社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ハイムあさ陽第一

2020年02月05日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター
評価対象事業所名 ハイムあさ陽第一
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2013年12月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 陽だまりの会
③ 理念・基本方針 【理念】
精神障害を持つ方が、地域の中で普通に暮らせるように支援する。
【基本方針】
① 地域の方々に精神障害を持つ方を理解して頂けるよう、積極的な地域交流・地域貢献をおこなう。
② 精神障害を持つ方が、地域の中で普通に自立した生活を送れるよう支援する。
③ 精神障害を持つ方に日中通う場所を提供し、仲間や地域との交流、経済活動への参加をとおして、協調性や社会性などを身に付けられるよう支援する。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 「自分で出来ることは自分でおこない、出来ない部分を支援する」ということを支援の方針とし、利用者一人一人が自立と社会性を身につけ、自分らしい地域生活を送れるように支援しています。受け入れに当たっては、独立型の居室スペースの環境を用意し、プライバシーに配慮した支援、声掛け、見守りを基本とした働きかけをしています。さらに、地域に積極的に働きかけるなど社会環境の整備、地域交流も進めています。利用者一人一人の状況を踏まえて、ホームが出来る対応を検討し、受け入れた以上は目標達成に向けた支援をすることとしています。
利用者からの聞き取りでは職員が「やさしい」「親身になって話を聞いてくれる」など安心感を持った暮らしができていることが窺われました。個別支援計画については全員が自分の目標を理解して職員の支援を受けながら目標に向かっているとの回答が得られました。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2019年06月12日
終了:2020年01月14日(評価結果確定日)
受審回数:0回(0年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 利用者が自立と社会性を身につけ、地域の一員として暮らして行けるように支援を行うというホームの理念に基づいて、利用者への自立支援、地域精神福祉活動、そのための人材育成を進めています。
他の法人では受け入れられにくい利用者も、「どのように支援すれば良いか」を考え、出来る限り受け入れています。利用契約は家族や関係者の意見よりも、利用者本人の「自己決定」を尊重しています。暮らしやすい住環境を整えて、安心して快適に過ごし、利用者の安定した生活を保つ工夫が随所に見られます。こうした工夫努力が支援範囲の拡大・経験の蓄積・ノウハウ構築となり、より良い支援に結び付いています。その結果、自立退去者を多く送り出すという成果となっています。
また、精神障害者が自立して生活するために、本人が社会性を身につけていくだけでなく、地域の受け入れ環境を整えることも重要と考えています。そのために地元で買い物や外食レクリエーションなどを行い、祭りやバザーなど地域行事に利用者が参加して、地域の人たちに地域精神福祉活動について啓発するなど活動の幅を広げています。
職員に対しても、未経験者を含めた幅広い人材の採用と育成に努めており、ビジュアルで分かりやすいマニュアルや資料を作成し、研修・指導しています。グループウェアを通じて一人一人に情報を回覧し、管理者が日常のコミュニケーションと日々のミーティングなどを通じて相互理解を深めています。事業計画の策定にあたり職員の意見を聴取して課題を共有、反映すると共に、希望する常勤職員が法人の理事会や評議員会に参加することもできる、透明性のある意思決定の仕組みも特長となっています。
改善を求められる点 ホームでは、未経験者や他施設での経験者、資格取得者、ピアワーカーなど多彩な人材を採用しており、正規、非正規、週1~2日勤務の非常勤職員やダブルワークなど就労形態も多様です。
こうした多様な人材が理念・方針、各種規程類、支援の姿勢や技能を共有して、より質の高い支援ができることを目指しており、マニュアルの改訂や、動画を導入するなど分かりやすい内部研修の充実を進めています。
今後とも、ホームとして課題と捉えている内容について、できるところから少しずつ、職員自身の業務の振り返りやお互いの気付きを深め合う機会なども取り入れながら、検討されていくことが期待されます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

法人の理念は運営規程や重要事項説明書に記載してホームの食堂に貼りだし、利用者・家族には契約時に説明しています。職員採用の際に、理念や方針を伝え、職員自身がいつでも理念や方針を確認できるように法人内研修資料を事業所に置き、管理者が日常業務の指導を通じて周知を図っています。

◇課題と考えていること

法人の方針や理念、事業所の方針など、常勤職員などは周知していますが、勤務体系の異なる職員の中には理解が十分ではない職員もいます。マニュアルを見直したり、法人内研修を工夫して職員に徹底することを考えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

福祉の動向等は、業務執行理事を中心にきめ細かな収集分析を行っています。法人の理事会や評議会には正社員だけでなくフルタイム非常勤職員も出席して経営状況を共有する仕組みがあります。さらに職員一人一人にグループウェアを通じて情報を回覧しています。

◇課題と考えていること

グループウェアによる情報提供でも、理解が十分ではない職員もいるので、必要部分を動画にして理解を促すなどの工夫を検討しています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

2年後に法人組織の大幅な変更を予定しており、業務の分担、異動と新規職員採用等、前年の継続項目や経営課題の解決に向けて事業計画を策定します。毎年11月~12月ごろに正社員やフルタイム非常勤の意見を聞きながら作成しています。

◇課題と考えていること

中長期計画については具体的な将来構想を立てていますが、職員等に説明するためには計画書としてまとめる必要があると考えています。文章だけではなく、より伝わりやすい媒体も検討しています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

他の法人で断られた利用者も、「どのように支援すれば良いか」を考え、出来る限り受け入れています。この姿勢が支援範囲の拡大・経験の蓄積・ノウハウ構築となりより良い支援に結び付いています。個別支援計画の策定とモニタリングには出勤した職員全員が参加します。高い入退去率という成果につながっています。

◇課題と考えていること

Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

管理者の業務は運営規程や役割分担表で明確にし、常に理念や方針の軸を通して指示を出しています。職員会議のほか、出勤時の職員とのコミュニケーションや毎日の簡単なミーティングを実施しています。また、グループウェアによる回覧や緊急携帯のメールなどにより明確かつ具体的な指示をしています。

◇課題と考えていること

職員の理解を促すため、マニュアルや研修、指導手法などについて、より分かりやすくするための工夫が必要だと考えています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

理念・方針等の説明会の中で「期待される職員像」を説明しました。今後も説明・周知を行っていきたいと考えています。人材の確保は、法人の担当権限者が、求人から採否まで直接担当し素早い対応を取ることを基本に、インターネット等を活用した広報活動と未経験者を含めた幅広い人材の採用と育成に努めています。職員の研修参加は出勤扱いとし、交通費や給与を全額支給しています。

◇課題と考えていること

Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

広報誌等印刷物は経費節減と環境問題の側面から発行していません。その代わりホームページやツイッターを活用し地域活動への参加や求人、利用者募集などの情報発信をしています。提供する福祉サービスや、事業計画、事業報告なども公開しています。定期的な内部監査等や外部の専門家の支援を受けて経営改善を進めています。

◇課題と考えていること

ホームページやツイッターを活用し地域活動への参加や求人、利用者募集などの情報発信を行っていることの目的などについて、今後、説明研修を行って職員への周知を図っていきたいと考えています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

地域での交流から地域と関わり、地域貢献をおこない、精神障害の理解を促進することを目指しています。買い物や外食レクリエーションなどを地元でおこなったり、イベントには寄付をしたり、運営に協力し関係構築を進めています。
開設5年目であり、地域での認知度も高まり、祭りなどに参加できるよう働きかけを進めています。


◇課題と考えていること

地域活動や地域貢献の意義を職員に更に理解してもらうために、時間をかけた取り組みが必要だと考えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

「利用者の立場に立った支援」を基本姿勢としています。個人情報保護方針をホームページで公表し、契約時にプライバシーや守秘義務の説明をするほか個人情報の利用範囲の同意を得ています。施設はマンション形式であり、生活空間でのプライバシーは確保できています。職員が居室に入るときは必ず許可を得ています。また毎月、利用者ミーティングを行い、その意向を運営に反映しています。

◇課題と考えていること

ホームは「利用者本位、利用者中心、自己決定」を掲げています。時間をかけて職員を啓発していくことに努めたいと考えています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

利用契約は家族や関係者の意見だけを優先することなく、本人の意思を尊重して判断しています。ホームの見学や説明で本人が納得して、「自己決定」することが一番大切であると考えています。自立退去者が多いことから計画相談事業と連携し、退去後も全体的かつ継続的な支援を行うようにしています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

利用者満足については、個別支援計画に向けたモニタリング時のヒアリングで確認し、利用者の状況と向き合い、不満や要望はその場で指導するなど対応しています。また、日々夕食後に利用者とミーティングを行っており、朝食に関するアンケートを取り、朝食提供を行なわないと決めるなど検討会議の役割を果たすこともあります。

◇課題と考えていること

利用者満足についてはサービス管理責任者が中心となって分析・検討をしていますが、職員も直接利用者の要求を受け止めつつ、本人の気付きにつながる助言が必要と考えています。利用者の不満や要望について、経験豊富な職員等の適切な対応事例をまとめて、共有化していきたいと考えています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

苦情ボックスを設置しているほか、職員が日常的な相談援助で「何か困っていることはありますか」と声掛けを行なっているため、利用者が困りごとなどを言い易い関係性を築いています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

リスクマネジメントを熟知した業務執行理事が職員・利用者等の何気ない会話の中からリスクを見つけ出し対応を指示しています。また現在、地域防災訓練への参加を町内会に打診しています。「あのねメモ」を使って、ヒヤリハットが業務の中で記録しやすいよう工夫しています。

◇課題と考えていること

ヒヤリハットの仕組みを活用して職員の気づきを促し、危機管理意識の醸成を考えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

個別の支援内容や配慮事項を「スケジュール一覧表」にまとめ、掲示して職員間で共有しています。コンプライアンス、防犯マニュアル、「SOSの察知とその対応」などのマニュアルは、管理事務所に置かれていて、いつでも確認することができます。

◇課題と考えていること

今まで蓄積してきた様々な支援方法を、「服薬管理」や「居室支援」などのマニュアルにまとめ、職員の支援の質の統一化を図っていく必要があると考えています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

利用開始時に、フェイスシート、アセスメントシートを作成し、個別支援計画を作成しています。アセスメント時には、本人、家族や行政、医療機関等の関係機関から意見聴取しています。個別支援計画会議には出来るだけ全職員が参加し、検討しています。

◇課題と考えていること

今後は、支援ソフトの利用方法や個別支援計画の組み立て方等をマニュアル化し、職員に周知していくことを検討しています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

利用者情報やアセスメントシート、個別支援計画、日々の記録等は、パソコンの支援ソフトで作成、管理しています。情報は印刷して個人別にファイルし、職員はいつでも確認することができます。職員会議等の他、ネットワーク上のグループウェアで情報共有しています。

◇課題と考えていること

個人情報保護については研修や動画視聴等で職員が学ぶ機会と時間を作っていく予定です。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

利用者の意向を尊重することを支援の基本としています。自己決定の際には、職員は、メリットとデメリットを説明して自己決定の最終的な結果の責任は本人が負うことを伝え、適切な判断ができるように支援しています。グループホームの契約内容と衝突するものについてはその旨を伝え、場合によっては契約解除となることを伝えています。本人が自己決定した後は、それが実現できるようサポートしています。

◇課題と考えていること

A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

苦情受付に関する説明や横浜市福祉調整委員会のポスターを共有スペースに掲示しています。他法人での権利侵害等の事例について新聞記事とそのコメント、指導等をグループウェアで全職員に回覧し、そのような行為をおこなわないよう職員を啓発しています。虐待防止マニュアルを作成し、法人研修や外部研修で職員に周知しています。研修に参加しなかった職員には、研修に参加した職員が伝達しています。

◇課題と考えていること

A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

「自分で出来ることを自分でおこなってもらう」を方針とし、支援しています。職員は「見守り」「声掛け」を基本に、苦手でうまくできないことを一緒に行ない、どうしても出来ないことは職員が説明しながら行なうなどしています。たとえば、金銭管理が必要な場合には、「あんしんサービス」につなぐことを原則とし、全部使ってしまう利用者には領収書を確認して使い方のアドバイスをするなどの支援をしています。

◇課題と考えていること

職員により日常的な支援方法や対応に差異があるため、マニュアル化や研修、動画配布を行なっていく予定です。また、困難ケースや緊急時対応などで蓄積してきた経験やノウハウをまとめてマニュアルを作成し、研修と動画配布を行なう予定です。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

夕食は、職員と一緒に、当番の利用者が配膳や盛り付け、後片付けなどをしています。野菜中心の栄養バランスの良い献立となっていて、利用者の希望も聞いています。食事の際には、職員が立ち会い、声掛けや見守りをしています。普通食を基本に、嚥下困難や歯の治療中など利用者の要望がある場合にはきざみ、とろみ、おかゆなどの提供をしています。入浴介助等の身体介護は行なっていませんが、入院前など一時的な支援を行なった事例はあります。

◇課題と考えていること

A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

良好な住環境を重視し、整理、整頓、清潔、清掃を維持するようにしています。立地はバス停の前で交通の便がよく、買い物等にも便利です。利用者の居室は完全個室で普通のマンションと同じ作りになっており、地震や火事に強い鉄筋コンクリート造りとなっています。建物にはセキュリティ、防犯カメラを設置し、民間警備会社と契約し、安全面に配慮しています。

◇課題と考えていること

A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

日常的な生活の中でゴミの仕分けや決められた時間内のゴミ捨て、自室の清掃や換気、衣類の洗い方や干し方、たたみ方、管理の仕方、冷蔵庫内の賞味期限管理、トイレ掃除、お風呂掃除など生活に関わる自立支援を実施しています。利用者一人一人に面談を行ない、全職員で個別支援計画の内容を共有し、連携して支援しています。

◇課題と考えていること

A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

職員は日々の利用者との挨拶などの際に、目つきや表情、声、におい、身だしなみなどを観察し、健康状態を確認しています。インフルエンザの流行期に注意喚起をして予防注射のアドバイスをしたり、熱中症予防として水分摂取や空調管理の声掛けをする、などしています。服薬管理は利用者の状況に応じて支援方法を個別支援計画に記載し、支援しています。自己管理している利用者は、居室確認の際に服薬状況を確認しています。

◇課題と考えていること

様々な服薬管理の方法や日常生活の中で必要とする基本的な精神科の薬の簡単な知識をマニュアル化する必要があると考えています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

日中活動先の選択や趣味の教室、地域のイベントへの参加などの情報の提供をしています。必要に応じて職員が希望する情報を探したり、インターネット操作など情報収集法を教えることもあります。外出はルールの範囲内で自由で、外泊は1回1泊2日ぐらいを目安としています。日中活動時、利用者は自由に好きな時に好きな場所で食事をしています。年1回、利用者の意見を聞き、皆で食べに行く外食レクリエーションを行なっています。

◇課題と考えていること

外泊のとらえ方等について職員間で差異があるため、支援について考え方を研修や動画で職員に周知していくことを検討しています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

利用者の意向を個別支援計画・モニタリング時に把握し、計画相談と連携し情報提供や機会の提供、サテライト住居の見学などの支援をしています。一人暮らしを目標とする利用者は、個別支援計画に目標に向けての課題を組み入れ、地域生活の意欲を高められるよう支援しています。地域生活への移行に際しては、計画相談、行政、医療機関、生活支援センター等多くの福祉サービス関係者と連携しています。

◇課題と考えていること

A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

利用者本人の意向を第一義とし、家族や関係機関との連携、交流をしています。家族関係が複雑なケースもあり、必要と判断された場合のみ家族等に定期報告をしています。個別支援計画やモニタリング時に参加した家族等には日常生活の報告をしています。家族支援に関しては、本人の直接支援を優先しながらできる限りの支援を実施しています。

◇課題と考えていること

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
項目 ヒヤリハット報告の意義は事故を未然に防ぐとともに、職員の危険行為や危険個所に対する気づきの力、感性を引き出すことです。業務多忙なこともありますが、職員に小さなことでも記録してもらい、定着を促し、統計的な分析への活用が期待できます。職員相互でヒヤリハットの内容を検討する、マニュアルを職員自ら作るなど、危機管理委員会の再活性に向けスモールステップを踏んでゆく取り組みが期待されます。
ヒヤリハット(危機管理)については、過去に委員会を設置し取り組んでいましたが、現在は活動を停止しています。立て直して活動を再開する予定ですが、現場の職員は現在の業務を行うことが精一杯で実行出来ていません。現状はリスクマネジメントに慣れている業務執行理事がホームを訪問した際や職員・利用者等の何気ない会話の中からリスクを抜き出し、すみやかに対応の指示を出して未然に事故を防いでいます。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) 職員の接遇について、全員が「優しい」「話しやすい」と答えています。職員に悩みを聞いてもらい、生活の細々としたことや体調面などの相談にのってもらっていることが、利用者の安心感につながっていることが、具体的な事例からも読み取れました。
職員が居室に入る時には必ずチャイムを押して許可を得ていると全員が回答しています。夕食については、「おいしい」という回答が多く、リクエストにも答えてもらえるなど全員が満足しています。休日には皆が自分で計画した好きなことをして過ごしていると答えています。
個別支援計画については、全員が目標を理解していて、職員と話し合いながら取り組んでいると回答しています。また、ほぼ全員が、区役所など職員以外に相談出来ることを知っていると回答し、共有スペースの資料についても認識していました。
総合的な満足度では、全員が満足と回答していて、独立型の居室で自分のペースで生活していることが読み取れました。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
第三者評価はその名称からか「評価される」イメージがあり、「悪く評価される」「否定される」という怖さがあります。そういった理由から個人的には第三者評価は出来れば受けたくない制度です。障害分野は第三者評価の受審義務は無いのですが、「様々な視点から気づきを得て、改善出来ることは改善したい」「自信を持ってこの仕事をおこないたい」などという思いからの受審でした。第三者評価を事業所として直接受けるのは2回目で、法人統括として関わったのは7回目です。
受審前に評価機関からは「評価はしない」「コンサルティングではない」などという説明はありますが、実際のヒアリングでは調査員による評価や否定されるような発言、望まない意見などはありました。それについてはかなり苦情を言わせて頂きました。この精神保健福祉分野で運営に関わり10年になりますが、分からないまま始めた頃は支援の仕方から運営などについて、様々な機関から否定を含めた指摘をされた経験があります。その度にその内容を真摯に受け止め、徹底的に改善してきましたが、その指摘した方の中には「相手を否定するけれども自分はやっていない」というケースが多くあることを知り、福祉分野のレベルはこんなにも低いのだろうかと日ごろから憤りを感じていたことからの反応でした。
自己評価にはかなりの時間と労力がかかりました。自己評価の質問は障害分野ごとではないので、それを精神障害分野や当法人の取組に置き換えることに時間がかかりました。また職員一人ひとりの解釈の仕方や理解力なども違うので、一人ひとり説明する時間と労力は設定されたスケジュールで行なうのは不可能でした。あれだけの作業をおこない、それに対する対応をおこなうには、時間や費用の設定はもっと高くて良いのだと思いました。「受審するからには徹底的に取り組みたい」「高いレベルでのヒアリングや評価をおこなってもらいたい」「時間をかけて丁寧に取り組みたい」というニーズには対応しきれないのだろうと感じました。逆にそこまで本気で取り組む法人はいないのでしょうか。
いずれにせよ、第三者評価を受けて本当に良かったと思います。その費用や時間・労力以上の価値ある気づきを得ることが出来ました。事業所の取組だけでなく、法人全体の直近~5年後のやるべきことが見えました。例えば自己評価の際に返答した「動画マニュアルや動画研修」は時代の先端を行く内容だったということが後で分かり、少しの自己満足と自分の発想力の自信に繋がりました。
第三者評価機関にとって私たちはかなり面倒な法人だったと思います。第三者評価機関の方たちも大変だったことでしょう。「熱い思いがあり真剣だからこその衝突」と理解して頂きたいものです。最後まで対応して頂き感謝しております。本当に有難う御座いました。