社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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横浜おひさま保育園

2021年03月12日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 横浜おひさま保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60 名
所在地 〒235-0016
横浜市磯子区磯子3-11-20
TEL 045-752-0130 ホームページ https://yokohama.oookaohisama.com/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2018年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 有限会社おひさま
職員数
常勤職員:15 名
非常勤職員:13 名
専門職員
保育士:18 名
管理栄養士:2 名
栄養士:1 名
看護師:1 名
社労士:1 名
調理師:1 名
施設・設備の概要
居室:乳児室2室
居室:保育室4室
設備:遊戯室1室
設備:調理室1室
設備:調乳室1室
設備:医務室(事務室 内)
設備:事務室1室
設備:休憩室1室

③ 理念・基本方針
<基本理念>
集団の中で子ども一人ひとりが自分らしく生活し、成長できる場

<保育方針>
家庭的な雰囲気の中で、子どもらしくのびのびとすごせる環境を用意し、その中での一人ひとりの個性を引き伸ばせる保育を目指す。子ども、保護者と保育園が信頼しあえるような関係を築いていく。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<横浜おひさま保育園の特徴的な取り組み>
●戸外遊び場の充実、砂場・花壇・畑からの食育への展開、プールエリア、球技エリア
●公園の少ない地域の状況を踏まえ、思い切り動ける場を作っている
●クライミングウォールの設置等の工夫もしている
●外部研修への参加と法人内での研修を計画的に行っている
●法人内研修では、保育士としての心得、危機管理、コミュニケーション、また、看護師による健康面、消防による応急救護、外部講師によるわらべ歌、コミュニケーション等の研修を年間で計画して実施している。また、同じ分野の研修を毎年計画することでガイドライン等の改定に基づいて学び合うことを目的としている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/06/29(契約日) ~2021/02/25(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 初 回(年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【施設・事業所の概要】
●横浜おひさま保育園は、平成30年4月に有限会社おひさま(以下、法人という)により設立された一番新しい保育園です。法人は、横浜市磯子区に当横浜おひさま保育園と、小規模保育事業A型の森おひさま保育園(平成26年設立)・磯子おひさま保育園(平成27年設立)・おひさま学童クラブを、横浜市南区に大岡おひさま保育園(平成25年設立)を経営しています。横浜おひさま保育園は、法人本部機能を含む新しい保育園として、定員70名で開園しました。50~60m程の距離に磯子おひさま保育園があることから、企画の段階から磯子おひさま保育園との共同使用を視野に入れ、車での登園用に1階に車6台分の駐車スペースを設け、ボール遊びが出来るネット張りの屋上園庭を併設する等、随所に工夫が施され、子ども、保護者にやさしい保育園作りが成されています。

●全職員の育成・教育に関しては、土曜共同保育を行い、土曜出席児を横浜おひさま保育園にまとめて預かり、磯子おひさま保育園を空き状態にして毎月、職員会議・園内研修を実施しています。今年は新型コロナウイルス感染症を受け、4階建ての各階に職員を少人数で分散させ、全体職員会議を実施しました。各階とも有線でネットワーク化した会議を行い、コロナ禍の情勢下では最善の会議を実現しています。さらに、年齢・階層別の研修を積極的に実施する等、組織全体の質の向上を目指しています。

●横浜おひさま保育園の理念は「集団の中で子ども一人ひとりが自分らしく生活し、成長出来る場」であり、保育方針では、「家庭的」・「子どもらしく」・「のびのびと」・「個性を伸ばす」・「信頼関係」をベースにして保育を進めています。定員70名の保育園ですが、本来の保育方針である「一人ひとりを大切にする保育」を継続して実施していることが横浜おひさま保育園の特長となっています。

◇特に評価の高い点
1.【園舎の構造を生かした家庭的保育の実現】
●横浜おひさま保育園は、定員60名のところ、待機児童枠により現在、67名の子どもたちを預かっています。園では、3学年ごとに1フロアで保育する体制を取っており、2階31名、3階36名の保育を実施しています。園の特徴としている「家庭的な雰囲気の中で、子どもらしくのびのびとすごせる環境」を実現し、一人ひとりの子どもを大切にする保育、一人ひとりの想いを大切にする保育を展開しています。2クラス全てを一度に見渡せる体制の中、職員の目の届く範囲で保育が進められており、家庭的なクラス編成が成されています。

2.【通常保育に加えた外部専門講師による学び】
●横浜おひさま保育園では、外部講師による英語教室、体操教室をプログラムに取り入れています。体操教室は横浜市体育協会からインストラクターを派遣してもらい、指導を受けています。調査当日では、ボール園庭を使って、磯子おひさま保育園の幼児クラスと交代で、体操、駆け足、縄跳び等、団体での遊び等を楽しく学んでいました。また、ベネッセの英語教室「ビースタジオ」にレッスンを依頼し、子どもたちはゲーム等の遊びを通じて英語に親しみ、豊かな発想力・創造力を育んでいます。

3.【食育の取り組み】
●横浜おひさま保育園は、自園の厨房を持ち、専任栄養士・調理師が園独自の献立を作成し、子どもたちに美味しい食事を提供しています。「家庭的な保育」のポリシーを基に、定員枠で子どもの数が増えても同じ保育が継続できることを意識した活動を行っています。また、給食に出たおかずなどのレシピがサンプルの隣に置いてあり、食事について親子が会話する姿を大切にしています。横浜おひさま保育園にはホールがあり、食事は3歳~5歳児はホールで食事を一緒に行い、寝食分離を実現しています。園舎屋上にはコンパクトな畑を準備し、季節の野菜を栽培し、成長を観察して収穫を体験できるようにしています。今年はお米の栽培を行い、子どもたちは苗、田んぼの土に触れ、籾から米が穫れるまでの月日をかけた「お米」の収穫場面を見、食事への感謝にもつなげています。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【期待する職員像の研鑽と活用】
●今回、法人の中・長期計画の中で「期待する職員像」の制定があり、施設長インタビュー時にも「期待」に対する表明を受けました。評価の「見える化」については是非、全職員に示し、「期待する職員像」に向けて研鑽を図り、それらが保育の質の向上とスキル、給与のアップにつながり、職員のモチベーション等にも表れるはずです。但し、今回示された「期待する職員像」は骨子の部分であり、各々の項目の意味するところはまだ不透明です。各々の項目について、どんな研鑽を積めば良いのか、一般論と法人としての展開について是非、職員間でグループディスカッションやKJ法等で討議を行い、法人としての「期待する職員像」を形成されることを期待いたしております。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名:横浜おひさま保育園

<評価に取り組んだ感想>

 第三者評価受審に向けた学びを通し、まず良かったことは職員一人ひとりが知らなかったこと、目を向けていなかったことに対する「気づき」が持てたことです。小グループでの話し合いと同時に人権チェック、マニュアルチェックなどを活用しながら子どもに対する姿勢、そして保育園の役割や経営・運営についても意識することの大切さを学びました。

 運営面においても各種マニュアル、職員心得や中・長期計画などの見直しの良い機会となりました。特に中・長期計画では施設長・主任・栄養士リーダーでじっくり話し合いを持ち、作成しました。中・長期計画を軸に職員会議で「期待される職員像」を丁寧に周知することで、保育士の中にはクラス内だけでなく、全体に目を向けられる職員も出てきました。

 受審日には少しの時間ではありましたが、基本的な保育がほぼ適切に行われていることを見ていただき、自分たちの自信につながりました。また、稲の栽培~収穫~食育へとつながる過程もご覧いただき、自園で大切にしていることが強みであることに改めて気づかされました。系列園があることで協力したり、情報共有していく強みと並行して各々の園の特色を出していくことも大切、とアドバイスをいただき、可能性の広がりを感じました。

 また、マニュアルの不足や自己評価の掲示の仕方など、監査や巡回訪問とはまた違った視点からのアドバイスをいただき、とても貴重な場となりました。ありがとうございました。


<評価後取り組んだ事として>

1.職員間で受審の報告や感想を話し合い、一人ひとりが更に意識を高く、向上心を持ち、チームで保育にあたることで、利用者、保護者そして職員自身も幸せ(最善の利益)になっていくことを共有しました。

2.連携園間でも、報告し学びを深めました。

3.全体的な計画の見直しの際に各園の特色を改めて打ち出し、作成しています。

4.マニュアルの見直しの際に、毎年のチェック欄を設けました。

5.園の自己評価の公表の仕方について検討中です。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●企業のポリシー、法人の経営理念は「職員間の和が子どもたちに良い影響を与える」、「家庭的で、子どもの安全・安心が第一」です。保育園の理念「集団の中で子ども一人ひとりが自分らしく生活し成長出来る場」に沿って、保育方針「家庭的な雰囲気の中で」、「子どもらしくのびのびとすごせる環境を用意し」、「その中での一人ひとりの個性を引き伸ばせる保育を目指す」ことをモットーにしています。その上で「子ども、保護者と保育園が信頼しあえるような関係」を築いており、これを傘下全園で展開しています。施設長は開園時の思いなどを、エピソードを交えて、職員会議や研修の場で話し、周知するようにしています。理念等は玄関や休憩室に掲示し、誰でも目に付くようにしています。また、入園のしおり・重要事項説明書にも記載し、園見学・入園説明会で必ず説明しています。在園児保護者には毎年、保育計画に盛り込まれたものを配付し、また、懇談会時にも伝えています。理念、基本方針はホームページやパンフレットなどにも掲載し、周知に努めています。職員については年度初めの代表の話や、職員会議等で理念、基本方針の周知と再確認を図っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

●事業経営をとりまく環境と経営状況の把握・分析については、利用者の人数、待機児童数などを定期的に把握し、次年度の動向を分析しています。法人内の施設長会議を週2回行い、地域内の状況、他施設の状況等を話し合い、広報誌や地域の定例会などを通じて地域のニーズや特徴など必要な情報を取得し、情報を共有しています。また、地域の子育てサポート事業にも参加し、磯子区の園長会議、幼保小校長・園長連絡会、区や市の会合の他、代表は全国組織の保育会等に加入し、情報を得るとともに、厚生労働省の情報等も入手し、分析して運営に活用しています。広報誌や地域の定例会などを通じて地域のニーズや特徴など必要な情報を取得し、不必要なコストの見直しを行っています。横浜保育室の関係から連携が深かった行政との距離が現在は、認可園中心となったことで、やや情報が届きにくくなったと代表は感じており、今後、行政の動きに対応していく情報の収集が望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

●法人ではライン&スタッフの職務分掌を明確にし、職員の意見を良く聞き、職員体制、人材育成、設備等の具体的な課題や問題点を明らかにし、運営を進めると共に、クラスリーダーや係に権限を委譲し、育成を図っています。人材の補充については、就職フェアに参加し、その活動状況などを職員に報告し、問題点の共有を図っています。経営状況の課題は施設長会議で議論し、改善策を見つけ、職員に会議やミーティングなどで共有できるようにしています。例えば、園内行事の推進については、職員の考え方を参考にし、職員自らPDCAを展開し、期末に反省を行い、次年度につなげる流れが出来上がっています。保護者参加行事では終了後、保護者アンケートを実施し、集計・分析結果を職員間で振り返り、導き出された改善点を次年度に反映する体制が確立しています。また、年長児については、1家庭複数での行事への参加希望を考慮し、行事の2部制実施を検討する等、保護者のニーズを組織全体で大切にして取り組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●中・長期的なビジョン及び計画は、法人が中・長期に亘り安定的・持続可能な運営ができることを目的として設定しています。今年度、中・長期計画を策定し、達成するための課題は明確になっており、課題解決の具体的な方法も計画の中に示されています。長期計画の目標値は極力、数値目標化し、達成の進捗が具体的に見えるようにしています。保育業務については数値目標化が難しいですが、日程目標を置いて進めています。今回の骨子は「経営」、「組織の構築」、「職員の育成」、「地域の福祉ニーズ」を柱に構成し、特に、「職員の育成」については①基本的な考え方、②課題、③取り組み、に分けて考え方を示しています。中・長期的計画の特長は、今まで口頭で話し合われていた「職員育成の目指す姿」を明文化した点にあり、「期待する職員像等」が明確になった点です。これにより評価の「見える化」が図られ、職員の意欲の向上につながるものと期待されます。努力の上、中・長期的なビジョン及び計画を策定されましたが、今後、内容の充実と実効性のある具体的な施策の提案が望まれるところです。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●事業計画は中・長期計画を反映して策定しています。収支計画は単年度の計画であり、話し合いの上、策定しています。事業計画については年度の終了時の振り返りを行い、未達成のものについては原因を究明し、分析結果を以降へとつなげています。また、事業計画は実現可能な計画を立案するようにし、単年度計画は実際に100%達成可能となっています。事業計画は数値目標を図り、具体的な成果、担当者・責任者を決め、評価がしやすい体制にしています。さらに、事業計画と併せ、全体的な計画を基に作成した年間指導計画も策定し、並行して実施しています。事業計画は行事計画に落とし込み、行事計画に沿って保育のねらいや目的等を園だより等で補足し、保護者に知らせています。運営委員会では次年度に取り組みたい内容等を話し合い、議事録に残しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画は、年度初めの法人全体職員会議で職員参画の下、予算や今年度のビジョンを説明し、各園での職員会議を経て作成しています。年1回の職員面談で抽出した意見は、集約して事業計画策定時に反映させています。実施状況の把握の時期、参加者、チェック項目、評価の時期・手順等を定め、評価に沿って職員会議で見直しを実施しています。全体的な計画を基に作成した年間指導計画については、年齢別に作成し、職員に周知を図り、計画に沿った対応を実践しています。法人は有限会社であり、公表を前提とする必要はありませんが、園の環境整備等の支出が可能な利益計画は、内部的に充実を図る必要があると思われ、今後は年度収支計画の「見える化」に期待が寄せられます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●保護者への説明については、年度初めに運営委員会で事業計画の骨子を概略的に説明する他、行事計画に落とし込んで周知しています。また、毎年、園独自の自己評価を年度末に実施し、園内に掲示して保護者に開示しています。年間カリキュラムは、保護者に配付し、計画の周知を図り、具体的な行事計画については行事への協力、参加を促進するよう説明を行っています。保護者への理解に向けて、常に利用者に「選ばれる園」を目指すことを根幹にした企画の立案と実施に期待がされます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

●基本的には業務の事項や事実に沿いながら論理展開を心がけています。年齢ごとの会議で、各月の保育の計画と内容について振り返りを行い、評価・改善が実行できるようにしています。また、職員、栄養士は年1回、自己評価を行い、施設長は職員面談で進捗のチェックと指導・助言を行い、質の向上に努めています。園内の危険箇所チェックについては、見落としが無いよう、必ずチェクリストに沿って確認を行うようにし、毎年の自己評価、数年ごとの第三者評価受審の際には改めて危険箇所を抽出してリストの更新を図っています。自己評価結果、第三者評価結果については職員会議で話し合い、改善策を立てて取り組んでいます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●昨年度の自己評価については、年度末に非常勤職員も含めて評価を行い、結果を掲示板に貼り出し、保護者に開示しました。内容については職員会議で共有し、次期計画に組み入れて展開しています。保育所として取り組む課題を明確にし、職員会議等で今月の目標を設け、実践につなげています。改善計画は、基本的に次年度指導計画に組み込み、継続して改善に努めるように、随時、計画の見直しを行っています。職員の資質向上による保育の質の向上を目的に、課題を明確にし、組織全体で保育の質の向上について取り組む企画・アイディアを結集させ、そこから実施に至るよう期待いたします。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●施設長は、年度の初めに保育園の広報誌「おひさまだより」に施設長コラムを掲載し、保育観や責務を文書化して周知し、保育方針も併せて示しています。職員に対しては、役割と権限について運営規定及び職務分掌表に明記し、期初の職員会議や懇談会で表明しています。有事の際の役割や組織分担、不在時権限移譲者等については防火防災組織図に示し、職員室に常に掲示して周知をしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●施設長は、関係法令を理解し、必要に応じて法律を熟読し、必要な研修に出席して研鑽を図っています。法律に先立つ倫理に関しては、保育士会の倫理綱領を遵守するよう指導しています。また、法令の勉強会や、保育の研究会、発表会に参加して職員へ必要な関係法令の周知に努めています。施設長は、子どもや保護者に対して公平な姿勢で臨み、得た情報は漏れなく職員等へ伝えるようにしています。さらに、リスクマネジメント研修に参加して運営に生かし、ゴミの分別など環境への配慮を行い、近隣に迷惑が及ばないよう具体的に職員に指示を促しています。今後は、新入職員研修のテキスト等に遵守すべき法令等をリストアップする等、個人の研鑽意欲の促進に努めていかれることを期待いたしております。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●施設長は、保育の質の維持・向上に意欲を持ち、毎月の年齢ごとの会議、リーダー・全体の会議において職員の気づきを促すよう意見を求め、問題提起を行う等、リーダーシップを発揮しています。職員に関する評価分析は年1回、後期に職員面談を実施し、評価と課題を確認しています。また、関係職員に対して、公的なキャリア制度の研修参加を促し、取得した資格に応じた対応を行うようにしています。施設長は、園の質の向上のため、職務分掌・行事等に対する係、フリー職員の有効活用など組織的な展開を図り、職員の声を聴き、一人ひとりの良い点・伸びしろを把握し、個々を生かす活動を推進しています。職員の研修については、年間研修計画を立て、研修リストを提示して選択できるようにし、外部研修の紹介では必要な職員に参加を促しています。研修受講後は報告書を作成・提出し、全職員が閲覧できるようにしています。会議では、系列園(磯子おひさま保育園)を会議の目的で使用し、職員は少人数ごとに各フロアに分かれてリモート研修を行い、新型コロナウイルス感染症拡大防止として全体会議の工夫をして取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●法人は、経営の改善、健全な保育園経営のための労務・財務等の分野に関して分析を行い、施設長も参画して職員と話し合い、組織体制を整え、柔軟に組織を運営できるよう常に考えています。施設長は、業務の実効性を高めるために、リーダー会議で業務に関する「無理と無駄」を洗い出し、改善案を提示して組織内の業務が円滑に進むよう尽力しています。さらに、経営改善の実効性を上げるため、常に効率的な業務を行う体制を整え、指導力を発揮しています。代表は財務を担い、労務は社労士、人事は法人系列施設長会議等を通して話し合っています。労務に関しては横浜おひさま保育園内に法人本部の窓口を設置し(社労士が担当)、相談できる体制を敷いています。また、大岡おひさま保育園に在籍の看護師が全職員に対して、健康ヘルスチェックを行っていく計画も挙がっています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●管理規定に専門職の配置や人員体制について文書化し、効果的な福祉人材確保を実施しています。また、中・長期計画には育成の姿と方針が定められています。人材確保のため、保育士就職フェアへの参加、PR動画をホームページに掲載する等、取り組みに工夫しています。保育士養成学校や専門学校に対して就職活動に向けてのPR活動を行っていますが、手ごたえはやや弱い状況にあるため、保育士就職フェアで実際に対話し、ある程度人材を見極め、法人の魅力を発信して園見学につなげるよう努力しています。原則、採用は法人本部事務部門(社労士)が担い、保育士就職フェアへは各施設長、主任が参加しています。園見学では本人納得の上で面接、採用を行い、入職後には定着率の向上に努め、職員が働きやすいよう時短勤務制度を取り入れ、配置では経験値のバランスを考慮しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

●今年度、中・長期計画で「期待する職員像等」を明確にし、文書化を図っています。人事では、職員が自身の子どもと同じ園で働くことのないよう、また、自身の子どもと同年齢を担当することのないよう配慮しています。配属では、新人職員と先輩の職員がペアになるようにしています。人事管理については、採用・配置・異動・昇進・昇格の基準を明確に定め、全職員に周知しています。一定の人事基準と専門性、遂行能力、職務の成果を分けて評価を行い、職員の意見は意向調査や施設長面談で把握し、希望に応じて代表と面談を行い、施設長・法人とで検討するようにしています。処遇の水準、評価による処遇対応・改善に関しては、令和3年度4月に実施されることが決定しています。自分の将来の姿を描ける仕組みでは職員に標準的なケースを示し、就業規則は職員が閲覧できる場所に置いて、常に確認できるようにしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

●職員の就業状況については出退勤のデーターベースで管理し、業務時間の平準化を図っています。シフト作成の上で、早番遅番の回数に差異が生じないよう配慮し、遅番翌日に早番が無いよう工夫しています。職員の心身の健康と安全の確保については、看護師が職員のメンタルヘルスや体調の相談に応じ、必要があれば医療機関を紹介する等、支援しています。定期的に施設長との面談を実施し、主任や栄養士等のスーパーバイザーから声かけを行い、社会保険労務士(社労士)が法人相談窓口となる等、職員の意向を聞く機会を設けています。有休については、最低年間5日取得できるよう法人本部とシフト作成者で把握し、子育て中の職員については希望に沿って時短勤務を取り入れるようにし、介護が必要な職員には介護休暇の取得ができるよう働きやすい職場作りをしています。また、休暇取得、短時間労働、育児休業、勤務形態の変更等についても福利厚生を構築しています。人事体制のテーマとして、働きやすい職場が原点であり、施設長会議の中で検討し、職員の意向を加味した計画を策定し、職場環境の充実が図れるよう取り組んでいます。事例として、職員の通勤用の自転車置き場の設置を挙げられます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●「期待する職員像等」は階層別に明文化し、施設長との面談で個人が設定した目標が適切にできているかどうか、進歩状況を中間面談で確認しています。また、年度末に具体的に定めた目標の達成度について確認を行っています。「自己評価シート」には年間目標を設定し、中間の自己評価と面談を行い、結果は後半及び次年度に反映させています。今年度設定された「期待する職員像等」の充実と考課への連動及び、昇給・昇格への連動について、「期待する職員像等」の細分化を含め、園内研修等で項目を挙げる等、さらなる取り組みに期待いたします。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●「期待する職員像等」を中・長期計画に明示し、監査後や期末に職員の教育・研修内容やカリキュラムの見直しを定期的に行っています。階層別に、目指す保育が実施されるための教育・研修計画を立案し、新入職員の教育については数年先輩の職員がOJTを行う制度を設け、専属で担当して実務面での育成とサポートに当たっています。研修計画は年度当初に決め、計画に沿って実施しています。教育・研修の課題について、新入職員研修の次は2~3年目のフォロー研修、その後主任クラス研修となるケース、あるいは中堅職員研修となる体系だと思われます。将来の管理職の育成に関して、管理職はスキルを有しているだけでは育成されているとは言い難く、主任になる前の職員に対して、「薫陶」を教示するような研修体系を設ける等、検討及び工夫を一考されると良いと思います。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●園では、職員のキャリアアップ研修の計画書を作り、一人ひとり偏りなく平等に参加・取得できるようにしています。個別の職員の取得状況は一覧にし、保管して把握しています。中・長期計画には数年先輩の職員が新人職員にOJTを行えるようクラス配置をしています。教育については階層別、職種別、テーマ別に研修を企画し、外部の講師も召喚して実施しています。外部研修については情報の提供と、勤務時間内または出張扱いで研修に参加できる体制を整え、非常勤職員も年1回以上の研修参加を目指して推進しています。今年は新型コロナウイルス感染症で十分行えていません。受講後は、研修成果の評価及び、保育に反映されているかの確認を行い、保育に関わるニーズの内部研修を実施し、職員間で学び合う機会を設けています。今後は、前項【18】と同様に教育体系の検討が必要と思われます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

●実習生受け入れに関してのマニュアルを備え、マニュアルに基づいて実習生を受け入れています。受け入れでは、事前にオリエンテーションで説明を行い、保護者への配慮についても伝えています。実習生は、危機管理の分野・看護の分野・保育の分野について受け入れ、それぞれの専門職種については養成学校の要望に応じたプログラムを準備し、計画を立てて実行しています。養成校に求人票を持参して訪問し、実習生の受け入れを進めています。実習指導者に対する園内研修は、外部の研修(組織マネジメント・リスクマネジメント等)に年1回参加して知識を深めています。また、職員が実習内容を計画的に学べるよう、策定されたプログラムや実習の目的を把握できるように示しています。課題では、後進の育成及び、入職に期待が寄せられる実習生受け入れの機会を生かし、戦力的に取り組む必要があると思われます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

●経営母体は有限会社であり、保育園の事業計画・予算等については、ホームページや地域に向けて公開はしていませんが、保護者代表3名が出席する運営委員会で法人の理念、基本方針、ビジョン等の説明と併せて事業計画、決算報告等について報告しています。入園説明会等では運営内容等の説明を行っています。尚、第三者評価の受審結果や苦情の改善状況については公表しています。尚、公立・公的機関に向けた透明性と有限会社等の会計開示のイコールフィッティグが求められる点はありますが、運営の透明性に向けて一考を期待いたします。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●保育園のルール、職務分掌、権限・責任等については明確にし、職員等に周知しています。内部監査については経営規定に基づき、税理士によるチェックで内部監査を行っています。小口現金等については複数人で確認し、税法に則って処理しています。人数基準、評価、改善も税理士と共に行っています。外部の専門家に関しては、決算チェックを会計事務所に委託し、外部専門家(弁護士等)のアドバイスは経営改善の参考にして実施しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●地域との関わり方については中・長期計画に織り込み、明文化し、地域に周知するよう努めています。近隣の図書館の利用や、横浜市南部地域療育センター等の機関の活用を行っています。地域の子どもや施設との交流は幼保小教育事業の中で十分に行うことができていると考えています。また、子育てサポートによる情報や冊子等を園に掲示し、自由に持ち帰れるコーナーを設置し、保護者に伝える工夫をしています。課題では、子どもと地域との交流を広げることを目標とし、時間をかけて少しずつ積み上げていくことが大切と思われます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●ボランティア受け入れのためのマニュアルを用意しています。学校教育(中学生の体験学習、高校生のインターンシップ等)の受け入れをマニュアルに明文化し、中学生の職業体験を受け入れています。受け入れ時には受け入れマニュアルに沿って導入研修を行っています。受け入れのボランティアの種類に請願がある点において、徐々に活用できるボランティアの発掘を続ける必要があると思われます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

●保育所として必要な社会資源について把握し、職員内で共有しています。リストや資料を作成し、保護者へ情報提供を行い、活用しています。リストは職員室に置き、誰でも活用できるようにしています。関係機関では横浜市南部地域療育センター、横浜市南部児童相談所、磯子区保健所、消防署、警察、病院、ケースワーカー等と連携を図っています。区役所で行われている定期的な会議(園長会議等)や年1回の横浜市南部地域療育センターの巡回訪問、要保護児童対策地域協議会への参加を通して職員にも必要な情報を伝えています。虐待の疑い、見守り児童や障害児については、定期的に報告会や電話連絡等で情報を共有し、要保護児童対策地域協議会への参画や児童相談所との連携も視野に入れて対応するようにしています。また、区役所の虐待対策窓口と連携を取り、見守り保育として児童相談所からの子どもを預かる場合もあります。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●同法人の運営委員会に代表と施設長が参加し、外部施設の運営委員会へも代表が出席しています。また、地域の園長会議、幼保小連絡会、地域の自治会に参加し、ニーズを把握しています。地域の連絡会や子育て連絡会には各保育園の施設長もしくは主任が参加しています。育児相談会については、園外の掲示板に掲載して情報を提供しています。地域の福祉ニーズ等を把握する工夫、利用を希望する団体等の発掘等により力を入れて行かれると尚良いと思います。地域の「緑の協会」に参加し、歩道の掃除や歩道に面した緑化(プランター)に協力しています。区役所で行われるお祭りには公共機関(区役所、図書館、ケアプラザ等)と一緒にその一翼を担っています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●子育てに留まらない社会貢献活動の企画、実施している点については、中・長期計画に地域の福祉ニーズとして把握している事項と施設・事業者としての具体的な取り組みを明示し、園では朝の開園時や散歩時に近隣や公園を掃除し、町づくりの一員としての意識を持つように努めています。地域コミュニティについては、子どもを介してコミュニティ活動に貢献するようにしています。地域の福祉ニーズ等に基づく公益的な活動に参加し、防災対策としては、横浜おひさま保育園にはプロパンガス、駐車場開放、マンホールトイレを設置し、近隣の磯子おひさま保育園にはAEDを設置する等、緊急な対応が可能となるように対策し、地域に貢献しています。今後は、公立認可保育園のネットワーク専任保育士の活用によるニーズの発掘等に着目し、また地域子育て支援拠点との連携等も更に必要かと思われます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●理念に子どもの最善の利益を第一義にすることを明記し、子どもを中心に置いた保育を推進している点が園の特長となっています。園の保育方針を基本にして、日々の保育の中で振り返りを行い、職員会議、リーダー会議、クラス会議、日々の昼礼等を通して見直しを行い、必要に応じて主任やリーダーが助言を行うようにしています。基本的人権については、横浜市から配布された「より良い保育のためのチェックリスト」~人権擁護のために~を基に法人で人権研修を実施し、人権擁護のためのセルフチェックを行い、子どもの人権について話し合っています。性別、出自等で個人を差別するような関わりがないよう定期的に職員間で確認を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

●子どものプライバシー保護に配慮しています。配慮事例では、乳児のオムツ替えは外から見えない場所で行い、幼児トイレにはドアを付け、夏季のプール時は外から見えないよう工夫を施し、排泄に失敗した際は他児にわからないよう対応する等、子どもの羞恥心に配慮しています。個別的な配慮については、クールダウンできる場所を確保できるよう工夫し、職員間で情報を共有して配慮するようにしています。プライバシーの遵守に関しては、職員間・法人内において共通認識及び情報の共有化を行い、マニュアルにも掲載して周知しています。保護者から個別相談を受けた場合は面談室で話を聞き、プライバシーに配慮しています。「子どものプライバシーとは何か」との定義づけや、段階付け等について検討されることが望まれます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●保護者への園の情報提供に関しては、区役所にパンフレットの設置許可は得られないため、基本的に法人・園のホームページを参照してもらい、保育園に来園された際に資料等を渡し、説明しています。入園希望者へは園のしおりを配付し、園見学の希望については積極的に受け入れ、希望日を調整し、入園してからの生活につなげられるよう、また、選択しやすくなるよう個別に丁寧な説明を心がけています。園見学者(利用希望者)への提供情報は適宜見直し、リニューアルを図っています。障害のある子どもを持つ保護者の見学に際しては看護師も同席し、園生活で注意する点等の相談に応じています。今年度は特に、新型コロナウイルス感染症の影響下により、園見学から育児相談の場面が多くみられ、丁寧に安心を提供できるよう対応を心がけています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●保育の開始時や変更時、重要事項説明書を用いて入園時説明会にて保育園のルールの説明をし、同意を得ています。また、慣らし保育などについては保護者の勤務形態などにより柔軟な対応をしています。持ち物や教材については見本を用意し、保護者に見せながら説明し、理解につながるよう努めています。保育園のルールが変更になるときはその都度、手紙を配付したり、掲示する等わかりやすく伝えるように努めていますが、今年度は新型コロナウイルス感染症防止対策によってかなりのルールがその都度変更となっています。特に配慮が必要な保護者、例えば、日本語に不慣れな外国人、知的障害などのある人などについては個別対応を原則としています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●個人の記録は常にまとめてあり、引継ぎはいつでも出来る体制になっています。卒園後に通う小学校には必ず、保育所児童保育要録を提出していますが、途中での保育園の変更等については、資料は全て残してあるものの、守秘の問題もあるため、保護者の同意がある場合若しくは市町村の依頼がある場合に限って提出するようにしています。転園児対応は、必要な児童に関しては区役所の保育担当に電話で引継ぎを行っています。卒園後の窓口は基本的に施設長で、主任及び元担任が担当する体制となっています。卒園児には運動会等の招待状を送っています。卒園児に、卒園後いつでも遊びに来て良いと口頭で伝えていますが、文書には残されていません。文書化を図るよう期待されます。卒園・転園後の継続性については、守秘義務の問題もあり、行政との連携が重要と思われます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●子どもの満足に関しては、日常の保育の中で常に把握するように努め、保護者の満足度については、行事終了後にアンケートを実施して把握し、保護者懇談会やクラス懇談会でも保育に関する満足度を把握するようにしています。アンケート等は担当が集計し、職員会議で検討しています。集計・分析の結果、改善策を立て、改善に取り組んでいます。利用者の意見を聞く体制と、要望等に対して実現できないことはしっかり説明する姿勢の両面が重要と思われます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

●苦情が出る前の段階の送迎時の職員との対話、連絡帳等を通してコミュニケーションを図る中で、保護者から要望や意見として運営改善を求められることがあります。それらについても組織的に対応できる体制をとっています。苦情解決の仕組みでは苦情解決責任者(施設長)、苦情受付担当者(主任)、第三者委員を決め、掲示しています。仕組みについてはフロー化し、併せて掲示しています。意見箱も設置しています。苦情に関する記録は残し、意見は公表し、フィードバックし、保育の質の向上に役立てています。セーフティネットの側面もあるため、第三者委員を活用していく方法も一考いただければと思います。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

●入園説明会時に、相談や意見は職員の誰に述べても良いことを伝え、文書化を図り、周知しています。保護者の相談スペースとして面談室を設置して環境を整えています。苦情解決や相談窓口、第三者委員の氏名は玄関先に掲示し、重要事項説明書、入園のしおりにも明示しています。普段から保育士等と話をしたいという保護者からの要望に対しては、交流できる機会を園の企画・アイディアで提供する等、一考を期待いたします。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

●職員は日頃から、保護者が相談しやすいような雰囲気作りを心がけ、保護者の表情や様子を注視し、声をかけるよう努めています。苦情に関わらず、保育内容、生活環境の改善等に係る意見や要望について傾聴し、改善できるところは速やかに取り組んでいます。また、意見箱、相談等の対応マニュアルを備え、解決に時間を要する場合は該当保護者へ中間報告を行っています。職員は、個人面談を行い、保護者に対して日々丁寧な対応に努めています。要望に応じて育児相談等の面談を受け付け、相談内容に応じて必要な専門職(看護・調理・主任・施設長)が同席し、記録を取り、受けた相談・意見等は保育の質の向上に生かすようにしています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●リスクマネジメント体制では、安全委員会を設け、事故報告書、ヒヤリハットにより事故要因の事前除去に努めています。事故発生時の手順についてマニュアルを備え、マニュアルに沿って対応しています。法人・園は、危険事例の収集に努め、事例を基に事故防止対策を検討し、職員研修を実施して再発防止に努めています。安全委員会では、月に1回程度、園内、危険箇所等の巡回を行うこととし、安心・安全なサービス提供に努めています。安全チェックリストを各クラス、全職員で取り組み、職員会議において結果を全職員に周知しています。職員に対しては、危機管理、事故防止に向けた研修を実施し、不慮の事故事例を掲示し、回覧をして共通認識を図り、子どもの安全確保に努めています。「安全委員会」では、1か月に1回程度、園内の巡回を検討し、事故防止に取り組んでいます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●看護師に感染症対策の責任と役割を委嘱し、管理体制を整備し蔓延防止に努めています。登園禁止の感染症については重要事項説明書にその対応と、再登園の際の手続きも含めて周知しています。感染症対応のマニュアルがあり、重要事項説明書にもその内容の一部を掲載しています。区役所の感染症伝播に関する情報が看護師部会に通達されると、看護師部会経由で園の看護師に情報が伝達される仕組みとなっており、急を要さないものについては保健だよりでお知らせしています。予防及び発症時に感染を広げないための対策に関しては、保護者への周知も行い、「園-Renraku」などインターネットを通しても発信しています。職員会議では看護師によるレクチャーも開催し、学べる機会を取り入れています。保護者への情報提供は常に行い、感染症の予防策として手洗いの励行を行っています。看護師は感染症対応のマニュアルを適宜見直しています。今後はさらに、適切適宜に情報発信の対応に努めて行かれることを望みます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

●災害時の防火防災組織図、対応体制、避難場所について掲示して実効性を図り、防災計画を策定して消防署、連携先に示しています。園の立地条件を考慮し、事業が継続できる計画(BCP)を備えています。子ども・職員の安否確認の方法(連絡システムメール、掲示板)を示し、全職員が理解し、周知できています。また、災害発生時の初動の対応策に関しては全職員の共通理解を図り、進めています。災害用備品については食料、オムツ等の備蓄品リストを作成し、調理業務者・看護師・施設長が管理を行っています。課題では、事業継続計画に係る防災体制の策定についてもより深く取り組まれると良いと思います。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法を明示したマニュアル(職員の心得)を整備し、人権の擁護、プライバシー保護等について定め、入園のしおりや重要事項説明書にも明記しています。マニュアルには子どもの尊重、プライバシーの保護、権利擁護を明記し、職員に徹底すべき標準的な実施方法を盛り込み、研修にて理解を深めています。また、年齢ごとの会議でも標準的な実施方法に基づいて保育が行われているかを確認し、かつ、画一的にならないよう子どもの希望を柔軟に取り入れる工夫をしています。常に標準的な実施方法のメンテナンスが期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

●マニュアル類については、1年間の実施を踏まえて年度末に見直し及び確認することを原則としています。見直しは定期的に(年1回)行い、職員会議で全職員が参加して実施しています。また、月案、週案のチェックも定期的に実施しています。保育所の自己評価や保護者のアンケート結果については掲示板で公表し、改善に努めています。施設長面談に関連して職員の自己評価を行い、第三者評価受審年度以外も保育所の自己評価を行っています。前項【40】と同様に、実施方法のメンテナンスを期待いたします。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

●指導計画策定の責任者は、各クラスリーダーを責任者とし、計画は施設長の承認を得ています。アセスメントはモニタリング表、個人記録、個人別指導計画、参加メンバーそれぞれの見解を持ち寄って実施しています。参加メンバーの選定は園マニュアルで定めていますが、異職種に参加を要請することもあります。保育の指導計画は全体的な計画に沿って策定し、子どもの身体状況や、生活状況等を把握すると共に、子ども・保護者のニーズを明らかにすることを目的とした手法を確立し、抽出したニーズは計画に反映させています。毎月、月案の反省時には保育実践の振り返りを実施しています。また、支援困難ケースの対応では全職員で共通理解を図り、協力して保育に当たっています。乳児と要支援児については個別支援計画を作成し、年1回、横浜市南部地域療育センターの巡回訪問を受け、助言を計画に追加することもあります。今後の対応として、アセスメント結果の周知と実行についての一考を期待いたします。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

●指導計画の見直しは毎月、職員会議にて月案レベルで実施しています。指導計画の変更は、週2回の施設長会議で議題に上げて検討及び改善を図っています。見直しに関する周知については、リーダー会議・法人全体職員会議で行っています。指導計画は、基本的には変更せずに朱記して展開し、次年度に反映する体制で進めています。マニュアルの変更があれば対応し、保育の質の向上に係る課題は明確に区分けを行い、マニュアルを改訂し、次期計画に反映するようにしています。さらに、評価・見直しの恒常化の防止に努めるよう期待いたします。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

●子どもの発達状況について、園の様式である健康管理台帳・おひさま児童要録(独自作成・年齢毎に作成)・各会議議事録(法人全体会議・部署会議・リーダー会議・年齢ごとの会議・調理会議・看護師会議)に記録しています。また、子ども個人別の指導計画も記録されており、確認を可能としています。各種会議等で職員に情報が正確に伝わる仕組みを確立し、共有化を図っています。保育に関する情報の流れ、分別についての仕組みとして、回覧するルートを定め、回覧後のファイリング方法も決めています。情報の活用についてはテーマを絞って職員会議で話し合い、情報を共有しています。記録要領の研修は全体及び個別で実施し、統一を図るようにしています。今後はさらに、確実な記録、周知、厳格な保管体制、分析等を目指し、取り組まれると良いと思います。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

●子どもの記録類については法定保管年数に沿い、遵守することにしています。職員に対しては、個人情報の取り扱いや規定に関して入社時に誓約書を提出してもらい、就業規則や管理規定に詳細を明記しています。保護者へは、個人情報に関して不適切な利用、漏洩がないことを重要事項説明書で説明し、文書化して同意を得ています。記録管理の責任者は施設長であり、記録の管理方法については業務マニュアルに定め、鍵のかかる書庫で保管し、取り扱いについて研修で徹底を図り、職員は理解しています。今後は、ICT化推進による省力化を念頭に置き、日々の業務に取り組まれることを期待いたします。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

●全体的な計画は、児童憲章、児童の権利に関する条約、児童福祉法、保育所保育指針等の精神に沿い、子どもの最善の利益を実現できる趣旨で編成し、保育所の理念、保育方針・目標に基づいて計画しています。また、子どもの発達過程、家庭の状況や保育時間、地域の実態等を加味しています。全体的な計画は、系列園の各施設長が集まって法人として計画的・組織的な構成を話し合い、その内容に沿って各園の職員会議で地域性・保護者の傾向・生活環境等を加味して編成を行っています。全体的な計画は定期的に評価を行い、当期の進捗、次期計画に生かしています。全体的な計画を中心に定期的にアセスメントを行い、進捗を評価し、保育の質の向上を心がけています。見直しについては、年度の切り替え時にリーダーが行っています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

●生活環境として、冬場は加湿器や霧吹きを活用して乾燥を防ぎ、室温は20~23℃(夏場は外気温-5℃)、湿度は50~60%の数値を定めて快適な環境の維持に努めています。換気では、循環式の強制換気の他、適宜、窓を開けて自然換気にも努めています。手洗い場・トイレは明るく、清潔を保ち、毎日トイレ掃除・玩具消毒等を徹底して行い、月2回の布団乾燥を実施する等、衛生管理に努めています。保育室は東向きで採光は十分であり、園舎は横須賀街道に面し交通量の多い場所ですが、園内では音は全く気にならず、職員の声の大きさも常に適切な状態に保持するよう留意しています。保育では1日の「静」と「動」の切り替えに配慮し、遊び等での危険を回避できるようドアは指はさみ防止を施し、エレベーターはボタンにロックをかけ誤作動がないよう留意し、子どもが安全・快適に過ごせる環境を整備しています。また、寝食の空間を区別し、心地よい生活空間を確保しています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●職員は、子ども一人ひとりに合わせた対応ができるよう、職員会議や日々の昼礼等で情報共有を図り、発達や成長過程、家庭環境等から生じる子どもの個人差を十分に把握し、子どもを尊重した保育を行っています。子どもが安心して自分の気持ちを表現できるよう配慮し、例えば、やりたいこと、行きたいところの意見、希望にはできるだけ沿うように努めています。発達の差異、個人差を理解した上で一人ひとりへの対応を考慮し、子どもの様子は毎日、昼食後のミーティングで情報交換を図り、共有しています。話し方については、大人の感覚を押し付けず、子どもが分かりやすい言葉づかいや話し方で穏やかに、ゆっくりと伝え、否定・制止させる、急かすような言葉は意識的に控え、やさしいトーンで肯定的な言葉がけをするよう心がけています。また、定期的に職員会議等で「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」について振り返りを行っています。子どもが戸惑い、行動に移せないでいる状態の際は、理由や希望を探り、根気よく待ち、気持ちを聞くよう配慮しています。デイリープログラムの時間では、時間に余裕を持ち、子ども一人ひとりのペースで気持ちや行動を切り替えられるよう見守り、寄り添うよう心がけています。園では、各職員に人権擁護のセルフチェックを行い、保育を振り返り、学びの機会を設けています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発達・成長に合わせて、生活に必要な基本的生活習慣を身につけられるよう援助しています。0歳児から食前の手洗いや、「いただきます」、「おはようございます」等の挨拶を大切にして保育を進め、子どもの主体性を尊重して集団生活の中でやろうとする気持ち・できる気持ちを大切にして援助しています(年度別のおひさま児童要録)。1日の生活は、子どもの状態に応じて、「活動」と「休息」のバランスが保たれるように工夫し、幼児クラスでは、生活習慣の流れを自主的に行動に移せるよう、行動表やイラストで示し、全ての子どもたちが基本的生活習慣を身に付けられるよう工夫しています。例えば、2歳児が取れる高さにティッシュを置いて自分で鼻等を拭けるようにし、汗をかいたら自分で拭くように促し、汚れたら着替える等、自主的に行えるような物の置き場所に配慮しています。また、基本的な生活習慣を身につけることの大切さを伝え、子どもが理解できるよう絵本や紙芝居等で働きかけています。トイレットトレーニングは各家庭と連携を図りながら開始時期等を個別に決め、無理なく進めています。食事は、乳児は個々の食べるペースに合わせて介助を行い、幼児では自分で食べられる量を申告し、子どもの主体性を大切にして援助しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

●年齢や月齢に合わせた環境作りに工夫し、子どもが自主的・自発的に生活と遊びができる環境を整備しています。子どもたちの好きな遊びや製作活動等を自ら選択できるよう工夫し、子どもの手が届く所に玩具や絵本等、室内遊具を揃え、自由に取り出して遊べるようにしています。また、異年齢で一緒に遊ぶ活動や行事、体を使った遊びの時間を設け、順番を守る、譲り合う等の社会的ルールも伝えています。教育では「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿10項目」を意識しつつ主体的に動けるよう集団や個など共同して遊びが展開できるよう支援しています。天気の良い日は毎日散歩に出かけ、身近な自然と触れ合う機会を多く取り入れ、戸外で様々な表現活動が体験できるよう工夫しています。課題は、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿10項目」を身に付けるためのカリキュラム作りについて期待を寄せます。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●0歳児は、長時間保育の中でも個々の生活リズムに合わせて睡眠や休息を取り、寛げる環境を用意し、合同保育の時間も短くして配慮しています。特に、0歳児が安心して、保育士等と愛着関係(情緒の安定)が持てるよう、子ども3人に対して1人の保育士が担当し、非常勤職員の乳児担当や看護師もサポートを行い、特定の職員との信頼関係や安心感につながるよう配慮しています。職員はそれぞれ愛情豊かに語りかけ、スキンシップをたくさん取っています。保育者は、子どもと同じ目線になって一緒にハイハイしたり、歩いたりして全身を使って遊ぶことの楽しさを伝え、興味・関心を持つことができる生活や遊びに配慮し、触れあい遊びや童歌遊びを取り入れ、スキンシップを通して応答的な関わりの時間を多く取り入れています。0歳児の生活と遊びを配慮し、複写式の連絡ノートや日々の登降園時の会話、懇談会、個人面談、保育参加等で家庭と密に連携が取れるよう努めています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●この時期は養護と教育の一体的に展開の基礎を作る時期と捉え、3歳以上児における「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿10項目」の基礎の時期に、子どもが自分で何かをしようとする気持ちの「芽」を大切にし、その気持ちを尊重しています。横浜おひさま保育園の保育室は窓が大きく、開放的な雰囲気の中、子どもたちの気持ちものびのびとし、保育室を探索して遊んでいます。保育士は、子どもたちの「何々をしたい」という気持ちを受け止め、やりたいことをできるように援助しています。また、子どもの身振りや手振り、表情から何を伝えたいのかを知り、次の活動への期待が持てるように配慮しています。遊びでは、絵本を友だちと一緒に読むことを楽しみ、「かして」、「どうぞ」、「あとで」等の言葉のやりとりをしています。子どもが安心して、遊びを中心とした自発的な活動ができるよう、保育士は適切な関わりをしています。子どもたちは、施設長や調理師、事務所の職員等とふれあい、散歩先では地域の方へ挨拶を通して交流し、保育士以外の大人とのふれあいを大切にしています。保護者とは連絡ノートや送迎時に子どもの様子を細かく伝え、トイレットトレーニングは家庭での取り組み状況や子どもの意欲を尊重して家庭と密に連絡を取りながら進めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳以上児の保育において、基本的な習慣や態度を身に着けることの大切さを理解し、遊びを通して決まりの大切さ、自ら判断して行動できるよう支援しています。個々の表現力や気づき、主体性等につながるよう活動や遊びは子どもと一緒に考える機会を設け、計画するようにしています。また、製作や造形は散歩先や行事等で感じた事柄を題材にし、個人や共同での作品作りを通して、表現しています。3歳児の保育では、子どものやりたい気持ちを汲み取り、遊べる環境を整え、4歳児の保育は、子どもの思いを保育者が拾い、子ども同士で話し合い、保育者も関わってまとめながら遊びにつなげます。5歳児の保育に関しては、子ども同士の話し合いで遊びを決めていけるよう促し、遊びを通して決まり(ル-ル)の大切さに気づき、自ら判断して行動できるようにしています。保護者へは、園生活の写真の掲示や送迎時の会話、懇談会、保育参加等を通じて子どもの様子を発信しています。「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿10項目」も身に付け、保育士等が適切に関わりながらアプローチプログラムを実施し、小学校のスターティング・プログラムにつなげています。子どもの育ちや取り組んできた協同的な活動等について、保護者や地域・就学先の小学校等に保育所児童保育要録を通じて伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

●横浜おひさま保育園はバリアフリーであり、オストメイトトイレや手すり、車椅子対応サイズのエレベーターを設置し、建物・設備は障害に応じた環境整備が成されています。障害のある子どもの状況に配慮した個別の指導計画を作成し、クラス等の指導計画と関連づけています。わかりやすく子どもたちに伝えられる系列園共通の絵カードも準備し、基本的には統合保育で一般の子どもと一緒に保育を行う体制を整えています。該当児の保護者とは連絡を密にとり、不安や困難に対して保育のヘルプサインを取り入れ、送迎時には玄関先まで介助を行う等、柔軟に対応しています。地域療育センターや保健所の保健師との連携・サポート体制の強化についても期待されます。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

●1日の生活を見通して、その連続性に配慮し、子ども主体の計画性を持った取り組みをしています。異年齢の子どもが一緒に過ごせるよう、家庭的でゆったりと穏やかな環境を整え、子どもの体力、状況に応じて休養を設ける等、配慮しています。職員は、昼礼で各クラスの子どもの状況の情報交換を行い、遅番職員や午後勤務の非常勤職員とも申し送り簿を活用して情報を共有し、長時間保育でのケアが行き届くよう努めています。また、担当保育士と保護者との連携が十分に取れるよう配慮しています。延長保育時には、子どもが使いたい玩具を棚から選んで遊べるようにし、過ごす場所も人数・月齢に合わせて、個々に好きな遊びができる環境を整え、夕軽食(おにぎり等)も提供しています。環境整備の面では、夕方の保育に携わる保育士の数がさらに増えれば余裕が生まれ、ゆったりとした環境作りが期待できます。現状の人事を鑑みながら、子ども一人ひとりの体力に応じた個別対応や保育士の見守り等の整備体制に期待されます。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

●計画の中に小学校との連携や就学に関連する事項を記載し、計画に基づいた保育を実施しています。就学以降の生活について見通しを持てるよう、幼保小連絡会議の交流を通じて各学区の小学校、幼稚園等と交流を図り、顔の見える関係作りを行っています。年長児の保護者に対して、就学に向けた面談を行い、小学校の生活や課題等を話し合う機会や、小学校との交流の場を設け、幼保小交流事業に担任、主任が参加しています。0歳クラスから児童要録を見据えた記録を取り、5歳児担任保育士は施設長の責任の下、保育所児童保育要録を作成し、就学先へ提出することにしています。年長児は、年度後半から午睡の時間を少なくし、学習の時間を指導計画に盛り込み、小学校の生活に無理なく移行できるようにしています。今後は、保育園のアプローチプログラムと小学校のスターティング・プログラムとの連続性に取り組んで行かれることを期待いたします。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

●子どもの健康管理に関しては、マニュアルを備え、マニュアルに基づいて一人ひとりの心身の健康状態を看護師が中心となって把握及び管理しています。保護者へは、保健だより等で情報を発信し、健康管理や感染症等の情報を家庭と共有できるようにしています。子どもの体調悪化、ケガについては、昼食後のミーティングで情報を共有し、園で体調悪化やケガをした場合は、健康管理台帳に記入及びファイリングをし、速やかに保護者に伝えると共に、事後の確認を必ず行っています。園では、保健計画を作成し、看護師を中心に全体で展開し、子どもの健康について共通理解を図っています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については、睡眠チェック表を使用して年齢に応じてチェックを行い、保護者へは入園見学や入園説明会で園での取り組みを説明し、家庭でも仰向けで眠る習慣をつけるよう保護者に啓蒙しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:b】

●健康診断・歯科健診は年2回実施し、結果記録は園の保健計画等に反映させて保育に生かしています。看護師は歯科健診終了後、子ども一人ひとりの結果を一覧にして関係職員に回覧して把握して情報の共有に努めています。保護者に対しては、受診結果票を配付し、健康診断・歯科健診の結果を家庭の生活に生かすように伝えています。特に、再検査が必要と判断された場合は、かかりつけ医への受診を勧め、希望があれば看護師、栄養士が個別の相談に応じています。子どもに対しては、虫歯予防デーや歯科健診の際に歯に関するペープサートや紙芝居等で読み聞かせを行い、歯磨き指導を行っています。さらに、「要再検査」と診断された子どものその後の受診状況の確認や、家族へのフォロー体制の構築が望まれます。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●アレルギー疾患のある子どもに対して、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を基に適切な対応に努め、生活管理表を提出してもらっています。慢性疾患等のある子どもに対しては、医師の指示の下、子どもの状態に応じた対応を行っています。食物アレルギーの子どもには配膳や座席等に十分留意し、食事提供では他児と見た目が同じになるよう配慮し、専用のトレイを使用してカードを表示して配膳を行っています。アレルギー児への理解や誤食を防ぐため、食べ物の持ち込みを一切しないよう入園説明会で説明を行い、該当児の保護者と連携を密にして園生活に十分配慮しています。職員は、アレルギー疾患、慢性疾患等について外部研修に参加し、園内研修でも看護師から必要な知識・情報を得、技術を習得しています。他の子どもや保護者にはアレルギー疾患、慢性疾患等について理解を得るための取り組みを行い、理解を促しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●子どもが「食」に関する豊かな経験ができるよう、保育の計画の1つとして食育計画を位置づけ、取り組んでいます。食育計画に沿って調理実習や栽培活動を行い、植物の成長過程の観察・収穫を体験し、野菜類は試食を行っています。子どもが楽しく、落ち着いて食事をとれる環境作りの工夫として、寝食の分離や、乳児クラスの時間差の食事、幼児の当番活動等を取り入れています。食事では年齢ごとに適切に援助を行い、流動食の提供や、スプーンの使用、箸の使用を段階的に発達に合わせて取り組んでいます。食器は、両手で覆えるサイズのお椀や、手首の動きを促す等発達につながるよう、程よい重みのある磁器の食器を採用し、破損しないよう丁寧に取り扱う意識にもつなげています。食事の量に関しては、個人差や食欲に応じて量の加減を工夫し、幼児クラスでは、保育士が一人ひとりに食べられる量を聞いて盛り付け、完食の満足感を経験できるようにしています。乳児は、月齢によって食材の形状等を変えて、食べやすいよう配慮しています。今年度は稲を育て、脱穀後にすり鉢と野球の硬球ボールを使って籾すりをし、玄米にするという活動を行いました。初めて見る光景に子どもたちは感動し、さらに「食」への関心・意欲を深めています。園では、栽培活動に関する「おひさまガーデンニュース」を作成して掲示し、家庭での食育にもつなげています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発育状況や体調等を考慮した献立、調理の工夫をしています。献立は、法人の栄養士が子どもの成長曲線を見て園独自に作成し、栄養士は昼食時に各保育室を巡回し、喫食状況等を把握し、職員会議等で喫食状況について共有を図り、栄養士と担任とで離乳食の進め方や、盛り付け量、形状の工夫等について話し合い、残食の調査記録・検食簿をまとめ、献立・調理の工夫に反映させています。今後、栄養士や調理職員も子どもたちと一緒に食べる機会を設け、さらに理解につなげたいと考えています。献立は和食を中心とし、季節感を心がけ、旬の食材、季節の食文化等については給食だよりで保護者へ紹介するようにしています。また、家庭での食事の様子や好き嫌い等を送迎時に話し、保護者から情報を収集するようにしています。今後、地域の食文化を取り入れていくよう考案中です。離乳食の進め方については、家庭と連携を図り、家庭で食した食材をチェックリストで確認してから取り入れるようにしています。体調不良やお腹の調子が良くない子どもに対しては、乳製品や柑橘類等を除去するなど配慮しています。衛生管理マニュアルを基に、厨房内の衛生管理体制を確立し、衛生管理が適切に行われています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

●年度初めの懇談会では、保育理念と保育方針を説明し、保育園で大切にしている保育を保護者に伝えるよう努めています。日々、遊びや活動の様子をドキュメンテーションにして貼りだし、それらを保護者と閲覧しながら子どもの様子を伝えるようにしています。個人面談では子どもの発達状況や課題を共有し、連絡ノート等により家庭との日常的な情報交換を行っています。特に、乳児は、まだ生活が定まらない時期でもあり、毎日の綿密な連携を心がけています。3歳以上児は園での生活を自分で伝えることも大切なことと考え、言葉足らずの部分は面談等で補足するようにし、時にはノートを使用して連携を取るように努めています。記録は各指導計画や個人面談、懇談会記録を残しています。コミュニケーションが取り難い家庭との連携について工夫等を一考されることを期待いたします。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保護者とは日々コミュニケーションを取るよう心がけ、信頼関係を築くよう取り組んでいます。例えば、複数担任のクラスでは、勤務のシフトを交代制にし、担任が保護者と直接コニュミケーションが取れるようにしています。保護者等の相談等については、年2回、希望制で事前に相談内容を確認し、相談内容に応じて栄養士や看護師が同席し、ゆっくり話せるよう配慮しています。相談内容は記録を残して職員間で共有しています。保護者から得た情報は、職員会議等で共有し、記録を残し、連絡ノートに記載されている困り事や、育児相談の内容は報告書にまとめ、個別にファイルしています。保護者から相談を受けた職員は、報告を上長に行い、必要に応じて主任、施設長が相談の場に同席する場合もあります。相談を受けた職員が適切に対応できるよう主任・看護師・施設長が相談への助言を行っています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

●虐待等権利侵害を発見した場合の対応等についてマニュアルを整備し、虐待等権利侵害の兆候への気づきを持ち、子どもの心身の状態、家庭での養育の状況について把握に努めています。情報の共有は、毎日の昼礼や会議などで行い、不審な切り傷やあざがあった場合は、子どもの気持ちに配慮しながら写真・記録に残し、磯子区役所の虐待対策窓口に報告し、助言を得た上で、法人本部で協議を行い、方針を決めて対応するようにしています。虐待等権利侵害の可能性があると職員が感じた場合は、速やかに職員間で情報を共有し、対応を協議する体制が出来ています。児童相談所等の関係機関とも連携を図っています。虐待等権利侵害となる恐れがある場合は、予防的に保護者の精神面・生活面の援助をするよう努め、職員に対しては、マニュアルに基づいて虐待等権利侵害に関する研修を行い、理解を促しています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

●年度末に個人の自己評価及び園としての自己評価に取り組んでいます。職員が施設長・主任と評価項目について話し合って決定する際にも、子どもの心の育ち、意欲や取り組む過程に配慮して行っています。保育所全体の自己評価はリーダー会議で話し合い評価しています。保育士等の自己評価は、互いの学び合いや意識の向上にも寄与します。今後は、保育士の自己評価、保育所の自己評価を園全体の課題発見のために活用することが望ましいです。