社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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横浜市中央浩生館

2020年04月06日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 横浜市中央浩生館 評価対象サービス 救護施設版
対象分野 更生施設 定員 68 名
所在地 232-0033
横浜市南区中村町3-211 
TEL 045-251-5830 ホームページ https://www.ysjk.jp/kouseikan/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1981年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 横浜市社会事業協会
職員数
常勤職員:15 名
非常勤職員:2 名
専門職員
看護師:1 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
居室数:18室
設備等:娯楽室3ヶ所、食堂、医務室、静養室、通所利用者控室

③ 理念・基本方針
〈法人の経営理念〉
夢と希望の持てる誰もが住みやすい社会との架け橋を築く

〈法人の基本理念〉
1 人々に共感と信頼の得られる社会福祉事業を行うことにより、人々の安心した暮らしの実現を支援します。
2 地域の関係機関と連携しながら、地域における福祉の環境つくりに後見します。
3 堅実かつ効率的な経営に努め、サービスの質の向上と安定的な提供を確保します。

〈施設の基本方針〉
1 個人の尊厳を重んじ、適切なサービスを提供し、自立への支援を行う。
2 快適な生活環境づくりに努める。
3 施設の社会参加を目指し、積極的に地域交流に努める。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
〇施設の目的
生活保護法に基づき、身体上又は精神上の理由により養護及び生活指導を必要とする要保護者を入所させ生活援助を行う入所施設です。

〇入所者の状況
68名の利用者は26歳から65歳と年齢層の幅が広く、金銭管理や服薬管理等に困難を抱える精神障害者、ホームレス、アルコールやギャンブル依存症等の人達を対象にしています。

〇施設での生活支援
個々の利用者の生活課題に配慮した個別支援計画に沿って支援します。食事、入浴等の生活支援と親睦やリフレッシュの目的で月ごとのレクリエーションを実施しています。

〇日中作業、就労、地域移行支援
利用者特性に応じた日中作業を提供し工賃を支給します。また、利用者の希望を尊重し一般就労や、地域移行の実現に向けた支援を行っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/10/10(契約日) ~2020/03/24(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2011年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)自己決定を尊重した生活支援をしています。
利用者の自立を支援するにあたり、基本的生活習慣の確立を第一にしています。この生活の基本が整ったら利用者の主体的な活動を尊重しエンパワメントを高める取り組みを行っています。
 コミュニケーションが得意ではなくても手先が器用で作業が早いなど、利用者の自信や強みを伸ばすよう、個別支援計画に反映させています。利用者の生活上の行為は見守りを基本にしています。作業場は難易度の異なる3か所に分け、作業工程を小分けに分類したり、時間では半日から終日、週2~3日など段階を追う作業とし動機付けや習慣づけを行っています。通院の予約は自分で行います。薬は医務室の管理から徐々に自己管理へと導き、金銭管理は最初は数日分の小遣いから始め徐々に期限を延ばすなど、生活の自己管理ができるように支援しています。
 毎月利用者が集まる「全体会」があり、生活ルール等について自由に意見や提案等を述べることが出来ます。


2)個別支援計画の目標に沿った日々の支援を実践しています
 個別支援計画に基づく支援に努めています。就労し安定した生活リズムでアパート生活を送ることなど利用者一人ひとりの要望に沿った目標を設定しています。日々の利用者支援をケース記録に書きとめ、ケース記録をもとに月ごとに個別支援計画の目標に沿った支援ができているかを振り返り、「利用者支援状況一覧表」にまとめています。
 ケース担当職員が月一回利用者に面談し、金銭管理やアルコール依存の対応が適切に実施できているかなどを確認しケース記録に書きとめ、ケース会議や支援課会議で職員間の情報共有を図っています。日誌の特記事項欄に個々の利用者のその日の行動特性を入力し、パソコンに入力し朝の申し送りで職員全員が情報を共有し支援の統一性を図っています。
 個別支援計画の目標に沿って年2回モニタリングを実施し、目標ごとの達成度と課題を整備し、個別支援計画の見直しに反映しています。


3)利用者一人ひとりの特性に合った地域移行を支援しています
 利用者の中で今現在一般就労をめざしているのは10名程度です。入所者全員が生活保護の受給者で心や体に不安を感じ地域生活が維持できなくなった人です。
 就労支援はまず利用者の生活リズムを整えることから始まります。本人の収入は、月8千円の施設支給金と平均9千円程度の日中作業の工賃ということになります。計画的に金銭管理ができる能力をつけることが生活の安定と地域移行に求められます。その上で職場見学を実施し、ニーズを把握し就労に向けた支援を行っています。
 平成30年度は6名が就労することができました。また、今年度は9名の利用者が地域生活に移行しています。アパートに移行した利用者は6名で、グループホームに移った利用者が3名でした。利用者の地域移行に向けて、自主生活体験事業を推進しています。
 施設で借り上げたアパートを利用して1カ月程度地域での生活を体験してもらい、地域移行が可能であるかを判断しています。現在も1名の利用者に実施しています。地域生活に対する利用者のニーズの把握に努め、その利用者一人ひとりに相応しい地域移行を支援しています。
改善を求められる点 1)単年度事業計画に目標達成の具体的施策記述
 単年度ごとの施設の事業計画には重点目標のみが記述されています。重点目標は中・長期計画の目標に沿った具体的内容と言えますが、目標達成に向けた事業所としての具体的方策の記述がありません。
 職員体制や業務分掌を明記し、利用者支援、日中作業、地域連携、リスクマネジメント、健康管理、職員育成等の具体策の記述が望まれます。


2)サービス支援マニュアルを整備し、支援の標準化
 サービスの標準化については今後の課題といえます。依存症や行動障害、高齢化による日常生活支援や介護等の利用者特性に配慮した支援業務を共有化が求められます。食事、入浴支援等の生活支援マニュアル、及び利用者特性に配慮した作業マニュアルを整備し、支援の標準化を推進することが望まれます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 この度は、当館への前向きなご評価をいただきありがとうございます。
 私たちは、様々な事情を抱えて当館を利用される方ひとりひとりが、それぞれに合った自立を実現するための支援を行っています。このことについて、高いご評価をいただき、私たちの日ごろの努力が報われる思いです。
 一方、改善点として、計画実施のプロセスの明確化や、支援の標準化のためのマニュアル化などのご指摘をいただきました。これは、質の高い支援を今後も安定して提供していくこととともに、私たちの事業業務を外部の方々にもわかりやすいようにという、より開かれた施設づくりに向けた課題と捉え、職員一同取り組んでまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

「人々に共感と信頼の得られる社会福祉事業を行うことにより、人々の安心した暮らしの実現を支援します。」等の3項目を法人の基本理念に掲げています。基本理念をホームページに掲載し、また施設内に掲示して職員に周知しています。基本理念や事業所の基本方針を事業計画に明記し、理念の実践に向けて職員意識の強化に努めています。利用者への理念や基本方針の説明は実施していません。分かりやすく説明し利用者の理念の理解にむけた取組が課題です。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

横浜市健康福祉局と年2回定期的に話し合い、利用者の自立に向けた施設の運営に関する情報確認を行っています。また、市内の更生施設3施設が数か月毎に会合し施設の地域のニーズについて情報交換を図っています。全国更宿施設連絡協議会に参加し保護施設等の社会福祉事業の全体の動向の把握に努め、支援課会議で職員間の情報共有を図り、施設運営に関する状況の変化への対応に努めています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

利用者サービス支援の質の向上を図るチーム、日中作業の改善を推進するチーム及び施設内のルールに関する推進チームの3つの業務改善チームを編成しています。チームごとに課題を整備し、施設長が参加し毎月開催の支援課会議でチームごとの進捗状況を確認し、課題の見直しと対策を検討しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

「法人10年プラン(H23~H30)」を作成し、「安全・安心・快適な施設環境と働きやすい環境づくり」「地域連携と福祉環境づくり」等4項目の中・長期的ビジョンを掲げています。また、指定管理者としての5年の指定期間(H28.3~R3.3)を想定した中期事業計画を策定しています。中期事業計画に入所者ニーズの把握と個別支援計画の取り組み、職員育成、コンプライアンスの取り組み等指定管理者としての取組みについて明記しています。中・長期計画の見直しは実施されておらず、定期的な見直しが課題です。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

単年度ごとの施設の事業計画を策定しています。事業計画に年度ごとの重点目標と目標達成のための対応策の方針を明記しています。重点目標は中・長期計画の目標に沿った具体的内容と言えますが、目標達成に向けた事業所としての具体的方策の記述がありません。職員体制や業務分掌を明記し、利用者支援、日中作業、地域連携、リスクマネジメント、健康管理、職員育成等の具体策の記述が課題です。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、法人のグループ会議で計画され策定されており、施設の職員が課題の抽出段階から参加し策定している状況ではありません。事業計画はトップダウン的に職員に周知されています。年度ごとに事業計画の達成状況の実績評価を全職員を含めて組織的に実施し、数値目標等を設定し事業計画の策定につなぐ仕組みの整備が課題です。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画を法人のホームページに掲載しています。また、利用者の自立支援の事業計画の重点目標については、月一回開催の利用者全体会で、日々のゴミ捨てや小遣いの金銭管理など生活に直結した分かりやすい事例で説明しています。利用者に事業計画に基づいた施設運営や利用者支援の方針を説明し、利用者の自立支援の目標の共有につながる取り組みが課題です。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

横浜市の指導監査を2年ごとに受審し、厚労省行政指導監査の3年ごとの受審に合わせ、事業所のサービス内容の自己評価を行っています。業務改善チームを立ち上げ課題を整備し質の向上に向けて取組んでいますが、自己評価の結果を分析し組織的にサービス改善に取り組む対応は十分ではありません。指定管理者として第三者評価の受審を定期的に受審し、自己評価と併せてサービスの質の向上に向けた継続的取組が課題です。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

業務改善チームを編成し、サービス支援の質の向上、日中作業の改善、及び施設内のルールの遵守に取り組んでいます。支援課会議で改善課題と対策について話し合い職員間の情報共有を図っていますが、改善策の計画的実施については十分ではありません。サービス改善に向けた計画的取組の推進が課題です。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、施設運営の組織体制を明示し、また、業務一覧表を作成し係ごとの業務分担と担当者、及び責任者を明確にし職員に周知しています。しかし、施設運営についての管理者の方針や考え方について明記したものはなく、事業計画推進の課題への対策、実績の評価、職員育成等に関する管理者主導の具体的施策の取り組みの推進が課題です。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の「法令遵守規定」を作成し、施設長の役割や職員の責務について明記し職員に法令遵守に関する注意を喚起しています。また、「法令遵守マニュアル」を作成し、法令遵守の職員の基本姿勢を明示し、社会的使命・社会的責任等のコンプライアンスの五つの基本原則を定め違反規定を明記しています。権利擁護等研修に積極的に参加し、法令遵守の職員意識の徹底を図っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の目標達成と個別支援の質の向上に向けた支援に努めています。半年ごとにケース担当職員は個別支援計画の目標に沿ってモニタリングを実施し、個別支援計画の見直しに反映しています。日々の利用者支援の状況をケース記録に記述し、個別支援計画の目標に沿った支援の内容をまとめ一月ごとに「利用者支援状況一覧表」を作成し、モニタリングで活用し一人ひとりの利用者支援の質の向上に活かしています。今後は目標管理に沿って職員の育成と研修計画の策定が課題です。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は、指定管理者として毎月施設運営や収支状況について横浜市に報告し、適材適所の人員配置に努めています。支援課会議やグループ会議で施設運営の課題について検討し対策を指示し職員に周知しています。人事・労務・財務の総合的管理と分析に関わる課題についてまとめた資料は整備されていません。組織的に経営課題の整備と対策への取り組みの推進が課題です。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

職員配置は更生施設の基準に沿っています。正規職員の採用は法人が行い、非正規の職員採用は事業者で実施しています。今年度は2名の職員が退職し欠員1名の補充があり3名の職員が配属され、管理者は適材適所の人員配置に努めています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の人事考課制度を整備し、「人事考課規定」を作成しています。人事考課は年度ごとに業務や施設運営の視点、貢献度や能力向上の視点、協調性・積極性等の項目ごとに職員が自己評価を行い、考課面接を実施し、その結果が報酬に反映されます。職員の目標管理管理制度を推進し担当業務の目標や個人目標を設定し、上司面談で目標の達成度を共有し人事考課に反映しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

毎月の支援課会議で職員の休暇取得や勤務状況について話し合い、職員が有給休暇を取りやすい雰囲気づくりに配慮しています。職員がお互いに声を掛けて作業負荷の調整を図っています。必要時には産業医が職員のメンタルヘルスの相談に応じています。労務管理について新人研修や中堅職員研修で職員に周知しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

人事考課制度を整備し法人としての「期待する職員像」を明示しています。職員は、一人ひとりの担当業務や施設の課題の達成目標、スキルアップの目標を目標管理シートに記述します。今年度は6月と12月に目標管理の職員と管理職との個別面談を実施し、目標の達成状況について情報共有を図り面談の内容や課題について記録しています。年度末の3月にも個別面談を予定し年度ごとの目標管理の達成状況を評価することにしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人としてのキャリアパス一覧を作成し、階層別に職員に求められるスキルと研修内容を明記しています。法人としての基本方針や研修計画は、指定管理者の中期事業計画で策定していますが、施設として年度ごとの具体的な研修計画がありません。研修はその都度職員に周知し、個々の職員が年一回は目標に沿って研修受講ができるように配慮しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

人事考課を実施し、個別の職員の知識・技術水準・資格の把握をしています。入職時1週間の新人研修を法人が実施し、その後施設内で1ヶ月間のOJTが行われます。外部研修の案内はパソコン上で共有され、参加の希望を出すこともできますが、職務の都合から研修機会は全員が確保されているとは言えず、一部の職員の参加となっています。アルコール依存症や精神障害の利用者が多いことから、看護師、精神科医によるOJTが行われていて、これについてはほとんどの職員が参加しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

昨年度は2つの大学から3名の社会福祉士資格取得のための実習生を受け入れました。実習内容について大学側と連携しプログラムの内容を決定しています。受け入れに際しては個人情報保護に関する誓約書を義務づけています。実習生受け入れマニュアルが作成されていません。受け入れマニュアルを整備し、利用者のプライバシーへの配慮等に関する注意を喚起し、また、職員の実習生指導プログラムを整備する等の取り組みが課題です。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の基本理念や倫理綱領をホームページに掲載し、また、法人の事業計画や収支状況をホームページに開示しています。苦情・相談の体制や連絡先及び苦情内容や対策に関する掲示はなく利用者に開示されていません。施設の事業計画については事業目標の達成に向けた具体的施策を明示した内容の計画策定が望まれ、事業計画を開示し施設運営の透明性につながる取り組みが課題です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

年一回定期的に会計監査を実施し、2年ごとに横浜市の指導監査を受審しています。夜間の避難訓練や階段の踊場の物品の整理に関する指導を受けています。また、厚労省の保護施設指導監査を3年ごとに受審し、施設の運営管理、入所者の処遇、生活環境、利用者への自立支援等に関する監査を受けています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域の消防団に加入し防災訓練や消火訓練に参加しています。また、災害時の二次避難場所の指定を受けています。月一回、地域の公園の清掃に利用者が参加しゴミ拾いを行い地域の人達との交流を図っています。毎年施設の裏庭で実施している餅つき会に地域住民も参加し、餅と豚汁でにぎわいます。地域行事であるレインボーフェスタに参加し、地域の障害者施設等の販売会で地域との交流を図っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

月一回、理容師が施設を訪問していますが、ボランティアの受け入れは基本的に行っていません。ボランティア受け入れ窓口を設定し受入れマニュアルを整備し、地域の福祉ボランティアの育成も兼ねてボランティア受け入れの取り組みが課題です。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 施設として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者全員が生活保護受給者であり横浜市健康福祉局と定期的に会合し、利用者の自立支援等に関する情報共有を図っています。市内の3更生施設と連携し利用者受け入れの調整を図っています。また、区役所職員向けに更生施設に関する説明会を実施し、行政の更生施設の現場の状況の理解が深まるように努めています。地域住民の高齢者訪問事業を推進し、11名の地域住民を毎月訪問し施設の退去者を含めて安定した生活の継続を支援しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

アルコール依存症の支援団体と定期的打ち合わせを行い適切な利用者支援に努めています。月一回、区社会福祉協議会主催自立支援協議会の施設部会、精神部会に出席し、区の福祉行政の動きや福祉施設等との情報交換を図っています。利用者の通所先の作業所との情報共有を図り、利用者が安心して継続的に作業所に通うことができるように支援しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

高齢者見守り事業を推進し、地域の高齢者や貧困世帯等の居宅を毎月訪問し生活の安定を見守っています。地域の消防団に加入し地域の防災訓練等に参加し、また、災害時の二次避難場所の指定を受け保存食の備蓄を行い地域貢献に努めています。更生施設運営で培った長年の経験とノウハウを生かし、区役所職員向けに更生施設に関する説明会を実施するなど、理解促進に努めています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設の運営方針に「個人の尊厳を重んじ、適切なサービスを提供し、自立への支援を行います」と利用者を尊重した福祉サービスの基本姿勢を明示しています。職員は入職時研修及びその後の研修で運営方針についての説明を受け理解を深めています。「法人倫理綱領」では基本的人権を擁護し、体罰、暴力、虐待の人権侵害は絶対に行わないとしています。職員は運営方針、倫理綱領の基に福祉サービスの実践者として日々利用者の支援にあたっています。人権研修を毎年実施し、身体拘束の廃止やプライバシーの尊重など多様な視点から人権擁護に取り組んでいます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人倫理綱領に、「利用者のプライバシーを尊重し、業務上知り得た個人情報について守秘義務を徹底します。基本的人権を擁護し、体罰、暴力、虐待の人権侵害は絶対に行わない」と明記し、入職時に職員に誓約書を提出してもらい意識の徹底を図っています。日常の支援業務では、利用者のプライバシーに配慮した対応を心がけています。居室は4人部屋でカーテンで仕切り、トイレはドア付きです。相談は面談室を使い、利用者の個人情報書類は鍵付き書庫で管理しています。プライバシー保護に配慮した取り組みについてアンケートでは、利用者は概ね了解していることがうかがえます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

施設の情報はホームページ、パンフレット、法人機関紙で発信しています。ホームページやパンフレットでは入所後の支援のイメージとして、施設内作業をしながら生活能力や就労能力を高め、就労・自立への道を目指すことを伝えています。パンフレットに日用品や衣類の提供、小遣い、行事、個別支援や法律相談など施設での生活について記載し、利用者が安心して生活できるように配慮しています。見学を受け入れ、利用者が作業をしている現場や4人部屋の居室、食堂、浴室等を案内しています。1年半~2年の期間を利用する中間施設であり、自立・退所となることを伝えています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービスの利用開始・変更にあたっては「横浜市中央浩生館の管理規則(手引き)」を用い、日常生活、行事、医務室(服薬管理)、館内作業・就労、苦情解決システム、禁止事項等について説明しています。大事なところは理解しやすいようにかみ砕いて説明し、説明確認書に署名・捺印をもらっています。また、入所時支給品チェック表、追加預かり品管理依頼書(金銭管理)等に署名・捺印を得ています。意思決定が困難な利用者については家族やケースワーカーなど関係機関の了解を得ながら対応しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

移行にあたり利用者への日常の具体的な支援の内容や引継ぎ文書は作成していませんが、利用者の生活や健康状況について担当のケースワーカーへ報告しています。他事業所や家庭への移行にあたり、従来のサービス内容から著しい変更や不利益が生じないようにしています。施設利用の終了後は、通所や訪問事業対象者は利用者・家族からの連絡は受け入れますが、その他は退所者への積極的関与は行わないことにしており相談方法や担当者は設置されていません。退所後の訪問事業や通所事業を実施しており、訪問事業は定員10名で1年契約になっています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

給食に関する利用者の嗜好調査を年2回実施し、要望の反映に努めています。利用者が一堂に会し、職員からの連絡・報告及び利用者が意見や提案を述べることが出来る「全体会」を毎月開催しています。年2回の個別支援計画の見直し・作成の際や日々の状況確認など必要に応じて面談を行っています。全体会等で出された利用者の意見や提案に対しエアコンの使用ルールを決めたり、入浴時には札をかけることで入浴中の人数が分かり、利用可能か判断できるよう改善しています。利用者参加の満足度検討会の設置は今後の課題と思われます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決要綱」を定め目的、体制、手順、記録及び報告・公表など苦情体制の仕組みを整備しています。苦情解決システムについては施設管理規則(手引き)に記載し、入所時に利用者に説明し周知しています。2階の踊り場に「ご意見BOX」、傍らに紙と鉛筆を設置し、意見を述べやすいように配慮しています。苦情対応は苦情の申出人と苦情解決責任者の話し合いによる解決を図っています。受付・対応の内容を記録に残し、隔月に来所する第三者委員へ報告し助言を受けていますが、公表はされていません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

入所時に利用者に説明・配布した「手引き」には、「苦情については2階踊り場に設置されているご意見BOXに投書すること、及び解決するために苦情解決担当者と話し合う、その際第三者委員に加わってもらうことが出来る。」と記載しています。第三者委員は2か月に1回来所し、利用者の相談・苦情を受け入れるとしていますが、今回のアンケートでは第三者委員の存在を40%の利用者が知らないと答えており、さらなる周知への工夫が課題です。支援室受付コーナーや面談室で相談や意見についての面談を行っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

日常の支援の中で職員との会話、嗜好調査、苦情BOXへの投書、全体会での意見交換により、職員は利用者の意見や提案を把握しています。相談・苦情体制や手順、記録や報告についてまとめた「苦情解決要項」を整備しています。利用者からの意見や苦情に対して概ね1か月以内には対策を立て、回答をしています。利用者からの意見等に基づきサービスの向上に努め、生活しやすい環境や施設づくりに努めています。「苦情解決要綱」の見直しは過去に1度行われていますが、ここ10年間はなく、定期的な見直しの実施が課題です。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントに関する責任者は施設長です。感染症や防災対策などリスクに対する体制を整え安心・安全に配慮しています。事故が発生した際には事故報告書に記載し、発生原因を分析し、再発防止策を検討しています。ヒヤリハットも同様の取り組みがされています。しかしながら、事故発生時の対応や安全確保に関するマニュアルは作成されていません。職員への安全確保・事故防止の研修はなく、事故防止への取り組みは充分とは言えない状況です。マニュアルの作成、事故防止・安全確保体制への取り組みが課題です。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染対策委員会を設置し、委員にそれぞれの責任と役割を分担し月1回委員会を開催し対策の状況を確認しています。厚労省作成の「更生施設における感染症対策マニュアル」を見直して分かり易いものにし、職員への周知を図っています。職員に向けて看護師による嘔吐処理演習を行い、宿直時でも対応できるようにしています。医療面と施設の衛生管理は看護師が担当し、栄養士は栄養管理と厨房衛生、生活支援員は生活全般を担当し、感染症予防に取り組んでいます。感染症の発生や課題が出た場合には迅速に対応しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害に関わる対応体制を整備しています。消防計画書を作成し、自衛消防組織の編成や緊急連絡体制を整えています。耐震措置を行い、突っ張り棒で設備の落下対策、消火設備の設置、食料品の備蓄などハード面の対策を講じています。利用者及び職員の安否確認等、災害発生時の連携・連絡はSNSのChatworkを使い、指示や情報を得ることにしています。避難訓練・消火訓練など防災訓練を年2回実施しています。職員が地元の消防団員になり地域との連携を図っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:c】

職員はOJTにより業務を伝えており、サービスの標準化については今後の課題といえます。依存症や行動障害、高齢化による利用者特性に配慮し、生活支援マニュアル、作業マニュアルを整備し、支援の標準化を推進することが課題です。マニュアルに利用者支援の個々の場面でのプライバシー保護や権利養護に関する職員の姿勢を明記し、職員に周知することが求められます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:c】

標準的実施方法の整備は今後の課題です。生活支援マニュアル、作業マニュアルを作成し、毎年定期的に、また、必要に応じ随時見直しを行い職員に周知しサービス支援の標準化の推進が課題です。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の見直しに合せて、年2回アセスメントを実施しています。アセスメントは、所定の書式を用いてケース担当職員が利用者に面談し支援ニーズの把握に努めています。アセスメントシートに利用者本人の意向の記述欄がありますが、精神障害や各種の依存症、金銭管理等多彩な利用者支援のニーズの記録に改善の余地があるようです。個別支援計画は長期・短期目標を設定し、利用者支援の課題を明記し支援内容を記述しています。アセスメント、個別支援計画ともに利用者の同意の署名をもらっています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

年に2回個別支援計画の見直しを行い、見直しに際し個別支援計画の目標に沿ってケース担当職員がモニタリングを実施し、目標の達成度と今後の課題を明示しています。日々の利用者支援をケース記録に書きとめ、ケース記録をもとに月ごとに個別支援計画の目標に沿った支援ができているかを振り返り「利用支援状況一覧表」にまとめモニタリングで活用しています。モニタリングやアセスメントの結果をケース会議で検討し職員間の情報共有を図り個別支援計画の見直しに反映しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

パソコンの記録システムを活用し、個別支援計画、モニタリング、アセスメント、ケース記録等の情報を入力し職員間の情報共有を図っています。ケース担当職員が月1回利用者に面談し、面談の内容をケース記録に書きとめています。また、日誌の特記事項欄に個々の利用者のその日の行動特性を入力し、パソコンに入力し朝の申し送りで職員全員の情報共有を図っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護管理規定を作成しています。個人情報の管理体制を明記し、個人情報の保管及び廃棄について規定しています。法人の文書管理規定があり、法人のIT推進室がパソコン上のデータ廃棄について技術的支援を行っています。パソコン上のデータはパソコンごとのパスワード管理を実施しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常生活を送る上で、生活の基本が確立することから支援を始めています。最低限必要な衛生的な身の回りの保清や金銭管理等を身につける支援です。この基本的な生活が整ってから利用者の自己決定を尊重しエンパワメントを高める支援に入ります。コミュニケーションは苦手でも手先が器用で作業が早いなど、利用者の自信や強みを伸ばすよう、個別支援計画に反映させています。趣味活動、衣類、理美容や嗜好品については利用者の意思・個性を尊重しています。理容は月1回無料でヘアカット、デザインも自分の好みにしてもらえ、衣料品は年2回買い物に行き、レシートを提出すると施設から実費分が支給されます。毎月利用者が集まる「全体会」があり、生活ルール等について自由に意見や提案等を述べることが出来ます。入浴時間の変更などその人の特性に応じた配慮をしています。権利擁護に関わる研修を全職員が受け、ケース会議では自己決定を尊重した支援を行っています。

【A2】A-1-(1)-② 利用者の自立・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

アセスメントや日常の支援から本人の心身状況・生活状況を把握し、自立へ向けた個別支援を行っています。利用者の生活上の行為は見守りを基本にし、通院の予約は自分で行い必要時には通院への支援を行っています。作業場は難易度の異なる3か所に分け、作業工程を小分けに分類したり、時間では半日から終日、週2~3日など段階を追う作業とし動機付けや習慣づけを行っています。薬は医務室の管理から徐々に自己管理へと導き、金銭管理は最初は数日分の小遣いから始め徐々に期限を延ばすなど、生活の自己管理ができるように支援しています。また、生活保護の収入申告書の書き方、障害者手帳の申請、アパート契約など行政や民間企業との契約の立会いなどの支援を行っています。必要に応じて介護保険や障害者福祉適用事業の案内をしています。

【A3】A-1-(1)-③ 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

コミュニケーション能力に課題がある利用者は少ないため、日常的な係わりの延長線上で支援をしています。作業、イベント、食事や入浴などそれぞれの場面で利用者の持つコミュニケーション力に合わせた聴き方と伝え方を工夫しています。利用者の生活状況や性格をできる限り把握し、一人ひとりに適した話し方であったり、接し方を考えながらコミュニケーションを図り、話しやすい雰囲気づくりを心がけています。ほとんど会話のない方とは、一緒に作業をする中でコミュニケーションを図ることで日ごろの生活では見られない良い点が把握できたりします。ボーリングやカラオケなど月1回行うイベントでは日ごろにない生き生きとした姿が見られる交流の場となっており、コミュニケーションを高める場にもなっています。忘れる傾向の強い方にはメモをして通院日を忘れないようにするなど合理的配慮をしています。

【A4】A-1-(1)-④ 利用者の自己決定を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者からの相談では、本人の希望を尊重した取り組みを基本にしています。生活保護に関連し行政機関の意向があり、やむを得ず利用者の思いを見直す場合もあります。毎日相談に来る利用者もいます。相談はプライバシーに配慮し面談室、支援室で行っています。また、年2回のモニタリングや個別支援計画作成時に個別面談を実施し、個別支援計画の目標の達成度について話し合い、利用者の満足度を把握しています。また、地域移行や希望する職種に向けた情報提供を行い、ハローワークの求人募集などについて支援をしています。金銭管理や病院への通院などの相談について職員間で話し合い情報共有を図っています。断酒活動の継続や生活費の使い方など関係機関とも連携しながら個別支援計画へ反映しています。

【A5】A-1-(1)-⑤ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画に基づく支援に努めています。利用者一人ひとりの要望に沿った目標を設定し、日中活動や利用支援を行っています。所内の日中活動は、作業活動のほか月1回のレクリエーションや全大会、清掃活動等があります。作業は難易度や複数の工程を設け取り組みし易くし、清掃作業は利用者の希望や能力に応じて担当してもらいます。余暇活動では食事会、工場見学、防災ハイキング、映画鑑賞、バスハイクなど月1回レクリエーションを行っています。地域の公園清掃、近隣の祭りに参加しています。PCを貸し出し地域情報は利用者自身も調べています。利用支援は地域活動センター、AA(アルコール依存症の自助グループ)、依存症からの回復施設、病院デイケア、就労など各種施設へと通う利用者に配慮し、関係機関と連携しながら生活を支援しています。

【A6】A-1-(1)-⑥ 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

施設内の生活スペースが利用者にとって安全・快適であるように居室や共用空間の管理に努めています。生活スペースは利用者が清掃を担当し、築60年を経過した建物ですが、清潔に保たれ臭いもなく整備されています。居室は居住者4人が清掃し、食堂、浴室、トイレ、洗面所、廊下、マンホールまでそれぞれの担当者が決まり、労苦に応じて清掃訓練費が支払れています。居室の暖房はボイラー、冷房は空調機で職員が調整を行い、窓の彩光も十分です。居室にはベッドの設置、カーテンの仕切り、プライバシーが保てる個人的な空間があります。鍵つきロッカーが設置され、私物は危険なものを除いて居室の個人の空間内で持ち込むことが出来ます。感染症など他の利用者に影響を及ぼすような場合には、静養室が利用できます。全体会やご意見BOXでの意見等を参考に生活環境の改善を図っています。

【A7】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。 

【第三者評価結果:b】

日常の会議で利用者の権利擁護について話し合い、職員の利用者への対応や支援状況について職員間の情報共有を図り、日常的に利用者への見守りや面談から権利侵害の防止と早期発見に努めています。利用者に向けての権利侵害の防止に関する具体的な内容の紹介など、利用者の権利意識の強化につながる取り組みは実施していません。本人がベッドから就寝中に落ちるケースがあり、柵をすることで本人から同意を得て実施しましたが、身体拘束の緊急止むを得ない場合に一時的に実施する際の実施内容・方法を定め、職員に徹底する仕組みの整備は今後の課題です。所管行政への虐待の届出・報告についての手順については事故報告書と同一にしています。権利侵害が発生した場合には、支援会議など再発防止策を検討し、実践する仕組みを明確化しています。

A-2 生活支援
【A8】A-2-(1)-① 利用者の障害・疾病等の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

アルコール依存症、ギャンブル依存症、引きこもり等の研修に参加し、専門知識の習得と支援の向上を図っています。各利用者の障害や疾病による行動や生活の状況を把握し、看護師や栄養士など他職種と支援方法の検討をしながら、支援を行っています。利用者の不適応行動などの行動障害や体調等少しでも異変が見られた場合は声掛けしこまめに確認することを心がけています。身体障害のある方への病院や関係施設への通院に付き添う対応をしています。アルコール依存症回復施設のカンファレンスに出席し、利用者の回復状況などの情報を把握しています。依存症による強迫症状や感染症、金銭管理、移動困難など多様なケースに対応し、それぞれに利用者に負荷をかけないように環境を変えたり、整備に努めています。また、利用者間の関係の調整等を必要に応じて行っています。

【A9】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じた日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の生活状況やIADLに併せた個別支援計画を作成しており、計画に基づく支援を実施しています。建物がバリアフリー化されていないこともあり、基本的にADLの自立していない方は入所を受け入れていません。それ故、常時生活支援を必要とする利用者は少ない状態です。入浴支援では頻度のチェックを行い、回数の少ない人に対しては声掛けをし、清潔維持を促しています。排泄については疾病を発生しない限り支援は必要とされません。移動・移乗に関しては必要が認められる場合に限り通院や入院の際に車での送迎を行っています。足の不自由な方に配慮し居室の割り当てを行っています。

【A10】A-2-(1)-③ 利用者の嗜好や心身の状況にあわせて食生活を支援している。

【第三者評価結果:a】

年に2回嗜好調査を実施し利用者の要望に応え、美味しい食事を心がけています。メニューは1か月サイクルで嗜好面と栄養価を考えて作成しています。味付けは標準で、家庭的な料理を多くし、野菜を多く取り入れています。お正月や七夕、クリスマスなど季節に応じ行事食を取り入れ、変化を持たせています。月に一度、和・中・洋食やバイキング形式の食事にし、選択ができるよう工夫しています。利用者の3名が配膳係になっており、給茶を整えたり、食堂内を清潔に保つ役割を担っています。糖尿病の方にはご飯を減量したり、高血圧の方には減塩をするなど利用者の健康状態に配慮しています。食事時には栄養士が食堂に入り、利用者の喫食状況や残食の把握を行っています。誤嚥や窒息など看護師による口腔訓練や注意を促す取り組みを掲示し、利用者に周知し事故防止に努めています。

【A11】A-2-(2)-① 利用者の心身の状況に応じた生活訓練や機能訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

生活訓練については個別支援計画に基づいた支援を行い、モニタリングを半年ごとに行い、その支援状況を次の個別支援計画に反映させています。入所の時点では生活のリズム、基本的生活習慣を整えることや金銭管理を身につけることなど基本的な生活訓練を行っています。日中活動が安定し、利用者のエンパワーメントを高め、就労活動や単身生活に向けて自立を目指すよう、それぞれのニーズに合わせた生活訓練を行っています。施設内作業等に積極的に関われるように、利用者一人ひとりがどのような能力を持っているかを見極めその人に合った作業であったり、生活の場を提供できるように努めています。慢性疾患や精神障害、知的障害、依存症回復のために他施設や日中活動センターへ通ったり、所内での作業訓練、清掃活動、レクリエーション活動等を通じて、一人ひとりの自立へ向けて取り組んでいます。(生活の自立を目標としている施設ゆえ、身体機能の維持・回復を目的とする機能訓練は基本的には行われていません。)

【A12】A-2-(3)-① 利用者の健康管理の支援と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

平日は看護師が常駐しており入所者の健康管理を行っています。疾病を抱えている利用者は半数ほどで、居室内での過度な間食を支援員と連携して抑止したりすることがあります。服薬のため医務室に来室した際に健康チェックをするなど、日ごろから健康状態の把握に努めています。嘱託医は週1回、精神科医は月1回、春季・秋季に健康診断を実施し、その際にも利用者からの医療に関する相談を受けています。感染症対策委員会を定期的に開催し、感染症の状況や対策を職員全体で共有しています。感染症予防に関しては、ステッカーや印刷物を掲示し注意を喚起し、健康維持増進については、講習会を開催するなど、入所者にわかりやすく伝えています。職員にOJTの吐物処理研修を実施しています。特に体調変化に対しては、緊急時の手順マニュアルを作成し看護師不在の場合も対応できるよう職員に指導を行っています。

【A13】A-2-(3)-② 医療的な支援が適切な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

施設の方針として、日常生活が自立している方が入所する事を前提としているので、医療行為の支援が必要な方は入所していませんが、慢性疾患や軽度の精神障害もあり、嘱託医のアドバイスを受けながら個別支援計画に基づいた対応が行われています。薬の管理については、看護師がキャビネットの中に名前のついたケースに入れて管理し服薬の状況をチェックしています。飲み忘れや誤飲に注意するとともに、健康の状態を観察したり、血圧を測定しています。慢性疾患(糖尿病)の入所者には、栄養士が主食の調整などの指導を行っています。通院の際、必要があれば同行し、医療券の手配を行っています。利用者2名は入院中で、担当の支援員がCWと病院と連携をとっています。看護対応マニュアル(服薬・感染症・緊急時・病院リスト)を整備し緊急時対応の手順を明示しています。誤嚥防止研修を実施し正月の餅の誤嚥事故防止を図っています。

A-3 自立支援
【A14】A-3-(1)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の社会参加を目的としたレクリエーションの日を毎月設けています。映画、カラオケ、ボーリング、バスハイク、外食など利用者の希望に応じ実施しています。年一回のバスハイクは箱根や成田航空博物館など毎回40名程度の利用者が参加します。月1回、地域の公園の清掃に利用者が参加しゴミ拾いを行い地域の人達との交流を図っています。地域行事のレインボーフェスタに参加し、地域の障害者施設等の販売会で地域との交流を図っています。

【A15】A-3-(2)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の中で現時点で一般就労をめざしているのは10名程度です。入所者全員が生活保護の受給者で心や体に不安を感じ地域生活が維持できなくなった人です。就労支援はまず利用者の生活リズムを整えることから始まります。本人の収入は、月8,000円の施設支給金と平均9,000円程度の日中作業の工賃ということになります。計画的に金銭管理ができる能力を身につけることが生活の安定と地域移行に求められます。その上で必要に応じ就労支援を実施し、利用者の就労ニーズを把握し就労に向けた支援を行っています。平成30年度は6名が就労することができました。

【A16】A-3-(3)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

70名近い入所者の内、家族との日常的なつながりがあるのはわずかの利用者だけです。全員が生活保護の受給者であり、地域生活が継続できなかった人達という状況からも家族との関係づくりには困難を伴っています。家族の面会はありますが極めて少ない状況です。利用者の40%は精神的に何らかの障害をかかえていますが、後見人がついている利用者は一人もいません。家族がいないケースが多く、ケースワーカー等と連携し利用者への適切な支援につなげる取組が課題です。

【A17】A-3-(4)-① 利用者の希望と尊重を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎月ケース担当職員が利用者に面談し、利用者の地域移行に関する思いや意向の把握に努めています。今年度は9名の利用者が地域生活に移行しました。アパートに移行した利用者は6名で、グループホームに移った利用者が3名でした。利用者の地域移行に向けて、自主生活体験事業を推進しています。借り上げたアパートを使用して、1か月地域での生活を体験し、可能であるかを判断しています。年間10名前後の利用者が体験事業を利用しています。地域生活に対する利用者のニーズの把握に努め、その利用者に相応しい地域移行支援を推進しています。

A-4 地域の生活困窮者支援
【A18】A-4-(1)-① 地域の生活困窮者等を支援するための取組や事業を行っている。

【第三者評価結果:a】

区役所や関係機関による3ヶ月ごとに実施しているセーフティネット会議に参加し、地域の生活困窮者支援に関する情報把握に努めています。地域の引きこもりの人達の就労体験の支援を実施、また、地域の高齢者みまもり支援を実施しています。月1回程度高齢者の居宅を訪問し安定した日常生活の維持に向けた支援に努めています。