社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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西有馬おひさま保育園

2022年02月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 特定非営利活動法人よこはま地域福祉研究センター

② 施設・事業所情報
名称 西有馬おひさま保育園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 130(138) 名
所在地 216-0003
川崎市宮前区有馬1-8-6
TEL 044-855-2525 ホームページ https://kotobukikai.ed.jp/nursery/nishiarima/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2014年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人寿会
職員数
常勤職員:23 名
非常勤職員:22 名
専門職員
施設長:1 名
保育士:32 名
看護師:1 名
栄養士:1 名
調理員:4 名
保育補助員:5 名
事務員:1 名
用務員:1 名
保育アドバイザー:1 名
施設・設備の概要
居室数:保育室(6)、一時保育室(1)、その他保育室(2)
設備等: 大ホール、玄関ホール、図書コーナー、事務室、会議室、休憩室、医務室、給食調理室

③ 理念・基本方針
≪理念≫
人と自然に接し 人を愛し 自然を愛し 
自分から遊べる自主性 とらわれることのない自由な心をもつ おおきな子に
≪保育方針≫
・様々な環境の中で安全に配慮し、たくさんの体験を通して、豊かな心と自主性を育てる保育
・外遊び中心の活動を通して、健康な身体を育てる保育
・いろいろな子ども、異年齢の子どもとの関わりの中で、他者を思いやる心を育てる保育
・保護者と保育園が共に子どもの成長を見守り、育てる保育
・地域の人たちとの交流が自然にできる、開かれた保育
≪保育目標≫
・夢や遊び心を持って自然に伸び伸びと生活できる子ども
・よく見て、よく聞いて、よく考え、自由に表現できる子ども
・心も身体も健康でたくましい子ども
・いろいろな仲間と暮らす中で、仲間や自分も理解できる子ども

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・子ども一人一人が、園生活を無理なく楽しく過ごせるよう、家庭的な雰囲気を心がけ、安全に配慮した生活が送れるよう環境を整えます。
・外でたくさん歩いて、たくさん遊んで体力をつけ、様々な体験の中で感性豊かな心と、自主性を育てていきます。
・仲間と一緒に育ちます。子ども達同士が遊ぶ中で、お互いの良さを知り、同時に痛みも知って、いたわり助け合える子ども達に育ってほしいと思っています。
・異年齢で生活する中で、大きい子が小さい子を可愛がり、小さい子は大きい子に 憧れるという関係を築き、互いに育ち合うことを大切にしたいと思っています。 行事にも、みんなで参加していきます。
・たくさん遊んでお腹をすかせ、たくさん食べて休息し、友だちと元気に過ごしていきます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/05/14(契約日) ~2022/02/03(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2017年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◆子どもたちは、一緒に活動する中でお互いを認め合い、育ち合っています
保育室には、子どもの発達や興味・関心にあわせたおもちゃや絵本のコーナーが設置されていて、一人ひとりの子どもが好きな遊びを選んで落ち着いて遊べるようになっています。園は外遊びを大切にしていて、雨でなければ毎日、広い園庭で遊んだり、近隣の散歩に出かけたりしています。戸外でたくさん遊び、たくさん歩くことで体力をつけ、自然や地域で友だちと一緒に活動することで感性豊かな心と社会性、自主性を育てることを目指しています。園庭遊びでは、クラスを超えて子ども達が交流していて、年上の子どもが年下の子どものために遊びを止めて場所を譲ったり、遊び方を教えたりする姿がたくさん見られます。保育士は子どもの姿を受け止め、子どものやりたいという気持ちを大切に保育しています。観察時にも、5歳児クラスで、相手が嫌な気持ちになる言葉を口にすることが増えていることを受けて、子どもたち自身が考えて「チクチク言葉」と「ぽかぽか言葉」を書き出し、そのことを劇のテーマとして展開して、子どもたちでアイディアを出し合って作り上げている様子がありました。友だちが上手にできない所をさりげなく手助けする姿もあり、子どもたちは一緒に楽しく活動する中で、様々な学びを得、育ち合っています。

◆保護者との関係作リに力を入れています
園は、保育方針に保護者との連携を掲げていて、保護者との良い関係作りに力を入れています。新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、保護者が保育室に入れるのは登園時のみとしていますが、降園時には玄関当番の保育士を複数配置して保護者に笑顔で声をかけてコミュニケーションを取り、保護者の声を引き出しています。必要に応じてクラス担任も対応し、子どもの様子を伝えて相談にのっています。全クラス連絡帳を用いていて、乳児は毎日、幼児は必要に応じて情報交換しています。コロナ禍で保護者に園の様子が見えにくくなったことを受けて、子どもの活動の様子を動画に撮って配信したり、壁新聞を作って貼り出すなど工夫しています。運動会や夏祭りは、感染対策を施して工夫して実施し、行事後にはアンケートを実施し、保護者の声を聞いています。このような取り組みの結果、保護者の満足度は高くなっています。

◆風通しの良い職場環境の中、職員は楽しく保育にあたっています
園では、全体会議のほか、クラス会議、リーダー会議、代表者会議、幼児・乳児会議等の話し合いの場を多く持ち、子どもの状況や保育のあり方について密に意見交換しています。園内研修では、具体的な記録を取り上げて子どもの姿について経験やクラスを超えてグループを作って話し合うなどしています。職員から意見が上がった時には会議等で話し合い、改善が必要となった場合には安全面等の危険がない限りは一定期間試行して、検証し、上手くいかなかった場合には柔軟に変えています。皆で質の向上を目指す中で、風通しの良い職場環境が作られていて、職員のモチベーションアップにもつながっています。
改善を求められる点 ◆事業計画書を充実して職員間で共有できる仕組みづくりが求められます
事業計画書は法人と園の中長期計画の示す方向性、前年度の事業報告書や自己評価結果からの過去の振り返り、そして園を取り巻く事業環境の変化を踏まえて策定されることが求められます。その領域はサービス実践の諸分野に加え、経営資源も範囲となります。項目ごとに具体的な目標や数値が示され、職員に周知される必要があります。園の現状の事業計画書は、いずれの面でも十分な内容とは言えません。自己評価であがった職員意見も反映して事業計画書を充実し、職員間で共有していくことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
西有馬おひさま保育園は、民営化による開園から8年目に入りました。
入所児童数の安定、職員の定着等により落ち着いて保育に取り組める環境が確立できています。子どもたちが安心してのびのびと園生活を送れるよう、職員研修への注力、保護者の方々との連携、施設整備等により保育内容の充実をはかってまいりました。
今年度は、さらなる質の向上のため、専門的な視点から園の運営、保育内容について評価していただき、当園の取り組みを見直していきたいと考え、第三者評価の受審を決めました。
今回、よこはま地域福祉研究センターさんに客観的にみていただいたことで、改めて当園の強みと改善すべき点とが明確になりました。また、評価していただくために、職員全員が自分たちの保育を振り返り、西有馬おひさま保育園が目指すものを共有し、その実現に向けて議論する場が持てたことも、第三者評価受審の大きな成果ととらえております。
これまでの職員の努力と保護者の方々のご協力、地域の方々のご支援を受けて培ってきた西有馬おひさま保育園の保育が、この第三者評価において適切に評価していただいたことに感謝しております。そして、子どもたちにとってよりよい環境を作っていくために、見えてきた課題を真摯に受け止め、保育の質の向上をはかっていきます。そして、地域社会に少しでも貢献できるよう力を注いでまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

ホームページに園の保育方針を、園のしおりには保育理念、保育方針、保育目標を掲載しています。保育目標は各クラスにも掲示しています。法人の理念・園の保育方針は、職員向けの法人全体研修や新人研修、各種会議等で随時周知、確認しています。保育理念や保育方針には職員の行動規範となる具体的な内容は示されていませんが別途、期待される職員像「大切にしたいこと]を作成しています。保護者に対しては園のパンフレットや「園のしおり」や「保育内容説明会」資料に掲載しています。今年度はコロナ禍で、毎年度初めに行っている保育内容説明会を中止し関係書類の送付をもつて説明会に代え、園だより等により、随時保育方針や行事・保育活動のねらい等の周知をしています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業の動向については、理事会や法人内の園長会において、理事長からの説明を受け事業環境の検討をしています。法人内の各園の運営状況についても園長会にて毎月共有しています。また、税理士事務所からの指導・助言があり、定期的に予算の執行状況を確認し、分析を行っています。コロナ禍で区の開催する各種会議が軒並み中止となり、わずかに防災・危機管理の研修がオンラインで行われるにとどまりました。しかし、区内の子育て関係機関、ボランティア、保育園や幼稚園等で作る「子育て支援関係者連絡会」はほぼ隔月で開催しており、地域環境等の分析と対策を検討しています。その中で、区内の特性として転入居者が多く、来たばかりの人に保育に関する情報が届きにくいことが明らかになり、区役所の関係部署に資料を置くなどの活動を進めていますが、事業環境の収集分析について自ら主体的、積極的に収集・分析活動を進めていくことが期待されます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

園の2020年度事業報告書では、コロナ禍において、特別保育事業や世代間交流、地域子育て支援事業等が規模縮小や中止となったことが数値等も含め報告されています。一方でコロナ禍の対応について園内行事の置き換え実施、オンライン研修への参加、地域家庭向けのおたより「どろっぷす」配布先の拡大を進めたことなどが記されています。毎年職員の自己評価を実施しており、今年度は福祉サービスの第三者評価を受審するため、中長期計画書、事業計画書及び事業報告書を職員に周知して自己評価を行いました。これを機に事業計画書や報告書の周知説明は次年度以降も継続することが望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人の中長期計画を踏まえて園独自の中長期計画を策定しています。この中長期計画では、社会課題や福祉事業の今後の展開を見据え、大規模修繕のための施設整備積立金の積み増し、備品・遊具の更新、国連の持続可能な開発目標を踏まえた環境保全や多様性の受容を目標に掲げ、働きやすい職場づくりを目指しています。保育内容では、寛容な心・態度を育むこと、食育活動、図書施設充実、地域支援など、自分らしく幸福に暮らしていくために必要な力をつけていける取り組みを通じて、園が持続的に成長し地域に貢献できる施設となるとしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

園には、法人の中長期計画と園独自の中長期計画があり、法人の中期計画では「特色を持ち、情報化社会に対応できる施設」などの構想が示され、園の中・長期計画には保育内容の他に、大規模改修、備品遊具充実、持続可能な開発目標への取り組み、働きやすい職場環境・職員の育成と定着等が掲げられています。これらの重点課題・目標について保育内容を除いて事業計画書では触れていません。また、事業報告書に示された実績や抽出した課題にも取り込めていない部分があり、具体的な課題設定と数値を含む成果目標を示すことができていません。今後、人材確保と育成、設備備品の充実、設備投資資金、新型コロナ感染症等を含む内外の情報の収集・課題抽出などを加えた、実践力のある事業計画書づくりが望まれます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

園では毎年自己評価を行っており、その中で園の特長や課題を抽出し、保育所を取り巻く状況等を考慮し事業計画を立案しているとしています。しかし、事業計画書は抽象度の高い表現を用いており、具体的に何をどの程度まで実践すべきかが明らかではありません。コロナ禍における今年度の重点目標の達成方法、安全対策等についても記載がありません。職員から「自己評価はするが、専門的な改善方法が分からない」などの意見も出ています。計画の進捗について半期ないし四半期の事業計画全体の振り返りも行っていません。事業計画書の策定と実施状況について説明、周知を促すための会議や研修などの取り組みが望まれます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

毎年度初めに開催する「保育内容説明会」はコロナ禍であることから保護者あてに関連資料を送付して開催に代えています。また、クラス懇談会も延期となりました。「保育内容説明会」の資料は保育の「全体の計画」と関連する異年齢活動、食育、健康管理、出欠、登園等の注意事項などが主で、園の事業計画そのものの説明は見当たりません。園では予算書及び決算報告をホームページで公開し、運営の透明性の確保に努めているとのことですが、予算書単体ではなく事業計画書そのものを掲載すると保護者や関係機関にも理解しやすいと思われます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

保育の質の向上については前回の第三者評価結果から、各クラスに保育目標を掲示したり、苦情解決制度の周知に努めるなどの実績があります。また、職員は毎年度末に個人別の自己評価をしています。1年間の振り返りの項目には、保育内容、職員間の連携、1年を振り返って思うこと感じたことを記し、次年度に向けて、保育担当への希望、来年度への抱負、やってみたい研究テーマや受けてみたい研修について書いています。個人別の評価結果は、グループワークへ、そして全体で検討した成果は「園の自己評価のまとめ」を作成・共有し、保育の質の向上を目指しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

園では職員一人ひとりの自己評価結果を「園の自己評価のまとめ」として整理して、職員間で共有しています。まとめられた項目は全体で約250項目に及んでおり、同じテーマについても賛否が並列で示されている項目もあります。現状の評価結果でも中からいくつか項目を取り出して部分的な改善をすることは可能ですが、「園の自己評価のまとめ」から、類似項目を分類整理し緊急度や重要度などから重点目標・課題を抽出し、具体的な改善案を導いて「全体の計画」や「指導計画」、事業計画書などに反映して全職員、保護者会などとも共有し、改善を進めることが望まれます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長の職務、役割については「保育職員に求められる職務遂行能力」に記載されています。また、園独自に「施設長の責務」を作成し、その中で「施設長として専門性を高め、子どもの最善の利益を目指す」として、高度な指導力5項目を掲げています。「施設長の責務」を職員や保護者に周知するとともに、その実践に努めています。さらに、ホームページで園長自ら役割と責任について公表し「子どもとの信頼関係を大切にして、一人ひとりが安心して自分を表現できるよう、家庭的な雰囲気づくりを心がけています。また個々の児童の発達に配慮し、ゆったりと子どもの主体性と自主性を育てる保育を行う」としています。毎月発行している「園だより」の表紙には園長の所信を掲載しており、職員、保護者、法人内各園などに配布しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

理事長よりコンプライアンス遵守の重要性について園長会等を通し説明を受けています。経理処理については副園長・主任、経理のチェックを受け承認される仕組みをとっています。現在、コロナ禍で区内の園長会はじめ行政との会議や説明会などは中止の状態ですが、区の担当職員が必ずメールで法令や条例改正などを通知してくれていて、園からの照会に対しても巡回訪問などで説明、指導を受けることなどができています。今後、職員共に勉強会や研修を行うなど法令順守に向けた、より積極的な取り組みが期待されます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍で、対外的な情報交流や研修などの機会が大きく減少していますが、法人の施設長会議に参加して施設間で情報共有をし、必要な情報は職員に伝えて一緒に保育の質の向上に取り組んでいます。園長は職員への傾聴を重視して職員自ら意見を表明し、決定・合意し、改善・実行することを促しています。職員面談やクラス会議等に参加し子どもたちやクラスの現状把握に努め、各種行事等の反省会へも参加して成果や課題を把握しています。毎月各クラスから職責や経験を問わず1名以上が参加した代表者会議を開いて、日常の身近なテーマで意見を出しやすいように少人数で話し合います。クラス間の情報共有が進み、新任保育士が意見を出せる環境づくりに寄与しています。園内研修では毎年テーマを決めて一年間検討します。一昨年は食育、昨年はあそびで共に保育の質の向上に寄与しています。今年度は「記録から見える子どもの姿」がテーマです。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

経営の改善や業務の実効性向上に向けて会計事務所の担当者が適正な会計処理が行われていることを確認し、事務担当職員と共同で財務状況を分析し、事業計画の見直しや補正予算の立案を共に行っており、健全な経営ができるよう努めています。また、毎月、社会保険労務士に来てもらい、働きやすい職場環境の実現に向けた意見交換を行い、アドバイスももらっています。今年度は時間単位有給制度とコロナ禍で家族が感染して濃厚接者となった場合等に対応した有給制度の導入、それに向けた就業規則の改訂を実施し、職員会議で周知しました。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

園の中長期計画に「働きやすい職場環境を目指し、職員の育成と定着をはかる」を掲げています。人材確保については法人施設長会議の場で各施設の人材確保について情報共有しています。就職相談会やハローワーク登録、保育養成校への求人票の提出などは法人内に採用の担当を配置して行っています。子どもたちの最善の利益と予定外の事態にも対応できる就労環境のためにゆとりある職員配置に努めています。就職候補者には法人の理念や園の保育方針等に賛同して入職してもらえるようホームページなどで発信しています。新任職員の育成に関してはOJTを中心として園の保育実践を浸透させる取り組みをしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人理念「人、自然、遊び、自主、自由」を踏まえて、笑顔を心がけ、自ら仕事を楽しむ、期待する職員像などに基づいた人事を行っています。処遇の水準については給与表に従い決定しています。人事基準は明確に定まってはいませんが、本人の希望も踏まえ、園長・副園長・主任が複数の視点から総合的に判断しています。職員一人ひとりの次年度へ向けての目標や希望は、振り返りシートや年2回の園長との面談等で把握しています。職員が将来的な展望を持つための総合的な仕組みについては、法人組織全体にもかかわることからさらなる検討が必要と考えています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

人事方針や全般の意思決定は理事長と理事会が掌握していますが、園の労務管理の実務は園長が担っています。園長は社労士による労務管理のチェックを定期的に受けています。各職員の休暇取得状況は園長・副園長・主任が把握し、適宜取得を促しています。また残業時間を短縮できるよう業務の分担を工夫・調整するなどしています。保育に関する職員の悩みや相談への対応には保育アドバイザーを配置しており、相談しやすい環境を整え、産業医を配置して健康診断など心身の健康管理を行っています。園長は職員と年2回の定期的な面談の機会を設けています。職員間の良好な人間関係構築ができており、職員の離職率が少なく、定着率が良いことなどが保護者の安心につながっています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園の期待する職員像は「大切にしたいこと」と題して作成され①柔軟な心②慣例・恒例にとらわれすぎないことの二つを掲げています。寛容な心を育てるために大人が寛容であること、改善が必要なものは失敗を恐れずやってみることを求めています。この「期待する職員像」は本年5月に作成されたばかりで、職員の理解の深まりはこれからです。今年度末に作成される各職員の自己評価にも反映されると思われます。園長には年度末の面談で話し合いをし、中間面接でその進捗を確認してアドバイスをすることなどを通して職員の理解・納得を深めていくことが期待されます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

園の研修計画には職位に応じて求められる職務追行能力の研修、保育の各専門分野のリーダー研修、管理監督職向けのマネージメント研修、新任などの保育実践研修、そのほかの研修などがあります。また、園内研修は毎年テーマを決めて全職員が理解を深め、業務改善などにつなげており、園内研修のあり方や討議の持ち方を含めて、各職員の忌憚のない意見が述べられるよう常に方法を検討し見直しています。園の「期待する職員像」を基本方針や計画の中に反映することについては、まだ作成されたばかりでもあり、今後の課題です。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員に対しては保育活動の見守りや他クラスとの交流、任意のグループでの話し合い等を通し、職員同士が互いに理解を深める工夫を行い、自己認識を高めていきます。その中で、各自の個性等を把握し、希望も踏まえて研修計画を策定しています。新人研修は理事長が法人理念や保育士としての心得を中心とした講義をし、職場では新人をサポートする主任等のOJTを受けます。主任等はマネージメント研修を受けています。職員が外部研修に参加できるよう積極的に各種研修会の周知を行っており、コロナ禍でリモート研修が増えている機会を捉えて非常勤・パート職員の研修参加も支援しています。ゆとりある職員配置をいかし、研修参加に向け柔軟なシフト配置ができています。OJTの一層の充実に向けてトレーナーの専門の研修の導入なども期待されます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

次世代の保育士の育成、保育業界全体の質の向上への貢献を目的に、幼少期の子どもたちに関わる仕事の重要性と楽しさと等を実習生に感じ取ってもらうことを目的に積極的に取り組んでいます。受け入れ担当職員は実習生指導研修を受けて対応し、養成校と協力してプログラムを組んでいます。実習は当日の活動の説明や振り返りを行い、次の日の実践にいかせるよう指導助言をしています。責任実習や早朝保育・延長保育・土曜保育の体験等、保育士としての仕事を網羅できるように計画しています。また、コロナ禍で依頼が途絶えていますが2年前まで調理師の実習も受け入れており、マニュアルも用意しているなど受け入れ体制ができています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームページに保育所の理念や基本方針、保育の内容、事業計画、事業報告、予算、決算情報が公開されており、当園のウェブサイトには保育理念や園の保育方針の他、一日の流れや行事等の保育活動の様子が分かりやすく掲載されています。園のパンフレットには理念や基本方針、行事計画、デイリープログラムなどを掲載しています。第三者評価受審結果はかながわ福祉サービス第三者評価推進機構を通じて公表していますが、園のホームページからリンクを貼るなどの工夫が望まれます。苦情・相談受付体制やそれに基づく対応について、公表する仕組みはあります。当園について地域に知ってもらうため、園の概要を記したリーフレットやおたより等を子育て支援センターや区役所、子ども文化センター、小児科等の関連施設に依頼して掲示、配布しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

職務分掌や権限・責任は園の「保育園職員に求められる職務遂行能力」に記載しています。また、法人の経理規定に基づき、事務担当職員を中心として適切な会計処理を行っています。経理規定は職員が閲覧できる諸規定綴りに入れてあり、いつでも見ることができます発注や支払い時には、園長・副園長・主任の承認を得て実行するようなシステムをとっています。税理士事務所の担当者が毎月の経理処理状況を確認、分析しており、指導助言を受けています。毎年、川崎市の監査を受け、指導助言を受けており、それに基づく改善を行っています。予算・決算については法人の監事が監査・承認していますが業務監査の充実も望まれます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育方針に「地域の人たちとの交流が自然にできる、開かれた保育」を掲げ、地域との交流を積極的に行っています。「ワーキングマザーのカウンセリング」などの地域の子育て支援に関する情報を園入口の掲示版に掲示し、保護者や地域の親子に情報提供しています。コロナ禍以前には、川崎市老人いこいの家で子どもたちが歌を披露したり、敬老の日のつどいや伝承遊びの会などの園の行事に地域の老人会や民生委員を招待し交流するなど、活発に地域と交流していました。現在は中止となっているため、園は感染を防ぎながらの交流のあり方を模索しています。また、散歩先の公園で地域の親子と一緒に遊んでいます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

職業体験やボランティア受け入れに関するマニュアルに基本姿勢を明示し、町探検活動の小学生や職業体験の中学生、高校生などを積極的に受け入れています。受け入れに際しては、オリエンテーションを実施し、「職業体験・ボランティアに参加される方へ」を用いて、保育園の仕事や子どもと接するにあたっての配慮事項、守秘義務等について説明しています。コロナ禍以前には、絵本の読み聞かせや、夕方に地域のピアニストが子どもたちにピアノを弾いて聞かせるなど、地域住民の受け入れもしていました。年長児交流として実施していた保育まつり等の行事はコロナ禍のため中止になりましたが、DVDでだし物を見たり、地域の公園で交流するなど工夫しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

行政や関係機関、保育園、自治会、医療機関等のリストを整備しています。リストは事務室に置かれていて必要時にはいつでも確認することができます。また、必要に応じて職員会議等で職員と共有しています。宮前区園長会を始めとした各種会議に参加し、連携しています。地域の子育て支援ネットワークには、保育園だけでなく区の保健師、地域子育て支援センター、民生委員・児童委員、子育て支援グループなどが参加し、連携して地域の課題の共有と解決に向けて取り組んでいます。必要に応じて、宮前区児童家庭課、川崎西部地域療育センターや川崎市中部児童相談所などの関係機関と連携して、対応しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

宮前区園長会や主任会、年齢別連絡会、子育て支援連絡会、子育て支援ネットワーク等の各種会議に積極的に参加し、地域の福祉の現状や課題、ニーズ等を把握しています。民生委員・児童委員、社会福祉協議会とも定期的に連絡を取り、地域の福祉ニーズを把握しています。また、一時保育の利用状況からも0・1歳児の利用が多いなどの地域ニーズを把握しています。年6回実施している有馬こども文化センターでの育児講座や園庭開放、子育て支援イベント、一時保育などでは、話しやすい雰囲気を作り、育児相談を積極的に受けています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域支援事業計画を作成し、地域の子育て家庭向けに、一時保育(非定型、緊急一時保育)、園庭開放、育児相談、身体計測、給食試食会、離乳食講座などを実施しています。コロナ禍のため実施が難しいものもありますが、園庭開放を園児の午睡時間に実施するなど工夫しています。また、移動動物園、夏祭り、運動会などの園の行事に地域の親子を招待しています。地域の子育て家庭向けにおたより「どろっぷす」を発行し、触れ合い遊びや絵本の紹介、給食レシピの紹介などを掲載し、情報発信しています。有馬こども文化センターで育児講座を年6回開催し、育児相談も受けています。園は、川崎市と福祉避難所補完施設の取り決めをしていて、多めに備蓄を用意するなどしています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「子どもの権利に関する規定」「子どもや保護者への関わりについて」「子どもの権利の尊重」等の規定に子どもを尊重した保育を実践する上で配慮すべきことを記載し、全職員に配付しています。職員会議で、読み合わせをするとともに、園内研修では日々の保育の中からケースを取り上げてグループを作って事例検討し、保育の内容が子どもの思いに沿っているかを確認しています。保育の中で気になる場面があった時には、副園長、主任、リーダーが声をかけて話し合ったり、研修で取り上げるなどしています。職員面談でも確認しています。性差についても必要に応じて取り上げ、話し合っています。保護者に対しては、保育内容説明会や懇談会、お便りなどで園の考え方を伝えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

「子どもの権利の尊重」にオムツ交換やトイレ、着替えなど具体的な事例をあげて配慮すべきことが記載されています。着替えやプールの時にはタープをはる、幼児のトイレには扉をつける、オムツ替えはトイレの中で行うなど、プライバシーへの配慮がされています。職員は子どもの気持ちを大切に保育をしていますが、観察時には排泄などでさらなる配慮が必要かと思われる場面も見られましたので、今後の取り組みが期待されます。保護者に対しては、入園時に説明し、園のウェブサイトに子どもたちの写真の掲載してよいかと確認し、承諾書を得ています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

ホームページ、リーフレットで園の情報を利用希望者等に提供しています。リーフレットは、宮前区役所や有馬こども文化センター等に置いています。ホームページには、理念や方針、概要、一日の流れ、子育て支援等の情報とともに、園風景の写真を載せて利用希望者等がイメージしやすいように工夫しています。利用希望者等の問い合わせには随時対応しています。コロナ禍のため、園舎内の見学は行っていませんが、毎週水曜日の午前中に玄関でリーフレットのほかに、園舎内を見取り図と写真で説明した「園舎案内」とよくある質問をまとめた「園見学Q&A」を渡して説明しています。園の様子を見る機会として園庭開放を案内しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入所面接時に、園のしおりと重要事項説明書を用いて説明して保護者の質問に答え、同意を得た上で、同意書に署名を得ています。重要事項に変更があった場合にも、重要事項説明書を再度配布して説明し、承諾を得ています。コロナ禍のため、感染拡大予防の観点から理念、方針、一日の流れ、持ち物等の共通して説明する部分に関しては動画であらかじめ視聴した上で面接を行うなど工夫しています。離乳食を必要とする0歳児および食物アレルギー児に対しては栄養士も面接に同席するなど、必要に応じて専門職も対応し、丁寧に分かりやすく説明することで、入園に際しての保護者の不安が解消するようにしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

転園などで、途中で保育所を変更する保護者に対しては、引継ぎ文書等は定めていませんが、保護者から要望があれば引継ぎをしたり、転園先からの問い合わせに答えたりしています。転園する際にはいつでも相談にのる旨を伝えています。また、卒園生やその保護者からの相談にも応じています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育士は、日々の保育の中で子どもの言葉や表情、仕草、反応などから子どもの満足度を把握しています。行事後にはアンケートを実施しています。また、連絡帳や朝夕の保護者との会話、個人面談でも把握しています。保育内容説明会やクラス懇談会でも保護者の意見や要望を聞いています。保護者の自主的な組織である父母協議会の役員会には園長が参加し、意見交換しています。把握した保護者の意見や要望は、職員会議等で検討し、改善に向けて取り組んでいます。保護者からの声を受けて、バザーを廃止し、夏祭りを園主催にするなどの行事の見直しを行い父母協議会の負担軽減を図ったなどの事例があります。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者は園長、苦情受付担当者は副園長で、第三者委員2名を設置しています。苦情解決の流れを玄関に掲示するとともに、重要事項説明書、保育内容説明会資料に記載して保護者に配付し、入園時および年度初めの保育内容説明会で保護者に説明しています。意見箱を玄関に設置するとともに、行事後にはアンケートを実施しています。苦情内容とその対応は苦情記録に記録し、職員間で共有しています。保護者には個別に検討内容と対応策をフィードバックしています。個人情報に関わらない内容については、お便りや報告書で公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決の流れ」に、第三者委員の氏名と連絡先を明記し、保護者が直接申し立てることができるようにしています。全園児連絡ノートを用いて、乳児は毎日、幼児は必要に応じて情報交換しています。意見箱や朝夕の会話、個人面談、クラス懇談会など保護者が意見を述べる機会を複数用意しています。保護者からの相談は、会議室を用い、プライバシーへの配慮もしています。ただし、かながわ福祉サービス適正化委員会や行政の窓口など外部の相談窓口の紹介はしていませんので、権利擁護の視点からも紹介していくことが期待されます。また、第三者委員等についての保護者の認知度も高くないので、さらなる説明が望まれます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

朝夕の送迎時には、保育士を始めとして職員はそれぞれの立場から保護者に声をかけてコミュニケーションを取り、保護者の声を引き出しています。コロナ禍のためお迎えは玄関での対応となっていますが、玄関番として複数の職員を配置し、話しやすい雰囲気を作りだしています。保護者から相談を受けた保育士は、園長、副園長、主任に報告し、対応について話し合っています。必要に応じて個人面談を設定し、内容によっては、担任だけでなく主任や副園長、栄養士、看護師が対応することもあります。苦情解決要綱はありますが、相談や意見を受けた場合についてのマニュアルは作成していないので、今後作成していく予定です。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントの責任者は園長で、園長、副園長、主任、クラスリーダーが参加するリーダー会議が中心となって安全管理をしています。保育室や園庭の安全点検は安全係が中心となって行っています。安全管理マニュアルを整備し職員に配付し、周知しています。「緊急性の判断と対応のチェックリスト」や対応のフローチャートを保育室内に掲示しいつでも確認できるようにしています。マニュアルは、随時見直しをしています。園内研修で危機管理について取り上げるほか、職員会議等でも他園での事故事例などを折りに触れて取り上げ確認しています。事故・ヒヤリハットは記録して集計、分析し、乳児・幼児会議や職員会議で報告して改善に向けて話し合っています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策の責任者は園長で、看護師を中心として取り組んでいます。川崎市の指針を基に、園の感染症対応マニュアルを作成し、事務室に設置しいつでも確認できるようにしています。マニュアルは看護師が定期的および新しい情報を得た時に随時見直しています。看護師による嘔吐処理などの研修も実施しています。保護者に対しては、入園時と新年度の保育内容説明会で感染症の登園停止基準や園の対応について説明しています。感染症が発症した場合には、掲示し情報提供しています。新型コロナウィルス感染症については、別途マニュアルを作成し、検温、手洗いや消毒、換気の徹底、職員の行動記録の記載など、様々な対策をしています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

消防計画、自衛消防団組織図、災害対応マニュアルがあり、災害時の対応体制が定められています。マニュアルは全職員に配布し、周知しています。保護者に対しては災害一斉メールと災害伝言ダイヤルで連絡する体制を整え、配信訓練もしています。毎月、地震や火災など様々な想定をした避難訓練をしています。防災備蓄倉庫を整備し園児・職員だけでなく、地域住民にも提供できるように食品や毛布等を備えています。防災の日には非常食の試食もしています。園は川崎市の福祉避難所補完施設に指定されていて、消防署等地域の関係機関と連携する体制があります。なお、保育を継続するための計画(BCP)の策定は今後の課題となっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

デイリープログラムや事故対応、守秘義務、清掃などの各種マニュアルを綴じ込んだ「職員マニュアル等のつづり」があり、全職員に配付しています。子どもの尊重や権利擁護等に関わる姿勢は「職員心得」や「子どもや保護者への関わりについて」「子どもの権利に関する規定」などに具体的に記載されています。新入職時のOJTで周知するとともに、園内研修や職員会議で読み合わせをし、確認しています。保育はデイリープログラムを基本に行われていて、日々の振り返りや会議等で、実施状況を確認しています。保育士は、一人ひとりの子どもの姿に合わせて柔軟に対応していて、保育実践は画一的なものとはなっていません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

デイリープログラムは、クラス会議や乳児・幼児会議で実施状況を確認し、必要に応じて検証・見直しをしています。マニュアル類は定期的および必要に応じて見直しをしています。また、事故など保育の中で不具合があった場合には、職員会議でマニュアルの読み合わせを行って話し合い、随時マニュアルの見直しをしています。会議等で職員から業務の手順などで意見が上がった場合には、試行期間を設けて試行し、上手くいかなければ検証し、見直しています。職員の意見を柔軟に取り入れ、試行・検証を繰り返すトライアンドエラーの中で、保育の質の向上を図っています。行事の見直しなどには、保護者の意見も反映しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

年間指導計画は、全体的な計画に基づき、クラスで作成した計画案を基に、乳児・幼児会議、職員会議で話し合い策定しています。年間指導計画を基に、クラスで話し合い月間指導計画と週案を策定しています。乳児および特別な配慮を必要とする子どもには個別指導計画を策定しています。食育計画、保健計画、行事計画も策定しています。計画には、面談等で把握した保護者の意見や必要に応じて川崎市西部療育センターなどの関係機関のアドバイスも反映しています。クラスや乳児・幼児会議等で計画の実践状況の振り返りや評価をしています。支援困難ケースについては、ケース会議で適切な対応ができるように対応策を検討しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

指導計画は、クラスや乳児・幼児会議で話し合って実施状況を確認して、振り返りをし、計画の見直しや策定をしています。見直しの結果は職員会議等で共有しています。子どもの状況やクラスの状況に変化があった場合には随時計画の見直しをしています。今年度は、新型コロナウィルス感染症の感染状況に合わせて異年齢活動をクラス活動に入れ替えるなど、柔軟に見直しをしました。振り返りの結果、必要があれば、業務の手順や保育環境を見直すなどしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

児童票や日誌などの記録類は定められた様式に記録しています。園内研修で記録の書き方を取り上げ、フォーマットの見直しをしています。記録の記入例も作成し、視点に差異がないようにしています。新人職員に対しては、OJTで先輩職員が指導しています。週案はクラス日誌、個別の月案は個人記録を兼ねていて、計画に沿った実施状況を確認できるようになっています。児童票、個別指導計画、健康診断の記録、個人面談記録等の子どもの記録は一人ずつファイルし、職員間で共有しています。月1回の職員会議やクラス、乳児・幼児、リーダー、非常勤などの各種会議を実施し、情報共有を図っています。パソコンの共有フォルダーでも情報共有しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

記録管理の責任者は園長で「個人情報保護について」に個人情報の目的、保存、廃棄、取扱などについて規定しています。ただし、開示や漏洩時の対策については規定されていないので、今後は規定していくことが期待されます。保護者に対しては、入園時に、使用目的を明示して個人情報使用同意書に署名をもらっています。ホームページへの写真掲載についても掲載できる範囲を確認しています。個人情報に関わる書類は施錠できる棚に保管し、パソコンにはパスワード、フォルダーにはアクセス権限をかけています。入職時に個人情報の取扱についての研修を実施し、誓約書を取っています。ただし、入職後にはしていないので、今後は毎年研修をしていくことが期待されます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

「人と自然に接し、人を愛し、自然を愛し、自分から遊べる自主性、とらわれることのない自由な心を持つ大きな子に」という保育理念のもと、保育方針、保育目標を定めています。全体的な計画は、園長、副園長、主任を中心に作成し、それに基づき、年間計画、指導計画等を各クラスの担当、係の担当、行事の担当が中心となって作成しています。年度末には職員全員が、保育および運営に関する多数のチェック項目を自己評価し、それを任意の少人数グループで議論し、最後に全体で共有して、全体的な計画をはじめとする保育の計画に反映しています。毎月の職員会議で出された課題については、園長、副園長、主任で検討し、改善案等を職員会議に提案しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

建物は全体的に広い空間が確保され、十分に換気ができる構造です。床や腰壁などに柔らかい国産の木材を使用し、貝粉を使った壁は、室内の空気を浄化する作用があります。窓が大きく日当たりが良いため、夏は冷房で温度を調整しています。0歳児のクラスには、床暖房が採用されています。各保育室には加湿機能付きの空気清浄機を設置して、湿度を管理しています。各クラスには、おもちゃや絵本等の遊びのコーナーが設置されています。乳児クラスのある1階には、調理室に隣接した「ひだまりルーム」や、広い玄関ホール、幼児クラスのある2階には、グランドピアノが置かれた広い遊戯室があり、デイリープログラムに応じて、各クラスが利用しています。その他に、1階には乳児用、2階には幼児用の図書コーナーが常設され、貸出もしています。1階のトイレには、乳児用の便器の他、オムツ交換台や沐浴台も設置され、排せつに関連するコーナーが1か所にまとまっています。2階のトイレは男女別で、ドアの付いた個室が設置されています。パニックになった子どものクールダウンの場所として、図書コーナー等を利用することは出来ますが、園としては、すべての子どもにとって寛げる、落ち着ける場所づくりにさらに取り組みたい意向です。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの状況については、入園時のアセスメントに基づいて作成した、個別指導計画を職員間で共有しています。日々の子どもの状態については、毎朝の登園時の保護者との交流や連絡帳で把握しています。乳児クラスでは、日々の子どもの健康状態と様子、保育者との関わりと評価を「個人日誌」に記録して、発達過程や子どもの個人差を把握しています。幼児クラスでは、クラス単位で子どもの様子を記録し、把握しています。日誌には具体的なエピソードとその対応方法も記入することで、よりよい関わり方に気付けるようにしています。子どもに丁寧に関われるよう、どのクラスも複数担任制とするとともに、フリーの保育士も保育に入る等、余裕のある人員配置にしています。一方、保育の流れの中では、外遊びから戻った後の読み聞かせ・手遊びから給食開始までの間に、長い待ち時間が生じ、その間に子ども同士の小さなトラブルが生じる様子が見受けられました。また、せかす言葉や制止させる言葉は用いないように心掛けていますが、時間に余裕のないときなどに用いてしまうことがあるようです。そういう時は、クラス会議で取り上げたり、園長がその職員と個別に面談したりして、子どもの気持ちをくみとり、寄り添う言葉かけができるよう、促しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本的な生活習慣の習得状況については、入園時には、食事・排泄・睡眠・着脱に分けて、ねらい・育みたい子どもの姿と、働き掛け・配慮をアセスメントし、「個別支援計画及び育成記録」に記入して把握しています。入園後は、毎月の子どもの姿を「児童票」に記入して把握し、乳児・幼児会議等で共有しています。自分の身の回りのことは自分でできるよう、保育者が無理強いすることなく、子どものやりたい気持ちを尊重した関わりをするよう努めています。例えば、散歩や外遊びが終わって部屋に入る際には、ズボンを脱ぐ、トイレに行く、手を洗う、着替える等の生活習慣を絵や写真で示し、子どもの目線の高さに掲示し、進んで自分で出来るように支援しています。できたことは褒めて自信につなげ、できない時は保育者が環境を工夫して、出来るようにしています。休息については、その日の子どもの状態に応じて、活動とのバランスが保たれるようにしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

各保育室には、おもちゃや絵本のコーナーを設けて、子どもが主体的に遊べる環境を整えています。荒天時以外は散歩や、公園・園庭での外遊びを日課にして、たくさん歩いて、たくさん遊んで体力をつけ、さまざまな体験の中で感性豊かな心と、自主性を育てることを目指しています。乳児クラスの散歩では、手を上げて信号を渡る、歩道のない道路の端を歩く等、歩行者のルールが身に付いている様子が見受けられました。幼児クラスでは月に2回ほど、4つのグループに分かれての異年齢保育を取り入れています。活動内容は、子どもの意見も取り入れながら、幼児会議で検討しています。園庭遊びでは、クラスを超えて子どもたちが交流する機会が多く、年上の子どもは年下の子どもに優しく接したり、遊びを教えたりする姿が見受けられました。乳児の過ごす1階にも幼児の過ごす2階にも、数多くの絵本等をそろえた図書コーナーを設置し、子どもたちがさまざまな文化を知り、世界を広げていけるようにしています。園では、より多様なジャンルの図書を揃えるとともに、さらに落ち着いて読書ができる空間にするため、配置や装飾等の見直しをしていく予定にしています。また、さまざまな表現活動が自由に体験できるよう、制作コーナーの設置も検討しています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

保育室は、パーテーションで囲まれた畳の部分と、フローリングの部分に分かれています。後者には、子どもたちの発達段階に合わせたおもちゃや絵本コーナーを設置しています。保育者は、子どもが安心して1日を過ごせるように、子どもたちに対してゆったり関わるよう努め、泣いている子どもにも、丁寧に対応しています。入園から半年間は、保育者は担当制にして、子どもが安心して大人(保育者)と関係を築けるようにしています。その後徐々にローテーションでの保育に移行し、0歳児の保育者全員で子ども全員を保育しています。保護者には年に1回、保育参観の機会があり、その際、担任が保護者と面談して、園での子どもの様子や保育者との関わりを伝えたり、家庭での子どもの様子を確認したりしています。訪問調査の日には、服装を変え、帽子を被ってサングラスを掛けた保護者2名が、保育室内で、朝から昼食までの間、保育参観をしていました。家庭とは連絡帳を通して連携する他、登園時、および、必要に応じて降園時に保護者と交流して、子どもの様子等を共有しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

1歳児の半数は0歳児クラスからの進級、残りの半数は1歳児クラスからの入園です。そのため、最初の半年間は半分に分かれて生活し、後半から合流するようにしています。遊びや午睡等がスムーズに行えるよう、保育室内のおもちゃや絵本等の配置や、午睡の場所等について工夫しています。子どもが基本的生活習慣の習得に意欲的に取り組めるよう、それぞれの特性に合わせて声を掛けたり、できる限り見守ったりするようにしています。ただし、訪問調査時には、大きな声で子どもを注意する様子も見受けられましたので、さらなる取り組みが期待されます。園は今後、一人ひとりの子どもの状況に応じ、子どもが自分でしようとする気持ちを十分に尊重した関わり方で、子どもの自主性をさらに伸ばしていくように努める意向です。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3、4、5歳児の保育室は2階にあります。吹き抜けの階段を上がった、明るく広がりのある空間に図書コーナーがあります。その奥にホール、横には「あおぞらルーム」と呼ぶ部屋があり、その先に3クラスの保育室があります。各保育室には、子どもの興味や発達段階に応じた遊びや図書のコーナーが設けられています。日々の保育の中では、子ども一人ひとりの「これがやりたい」という思いをくみとり、可能な限り思いに添えるよう保育者が工夫をしています。例えば、訪問調査時、5歳児クラスでは、クラスで相手が嫌な気持ちになるような言葉を口にすることが増えている現状を鑑み、子どもたち自身がこのことについて考える時間を作り、「チクチク言葉」と「ぽかぽか言葉」を書き出していました。2週間後の「おひさまひろば(生活発表会)」では、その「心がぽかぽかする言葉」をテーマに、子どもたちがアイデアを出し合って劇を披露する予定です。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

障害のある子どもについては、個別の指導計画を作成して職員間で共有し、子どもの状況や状態に合わせた保育を行っています。クラスの中では、劇の練習中にぐずり出した子どもに対して、周りの子どもたちが声を掛けながらリードしたり、同じ役を演じる子ども同士が助け合ったりする姿が見受けられました。障害のある子どももクラスの一員として自然に溶け込み、学び合っています。視覚的な支援が効果的な子どもに対しては、場面等の理解を促す絵カードを作る等して対応しています。設備面においては、障害のある子どもが安心して生活できるよう、エレベーターや多目的トイレ等を整備しています。日々の保育園生活の中で、障害のある子どももない子どもも、クラスの一員として分け隔てなく、楽しく学びながら成長しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

7時から20時まで開園しています。朝は、子どもや保護者の状況に応じて順次登園し、9時からはクラス単位の保育を行います。0歳児は、登園時間や子どもの状態等に応じて、午前中にも睡眠をとります。日中は、散歩や公園・園庭での遊びを中心に、できる限り体を動かす保育を実施しています。18時からは延長保育となり、乳児はひだまりルームに、幼児は3歳児の保育室に集まります。18時10分ぐらいに補食をとり、ここで一旦落ち着いた雰囲気を作って、子どもの気持ちを切り替えるようにしています。延長保育のおもちゃは、日中の保育では使わないブロックや積み木、パズル等を出して、この時間ならではの楽しみを作り出すようにしています。日中は大きな集団で過ごすのに対して、延長保育の時間は、小さな集団の中でゆっくりゆったり過ごし、子どもが保育者に甘えらられるような関わりを大切にしています。保護者がお迎えに来た際に、必要な事柄が確実に保護者に伝わるよう、引継ぎ簿を活用しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

小学校との連携・接続については、昨年度、全体的な計画の中で見直し、充実させました。5歳児の年間計画の中では、年間を通して就学を意識した保育が計画されています。特に第4期(1~3月)には、「一人ひとりが主体的に活動し、就学に向けて自信をもって過ごす」ことをねらいとして活動を計画しています。子どもたちは自由遊びの中で集団遊びを楽しみ、その中で自分たちでルールを展開していったり話し合ったりする姿が見受けられます。午睡の時間は、11月後半より原則として1時間に短縮し、一人ひとりの様子により調整しています。1月からは、午睡をしない日を徐々に増やしていくことにしています。保育園では、子どもたちはマスクを着用していませんが、学校では着用するため、1月からマスク着用の練習を開始します。就学に関する保護者の心配事については、園での集団生活の中での子どもの様子や、望ましいと思われる環境について、アドバイスしています。園は、区が主催する幼稚園・保育園・小学校連絡会に積極的に参加し、情報を共有する等して、小学校への良好な連携を図っています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

保健に関する年間計画である「健康管理年間目標」を作成し、保育内容説明会で保護者に配付しています。毎月の目標と、期毎の園での配慮事項に加えて、家庭でのお願い事項も一覧に記されています。この計画に基づいて保健係がプログラムを検討し、年4回程度、「健康集会」として、看護師が中心になって各クラスで手洗いの仕方等、保健指導をしています。保護者に向けた毎月のほけんだよりでは、季節に合わせた健康情報や、毎朝の健康チェックの方法について知らせています。新型コロナウィルス感染症の予防に関しては、「コロナ」という言葉を日々の生活の中で、度々耳にしている子どもたちの現状を憂い、あえてコロナという言葉を使わずに、「病気の予防」という観点で啓発しています。午睡の際は、子どもたちの寝る向きを互い違いにしています。川崎市が公営保育園向けに作成している健康管理マニュアルをベースに、園で作成した健康管理マニュアルにはインデックスが付けられていて、該当箇所が探しやすく工夫され、職員が手に取りやすいところに設置してあります。SIDSについては、その危険性を十分に考慮し、午睡時に注意深くチェックしていますが、保護者に対しては、園は今後さらに、周知に努めたい意向です。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

園医による全園児健診を年に2回、乳児健診を隔月実施しています。その他にも園医は、毎月園を訪れて、子どもたちの健康状態を把握しています。保護者とは、子どもの健康状態を記した健やか手帳を通して、共有しています。園医は、日頃から子どもたちの様子を把握していて、健康やケガについて相談しやすい体制があります。例えば、園庭で子どもが軽いケガをした時など、対応方法についてアドバイスを受けたりしています。歯科健診は、昨年度までは年2回実施していましたが、今年度は市の方針に従い、年1回の実施となり、結果は速やかに、保護者に知らせています。健康診断、歯科健診の結果を保健計画に反映させ、「健康集会」の実施をはじめ、日々の保育に活かしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

食物アレルギーに関しては、アレルギー対応ガイドライン及び健康管理マニュアルに従い、適切な対応をしています。入園時や、アレルギー対応が必要になった際は、担任、栄養士、調理担当職員が、保護者から詳しく聞き取って対応を決めて、児童票に記入しています。職員間では、会議等を通じて共有しています。アレルギー対応食としては、除去食や代替食を提供しています。半年毎に医療機関を受診して、医師から除去食審査を受け、園ではその結果に基づいて対応しています。クラスに掲示している献立表には、アレルギー対応メニューに下線を付けて目立たせている他、食事やおやつの提供の際は、食物アレルギーを持つ子どものトレイは、他の子どものそれとは色を変えて配膳しています。乳児については、アレルギーの理解が難しいことから、テーブルを離して、誤って他の子どもの食事等が口に入らないように配慮しています。園では今後、保護者に対しては、アレルギー疾患、慢性疾患等に対する理解を図る取り組みを、一方職員に対しては、それらの知識や技術を深める研修を、実施したい意向です。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食育は、園が力を入れている活動の一つで、「食に興味・関心を持ち、楽しく食べ、いきいき過ごす」を目標に、年齢に応じた食育実施計画を立てています。クラスを超えた取り組みとしては、年間を通していろいろな食材を紹介したり、季節に応じたメニューを取り入れたり、魚の解体ショーを行なったりしています。食に関心を持つ子どもからは、「みそ汁とすまし汁は何が違うの?」という質問を受けることもあり、栄養士が答えています。栽培活動としては、夏野菜の苗植え・収穫、米作り等を行っています。夏祭りでは屋台風の盛り付けをしたり、クリスマスには、お子様ランチ風メニューをランチボックス入れて提供したりして、子どもが楽しく食べられるよう、さまざまな工夫をしています。食べる際の姿勢が崩れてしまう子どもには、手作りの背当てを当てています。各クラスの保育者の食育係は、子どもの喫食に関する課題を、それぞれが付箋に書いて貼り出し、それに対しての意見や具体的な方法を他のメンバーが返しています。その結果、危険や苦痛を伴わない提案については、保育の中で1か月試行してみて、その評価を踏まえて、その後の取り組みを改めて検討しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

献立は、市の栄養士が作成したメニューを基本に作成しています。毎日、喫食状況を確認して給食日誌に記し、2週間後の同じメニューの際は、喫食状況に応じて味付け等を変更しています。約3年前から、園内研修において食育に力を入れていて、個々の子どもの食べる量や好き嫌い、食事の環境の研究を深めています。子どもの発達段階に合わせて、野菜等の切り方や大きさを変えたり、食べやすくなるよう配慮していて、残食はほとんどありません。ガラス張りの調理室の様子が、1階からも2階からも見える構造になっていて、子どもと調理員は日常的に交流しています。栄養士や調理員は、保育室まで盛り付けに行ったり、子どもたちが食べる様子を観察したりして、調理の工夫に活かしています。現在、新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、保育者は、子どもたちと一緒に食べていませんが、食への関心を高めるような声掛けを工夫しています。衛生管理に関しては、ガイドラインに従って、厳密に行っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

乳児クラスでは定型の連絡帳を用いて、幼児クラスでは自由ノートを用いて、毎日子どもの様子を園と保護者間で共有しています。新型コロナウィルス感染症拡大防止の観点から、登降園時、保護者は玄関から先には入室しないことにしていましたが、現在は、登園時は、手洗い消毒の後、各保育室まで子どもと一緒に入っています。その際、子どもの状態等について保育者と共有しています。降園時は、玄関当番の保育者が、子どもを見送っていますが、その際引継ぎノート等で、必要に応じて園での子どもの様子を保護者と共有しています。年2回、クラス懇談会を計画していますが、今年度については、感染拡大防止の観点から、年度はじめには実施しませんでしたが、2月には実施の予定です。春・夏・秋・冬の年4回特集として発行しているクラスだよりの中で、懇談会で伝えたい内容を掲載して、周知しています。その他、壁新聞を貼り出したり、動画配信により保育の様子を発信しています。運動会やおひさまひろば等の行事の後には、必ずアンケートを取り、次年度の行事計画に活かしています。父母協議会があり、写真販売やお楽しみ会のプレゼントの準備等の協力を得ています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者に対しては、送迎時に積極的に笑顔で声を掛けるよう、心掛けています。その際、子どもの気になる様子だけでなく、良いエピソードも伝えて保護者を勇気付けたり、保護者に労りの言葉を掛けたりして、園と保護者の信頼関係の構築に努めています。保護者からの「食べなくて困っている」という相談には、「味付けを変えてみてはどうでしょう」とアドバイスしたり、子育てに疲れた様子の保護者には、下の子どもの一時保育を勧めたりしています。必要に応じて、区の保健師を紹介することもあります。保護者から受けた相談事は、内容等を記録したものを児童票に挟んで、職員間で共有しています。保育参観・保育参加の際に個人面談をおこない、園と家庭での子どもの様子を共有し、子どもの保育について一緒に考えています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

登園時、子どもにいつもと違う様子がないかを、確認しています。保護者の様子にも気を配り、気になるときは声を掛けています。「子どもの人権の尊重と虐待予防」と題した文書に、虐待の定義、早期発見と対応、虐待家庭等への援助について記載しているほか、一見しただけでは気付きにくい心理的虐待の疑いがある児童の状態も例示されています。乳幼児のチェックリストも備えられており、虐待の兆候が見受けられた際は、対応の手順に則って関係機関に連絡を取り、職員間で情報を共有しています。園としは、虐待対応マニュアル等を通して、職員は、子どもの人権侵害や虐待予防についての知識を有しているものの、それらの理解を促すための取り組みは不十分と考えています。園は今後、家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの、早期発見・早期対応および虐待の予防に関する、理解を深める研修を実施する意向です。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

乳児クラスにおいては、毎日の子どもの個人日誌において、幼児クラスにおいては、クラスの日案において、その日の保育者の関わりを評価しています。クラス会議、乳児・幼児会議、職員会議において、常時振り返りをしています。年度末には、保育内容、食育・給食、健康管理・衛生管理、危機管理、保護者との関わり、職員の連携、地域子育て支援・世代間交流、職員研修の項目毎に、全職員が自己評価しています。それを持ち寄り、6人程度の小グループでの意見交換を経て、全体会議で共有して議論し、園全体の自己評価として、次年度への計画につなげています。慣例・恒例にとらわれず、良いものは継続する、これまであたりまえと思っていたものでも、改善が必要なものは、目的を明確にして別の方法もさぐるという考え方のもと、保育者の自己評価を、保育所全体の保育実践の自己評価につなげています。