社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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横浜市立脳卒中・神経脊椎センター介護老人保健施設 コスモス

2020年04月27日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 横浜市立脳卒中・神経脊椎センター介護老人保健施設 コスモス 評価対象サービス 高齢者福祉サービス版
対象分野 介護老人保健施設 定員 80 名
所在地 235-0012
横浜市磯子区滝頭1-2-1
TEL 045-751-4165 ホームページ http://cosmos.jinai.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1999年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス
職員数
常勤職員:54 名
非常勤職員:5 名
専門職員
医師   :1 名
支援相談員又は介護支援専門員 :3 名
理学療法士又は作業療法士又は言語聴覚士 :9 名
看護職 :9 名
介護職 :29 名
管理栄養士:1 名
施設・設備の概要
居室:個室 8室
居室:2人部屋 4室
居室:4人部屋 16室
設備:食堂
設備:浴室
設備:レクリエーションルーム

③ 理念・基本方針
<理念>
● 生活機能を向上させ、在宅復帰を積極的に進めると同時に、在宅生活の継続を支える介護老人保健施設として、地域にとって必要不可欠な存在となる。

<介護老人保健施設コスモスの経営基本方針>
● 持続可能な施設であるために、毎年一定の利益を確保します。
● 中間施設として、高い在宅復帰率・ベッド回転率・重度者割合を維持します。
● 多職種協働により、質(心・技術)の高いサービスを提供します。
● やりがいのある働きやすい職場風土を持続します。

●JMAグループの理念は、「ワンストップ且つ、シームレスなサービスを提供し、地域包括ケアの一翼を担う」ことであり、JMAグループの理念を基に、介護老人保健施設コスモスの理念も掲げ、施設長は施設運営の基盤を「トランスペアレンス」(透明性)と「ガバナンス」(統治)と考え、施設運営に力を注いでいます。施設の経営基本方針は「地域包括ケアの中核拠点として、健全かつ安定・強固な経営を行う」こととし、上記の4つの項目に施設全体で取り組んでいます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
●介護老人保健施設コスモスは、横浜市から指定管理を委任され、社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス(以下、法人という)が指定管理者としての責務と役割を認識し、健全な介護老人保健施設の運営を実施しています。介護老人保健施設コスモスは中間施設としての機能を認識し、在宅復帰率50%超を基本目標に置き、在宅復帰・在宅療養支援機能の一番高いランクである「超強化型」施設となること、また健全な経営により地域にとって必要不可欠な存在となることを目指しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2019/06/05(契約日) ~2020/04/14(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2015年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1.【中長期計画の設定による計画的な運営】
●法人及び介護老人保健施設コスモスは、確立された中・長期計画に裏付けられた単年度計画が部門別にしっかり策定されている点で非常に優れています。介護老人保健施設コスモス自体のSWOT分析を行い、経営環境の把握と分析を行った上で中・長期計画に反映させて法人本部に上げ、法人の次の中期計画「Power of one 2021」につなげています。現在は2018年中期計画を展開中ですが、入所1日75人以上(定員80人)、在宅復帰率50%超など、具体的な数値目標を各分野が持ち、単年度の事業を展開しています。

2.【ローリングプランの実施】
●単年度の事業計画実施に当たり、計画については多少の差異が生ずることを踏まえ、単年度計画について適宜、ローリングプランで修正を図り、期の中間で課題等が見られる場合は期の後半で施策を立案して実行しています。3か年の中期計画についても同様にローリングプランを立案して修正を行い、1年目の課題等については2年、3年目で補えるように進めています。日々の運営状況を把握するツールとして独自のスコア表を作成し、スコア表を基に担当職員が入所実績を施設内に発信するなど経営感覚を培う機会とし、利用者数を確保するための方策を共に考えるなど、一般職員も参加型の「共に経営する風土作り」を実践しています。

3.【各部門間の有機的連携】
●施設長が提言する「ガバナンス」(統治)が行われている経営方針については、福祉施設では特化して評価は高く、前項で取り上げた理由ですが、この施設の真骨頂は、職員のやる気に裏打ちされた部門間の有機的連携にあります。基本的に良いサービスが提供できなければ計画は足元から崩れます。例えば、看護と介護の連携強化にあり、介護の人員が足りない時は看護で比較的余裕がある職員が介護のフォローに入り、実際、食事の調査時に介護を求めている利用者がいたら看護師が気軽に声をかけて介護に当たっている光景を目にしています。職種間の連携は役割がそれぞれある中、中々難しいものですが、特定の職員が連携しているというのではなく、全職員が行っているところがこの施設の素晴らしいところであり、組織のベクトルが作り上げられている所以です。
改善を求められる点 1. 【要員の不足、職員の質の向上について】
●職員の確保、育成、退職の防止は高齢分野に止まらず、医療・福祉業界全体の大きな課題として体制を検討して行く必要が求められています。施設においても、全体的には要員不足、職員の質のばらつきについては課題として一考する必要はあると考えられます。長く広い廊下、大きい食堂、自主的に活動のできる利用者の実態を考えてみるとケアサービスが職員によりばらつきが出てしまう点は否めません。しかし、要員さえいれば、職員さえ増やせば良いと言うものではないと思いますので、現時点での何らかの工夫をさらに検討してみる必要があると思われます。職員の質の向上に向けて一層の工夫と努力が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名  社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス介護老人保健施設コスモス          
施設長名  山本 宏             


≪第三者評価を受審した感想≫

当施設は社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス(以下、法人)が平成19(2007)年に横浜市から指定管理委託を受け、現在、横浜市立脳卒中・神経脊椎センター介護老人保健施設コスモスの名称で運営されています。第三者評価受審は横浜市と法人の基本合意に含まれており、今回4度目の受審になります。
 
今回の第三者評価受審により、法人グループの経営理念・基本姿勢である「ワンストップ且つ、シームレスなサービス提供し、地域包括ケアの一翼を担う」ことおよび当施設の施設運営の基盤である「透明性」と「統治」を理解してもらえたと考えます。また、職員の労働条件をはじめとする勤務環境、職員満足度、利用者の施設内での生活の様子などを“客観的評価”してもらい、今後も“利用者を第一”に考えたさらに質の高いサービスを提供できるものと思いました。

≪評価後取り組んだ事として≫

今回の受審を通して評価項目で不備な点や不足した部分を補填し見直すことで利用者にはこれからも質の高いサービスを提供できるものと思われます。また、職員への啓蒙や教育、各種マニュアルの整備と定期的な改訂など当施設で可能なことは行ってゆきたいと考えています。さらに、当老健は超強化型老健施設として神奈川県では14/166施設(8.4%)、全国では396/3617施設(10.9%)(2019年12月、現在)と数少ない優良老健施設の一つであると考えており、今後も“地域に根ざした老健施設”としての役割を展開し発展させてゆきたいと考えています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス(以下、法人という)グループの理念は、「ワンストップ且つシームレスなサービスを提供し、地域包括ケアの一翼を担う」であり、介護老人保健施設コスモスの理念として「生活機能を向上させ、在宅復帰を積極的に進めると同時に、在宅生活の継続を支える老健として、地域にとって必要不可欠な存在となる」を掲げています。施設長は、施設運営の基盤は「トランスペアレンス」(透明性)と「ガバナンス」(統治)と考え、施設運営に当たっています。施設としての意思決定は運営会議で行い、同会議を通じて職員へ周知されています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

●経営環境の把握については、全体的に社会保障審議会等の動向を注視し、地域性に関しては、例えば、横浜市の地域保健計画等における地域の動向や、利用者の多い磯子区、南区、中区の人口動向等を把握し、管理部長が中心となって情報の分析を行い、施設の強み・弱みのSWOT分析を参考にしながら3か年経営基本方針及び単年度の事業計画を展開しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

●計画については多少の差異が生ずることを踏まえ、単年度計画については適宜、ローリングプランで修正を図り、期の中間で見直し、課題等が見られる場合は期の後半で施策を立案して実行しています。3か年の中期計画についても同様にローリングプランを立案し、1年目の課題等については2年、3年目で補えるようローリングプランを立てて進めています。日々の運営状況を把握するツールとして独自のスコア表を作成し、スコア表を基に担当職員が入所実績を施設内に発信するなど経営感覚を培う機会とし、利用者数を確保するための方策を共に考えるなど、一般職員も参加型の「共に経営する風土作り」を実践しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●中・長期計画(ビジョン)は“Power of One”として集約し、企業理念の「ワンストップ且つシームレスなサービスを提供し、地域包括ケアの一翼を担う」ことの実現を目指しています。“Power of One”は2020年度迄の3か年計画であり、特に、重点を置いているのが「在宅復帰率50%超」、「ベッド回転率10%以上」という相反するとも考えられる命題の実現に取り組んでいます。在宅復帰率を高め、ベッド回転率を向上させれば入所者数は減少傾向になりますが、入所者数をいかに増加させるかを課題として達成に向けてベクトルを1つにし、努力を重ねています。管理部長は、職員の意見を抽出し、意見等をまとめて運営会議で協議及び決定を行い、施設としての計画を策定しています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●中・長期計画に沿って、単年度の事業計画を策定しています。単年度の事業計画は、施設の長期ビジョンを基に、行動計画シートにまとめて展開を図っています。経営課題として戦略目標(What)を5つにまとめ、アクションプラグラム(How)と合わせ、指定部門(Who)と、上期・下期の目標値(具体的な数値目標)を決め、部門ごとに実現に向けて努力し、連携を図りながら施設全体で総合的達成を目指して取り組んでいます。施設長は、職員と共に目標達成に向けて推進を図っています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

●介護老人保健施設の長期入所化、特養化が進む中、介護老人保健施設コスモスは躍進的な施設運営を実施しています。介護の質の向上を高める努力と、各職種における質・技術の向上とを併せて職種間の連携の良さは特記するところです。また、職員は自分の職務に留まらず、他職員が困っていると自発的に助け合う体制と風土が醸成されています。職員の教育は施設内外で行われ、法人本部では、集合教育・階層別教育・管理職研修・リーダー研修・フォローアップ研修等が企画・実施されるなど、教育体制も整えられています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●事業計画は、主な部分をわかりやすい言葉に変換して1枚毎にラミネートを施し、全職員が所持するとともに誰もが見れるよう玄関入口にも掲示しています。また、家族懇談会等でも計画内容について詳細に説明をして理解を促しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

●年度計画をそれぞれの科、部署で立案し、進歩管理、振り返りと改善策の検討をPDCAサイクルに沿って実施し、施設運営会議(毎週実施)で分析及び検討を図り、質の向上に向けて全体で取り組んでいます。月1回のフロア会議や看護師会議、ケアサービス科(看護・介護職員共同)で行う会議、各委員会(2ヶ月に1回以上開催)で適切なサービスの提供について話し合い、勉強会を開催してサービスの質の向上につなげています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

●取り組むべき課題の明確化については、リスクマネジメント委員会にて施設で発生したひやりはっと報告を含めて年間1200件以上を集積・分析を行い、A3用紙に注意しなければならない事故・ひやりはっとの内容を記載してスローガン化し、改善に取り組む活動を進めています。特に、以前にあった対応策と同じ対応にならないよう、各種の工夫を講じるようにしています。サービス向上委員会では、利用者等の要望、苦情等に対処し、施設内に掲示して職員に周知を図り、啓発しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

●法人の職務権限規程、業務分掌規程等があり、法人内において権限・仕事を分割し、その職務の責任の所在を明らかにしています。規程についてはパソコン内の職員共有ホルダーで閲覧することができ、自覚と責任を促しています。職員間での緊急連絡は、スマートフォン等のオートメールで迅速に対応できる体制を構築しています。施設長の不在時の代行については、施設長→管理部長→次の代行者と、順位を明確に定めています。また、職員の等級制度、人事評価制度を導入するなど、離職率低下につなげています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●遵守すべき法令等については、施設が主体となり、労働基準法、労働安全衛生法、廃棄物処理法、食品衛生法をはじめとする食品衛生管理に関する法令、職業倫理に関わる法等、広く法令遵守を周知しています。特に、役職者はコンプライアンスに関する研修を受講し、施設全体にコンプライアンス意識が浸透するよう率先して取り組んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●施設運営会議(毎週実施)で検討及び決定された事項は各職場の管理者の指揮の下、実行に移しています。進捗状況の確認については、同会議のほか、サービス向上委員会、各種会議体で行い、フォローに努めています。施設長は、ハラスメント防止について周知を図り、特に、サービスを提供する中、利用者にハラスメントと受け取られないよう、正しい理解と防止の取り組みと並行して職場内のコミュニケーション、対話等の促進を促すよう努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●施設の理念・基本方針を基に中・長期計画及び、単年度事業計画を策定し、実行しています。組織として「トランスペアレンス」(透明性)と「ガバナンス」(統治)を最も重要と考え、2点を柱とした組織文化の形成に向けて努力しています。施設長は、職場コミュニケーションの活性化、風通しの良い職場環境作りに努め、コミュニケーションを円滑にするために信頼関係を大切にし、業務効率化や生産性向上につながるよう指導しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●福祉人材の採用に関しては、年度当初に人員計画を策定し、計画に沿って採用募集を行っています。また、法人内に窓口を一元化し、人材確保活動を実施する部署を設置して集中管理を行っています。紹介会社、専門学校、各種媒体を通じて募集を行い、施設では現場見学や就職説明会の開催等を主として行う等、法人と連携して人材の確保に努めています。毎年、研修計画を作成し、階層別に教育を実施して職員の育成に力を入れています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

●法人の基本方針に基づき、科、部署ごとに期待する職員像を明確にし、その職員像に沿って職員一人ひとりの目標設定を行っています。目標管理については、期初に目標設定面談を上長と実施して目標の共有を図り、期中で面談を行い、目標の進捗について確認し、期末に振り返り及び反省・評価の上、次年度の目標につなげています。人事評価では、法人の定める評価制度に基づいて公正に評価を実施し、職員にフィードバックしながら助言・指導を行い、個々の長所を伸ばし、短所を長所で補いながら改善が図れるようキャリアアップにつなげています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

●毎年、施設は職員ごとの就業状況、意向を把握し、働きやすい職場環境作りに活かしています。上長は、勤怠システムにより有給休暇の取得、残業時間の状況を把握し、安全衛生委員会で把握した職員の心身の健康情報を共有し、必要に応じて面接を実施して現状把握に努めています。福利厚生では、法人で加入しているリロクラブの「福利厚生倶楽部」のサービスの活用や職員同士の交流会等を毎年開催するなど、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて充実を図っています。介護老人保健施設コスモスでは、残業の削減が図られ、自己都合による退職者はほぼ皆無の状況となっています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●人事評価において、各職員の課題・目標、期待役割、意識・能力を評価しています。また、個々の状況に応じた育成計画を立てて、職員の質の向上に努めています。個人目標については期中の面接を中心に進捗を確認し、期末には振り返りと反省を行い、フィードバックを実施して育成につなげています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●各科、部署において期待する職員像を示し、実現のために必要な接遇、専門技術の向上に努めています。新人の入職者に対しては6ヶ月程度「プリセプター」を付け、実務評価表を活用して教育を行っています。専門技術についてはスキルアップの機会の提供や、「ラダー」(能力・様子の段階表示)で示し、評価を実施しています。また、評価者に対する指導研修も実施し、相乗効果のある教育体制で実施しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●職員の教育・研修については、法人本部の研修、外部研修、施設内研修、OJTを適宜、計画的に実施しています。具体的には、新人研修、階層別研修の他、県老健協会での各職種の部会・勉強会、通信教育等を活用して細分化を図り、有効的に実施しています。施設長は、研修の成果を他の人にしっかり教えることで施設全体が成長していくと考え、アウトプットの重要性を全職員に伝えています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

●実習生の受け入れについては、科ごとに研修・育成方法を策定し、実施しています。リハビリテーション科ではPTやOTを受け入れ、実習要綱を臨床実習指導者会議で確認し、オリエンテーション資料や受け入れマニュアルを整備しています。ケアサービス科では看護実習生を受け入れており、看護実習マニュアルを作成し、事前に看護学校の実習担当者と打合せを行い、実習依頼校の要望に応じてプログラムを作成し、特性に配慮した実習指導に努めています。実習中または実習後に、実習依頼校と適宜フィードバックを行い、次回の実習に活かしています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

●運営の透明性については、法人のサービス内容、事業計画、事業報告、予算決算報告等をホームページに公表しています。相談窓口、苦情対応については重要事項説明書に明示し、相談窓口・苦情担当者、苦情解決責任者を記載し、公的機関への苦情申出先(全区)も掲載しています。重要事項説明書は利用者、ご家族に配付すると共に玄関にも掲示しています。苦情を受けた場合は、解決策も含めて施設内の掲示板に公開するようにしています。また、グループ広報誌や、施設作成の広報誌を協力医療機関や地域ケアプラザ等に配布をし、事業内容を広く周知しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●法人に経理規程及び職務権限規程があり、定期的に外部の会計監査法人の監査に法人系列各施設の管理部長、実務主担当者が参加し、改善状況の報告を受けています。また、法人全体で規程の見直しや、手続きの流れの統一化を図る取り組みを組織的に行い、公正かつ透明性の高い経営に努めています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●施設内の地域資源情報コーナーには、横浜市立脳卒中・神経脊椎センターの講習の情報、施設のパンフレット、地域ケアプラザの案内、介護予防事業のお知らせ等を設置して情報を提供しています。リハビリテーション科の基本方針に「地域支援事業への参画」を明示しており、リハビリ職員がインフォーマルなサービスのコーディネーターとして、行政や地域ケアプラザと連携しながら社会参加を支援しています。また、施設では年1回、地域住民の方を対象に転倒予防についての地域教室を開催しています。その他、地域の保育所の園児が施設に来訪し、歌を披露してくれたり、一緒に体操を行うなど、世代間交流も図っています。さらに、近隣の小学校とは、側弯性の予防や最近の姿勢が悪い子どもが増えていることを踏まえ、小学校の学校保健委員会の要請を受けて施設の理学療法士が訪問し、体育館で小学生にストレッチや正しい姿勢の指導を行ったり、教員・校長・校医を交えた情報交換に参加して専門的な機能を提供するなど、地域に貢献しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●ボランティアの受け入れについては、受け入れに際し職員の基本姿勢を作成し、職員に周知しています。ボランティアの受け入れ時にはオリエンテーションを行い、実地での指導を丁寧に行い、その後も必要なフォローを行っています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

●職員、利用者に対して、地域資源情報シートを基に情報を提供しています。社会参加面のリハビリテーション目標を達成するために他のサービス事業所、地域ケアプラザ、行政との連携・情報交換に努めています。また、磯子区の多職種連携会議「レインボー磯子」や、地域ケア会議にも定期的に参加して情報交換や討議を行い、連携を図っています。隣接する横浜市立脳卒中・神経脊椎センターとは月1回、ミーティングを行い、病院経営者との協議会も実施し、施設とセンターとで密に連携を取っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域のニーズ等を把握するため、磯子区の多職種連携会議、地域ケア会議、各職種の部会等へ定期的に参加し、情報交換や討議を行い、地域課題への把握、共有に努めています。地域住民向けの教室も施設にて定期的に開催し、地域住民との関わりを通してニーズの把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域に向けた公益的な事業として、地域教室を開催し認知症や転倒の予防、病気等に関する情報を伝えています。リハビリテーションを含む老健サービスについては施設内に相談窓口を設置し、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所のケアマネジャー、利用者家族からの相談に対応しています。磯子区の「元気づくりステーション」(高齢者の介護予防を目的とした自主グループ)へもリハビリ職員を講師として派遣し、介護予防の情報提供や運動を紹介しています。介護老人保健施設コスモスは、磯子区と協定を結び緊急時は地域の福祉避難所として開放し、備蓄も備えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者尊重について、サービス向上委員会を設置して改善に努めています。入職時には法人で1週間程度の集合研修を実施して理念、基本方針の理解を深め、集合研修終了後は各施設でフォロー研修を実施しています。理念・基本方針は施設内各所に掲示し、全職員は理念・基本方針が印刷されたカードを携帯して常に確認できるようにし、サービス向上委員会や拘束廃止対策委員会等で勉強会を開催し、職員間で共通認識を図り、利用者を尊重したサービスの提供に継続して取り組んでいます。また、施設内に意見箱を設置して週1回、確認を行い、常に利用者等から意見を聞く取り組みを行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

●利用者のプライバシー保護については、法人として「個人情報保護規程」を整備し、定期的に勉強会を実施して職員は遵守しています。プライバシー保護に関するマニュアルを整備し、基本的な考え方、羞恥心への配慮、守秘義務等に関するガイドラインを設け、周知徹底を図っています。利用者等が居室以外に話せるスペースとして談話室、相談室を準備し、利用者等のプライバシーに配慮しています。居室はカーテンで仕切り、トイレはドア付きであり、入浴、排泄時にも利用者の尊厳を尊重しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

●利用希望者への情報の提供として、法人のホームページでわかりやすく詳細に理解できるよう見やすく提供し、施設を知っていただけるよう配慮しています。また、常に入所の待機状況、目安期間を提示し、利用までの流れをわかりやすくカレンダー、図式で示しています。ホスピタリティ溢れる情報提供と共に、施設にもパンフレットを設置して来所時にはいつでも入手可能としています。施設の見学は随時受け付け、親切丁寧に対応しています。また、接遇にも力を入れ、電話応対、相談窓口でも分かりやすく対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

●使用開始時は,契約書及び重要事項説明書によりサービス内容・利用内容を丁寧に説明しています。高齢等により利用者本人の同意が難しい場合には、ご家族に説明し、同意をいただいています。特に、ご家族に把握してもらいたい事項については別途書面で分かりやすく説明しています。例えば、面会時間や持ち込み食の注意等、利用者、ご家族等への利用についての説明に配慮しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●他福祉施設への転所や家庭への復帰の際には、ケアマネジャーや他施設の職員宛の退所時連絡票や利用者・ご家族宛の退所時指導書、主治医宛の診療情報提供書等を作成し、円滑な移行やサービスの引継ぎが出来るように配慮しています。利用終了後についても各科が役割を分担して継続した相談受付と助言を実施しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者満足度の向上のために要望の多い食事について、栄養委員会が定期的に食事に関するアンケートを行い、利用者の意見を実際の食事提供に反映できるようにしています。また、外部機関による利用者アンケートを行い、サービスの内容、職員の対応等に関する満足度の調査を行っています。調査の結果を踏まえ、職員は利用者やご家族と接する中で日々のケアに活かしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

●苦情や利用者等の要望について、サービス向上委員会を中心に解決に当たり、その結果は文書に残しています。苦情処理の方法やフローについては施設内に掲示しています。最終結果は教育委員会でまとめを行い、改善に努めています。また、磯子区から委託された介護相談員が月1回の聞き取り調査を行い、問題があればフィードバックされる体制となっています。苦情内容はフロア会議で報告され、職員に周知し、さらに職員通用口にも掲示して意識改革につなげています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

●利用者が意見を述べやすい環境の整備については、重要事項説明書に相談窓口、苦情対応について明示し、苦情相談の体系については玄関入口に掲示し、相談のための応接室や相談室を備え、安心して相談できる環境を整えています。また、意見箱も設置し、いつでも意見等が述べられるようにしています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

●職員は日頃から利用者の言動に注視し、利用者が抱える思いに耳を傾けるよう心がけています。「苦情・対応マニュアル」を整備し、利用者の要望や、苦情等受け付け時の状況に応じて適切かつ迅速に対応できるようにしています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●事故発生の防止及び発生時対応の指針を整備し、ケアの向上による事故の軽減、利用者の安全・安心の確保を目指し、リスクマネジメント委員会を設定して毎月開催しています。リスクマネジメント委員会では、利用者の安全な療養生活に重点を置いた利用者に関するリスクと、運営上のリスクを踏まえ、事業環境の変化と社会的ニーズ等を鑑み、施設における「事故」と「虐待」について予測と準備に注力して活動し、それぞれにリスクマネジャーを設置して情報を収集し、原因を分析するなど、リスクの未然防止及び、リスク対応力の向上に努めています。特に、「職員のミスに起因する事故」の概念を設け、職員の事故防止に対する意識・姿勢の評価を実施しています。ひやりはっとについては別途実施しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●施設内の感染症の発生や発生時の感染拡大防止のために感染症対策委員会を設置し、専任担当者が中心的役割を担い、利用者の安全確保のために取り組んでいます。「感染症予防対策マニュアル」を整備し、職員に周知を図り、毎年、マニュアルの見直しを行っています。高齢者施設で流行りやすい感染症については医師や法人内の感染管理認定看護師監修の「チェックリスト」を作成し、感染管理認定看護師による勉強会を実施し、発生時には職員誰もが統一した対応ができるようにしています。インフルエンザについては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づいて作成された「インフルエンザに関する特定感染症予防指針」に基づき、施設内感染対策の指針を策定しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

●災害時の対応については、基本的に消防計画に準じて実施し、年2回様々な場面を想定した防災訓練を行い、隣接している横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと合同にて消防署の指示の下、避難訓練を年1回実施しています。さらに、福祉避難所として磯子区との連絡訓練も実施しています。施設の利用者および職員の食糧等の備蓄については横浜市立脳卒中・神経脊椎センターと連携して管理を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

●提供するサービスの標準的な実施方法については、「介護業務マニュアル」、「介護技術マニュアル」を整備し、全職員はマニュアルに沿って指導を受け、標準化を図り、日々実践しています。マニュアルに関しては状況に応じて常に改訂を心がけ、わかりやすく写真付きで作成しています。プライバシー保護についても基本的考え方、プライバシー保護規程、ガイドラインを作成して周知徹底を図り、職員は理解しています。新人入職者に対してはプリセプター制度を設け、標準的な実施方法を徹底しています。利用者のADLの変化については、現状のADLを把握し、利用者の「できること」の評価を行い、適切なケアに努めています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法については、「介護技術マニュアル」に沿って作成し、サービス提供に関する検討、見直しを定める時期・方法で実施しています。「介護技術マニュアル」については、介護パートナー担当者や各職種の意見を基に、看護・介護職員が参加するフロア会議で検討を図り、決定し、改訂を行っています。サービス提供については利用者一人ひとりの状況に応じて適切に対応するよう努めています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

●アセスメントはケアマネジャーを中心に実施し、解決すべき生活課題や可能性を把握するよう情報を収集し、分析を行い、各種アセスメントを実施し、リハビリテーション・マネジメント実施計画書の作成につなげ、定期的に再評価を行っています。カンファレンスでは、利用者の目標達成への進捗、管理を多職種間で話し合い、共通認識を図っています。困難ケースに関しても多職種間で様々な実施方法を検討し、より良いケア、問題解決に努めています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

●福祉サービス実施計画の評価・見直しについては、入所時に作成した暫定の計画書に沿って介護を行い、ニーズを把握し、アセスメント後に確定の実施計画書を策定し、利用者、ご家族、多職種間で検討及び共有し、役割を分担して利用者の目標達成に向けて支援を行っています。見直しには目標達成の可否、問題点の抽出を織り込むようにしています。緊急的にプランを変更する場合には各職種間で協議を図り、修正を行い、変更内容については説明しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

●サービス実施の記録については、施設内に共有サーバーを設置し、他科の情報であっても閲覧できる体制を整え、共有化を図っています。利用者の生活状況はカードインデックスで日常管理を行い、統一されたADL表に記載し、どの職員でも分かるように工夫しています。また、相談サービス科、栄養科、リハビリテーション科の他科職員も毎朝、看護・介護の申し送りに参加し、情報を共有しています。記録の記載の仕方については係長や主任が指導を行い、記載、記録の仕方の統一を図っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

●利用者の記録の管理体制について、個人情報保護規定に基づいて管理責任者(管理部長→各部署の長)を設定しています。リスクマネジメント委員会主催による個人情報保護に係る勉強会を開催し、職員に理解を促してます。個人情報の取り扱いについては、サービス利用契約時に利用者やご家族に説明を行い、署名を得ています。また、個人情報を含む資料やデータ・USBについては施設外に持ち出さないよう指導を徹底し、情報漏洩に十分配慮しています。また、ガイドラインの中で個人情報保護について明示し、個人情報保護マニュアルを職員は遵守しています。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●利用者本人の意向に沿って生活が送れるよう、職員間で意向の申し送り・共有を図り、現状の心身の状態に応じて臥床時間やレクリエーション、入浴、リハビリテーション等、利用者一人ひとりに応じて日常が過ごせるよう支援しています。利用者本人の意向を把握する方法として、パートナー制度を設定し、利用者が特定の介護パートナーに希望等、何でも言えるよう、職員も利用者の思いに応えられるよう信頼関係作りに努めています。利用者に対しては、「出来ることはやってもらう」という考え方から、「どうすれば前向きにやる気になるか」を考え、介護者側が勝手にゴールを作らないようにしています。利用者にとって適した生活であるか、パートナー担当者からの情報やフロア会議等で確認するなど、利用者一人ひとりの支援に努めています。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:a】

●職員は、利用者の心身の状態、意欲の程度、変化等に注意をしつつ、様々な面で生活行為での目的を伝え(在宅復帰等)つつ、利用者の選択権を尊重して自立支援に努めています。自立した生活に大切な食事の座席、座位保持、ベッドの位置、車椅子の設置、福祉用具の導入時には調整及び支援しています。また、ケアマネジャーをはじめ多職種間で情報の共有・共通認識を図り、各科関係者、看護・介護職員との朝の申し送りでの情報共有等、組織全体で各方面から自立性向上の可能性を探る体制を確立しています。

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:b】

●支援相談員は、利用者の心身の状況について要望や訴えを傾聴し、相談や援助を行い、個別性を持った生活を
支援するようにしています。心身の状況は各科にも意見を伝え連携しています。また、退所後の生活の場の支援では、介護度や支援者の状況変化があった場合、それに応じた住宅・施設サービスについて情報提供をしています。さらに、退所後も必要に応じて家屋評価を行い、スムーズに生活ができているか確認をするようにしています。入所中のレクリエーションについては、毎日、共通のレクを用意し、利用者の希望に応じて散歩や麻雀、園芸、書道等、様々なプログラムも用意して生活のサポートを行っています。

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:a】

●利用者一人ひとりの思いを自由に表出できるようにパートナー制度を設け、馴染みの関係を作ることでより良いコミュニケーションが図られ、安心・信頼につながっています。特に、施設では接遇に力を入れており、職員は「スピーチロック」をテーマに事例発表を行い、優秀賞を得たこともあります。また、コミュニケーションでは、利用者の思いを言語的(バーバル)、非言語的(ノンバーバル)なツールを用いて把握し、特に失語など意思表出の困難な方については、ノンバーバル・コミュニケーションからメッセージを受け取れるよう、利用者の顔の表情、顔色、視線、身振り、距離の置き方等から心理描写を読み取るように努めています。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の権利侵害等について、「身体拘束・虐待防止マニュアル」を策定し、緊急性や止むを得ない場合の具体的な手続きと実施方法、虐待を発見した場合の通報の義務等について記載し、職員に周知徹底しています。権利侵害に関して、毎月、リスクマネジメント委員会、拘束廃止対策委員会を開催し、委員会でチェックを行い、結果を職員に報告しています。年1回、全職員が委員会に参加する機会を設け、情報を共有し、全体で共通認識を図っています。虐待の早期発見については、着替え、入浴介護時に傷等を確認し、ゆったりとした時間に話を聞くなどしています。不適切なケアの事後対応については、施設内で体制を確立し、速やかに職員間で連携を図り、報告体系に従い、検証・事実確認し、再発防止策を検討及び対応する体制を整えています。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●施設環境について、5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を実行し、施設内は余裕ある広さと明るい雰囲気であり、掃除が良く行き届き、常に清潔さを確保しています。清掃は週6回、1名の清掃員を配置し、共有部分、居室の温度・湿度の調整や換気を適宜行い、利用者に快適な環境を提供しています。施設内は、利用者のレクリエーションを通じて季節ごとの作品を飾り、四季折々の季節感を醸し、利用者と職員、ご家族との会話にもつなげています。各フロアにはご家族等の訪問時に利用できる談話スペースを設け、開放感があり、訪問する人々にも心地良い空間を提供しています。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

●入浴については個浴、リフト浴、大浴場を設備し、入浴形態は入所前の施設等の方法を採用するのではなく、現状のADL、リハビリ職員の評価、利用者本人の意向を考慮して支援しています。入浴前にはバイタルチェックを行い、個別に対応し、同性介助を希望する方については対応するようにしています。入浴拒否のある利用者については時間をずらしたり、対応する職員を変えるなど、利用者の心理的状態や生育歴等を考慮しながら声かけを行い、気持ちよく入浴してもらえるよう工夫して支援をしています。当日の入浴の可否については、各科の情報を基に看護職員が決定し、心身の状況に応じて清拭や足浴等の対応も行っています。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

●排泄についても入所前の施設で行っていた排泄方法を採用するのではなく、個人別に尿意、便意、ADL等、利用者の心身の状況を踏まえて支援するようにしています。排泄では、一人の空間を作ることを心がけ、プライバシーにも配慮しています。また、在宅の生活を考え、チェック項目のある利用者については摂取水分量から温度板に記録し排泄パターンを把握して支援しています。便器での座位が不可の利用者についても、利用者の負担を考慮しながらできる限りトイレでの排泄を目指して支援を行い、特に、消化器系や泌尿器系の既往歴を持つ利用者、バルーンカテーテル留置中の利用者、発熱や排尿時痛のある利用者には介護士、看護師が尿量確認を行っています。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

●移動支援については利用者の心身の状況を踏まえ、残存能力に注目し、出来る限り自力で移動ができるよう、日中だけでなく夜間帯のADL状況、現病歴や既往歴を考慮して介護職員、看護職員、リハビリ職員で情報を共有しながらその方に適した移動方法を検討し、対応しています。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:b】

●食生活については、管理栄養士が献立を設計し、毎日バランスの取れた食事を提供しています。さらに、月2回、メッセージカードを添えて行事食のサービスを実施し、季節感と共に旬の食材や日常と異なる特別な献立を楽しみ、利用者の喜びにつながっています。毎週日曜日にはスペシャルドリンク(コーヒー他)を用意し、利用者の好みに応じて提供しています。クリスマス等、季節の行事に応じて室内装飾を施し、おいしい食事と共に楽しい雰囲気を演出しています。片麻痺等で食器を押さえられない方には特別食器(スベリ止)を採用し、利用者一人ひとりの特性に応じて食具を用意しています。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者一人ひとりの体調、嚥下状況、栄養面に配慮し、個人に合った食事を提供しています。食事に時間がかかる方には「早出し」をして食事時間の1時間前に食事を開始するよう配慮し、自分のペースで食事ができるよう援助しています。食事はなるべく利用者自身で摂取してもらい、食事動作が止ったところで声かけや介助を行うようにしています。利用者が経口摂取を継続するために、言語聴覚士によるリハビリや利用者に合ったリハビリ(巻き笛等)を行い、口から食べることを継続できるよう支援しています。また、正しい座位の姿勢、食事の形態等に配慮し、楽しく食事をするよう職員が声かけするなど、努めています。食事による誤嚥、窒息が起こった場合は、対応方法をフローチャートで示し、確認できるようにしています。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の口腔ケアについては、口腔機能の保持、改善に取り組むことができる利用者には自主的に口腔ケアを行ってもらい、できない方については不十分な部分の介助をするようにしています。毎週2回、訪問歯科医が来訪し、1日に6~7名ずつ診察してもらい、治療内容や口腔ケアの状況の助言を受け、ご家族に対して入所後初回は書面で伝え、2回目以降は口頭で伝えてもらっています。言語聴覚士のリハビリを通して、口腔ケアができていない方や、義歯の受診の必要な方についてはご家族やケマネジャーに報告しています。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

●褥瘡については、褥瘡発生予防に関する指針を整備し、褥瘡の予防や現状把握の為の「褥瘡対策に関するケア計画書」を作成し、他職種との連携を図っています。標準的な実施方法についてはケア日誌の記録や、毎日の申し送りで全職種の職員に周知しています。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●「喀痰吸引に関する業務計画書」に基づき、医師、指導看護師の管理の下、定期的に各職員へ個別指導を行っています。医師による「介護職員等喀痰吸引等研修指示書」を作成し、介護職員への計画書を策定して実施しています。定期的な研修の際には指導看護師が必ず付き、指導及び助言を行い、喀痰吸引等について介護職員は習得しています。

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

●理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による在宅復帰機能の強化を目的とした個別の機能訓練を行い、これに加えて施設での24時間の生活にリハビリテーションの視点を落とし込んだ生活リハビリを強化しています。また、利用者が自主的に自主トレーニングや生活リハビリに取り組めるよう多職種の職員で助言や情報共有を行い、多職種協働のリハビリテーションを提供しています。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

●施設では、認知症の簡易評価スケールによるアセスメントを行い、医師をはじめ他職種でその方の生活支援について検討し、療養生活を安心して過ごせるよう計画を立て、共有してケアに当たっています。職員に対しては、リハビリ職員による認知症に関する研修会を適宜実施し、職員間で理解を深めています。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●利用者の急変時の対応について、「緊急時対応マニュアル」を整備し、少しでも体調不良が見られた場合は、職員間で連携を図り、口頭及び連絡ノートに記載し、医師の診療が受けられるよう迅速に対応しています。職員は、利用者の体調変化に逸早く気づくよう、夜勤帯の職員からの申し送りを受け毎朝、注意すべき利用者を確認し、注意深く観察を行い、今後の方向性を確認し合い、共有を図っています。詳細、経緯は日誌等に記録しています。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

●急死等はありますが終末期対応は当施設の対象外です。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●ご家族等へは、利用者の急変、状況に変化した際は必ず電話で報告し、詳細は来所時に介護職員、看護職員、支援相談員等から状況を伝え、経過について日々の記録を資料にして説明しています。施設生活への要望や相談等があれば傾聴するなど、連携を図るよう支援しています。また、家族懇談会の際には1年間の利用者の施設生活やイベントでの様子写真をスライドショーで紹介しています。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●安定的で継続的なサービス体制について、介護老人保健施設コスモスでは適宜、職員間で申し送りやカンファレンスを行う体制を構築し、他職種間で利用者情報を共有し、アセスメントシートを実施して在宅復帰への検討を図り、一時帰宅や外泊練習等も実施しながら毎月の在宅復帰者数目標の達成を目指して取り組んでいます。また、在宅復帰した後の生活状況等を退所後家屋訪問で確認し、短期入所や通所・訪問リハビリの提案を必要に応じて行い、安定的かつ、継続的なフォローアップ体制を実施しています。