社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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救護施設岡野福祉会館

2021年03月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 救護施設岡野福祉会館 評価対象サービス 救護施設版
対象分野 救護施設 定員 130名(135名) 名
所在地 220-0073
横浜市西区岡野2-15-6
TEL 045-311-2601 ホームページ http://www.kanagawa-doen.jp/okano-fukushikaikan/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1996年02月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人恩賜財団神奈川県同胞援護会
職員数
常勤職員:38 名
非常勤職員:3 名
専門職員
社会福祉士  :7 名
精神保健福祉士:2 名
介護福祉士:17 名
看護師:2 名
栄養士:2 名
施設・設備の概要
居室:70部屋
鉄筋コンクリート造     延面積 3650.75㎡:

③ 理念・基本方針
【法人理念】 1.人権を尊重します  
2.幸せであるためのサポートをします  
3.地域社会と共生していきます
  
【施設の運営方針】
1.基本的人権と人権尊重
①障がいの種類等を問わず利用者を地域で生活する市民として尊重し、その基本的人権と健康で文化的な生活を保障し、幸福の追求と人権擁護、個人の尊厳を保障し、その人らしい豊かな生活を支援します。
②人権尊重を基調に多様なニーズを的確に汲みあげ、個人の発達の可能性を見出し、ノーマライゼーションに基づき、明るく豊かな潤いのある「生活の場」を提供します。
2.地域交流との連携
 施設の機能を活かし地域福祉の拠点をめざします。積極的に地域住民との交流に取り組みます。
3.職員としての意識
 職員は常に研鑽に励み、福祉従事者としての誇りと情熱をもち、利用者のニーズを受けとめたサービス提供と一人ひとりの人権や主体性を尊重した生活支援をします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
生活保護法に基づく救護施設で、身体や精神の障がいや何らかの課題(生きづらさ)を抱えていて、日常生活を営むことが困難な方たちが利用しています。

施設としての集団生活の中で生き甲斐や潤いのある生活の場をつくり、利用者の個々の発達の可能性を見出し、それぞれの障がいや能力を捉えながら満足度に考慮した生活に結びつけるよう努力しています。

肢体不自由者には、機能回復訓練を重度障がい者には日常生活の介護や援助を、高齢者には体力に応じた生活を、精神障がい回復途上者や生活障がい等の複雑な課題を抱えた利用者には作業訓練を、重点にカンファレンスにより策定された個別支援計画を基に利用者主体のサービスの充実を図っています。

関係法令や諸規程を遵守し、苦情解決制度の活用及び地域に対する施設機能の開放を通じて、施設運営の透明化・規律性を確保しています。


このほか、地域の生活困窮者の支援と自立をめざすライフサポート事業、就労訓練事業なども実施しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/04/06(契約日) ~2021/03/05(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)後援組織をもち、しっかり地域に根づいています
福祉友の会「泉の友」(平成30年現在174名)という後援組織を作っています。地元の町内会の住民が個人として参加しており、施設のお祭りなどのイベントをボランティアとして支援しています。
会長は地区社協の代表が務めており、メンバーは地元の様々な活動を行っている方々が多く、学校、商店その他、地域の社会資源との橋渡しとなっています。会を通じて書道教室や俳句の会など交流の場があります。災害時には消防署の仲介で3町内会と施設で相互応援の協定を結んでいます。地域に根付いた福祉施設となっています。

2)専門的スキルを活かしてセーフティーネットの役割を果たしています
生きづらさを抱える利用者一人ひとりに対して、障害の種類を問わず、生活のすべてにわたって丁寧な支援を行っています。担当職員はさまざまな障害の特性を熟知し、利用者に寄り添い、個別支援計画に基づいて日常の生活を支援し、行政や各種機関との連携、手続きなど、広範な支援をしています。
職員の知識、専門性の範囲は幅広いものがあります。その経験をいかして、地域で緊急を要する生活困難者へ支援にかけつける「かながわライフサポート事業」や「生活困窮者就労訓練事業」などの公益的な事業に取り組んでいます。

3)職員の力量の底上げ、研修に取り組んでいます
利用者を支援する職員は、理念を身に付け広範な知識と経験を要すため、施設は職員の研修に力を入れています。支援の基礎となる理念、倫理、保健、衛生、接遇、チームアプローチなどをまる二日間、集中して学びます。
経験年数の別なく、順番に全職員が受けています。講師は経験のある職員が担当し、テキストもこの職員が時間をかけて手作りで作成して活用しています。参加する職員も、教える職員もともに学び合う研修で、職員の基礎力の底上げに取り組んでいます。
改善を求められる点 1)施設の理念、方向性を関係者と共有する取り組み
職員の定着率は高く、施設は働きやすい職場環境になるよう心がけています。ただし、自己評価を行う過程で、業務に対する職員の意識にばらつきが多いことがわかってきました。又、利用者調査からも理念を知らないとの結果も見えてきました。施設が目指そうとしている基本理念、将来の方向性などの認識に関して、経営層と現場職員との間に認識の差が見えます。職員ひとりが施設の当事者として意識や方向性を共有できるよう、職員面接などを通じたコミュニケーションに期待します。さらに、利用者への周知を進め共有と理解が求められます。

2)中・長期計画の具体化
「バランストスコアカード戦略マップ」では、施設が目指す方向性、ビジョンを掲げています。救護施設のあり方が問われている中で、質の高い個別支援計画により、循環型施設として地域移行を進めています。地域から見える施設を目指すための具体的な課題を掲げています。これらを中・長期計画として具体化させ、いつまでに何を実現するか、できなかった点と原因は何か評価し、改善を図っていくという仕組みが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
全国救護施設協議会が進める行動指針に基づき、福祉サービスの質の向上を目指すとともに救護施設の「見える化」を進めるために、初めて第三者評価を受審しました。
自己評価は、全員が関わり、グループ毎に話し合いを行いそれぞれの職員が、施設として利用者へ提供する福祉サービスについて、改めて考える時間が取れ、いろいろな意見が出されたことは大きな収穫であったと思います。
利用者アンケート調査では、利用者の本音も垣間見られ、誤解のないような支援の提供に努める必要を感じました。
訪問調査では、第三者による客観的な立場で高評価も多くいただき、改善点も具体的に示していただきました。
今回の結果を受け止め、ひとつずつ改善に向けて職員と共に取り組み、質の高いサービスを利用者に提供できるよう努めてまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念、施設の運営方針は、パンフレット、ホームページ、事業報告、事業計画等に記載されています。法人が発行している広報紙には毎回繰り返し、水色のブロックコーナーに目立つように書かれています。職員には配布され、利用者や地域にも施設の広報紙が回覧されています。法人による新任職員研修では説明があり、その後の施設内研修でも理念の具体的な内容を深く学ぶようにしています。ただし、職員の理解にはばらつきがあるので、今後は周知状況を継続的に確認し、統一を図っていくことを課題としています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人役員や施設長は、行政の各種会議、全国社会福祉協議会、全国社会福祉法人経営者協議会、全国救護施設協議会などの各種団体の会合や広報誌などを通して、全体の動向や課題を把握、分析しています。法人組織として法人役員と選任された職員で構成された「経営戦略会議」があり、外部環境変化に対応するための経営戦略、ビジョンの策定をします。当施設は、措置事業部門としてビジョンを策定していますが、課題に対する定期的で具体的なコスト分析、予測分析等については今後の課題としています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

毎年度、事業計画を策定する際に、業務内容、組織体制や、設備、職員体制、人材育成、財務状況を分析したうえで重要課題を抽出しています。経営状況や課題は、法人理事会、毎月2回の運営委員会、年8回の施設長会議、月1回の部門別会議で役員間で共有化されています。年度の重要課題や予算、決算の内容は職員会議で報告されています。法人は、施設の財務規律・財政規律の策定などを課題としていますが、どのように取り組んでいくのか職員への周知が十分とはいえず、今後の課題としています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

外部環境の変化をふまえて今後、施設をどのようなイメージで運営していくのか、「バランストスコアカード戦略マップ」を策定しています。これが、中・長期計画のビジョンに相当します。今後のビジョンは、循環型セーフティネット施設として、地域移行や他法施設への移行をすすめること、地域の生活困窮者への支援事業など公益的な取り組みを掲げています。長期修繕や個別支援計画の見直しなど具体的な課題もあげています。目標実現にむけたロードマップ、数値目標、期限、達成評価方法などを中長期計画として具体化することに期待します。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画という形ではありませんが、これにかわる「バランストスコアカード戦略マップ」が掲げる内容を反映した事業計画が立てられています。現在、救護施設のあり方が問われており、そのためにより質の高い個別支援計画へのレベルアップ、循環型施設として地域移行を進めていく課題、地域から見える施設を目指すため、第三者評価の受審など具体的な課題を掲げています。今後は、計画をどう実施できたか、できなかった点は何か、そしてその原因は何か、評価できるように指標なども設定していくことを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

職員からの意見をスタッフ会議で集約し、事業計画を策定しています。事業計画は、当該年度の事業報告をまとめ、翌年の事業計画をたてる3月に、実施状況を把握、評価しています。業務の内容、規模にかかわらず、振り返りの会議を開いたり、書面で職員からの意見を募るようにしています。事業計画は必ず職員会議で報告、説明されており、職員研修でも行っていますが、施設としては、職員の理解度が十分ではないと認識しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

施設の広報紙に、事業計画の概要が掲載されており、利用者に配布されています。事業計画の主な内容は、毎月の利用者との懇談会で説明しています。特に利用者の生活に関わる行事などの予定告知、申し込み案内などを説明しています。広報誌は、多くのイラストや写真で利用者がわかりやすいように工夫されています。事業に対する利用者の感想は、広報紙に記載されており、これを事業計画見直しに反映しています。利用者への理解をすすめるためにさらに工夫していきたいとしています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

利用者への支援の質の向上を図るため、個別支援計画の立案、実践、見直し、改善を行っています。「個別支援計画立案、カンファレンス実施要綱」に、インテーク、アセスメント、プランニング、カンファレンス、モニタリングの方法と手順が定められています。カンファレンスは令和元年度は22回、一回に3~4名程度の利用者の支援を評価します。利用者支援のPDCAは確立していますが、施設全体の自己評価、第三者評価は今回が初めてなので、今後の取り組みに期待しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

利用者支援の評価は、個別支援計画書のなかに記載されています。個別支援計画は、利用者一人ひとりについてカンファレンスで様々な職種の職員が参加のもと、支援内容が検討されており、記録がされています。モニタリングでは、課題が適切だったか、ニーズ、目標、支援内容がそれぞれ適切だったか、適切でない場合は、何が原因だったのか、課題改善のための変更、調整がされています。個別支援計画は、課ごとのパソコンで共有化されています。ただし、前項のとおり、施設全体の評価結果からの改善への取り組みは今後の課題としています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、職員会議や広報紙等で重要な経営課題や今後の方針と取り組みを明示しています。管理者の役割と責任は、職務分掌で詳細に文書化されています。有事(災害、事故等)においては、施設長が一元的に責任を持ちますが、夜間、休日に発生した場合の一次的な判断の責任者は管理当直者としており、管理当直者は施設長に必ず報告することになっており、連絡先などが文書化されています。管理当直者以外の職員への周知は今後の課題としています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人は「法令等の遵守に関する規程」を制定しています。規程は、すべての役職員(パートタイム職員も含む)は、専門職としての職業倫理を身に付け、関係法令を理解し遵守して日常業務を遂行すること、と定められています。職員は、疑わしい事象がある場合は、上司または法理遵守担当者に報告する義務がある一方、「公益通報者保護規程」も整備されています。施設長は、法令遵守部門責任者、施設責任者に任命されており、法令遵守徹底の責任をもっています。職員会議や施設内研修でも職員に周知しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は、日常的に業務を監督するなかで、福祉サービスの質の現状について把握し、評価、分析し、具体的な取り組みを図っています。本来、キャリア別に受ける研修体系がありますが、まずは職員全員が基礎研修(S1研修、2日間)を受けるようにしています。ここでは、基本理念と職業倫理の基本、保健衛生、接遇、チームアプローチ、リスクマネジメントなどの基本を学びなおします。サービスの質向上のためには、職員の資質能力の底上げが必要という理由です。講師は職員が担い、テキストを1年かけて作成することから担当します。職員面談の実施など、さらなる取り組みに期待します。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は業務が円滑に遂行するためには、人員配置は基準配置以上の配置が必要と認識していますが、求人難のなかで採用に苦心しています。働きやすい環境を整備するために、有給休暇年間20日取得を勧奨しています。職員はスマホを使ってウェブでストレスチェックできるようになっています。管理者は個別の結果はわかりませんが、集計結果は把握できます。高ストレスの職員は、申し出て通院等が保証されています。職員面接などを今後実施して、きめの細かい取り組みをしていくとしています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

必要な人材や人員体制は、基準配置以上の配置をめざしていますが、現実の人材確保には苦心をしています。そのため、入職祝金制度、職員紹介制度を採り入れています。専門学校からくる実習生にきめの細かい受け入れと指導を通じて、採用につながるように努力しています。人材育成のためには、新人研修や階層別の研修が計画されています。職員の定着率は高く、正規職員、パート職員をふくめて平均在職年数は12.5年(令和元年度)です。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像の全体イメージは、基本方針に示されています。「福祉の原点に立って…研鑽に励み…誇りと情熱をもって…一人ひとりの人権や主体性を尊重した生活支援に努力していきます」。さらに就業規則には倫理的に援助の際にしてはならない事項を明示しています。採用、配置、異動等の人事基準は定められています。昇給基準は周知されていますが、それ以外の人事基準の職員への周知は不明です。人事考課制度、目標援助制度は端緒を開いたところであり、職員との面接を通じて、キャリアデザインを職員と施設が共有できるような取り組みが課題です。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

労務管理の責任体制は、全体的には施設長、具体的には副施設長がつとめるとして、職務分掌に明示されています。有給休暇や時間外労働の実態は、管理課が把握しています。職員健康診断(年1回、夜勤者は2回)、ストレスチェック、予防接種を実施しています。育児休暇や短時間勤務制度があり、ワークライフ・バランスに配慮しています。職員旅行、食事会等で親睦を図っています。職員自主組織の親睦会が歓迎会の企画などを行っています。永年勤続(20年)表彰者は特別有給休暇5日、褒賞金が支給されます。法人にハラスメント相談窓口があります。定期的な職員との個別面談実施が今後の課題です。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

昨年から職員一人ひとりの目標管理の仕組みとして、目標援助面接を導入しました。これは、目標援助シートに①業務プロセスの視点からの目標 ②学習と成長の視点からの目標 ③地域・利用者の視点からの目標 ④財務の視点からの目標を職員が記入して提出します。中間面接を主任が実施しました。目標達成度を確認するための年度末の期末面接は、コロナ流行の関係もあり、実施されませんでした。この目標援助面接制度は現在、人事考課につながっていませんが、今後、効果的に運用されることを期待しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

運営方針に、福祉従事者として求められる職員像が書かれています。事業計画に、新任職員研修会、事務担当者研修会、階層別研修、給食担当者研修、施設間交流研修、外部研修の参加などが明示されています。当施設では、階層別研修の全員受講を実施中です。また、外部研修は、様々な分野の30以上の研修への派遣を予定しています。また、施設内の事故防止感染症対策委員会が企画した感染症予防研修を実施しました。研修計画は、職員の参加状況をみながら毎年度、定期的に見直しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

個別の職員の知識、技能水準に応じた研修を計画しています。新任職員は、法人の新任職員研修に参加後、業務を行いながらの研修(OJT)を行います。新任職員には、プリセプターがつき、独りで変則勤務ができるまで、約3か月間指導、助言にあたります。職員が資格取得をめざす場合、スクーリング受講時の勤務上の配慮などの支援をしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

実習生受け入れマニュアルがあり、受け入れから、準備、実施、実施要項、プログラム、評価の方法まで明示されています。内容は、日常業務の実習のみならず、受け持ち利用者を決めて、「個別支援計画書」作成の実習を行います。実習指導者は、実習指導者養成講習受講者が担当します。指導担当者はカリキュラムの作成から、日誌の確認、実習指導、評価、学校側の担当者との対応も行います。実習生の受け入れは、将来の福祉人材の育成のためと考えており、福祉専門学校生はもとより、中学校の職業体験や高校生のインターンシップ、大学医学部生の実習にも取り組んでいます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページには法人や事業所の理念、基本方針、サービスの内容、事業計画、事業報告が公表されています。予算、決算は施設ごとではありませんが、法人事業報告の中に法人全体の総額が公表されています。苦情、相談体制は1階ロビーに掲示されています。苦情内容は第三者委員に報告され、広報紙に公表されています。施設長は地域の会合や後援組織「泉の友」総会等で、施設の取り組みを伝えています。法人、施設の広報紙を地域や関係者に配布しています。これから第三者評価の受審結果や課題、改善、対応の公表をしていきたいとしています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

施設の職務分掌に職員の業務と責任範囲が明記されています。職務権限規程があり、施設長の人事権、決裁上限などが明示されています。法人の監事が2名おり、定期的に各施設を巡回して、事務、経理、取引ルール等を監査しています。監事の1名は税理士です。利用者の預かり金の管理状況は、監事や行政監査でもチェックされています。2年に1回、会計監査法人の監査を受けて、適宜助言を得ています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「利用者を地域で生活する市民として尊重し…その人らしい豊かな生活の支援を提供します」と施設の運営方針に掲げられています。近隣の地区センターの図書コーナーの案内を掲示したり、利用者が積極的に地域の社会資源を利用できるようにしています。利用者は、週に1回地域清掃を行い、月1回の町内会主催の「さわやか清掃」にも参加しています。地域の俳句の会に場所を提供し、書道教室は利用者も参加しています。納涼祭、ハートフルフェスタ(文化祭)、地域防災訓練を地域の方々とともに取り組んでいます。利用者は近隣の店舗に思い思いに買い物に出かけています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

地域との橋渡しとなるのがボランティアである、と位置付けるならば、福祉友の会「泉の友」は、当施設のためにある後援組織であり、ボランティア組織です。当施設は、「開かれた施設」、「施設の社会化」を目指し、「ボランティアを受けるだけでなく、ボランティアを行う」という理念で活動を続け、その結果として、平成元年から地域活動をする方々で構成された「泉の友」が、イベントへの協力などの活動をしてきました。会には会則があり、施設側にも共に活動する際の業務マニュアルがあります。中学校の職業体験、高校の校外活動にも協力しています。それぞれのボランティア受入れマニュアルの整備を期待します。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

市の担当部局、医療機関、教育機関、警察、消防、療育センター等々のリストを作成し、パソコンで各部局で共有しています。市の担当部局と年2回の連絡会議、各区の保護課ケースワーカーが施設見学会に訪れて年に1回、意見交換をしています。地域の町内会に施設長が出席しています。地域の福祉課題をともに解決するための「にこやか しあわせ くらしのまちプラン」に参加し、納涼まつりの準備、資材の提供などをしています。近隣の保護施設で生活貧困者支援ネットワークを作り、横のつながりを強める取り組みをすすめています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

福祉友の会「泉の友」は救護施設としては全国的にも例の少ない施設を後援する組織で、施設の社会資源を活用し地域福祉の向上を図るとともに救護施設岡野福祉会館の福祉事業を後援することを目的として、平成元年に結成されたものです。かねてより当施設は、「開かれた施設」「施設の社会化」を目指していました。施設が地域に対して何を提供できるか、地域の方々が何を求めているかを検討し、「互いにボランティアを受け、行う関係」づくりをめざしてきました。会長は地区社会福祉協議会の会長、地域の方々の会員数は174人(平成30年度)にのぼり、納涼祭、ハートフルフェスタ(文化祭)、地域の書道や俳句の会など地域交流に取り組んでいます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

県社会福祉協議会の「かながわライフサポート事業 生活SOS」に取り組んでいます。地域で、失業、病気のほかさまざまな理由で生活に困っている人から相談があると、施設のコミュニティーソーシャルワーカーが訪問し、相談にのります。緊急を要する場合、食材や光熱費の支援を行っています。そして本人の自立をめざした生活を継続して見守っていきます。また、生活困窮者の自立を応援するため、就労訓練事業を行っています。災害弱者を支援するため、福祉避難所に指定されています。3町内会と施設の相互応援を行う防災協定を結んでいます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者を尊重した福祉サービスの実施は、法人、施設の理念・基本方針の根幹であり、内部研修等で繰り返し職員に周知させる取り組みを行っています。利用者を尊重していないサービスの具体例が「利用者にしてはならない行為」として、就業規則32条に列挙されています。利用者尊重の支援であるかは、個別支援計画のカンファレンスとモニタリングで検証されています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

居室は2人部屋と4人部屋ですが、同室者同士はプライベートカーテンで仕切ることでプライバシーを守る工夫をしていますが、音や光はもれてしまうので限界はあります。居室の引き出しは施錠できるようになっており、貴重品は本人が管理できます。更衣、排せつ、入浴などの生活場面では、必ず同性介助を行っており、夜間でも対応できるよう男女の職員が宿直に配置されています。プライバシー保護は職員研修のテキストでもとりあげられていますが、さらに理解を深める取り組みをしていきたい、としてます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

入所前には、パンフレットを渡し、施設内を居室、設備、作業の様子など丁寧に案内して見学してもらっています。もし入所した場合、どのような生活を希望しているか、どんな作業をしてみたいかを聞き取り、アセスメントにつなげていきます。短期入所事業(3か月単位)を行っており、本入所につながるケースがあります。入所の手引き、約束書は入所手引き委員会で適宜検討、見直しを行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入所前には、施設の生活上のルール「入所生活約束書」を渡し、本人の性格や生活スタイルに照らし合わせながら、ていねいに説明をし同意の署名をもらっています。個別支援計画の内容を説明し、本人の同意書をもらいます。利用者が言葉を発することが困難な場合は、機能的な障害であれば筆談などの工夫をします。精神的に意思決定が困難な利用者には、個別支援計画に基づき、繰り返しコミュニケーションを図るなどの配慮をしています。日々のケア日誌を通じて適宜見直し、カンファレンスでも検証されています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設移管、退所の際には、実施機関と連絡をとりあいながら、サービスの継続ができるよう情報提供を行っています。実施機関には、施設で作成したアセスメント表、必要に応じて看護サマリーを渡すことにしています。退所の際には、措置を行った横浜市のケースワーカーが同席し、決定通知書に連絡先が明記され、退所後の相談対応を行うことになっています。退所後に施設に相談がある場合は、業務課長が対応することにしています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者満足度を把握するために、毎月懇談会を実施しています。懇談会では、職員からの伝達事項の後、利用者から日頃感じている事や意見が出されています。また、玄関ホールに設置してある意見箱の匿名の意見も紹介されています。それらの意見は、その場で意見交換し、改善策が提示されたり、その後検討されたりしています。食事についても年1回食事アンケートを行っています。集計結果は分析・検討しています。食事の見た目、味など魅力的で栄養管理された食事提供となるよう、また利用者の希望に添えるようにしています。利用者満足のさらなる向上に努めたいと考えています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

施設は苦情解決体制運営細則に基づき、苦情の受付と解決の仕組みの体制が整備されています。苦情や意見、相談等を受けられる苦情解決の仕組みを分かり易く説明した掲示物を1階ロビーに掲示するとともに苦情投書箱(意見相談受付箱)を備え、随時相談を受けられる体制をとっています。苦情解決責任者は施設長で、苦情受付担当者や第三者委員も設置しています。受け付けた苦情は話し合い、解決に向けています。苦情は苦情受付台帳、苦情対応経過記録に記載し、第三者委員報告会も実施しています。苦情相談内容に基づきサービスの向上に活かしています。苦情内容については広報紙で公表しましたが、今後はホームぺージなど公表の仕方を工夫したいと考えています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

利用者が相談したり意見を述べる複数の方法や相手を選択できる環境が整備されていますが、そのことを分かり易く説明した文章は作成していません。職員は毎日9時と19時に巡回し、利用者に声掛けをしています。その際に相談を受ける事もあり、居室担当者以外の職員でも日常的に利用者からの相談は受けています。毎月の懇談会でも利用者の意見を聞いています。家族からの問い合わせは、居室担当者が主に受けますが、不在時には主任以上の職員が対応しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は毎日の巡回の際は利用者に声掛けをして、意見の傾聴に努め、利用者が相談しやすくまた、意見を述べやすいように配慮しています。利用者からの相談や意見は、日誌などの記録を通して全職員が情報共有できるようにし迅速な対応に努めています。個々の対応の中からでた利用者の意見や相談を吸い上げて、随時ミニカンファレンスを実施し、サービスの向上につなげています。毎月の懇談会では利用者との意見交換が行われ、ロビーの意見相談受付箱でも意見を受け付けています。対応マニュアルの整備が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントの体制が構築されています。各課から構成された事故防止・感染症対策委員会は定期的に会議を開き、利用者の安心と安全を脅かす事例の収集を行っています。ヒヤリハットや事故報告の細かい要因分析はグラフ等を使い一目で危険が分かる様にしています。必要に応じ臨時スタッフ会議を実施し、対応策の検討を行っています。毎年、職員に対して感染症研修を行っています。事故防止・感染症対策委員や防災委員を中心に安全確保・事故防止の検討が行われています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症の予防と対策については、事故防止・感染症対策委員会を設置し予防に努めています。年に1回感染症に関して施設内勉強会(研修)を開催しています。事業所内は毎日清掃し、室内外の清潔に努めています。感染症対策として、全利用者に対して、手洗い、うがい、手指消毒に努め、玄関、食堂、トイレ洗面所等に手指消毒器を設置しています。毎日午前と午後の2回、全館の手すり、ドアノブ等感染媒体となる箇所の消毒を実施しています。現在は新型コロナウイルス感染予防体制をとっています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

防災委員を設置し、防災計画に基づき防災対策を実施しています。防火管理として火気取り扱いの指導監督、日常点検、電気設備・消防用設備の保守点検の実施をしています。自衛消防組織を編成し、年4回消防訓練を行い、3日分の備蓄を確保しています。河川に隣接した立地であることを認識し、大雨洪水、床上浸水想定の訓練も行い、大規模地震を想定した総合訓練では地元町内会との合同訓練を行っています。消防署の立ち合い指導のもとに隣接3町内会と「消防応援協力に関する覚書」を締結し、応援協力体制を確立しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

提供する各サービスについては、業務マニュアル等で標準的な実施方法は適切に文書化されています。それに基づきサービスが実施されていますが、利用者の年齢や障害も多岐にわたり、利用者のニーズもそれぞれなので、利用者に合わせた個別対応をしています。プライバシーの保護に関しては、入所時に明示しています。個室もありますが、二人部屋が多数で、ベッドサイドのカーテンで仕切り、個別の空間を作っています。行事に関しては、反省会を行い、次回に活かしています。標準的な実施方法が徹底するような検証の工夫をしていきたいとしています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

日常生活において、「身辺整理」「整容」「入浴」「排泄」「通院付き添」等の利用者が生活するために必要な日常的な動作を自立に向けて助長する援助と、利用者自身が行えないためにする介助をしています。利用者は何らかの援助や介助を必要としており、個々の状況によって違ってきます。一人一人に合った個別の福祉サービスを提供する為に、個人を尊重しその能力に応じて支援する「個別支援計画」を作成し、定期的に見直しをしています。サービスの検証・見直しには職員や利用者からの意見や提案を反映するようにしています。ただし、「個別支援計画立案・実施要綱」に基づいた組織的な取り組みであることを職員の共通認識にしていきたいと考えています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

居室担当制をとっており、職員一人が約8名の利用者を担当しています。アセスメント用紙を基にアセスメントを実施し、利用者の思いやニーズを引き出すようにしています。支援員や看護師、栄養士等様々な職種による関係職員でカンファレンスを実施し個別のケースについて協議し、個別支援計画を作成しています。個別支援計画には、利用者の「今後の生活についての意向」や「現在困っていること」の記載欄があり、利用者一人一人のニーズが明示されています。ただし、利用者のアセスメント項目をさらに詳細にして、よりきめの細かい個別支援にするため、個別支援計画書の改定を予定しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画には長期目標と短期目標の記載があります。各短期目標には期間とモニタリング時期が明確になっており、その時期に合わせてモニタリングを行っています。1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年等目標によってもモニタリングの時期は違ってきます。個別支援計画の評価・見直しは居室担当が実施し、主任がチェックしています。個別支援計画を緊急に変更しなければならない場合には担当職員と上席者で協議し組織的に判断したり、また、臨時カンファレンスを実施し、迅速な対応が出来る仕組みが整備されています。まだ、全員のモニタリングが終了していないため、さらに取り組みを進めていきたいとしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の身体状況や生活状況等は統一した様式に細かく記録しています。記録に関しては、マニュアルを全職員に配布しており、また、更新した際にもその文書を全職員に配布し、記録内容や書き方の差異が生じないように工夫しています。パソコンのソフトによって記録は整備されており、ネットワークシステムで全職員が閲覧でき、情報共有する仕組みが出来ています。パスワードとIDで管理されているため、部外者は閲覧できないようになっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「個人情報保護管理規程及び同要綱」を整備し、個人情報保護の誓約、機密事項の帰属、法令等の遵守、関係資料の返却・破棄を明記した「個人情報に関する誓約書」に職員や実習生等から署名・捺印をもらっています。利用者や身元引受人にも個人情報の取り扱いについて説明し、「個人情報の使用等に係る同意書」に署名・捺印をもらっています。利用者の記録は事務所の鍵のかかるキャビネットに保管しています。個人情報の廃棄は、印字データについてはシュレッダー処理、電子データはデータ消去しています。ただし、ルールに関する職員の周知は今後の課題です。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の自己決定については尊重しています。職員は日常的に利用者の声を聞き、意向の確認をしています。個別支援計画作成時には居室担当者が利用者と面談をして、今後の生活についての意向や現在困っていること等を聞いています。
施設はアクティブクラブ、絵画クラブ、手作りクラブ、カラオケ、地域ふれあい書道教室、華道教室、俳句会「繭」等のレクレーションや各種教室を主催しています。これらの参加は自由ですが、参加することで利用者が施設での生活において、生きがいを見出して日常生活の活性化につなげ、社会性の向上や機能維持・向上が期待されます。施設内に理美容室があり、定期的に理美容師がきて、利用者の髪をカットしています。衣類に関しては夏は4000円、冬は6000円の支給があり、自分で買い物に行ったり、自施設に来る業者から買ったりしています。生活のルールについて利用者同士で話し合う機会はありません。

【A2】A-1-(1)-② 利用者の自立・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の疾病も含めた身体状況、精神状況、生活習慣や好み等を理解し、何が課題なのかを理解したうえで、自律・自立に向けた個別支援計画をたてて支援をしています。利用者自身が出来ることは自身で行えるように見守り、支援が必要な時には迅速に支援しています。
目標や目的をきめ、利用者に意欲を持って生活できるように支援しています。利用者によっては、行政や福祉サービスの利用ができるように支援しています。利用者が死亡した際は、関係機関や家族と連携し、適切に遺留品の管理を行い、手続き等を適切に進めています。葬祭を行う家族・親族がいない場合、実施機関の依頼により施設長が行う場合もあります。

【A3】A-1-(1)-③ 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

聴覚障害や言語障害のある利用者とは筆談でコミュニケーションをとっています。外国籍等で日本語が得意でない利用者に対しては、その人の理解可能な言語に置き換えての説明をしたり、通訳の利用も行ったことがありますが、現在は片言の日本語でも意思の疎通の出来る利用者ばかりです。
意思表示が困難な利用者へは、過去の情報や日々の行動をもとに、くみ取れるよう、職員同士で情報共有して支援しています。利用者の状況によっては、タブレットを利用して視覚的に訴えたり、ホワイトボードを使用して分かりやすく説明したり、コミュニケーションが取れるように工夫しています。

【A4】A-1-(1)-④ 利用者の自己決定を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

日頃から、利用者から職員へ話が出来るような雰囲気作りに努めています。毎日9時と19時には職員が巡回していますが、その時には、職員から利用者へ積極的に話をするように心掛けています。特に居室担当者は必要に応じ、利用者に話したいことがないか確認をしています。
利用者の希望があれば、個別に何時でも話を聞ける体制を整えています。話をした内容についてはパソコンに入力して、職員間で情報共有をし、引継ぎやカンファレンスにおいて支援方針について検討しています。利用者の意思決定を尊重する支援としての相談等を適切に行い、個別支援計画に反映させています。

【A5】A-1-(1)-⑤ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画に基づき、日中活動の多様化を図り、利用者の希望やニーズにより選択できるようにしています。施設内作業訓練としては、クリーニング作業所の設備があり、勤労意欲の助長を図ることを目的としています。作業は洗濯機・乾燥機の操作、アイロンがけ、包装作業、修繕、受付、事務、地域外交等が行われています。
神奈川県社会福祉協議会より委託を受け、「福祉タイムズ」の発送先へのラベル付け、封筒詰め等、毎月約21000部の発送作業も行っています。また、医師の指示を受け、理学療法士の作成した個別プログラムに基づいて、機能回復訓練が毎日行われています。週に1回、運動療法士による運動療法は楽しみながら体力や筋力の維持向上を図っています。
余暇活動として、コーラス、音楽鑑賞、手作り、絵画、スポーツ、園芸の各クラブ活動等があります。講師の指導による地域ふれあい書道教室、華道教室、盆踊り教室等、多彩に提供されています。さらに多様なニーズに応えられるようにしたいと考えています。

【A6】A-1-(1)-⑥ 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

利用者の居室や日中活動の場等は快適性と安心・安全に配慮されています。利用者の居室や食堂、浴室等は清潔・適温に配慮し、明るい雰囲気を保っていますが、トイレについては使用頻度も多く、残念ながら清潔さが常に保持されているとは言えない状況です。
食堂では、より多くの利用者に食事について興味を持ってもらえるように標語や絵画のコンテストの募集を行い、受賞作品は食堂に展示しています。応募作品は浴室前にも展示し、明るい和やかな雰囲気を醸し出しています。
二人部屋が多く、カーテンで個別の空間を作っていますが、光や音などが気になる利用者もいるようです。車いすや歩行器を使用する利用者が増えて来ている中、建物の構造上、廊下の幅が狭く安全確保に配慮しています。利用者の希望で、夏場のエアコン使用時間を長くしています。

【A7】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。 

【第三者評価結果:c】

施設の運営方針には、「当館は、障害の種類を問わず支援を要する方が共に生きる場として、利用者を地域で生活する市民として尊重し、その基本的人権と健康で文化的な生活を保障すると同時に、利用者の幸福の追及と人権擁護を図る姿勢を養い個人としての尊厳を保障し、その人らしい豊かな生活の支援を提供します。
利用者の人権尊重を基本として利用者の多様なニーズを的確に汲みあげるとともに個人の発達の可能性を見出し、ノーマライゼーションの理念に基づき、明るく豊かな潤いのある『生活の場』を提供します。」と明記しています。新任職員の研修にも使われています。ただ、権利侵害については、職員へは十分に浸透されておらず、利用者へ具体的な内容・事例を収集・提示して説明は行われていませんが、利用者の権利侵害の防止策として投書箱を活用し、第三者委員に報告し、検討しています。

A-2 生活支援
【A8】A-2-(1)-① 利用者の障害・疾病等の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は研修に参加したり、また、日々の業務によって専門知識の習得や支援の向上を図っています。利用者の障害等による行動などを正しく把握し、カンファレンス等において職員間で支援方法の検討や共有をしています。
利用者の不適応行動(施設内でのルール違反)などの行動障害には、状況に応じ個別的に適切な対応をしています。行動障害など個別的な配慮が必要な利用者には支援記録等に基づいて、支援方法の検討・見直しや環境整備等を行って、出来るだけ個別支援を目指しています。利用者個々の障害・疾病等の状況に応じた支援を行っています。

【A9】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じた日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個人を尊重しその能力に応じて支援する「個別支援」を基本的な考えとしています。利用者はそれぞれ置かれている状況(それまでの生活環境、疾病、家族関係など)が異なり固有の価値観を形成しています。ゆえに、利用者一人一人にあった個別の福祉サービスを提供するために個別支援計画を作成して日常的な生活支援を行っています。
利用者の心身の状況に応じて入浴支援を行って、入浴できない時は清拭を行い、身体を清潔に保っています。入浴での介助を行う際には利用者と介護者双方の安全確保が最優先されますが、利用者は衣類を身に着けていないため、わずかなミスが大きな事故につながりやすく、介助する場合は細心の注意を払っています。排泄介助についても、利用者の意思を尊重し、出来ない部分についてのみ援助し、利用者が安心できるように安定した援助方法で行うように心掛けています。快適で清潔な排泄環境を提供するようにしています。

【A10】A-2-(1)-③ 利用者の嗜好や心身の状況にあわせて食生活を支援している。

【第三者評価結果:a】

食事については、年に1回食事アンケートを取っています。また、利用者が自由に記入できる給食ノートで随時意見を募っています。ご飯の炊き方やおかずの味付け、全体量、温度、かたさについてや美味しかった料理、美味しくなかった料理、今後提供してほしいメニューについても聞いています。また、現在の食欲についてや食事は楽しいか、食事中の音楽についても聞き、分析をしています。昨年の食事アンケートの結果として、全体量が少ないと答えた方には主食大盛り対応することで、食事量が「少ない」という意見が改善でき、間食も減少するとしています。逆に食事量が多いと答えた方には主食小盛りを新たに作ることで、より個人に見合った食事提供が可能になるとしています。
月に1回、主菜を2種類用意して選べる選択食も提供しています。利用者の身体状況に応じて、刻み、ミキサー食など食べやすいように支援しています。また、季節の行事食の提供や各利用者の誕生月には、店屋物を取ったり、ケーキでお祝いをしています。

【A11】A-2-(2)-① 利用者の心身の状況に応じた生活訓練や機能訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身の状況に応じて掃除・洗濯などの生活訓練や機能回復訓練を行っています。声掛けをし主体的に行えるようにしています。機能回復訓練は、主に疾病による障害の回復が目的ですが、高齢による機能低下の予防も重要と考えています。
機能回復訓練の利用については、担当医師が訓練を必要と認め参加意思のある利用者が対象となります。担当医師からの「指示書」に基づき理学療法士が訓練の方針・内容を作成し実施、評価を行っています。日常の訓練については理学療法士から指導を受けた職員が行い、理学療法士にその実施状況をフィードバックしています。現状としては、施設での機能回復訓練は残存機能の維持、およびADL(日常生活動作)の低下予防となっています。また、週に1回運動療法実践指導者の指導のもと音楽やリズムに合わせながら体を動かす運動療法も行われています。楽しみながら体を動かし、体力や筋力の維持向上を目的としています。

【A12】A-2-(3)-① 利用者の健康管理の支援と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の中で必要な方には、毎月体重・BMI・血圧測定を行っています。利用者の中には、体調の不調を訴えることが出来ない、訴えない、または自覚症状を感じない利用者もいるため、看護師は他職員と連携を密にして利用者の身体状況・精神状況を把握し必要に応じて医療機関へ連絡し受診へとつなげています。
全利用者中、98%が何らかの疾病のため通院し、ほとんどが慢性的に経過しています。医療機関・担当医・他セクションと連携を図りながら疾病の治療・回復または病状の安定のための援助を行っています。利用者は食後、別の部屋に移動して一人ずつ看護師の前で薬を飲んでいます。薬の飲み残しが無いように服薬管理をしています。内科医が週2日、精神科医が月2日施設内で診療しています。また、歯科の往診が月2日、歯科医や歯科衛生士による口腔ケアは毎週1回行っています。健康管理について職員は外部研修を受けていますが、さらに取り組みたいと考えています。

【A13】A-2-(3)-② 医療的な支援が適切な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

施設の医務室は「岡野福祉会館 診療所」として昭和30年に保険医療機関の指定を受け施設内限定診療の認可を受けています。受診対象者は原則として身体的に外出が困難か、または自覚症状や現在の病状を的確に医師に報告することが困難な利用者を対象としています。
診療体制は内科が週2日、精神科が月2日となっています。採血・心電図のスクリーニングを各科年2回行い、糖尿病患者の採血(血糖値、HbA1C)、希望者へのインフルエンザ予防接種をしています。毎週1回の口腔ケアも行われています。看護師が化膿や湿疹、切り傷、褥瘡、水虫、ウオノメの処置を行い、感染性疾患の早期発見及び予防対策を講じています。
また、利用者に服薬を習慣づけ、服薬の重要性を理解できるような指導も必要と考えています。現在、服薬管理の状況は100名以上の方が対象です。医療に関する職員研修は十分とはいえず、さらに取り組みたいとしています。

A-3 自立支援
【A14】A-3-(1)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の社会参加に対する希望と意向を把握しています。通院している病院のデイケアや就労継続支援B型、地域活動支援センターへ通っている利用者の支援をしています。施設内作業訓練としてはクリーニング作業訓練がありますが、近隣住民からの一般受付業務をこなし、近隣病院や会社への外交も利用者が行っています。
毎月1回、町内会主催の地域清掃(さわやか清掃)にも利用者が参加しています。過去には利用者のクリ-ニング師の資格取得を支援し、資格取得後に就労に結びついた事例もあります。社会参加が必要と思われる利用者には職員から情報提供や関係機関との連絡調整などをして働きかけています。利用者の社会参加への意欲を高めるための取り組みをさらに工夫したい、と考えています。

【A15】A-3-(2)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者一人一人の働く力や意欲を引き出すような取り組みを行っています。継続的な作業訓練への参加により、社会性、就労意欲の助長を図ると共に、規則正しい生活リズムを整えることで心身の健康の維持・促進を図ります。また、作業手当を支給することで、就労意欲の向上や達成感も期待され、自立支援につなげています。
クリーニング作業の訓練に昨年は17名が参加し、作業は洗濯機・乾燥機の操作・アイロン掛け、・包装作業・修繕・事務・地域外交など和やかな雰囲気の中で行われ、各自の担当箇所を全員が協力して取り組んでいます。県社協発刊「福祉タイムズ」の発送作業にも17名が参加しています。浴室清掃作業、食堂清掃作業、地域清掃作業、配膳作業、廃品回収作業等の施設内作業訓練には25名が参加しています。
利用者の意向や障害の状況に合わせて、働くために必要なマナーや知識、技術の習得、能力の向上の支援をしています。対象者は限られますが、一般就労にもつながるよう、さらなる工夫に取り組みたいとしています。

【A16】A-3-(3)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の家族との連携については、個々の差があるためにその都度利用者と家族との関係を確認しながら個別に対応しています。利用者の生活状況等については定期的ではなく、必要に応じて家族に報告をしています。
利用者の入院やトラブルなどが発生した時には、家族と協力して対応しています。家族からの相談には応じ、一緒に考え、必要に応じて助言をしています。家族からの意向や要望(外出や面会、支援の要望等)については、可能な限り対応を行っています。利用者の外泊に関しては、薬の管理や外泊するための交通手段の調整等の利用者への支援を行っています。

【A17】A-3-(4)-① 利用者の希望と尊重を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望と意向を把握し、デイケアや地域活動支援センターなどの社会資源に関する情報や学習・体験の機会を提供しています。利用者の社会生活力と地域生活への移行や地域生活の意識を高める支援として居宅生活訓練事業を実施しています。
居宅生活訓練事業は自立退所を希望する利用者が円滑に地域での居宅生活に移行し、退所した後も安定した自立生活を継続できるようにすることを目的としており、居宅生活に近い環境で実体験的に①日常生活訓練②社会生活訓練③その他、居宅生活に必要な訓練④地域生活への移行調整を行います。
施設内に1Kの社会復帰訓練室を設け、事前訓練として日常生活の訓練を行い、その後、訓練対象者が施設に在籍したまま、施設外のアパートで訓練を行います。訓練期間も必要に応じ最長2年間あり、施設機能を活用できる訓練である為、幅広いニーズに個々のペースで対応することが可能です。

A-4 地域の生活困窮者支援
【A18】A-4-(1)-① 地域の生活困窮者等を支援するための取組や事業を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域の生活困窮者等の支援については神奈川県社会福祉協議会が事務局となっている「かながわライフサポート事業」通称「生活SOS」に参画しています。地域の関係機関や他の福祉施設・事業所と情報交換して、救護施設の専門性や支援ノウハウを共有しています。
施設は令和2年度の事業計画として5つの重点目標を掲げていますが、そのうちの1つが生活困窮者の支援です。救護施設が取り組む生活困窮者支援の行動指針(第三次行動指針)の推進をあげています。「かながわライフサポート事業」等により地域ネットワーク機能との連携を深め、西区地域保健計画の参画に協力する、と明記し活動しています。今後はさらにニーズを掘り起こし、支援のスキルを高めて施設の専門性を生かした地域への貢献をすすめたいとしています。