する法律の改正や法令遵守に関することなどを把握しており、その都度直接職員に関連することを説明をしています。又、支援課長とともに、特に、人権擁護に関連するような障害者虐待防止法の研修などは定期的に受講し、支援会議で職員に周知しています。施設運営に関しては、関連法が多岐にわたることから、全ての関連法に関する情報を十分に理解することは難しいと感じています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

事業所では、利用者の出勤率や工賃等の数値もサービスの質の反映として評価・分析をしています。管理者はサービス管理責任者として個別支援計画会議で担当者と話し合うことや諸会議・カンファレンスを通じて指導力を発揮しています。職員全体が、他のグループに所属する利用者の状況もよく把握しており、福祉サービスの質の向上に向けての活発な意見を引き出したり、管理者自身も一緒に作業に入るなどして、OJTの一端を担っています。
研修への参加を奨励していますが、非常勤職員に対する体系的な研修が不足していると考えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は、経営状況について、主に事務担当職員と評価・分析し、分析結果は支援の職員に伝えるとともに、限られた人員体制で、効率的な経営と実効性の高い業務遂行のため、一人ひとりの職員の役割を明確にしたり、管理者も作業の一端を担うなどして人件費やコスト削減などの努力をしています。
経営分析の状況は本部に報告し、課題も共有していますが、今年度は特にコロナ禍の影響もあり収入増に向けた改善ができていません。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人全体として、総合的に人材確保への取り組みが行われ、研修委員会では研修に力を入れ人材育成を図るとともに、福祉サービスの提供をする専門職としての資格取得について、必要な費用の補助制度を設けるなどの支援をしています。
しかし、人材確保や人員体制に関しては具体的計画があるものの、追い付いていない実態があります。管理者は、適材適所の実現は、法人本部の人事担当者、研修担当者や事業所が連携する必要があると考えています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人として期待する職員像については、職員倫理行動綱領や倫理行動マニュアルで明確にしています。又、人事基準も昇給・昇格・昇進に関する細則で規程され、採用時に職員に配布しています。
職員の職務遂行等の状況については、法人のシステムであるチャレンジシートを職員の育成を兼ねて活用し評価しています。
職員に対しては、法人として意向調査や満足度調査を実施して、内容をエリアマネジャーが把握、必要に応じて、人材育成や人事管理の改善に活用していますが、総合的な仕組みとしては、まだ十分ではないと、管理者は考えています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の就業状況は、法人として一括して把握できる仕組みがあります。管理者は、定期的又は随時に職員と面談し、意向等を把握しています。
事業所では、週に一日ノー残業デーを設けて職員のワークライフバランス実現を図っており、時間外の業務に対しては分単位の手当てを支払っています。職場としては、有給休暇を取りやすい環境にあり、職員が相互に融通し合うなど、職員同士のコミュニケーションも良好です。休憩時間にはゆったりと過ごせる休憩室を用意し、活用されています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人全体で取り組んでいるチャレンジシートを活用し、管理者が職員と定期的な面接を行うなどして個別に職員の育成を図っています。又、新たなシステムの導入で管理者としては目標に向けての進捗状況を把握しやすくなり、体系的な組織づくりも進行しています。非常勤職員に対しては、実際に業務を担当してもらい、役割と責任を明確にすることで育成に繋げています。
管理者は、職員が各々立てた目標に添った支援を行うため、期待する職員像をきちんと伝えることやできていることをしっかりと評価し、更にモチベーションを上げていくことが課題と考えています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、期待する職員像を示すとともに、毎年、全体の研修計画について見直しも含めて策定し、人権等に係る全体研修や階層別、エリア別研修等を活発に実施しています。特に階層別研修は新採用から7年目までの職員を対象に定期的・計画的に実施しています。
事業所としては、同じ建物を共有している2法人の合同研修や、エリア毎に、発達障がいや自閉症スペクトラム、虐待防止など業務に直結する研修を行っています。更に、職員が自由に選択できる研修の提供が必要と考えています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

個別の職員の業務遂行状況については、事業所として法人のシステム等を活用し把握しています。
法人としても事業所としても、階層別やテーマごとの研修等を企画するとともに、職員の参加を勧奨しています。事業所では、勤務の振り替えや研修情報の積極的提供、場合により外部有料研修への配慮をするなど、必要な研修には可能な限り参加できるようにしていますが、管理者は職員への個別対応が十分ではないと感じています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

法人として、実習生の受け入れに関する基本姿勢は明確にしており、福祉人材の育成を図るという方針の下、コロナ禍で他の事業所に行けない学生も受け入れるという方針が示されましたが、受け入れ体制は厳しい状況です。
事業所では、実習学生は、保育実習生1名を受入れるに止まっていますが、社会福祉士資格取得実習の指導者は在籍しています。実習生対応のプログラムは、所属する学校のプログラムに添う形で組んでいます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人では、ホームページを作成し、広く理念や基本方針、事業内容、財務状況について社会に発信する他、定期的に新聞を発行しています。
事業所は、横浜市の西区を拠点として設置された施設で、同じ建物で運営している機能の異なる別法人事業所と共同での事業も行っています。事業内容は行政への報告と併せて、チラシや広報誌を二つの事業所が共同で作成して市民に知らせています。特に広報誌は年に4回定期の他に号外を発行し、ホームページにも掲載するなど情報提供を行っていますが、地域向けの情報発信は弱いと感じています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、職務分担表を作成し、管理者の職務と責任、職員の事業内容別業務分担を明確にしています。主だった業務について職員には周知しています。事務や経理等に関しては、法人として年1回以上、法人事務局の内部監査を実施、監査法人による外部監査も年1回行っています。監査結果については、理事会で報告し、法人役員と情報を共有しています。現在まで特段の指摘事項はありません。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域における福祉やイベント情報は、玄関や作業室にチラシ等を掲示して、利用者に提供しています。地域との関わり方について基本的な考え方を文書で表してはいません。地域で行う就労フォーラムに利用者が参加する際は職員が同行したり、利用者家族が通院に付き添えない場合や家族の送迎が一時的に困難な場合は、ヘルパー事業所や自立生活アシスタントへの繫ぎをし、地域の資源が円滑に利用できるよう支援しています。又、事業所で行っている、施設内で行うランチコンサートは地域住民の参加があり、利用者との交流の機会となっています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

法人として、ボランティアの受け入れについては積極的姿勢でいますが、実際には受け入れの体制整備ができていないため、積極的な受け入れは行っていません。マニュアル類も、受け入れについての手順書やボランティアのドレスコードの規定等はありますが、十分ではありません。
実際には毎月1、2名のボランティアを事業所外店舗で受け入れています。その他、近隣の小学校の生徒の見学や中学校生徒の職業体験を受け入れることで学校への協力を行っています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

事業所は、横浜市西区第3地区の障がい福祉拠点として事業を展開しています。第3地区の福祉に関する懇談会が組織され、行政、福祉関係施設、民生児童委員、自治会、商店会、PTAなどが参加し定期的に会議を開催しています。
この部会で地区の福祉関係マップを作成し、事業所内に掲示し周知していますが、更にわかりやすく工夫した個別の資料作成が必要と考えています。
懇談会では、地区共通の課題として移動困難者への対応が検討され、「おでかけ3」として移動支援バスの運行に繋がりました。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、運営委員会制度を採用していませんが、西地区の第3部会・懇談会や横浜市社会福祉協議会、西区社会福祉協議会などと連携を図りながら、地域の福祉ニーズの把握に努めています。取り組みとして、懇談会で地域の生活課題になった買い物等移動困難者のための移動支援サービスが開始されました。
事業所では「みんなの節供」として子ども食堂を実施し、子どもに限らず地域住民を受入れる中で、地域の福祉ニーズ等の把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

西区第三地区の懇談会としての取り組みで、地区にある他の機関や団体と協力して車両の空き時間を活用した移動困難者のためのバスを運行させています。又、従来行ってきた子ども食堂は、地域住民全体を対象に行っており、こうした活動を継続していくよう事業計画に位置付けています。
地域の防災に関する役割として、横浜市と防災協定を締結し、災害時の福祉避難所を開設することになっています。水や食料、毛布、おむつなどを備蓄し、災害に備えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本方針に人権の尊重を掲げ、職員倫理行動綱領で「利用者中心の支援」「自己選択、自己決定のできる環境」「自由とプライバシーの守られる環境」等と明記し、倫理行動マニュアルでも具体的な職員の行動を明示しています。又、事業所の運営規程でも利用者の意思及び人格を尊重する旨記述しています。
内容については、入職時に研修を行う他、事業所の支援員会議等で周知し、法人研修の資料を活用して人権尊重への対応に関するセルフチェックを実施しています。法人としても、事業所としても、人権研修には特に力を注いでいます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

利用者のプライバシーについては、職員倫理行動綱領に「自由とプライバシーの守られる環境」の記述を始めとして職員行動マニュアルにも明記し、職員には入職時研修で周知しています。
事業所では、男女の更衣室を夫々用意するとともに、排泄や移乗時の介助が必要な場合は同性で行うことを基本にし、レクリエーションで外出する際は必要時に備えて必ず男女の職員が付き添っています。利用者や家族に対して、プライバシー保護の取り組みについて周知することが期待されます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所の特性等を紹介したパンフレットや広報誌を、同じ建物で協働している他の事業所と共同で作成しています。利用希望者は、学校や区役所、相談支援事業所などの紹介で見学や体験入所に来ますが、その都度個別に丁寧に説明し対応しています。伝える情報は、その時の事業所の状況に合わせ説明内容を見直して提供しています。
事業所を紹介する資料を丁寧に記述して、事業所の様子が分かるように考えて、わかりやすくするために工夫しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの開始・変更時には、利用者の自己決定を尊重しています。基本的に意思決定が可能な利用者が多いため、開始時には、契約書や重要事項説明書、運営規程等を利用者や家族に渡して丁寧に説明をし、利用契約書にはルビを振るなどの配慮をしていますが、関係機関のスタッフの立ち会いやサポートを求めることなどについて、配慮が不足していると感じています。
意思決定が困難な利用者への配慮については、事前に関係機関での聞き取りや説明が終了しているため、ルール化はしていません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所変更に当たっては入退所調整会議を開催し、全職員で確認するルールを設けています。移行先の事業所や行政機関との引き継ぎにも配慮し、引き継ぎ時には新しい事業所で同席し、利用者と一緒に説明を聞きます。引き継ぎに係る文書は、移行先で求められる内容を記載してある既成のものを渡しています。
退所後、利用者から相談のある場合は、基本を相談支援事業所としているため窓口の設置はしていませんが、ニーズがあれば在籍時の担当者が対応することとしています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者や家族の意向を把握する機会として、年2回個別支援計画面談を行っています。又、毎年2回家族連絡会を計画し、終了後各作業室ごとの懇談会を実施しています。事前に質問用紙を配布した上で、懇談会には全職員が出席して、家族等の利用満足度も含め意見や要望を把握するとともに、個別の相談希望については必ず面談を設定します。
定期的な利用者満足度調査は実施しておらず、利用者参画での満足度の検討会議等は実施していませんが、第三者評価事業の受審を満足度を図る機会と捉えています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

法人には「苦情解決に関する規則」があり、事業所に苦情受付担当者・苦情解決責任者・第三者委員を設置し、苦情解決の体制を整備しています。苦情受付ポスターは顔写真入りで1階入り口の利用者・家族が見える場所に常時掲示しています。
苦情に関する実績はありませんが、玄関に設置した「みんなの声ボックス」の側に、「あなたがお話したいことを自由に書いてポストに入れて下さい」と書き添えた用紙を置き、相談室の前に相談方法を掲示、作業室にオンブズパーソンの訪問日を掲示するなどの工夫で、利用者の声を拾う工夫をしています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

利用者から職員へ相談の希望があった時は、時間を確保し、相談室やプライバシーが守られる環境において面談をしています。利用者から相談があった時は、必ず当日に話を聞くようにしています。 又、オンブズパーソンネットワーク(eネット)に加盟し、月に2回第三者委員の訪問相談を行っています。これは直接、利用者や家族から相談を受け付けることを原則とし、利用者には事前に日時を案内したチラシを作業室に掲示するとともに、連絡帳に挟んで家族にも案内しています。
利用者には、相談相手を選択できるなどの説明が不十分と考えています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

「みんなの声ボックス」や第三者相談員の訪問相談を定期的に開催しています。利用者からの相談や家族からの要望等があった時は、どんな些細なことでも夕礼や朝礼で報告し、活動日誌等に記録しています。
職員は利用者の意見や要望、提案等は迅速に情報共有し、早めに改善案を出すように心がけていますが、記録の方法や報告の手順、対応策の検討等について定めた相談対応マニュアルの整備は不充分と認識しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

事業所のリスクマネジメントに関する責任者は所長になっています。法人では、リスクマネジメント委員会を設置し、法人内で起きたヒヤリハット・インシデントの集計及び分析をし、改善や再発防止に向けた取り組みを半期に一度行っています。
事業所からは、職員が法人のリスク要因分析演習に参加しています。職員は、研修の一環として事故時の緊急対応について職員ハンドブックの事故発生マニュアルを周知し、収集した事例について職員参画の下で発生要因を分析し改善策・再発防止策を検討・実施しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員ハンドブックで、感染症の予防や発生時の対応がマニュアルで示されており、職員には入職時にハンドブックを配布し、周知しています。事業所では特に食品を扱うこともあり、事業所内の衛生チェックを徹底しています。例年はノロウイルスやインフルエンザの感染症対策に取り組んでいますが、本年度は新型コロナウイルス感染防止の体制づくりを強化しています。
法人の危機管理室による「新型コロナウイルス感染防止対策」の研修に所長が参加し、事業所に保健師を招き、職員・利用者の勉強会を実施しています。 

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

地震、津波、豪雨、大雪等の災害に対して、利用者の安全を確保するために災害時対応対策ができています。年3回火災想定避難訓練・水消火器訓練・連絡訓練、年2回法人総合防災訓練(地震・津波想定)を行っています。防災計画で職員の役割を明確にし、緊急避難場所の確認だけでなく、移動経路を調べ、安全性を確保しています。
地域では、西区第3地区の町内会と連携して防災ウォークを行い、近隣施設の所在地を確認しています。又、市と防災協定を締結し、地域住民や事業所用に食料や備品類等、在庫管理者を決めて防災倉庫に備蓄しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスの標準的な実施方法に関しては、法人で「職員倫理行動マニュアル」や「職員ハンドブック」を作成し、法人の理念や基本方針に沿って利用者の尊重・プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢等、支援に係る基本が明記されています。
事業所では利用者の障がいの状況に合わせて作業内容を文書化し、利用者の座席の前や作業室の壁などに掲示することで、利用者が安心して効率的、正確に作業できるよう工夫しています。個々の利用者への福祉サービスの提供状況については援助記録表で確認することができます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

事業所は本年度より4階グループ、3階グループ、喫茶グループの3つの作業室に分かれ、年間目標を設定し、業務改善に向けて計画や企画を立案しています。職員は日々の福祉サービスの標準的な実施方法について、作業内容が利用者に適切かどうか支援する中で確認しています。朝、夕の打合せや支援員会議、職員会議で利用者の作業内容の現状を検証し、意見を出し合い、個別支援計画の状況を踏まえて見直しています。
検証・見直しにあたり、利用者や家族との面談時に個別支援計画意向記入書を書いてもらい、担当者会議で検討する仕組みがあります。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の策定に当たっては、20項目を5段階で評価するアセスメントシートや職員の意見を基に、サービス管理責任者と関係職員、利用者・家族で個別支援計画担当者会議を開いています。特に、就労移行支援対象の利用者では、入所後2週間で実施し、必要に応じて関係機関と調整しています。支援困難ケースでは行政機関や相談支援事業所等の関係機関とカンファレンス等も実施していますが、アセスメントについては、更なる質の向上を目指しています。
個別支援計画を反映した支援が行われているか、必ずモニタリングを実施し検証しており、内容は援助記録表で確認できます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の定期的な見直しでは就労移行支援は3ヶ月毎、就労継続支援B型は6ヶ月毎に行っています。事前に利用者・家族と面談し、個別支援計画意向記入書を書いてもらい、外部機関を含む多職種の参加で支援計画会議を開催しています。
見直しによって変更した個別支援計画の内容は支援員会議で周知していますが、同会議には本人や家族の了解を得て関係機関の参加も求めています。緊急に計画を変更する場合はサービス管理責任者に報告し、関係職員で担当者会議を開きます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

作業室ごとに常勤・非常勤職員は利用者の1日の作業内容や生活状況を、パソコンで援助記録表に記録し、記録は支援課長が週に一度確認し内容等の指導を行っています。個別支援計画に基づくサービスが実施されているか、援助記録表により確認することができます。その他、情報共有は朝・夕の打合せや職員会議、支援員会議等で複合的に行っています。
クラウド上で記録ファイルを共有しており、常勤・非常勤職員とも必要に応じて情報を得ることができますが、職員がネットワークシステムを更に活用して、事業所内で情報共有を深めることが期待されます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人では個人情報保護規程を定めており、法人内に情報セキュリティ委員会が設置され、情報セキュリティポリシーを基に事業所では利用者の記録及び情報を適切に管理し、利用者の求めに応じてその内容を開示しています。
記録管理の責任者は所長で、記録及び情報については契約終了後5年間保存しています。個人記録等は施錠された書庫で保管をしています。
個人情報の利用に関しては、契約時に利用者から個人情報使用同意書に署名捺印をもらっています。職員については入職時に「個人情報の取り扱い」を説明しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自己決定や自己選択を尊重するエンパワメントの理念を基にした個別支援を行っています。利用者一人ひとりの希望やニーズを尊重し、障がいの状況を踏まえて支援計画に反映しています。趣味活動・衣服・理美容・嗜好品等は基本的に作業時間以外では個性を尊重していますが、就職を主目的にしている事業所であり、衛生面や安全面に配慮が必要な事業所として、ピアスや下着が透けるような服、サンダル等については、利用者と面談し十分に話し合って作業に相応しくするように決めています。
利用者は朝の打ち合わせでホワイトボード等に貼ってある1日のスケジュール表を見て、作業に取り掛かります。作業所内のルール等については、利用者同士で話し合う機会を特別に設けているわけではなく、必要に応じて面談で話し合い、職員間で検討してより良い方法を利用者に伝えています。職員は、法人の人権委員会や人権委員報告会等の研修に参加しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

権利侵害の防止等のために「苦情解決に関する規則」を定め、苦情解決責任者や苦情受付担当者、第三者委員を設置し、写真付きポスターを玄関に掲示しています。又、利用者・家族には利用契約書で身体拘束の禁止と虐待防止のための措置を明示するとともに、家族懇談会で具体的な事例があれば説明し、欠席した利用者・家族には議事録を渡しています。
法人は職員による利用者への統一した行動指針として、「職員倫理行動綱領」を定めています。これを分かりやすく具体的に示した資料として「職員倫理行動マニュアル」を作成し、「職員ハンドブック」にも利用者を尊重する姿勢や虐待の防止等その概略を記載し職員に周知しています。
法人では、入職時に権利侵害の防止や権利擁護に関して時間をかけて研修を実施していますが、それ以外にも人権委員会では毎年人権研修報告会や人権研修を開催し、全職員が参加しています。参加できなかった非常勤職員には職員会議で権利侵害の防止について伝えています。
 

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所は利用者一人ひとりが自分らしく生き生きと生活できるように支援しています。職員は日中支援事業所の限界として、利用者の生活習慣までは把握できず、事業所から帰った後の状況を把握している家族やグループホーム、施設等との連携を更に図り、それぞれの役割分担を明確にすることも重要だと考えています。
作業室は軽作業、ハウスクリーニング、喫茶、レトルト食品製造、パン製造に分かれています。作業室ごとに職員はパソコンで、利用者の1日の作業内容や個人の生活状況を援助記録表に記録しています。生活の自己管理については時間やスケジュールの管理、社会常識や一般的なルール・マナーの理解等利用者の状況に応じて支援しています。
相談支援事業所や行政機関等との連携や、関連する障がい福祉サービスの活用を図るため、ケースワーカーを招き、家族と利用者との面談を設定し、グループホームや短期入所、ヘルパー等のサービス利用について紹介してもらうなど、自立生活のための支援を行っています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者と職員のコミュニケーションについては、意思表示や発信の少ない利用者に筆談で話したり、ホワイトボードを活用して視覚的にも確認ができるように工夫しています。また、落ち着いた場所で面談したり、職員を交替して利用者の意思や希望を理解するように努めています。又、支援の中で、利用者の生活にもっと他に必要なニーズがないか、コミュニケーション手段はもっと他に良い方法がないか等を検討し、他事業所主催の精神科医師の勉強会には、専門知識を習得したい職員が多数参加しています。
作業室ではそれぞれのブースに本人の特性に合わせて、理解しやすいように図や絵を使うなどして、予定等が分かりやすいように工夫しています。
個別支援計画に記載されている具体的な支援方法を確認したり、利用者の友達から情報を得たり、また、生活を共にしている家族と連絡を取りながら効果的なコミュニケーション手段を模索し、利用者との信頼関係を築いています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は利用者の生活上のさまざまな問題や悩みに等について、定期的に面談の機会を設けるとともに、日中活動の中で気にかかる様子の時は個別に話をする機会を作って対応しています。利用者本人より相談希望が出された時は、必ず当日に個室で話を聞き、対応できる内容については、迅速に対応しています。
利用者の相談については職員間で共有し、必要に応じて計画相談事業所や行政とも情報を共有し、必要な支援に繋げています。対応した職員は、相談内容を援助記録表や活動日誌に記録し、翌日勤務の職員に伝わるようにしています。相談内容等は必ずサービス管理責任者に報告し、関係職員等と検討・共有を行い、必要に応じて個別支援計画の支援内容の変更や調整を行い、職員会議で報告しています。職員は日常の支援の中で把握した情報を共有し、統一した支援を図っています。
偶数月の土曜日にせいかつ塾を開催し、福祉サービスについて相談支援事業所やグループホームの職員に来て話をしてもらったり、見学の機会を作るなど利用者が自立に向けて選択の幅が広がるよう、情報提供の場を作っています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中活動は一人ひとりの力に応じて、個別支援計画を工夫して計画を立て、活動を通して働く喜びや充実感が味わえるように支援しています。本事業所の福祉サービスは就労支援であり、利用者本人の状況に応じ軽作業、ハウスクリーニング、ショップ、パン製造等様々な作業メニューを用意しています。
余暇活動やレクリエーションに関しては、一人ひとりの希望を受け入れて個別に対応することは事業所として困難なため、外出レクリエーションとして職員が複数のメニューを企画し、アンケート等で利用者の希望の多いものを把握した上で実施しています。余暇活動としては、月に2回タップダンスサークルがあり、現在10人位が参加しています。他に土曜余暇活動があります。西区自立支援協議会において、地域とともに余暇活動支援について考え、協同して西区内の余暇活動支援を行いイベント情報などを施設内に掲示し紹介しています。
利用者の個別支援計画は、利用者の様子や心身の状況から支援内容等を検討・見直しを行っています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

発達障がいや自閉症等について施設内研修や法人外研修等があり、多くの職員が参加していますが、事業所としては、全職員ではないことや、更に専門知識を習得し、より支援の質の向上を図ることが必要であると考えていることから、現状では十分ではないと考えています。
支援員会議では、支援方法の検討・見直しを行い、利用者に関する情報や支援方法についての共有をし、支援の質の向上のため、精神科臨床専門医を招いて勉強会を行ったり、定期的に支援課長が各作業室を回り指導に当たるなどしています。
法人では、社会福祉士やサービス管理責任者資格等取得のための研修の受講を奨励しており、費用の貸付制度もあります。
日常的な支援の中では、利用者同士の相性、特性による組み合わせ等は常に意識して支援を行うとともに、障害者更生相談所や相談支援事業所等の専門機関と連携しながら、サービスを提供しています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

食事に関しては、給食委託業者、ガッツ・びーと西と共同で給食会議を実施しています。昼食献立表は利用者の嗜好を考慮し、おいしく、楽しく食べられるように工夫しています。利用者の希望と状況に応じ、刻み食やアレルギー食等の提供も可能です。食事アンケートは実施していませんが、献立に関する意見や要望を書く用紙が各作業室に設置してあります。自閉傾向や視覚障害のある利用者には必要に応じ職員が食堂まで付き添い、一緒に食事をとるなどしています。食堂では、6人掛けのテーブルはコロナ禍のため、段ボールでパーテーションを設置するとともに、密にならないように配慮しています。今後は、アンケート等で利用者の意見を更に反映させたいと考えています。
入浴、排泄、移動・移乗等の支援に関しては、利用者は全員自立しており、日常的な支援として個別支援計画には記載していません。稀に、失禁等の事態が生じますが、一時的な支援として介助をしています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

大規模な施設で、全館冷暖房完備です。作業活動の清掃部門が館内の共用部分を清掃しており、作業室、エントランス、廊下、トイレ等は清潔で明るく、利用者の日中活動の作業場等は、安心・安全に配慮されています。
休憩時間に利用者が一人で思い思いに過ごせるように、ロッカールームや相談室、作業室、1階エントランス等を活用しています。その他、利用者が安眠(休息)したり、個別対応の相談ができるように使っていないスペースも確保しているなど、生活環境については、多数の利用者一人ひとりの希望や意向に対応していくことは困難ですが、可能な限りの配慮をしています。
利用者の要望や意向等は、日々の声掛けの中や面談時の話から常に把握しています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所での機能訓練の必要な利用者は、現在いません。生活訓練に関しては、福祉サービスの一環として明確な位置付けはありませんが、日中活動での作業に付随するお互いの挨拶や片付け、掃除等については、就労準備に関する作業の一環として支援をしています。
又、自立生活を想定して、マナー講座で一般的なマナーを、社会生活上のルールやSNS、対人に関するトラブルの防止等について、せいかつ塾で、それぞれ生活のスキルを学習したり、外出レクリエーション活動の中で様々な体験を通して社会学習をする機会を積極的に作っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

本来就労支援目的の福祉サービスを提供する事業所であり、現在は入浴や排せつの支援を必要とする利用者はいません。又、医師や看護師による健康相談は行っていません。
利用者の健康維持・増進に向けては、健康チェックシートを活用し、職員は、利用者の睡眠や食事について会話の中で把握したり、健康管理上、血圧測定が必要な利用者は、作業所でも測定し観察しています。現在はコロナ禍のため、毎日エントランス入り口で検温し、記録をしています。
利用者に体調の変化があった場合、一義的には速やかに緊急時連絡先(家庭等)と連絡を取り、必要に応じ、主治医・救急隊と連絡を取り対応します。障がい者の健康管理等について、職員研修や職員の個別指導等は定期的に行っていません。
事業所としては、利用者が就職し仕事を続ける上では、自身での健康管理は必要とされる能力という位置づけで、本人・家族任せにしてきましたが、利用者の障がいの状況に合わせた健康の維持に力を入れていきたいと考えています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

医療的な支援の実施についての考え方や管理者の責任は明確ではなく、実施手順や個別の計画は策定されていません。医療的支援は服薬管理のみです。常用薬の預りはごく一部で、基本的には大規模災害等有事の時のために、緊急時用として3~5日分預かり、非常持出袋に入れ、個人のファイルに保管しています。
風邪薬等で臨時的に服用が必要な場合、職員は、飲み込むまでを確認し、空袋を連絡帳に入れ家族に返却しています。利用開始時に服薬の管理について話し合い、自己管理方法について決めています。
家族の事情で病院受診に同行できない時や事業所での状況を主治医に伝えた方が良い場合は職員が同行しています。通院同行は精神科を主として必要に応じて行っていますが、同行できない場合は書面で主治医と情報交換しています。医療的な支援に関して職員は、AEDの講習会やてんかんの研修に参加しています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の意向と希望を把握し、就労(作業)・生活の資質向上及び社会参加活動への支援を行っています。その他、余暇活動として「タップダンスサークル」や「土曜余暇活動」があります。
マナー講座を毎月2回、生活に必要な知識を身につける勉強会「せいかつ塾」を偶数月の土曜日に開いています。「せいかつ塾」では、SNSによるトラブル防止の学習や、自立に関連する社会資源、金銭トラブルの回避の仕方等について、行政や相談支援事業所の職員等を講師にして、生活スキルを学ぶ機会としています。
事業所としては、利用者が社会生活に必要な知識を身につける目的での勉強会の実施ですが、利用者の希望等を反映するレベルにはまだ到達していないと考えています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所としては、利用者の生活に対する希望と意向を尊重し、地域生活への移行や住み慣れた地域での生活が継続できるように支援をする方針ですが、利用者本人と家族の希望が一致しない場合も多く、客観的な可能性の判断から利用者よりは家族の意向が優先される場合もあり、課題と考えています。
しかし、日常的な支援の中では、利用者の意欲を高めるために障がい関係の制度や仕組みを知ってもらう事や利用者自身の取り組みとして体験してもらうような働きかけをしています。学習の一環として、地域の社会資源を知ることや地域生活を送る際の課題等を解決するための学習をしたり、施設の見学希望があれば職員が同行するなどの支援を行っています。
又、地域生活への移行や地域生活のための支援については、相談支援事業所、行政、グループホーム等と調整を図り、協力しながら進めています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所では家族連絡会を開催し、年度の事業計画や法人の方針等について説明をしています。終了後、各作業室ごとに懇談会を開催し、全職員が出席して意見交換等を行い、家族の希望や意見を聞く機会としていますが、同時に相談を受けた場合は、家族支援の場としても活用しています。
年2回、個別支援計画を策定するための面談を、利用者本人を交えて行い、支援に関する意向や希望を確認しています。この他、希望があれば、個別に面談の機会を作り、家族の話を聞いています。
日常的な利用者の生活や支援については、日々連絡帳に記録して、情報を共有しています。利用者の体調不良等緊急時については、緊急時対応マニュアルに明記されており、電話等で連絡を取り合い対応をしています。
家族等との連携・交流については、その必要性について利用者本人の意向と事業所の考えが異なる場合もあり、必ずしも利用者の意向を尊重できているとはいえないことが課題とも考えています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

非該当

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所は、基本的に利用者本人の力を活かしてエンパワーメントに基づいた支援を行っています。就労に必要なルールやマナーを習得するための「マナー講座」や地域でトラブルを避けるための学習をする「せいかつ塾」等、地域生活に必要な情報を提供し、利用者一人ひとりの働く力や可能性を引き出すような取組みや工夫を行っています。
事業所では月1回運営会議で工賃やクレーム等の話し合いを持ち、それを基に利用者と意見交換をしています。又、各作業グループ毎に、毎月2回仕事や支援の内容について振り返りの場を設けています。
就労支援センターには就労に向けての準備が必要になった段階で登録し、企業体験実習をさせてもらうなど、就労に向けての訓練を受けることができます。地域の会社、行政機関、雇用促進センター、ハローワークや家族等と連携し、協力のもとに就労支援を行い、毎年就職に繋がる利用者を輩出しています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所内には多様な作業種が用意されており、通所開始の段階で可能な限り、利用者の希望や特性に配慮した配置にしています。場合によっては作業室の変更も行いますが、本人や家族の希望を尊重しながら、事業所としての評価をした上で行っています。 
作業は多種用意されており、仕事の内容・工程については、やり方や受注工程が決まっているため職員が計画し、利用者に依頼する形で実際の作業が行われます。作業室には、就労した場合に必要な挨拶を書いた紙を張り出して唱和をする、一日の流れをホワイトボードに記載する、作業の工程をわかりやすく表示したマニュアルを、掲示や持ち運びでいつでも確認できるようにする、識字の無い利用者でも、色分けで確実に作業ができるよう工夫するなど様々に配慮しています。
工賃規定は契約時に読み上げて利用者へ説明していますが、賃金(工賃)等については必要の都度利用者に説明し、同意を得たうえで適切に支払われています。利用者の安全と健康を守るため、熱中症への配慮、換気、清潔など労働安全衛生に関する配慮を適切に行っています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の就労支援部会が就労支援センターとの繋がりで、企業の見学会や説明会を行っています。
事業所としても、職場や受注先の開拓等により職場開拓に努め、ハローワーク等と連携し、利用者の障がいの状況や働く力にあわせて、利用者と企業とのマッチングなどの就職支援を適切に行っています。特に、就労先の決定にはマッチングが最重要と考えており、力を入れています。結果、職場定着率が8割に上るなど、実績を上げています。
就労後の利用者と職場の関係づくり等、職場定着支援を事業として位置付け、利用者のみならず地域の障がい者が離職した後の受け入れを行い、次に適切な職場に繋げるためのサポートを行っています。
事業所としては、企業に対し障がい者の状況や必要な配慮などについて伝達はしているものの、「合理的配慮」を働きかけるまでには至らず、社会の認識の変容や行政との協力が必要な課題と考えています。