社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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丹沢レジデンシャルホーム

2021年03月08日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 丹沢レジデンシャルホーム 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害者支援施設(施設入所支援+日中活動事業) 定員 56 名
所在地 259-1302
秦野市菩提1711番地2
TEL 0463-74-3303 ホームページ https://www.jousei.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1990年07月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人常成福祉会
職員数
常勤職員:49 名
非常勤職員:22 名
専門職員
社会福祉士:8 名
介護福祉士: 名
施設・設備の概要
個室:44
2人部屋:6

③ 理念・基本方針
基本理念とメッセージ
<基本理念>
『 自由 ・ 自主 ・ 自律 』
 社会福祉法人常成福祉会は、その設立趣意書に「従来の収容保護的な性格を排し、自由・自主・自律の精神を基調として、真の人間性が尊重された生活の保障―ノーマライゼーション(常成)の実現―をめざし、かつ居住環境の優れた施設づくりを目的として設立するものであります。」と記し、法人の基本理念を定めています。
<21世紀へのメッセージ>
 自由とは 自主と自律の 調和から  
    拘束するな 孤立させるな
<制度改革へ向けてのメッセージ>
 ただ支援するだけではなく
 心地よいサービスをつくりたい
 安心して暮らせる住まいを
 楽しく過ごせるひとときを
 必要とするすべての人々に支援すること

 何よりも自由な環境で
 何時も自主が尊ばれ
 何処でも自律した生活が営めるよう
 揺るぎない信念の下で支援すること

 ごくあたり前のことを
 ごくあたり前にできること
 決して制度の先行きに左右されずに

 これが私たちのあるべき姿なのです

④ 施設・事業所の特徴的な取組
○権利保障のシステムを構築し、質の向上を目指す体制を整えている。苦情解決・サービスシステム(リスク・マニュアル・ライフサポート)・サービス評価・実践教育などの視点から、実践内容を多角的に評価している。自己評価・利用者評価も毎年実施し、以上を半期の評価として、12月に「権利保障システム実施報告書」にまとめている。
○サービス利用者や家族のニーズ、市の社会資源の状況、制度の変遷などを踏まえ、理事会の承認の下、法人全体の「施設整備計画」を策定している。法人の中長期計画である「施設整備計画」は、令和2年度より、「第5次施設整備計画」に入り、ともに生きる豊かな地域社会の構築を目指して、事業展開を図っている。地域のニーズを踏まえ、現在の定員56人から40人にし、短期入所枠を増やして、緊急時を含む利用に備える構想がある。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/08/01(契約日) ~2021/02/05(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 6 回(2017年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○法人の基本理念「自由・自主・自律」の下、施設を開設して30年が経過する中、独自の施設整備計画を策定し、地域の中での社会福祉法人の役割を発揮している。法人内の各事業所での個別支援、地域の各種会議、地域拠点での住民との意見交換や交流会、サロンなどを通じて、地域のニーズを把握している。
○居住者は4つの棟に分かれ、日常生活を送っている。日中は、生活介護事業所に通ったり、自室で過ごしたり、趣味活動などを行っている。施設開設時より、居住者の自治会があり、居住者の声をまとめ、施設運営の改善につなげている。
○施設開設時は、四肢麻痺などの身体的な障害のある居住者が中心であったが、現在は、知的な障害を抱える方、精神的な障害のある方、強度行動障害のある方など、居住者の障害も多岐に渡っている。居住者のニーズを把握するため、数年前から「居住者をみる」ことを、事業所のテーマとして、居住者との日々の関わりを増やしている。本人を取り巻く環境的な要因、人的要因、得意なもの、苦手のものなどを、図表にまとめ、本人のストレングス(強み)に着目する取り組みを行っている。
○居住者と話す機会を多く持つよう、数年前から取り組んでいる。支援担当者は、1ケ月に1回は、必ず今月はどうだったか、居住者と一緒に振りかえる機会を作り、課題があった場合は、どうすれば解決できるかを一緒に考えている。居住者のフェルトニーズ(利用者が感じるニーズ)を確認して、必要に応じて関係部署と連絡し、リアルニーズ(真のニーズ)に近づけられるよう支援している。
○入職時、全職員に「キャリアブック」を配布して、各階層に求められるスキルや職員像を示している。また、階層ごとに必要な研修も明記して、それに準じて研修の調整を行っている。法人の実践教育部会にて、「キャリアブック」やキャリアパスについて適宜見直し、更新や修正を行っている。
○新任職員は、2日間の新人研修を受け、その後は育成担当、チューター制を導入し、年度にわたって、個々の習得状況に合わせた指導、教育を行っている。2年目以降も、配属された棟で、フォローアップを行っている。非常勤職員についても、チーフやリーダーを指導職員として配置している。全職員が年2回、「業務管理シート」を用いたDo-CAP(実行→評価→改訂→計画)面接を受け、年末にはキャリアパスに沿った評定書を作成している。
○福祉サービス第三者評価を継続的に受審し、今回が6回目の受審となる。第三者評価に継続して取り組み、評価結果を権利保障システムに反映して、提供する福祉サービスの質の向上に施設全体で取り組んでいる。
◇独自項目への取り組み
〇事業所におけるサービスの質の向上のためのシステムを確認する「発展的評価項目」に取り組んでいる。「接遇スキルの向上」をテーマとして、取り組みの過程をPDCA(計画、実行、評価、改訂)に分け、実践を振り返っている。居住者への声かけ「声のトーンに気をつける」について、職員が意識して関わることを実践している。接遇における課題は永続的な課題であることから、今後も継続して取り組むこととしている。
〇内容評価項目について、事業所が具体的に次への取り組みを検討する「課題抽出項目」では、<A7:利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている>の着眼点のうち「不適応行動などの行動障害に個別的かつ適切な対応を行っている」をあげ、課題を抽出している。居住者の不適応行動に対して、具体的な改善策を検討している。
改善を求められる点

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 a評価を数多くいただいた点について、事業所としての基本的なサービス提供や権利保障システムのあり方、管理・運営の方針、地域との連携のあり方について評価いただき、支援に従事する職員一同の自信に繋がると考えます。
 一方、個々の特性の理解に基づいた居住者の方がたへのアプローチや、日頃の接遇のあり方については課題があり、今後も継続して改善を図る必要があります。利用者評価で示された改善への要望についても、今回の発展的評価項目及び課題抽出項目で採り上げた視点での取り組みを積極的に推し進めてまいります。
 目下、Covid-19対策で施設内外での活動に制約が多いことから、特に余暇支援のあり方には工夫の余地がありますが、感染防止への取り組みを続けつつ、少しでも生活に彩が生れるよう、職員一同取り組んでまいります。

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評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

施設のパンフレットやホームページ、職員配布用の「キャリアブック」に、法人の基本理念を掲載して周知を図っている。また、毎年、法人内の職員を対象とした「権利保障研修」で、法人の理念の再確認を行っている。「権利保障研修」では、理事長や専務理事が、障害者虐待防止法の理念などを説明しているが、今年度はコロナ禍で、事業所単位で開催している。法人の理念は「利用契約書」にも明記し、利用契約時や、3年毎の契約更新時に、居住者に説明している。居住者本人の意思決定に関わっている家族には、来所時に、広報誌「ぶなの森」を配布し、利用者調査の結果を報告している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

障害福祉及び関連法を遵守し、県や市の障害者に関連する福祉計画の質や量を把握して、施設の整備計画に反映している。また、市の障害者支援委員会(自立支援協議会)及び専門部会に職員が参画して、障害当事者のニーズや社会資源の整備状況を把握して、施設運営に反映している。県の身体障害施設協会の施設長会に施設長が出席する他、スポーツ大会の各委員を職員が担い、広く情報を入手するようにしている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

月1回、専務理事、参事、各部長で構成する法人の権利保障委員会法令遵守部会を開催し、経営状況や改善すべき点について、現状と課題を整理している。人材不足による職員体制の改善を、急務の課題として取り組んでいる。また、月1回、部長と各マネージャーが集まる運営会議で、各事業所の人材確保の状況を報告し、報酬改定や制度改正を視野に入れて、現場の課題を集約し、課題解決に向けた検討を行っている。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

サービス利用者や家族のニーズ、市の社会資源の状況、制度の変遷などを踏まえ、理事会の承認の下、法人全体の「施設整備計画」を策定している。法人の中長期計画である「施設整備計画」は、令和2年度より、「第5次施設整備計画」に入り、ともに生きる豊かな地域社会の構築を目指して、事業展開を図っている。地域のニーズを踏まえ、現在の定員56人から40人にし、短期入所枠を増やして、緊急時を含む利用に備える構想がある。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、中長期計画を細分化した内容と、中長期計画では示していない、居住者の生活に密接に関わる内容で構成している。また、事業計画は、実行可能で具体的な内容としている。「施設整備計画」の重点目標には、時間が経過しないと取り組むことができないものもあり、難しい面もある。単年度の計画は、年度末にふりかえり、「事業報告書」にまとめている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

日頃より把握している各種意見や、サービス評価の結果を基にして、単年度の事業計画を策定している。毎年、1~2月に担当部長とマネージャーで計画の大枠を決め、施設長も参加する「マネチリ会議(マネージャー、チーフ、リーダー)」で、具体的な計画としている。その後、法人本部のヒアリングを経て、最終的な事業計画としている。職員には4月の職員会議の場で、内容を説明している。 

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、取り組みのポイントを明確にして、文言をわかりやすくしたものを、居住者向けに常時、掲示している。掲示物は、職員も内容を確認している。また、居住者が組織する「自治会会議」や「居住者会議」の場で、内容を説明している。現在、家族会の組織はなく、家族に向けて、事業計画も呈示していない。後見制度の利用も増え、家族との連携も不可欠になることが想定されるので、家族との関係作りは今後の課題としている。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

権利保障のシステムを構築し、質の向上を目指す体制を整えている。苦情解決・サービスシステム(リスク・マニュアル・ライフサポート)・サービス評価・実践教育などの視点から、実践内容を多角的に評価している。自己評価・利用者評価も毎年実施し、以上を半期の評価として、12月に「権利保障システム実施報告書」にまとめている。利用者調査は、居住者からの聴き取りが多くなるため、他事業所の職員が対応し、結果の集計も他事業所が担当している。職員の自己評価は全職員を対象にして、言葉遣いなど居住者との関わりについて、「評価表」を用いてチェックしている。第三者評価も定期的に受審し、今回が6回目の受審になる。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

評価結果を踏まえ、次年度に向けた課題と目標を「年次報告書」としてまとめている。「年次報告書」は職員も内容を共有できるよう、いつでも閲覧できるようにしている。改善策の策定は、内容に応じて、当該担当者が分担して対応することもあるが、現場からの意見も踏まえ、マネージャーが大枠の作成を担当している。また、実施段階で、細かい修正を担当者が加えることとしている。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長の職務分掌は、「職務権限規程」や「事務分担表」に明記して、職員に周知している。施設長不在時の権限は、マネージャーに委任している。災害の発生などの有事の際の施設長の責任と役割は、「防災マニュアル」に明記している。年4回、広報委員会にて、広報誌「ぶなの森」を発行し、居住者や関係機関に配布している。広報誌にも、施設長の役割と責任を掲載している。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

遵守すべき法令などを正しく理解するため、月1回、法人の権利保障委員会法令遵守部会を開催し、法制度とその運用、実態の把握・確認を行っている。法令遵守部会で把握した内容は、各事業所に持ち帰り、職員に説明して周知を図っている。ただし今年度はコロナ禍で、各会議は予定通りには開催できていない。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

組織のマネジメント体制(マネージャー、チーフ、リーダー)を基盤として、法人及び施設(事業所)の専門部会(権利保障システム)・委員会の役割機能を活用して、サービスの質の向上に取り組んでいる。人員不足により、支援現場は厳しい状況にある。夏季や冬季の休みに加え、働き方改革の有給取得日数の遵守事項もあり、職員配置に苦慮している。時間給の非常勤職員の雇用で、平日の日中の対応は問題ないが、土日や祭日の対応で頭を悩ますことが多い。人員不足から、新たな取り組みを積極的に進めていくには課題がある。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

業務の改善や、業務の実行性を高める取り組みは、組織のマネジメント体制(マネージャー、チーフ、リーダー)や組織内の棟、委員会の活動を通して行っている。支援現場の実情を、法人内の会議に報告し、改善策を提案するなど、組織全体で取り組んでいる。施設のレクリエーション委員会は、法人の日中活動委員会へ、食事改善チームは、法人の食事サービス委員会に統合してスリム化を図り、法人が抱える課題に対して、効率よく検討できる仕組みを構築している。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:c】

必要な福祉人材の確保については、法人全体で採用に取り組んでいる。求人広告や求人媒体、就職説明会、学校説明会などで働きかけているが、採用実績は十分とはいえない状況が続いている。特に夜間の勤務が可能な女性職員の不足が続いている。職員の離職防止として、法人全体で、給与面や夏冬休暇の取得方法などを改善している。外国人の雇用についても、情報を収集している。福祉人材の確保については、人事担当との間に、採用計画がないため、今後の課題としている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

それぞれの職員階層(1~7級)によって、期待する職員像を「キャリアブック」で示し、職員に配布している。毎年、職員が自己評価を文書で提出し、上司が評価する仕組みを作っている。昨年度の働き方改革を受け、職員処遇について、職員から意見を収集して、各事業所のマネージャーが取りまとめ、改善を行っている。キャリアパスは非常勤職員にも必要との意見などがあがっている。職員からの意見収集は今年度も継続して行っている。「キャリアパス概念図」でキャリアアップの仕組みを示しているが、法人内の事業所は通所系の事業所が多いため、職員のキャリアを積み上げる異動ができない悩みがある。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員の就業状況や意向の把握、働きやすい職場作りに取り組んでいるが、福祉人材の確保・定着について、具体的な計画は作成していない。定年退職などの状況を把握して、いつ頃、どのような人材を確保するか、具体的に示す必要があると捉えている。また、職員の就業状況の把握や、職員が相談しやすい環境を整えてはいるが、そのことが結果につながっているかどうか、賛否両論があがっている。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像は、「キャリアブック」に示している。常勤職員との個別の面接は、4月と10月の年2回、「業務管理シート」を用いて、マネージャーがDo-CAP(実行→評価→改訂→計画)の面接を行っている。また、非常勤の職員に対して、最低年1回、職務別のグループに分かれ、マネージャーが意見を聴いている。「キャリアブック」で示す職務基準の内容と、給与体系が連動していないため、仕組みが適切に機能するための動機付け要因が加わるとよいと考えている。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

入職時、全職員に「キャリアブック」を配布して、各階層に求められるスキルや職員像を示している。また、階層ごとに必要な研修も明記して、それに準じて研修の調整を行っている。法人の実践教育部会にて、「キャリアブック」やキャリアパスについて適宜見直し、更新や修正を行っている。新任職員は、2日間の新人研修を受け、その後は育成担当、チューター制を導入し、年度にわたって、個々の習得状況に合わせた指導、教育を行っている。2年目以降も、配属された棟で、フォローアップを行っている。非常勤職員についても、チーフやリーダーを指導職員として配置している。全職員が年2回、「業務管理シート」を用いたDo-CAP面接を受け、年末にはキャリアパスに沿った評定書を作成している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

法人の実践教育部会にて、権利保障や虐待防止の研修を企画して、「全体研修」を開催している。各部署の研修については、各部署のマネージャーやチーフが内部研修を企画、開催している。今年度はコロナ禍で開催の中止が続いているが、外部研修の情報提供や外部研修の派遣などは、職員個々に求められる資質などを勘案して対応している。職員個々の研修履歴や資格取得状況の管理は、実践研修部会が研修管理ソフトにて管理している。必要に応じて、各事業所の管理者に情報を提供し、事業所を異動した際にも、職員の状況を把握できるようにしている。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

毎年、実習指導者養成研修に職員が参加して、専門知識や実習指導者としてのスキルアップに努めている。教員、社会福祉士、介護福祉士別に実習プログラムを作成し、それぞれの実習生に対応している。今年度は教員実習は受け入れていないが、昨年度は10数名の受け入れを行っている。また、大学から社会福祉士2名、専門学校から介護福祉士数名の実習を受け入れている。職員にとっても勉強の場になるため、今後も受け入れていく予定である。担当教員とも連携し、実習中の状況を報告している。実習生には、実習終了時にアンケートを取り、その中であがった課題を、次の実習生の受け入れに活かしている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

年4回、広報誌「ぶなの森」を発行して、事業報告や行事などの報告を行い、運営の透明性を確保している。法人のホームページに、事業及び収支報告を掲載している。また、県指定の日本財団「CANPAN FIELDS」に、情報を公開して、誰でも自由に閲覧できるようにしている。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

「組織職制規程」や「職務権限規程」、「経理規程」を整備する他、「事務分担表」に、ルールや権限、責任を明記し、職員に周知している。事業及び財務については、「権利保障委員会設置規程」に基づき、外部の専門委員を配置して、経理監査や権利保障関係事務監査、サービス評価検証を実施し、規程類も更新している。外部の専門委員として、有識者や当事者、社会福祉士、弁護士、税理士などが関わっている。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域活動を個別支援の一環として捉え、地域の招待行事に参加するなど、施設内外の人々と交流し、相互理解が深められるようにしている。今年度はコロナ禍で開催を中止しているが、毎年、10~11月には、地域のどこかでお祭りがあり、可能な限り、参加を希望する居住者2~3名と出かけている。今年度は毎週行っていた外出が思うように実施できないが、「ハンディキャブの会」やボランティアと連携して、「買い物」などの外出、行事などに付き添っている。福祉車両などの社会資源も活用している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

デイサービスセンターの所長を受け入れ担当としている。法人や神奈川県社会福祉協議会のホームページで、ボランティアを募集しているが、一般のボランティアの活動は多くはない。音楽クラブや華道、絵画、編み物などの趣味活動や、タクティール(肌を触れ合う緩和ケア)、アニマルセラピー、買い物の付き添いなどにボランティアが活動している。コロナ禍で開催を中止しているが、年度末には、ボランティアを招いて「連絡調整会議」を開催している。調整会議では、ボランティア活動の感想などを、参加者から聴いている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

湘南西部障害保健福祉圏域の「地域生活ナビゲーションセンター」を担い、部会などに出席して地域の課題を共有している。必要な社会資源について、他の委員や他地域と連携を深めてネットワークを作ることで、地域に必要な取り組みや資源の開発に努めている。湘南西部圏域の事業では、隔月に広報誌を発行して、トピックスを広く共有し、事業への理解と協力を求めている。法人のホームページでも、各種の情報を発信している。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の創立以来、独自の地域福祉計画を策定し、地域の中での社会福祉法人の役割を発揮している。法人内の各事業所での個別支援、地域の各種会議、地域拠点での住民との意見交換や交流会、サロンなどを通じて、地域のニーズを把握している。地域生活を円滑にすすめるために特別なニーズを持った人たちが多くいることから、平成16年より、有期限・有目的で数ケ月単位で利用できる「ミドル入所」を開始し、入所施設の専門性を地域に還元している。地域には、身体的な障害だけでなく、知的な障害のある方、精神的な障害のある方、強度行動障害のある方が暮らしており、多くの関わりが求められている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域で把握したニーズに応えるため、平成5年から独自で相談支援事業を開始し、また、障害者の地域移行を促進するため、平成15年から緊急通報システム事業を自主事業として始めている。平成21年には、日中一時支援事業を住宅地に開設し、居宅介護、相談支援事業も併設し、地域の様々なニーズに即応できる包括的な支援体制を構築している。法人全体で、障害福祉にとどまらず、各事業所の個別支援、地域での各種会議、また、独自の施策により、地域ニーズの把握と地域の中での解決のためのネットワーク作りに、一貫して取り組んでいる。地域の自治会と防災協定を結び、災害発生時の避難場所の役割も担っている。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理念や基本方針に「居住者の尊重」を明示し、倫理綱領を策定している。法人内で定期的に権利擁護の研修や接遇研修、ライフサポート研修を開催し、「居住者の尊重」の実践に努めている。接遇については、言葉遣いなどに取り組み、居住者を第一に考える研修を行っている。また、虐待防止リストを活用して、年1回、職員が自己評価に取り組んでいる。日々の関わりでは、居住者の意向を尊重することを意識化しているが、職員の若年化や障害の多様化、複雑化など、さまざまな要因が重なり、一般的な常識から離れている内容であっても、その意向の実現に向けて対応していることもある。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

居住者のプライバシーの保護に配慮して、規程やマニュアル類を整備し、それに則りサービスを提供している。建物は年数を経ており、排泄や入浴介助の場面において、十分な環境設定とはいえないが、居住者のプライバシーに配慮して支援している。排泄や入浴の介助は、同性による介助を基本としているが、やむを得ず異性による介助になる場合は、事前に居住者や家族から同意を得た上で行っている。プライバシーの保護に関して、居住者からあげられる声については、一つひとつ解決できるよう、検討している。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

利用希望者の見学には、基本的に施設長やマネージャー、直接の担当者が個別に付き添って対応し、丁寧な説明を心がけている。施設のパンフレットなど、説明資料については、見学に来る利用希望者にとって、わかりやすい内容になっているかどうか、職員からも意見があがり、検討の余地がある。現在、特に問題はないが、視覚的にもっと理解しやすい資料の作成を検討する必要があると捉えている。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの開始や変更にあたっては、居住者の了解と家族の承諾をベースに置いている。居住者の自己決定を常に尊重するとともに、意思決定が難しい居住者への説明については、居住者個々の状態に配慮して行っている。ガイドライン的なものは必要と感じるが、多くの人が理解できるユニバーサルデザイン化した資料は用意せず、あくまでも居住者の個別性を尊重することを重視している。個別支援計画の見直しは、6ケ月ごとに行い、居住者の意思決定を支援している。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設を退所し、居住者が地域の生活に移行する際は、事前にそこでの生活イメージを作ることから始め、利用したいサービスを組み立て、実際に関わる機関や団体、個人との調整を済ませた上で、地域移行に取り組んでいる。生活環境が著しく変化する中、希望を持って新しい生活に挑戦する方が多いと感じている。移行当初は新しく発生する課題に対して、地域の支援者と協力して支援している。退所後も、状況に応じて、短期入所の利用をすすめ、状況を整理する機会を設けている。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎年、居住者に対して、利用者評価を実施している。利用者評価は、居住者からの聴き取りが多くなるため、他事業所の職員が対応し、結果の集計も他事業所が担当している。利用者評価の設問は、法人のサービス評価部会で見直し、居住者が評価しやすい内容となるよう検討している。また、居住者の声を聴く場として、居住者の自治会がある。居住者のニーズや思いと、職員の思いのズレを把握、検証し、改善できるものと、できないものを整理している。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

システムとして苦情解決の体制を整えている。苦情解決責任者や苦情受付担当者、第三者委員、当事者相談員としてのK-フレンズ(かながわ身体障害福祉ネットワーク)を掲示して、周知を図っている。居住者からの訴えは、苦情かどうかに拘わらず、報告し、取りこぼし防止に配慮している。プライバシーへの配慮から、苦情解決の結果は居住者全体に公表していないが、内容に応じて、「自治会会議」や「居住者会議」の場で、対策部分に特化して説明を行っている。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者や苦情受付担当者、第三者委員、当事者相談員としてのK-フレンズを掲示して、周知を図っている。居住者の自室以外に、複数の相談スペースを確保して、居住者の相談に応じている。居住者の声は、日常の生活場面で、随時、聴き取りを行っている。「自治会会議」や「居住者会議」の場においても、居住者の声を聴き取るようにしている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

居住者からの意見や相談は、日常の生活場面で随時、聴き取りを行っている。内容に応じて、生活日誌や支援記録に記載し、苦情解決システムを活用し、居住者の自治会との協議につなげ、対応している。対応内容は、担当部長を通じて法人のトップへも報告している。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

サービスシステム委員会を設置している。毎月、サービスシステム委員会を開催し、事業所におけるリスクマネジメントシステムの管理や、必要に応じて、各棟や支援担当との報・連・相を密に取り、事故防止や事故の再発防止に取り組んでいる。前回の第三者評価の受審後、インシデント事象の発見や、共有化の向上に力を入れている。その結果、アクシデントとの線引きの明確化や、発生の防止につながっている。外傷事象など、特に緊急度や繰り返す可能性の高い事象については、各棟会議で話し合い、その後の対策を、チームで検証できるようにしている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症のマニュアル(感染症対策、体調不良者への対応、新型コロナウイルス感染症対策)や管理体制を整備し、発生時の対応や予防策に努めている。感染症の情報を共有し、職員全体の意識を高めている。居住者へは、「自治会会議」や「居住者会議」を通して、状況を報告している。新型コロナウイルス感染対策の研修会も開催している。施設内の換気も時間単位で行い、感染の予防に努めている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

防火管理委員会を設置し、月1回、防災訓練を実施して、居住者の安全確保の取り組みを行っている。防災訓練の実施時には、疑似の消火器を使用した取り扱い訓練や、消防署との電話対応も行っている。ただし、訓練参加職員が均等になりにくいことや、休みの職員の安否確認などに課題が残っている。また、災害時のフローチャートなどの種類が多く、理解しきれていない部分もあり、今後の検討課題としている。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

直接、間接業務それぞれに、サービスマニュアルを整備している。手順が複雑なものや、多数の職員が関わるものは、フローチャート化し、どの職員が関わっても統一したサービスを提供できるよう努めている。マニュアル通りに業務が遂行できているかを確認するシステムはないが、疑問などを感じた職員が報告し、状況を共有し、業務改善につなげる取り組みを行っている。特に居住者の状況が変わりやすい入浴や食事などは、改善チームを設置して、日頃から話し合いを行っている。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

サービスシステム委員会が中心となり、毎年、サービスマニュアル全体の更新に関する方針を立てている。現場職員が困惑しやすい内容及び災害対策関連のフローチャートは、優先的に更新できるよう取り組んでいる。サービスマニュアルの更新に伴い、居住者個人のケアマニュアルの内容も検討し、支援計画に反映している。居住者個人のケアマニュアルの検討、更新にあたっては、対象となる居住者と十分に話し合いを行っている。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

アセスメントから計画の策定までのプロセスは、初めて支援担当を持つ職員を対象にして、事前に、面接方法や作成方法の指導(研修)を行っている。保健医療、栄養管理の各担当などとも連携して計画を策定し、多角的な視点から支援を行うことができるようにしている。各棟会議や個別支援会議などで情報を共有し、支援の進捗状況を確認している。職員間で意見交換を行い、必要に応じて全体に内容を申し送り、生活員全体で、居住者の日常の支援にあたっている。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

半期に1回、モニタリングを行い、また、3月の年度末総合評価で、支援の全体的な見直し、評価、変更を行っている。居住者に大きな変化があったり、本人の意向やニーズが支援目標と変わったりした際には、定期のモニタリング以外に、随時支援の見直しを行い、再アセスメント後に支援内容の変更を行っている。居住者本人のニーズに合わせ、柔軟に対応している。個々のニーズを充足すること、支援の質を向上すること、利用者主体の支援を展開していくことを、職員間で共通認識している。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

居住者の支援記録については、支援計画の内容以外に、申し送りや本人の心身の状態変化を記録に残している。個々のケースファイルを常に確認することで、情報を共有するようにしている。また、支援記録の書き方についても、事前の指導や、棟職員やリーダー、チーフが内容を確認し、記入する職員によって書き方が異ならないよう指導している。記録類の保管は、書面での保管とともに、施設内のパソコンのネットワーク上でも管理している。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人全体で、個人情報の管理に力を入れており、P(プライバシー)マークの取得も行っている。個人情報漏洩防止についても、職員研修などで指導している。やむを得ない理由で、居住者の情報を医療機関などに提供する際には、本人及び家族から「第三者機関へ提出する同意書」にて、事前に同意をもらって対応している。支援記録などの保管については、基本的にパソコン内で行い、USBメモリなどの持ち出しは禁止している。書類については、永年保管、5年保管、3年保管に分類し、適正に保管している。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画を始め、日々の支援において、居住者が前向きに考えられるよう検討することや、課題が生じたときには自身で振り返り、共に課題解決が図れるよう支援してる。脳梗塞を発症し、車椅子の自操が困難な居住者が、それでも自分で動きたいと、手すりにつかまりながら車椅子で移動している。本人の思いを尊重し、どうしたら危険なく移動できるか検討している。本人の意向確認や意思の表出が難しい場合は、家族や後見人と連携し、医師などの専門的見地を踏まえて、支援方針を検討できるようにしている。華道や囲碁などのクラブ活動や、ローリングバレーの参加なども、本人が希望する活動に参加してもらうよう支援している。居住者の権利に関しては、職員が権利保障研修などを通して定期的に学び、理解・共有するよう努めている。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

権利保障システムの中核に、苦情解決システムを位置付けている。身体拘束については、アセスメントシートに内容と理由を記載し、本人や家族へ説明して同意をもらっている。また、モニタリングシートや、年度末総合評価にその状況と評価を記載し、その後の継続の可否をモニタリングしている。現在、対象となる行為の根拠となる部分を、より明確化できるよう検討している。自傷行為のある方で、入浴時に自傷や胃ろうのチューブを抜去してしまう行為がある場合には、家族の了解を得て、ミトンの手袋を使用することがある。年2回、苦情受付担当会議を開催し、苦情や苦情につながりそうな事例を法人の各事業所間で共有し、課題について意見交換を行っている。虐待として対応したケースはないが、埋もれている事例があると常に意識して、予防に努めている。職員の言葉遣いを基本に置き、信頼関係ができると言葉が乱れてくることがあるので、職員間で注意している。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念に「自由、自主・自律」を置き、居住者のニーズを「生活に対する意向」として整理し、明確にしている。明確にしたニーズを「解決すべきニーズ」として、目標に掲げ、居住者が目標に向かって生活できるよう支援している。日常生活における動作については、見守りや一部介助など、本人の意向や機能を意識して介助している。行政などに関する手続きは、職員のみで行うのではなく、本人とともに手続きをするようにしている。状況により職員が代理で行う場合も、その経過や結果を本人に知らせ、理解してもらえるよう取り組んでいる。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

数年前から「居住者をみる」ことを、事業所のテーマとして、居住者との日々の関わりを増やしている。本人を取り巻く環境的な要因、人的要因、得意なもの、苦手のものなどを、図表にまとめ、本人のストレングスを探し出す取り組みを行っている。また、日中活動日誌に、居住者の日々の表情や態度などを記入し、この方はこんなことが好きだったんだなど、意外な発見をしている。意思伝達が困難な方は、スマートフォンを利用して文字で伝えたり、文字盤を使ったり、ジェスチャーでコミュニケーションをとったりと、様々な手段で意向を確認するよう工夫している。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

居住者と話す機会を多く持つよう、数年前から取り組んでいる。支援担当者は、1ケ月に1回は、必ず今月はどうだったか、居住者と一緒に振りかえる機会を作り、課題があった場合は、どうすれば解決できるかを一緒に考えている。居住者のフェルトニーズ(利用者が感じるニーズ)を確認して、必要に応じて関係部署と連絡し、リアルニーズ(真のニーズ)に近づけられるよう支援している。障害により、自分の感情がコントロールできない方の場合は、今どんな気持ちなのか考える時間を作って、気持ちの整理ができるよう支援している。自身で意向を伝えることが困難な方は、より多くの情報から一番よい状態を保つことができるよう、情報収集のスキルアップが必要であると考えている。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中活動は、本人の希望するスポーツや華道などのクラブ活動、アロマセラピー、カラオケなど、できるだけ多くの活動を準備し、日ごろのアセスメントから、その方に合った過ごし方を提供している。自身で生活を組み立てるのことに支援が必要な方は、身体状況や本人の意向を踏まえた上で、趣味活動室で個別製作や共同製作などを行っている。参加した様子を写真などで掲示し、そこで感じた思いなどを残すことや、参加していない方へ情報を提供している。日中活動委員会があり、クリスマス会、秋祭りなどの計画を立てて、参加を募り楽しんでいる。パソコンの打ち込みの練習をしたり、漢検に挑戦するために、漢字の練習をしている方など、それぞれの趣味や考えにより、日中活動を楽しんでいる。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

居住者が抱える障害だけでなく、その方の性格や生活歴を踏まえ、その人を知る取り組みを行っている。生活歴から、昔は地域のお店によく行っていたことがわかると、懐かしいお店に外出できるよう調整している。また、普段と異なる行為があった場合は、日誌や支援記録、リスクマネジメント報告書に記載し、その情報を基に今後の支援の検討を行っている。居住者間でトラブルが発生した際には、両者が話し合える場を設け、お互いの気持ちを確認できるようにしている。行動障害のある方には、ライフサポート(個人の情報がすべてファイルされているもの)関連の書類に内容を記載し、定期的にモニタリングを行って、支援方法を見直している。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

居住者からのアンケートや日々の検食結果から、居住者の意見を栄養管理担当者に報告している。食事は皆楽しみにしているので、意見を献立に反映している。毎月の誕生会では、特別なお重やランチボックスを用いて、豪華な雰囲気の中、季節の食材を使った料理を提供している。月1回、「お寿司の日」があり、握り寿司やチラシ寿司、海苔巻など、居住者が好きなものを出前で注文している。特別浴槽や中間浴槽、一般浴槽を備えているが、身体的な面で特別浴槽を利用する方が多くなっている。居住者は、週3回ゆっくりと入浴している。電動車椅子や車椅子で移動する方が多く、介助を必要とする方が増えている。生活支援について、ケアマニュアルを整備し、居住者の意向を確認しながら、個別支援計画に基づいて支援している。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

清掃作業をルーチン化して、施設内外の清潔を保つよう努めている。各居室にエアコンを設置し、居住者が快適に過ごすことができるよう配慮している。廊下などでエアコンのない箇所が一部あるが、扇風機やヒーターなどを使用している。居室のベッドには、いつでも職員に連絡できるようナースコールを設置しているが、麻痺のある方や押すことが困難な方には、位置を工夫したり、レバーを引く、ブレスで呼ぶなど、その方に合った装置を設置している。施設の老朽化や、個別ニーズへの対応が十分でないこともあるが、居住者と十分に話し合い、できる部分を提示して理解を得ている。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

月1回、提携する病院の理学療法士が来所し、リハビリテーションが必要な方のメニューを決めて、実施している。また、日常生活上の訓練についての助言をもらい、居住者は日々の生活の中で、身体を動かしている。リハビリテーションの見直しは、看護師や医師、理学療法士など医療面からの見地で行っている。メニューの変更などは、リハビリ担当職員が状況を観察して、関係者につなげて支援している。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

食事の進み具合や排泄などから、居住者の日々の健康状態の把握に努めている。医師や看護師の指示により、食事量や排せつの状況をチェックし、その後の診察につなげている。施設訪問医が定期的に訪れ、居住者の状態を確認している。また、看護師は平日の日中に常駐し、胃ろうの方へのケアや各種処置を行っている。常に痰の吸引が必要な方が3名ほどいる。介護職も資格を持っているが、医療的ケアが必要な方は、看護師が対応することが多い。居住者の体調急変などにすぐに対応ができるよう、看護師による研修も定期的に行っている。体位ドレナ―ジ(体位を変えることで排痰を促す)の方法、感染症予防、爪の切り方などの研修を行っている。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

胃ろうを造設している居住者は、本人の状況カードに、何時どれだけ注入したか、看護師が記録している。入浴後には、ポカリスエットの注入など、その方に合った方法を決めている。生活員が痰の吸引などの行為を行うこともあるが、医師や看護師の指示の下、安全に行えるよう努めている。医療的な処置や薬の管理は看護師が行っている。服薬に介助が必要な方も多い。誤与薬防止のため、職員が二人で朝、昼、夕の薬の確認と、名前の確認をダブルチェックし、服用後は空袋をトレーに載せて確認している。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中活動として、陶器製作などを行い、地域のイベントで展示したりしている。また、他法人の事業所で、ビーズ製作やクッキー作り、資源集めなどを行い、社会参加をしている。本人が意欲を持って継続できるよう、関係者間で連携をとり、本人のニーズに応じたプログラムとなるよう配慮している。外出泊を希望する方が多く、家族やボランティアの協力を仰ぎ、可能な限りニーズに応えられるよう、車両の貸し出しなども行っている。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

希望者は多くはないが、地域での生活を望む居住者には、本人の身体状況などを確認して、できるだけ希望に添うことができるよう、関係者と連携を取りながら支援している。単身生活を想定し、施設内の体験室で一人暮らしを体験し、その中で、何ができて、何が困難かを見極めていくようにしている。地域生活に向けて、自身で行える日常生活動作をあらためて確認し、自立した生活を送ることができるよう目標を立てて支援している。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

最高年齢が86歳となり、居住者の高齢化が進んでいる。それに伴い、家族の高齢化も進み、家族の体調不良などが起きている。後見人がついている方も、6人と増えてきている。毎週あるいは毎月、必ず面会に訪れる家族もいるが、コロナ感染症の関係で面会を遠慮してもらっている。現在、事前に予約を受け、短時間の面会を実施している。家族が来所できないため、担当職員が定期的に家族に電話して、居住者の状況を報告している。中止になる行事も多く、恒例の秋まつりも、規模を縮小して開催している

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

施設入所支援により、評価外とする。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

施設入所支援により、評価外とする。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

施設入所支援により、評価外とする。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

施設入所支援により、評価外とする。