社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ケンパ高田

2021年02月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 ケンパ高田 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 223-0065
横浜市港北区高田東4丁目17-17
TEL 045-540-0400 ホームページ https://en-gage.net/kenpa/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2011年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) NPO法人 ケンパ・ラーニング・コミュニティ協会
職員数
常勤職員:13 名
非常勤職員:9 名
専門職員
保育士: 名
看護師: 名
ALT: 名
施設・設備の概要
保育室等:9室
園庭・テラス・屋外プール:

③ 理念・基本方針
民族・国籍・宗教・文化・障がい・発達、様々な違いを認め合う笑顔のコミュニティづくり

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・English Time(ALTによる英語の時間)、Music&Movement (英語の音楽を聴いてするダンス活動)の実施  
・障がいのある子どもの受け入れ
・異年齢児保育の実施

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/02/28(契約日) ~2020/12/24(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(平成27年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)職員の処遇改善など職場環境の改善
法人の「保育ガイドブック」では、職員に対する考え方として、「職員は協会会員として社会福祉向上に奉職することを希望したものを中心に構成されます。協会正会員は・・・協働して会を運営することになります。」と明記し、この職員構成を保育所運営の基盤としています。この考え方による職員の確保・育成のため、職員が働きやすい職場環境の確保に取り組んでいます。
子育て中の職員を支援するために、時短勤務やシフトの固定化を自由に選択できるように制度化をしています。職員のワーク・ライフバランスに配慮して有給休暇の取得促進に取り組み、法定の有給休暇の他に、園の有給の裁量休をシフトに組み込み付与しています。保育日誌等の記録類のペーパーレス化等による業務改善により、残業時間の削減もしています。また、職員の知識や技術水準の向上に必要な研修受講の機会確保により、専門性を高めたりキャリアアップすることにつなげています。

2)職員間の日常的な情報共有
職員は、登園した子どもの状況を「視診表」に、申し送りが必要な内容を「申し送り表」に記入しています。早番・担任・遅番の職員間の情報伝達を確実に行い、送迎時の保護者からの情報や、園からの連絡にもれが無いように配慮しています。
職員が保育活動の中で感じた改善点や提案、送迎の保護者から聞いた意見は「トピックノート」に記入し全職員で共有しています。ランチミーティング、職員会議、クラスミーティング、班長会議を定期的に行い、各クラスの子どもの心身の状況や、保育実践の状況について情報を共有し意見交換を行っています。職員は日々のコミュニケーションを大切にして、共通認識を持って子どもたちの育ちを支えています。
改善を求められる点 1)地域の福祉ニーズの把握や公益的な事業の実施
地域の具体的な福祉ニーズや生活課題を把握するための取り組みがされていません。保育所は福祉サービスを実施する公益性のある組織として、地域の具体的な福祉ニーズを把握するための取り組みを行うことが求められます。
地域の交流イベントに参加し、保育所のイベントに地域の方を招待してお互いのコミュニケーションを通じて、地域の福祉ニーズ等を把握し、ニーズに応じた公益的な事業実施を求められています。地域の状況や保育所の体制等を考慮しながら、これらの取り組みについて検討されることが期待されます。

2)調理担当者と子どもとの関わり
献立作成と調理は委託業者の栄養士と調理員が行っています。調理担当者は保育室に入って子どもの食事の様子を見る機会は無く、保育士からの報告や給食会議で、食事の内容の要望や改善点を把握しています。
調理担当者が、子どもたちの食事の進み具合や食べ方、表情を確認することは、食事の評価や改善をするうえで大切な取り組みです。毎日の食事や食育活動を通して、子どもと調理担当者が関われる工夫が期待されます。 

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
お忙しい所3回もご来訪いただきありがとうございました。
厳格な評価基準をもとに、公正な評価をしていただけたと認識しております。
今回の結果を真摯に受け止め、組織改善に取り組んでいきたいと思います。
ありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

理念・信条は、施設内に掲示するとともに、パンフレット、通園ガイドブック(重要事項説明書)、保育ガイドブック、全体的な計画、ホームページ等に明記され、職員、保護者等に周知が図られています。職員には、入所時研修や毎年開催の法人全体の集合研修で周知するとともに、園内の職員会議等で、その都度確認をしています。保護者には、入園児のオリエンテーション、保護者会、園見学の際に通園ガイドブック等を基に説明をしています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向については、法人全体の集合研修や園長会で内容や分析について具体的な説明を受け把握しています。地域の保育ニーズについては、日頃の園見学対応などにより把握しています。保育所の地域では、特に低年齢児の保育ニーズが高いことが課題となっていると考えています。地域の各種福祉計画の策定動向の把握、分析が十分ではありません。行政等から計画に関する資料を入手するなど、動向の把握、分析をすることが望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営状況や課題については、定期的に開催している法人の役員会や園長会で意見交換され、経営課題を明確にして、組織内で情報共有するとともに、具体的な取り組みをしています。経営改善の一環として、効率的な運営や職場環境の改善などに取り組んでいます。しかし、経営状況や改善すべき課題については、職員への周知が必ずしも十分とはなっていない状況です。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

理念の実現に向けて、4年ごとの目標項目を掲げた中・長期の事業計画を策定していますが、実施状況の評価を行うための具体的な成果等の設定が十分ではありません。また、事業計画の財政的な裏付けとなる中・長期の収支計画も策定されています。今後、目標とともに、保育の内容、組織体制や設備の整備、職員体制、さらには保育のニーズに合わせた新規施設の整備等について課題や問題点を明らかにし、その解決に向けた具体的な内容の中・長期計画を策定されることを期待します。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、理念や信条、中・長期計画の目標を達成するための今年度の「方針と目標」、「職員体制」、「重点課題と対策」を柱として、会議、行事、研修、施設機能強化について記載されています。しかし、単年度の事業計画には、数値化など実施状況の評価が行える十分な内容にはなっていません。数値目標や具体的な成果を設定するなどの工夫をされることを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

法人全体の中・長期計画は、法人本部の役員の方針を受け、担当部署の職員により策定されており、保育所ごとの事業計画は、職員会議での意見を集約して、法人で定められた様式に基づき策定しています。中・長期の事業計画は、全職員が参加する法人の全体研修の中で説明、周知され、単年度の事業計画は職員会議で職員の理解が得られるように説明しています。しかし、事業計画は、数値目標等が具体的に設定されていないため、実施状況の評価を十分に行えていない状況です。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画について、保護者には、保護者会、運営委員会で「事業計画書」を配付して説明をしています。また、保護者連絡アプリ「コドモン」の活用や施設内への掲示で周知を図っています。保護者には行事等への参加を期待して説明をしていますが、期待するほどの参加が得られていません。園では、周知、説明の仕方にさらなる工夫が必要と考えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

保育の質の向上に向けて、職員会議、全体ミーティング、クラスミーティングなど様々な場で組織的に取り組んでいます。法人の定めた様式により年度末に保育所の自己評価を行っており、次年度の事業計画の策定につなげています。また、第三者評価は、4年に1回受審しており、これまでに2回の実績があります。評価結果については、法人本部も参加する園長会で分析・検討を行っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

職員会議での職員間の意見交換に基づき、「施設自己評価メモ」を作成しており、①本年度の目標②達成したもの③未達成なもの④達成に必要な支援、環境⑤次年度の目標、をそれぞれ明らかにしています。この「施設自己評価メモ」作成の過程で、職員間で課題の共有を図り、達成状況を把握して改善計画を検討し、次年度の目標につなげています。「施設自己評価メモ」は、施設内に掲示し日常の保育を展開する上での指針とするとともに保護者にも周知しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、保育所の経営・管理について、職員会議等で方針と取り組みを明確に表明し、職員との信頼関係を築くようにしています。法人作成の職務分担表には、「職務要件」、「職務内容」を定めています。施設長については、特に詳細に定められており、職務内容を「運営」「保育内容」「会計」に分類してすべての保育所業務の責任を明確にしています。また、災害時の避難計画には、「防災体制一覧表」を作成し、施設長不在時の責任体制も明確にしています。しかし、保育所内の広報誌等への施設長の役割、責任の表明までは見受けられません。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、児童福祉法の理念や規定、施設運営の基準、諸規程、社会福祉従事者としての倫理等をよく理解、遵守しており、利害関係者との適切な関係を保持しています。毎年、区役所主催の事務連絡会に参加して行政の動向等を把握しており、法人の園長会では、経営に関する研修や意見交換をしています。
環境への配慮等も幅広く遵守すべき法令等を把握し、分別収集や牛乳パックのリユースに取組んでいます。職員に対しては、職員会議等の場を活用し、法令遵守の取り組みについて周知をしています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、職員会議、リーダー会議、各クラスミーティングなどに参加して、保育の質の現状等を評価・分析し、課題を把握して指導力を発揮しています。各クラスの班長は、クラスミーティングを主宰して施設長とともに組織的に保育の質の向上に取り組んでいます。具体的な取り組みの一つとして、保育の場面を、写真や文章で記録した「ドキュメンテーション」を基にした意見交換の場があり、職員は様々な気づきを得ています。研修の充実のため、階層別の研修計画を策定し、内部研修や必要な外部研修を受講できるように配慮しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設長は、職員会議や職員との定期面談により、職員の意向や要望等の把握に努め、職場環境の改善に取り組み、経営の改善や業務の実効性を高めています。業務の効率化のため、パソコンの活用により、極力紙ベースの資料の作成を控え、残業の削減などにつなげています。保育所内での情報共有のため、職員はパソコン内に保管された諸規程、計画類、記録等にアクセスできるようになっています。しかし、財務関係は、法人本部で対応しており、施設長の関与は十分なものとはなっていません。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人策定の「保育ガイドブック」には、職員について「職員は協会会員として社会福祉向上に奉職することを希望したものを中心に構成されます。(職員は)協働して会を運営することになります。」と明記し、考え方を明確にしています。また、配置については「社会を強く意識し、なるべく多様な文化・性別・年齢等が偏りなく配置構成される」とし、育成と研修については、法人の「保育プログラムを実践する上で必要な知識・技術の共有」のため研修計画を策定し実施しています。これらの考え方に基づき計画的な採用活動等を実施しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の信条にある「子どもたちの未来を信じる」ことができる職員を「期待する職員像」としています。施設長は職員の日常の業務状況や中間期と期末期に実施する職員との個別面談により、職員の専門性や職務遂行能力、職務に関する成果や貢献度等を評価しています。職員会議や個別面談等で把握した職員の意見等に基づき改善策を検討実施しています。また、階層別の職務分担表に記載の詳細な「職務要件と概要」や、キャリアアップ研修の受講などにより、職員は自ら将来の姿を描くことができるようになっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

法人では職員の出退勤システムを採用しており、出退勤、時間外労働、有給休暇の取得状況を一元管理し、職員の就業状況を把握しています。施設長は職員の体調面の健康管理とともに、必要に応じてメンタルヘルスの個別面談の場を定期的に設けるなどの取り組みをしています。ワークライフバランスについては、有給休暇や育児時間の取得促進、シフト面の配慮などにより働きやすい職場づくりに取り組んでいます。また、行政のキャリアアップ助成金の活用により職員の処遇改善を進めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「子どもたちの未来を信じる」職員を「期待する職員像」として、職員一人ひとりの目標管理の仕組みが構築されています。法人で定めた目標管理シートに目標項目や目標水準を設定していますが、目標期限が必ずしも明確なものにはなっていません。施設長と職員は、年度当初に面談を行い、目標項目、水準について確認し、年度末の面談で目標達成度の確認を行っています。しかし、中間面談での目標の進捗状況の確認については、必ずしも十分なものとはなっていません。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人の信条の中に、「子どもたちの未来を信じる」職員を「期待する職員像」として明示しています。職員のための保育の指針となる「保育ガイドブック」や具体的な研修計画には、保育を実践する上での必要な知識、技術の習得やチームスキルアップ、アクティビティーの研修受講が明記されています。キャリアアップ研修受講の機会も積極的に作っています。定期的な研修計画や研修内容、カリキュラムの評価と見直しは十分なのものとはなっていません。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

個別の職員の知識、技術水準専門資格の取得状況は、人事台帳に記載して把握しています。職員の経験や習熟度に応じたOJTは、各クラスに置かれた班長が責任を持って取り組んでいます。年間の研修計画に基づき、保育士の階層別研修、テーマ別研修を実施しています。看護師はその専門性を活かして保健衛生に関する職場内研修の講師をしています。外部研修についても、案内チラシを回覧して周知をしています。キャリアアップ研修についても該当職員には受講の機会が得られるように取り組んでいます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

実習生の受け入れに関しては、「保育実習登録申請書」「誓約書」の様式、実習説明書として「実習をしていたいただくにあたって」が用意されています。しかし、実習生等受け入れの基本姿勢の明文化やマニュアルの整備がされておらず、受け入れ実績も不十分です。保育に関わる専門職の研修・育成への協力は、保育所の社会的使命の一つとされています。地域の特性や保育所の状況によって、実習生の受け入れに対する事情に差異があると思われますが、受け入れに向けて検討されることを期待します。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:c】

ホームページやパンフレットの活用により、保育所の理念や信条、保育の内容等を公開しています。しかし、保育所の事業計画、事業報告は保護者には説明をしていますが広く公開されていません。第三者委員の設置など苦情解決体制の内容は、保育所のロビーに掲示し、周知をしています。第三者評価は4年に1回定期的に受審していますが、保育所独自での公開はしていません。保育所は地域福祉の担い手として、地域との連携が欠かせません。地域の理解を得るのためにも積極的な情報公開が期待されます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

会計、経理規程等に基づき、公正な事務処理のためのルールが設けられ、明確な職務分担表により、権限・責任が明確にされており、その内容が職員に周知されています。法人の人事、庶務部門の担当者により、年1回の内部監査が実施されており、内部統制が適切に行われています。また、保育所の事業、財務について、法律や会計の専門家によるアドバイスを受ける体制が整えられています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

運営規程には、地域の子育て家庭を援助するため、園庭開放、育児相談、子育て講座の開催、絵本の貸し出しなどの活動などが明記されていますが、実施には至っていません。小学校や近隣の保育園との交流のための職員体制は整っています。保育所のロビーには、地区の社会資源や子どもが参加できる活動を紹介するパンフレットを置いて、保護者に地域情報を提供できるよう努めています。地域の人々との交流の機会を設ける取り組みは、十分とはなっていない状況です。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

全体的な計画に「地区内学校から職場体験ボランティアの受け入れ」の記載があり、「ボランティア登録申請書」「誓約書」の様式や活動の手引きとなる「活動Q&A」が用意されています。しかし、ボランティア受け入れに関する基本姿勢の明示や受け入れマニュアルの整備がされておらず、学校の職場見学や職場体験等の受け入れがありません。地域の特性や保育所の置かれている状況を考慮しながら、受け入れの検討、実施がされることを期待します。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域療育センターとは、定期的にケース検討会を開催して意見交換や情報の共有をしています。区内の市立保育園園長会が毎月開催され、共通の課題について話し合っています。虐待等権利侵害が疑われる子どもの対応については要保護児童対策協議会に参加したり、区役所の所管課と連携をしています。子どもによりよい保育を提供するために必要な関係機関・団体について、資料を収集してリスト化するなどにより、職員間で情報共有をされることを期待します。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の福祉ニーズ、生活課題については、区内の市立保育園園長会に参加して情報共有をしていますが、その他の関係機関や団体との連携や地域住民との交流は十分なものとはなっていません。保育所は、地域社会における福祉向上に積極的な役割を果たすことが期待されていますので、地域交流のイベントに参加したり、相談事業を実施するなどして、地域の福祉ニーズ等の把握に取り組まれることを期待します。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:c】

地域の具体的な福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動の取り組みがありません。保育所は、福祉ニーズを解決するための公益的な事業活動をすることにより、地域住民の福祉に対する理解の促進や地域づくりのための取り組みも必要とされています。保育所の専門的な知識や情報を生かした、地域住民の生活に役立つ講演会や研修会等を開催することも有効です。地域の状況や保育所の事情も踏まえながら、事業実施について検討されることを期待します。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理念や基本方針に、子どもを尊重した保育の実施について明示し、職員が理解し実践するための取り組みを行っています。「保育ガイドブック」に、保育内容についての考え方、具体的な保育者の関わり方を掲載し、子どもを尊重した保育に関して職員の共通理解を図っています。一人ひとりの子どもの生活習慣や文化の違いを知り、子どもが互いを尊重する心を育む取り組みを行っており、保護者会や個人面談などで、保護者への周知を図っています。職員会議において子どもの尊重や基本的人権への配慮について、定期的に状況把握や評価を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:c】

一人ひとりの子どもにとって、生活の場にふさわしい快適な環境を提供し、子どものプライバシーを守れるように工夫しています。プールの時には、ループ付きのバスタオルを着て着替え、園庭を日除けシートで覆って外部からの視線を遮っています。おねしょ等は、他の子に分からないように対応し、子どもが一人になりたい時は廊下の目立たないところに行って、見守っています。職員は、子どもの日常生活におけるプライバシーの保護を前提とした保育を実践していますが、マニュアル類に子どものプライバシー保護についての記載が確認できません。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

パンフレットや法人のホームページに、保育方針や保育内容を、写真付きで掲載しています。パンフレットの公共施設等への配置は行っていません。利用希望者からの問い合せには施設長が対応し、見学希望の予約を受け付けています。園見学は毎週火曜日に行っており、園内を案内して保育の様子を見てもらい、園の特色など詳しい説明を行っています。保護者の都合によって、設定日以外の見学も個別に対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入園前のオリエンテーションや面談で、「通園ガイドブック」による説明を行っています。「通園ガイドブック」には、施設の概要や保育時間、延長保育、災害時の対応等の重要事項が記載されており、読み合わせをしたうえで、書面で保護者の同意を得ています。授乳や離乳食、食物アレルギーの対応については、園の体制を説明し保護者の意向を確認しています。重要事項について変更がある場合には、文書による説明を行い同意を得ています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更にあたっては、保育の継続性に配慮していますが、変更の際の、関係機関等への情報提供の手順や引継ぎ文書は定めていません。他の施設、事業所への情報提供が必要な場合には、保護者等の同意のもとに適切に対応しています。保育所利用が終了した後も、子どもや保護者が相談できることを口頭で伝えており、施設長や主任が窓口となって対応することになっています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、日々の保育の中で、一人ひとりの子どもの表情や言動から、安心して意欲的に過ごしているかを判断しています。保護者から運営委員を選出し、年2回の運営委員会を開催しており、保育内容やヒヤリハットの報告、保護者からの意見等について、外部委員を交えて話し合っています。年2回の保護者会、個人面談、保育ICTシステムを使ったアンケート等で利用者満足度を把握し、職員会議や班長会議で分析・検討を行い、保育の質の向上に繫げています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情受付担当者は施設長、苦情解決責任者は理事長となっています。「通園ガイドブック」には、受付担当者、解決責任者、第三者委員、区の子ども家庭支援課の連絡先を掲載しています。「苦情対応マニュアル」には、苦情解決対応方法、苦情処理手順等が規定されており、「保育ガイドブック」に、苦情・要望対応についての考え方を掲載していあります。苦情を受けた場合は内容を「苦情受付」に記入し、解決までの経過を「苦情経過記録」で残すことになっています。苦情内容や解決結果は、苦情を申し出た保護者に配慮したうえで公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

保護者が相談したり意見を述べたい時には、担任以外の職員、主任、施設長、法人の相談窓口等の複数の方法があります。園で相談を受ける時はプライバシーに配慮した話しやすいスペースを確保しています。運営委員はクラスの保護者の意見を聴き取り、運営委員会で提案しています。保護者が相談したり意見を述べたりする際に、複数の方法や相手を選択できる環境になっていますが、それについて分かりやすく説明した文書の作成が期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は、送迎時の会話などで保護者との情報交換を積極的に行い、相談したり意見を述べやすい関係づくりに配慮しています。相談や意見を受けた場合は、「トピックノート」に内容を記載し、職員に周知したうえで、班長会議、職員会議等で内容を検討しています。検討に時間がかかる場合には、保護者に状況を説明しています。相談や意見を受けた際の記録の方法や、報告の手順、対応策の検討等を定めたマニュアル等の作成が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

「安全管理マニュアル」に沿って事故防止や安全対策を行っています。リスクマネジメントに関する責任者は施設長になっています。事故やケガが発生した場合は「事故報告書」、ヒヤリハット事例は「ヒヤリハット報告書」を作成し、全職員で原因の分析や再発防止策を検討しています。散歩に行く公園の地図と写真、特徴・安全上の注意点などを表示した「公園マップ」を作成し、「自主点検表」で園の設備の点検を行っています。「緊急時通報マニュアル」には、医療機関等の関係機関や法人の緊急連絡先と、通報の仕方の例が記載されています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症の予防と発生した場合の対応は、「感染症対応マニュアル」に沿って行っています。「保育ガイドブック」には、職員が行う衛生管理について記載されています。園で感染症が発生した場合には、園内の掲示とICTシステムの連絡帳で保護者に発生状況を連絡しています。「通園ガイドブック」に感染症の登園基準について記載し、保護者に周知しています。看護師は、手洗い、嘔吐処理等の感染症予防対策についての園内研修を行い、区の看護師連絡会で得た情報を職員に周知しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「防災計画」「避難確保計画」を作成し、地震や火災を想定して避難訓練を毎月行っています。近くに川があるため、浸水が心配される場合は近くの地域ケアプラザに避難することになっています。子ども用の防災頭巾と職員用ヘルメットを各保育室に配置し、非常時に速やかに使用できるようにしています。非常用の食料や備品等の備蓄リストを作成しています。災害時の避難場所や保護者への連絡方法については、「通園ガイドブック」に掲載し、保護者会等で周知しています。災害に対して子どもの安全確保のための取組を組織的に行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育についての標準的な実施方法を明記した「保育ガイドブック」や、各種業務マニュアル等を職員に周知するために、法人研修、園内研修や個別指導を行っています。「保育ガイドブック」には、保育計画作成の考え方や手順、保育環境構成について、具体的な事例・留意点等が記載されており、各種の業務マニュアルと共に職員が日常的に活用しています。園で作成した「園マニュアル」には、清掃スケジュールや書類の提出期限等の園のルールが記載されています。職員会議等で、標準的な実施方法にもとづいた保育が行なわれているかどうかを、職員間で確認しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

職員会議等で保育の状況の振り返りや評価を行っており、保育の標準的な実施方法についても検証しています。「保育ガイドブック」や各種業務マニュアルについては、定期的に法人の園長会で検証し、見直しを行っています。施設長は、職員や保護者の意見や提案が見直しに反映されるように、法人の園長会で意見交換を行っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

全体的な計画にもとづき指導計画を策定しています。3歳未満児と障害のある子どもについては個別指導計画を策定しています。指導計画策定の責任者は施設長になっており、必要に応じて職員への助言や指導を行っています。職員は、子どもの心身の状況や生活状況、保護者の意向を把握して指導計画の策定を行っていますが、園としてのアセスメント手法は確立していない状況です。指導計画にもとづく保育実践についての振り返りや評価は、職員会議等で定期的に行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

指導計画の評価と見直しは担任が担当しています。月間指導計画、個別指導計画については、職員会議において全職員で意見交換を行っています。週日案については、施設長が内容を確認したうえで職員に周知しています。職員は子どもの状態や家庭の状況を把握するために、情報共有や意見交換を行っています。指導計画の評価・見直しにあたっては、目標やねらいの妥当性や保育内容の評価結果を、次の指導計画の作成に生かすため、組織としての仕組みの明確化が期待されます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

子どもの発達状況や生活状況等を、法人が定めた統一した様式によって把握し記録しています。毎日の保育の内容や子どもたちの状況については「保育日誌」に記録しています。3歳未満児は、個別記入欄に毎日子どもの状況を記入し、3歳以上児は「経過記録」を作成しています。障害のある子どもの保育状況は「個別支援日誌」に詳細に記録しています。「視診表」や「申し送り表」を使って、その日の子どもの状況を職員間で共有し、クラスミーティングや班長会議、職員全員が参加するランチミーティングを定期的に行っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

「個人情報管理規程」により、個人情報の管理、利用、開示等について定めており、「園運営規程」で文書の保存年数が明示されています。個人情報管理責任者は施設長になっています。個人情報の取り扱いについては、「通園ガイドブック」に内容を掲載し、保護者会で説明を行い承諾書をもらっています。個人情報が含まれる書類は、事務室の書庫に鍵をかけて保管しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、児童福祉法、保育所保育指針などの趣旨をとらえ、法人理念や保育方針にもとづいて作成しています。法人の園長会で、子どもの発達過程、家庭の状況や地域の実態などを考慮して作成しており、定期的に評価を行い次の作成に生かしています。全体的な計画は、法人の理念、保育目標、保育方針、行事方針、発達段階別保育目標を掲げ、年齢別に養護、教育、支援、配慮などの項目で構成されています。施設長は、保育に関わる職員から、全体的な計画についての評価や意見を聴取し、園長会での計画の作成に反映させています。 

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

子どもが安心して、心地よく過ごせるように、安全で清潔な環境づくりに取り組んでいます。各保育室には、温湿度計、エアコン、扇風機、空気清浄機を設置し、季節ごとの温度管理、換気、採光や音などに配慮しています。玄関ホールから廊下が続いており、各保育室が並んでいます。2歳児~5歳児の保育室前の廊下は幅が広くなっており、多目的スペースとして使用しています。廊下の外はウッドテラスになっていて、夏場は日除けシートを張って水遊びを行っています。3・4・5歳児は日常的に合同保育を行っており、年齢別の活動時間以外は保育室間の仕切りは開けてあります。各保育室の窓側や廊下の一角に、低い棚を置いておもちゃや絵本を配置し、子どもたちが落ち着いて遊んだりくつろいだりできるように配慮しています。各保育室は、遊び、食事、午睡の場面ごとの切替えの工夫をしています。清掃担当の職員を配置し、設備や用具の衛生管理に配慮しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、子どもの発達過程や家庭環境を把握し、一人ひとりの子どもの個人差を尊重した保育を実践しています。子どもが安心して自分の気持ちを表現できるように配慮し、子どもの欲求を受け止め、子どもの気持ちに沿って適切に対応しています。分かりやすい言葉でおだやかに対応し、せかしたり禁止する言葉を不必要に使わないようにしています。「保育ガイドブック」には、具体的な保育者の関わり方、保育者のことばの使い方などが掲載されており園内研修で活用しています。一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行うために、「視診表」「申し送り表」等で日々の情報伝達を行い、クラスミーティング、班長会議、職員会議で話し合いを行っています。日々の保育の中で、各職員が情報共有や改善を要すると感じたことは「トピックノート」に記載し、全職員で検討することになっています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの子どもの発達に合わせて、基本的な生活習慣を身につけられるように配慮し、子どもが自分でやろうとする気持ちを尊重して援助を行っています。手洗い、排泄、着替え、午睡など、基本的な生活習慣を身につけることの大切さについて、子どもが理解できるように働きかけています。看護師がペープサート(紙人形劇)やブラックライトを使って、手洗いの大切さを説明したり、歯科衛生士が来園して歯垢染色剤を用いて歯みがきの話をしています。トイレットトレーニングは、排泄の間隔を把握し保護者と相談して、トイレに行く練習を始めています。トイレのスリッパの位置にカラーテープを貼って、自分で揃えることができるようにしています。5歳児は、就学に備えて1月からは午睡の時間をなくしていますが、一人ひとりの子どもの状態に応じて、活動と休息のバランスが保たれるように工夫しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

子どもが自主的・自発的に生活と遊びができるように環境を整備し、友だちと協同して活動できるように援助しています。おもちゃや絵本は低い棚に収納し、子どもたちが好きな遊びを選び、自分で片付けることができるようにしています。天気の良い日は散歩に出かけ、川沿いの道を歩いたり、近隣の公園の遊具で遊び、自然を楽しんでいます。公園や散歩の行き帰りには、地域の人たちと挨拶を交わしています。園庭では、サッカーや砂場遊びを楽しみ、夏になるとプールで水遊びをしています。幼児の「イングリッシュタイム」では、英語の音楽に合わせてダンスや英会話を楽しんでいます。毎月の製作の時間には、こいのぼり作りや花火のペイントをしています。子どもたちが自由に ブロック、粘土遊び、お絵かき、折り紙、積み木などの様々な表現活動ができるようなコーナー作りが今後の課題になっています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児の保育においては、発達が著しく個人差が大きい時期であることから、一人ひとりの子どもの状態に応じた保育を基本としています。入園時の面談で、家庭での授乳や離乳食の状況を聴き取り、一人ひとりの成育歴や生活リズムを把握して、保護者と連携して保育にあたっています。看護師は、一人ひとりの子どもの発育や健康状態を適切に判断して保健的な対応を行い、保育士と連携して保護者からの相談に応じています。また、応答的な関わりによって、生理的欲求の充足や情緒の安定を図りながら、愛着関係を形成できるように配慮しています。子どもたちは、安全な環境の中で、マットレスの上で自由に動き回ったり、音の出るおもちゃに触ったりして遊んでいます。保育士は子どもの表情や発声に注意を払い、受容的な関わりの中で、やり取り遊びを十分にしてスキンシップを図っています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳児と2歳児の保育においては、安定した関係の中で探索活動が十分できるようにして、興味を広げ自分でやりたいという気持ちを育てることを目標にしています。基本的な生活習慣については、子どもが自分でしようとする気持ちを尊重し、一人ひとりの状況に応じて落ち着いた雰囲気の中で行えるように配慮しています。子どもの自我の育ちを見守り、友だちとの関わり方を丁寧に教えています。おもちゃは充分な数を揃えて、収納場所から子ども自身が選べるようにしています。牛乳パックで作ったブロックの上にマットを置いて、安全にすべり台遊びができるようにしています。夏場はテラスに日除けのシートを掛けて、1・2歳児が合同で水遊びを楽しんでいます。一人ひとりの子どもの様子を保護者と共有し、子どもの自我の育ちを受け止めて適切に関わることができるように配慮しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳児・4歳児・5歳児は合同保育を基本としています。保育室間の仕切りを開けて、広い保育室にして3歳以上児が一緒に過ごしています。年間指導計画と月間指導計画は3歳以上児が1本化されており、週日案に年齢別の配慮を記載しています。3歳児は、進級による環境の変化の不安を取り除くため、必要に応じて保育士が個別に対応しています。
おもちゃや絵本は低い棚に収納し、子どもたちが好きな遊びを選び、自分で片付けることができるようにしています。年齢別に並んで身体を動かしたり、年齢混合の5グループでの活動など、保育内容によって構成を変えています。毎月の製作活動や、「イングリッシュタイム」は年齢別に行っています。 
年下の子を助けたり、年上の子を見習うことで、異年齢で協力して一つの事をやり遂げることができるように援助しています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

障害のある子どもについては、一人ひとりの発達状況や障害の状態を把握し、適切な環境の下で、他の子どもとの生活を通して共に成長できるように、個別指導計画を作成しています。保護者と定期的に面談を行い、子どもの状況や課題について情報を共有し、共通認識を持つように配慮しています。必要に応じて地域療育センターなどの専門機関の助言を受けています。「個別支援日誌」に、ねらいと配慮、毎日の様子などを詳細に記録して、月2回のケース会議で職員間の情報共有や、環境整備や保育内容についての検討を行っています。職員が、障害のある子どもの保育に関して必要な知識や情報を得るための、研修の機会の確保が課題となっています。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

長時間にわたる保育のための環境の整備、保育の内容に配慮しています。8時までは全年齢が1歳児の保育室で合同保育を行っています。その後、2歳児以上の子どもは各保育室に入り、0歳児と1歳児は8時30分まで一緒に過ごしています。職員は、長時間にわたる保育による子どもの疲れや甘えを受け止め、異年齢の子どもたちが落ち着いて過ごすことができるように配慮しています。登園時から降園までの子どもの状況や伝達事項を「視診表」に記入し、早番、担任、遅番の職員間の情報伝達を適切に行っています。保護者との連絡を密にして、子どもの生活状況や育ちの姿について、理解を共有できるように配慮しています。夕食や補食が必要な場合は、当日の15時までに連絡をすることになっています。子どもの一日の連続性に配慮した長時間保育についての取り組みを、保育計画の中に位置づけることが期待されます。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画に小学校との交流、情報交換についての記載があり、事業計画書の重点課題には、幼保小連携の強化が挙げられています。職員は、子どもたちが学校生活のイメージを持てるような話をしたり、生活や遊びを通して社会性や好奇心を培うことができるように配慮しています。5歳児は学校体験で小学生と一緒に遊ぶ機会があり、就学に備えて、1月から一斉の午睡をやめて休養が必要な子どもには個別対応をしています。保護者が、小学校以降の子どもの生活について見通しを持てるように、保護者会や個人面談で話し合っています。職員は、幼保小連携会議で小学校の先生と子どもの状況などについて情報共有を行っています。 「保育所児童保育要録」は、子どもの育ちや発達の状況について担任が記入し、施設長が確認して各学校に送付しています。 

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

「保健・衛生管理マニュアル」と「年間保健計画」にもとづいて、一人ひとりの子どもの心身の健康管理を行っています。職員用の「保育ガイドブック」には、健康支援及び安全・衛生の考え方が記載されています。看護師は保育士と連携して、子どもたちの健康状態を把握して保健指導を行い、クラスごとに「保健日誌」を作成しています。保育ICTシステムによる連絡帳に、0・1・2歳児は睡眠・排泄・食事などの項目を毎日記載し、保護者と情報共有しています。3・4・5歳児は必要な時に子どもの状況について情報交換しています。午睡時のSIDS(乳幼児突然死症候群)対策として、0歳児は5分おき、1・2歳児は10分おきに呼吸チェックを行いチェック表をつけています。園での健康管理については、入園時のオリエンテーションや個人面談で「通園ガイドブック」を使って説明し、毎月「ほけんだより」を発行して保護者への周知を図っています。 

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

内科健診と歯科健診をそれぞれ年2回、身体測定を毎月行っており、健診結果は、保育ICTシステムで個人別に記録しています。身体測定の結果は成長曲線と共に、保護者が携帯電話やパソコンから確認できるようになっています。健康診断と歯科健診の結果は、医師からの指摘があった場合は保護者に書面で通知しています。健康診断・歯科健診の結果は職員間で共有し、一人ひとりの子どもの発育・発達や健康状態を把握して、日々の健康管理や保育内容に反映できるように配慮しています。また、保護者が子どもの状態を理解し、健診の結果を家庭での生活に生かせるように対応しています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患のある子どもについては、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」と、ガイドラインに沿って作成された「食物アレルギー対応マニュアル」にもとづいて、一人ひとりの状況に応じた対応を行っています。アレルギーや慢性疾患については、看護師による園内研修を行っており、全職員が必要な知識や情報を得て、子どもの状況に応じた適切な対応ができるように取り組んでいます。除去食の提供時には、食器の色を変え記名をして、調理室での受け渡し時には保育士と調理員が確認を行っています。保育室内ではテーブルを分けて誤食が起きないように配慮しています。保護者、担任、栄養士が連絡を密にして、子どもの状況を把握して対応しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画、年間指導計画、月間指導計画に、食育について記載があり、「年間食育計画」に基づいて、子どもたちが遊びの中で意欲をもって食に関わることができるような取り組みをしています。園庭の畑コーナーで夏野菜の栽培をして、苗植え・水やり・収穫を体験しています。年齢や発達に応じて、 野菜刻みやトウモロコシの皮むき、キノコの房取りなどをしています。幼児クラスは、お米研ぎやおにぎり作り、バレンタインクッキー作りなど、季節ごとのクッキング活動を計画しています。幼児クラスは給食当番が盛り付けを行いますが、感染症対策が必要な期間は保育士が行っています。食器は、年齢や発達に合った大きさや形の物を使い、3歳児からはお箸も使用しています。毎日の食事のサンプルや献立表を玄関に提示し、保育参観日に保護者が子どもと一緒に試食する機会を設けています。保護者からの食に関する相談については、担任が栄養士と連携して対応しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:b】

献立作成と調理は、委託業者の栄養士と2名の調理員で行っています。栄養士と調理員は、別棟の更衣室とトイレを使用しており、「調理・衛生管理マニュアル」に従って調理室の衛生管理を行っています。
月1回の給食会議は、施設長・主任・クラスリーダー・調理担当者が出席しています。給食会議では、各クラスの食事の状況、メニューや調理方法の要望などについて話し合っています。残食の状況は調理担当が記録し、献立や調理の工夫に生かすようにしています。幼児クラスの子どもは、食器を下げる際に調理員に挨拶をしていますが、調理担当者は衛生的な観点からという理由で保育室に立ち入ることはなく、子どもの食事の様子を見たり、子どもたちの話を聞く機会はない状況です。保育士から日々の状況を聞き、毎月の給食会議で情報収集しています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

家庭との日常的な情報交換は、日々の子どもの送迎時に保護者に積極的に声かけを行うとともに、連絡帳の活用により双方向のものとなるようにしています。日々の送迎時のコミュニケーションは、家庭と子どもの状況を把握する上で大事なものとなっています。保護者懇談会、保育参観、保育参加そして個人面談の場を利用して、保育の意図や保育内容について、保護者の理解を得るように努めています。保育参加は、直接子どもとふれあい、子どもからの反応も実感できますので、保護者の気づきも多く、保護者と子どもの成長を共有できる良い機会となっています。様々な場で持たれた保護者との情報交換の内容は、必要に応じて面談記録として記録を残しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者が安心して子育てができるように保護者を支援するという観点からも、送迎時等の日々の保護者とのコミュニケーションを大事にし、信頼関係を築くよう取り組みを行っています。保護者からの相談については、定期的な個別面談のほか必要に応じて対応しています。その際は、プライバシーに配慮して空いた保育室を使用し、落ち着いた安心できる環境で行っています。相談内容は、「面談記録」に記録して、必要に応じて職員間で共通理解を図っています。相談は担当の保育士が受けていますが、相談内容によっては、施設長、主任保育士、クラスの班長が担当保育士に助言するなどの支援をし、適切な対応ができよう体制を整えています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

法人の「保育ガイドライン」では、「虐待は誰でもが加害者になってしまう可能性を持っているものと認識し、・・・・日々の肯定的情報発信を基盤とするコミュニケーションを存分に活用する」という考え方に基づき、虐待等の把握、防止に努めています。保育士は、虐待等権利侵害の兆候を見逃さないように常に子どもの日々の表情、態度、服装などを観察したり、送迎の際に保護者とのコミュニケションを図るようにしています。保育士は虐待の恐れがあると判断した場合は、速やかにクラスの班長、施設長に伝えて全職員で情報共有し、区役所の所管課と連携して、子どもの最善の利益確保に努めることになっています。「保育ガイドブック」及び「虐待対応マニュアル」に基づき職員研修を実施しています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

保育士等の自己評価は、年間指導計画の実施状況を踏まえ、クラスごとの職員の話し合いを通して4半期ごとに、「環境構成について」、「子どもへの気づき」という視点で記載しています。年度ごとの自己評価は、同様に保育士同士の話し合いを踏まえて、保育士一人ひとりの自己評価書を作成し施設長を通して、法人本部に送付をしています。この保育士同士の話し合いの過程で、互いの学び合いや意識の向上、ひとりでは気づけなかった保育の良さや課題の確認、さらに保育の改善や専門性の向上につなげています。この保育士等の自己評価は、保育所全体の自己評価「施設自己評価メモ」としてまとめられ、施設のロビーに掲示して保護者が閲覧できるようにしています。