社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

カーサ柳橋

2020年01月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 カーサ柳橋
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2014年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
③ 理念・基本方針 法人の理念
① 障害児・者、高齢者のノーマライゼーションの実現から「ソーシャル・インクルージョン」(共生社会)を目指します。
② 社会・福祉・介護ニーズに応えるべく先駆的で開拓的な事業を展開します。

基本方針
① 人権の尊重とサービスの質の向上を図ります。
② インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を行います。
③ 地域との共生をめざします。
④ ニーズの多様化と複雑化に対応します。
⑤ 社会的ルールの遵守(コンプライアンス)の徹底を図ります。
⑥ 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底を図ります。
⑦ 人材の確保・育成のための研修体制の充実と適切な人事・労務管理を実践します。
⑧ 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)の確立を目指します。
⑨ 財務基盤の安定化に努めます。
⑩ 国際化への対応に取り組みます。
⑪ 社会貢献活動に積極的に取り組みます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ・障がい程度区分の高い利用者を受け入れ、指定基準以上の手厚い職員配置にしています。区分6の利用者2名には状態に応じた個別対応を行っています。
・男女別の各ユニットには同姓職員を配置し、週末以外は夜勤職員はユニット毎に1名づつ勤務しています。
・手順書を職員会議で意見を聞いて、現場で実践している内容から作り上げています。
・食事会を2か月に1回開催しています。(誕生会、夏祭り会、クリスマス会、忘年会など)
・花見などの野外活動を企画し、実施しています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2019年03月30日
終了:2020年01月06日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2016年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 1.利用者の個別性を尊重し、安全で快適な支援の実施に努めています
 ホームでは、利用者が自分らしい生活を実現出来るよう、支援体制の充実化と環境の整備に努めています。指定基準以上の職員配置を行い、男女別の各ユニットに同性職員を配置するほか、夜勤者に加え早番・遅番等の変則勤務を導入し、夕食から就寝前、起床から朝の送り出しまでの時間帯に人員を増やしています。安全かつスムーズな支援の実施とともに、利用者との関わりの時間を十分確保出来るよう配慮しています。
 自閉症等で強いこだわりがある利用者に対しても、粘り強い個別対応と同時に、つい立てや仕切り扉を活用して動線を確保し、本人が落ち着きを取り戻せるよう声掛け・誘導を行っています。合理的配慮の考え方に基づく中で、個別性を尊重した支援の実践に努めています。


2.利用者家族や関係機関と連携し、本人の特性・長所を伸ばす取り組みを行っています
 ホームでは、利用者家族や関係機関との連携を通じて利用者の強みを活かし、長所を伸ばす関わりに努めています。電話連絡や来訪時の面談など、家族との交流機会を随時設定し支援内容の共有化を図るほか、利用者ごとの連絡ノートを用い、日中活動先の事業所と家族の三者で活用してタイムリーな情報共有を行っています。
他の障害福祉サービス事業所とも連携し、日中活動先の見直しやガイドヘルプの導入等に加え、訪問看護や訪問リハビリなどの医療サービスとも提携し、本人の心身機能の回復とともに、広く社会参加に繋げるための支援も行っています。これらの取り組みを通じて、日中活動への参加が困難な利用者が、公共交通機関の活用や安定通所に至った事例も複数確認されています。

改善を求められる点 1.非常勤職員の資質向上に向けた、教育・研修体制の充実化
 ホームでは、利用者の意向を尊重したきめ細かな支援の実践に向け、非常勤職員を積極的に登用し、勤務時間の柔軟な変則シフトを導入して、安全かつスムーズな業務の遂行と利用者の状況に応じた対応が可能な体制を整備しています。しかし、新入職員の採用により、知識や経験の浅い場合が多いほか、研修等の学習機会も少ない状況となっています。
 今後、非常勤職員の資質向上と個々の志気・意欲向上に向け、非常勤職員にとって理解しやすく、より参加しやすい教育・研修体制の充実化が期待されます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

理念、基本方針はホームの職員室に掲示し、職員が常に目に触れています。職員会議で年1~2回理念について話合い、理解を深めています。重要事項説明書には事業所の運営方針が記載され、利用者・家族に利用契約時に説明しています。

◇課題と考えていること

理念にある「ソーシャルインクルージョン」(共生社)の実現に向けて、地域で暮らす意味を模索しています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

毎月試算表を作成し、事業所の収支、人員配置などを分析しています。現在は4:1の人員配置で、支援の手厚さを考慮して黒字経営が成り立っています。法人のグループホーム部会に参加し、社会福祉事業の動向を把握しています。

◇課題と考えていること

利用率が上がるにつれ、加算要件が変わり、収入減になる見込みです。ホームでの生活が主体になってくるにつれて、一部で収入が減ってしまうので経営面での課題になっています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

事業計画は毎年中長期計画に基づいて管理者が作成しものをたたき台にして、職員会議で意見を出し合って策定しています。事業計画は会議録のファイルに綴じて、何時でも見ることが出来るようになっています。所長が変更して半年くらいの中で、状況把握と現場勤務で、なかなか手が回らないこともあり、中長期的に改善していく予定です。

◇課題と考えていること

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

年2回チャレンジシートを用いて、所長が常勤職員の面談を行い、目標や課題について話し合っています。非常勤職員へは個別に聞き取りを行っています。今回の第三者評価の結果は開示する予定です。

◇課題と考えていること

前回の第三者評価に基づいた課題点の共有、改善が図られておらず、職員間で課題の共有化を課題としています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

管理者として法人で定められていることや理念、基本方針などを現場の実例に合わせて説明を行い、意識を高められるように努めています。トップダウンでなく、職員会議で積極的に意見を出してもらい、聞くようにしています。

◇課題と考えていること

職員会議に参加している職員と参加していない職員では意識の差が出ており、職員間で共有できる場を有効に使えるよう、魅力ある職員会議にしていくことが課題です。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

年間研修計画を本部で作成して、該当する常勤職員は極力参加しています。研修案内や資料の回覧を行い、知識や技術の習得を図る機会の参加を促しています。エリア内のグループホーム職員会議に参加し、情報共有やスキルの習得を行っています。

◇課題と考えていること

研修案内を出し、促しを行っても、参加出来なかったり、しなかったりする職員がいます。学ぶ機会が少ないことが課題となっています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

法人のホームページに理念、基本方針、予算、決算などが公開されています。毎年法人事務局から経理状況などの内部監査を受けています。

◇課題と考えていること

法人として広報誌やパンフレットを作成して発信していますが、事業所として地域への発信ができていません。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

近所にある同法人の事業所「ふきのとう舎」の感謝祭を協働で実施し、近隣住民と話しをし、ホームの紹介などを行っています。ボランティア、オンブズマンなどの受け入れをしています。

◇課題と考えていること

近隣の祭りなどには参加していますが、定期的な交流には積極的に参加はできていません。同一建物1階にある療育センタ―の祭りなどに参加し、交流の場にしていくことを検討しています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

法人の職員ハンドブックに倫理行動綱領や倫理行動マニュアルが記載されています。職員会議で定期的に読み合わせを行い、確認しています。
 また利用者の呼び方や人権に関する話し合いも行っています。法人が作成した人権に関するDVDを年1~2回職員会議で見て意識を高めています。


◇課題と考えていること

職員会議に出席する機会が少ない職員は、人権に関する確認の頻度が少なく、職員間で意識の差が表れています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

サービス開始時には重要事項説明書や利用契約書で所長がわかりやすく説明し、同意を得ています。利用契約書にはルビをふって利用者にもわかりやすくなっています。毎年養護学校の先生と生徒が20名位見学に来ますので、ホームの状況説明をしています。

◇課題と考えていること

自己選択、自己決定が難しい利用者は、家族の意向や推測でサービスを選んだりしているケースもあるので、今後は本人の自己決定が可能になるような説明などの工夫をしていくことが必要と感じています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

利用している日中施設や家族から、本人の満足度や気持ちなどを確認するようにしています。年2回個別支援計画作成時、モニタリングでは本人、家族、日中施設から希望や満足度を聞いています。

◇課題と考えていること

事業所として利用者会議や家族会を実施していませんので、利用者満足度の把握は別の機会に行っています。今後は利用者・家族にアンケートなどで満足度を把握したいと考えています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

利用者の顔色や言動などから話したい様子が見られたら、居室などで個別に話を聞いています。苦情解決制度について苦情受付担当者や委員が写真入りで、玄関横の壁に掲示してあります。

◇課題と考えていること

話せない利用者や意見や気持ちを伝える方法が特徴的な利用者に対する体制を整えることと、意見箱の設置などで、利用者や家族から意見を述べやすい体制作りなどが課題です。意見箱の設置はありません。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

法人として危機管理委員を設置し、リスク要因の分析を行っています。防災・避難訓練を年4回実施しています。感染症マニュアルはグループ用に作成したものがあります。服薬管理は職員がしています。夜間は防犯上玄関を閉め、センサーを取り付けています。

◇課題と考えていること

防犯時の対応や災害時等も含め、車いすの利用者への誘導や支援が課題と考えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

法人共通の業務マニュアルに基づき、生活全般の標準的な支援方法を統一化して、全職員で共有・活用しています。また、職員会議を通じて全職員で支援内容を協議し、現場の意見を積極的に取り入れ、マニュアルの内容に反映するなど、より効果的な支援の実践に努めています。

◇課題と考えていること

常勤・非常勤の支援技術や知識・理解状況の格差から、非常勤職員の資質向上を今後の課題と捉えています。実際に車椅子に乗車し、職員同士で介助し合う体験機会のほか、事例検討の場として「支援会議」を企画するなど、非常勤職員の教育研修に向けた取り組みを始めています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

詳細なアセスメントを通じて状態を把握し、個別支援計画に反映しています。また、利用者家族や日中活動先の職員、相談支援専門員のほか、必要に応じて看護師や理学療法士等の医療職も交え情報共有を行い、支援内容を協議し多面的な視点を取り入れた支援を実践しています

◇課題と考えていること

個別支援計画は専用ファイルに保管し随時確認可能とするほか、職員会議等で説明し周知していますが、実際の支援との連動性は今後の課題と捉えています。また、相談支援事業所が策定するサービス等利用計画や日中活動先の支援計画との整合性を図ることも今後の課題となっています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

利用者支援の記録はホームのPCに入力し、ネットワークを通じて全職員で共有するとともに、印刷して個人記録にファイルしています。個人記録は事務室で施錠管理しています。勤務シフトごとに申し送りを行うほか、職員用の連絡ノートを用い、正確な情報伝達に努めています。

◇課題と考えていること

日中活動先の事業所と利用者家族、ホームの三者で利用者の連絡ノートを活用し、日々の利用者の状況を記載して相互に情報共有しています。一方で、客観的な記述のあり方や、家族の心情にも十分配慮した文章表現など、職員の記録作成のスキルアップを課題と捉えています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

消灯や起床、食事など、生活時間の厳密なルール設定は行わず、各々のペースで自由に過ごせるようにしているほか、自身の健康や他者への影響がない範囲で喫煙・飲酒も認めています。
 利用者の主体性を尊重し、TVなど共有物の使用ルールを利用者同士で話し合い、決定出来るようサポートするとともに、日中活動の選択に際しても利用者の自己決定を尊重し、希望に即した情報提供や助言・提案及び連絡調整など、柔軟な対応に努めています。


◇課題と考えていること

ホームとして、利用者一人ひとりの快適な生活環境の提供とともに、個々の意思尊重と自己決定のための支援の実践に努めていますが、利用者ごとの障害特性の差異や、それぞれの感じ方の相違もあるほか、「共同生活の場」としての公共性確保の観点から、ホーム全体の調和と個別性の尊重の両立について課題と捉え、適切な支援のあり方を模索しています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

利用者の人権擁護を事業計画の重点目標に掲げ、職員会議や業務引継ぎの際に、随時職員間で利用者の権利尊重について意見交換を行っています。また、法人内の検証委員会を通じて過去の事例を検証し、再発防止のための対策を協議しています。今年度からは強度行動障害などの障害特性を踏まえ、意向を尊重したきめ細かな支援の実施に向け、設置基準以上の人員を加配して対応するなど、権利侵害の防止に向けた具体策を実行しています。

◇課題と考えていること

身体拘束を行わない方針を堅持し、強度行動障害等で行動面に配慮が必要な利用者に対しても、つい立てを用いて視界を遮断したり、状況に応じて仕切り扉を随時開閉し動線を確保するなど、環境面で様々な配慮を行い、行動に制約を設けない関わりに努めています。一方、ホームの職員に対し、身体拘束に関するマニュアルの提示や実施手順の説明など、身体拘束防止に向けた理解促進のための教育・研修の充実化が今後の課題となっています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

個別性を尊重したきめ細かな利用者支援の実践に向け、指定基準を上回る手厚い職員配置とともに、早番・遅番、週末勤務など変則的な勤務編成を複数設定し、柔軟な対応に努めています。利用者の自己選択・自己決定を尊重し、希望する日中活動や余暇活動を行うことが出来るよう、福祉サービスの利用申請や体験通所、移動支援の活用など、様々な関係機関と連携して制度・サービスの利用調整を行い、各々の希望の実現に尽力しています。

◇課題と考えていること

利用者支援に際しては、利用者ごとの障害特性をはじめ心理・情緒面にも着目し、一人ひとりの希望や心情に沿った柔軟な対応に努めていますが、密接な関わりや支援が却って利用者の依存心を高める場合もあり、利用者の主体性を損なわない支援のあり方を模索しています。また、自己主張の強い利用者と意思表示の消極的な利用者では、関わりの格差が生じやすく、利用者の意向の正確な把握と支援格差の是正が今後の課題と捉えています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

個別性を尊重したきめ細かな利用者支援の実践に向け、指定基準を上回る手厚い職員配置とともに、早番・遅番、週末勤務など変則的な勤務編成を複数設定し、柔軟な対応に努めています。利用者の自己選択・自己決定を尊重し、希望する日中活動や余暇活動を行うことが出来るよう、福祉サービスの利用申請や体験通所、移動支援の活用など、様々な関係機関と連携して制度・サービスの利用調整を行い、各々の希望の実現に尽力しています。

◇課題と考えていること

ホームの食事は法人関連の2事業所に委託し、メニューや味わいなどバリエーション豊かな食事提供に留意するとともに、利用者の誕生月にリクエストメニューを依頼するなど、イベントごとの食事を楽しむ工夫も行っています。一方、偏食のある利用者に対しては、ホームで苦手な食材を除去し果物を提供するなど、栄養面や満足感に配慮していますが、代替食の提供など個別性に配慮した食事提供のあり方を今後の課題と捉えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

男女別に分離されたホームの生活ユニットは全てバリアフリーとなっており、トイレ・浴室に仕切り扉を設置し、エリアの区分けと円滑な移動を両立する構造となっています。ホーム内の清掃は職員が毎日実施し、季節に合わせて空調管理と加湿器等の設置を行い、清潔で快適な環境を保っています。利用者の居室はカーテンとエアコン、照明器具を備え付けているほか、危険物以外はスペースの許す範囲で私物の持ち込みを認めています。

◇課題と考えていること

ホームでは、強度行動障害に伴う不適応行動などの障害特性を踏まえ、安全確保と事故防止の観点から、共有スペースに配置する備品には一定の制約を設けています。利用者の私物にも持ち込み物品の制限や職員預かりを行うなど、利用者にとって利便性の低下や不利益を来たす状況があると認識しています。利用者の権利尊重と安全確保の相反する課題の両立を目指し、ホームとして制限の極小化に向けた検討を重ねています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

訪問リハビリを導入中の利用者が複数在籍し、理学療法士による定期的な機能訓練を取り入れています。訪問リハビリを活用する利用者に対しては、意見交換とともに生活場面での訓練やケアの方法等に関する助言を取り入れ、実際の支援に反映しています。

◇課題と考えていること

機能訓練の方法や支援のポイントは、カンファレンスの開催時や訪問リハビリの実施時に所長や常勤職員から直接確認を行い、職員会議や業務引継ぎの機会を通じてホームの全職員に伝達・周知していますが、職種や勤務形態、経験年数など、職員の状況によっては理解度や実践にあたっての格差が生じています。ホームの全職員に対し、機能訓練の内容に関する一定の理解と認識の共有化に向けた対応が今後の課題であると考えています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

利用者の健康状態は、日常の支援場面で随時確認するほか、医療機関の受診時は職員付き添いも行っています。利用者の7割が服薬を要する状態で、処方薬の明細や対応方法を個人記録にファイルするとともに、業務引継ぎや連絡帳を通じて職員間で情報共有し、対応を行っています。法人関連の訪問看護ステーションと提携し、全利用者の訪問看護を導入するほか、利用者の健康診断とインフルエンザの予防接種の受診を支援しています。

◇課題と考えていること

利用者の服薬管理は、複数職員でダブルチェックを実施し誤薬防止に努めています。近況として服薬ミスの発生はありませんが、今後は配薬忘れの防止に向け、服用後の空袋の回収・確認も検討しています。また、今後法人全体で看取りケアを推進する方針があるほか、現在、高齢利用者が在籍しており、介護福祉関係機関との連携やターミナルケア推進のための体制整備など、次代に向けたケアのあり方について検討を重ねています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

ホームとして利用者の地域交流促進と社会参加の体験機会を増やす取り組みを行っています。法人関連の生活介護・就労支援事業所が主催するイベントに協賛し、露店販売を通じて地域住民との交流を図るほか、ホームの行事として半年に1度利用者の全員参加によるランチ会の開催及び花見等の野外活動を実施し、地域の店舗や公園などを利用する機会を適宜設定しています。利用者が地域のコンビニや喫茶店に出かけることも多い状況です。

◇課題と考えていること

利用者の地域交流・社会参加促進の観点から、地域店舗でのランチ会の開催や地元のお祭りへの参加、季節ごとの自然散策など、地域社会に触れる機会を複数設定しています。一方で、強度行動障害など利用者の状況によっては、安全性確保のための人員配置や費用対効果の兼ね合いなどから、ホーム外の活動は一定の頻度に留まる結果となっています。なお、今後は1泊旅行の開催など、利用者の活動の幅を広げる取り組みも検討しています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

豊かな地域生活の実現に向け、各々の個性を発揮できる日中活動への参加を推奨するとともに、長所や可能性を伸ばす関わりに努めています。日中活動への参加が難しい利用者に対しても、身体面・心理面・環境面それぞれの阻害要因を分析し、関係機関と連携して改善のためのサービス導入等を実施するほか、潜在的な要望を含め意向を聴取し、主体性を持って参加できる活動を提案するなど、各々の自己実現のためのサポートを行っています。

◇課題と考えていること

利用者の心身の健康の維持・増進と安定した地域生活の継続に向け、関係機関と連携して日中活動や余暇時間の充実化と生活の質を高める取り組みを行っています。家族とも随時連携し、自宅外泊を希望する利用者には個別支援計画に内容を明示して外泊支援を実施しています。一方、一部の利用者には自宅外泊中の食生活や生活リズムに乱れが生じる場合もあり、ホーム・家族間での生活支援の認識共有と継続性確保が課題と捉えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

利用者家族との積極的な交流・連携を推進し、相互の情報共有と信頼関係の構築を通じた利用者支援の充実化に努めています。所長と女性の常勤職員を窓口に、随時連絡対応を実施するほか、利用者の連絡ノートにホームでの様子を記載し、家族に日々の状況を伝えています。また、お小遣いの出納表や行事案内等の配布物も毎月送付しています。個別支援計画の策定時や要望に応じて家族面談も随時実施し、意見聴取と意向把握を行っています。

◇課題と考えていること

家族との交流・連携の推進を通じた適切な支援の実践に努めていますが、意思表示が乏しくコミュニケーションに課題のあるケースでは、家族の意向が反映されがちな場合も多く、利用者の希望・ニーズの正確な把握の方法を模索しています。また、利用者への思いが強く、服装や食事内容、生活習慣等への要望が強い家族に対し、利用者の自己決定と主体性尊重の大切さを理解してもらうための関わりについても、今後の課題と捉えています。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
項目 積極的な地域との交流
自治会に加入し、近隣の祭りなどには参加していまが、定期的な地域との交流はしていません。同建物1階の療育センターや他施設とは交流が殆どないので、祭りやイベントなど共同で開催することで、地域へ発信する機会になります。積極的な交流が期待されます。
分類 非常勤職員の資質向上に向けた、教育・研修体制の充実化
ホームでは非常勤職員を積極的に登用し、勤務時間の柔軟な変則シフトを導入して業務の遂行と利用者の状況に応じた体制を整備しています。しかし、新入職員の採用により、知識や経験の浅い場合が多いほか、研修等の学習機会も少ない状況となっています。
非常勤職員の資質向上と個々の志気・意欲向上に向け、非常勤職員にとって理解しやすく、より参加しやすい教育・研修体制の充実化が期待されます。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人3名

<ヒアリング方法>
別室において、職員の立ちあい無しで、個別に面談しました。

<確認事項>
①・職員は大体優しい。厳しい人もいるが、自分は耐えられるから大丈夫。
 ・言葉が丁寧
 ・やさしく話してくれる。

②・ホームの生活は楽しいがルールがある
 ・職員はプライバシーを守ってくれる。
 ・持ち物に触るときは「いいですか」と言ってくれる。

③・食事は美味しい。餃子、てんぷら、ハンバーグが好き。夕食の時間は17;30からだけど遅くして18:10位にしている。
 ・お風呂一番先に入りたいと言って入っている
 ・希望を聞いてくれる。困ったときは相談する。

④・生活や日中活動の計画は特に立てていない。見たこともない。。
 ・わからない
 ・意見聞いてくれた。

⑤・お小遣いは自分の好きなことに使える、喫茶店でコーヒーを飲んだり、ビールやパンも買ったりする。
 ・お金は預けていない。
 ・お金預けているけど、報告のこと分からない。

⑥・困ったことがないので、相談したことはないが、職員は言いやすいので、何かあったら相談できる
 ・困ったときは職員へ言う。
 ・困ったことはない。

⑦・グループホーム以外の人に相談できることは知らない。      
 ・職員以外に相談する人はいない、(2名)

⑧・ちゃんと対応してくれる。インフルエンザに罹ったとき病院へ連れて行ってくれ、5日入院した。面会にも来てくれた。
 ・病気やケガしたことない。・職員へ言った。

⑨・散髪に行ったり、近くの喫茶店に歩いて行ってコーヒーを飲む。
 ・ヘルパーさんと髪の毛を切りに美容室へ行く。
 ・近くに買い物に行く。

⑩・大事にしてくれていると思う。
 ・大切にしてくれている。隣がうるさくて困る。
 ・大切にされている。ホームが好き。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
第三者に聞き取りをしてもらうことで入居者さんの気持ちや気になっているところを知ることが出来ました。また、職員向けのアンケートの実施結果を踏まえて統計を取ったり、コメントから把握できることが多々ありました。職員が効率よく、安心して働き甲斐のある職場環境にしていくためのヒントになっています。
また、調査票を記入、書面化することで事業所としての強みや弱みを改めて知ることができました。今回の結果を基に職員間で共有して改善、向上していきたいと思います。