社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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三ツ沢保育園

2020年04月06日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県社会福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 三ツ沢保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 55 名
所在地 221-0851
横浜市神奈川区三ツ沢中町10-10
TEL 045-321-5984 ホームページ なし
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1948年12月10日
経営法人・設置主体(法人名等) 特定非営利活動法人 三ツ沢保育園
職員数
常勤職員:10 名
非常勤職員:5 名
専門職員
施設長:1 名
保育士:9 名
栄養士:1 名
内科嘱託医:1 名
歯科嘱託医:1 名
調理員:2 名
施設・設備の概要
保育室:1室
幼児用トイレ:1室
調理室:1室
屋外遊戯場:

③ 理念・基本方針
保育理念 : 子ども一人一人を大切にし、保護者からも信頼される保育園を目指す
保育方針 : 豊かな人間性を持った子供を育てる

④ 施設・事業所の特徴的な取組
横浜市営地下鉄ブルーライン三ツ沢上町駅から徒歩で5分程度の、国道1号線に面したマンションや住宅が立ち並ぶ傾斜地にある。1948(昭和23)年設立当初から認可保育園として、「丈夫で元気な子、思いやりのある子、自分で考え行動できる子」を園の目標として掲げ運営している。建物の面積や設備の関係から2歳~5歳児を対象に定員55名で保育を行い、2016(平成28)年にNPO法人格を取得し現在に至っている。障がい児保育は実施しているが、延長保育、一時保育、病後児保育は実施していない。月曜日から土曜日までの午前7時30分から午後6時30分まで、木造平屋建て保育室をカーテンで仕切るなど工夫しながら、年齢別の4クラスを基本に保育している。子どもたち一人ひとりの気持ちを受け入れながら安心して過ごせるよう、家庭的な雰囲気の中で、自主性、社会性、創造性を培い、自分らしさを出して伸び伸びと生活できる保育を提供している。小規模な園である為、子どもの生活を家庭生活の延長線上にみることができ、異年齢児との交流も多く、保育士と子どもとの信頼関係が作りやすい環境となっている。自然と親しむことができる公園に恵まれており、散歩に出かけたり、子どもの発達に合わせた運動やリズムあそびをとり入れたり季節毎の行事を取り入れるなど、楽しくいろいろな経験ができるよう工夫し保育を実践している。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/06/06(契約日) ~2020/03/16(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 0 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1. 限られた環境の工夫
保育室の限られた環境をカーテンで4つに区切り、各クラスの空間を工夫して保育している。また、コーナー遊びをするスペースの確保が難しいので、小さなシートを床に敷いて絵本や塗り絵、おもちゃを置くなどコーナーを見立てた工夫をして、子どもが自主的・自発的に遊べる環境を作っている。
2. 障害のある子どもが安心して生活できる環境の整備
障害をもった子どもが分かりやすく混乱なく過ごせるように、登園後の手順や食事に際しての手順を、写真と簡単な言葉を添えて表した「写真カード」を作成し工夫している。また、午睡時などに段ボールで作った仕切りを用いて落ち着ける空間を確保するなど工夫している。
3. 食事を楽しむための工夫
課外活動として子ども達が食材の仕入れ先である精肉店を訪問し、店の見学や店主への質問を行いながら食についての関心を深める活動を実施している。また、季節の行事食を提供するほか、秋はきのこや秋野菜など旬の食材や、子ども達が近隣の畑で掘ったさつまいもを食材とするなど、季節感のあるメニューを工夫している。
改善を求められる点 1. 家庭との連携
家庭との情報共有は、「連絡ノート」を廃止し、送迎時の玄関先での情報交換、及びホワイトボードやアプリでの保育の様子発信で行っている。「クラス別懇談会」では、保護者の意見を聞く時間を大切にしているが、個別面談も希望件数が少ない。保護者との定期面談などで家族の状況や抱えている課題などを把握し、連携を深める取組みが求められる。
2. 地域の福祉向上への取り組み
地域の子育てニーズ等の把握は十分ではなく、地域の福祉向上に対する取組みには至っていない。保育所の目的や運営方針で明文化し、中・長期計画に基本的な取組み指針を位置付けると共に、単年度の事業計画に子育て教室の開設や絵本の読み聞かせ等保育時間の地域への解放等、具体的な実施内容を設定し取り組む事が求められる。
3. 運営の透明性を確保するための情報公開
NPO法人として事業計画書や事業報告書などは内閣府のホームページに掲載されている。しかし、園のホームページや地域に向けた広報誌は作成されておらず、地域社会に対し、理念や基本方針、苦情相談体制や内容、ヒヤリハット・事故内容等について積極的な発信は行っていない。情報公開により運営の透明性の確保が求められる。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価結果を今後の保育運営の参考にし、改善すべき点は改善し、評価の良い点については、より伸ばす施策を行います。
特に保育内容は、高く評価して頂いたことは、今後の保育実施に大きな励みとなりました。
今後も子どもと保護者、地域社会と連携した保育を進めて参ります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

保育理念及び保育方針が「重要事項説明書」に記載され、玄関にも掲載されている。職員には、新年度準備の際に周知している。会議に欠席した職員には、施設長が個別に説明している。保護者には、年度末の保護者懇談会において「重要事項説明書」を説明し周知を図っている。懇談会に欠席した保護者には資料を後日配布し、また、必要に応じて個別に説明している。保育理念等について「パンフレット」や「事業計画書」で表現が異なり、また「入園のしおり」には記載がない。表現の統一と保護者への周知の工夫が期待される。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

政策動向や現状については、主に隔月で開催される神奈川区の園長会及び私立園長会への参加を通して把握に努めている。しかし、情報を整理し課題を分析するには至っていない。また、定期的なコスト分析や利用者の推移、利用率等の分析には至っていない。事業経営をとりまく環境と法人・保育園の経営状況の把握・分析は、中長期計画の基礎となるものであり、検討にあたっては法人としての組織的な取組が求められる。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営環境と経営状況の把握・分析に基づき、年2回の法人の総会で協議している。特に、少子化により定員充足が困難になりつつある中にあってどのような保育園をめざすのか、新たな役割・機能を含め経営課題を明確にし、解決・改善に向けた具体的な取組が求められる。法人の総会は、定例の職員会議の構成職員に加え理事長が出席して開催している。組織運営にあたっては、法人の意思決定機関である理事会の開催など法人組織運営を整え、保育園の職員会議との役割を整理するなど工夫が求められる。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

平成31年4月から令和4年3月までの3年間を捉えた中期事業計画を策定している。しかし、「中期事業計画書」には経営課題が明記されておらず、問題点の解決・改善に向けた具体的な内容とはなっていない。また、数値目標や具体的な到達目標が設定されておらず、実施状況の評価を行える内容となっていない。どのような保育園をめざすのか新たな役割・機能を含め経営課題を明確にし、解決・改善に向けてより具体的な実施計画が望まれる。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

単年度の計画は、中期計画の内容を反映して作られていない。また、単年度計画は、行事計画や年間保育計画の要約が中心で、実施状況の評価を行えるような具体的な目標や成果が設定されていない。中・長期計画の下で単年度の計画を立てることが求められる。また、実施状況の評価を行えるよう具体的な目標と、目標に至る方法が記述された単年度計画になるよう工夫が求められる。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

2月の職員会議で当該年度の振り返りを行うなど、事業計画が職員の参画のもとで策定されているが、評価・見直しの時期や手順が定められていない。また、策定に際して職員から出された意見が公的記録として残されていない。事業計画の実施状況について評価し見直した内容が検証ができるよう、常時閲覧可能な会議録として記録に残し、会議録を用いて職員間の情報共有と事業計画の周知を図る工夫が求められる。併せて、事業計画の実施状況を評価し見直す時期や手順の明確化が求められる。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

保護者に対しては、2月及び4月開催の保護者懇談会において理事長が口頭で説明している。「事業計画書」の閲覧を希望する保護者は、職員に申し出れば閲覧可能である。しかし、保護者懇談会の記録には、参加した保護者名や懇談会の席上で事業計画について出された質問や意見などが記録されていない。また、欠席した保護者には、特に説明は行なっていない。懇談会に欠席した保護者への情報提供の為に懇談会の記録の充実と、事業計画に関し保護者が理解しやすい資料を準備して配布し、また掲示するなどの工夫が求められる。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

保護者が多く参加する運動会など3つの行事後に、保護者にアンケート調査を実施し、結果は保護者に開示していないが、職員会議で検討し次の行事の企画に活かしている。また、年度末に保育全体のことに関し保護者に「保育方針の自己評価についてのアンケート」を実施している。併せて全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて各職員が自己評価を行なっている。集計はしていないが次年度の事業計画の参考にしている。アンケートや自己評価の集計と公表を通じて、具体的な保育の向上に活かす工夫が求められる。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

運動会などの行事実施後に、保護者に対し行事内容と時間等を問うアンケートを実施している。しかし、回収率が約50%であり、子どもの様子など保育の視点を捉えた設問を加えるなどの工夫が望まれる。また、年度末に保護者に対し「保育方針の自己評価についてのアンケート」を実施している。併せて全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて各職員が自己評価を行ない、次年度の事業計画の参考にしている。アンケートや自己評価の集計を通じて取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策の実施が求められる。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

施設長の役割と責任は「管理規程」に明記され、また有事の権限委譲については「危機管理マニュアル」に明記され、職員に明らかにしている。施設長は、一昨年度までは主任の職にあり、昨年度に高齢により退任した前施設長から職務を引継ぎ施設長の職に就いた。保護者に対しては、年度はじめの保護者会に加え園だよりである「ひよこだより」に自己紹介及び施設長の役割を掲載している。施設長は、研修などを通じて研鑽を積みながら、今までの職務を検証・再確認し、具体的な組織運営を通じて職員の理解を得るよう努めている。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、遵守すべき法令等に関連する事柄を、「運営規程」及び「就業規則」に明記し、職員に周知を図っている。また、最新の関連法令について施設長研修で情報を把握しており、今後職員に周知する予定である。遵守すべき法令等を全て「運営規程」及び「就業規則」に明記する事は難しく、別途職員会議などで周知する工夫が期待される。今後は法人として法令遵守規程を制定し、併せて職員の定期的なコンプライアンスチェックなど具体化が望まれる。また、必要となる関係法令・通知等のリストを整備し活用するなどの工夫が望まれる。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設長は、長年培われてきた保育を大切にしながら、週日案の書式を工夫し、主任と共に日々の記録内容を点検し助言するなど、必要な改善と工夫を図りながら保育の質の向上に取り組んでいる。また、年間の研修計画を立案し職員個々の研修参加を促している。年度末に保護者に対し「保育方針の自己評価についてのアンケート」を実施し、併せて全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて各職員が自己評価を行なっている。アンケートや自己評価結果を通じて取り組むべき課題を明確にし、指導力発揮が期待される。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設長は、毎月職員が提出する休暇や勤務希望を下に勤務表を作成している。加えて保育士の産休希望への対応や園児増加に向けクラス担当保育士の増員など、その都度職員と話し合って決めている。また、ハローワークほか複数の会社を通じて求人を行っている。円滑な保育のため、限りあるスペースの使用について各クラス間の連絡調整を課題と捉えている。また、保育に関する記録に多くの時間を割いている一方で、特徴的な子どもに記録が偏る傾向がある。記録をある程度標準化し、子ども一人ひとりを捉えた記録の工夫などが求められる。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

3歳児クラスからは、基本担当保育士1名だが複数名での保育が望ましいと考え、パート保育士が応援に入るなど、臨機応変に対応できる人員体制を目指し、ハローワークと民間の求人業者を通じて職員確保を行なっている。しかし、人員体制に関する具体的な計画が確立していない。また、基本的考え方や確保・育成の計画が、基本方針はじめ中期及び年度の事業計画にも明示されていない。「期待する職員像」など人材育成の基本方針を定め、教育研修や目標管理等を体系化し、職員一人ひとりの育成につなげる仕組みづくりが求められる。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

「キャリアパス基準」を作成し、職位や職階に応じた総合的な人事管理の基準を設けている。具体的には、職責・求められる能力・職務内容・習熟に必要な業務教育や、必要経験年数、資格要件、昇給・昇等級要件などを明示している。また、役職主任以外は経験年数順に「保育士等キャリアアップ研修」の受講を必須としており、職員の育成に向けた取組みの柱としている。今後、キャリアパスについて職員への周知を図ると共に、職員との個別面接を通じ、職員が自らの将来の姿を描くことができる取組みが望まれる。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

「管理規定」及び「運営規程」において、施設長が労務管理に関する責任を有し、主任保育士が施設長を補佐することを明示しており、責任体制は明確である。勤務表の作成にあたっては、施設長は各職員の家庭の事情も考慮し、事前に勤務希望日を確認のうえ、シフト調整を行うほか、有給休暇の取得を推奨している。今後は、職員との定期的な個別面接の機会を設け、職員が悩みを相談しやすい仕組みを工夫するなど、働きやすい職場づくりの更なる推進が期待される。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

職員育成に係る「キャリアパス基準」を設け、補助業務、初級、中級、上級、経営・管理職の5段階に分けた職位毎に、求められる能力、必要経験年数、資格等を明示し、職員の目標管理のための仕組みが構築されている。しかし現在、個々の職員とのコミュニケーションの下での目標設定や進捗確認は行われていない。今後、職員の育成に向けて、個別面接を通じて目標設定および進捗確認を行うなど、実効性のあるしくみ運用が望まれる。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

「キャリアパス基準」では、職位毎に求められる能力及び習熟に必要な業務教育等を明示しているが、職員への周知は不十分である。年間の研修計画は施設長が策定し、常勤対象の「保育士等キャリアアップ研修」ほか、非常勤を含む職員を対象に市青少年局の主催研修、関係機関主催の専門的研修などへの受講を勧奨している。特に「保育士等キャリアアップ研修」は、他の研修に優先して受講させる方針としている。今後、キャリアパス基準との関係も含め職位別、テーマ別など研修計画を体系化し、定期的な計画の評価や見直しが期待される。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

施設長は派遣予定の外部研修について、研修名と対象職員名を記載した年間の研修予定表を職員会議で提示し、受講を促している。また「保育士等キャリアアップ研修」については、対象職員に受講すべき研修内容を書面で配布し、個別に受講勧奨を図っている。研修を受講した職員の報告書は、他の職員が閲覧可能な場所に保管され職員間で共有されている。今後に向けては、キャリアアップ研修に限らず各職員の研修受講履歴の管理を行い、各職員の知識や技術水準に応じた受講勧奨や研修成果についての評価・分析が期待される。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

「実習生受け入れマニュアル」及び「実習生の心得」を整備し、実習の目的として、次世代の保育を支える人の育成、具体的には職場環境を知る、諸問題に対しての検証や解決能力を養う、保育士の使命を学ぶ、などを明示している。外部の実習指導者研修には主任保育士が参加している。今まで実習を受け入れたことはないが、今年度中には初めて大学生1名を受け入れる予定である。実習開始の1ヶ月前から担当教諭との連絡調整にはいる予定で、保護者へは紹介文を掲示し実習生受け入れを周知することにしている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:c】

NPO法人として年間の事業計画書や事業報告書、予算、決算などは内閣府のホームページに掲載されている。しかし、園のホームページは作成しておらず、地域社会に対しては、理念や基本方針、苦情相談体制や苦情・要望の内容とその対応、ヒヤリハット・事故件数や内容等について積極的な発信は行っていない。ホームページの作成や地域に対する広報誌等の作成も含め、積極的な情報公開により運営の透明性の確保が求められる。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

公正かつ透明性の高い適正な運営に向け、事務・経理、職務分掌・権限・責任等が、「定款」「経理規程」「管理規定」「運営規程」等に定められている。「定款」に基づき、理事長がNPO法人としての総会を開催し、職員の出席の下、事業計画及び予算について総会の議決を経て承認を得ている。同様に、事業報告及び決算についても、監事の監査を経た「事業報告書」「活動計算書」「貸借対象表及び財産目録等」を総会に諮り、議決を経て承認を得ている。財務については税理士による外部監査を実施している。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

近隣の小学校主催で年1回開催される「ふれあい地域清掃」に年長児が参加し、清掃活動を通じて地域との交流を広げている。参加者は当園年長児のほか近隣幼稚園・保育園の年長児、小学生、高校生、関係教職員、PTA、行政や企業関係者などで、町ぐるみの取組となっている。その他、小学校の体育館を借りて園の運動会を開催したり、日常的に商店街の見学や公園で近隣の子どもと触れ合うなど地域との交流を図っている。さらに、それぞれの年齢に応じた地域の人々との交流を通じ、社会体験の場を広げ社会性を育てる工夫が望まれる。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアの受け入れ実績はないが、「ボランティア受入規程」を整備し、ボランティアの受入れについての基本姿勢を明文化している。また「ボランティア受け入れマニュアル」を作成し、受付や事前説明等の方法のほか、活動内容の確認書及び誓約書等の様式も定めている。学校教育への協力については、近隣中学校3年生の職業体験(保育体験)を受入れている。すでに園長会の場で区の担当者にボランティア募集の依頼を行っているが、今後は区の社会福祉協議会の協力を得るなど、積極的な受け入れが望まれる。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の子育て支援機関等の情報は、玄関にチラシを掲示し保護者に伝えている。虐待が疑われるケースでは区による「個別ケース検討会議」に出席し、区の保健師やケースワーカー、児童相談所職員との連携を図っている。また、発達面で心配のある子どもについては、療育センターと連携し子どもや保護者の支援にあたっている。さらに、区内の保育所が事務局となる「子育て支援連絡会」に加盟し、保育所相互の情報や実践の交流、子育てしやすい町づくりの推進を行っている。必要な社会資源を体系的にリスト化するなどの工夫が期待される。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

連合自治会やPTAなどが主催している「スクールゾーン会議」に年1回参加し,防犯などにつての情報を得ている。しかし、保育所が有する機能をとらえた地域の福祉ニーズ等の把握は十分とは言えない。中・長期計画に地域の福祉ニーズ等の把握を位置付けると共に、単年度の事業計画に、具体的に把握する為の方策を設定し、取り組む事が求められる。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:c】

保育所が有する機能をとらえた地域の福祉ニーズ等の把握は十分ではなく、地域に開放・提供する取組みには至っていない。保育所の目的や運営方針で、地域貢献に関わる事業や活動の取組みを明文化し、中・長期計画に基本的な取組み指針を位置付けると共に、保育室が狭く1つしかないというスペース上の制約はあるものの可能な範囲で、単年度の事業計画に子育て教室の開設や絵本の読み聞かせ保育時間の地域への解放等、具体的な実施内容を試行として設定し取り組む事が求められる。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育所として倫理綱領や規程を定めてはいないが、全国保育士会倫理綱領及び子ども一人ひとりの人格を尊重したかかわりなどが明記された全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて、年度末に各職員が自己評価を行なっている。年度末だけでなく日常的に自己点検する工夫と、保育所としての基本姿勢を明示したマニュアル等の作成が求められる。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:c】

保育室が狭く1つしかないというスペース上の制約があるが、カーテンで4つに区切り、各クラスの空間を工夫して保育している。しかし、プライバシー保護に関しては、保育室やトイレが狭く、また仕切りなどを設置すると、保育士の目が届きにくくなるなど安全面との兼ね合いもあり対応に限界がある。保育士が他の子どもとの間に入って死角を作るなど工夫している。見学者等の訪問は事前に子どもや保護者に伝えている。子どものプライバシー保護等の権利擁護に関する規程・マニュアル等の整備が期待される。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

見学希望は事前の予約により対応しているが、予約なしで訪れた希望者にも同じように対応している。特に利用希望者には、「パンフレット」と、質問が比較的多い1日の流れや持ち物、年間行事予定などが明記されている「入園のご案内」を渡し、施設長又は主任が説明している。また、重要事項説明書を玄関に掲載し閲覧できるようにしている。区役所にパンフレットを置いているが、図書館等他の公共施設へのパンフレット配置が望まれる。また外国籍や障害を持つ保護者等に向け、写真や図を工夫し分かりやすい資料の作成が望まれる。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

年度始めの保護者懇談会において事業計画を理事長が口頭で説明している。懇談会に欠席した保護者には後日資料を配布し、必要な保護者に対しては個別に説明している。保育の開始時に、担当保育士が個別に子どもの発達や期間ごとの保育内容を説明することにより、保護者との信頼関係を築く工夫が求めれらる。また、保護者の就労状況による保育時間の変更等、一人ひとりの子どもの状況に応じた個別的な変更等を説明する工夫が求められる。さらに、保護者が理解しやすいような資料を準備したり、また掲示するなどの工夫が求められる。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:c】

保育園利用終了後も行事への招待などを通じ、卒園生や終了者のふれあいがある。しかし、保育所等の変更に当たり保育の継続性に配慮した対応ができていない。子どもの状態や家庭環境の変化等で保育の継続性を配慮し、引き継ぎや申送りの手順等を定める事が望まれる。また、必要に応じて、保護者の同意の下、他の事業者や福祉施設に情報提供を行い、行政をはじめとする関係機関と連携する取組が望まれる。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

保護者が多く参加する運動会など3つの行事実施後に、保護者にアンケート調査を実施している。アンケート結果は保護者には開示していないが、職員会議で検討し次の行事の企画に活かしている。また、年度末に、保育全体のことに関して保護者に対し「保育方針の自己評価についてのアンケート」を実施している。しかし、アンケートの集計結果を公表しておらず、園としてのアンケート結果の分析と活用について公表する工夫が求められる。また、保護者への個別の面接や聴取などを通じ、保育に対する個別の希望など把握する工夫が求められる。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

玄関に意見箱を設置し受付け手順を掲示するなど、「苦情処理規程」に則って対応している。また、第三者委員を入園式と卒園式に保護者に紹介している。申し出のあった苦情は、受付から対応までを記録している。しかし、今年度の苦情は訪問時点で1件だけである。また、「重要事項説明書」には、何時でも意見や要望、苦情を受け付けている事や「福祉サービス運営適正化委員会」についての記載が無い。苦情、要望及び意見の受付け書式を整備し、公表する仕組み、また日頃から意見等を申し出しやすい実効性のある取組みが求められる。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

玄関に意見箱を設置するなど「苦情処理規程」に則って対応している。また、「クラス懇談会」で保護者の意見を聞く時間を持っている。意見は、「苦情、意見(要望)対処ノート」に記録することになっているが、申し出はほとんど無い。以前あった「連絡ノート」は廃止し、現在は希望者のみとなっている。アプリを用いて保護者に情報を提供しているが、園全体に関する情報だけである。希望者には個別面談を実施しているが、保護者との定期面談などを通じ、家族の状況や抱えている課題などを把握し意見等を申し出しやすい取組みが求められる。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

玄関に意見箱を設置し受付け手順を掲示するなど、「苦情処理規程」に則って対応している。また、「クラス懇談会」で保護者の意見を聞く時間を大切にしている。申し出のあった意見は、「苦情、意見(要望)対処ノート」に、受付から対応までを記録している。しかし、外部機関への連絡や問合せした場合の問合せ職員名や時刻、外部機関の職員名などが明記されておらず、記録としての体裁が整っていない。受付及び対応欄を工夫するなど書式を整備し、再発防止や保育の質向上に活かす取り組み、及び公表する仕組みが望まれる。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

「危機管理マニュアル」を全職員に配布し周知している。事故及びヒヤリハットについては、医療機関の受診に至った事柄を事故とし、園内だけで対応した事柄をヒヤリハット(軽度事故)としている。その為、いわゆるヒヤリとしたり、ハッとした事柄を収集し、発生の原因と予防を検討する仕組みが無い。保育の場面では、日常的にヒヤリハット事象が発生しており、事故とヒヤリハットの定義の見直しも含め、簡便にかつ分析可能な内容でヒヤリハットを記録・分析・公表し、保育の質向上に活用される仕組みが求められる。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

「感染症予防・まん延防止マニュアル」を全職員に配布し、マニュアルに基づいた対応を周知している。園児のみならず保護者からの情報や近隣小学校からの情報で感染症が発生した事が確認できた場合は、速やかに保護者にアプリで情報を配信している。保護者が確認したかどうかは、既読(未読)にて確認でき、さらに玄関にも掲示し、園だよりである「ひよこだより」にも掲載し保護者への周知を図っている。季節的な感染症などについては、予防を目的に発生前に保護者に情報を提供するなどの工夫が期待される。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「災害対応マニュアル」を整備し、火災又は地震避難訓練を毎月1回、加えて急傾斜危険区域に該当しているため土砂災害訓練を年1回、及び不審者防犯訓練を実施し周知を図っている。災害時の安否確認に関しては、災害ダイヤルの使用や電話確認アプリの活用なども行えるようにしている。また、災害時に必要な食料や備品の備蓄をしている。他方、不審者防犯の見地から門扉の施錠方法などを課題として挙げている。今後は、地域の防災訓練への参加などを通じて、地域との連携を図る工夫が期待される。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法は、「保育の内容に関する全体的な計画」で定めているが、これに沿って年間及び月間等の指導計画が作成されてはいない。また、子どもの尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢が明示されておらず、標準的な実施方法を諸計画に求めるには無理がある。他方、「保育の手順書」で散歩などにおける保育士の動きを明記しているが、保育の実施方法は含まれていない。年齢毎の保育方法や、一日の流れを捉えた保育方法などをとらえ、改めて標準的な実施方法の作成が求められる。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

各クラスの担当保育士が作成した日週案を、施設長及び主任保育士が、文章表現や子どもへの働きかけの内容、環境設定などを確認し、必要な助言指導を行っている。しかし、「保育の内容に関する全体的な計画」「年間指導計画」「月間指導計画」及び「週日案」の見直しと作成時期は明文化されていない。子どもの尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢が明示された標準的な実施方法の作成と、併せて検証・見直しに関する時期やその方法、また、職員や保護者等からの意見や提案が反映されるような仕組み構築が望まれる。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

障害を持った子どもについては、6ヶ月毎に個別支援計画を作成し、アセスメントを次の計画に反映している。それ以外の子どもについては、クラス毎に「前月の様子」や「ねらい」等からなる一覧表の形式で個別の支援計画を作成している。しかし、保護者の希望やニーズを記載する欄が無く、また、一覧表の形式では、友だちとの関わりやあそび、言語理解等、発達の指標をとらえた記載には無理がある。個別支援計画の書式の工夫、及び保護者の希望やニーズの記載、さらに計画作成に栄養士など関係職員が参加するなど組織的な対応が求められる。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

障害を持った子どもの個別支援計画、またそれ以外の子どもについて、クラス毎に作成している支援の一覧表は、各クラスの担当保育士がアセスメントを行い見直し作成している。しかし、特に見直しを行う時期、検討会議の参加職員、保護者の意向把握と同意を得るための手順等は定められていない。組織的な仕組みを定め実施することが求められる。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

日々の保育の状況は、各クラスの担当保育士が「保育日誌」に記録している。その内容を3ヶ月毎に「経過記録」に「養護」「教育」、家庭状況なども含めた「その他」の項目毎にまとめ記録している。記録内容の表現などについては、施設長及び主任保育士が確認し必要な指導をしている。「保育日誌」の記録が特徴的な子どもに偏る傾向が生じている。また、個別の支援計画等を意識した記録にはなっていない。クラス内の子どもの氏名や項目が予め記載された書式など工夫し、子ども一人ひとりの記録の充実が期待される。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

子どもに関する記録の保管については、「運営規程」で定め職員に周知している。具体的には、個人情報の漏洩や不適切な利用がないように持ち出しは禁止している。保管や保存は直接保護者の目に触れない職員室の施錠できるキャビネットで保管している。子どもに関する記録の重要性から、「運営規程」の該当記述とは別に、保育園の実態に即した情報公開や個人情報保護に関する規定の整備と工夫が期待される。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

「保育の内容に関する全体的な計画」では、冒頭に「保育方針」「保育理念」及び「園の目標」が明示され、それに基づき年齢毎の保育目標が記述されている。例えば、「園の目標」の「思いやりのある子」に関連した事柄として、5歳児の「保育目標」蘭に「友達それぞれの思いを認める」事が記述されている。しかし、同じ5歳児の「教育-人間関係」欄にはそれに関する記述がないなど、保育理念や園の目標との関連が一部に限られている。また、児童憲章や児童の権利を捉えた記述も一部に限られている。「保育理念」や「園の目標」を具体的にとらえ、また子どもと家庭の状況や地域の実態により踏み込んだ内容となるよう、「保育の内容に関する全体的な計画」の工夫が望まれる。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

保育室が1つしかないという限られた環境を、カーテンで仕切りクラス毎の空間を確保し、また西日をカーテンで状況に応じて遮光するなど工夫している。また、登園後の手順や食事に際しての手順など、各々の手順を写真と簡単な言葉を添えて表した「写真カード」を作成したり、午睡時などに段ボールで作った仕切りを用いて落ち着ける空間を確保するなど、障害をもった子どもが分かりやすく混乱なく過ごせるように工夫している。保育室の一角に壁で仕切られた幼児トイレが設置されているが、尿臭などは無く清掃が行き届いている。幼児トイレの衛生点検や、園内の清掃についての点検簿、また、季節毎の設定室温や湿度の明示など、工夫が望まれる。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

一人ひとりに子どもの状況に応じて接し方を替えるなど、子どもの気持ちに沿った対応をするように心掛けている。声掛け時の言葉遣いなど具体的に明記した書面はないが、子どもへの関わり方を具体的な事例で確認できる全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて全職員が年1回自己評価を行い、自身の接し方を振返っている。今後は、日常的に自己評価を活用し振返る工夫と、「個別指導計画」や「月間指導計画」「週日案」などの保育計画に、子どもを受容するための援助内容について記述することが期待される。また、「保育日誌」などに、子どもの状況とそれを捉えた保育士の関わりなどの記録が望まれる。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本的な生活習慣が身につくよう、発達に合わせて自分で出来る事を増やせるように声掛けをしたり、自分でやりたい気持ちが出てきたときには出来るまで待ったり、さりげなく援助し自分でできたという気持ちになれるようにしている。例えば、登園した際に、子どもが活動の支度を自分でできるよう声かけしている。また、午睡時の着替えなども自分でできるようパジャマの置く場所を分かりやすくし、少しでも出来たら言葉で褒めて手でマルのサインを示し、子どものやる気を引き出すよう工夫をしている。その年齢に応じた標準的な習得すべき生活習慣内容を、クラス単位の「月間指導計画」に記述し、その内容を「週日案」に反映させる工夫が望まれる。また、その月の子ども一人ひとりの保育の目標が記載されたクラス毎の指導計画に、生活習慣についての取組についても記載され習得状況が確認できるよう工夫が望まれる。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

保育の中で子どもたちが外遊び、お絵描き、ごっこ遊び、お店屋さんごっこなどの遊びを通して様々な体験や経験が出来るように工夫している。また、リトミック、体操、英語、商店街訪問などを保育に取り入れている。保育室が狭く1つしかないというスペース上の制約もあり、コーナー遊びをするスペースを確保して子どもが自主的・自発的に遊べる環境を作ることが難しい。そこで、小さなシートを床に敷いて絵本や塗り絵、おもちゃを置くなど、コーナーを見立てた工夫をしている。異年齢を捉えた保育や、それぞれの子どもの発達に応じて地域の人たちに接する機会、社会体験が得られる機会が持てるよう保育の工夫が望まれる。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:c】

(乳児保育は実施しておらず非該当)

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

他の子どもを意識し始める年齢であるが、まだ他の子どもにどのように接して良いか分からない子どもが多く、ままごと遊びなどの場面に保育士が間に入り、子ども同士の関係を仲介しながら遊ぶなど工夫している。保育室が狭く1つしかないというスペース上の制約の中で、保育士は子どもの自我の育ちを十分に受け止め、子どもが安心して遊びを中心とした自発的な活動ができるよう関わっている。以前あった「連絡ノート」も、保護者の意見や保育士の負担を考えて廃止し、現在は希望者のみとなっている。希望者には個別面談を実施しているが、送迎時や「クラス懇談会」に加えて保護者との定期面談など、日頃から家族の状況や抱えている課題などを把握し、一人ひとりの子どもの状況に応じた家庭との連携など、実効性のある取組みが求められる。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

各年齢の保育に関して、担任が環境や保育を工夫し指導計画をたて、その中で友達との関わりや、遊びの中で様々な活動に取り組めるようにしている。自然や社会への関心が広がる年齢であり、散歩で見かけて花などを図鑑で調べたり、電車などの絵本を見たりできるよう、図鑑や乗り物の絵本を準備するなど工夫している。友達との関わりにおいても、保育士が先回りして関わるのではなく、距離を置き見守ることを大切にしている。保育室が狭く1つしかないというスペース上の制約の中で、特に年長児においてはプライバシーなどへの配慮が必要と思われる。送迎時や「クラス懇談会」に加えて保護者との定期面談など、日頃から家族の状況や抱えている課題などを把握し、特に小学校への就学をとらえ一人ひとりの子どもの状況に応じた家庭との連携など、実効性のある取組みが求められる。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

障害のある子どもが安心して過ごせるように保育環境の工夫を行い、担当保育者は研修を通じて知識を得るようにしている。療育センターなどと連携を取り巡回相談で子どもの様子を見てもらい、保育に関するアドバイスをもらっている。保護者にはアプリ配信を通してクラスの様子を伝えたり、お迎え時に口頭で様子を伝え、気軽に話せる関係を取れるように努めている。また、登園後の手順や食事に際しての手順など、各々の手順を写真と簡単な言葉を添えて表した「写真カード」を作成したり、午睡時などに段ボールで作った仕切りを用いて落ち着ける空間を確保するなど、障害をもった子どもが分かりやすく混乱なく過ごせるように工夫している。希望者には個別面談を実施しているが、送迎時や「クラス懇談会」に加えて保護者との定期面談など、日頃から保護者の思いや不安などを把握し、適切な情報を伝えるなど保護者と連携した取組みが求められる。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

延長保育は実施していないが、一日の生活を通して、朝の時間帯や夕方の時間帯などは異年齢の子どもが一緒に遊んだりして過ごしている。お迎え時の保護者への伝言などは、担任保育士が遅番でお迎えに来園した保護者と直接話せない時には、子どもの様子や保護者への伝言などをメモで準備し、他の保育士でも伝えられるように工夫している。「保育の内容に関する全体的な計画」においては長時間保育についての位置づけはなされていないため、今後の取組が期待される。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

「保育の内容に関する全体的な計画」及び5歳児の「年間指導計画」では小学校との円滑な接続に努め、子どもが小学校への興味関心や期待をもてる保育を目標としている。具体的には小学校主催で年3回、幼・保・小交流会「わくわくなかよし会」を行い、1回目は1対1で顔見知りになり、2回目はクラス全員と遊び、3回目は学校探検を行う等、交流を深めながら就学への自信が持てるようにしている。また本会に先立ち実施される「幼・保・小打ち合わせ会」では、保・幼・当該小学校など計8カ所の教職員が集まり、打ち合わせに加えて就学児についての情報交換を行っている。その他、「保育所児童保育要録」を作成し就学先の学校に送付している。保護者に対しては、秋の「保護者懇談会」にて「わくわくなかよし会」の取組みを伝えるほか、横浜市「安心して入学を迎えるために」を配布説明し、また就学時健康診断の情報を提供し、保護者の不安に応えている。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

健康管理などは、「衛生管理について 感染症予防・まん延防止マニュアル」に則り、入園時に保護者に「児童健康台帳」の提出を依頼し、その後毎年4月・10月の「保護者懇談会」で予防接種歴・既往歴等の確認、追記等を依頼するなど子どもの状態把握に努めている。また、年齢別の「年間保健指導計画」を定めている。保護者には「重要事項説明書」により健康についての方針を伝えるほか、随時園だよりに掲載したりお知らせを掲示し、併せてアプリ配信して情報を提供している。日々の保育では職員は子どもの健康状態を観察し、特に熱性けいれん、アレルギー反応、脱臼など保育中に起こる可能性がある事柄については、施設長が職員に注意喚起している。感染症発生時は病名、症状、人数等を玄関に掲示すると共に保護者にアプリで配信し、速やかな周知を図っている。今後職員や保護者に対し乳幼児突然死症候群(SIDS)に関する周知が期待される。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

内科健診や歯科検診を、それぞれ年2回行い、健診結果を一覧表にまとめ、保育士全員が閲覧できる場所に常時保管している。内科健診では、例えばアトピー性皮膚炎など、医師により受診を要すると判断された場合、職員は医師の所見を保護者に口頭で説明し、受診を勧めている。職員が保護者から言葉の遅れや心身の発達などについてアドバイスを求めた場合は、医師の助言内容を保護者に伝え、幼児相談や療育を勧める契機とするほか、保育内容にも反映させている。歯科検診については「歯科健康診断結果のお知らせ」で各保護者に結果を伝えている。医師の口頭での所見を健診結果として保育士が記録しているが、内科の場合は予め発達状況や心音などの項目を書式として準備するなど、また歯科の場合は、歯式チャートを予め準備するなどの工夫を図り、記録内容の充実と保護者との具体的な連携が望まれる

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患については、横浜市「保育所における食物アレルギー対応マニュアル」に則り、「衛生管理について 感染症予防・まん延防止マニュアル」を定め対応している。アレルギー疾患のある新入園児については、入園時説明会で栄養士との面接を行うほか、「診断書」「検査結果」「アレルギー疾患生活管理指導表」等の提出を依頼している。またアレルギー疾患のある在園児についても毎年3月に保護者に医師による書面提出を求め、医師の指示の下、保護者と連携を図っている。昼食時には栄養士が調理員と連携し、配膳時の手順や担当保育士の配置、食材のダブルチェックの励行など細部にわたりルール化を図り、事故防止に努めている。栄養士は献立表の作成や確認に留意し、食品名、分量を書いた翌月分の献立表を渡し、保護者が確認している。食事やおやつ、行事食等の献立については、アレルギーのある子どもも楽しめる食材を工夫したメニューを作っている。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

「保育の内容に関する全体的な計画」や「食育計画表」に基づき、年齢や発達に応じた食育の取組を行っている。具体的には、野菜作りや調理保育のほか、日々の食事場面ではマナーを身につけながら、食事を楽しめる雰囲気づくりに努めている。保育では3色食品群に興味を持つために、絵本やぬり絵を楽しみながら学べる工夫をしている。5歳児クラスでは課外活動として食材の仕入れ先である精肉店を訪問し、店の見学や店主への質問を行いながら食についての関心を深める活動も実施している。保護者に対しては、献立表やレシピを配布したり、随時給食参加を受入れるなど、機会を捉えて園の食育の取組を伝える工夫をしている。また、保護者とは子どもの体調、食欲、食事量等の情報交換に努めるほか、食べ物の好き嫌いの相談では具材の切り方や工夫の仕方など調理方法への助言なども行っている。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

栄養士は給食時に必ず食席を巡回することとしており、その際に子どもの食べ方、表情、感想などを見聞きし、食べる量や好き嫌いを確認している。「身長体重測定実態調査票」で子どもの発育状況を把握し、翌月の栄養目標量を上げるなど調整を図っている。「給食日誌」には、検食者の意見、喫食状況、残食の量などの記載欄があり、これらを踏まえて、献立や調理の工夫に活かしている。献立は季節の行事食を提供するほか、食材は旬のものを取り入れ、例えば10月はきのこや秋野菜、子ども達が近隣の畑で掘ったさつまいもを食材とするなど、季節感のあるメニューを工夫している。調理員の衛生管理については、毎日「調理従事者作業前健康チェック表」を用いて、発熱や胃腸症状、傷や化膿の有無、服装、爪、髪のチェックを行っている。また厨房についても、毎日害虫の点検チェックを行い所定の記録用紙に結果を記載している。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

家庭との情報共有については、「連絡ノート」は用いず送迎時の玄関先での情報交換、園だよりによる情報発信、ホワイトボードやアプリによる保育内容の伝達を行っている。在園児が進級を控えた2月の「保護者懇談会」では、施設長が保育の意図や保育内容について説明し、保護者の理解を得る機会としている。また4月の「クラス別懇談会」では、保育内容や子ども達の様子などを伝えるほか、3歳児健診やトイレットトレーニングなど各クラスの年齢に応じた情報提供を行っている。更に、保護者の希望により随時保育参観や個別面談を実施しているが件数は少ない。保育全体の様子を伝える工夫はされているものの、子ども一人ひとりの状況について「連絡ノート」に代わる連携手段が限られている。保護者との定期面談などを通じ、個別の家族の状況や抱えている課題などを把握し、連携を深める工夫と取組みが求められる。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

「年間指導計画」に保護者支援を位置づけ、特に年度当初から数か月間は、送迎時に職員と保護者が互いに園や家庭での子どもの様子を伝え合い、保護者が安心感を持てるように信頼関係の構築に努めている。また年度末に向けて1年の成長を伝え、保護者と共に成長を喜んだり、進級や就学に向けて必要な情報を伝えている。玄関などで保護者と気軽に話をすることで、子どもや近隣の情報を得ることも多い。希望者には随時個人面談を行い、「入園のご案内」にもその旨記載し周知している。保護者の様子が気になる場合や、発達や行動面で配慮を要する子どもの保護者については、必要に応じて職員から声をかけ個別面談につなげる場合もある。相談結果は相談者が個人記録に記録し、職員間で共有している。解決すべき課題が生じた場合は速やかに職員会議で情報を共有し対応を協議したり、保護者には発達や療育の相談窓口など関係機関の情報提供なども行っている。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

子どもの様子に変化があった場合は、速やかに施設長等上司への報告を行うこととしている。保育の様子やお迎え時の保護者や子どもの様子などを職員間で情報共有し、職員側から声をかけ、個別面談につなげる場合もある。気になること、心配なこと、関係機関等への連絡などは個人記録に記入することとしている。虐待が疑われる傷やあざを発見した場合は写真に記録し、区の保健師等に通告している。区の招集による個別ケース検討会議に参加した際は、関係機関と情報共有を図り、役割分担により、園として発達面や登園状況に留意していくなどの対応を図っている。また、横浜市やその他の機関による児童虐待防止研修に職員を派遣し、専門性の向上に努めている。登園受け入れ時の視診の徹底と記録や、横浜市「子ども虐待防止ハンドブック」や県の「早期発見のためのチェックリスト」等についての職員への周知と取組みが求められる。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

「保育日誌」に自己評価欄を設け、日誌を記載する職員が保育実践の自己評価も併せて記載している。自己評価にあたっては、子どもの活動やその結果だけでなく、子どもの心の育ち、意欲、取り組む過程に配慮している。しかし現時点では、日誌に記載した自己評価について職員間で話し合う機会を設けることはなく、自己評価に基づく保育実践の振り返りは行っていない。また、年度末に全国保育士会「人権擁護のためのセルフチェックリスト」を用いて全職員が自己評価を行なっている。集計はしていないが、次年度の事業計画の参考にしている。今後、日々の自己評価及びチェックリストによる自己評価についても、職員会議等で話し合い、その結果を保育の改善や専門性の向上につなげる事が期待される。また、改めて保育の質の向上に向けた自己評価の実施方法を定め、定期的に実施し具体的な改善に向けた対応が求められる。