社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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あいわホーム横浜青葉桂台

2021年10月22日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 あいわホーム横浜青葉桂台
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2020年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) アイワサービス株式会社
③ 理念・基本方針 (法人の理念)
・利用者が安心して利用できる事業をめざします。
・利用者一人ひとりの人権を尊重し、利用者主体の上質なサービスを提供します。
・利用者の希望に沿った自立生活を実現できるよう、適切に支援できる職員の育成に努めます。
(運営方針)
・理念の実現に向け、法令遵守と法人の服務心得を基に行動し、障がい者が安心して地域生活を営めるよう積極的に地域福祉に貢献します。また、その人らしい生活を実現するため人権擁護に徹し、人材育成及びサービスの質の向上を図り、利用者やその家族にとって適切な支援に努めます。
・地域の一員であるという意識をもち、自治会との交流を進めていき、同時に障がい者に対する理解を広めます。
・関係機関とは連絡を密にし、特に日中活動事業所とは連絡帳や電話等で利用者の情報を共有していき、自立に向けて同じ方向を向いて支援をします。
<あいわホーム横浜青葉桂台グループホームとしての理念>
「安心して生活できる場所」「よき理解者のいるホーム」「利用者ファーストのケア」
④ 施設・事業所の特徴的な取組 施設は株式会社の運営で、会社では8ヶ所のグループホームを2つのエリアに分け、それぞれのエリアを管理者(以下、「マネジャー」という)であるエリアマネジャーとサブマネジャー及びサービス管理責任者が中心になって、各ホームの世話人とともにサービスを提供しています。
建物は、学校や住宅、商業施設が混在する地域にある古い4階建てのマンションを一般の住民と共に利用しており、より地域生活に近い形式での支援を展開しています。一戸の室内は、3室とダイニングキッチンや風呂、トイレの共用部分があり、2人の利用者がベランダ側の2室を1人ずつ使用、内装は新しく、共用部分の清掃は行き届き、清潔に保たれています。また共用部分には、冷蔵庫、電子レンジ、掃除機、IHコンロ等を設備し、自炊ができるようにしています。
建物の形態としては、福祉施設としての支援が困難な反面、プライベートゾーンが確保されることでよりプライバシーが保障され、利用者の自由度が高まるメリットがあります。また、施設としての一体感が生まれにくい建物構造であるため、食堂の一角を畳の部屋にして、利用者同士、利用者と職員間の交流を図る工夫をしています。
マネジャーが世話人に対し個別に支援のあり方等について細かく指導することで、世話人の意識を高め支援の質の向上を図る努力がされながら、利用者の自己決定を尊重した支援をしています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2021年04月01日
終了:2021年09月15日(評価結果確定日)
受審回数:0回(0年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 1.利用者の主体性を尊重した支援を提供しています
 ホームの居室は、一戸のマンションを2人の利用者が共同で使用する形になっており、利用者の生活における自由度は高く、プライバシーがきちんと守られています。一方、利用者は居室の清掃や洗濯等の生活技術を含め、日中活動先への通所など自ら考え判断して生活する必要があります。
 職員は、利用者の要望や意見を、夕食後のくつろいだ時間や、毎日行うインタビューで聞き取り、利用者が自己決定した内容に添った支援を、職員間で情報を共有しながら展開しています。利用者の可能性を広げ地域生活への移行を支援するため、利用者ができることは自分でやること、先回りした支援にならないことを心がけています。
2.建物の特徴を生かした空間づくりと支援の工夫をしています
ホームの建物は、マンションの一部を福祉施設として利用しているため、利用者が集えるのは、事務室兼食堂および台所として使用している一戸で、利用者の居室とは隔絶されています。
利用者にとってはプライバシーが守れる反面、職員にとっては利用者の状況把握、支援の必要性や安全の確認が困難な条件下にあります。
これを克服する手段として、食堂の半分を畳の部屋に改装しました。畳の部屋は、夕食後に利用者がくつろいでお互いに談笑する場所になり、利用者同士の良好な関係が生まれることで精神的安定に繋がるとともに、職員とも交流を深める場所になっています。また、毎日各居室のあるマンションの一戸ずつを職員が訪れ、共用部分の清掃を行う際に居室の利用者に声を掛け、安否や居室の状況を確認しています。併せて、夜中の巡回は毎晩2回ずつ実施しています。
改善を求められる点 1.人材育成についての組織的計画と取組み
常勤のエリアマネジャーとサブマネジャーが複数のグループホームを兼務し、世話人に対し個別に支援の基本や利用者対応などについてOJTを中心に育成しています。しかし、職員育成の要であるマネジャーの研修の位置づけが明確ではありません。
会社の理念や運営方針には、「職員の育成」、「人材育成及びサービスの質の向上を図る」とあります。組織として求める人材についての具体的なイメージを明確にすること、その職員像が文書化され、職員や利用者に示されるとともに、組織全体としての人材育成計画の中で階層に応じた職員研修が計画・実施されることを期待します。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

理念や基本方針は、事業計画に記述されていますが正式に明文化されておらず、職員や利用者には周知されていません。現場では世話人・マネジャーともに「安心して生活できる場所」「良き理解者のいるホーム」「利用者ファーストのケア」という方針を共有し説明をしています。

◇課題と考えていること

現場の利用者支援に結び付く様な、経営理念や行動規範が必要で、現場で問題が生じたときも、常に基本にもどれるように、経営者と現場に共通の理解の促進がされる行動規範が必要と考えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

社長主催で毎週月曜日に開かれる会議で、本部職員とエリアマネジャー(管理者)、サブマネジャーが参加して経営状況の共有を図っています。会議録は社長が管理しています。

◇課題と考えていること

マネジャーが社長から伝達された情報を世話人とも適時共有しています。現場では利用者への日常のサービスを中心に業務を遂行していますが、経営状況を踏まえた改善すべき課題も意識しておくことが必要だと考えています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

社長個人は中長期の経営計画は持っていますが、現場には周知されていません。また、各年度の事業計画はそれを反映したものとなっていません。マネジャーには経営目標として年間平均稼働率が示されています。

◇課題と考えていること

夜間支援報酬の削減により、世話人が支援方針に沿った質の高い支援を継続して提供していけるかどうかが課題と考えています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

社長のリーダーシップや定期的な会議により常時情報が細かく共有されサービスの質の向上にむけた、組織的・計画的な取り組みを試みています。サービスの質の向上に関しては、管理者が世話人に対し個別・具体的に育成を行い、成果が上がってきているところです。

◇課題と考えていること

経営理念と行動規範が職員全体に明確に示されていないため、サービスの質の向上に向けた組織的・計画的な取組が、一貫性や継続性のない活動になりがちと捉えています。支援の公平性や統一化を図るために、業務関連のマニュアルの周知が必要と考えています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

月に1、2回全グループホームのマネジャー、サービス管理責任者と世話人の一部が参加して会議を行いそれぞれが直面している問題を共有し、解決方法について意見交換をしています。また、マネジャーは世話人育成の責任者でもあります。

◇課題と考えていること

現場で起こる問題の解決はマネジャーの個人的能力によるところが大きいのですが、マネジャーは4ホームを兼務しており、一人で全てを行うことは難しい状況です。更に全体を采配できるリーダーの存在が必要と感じています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

組織体制としてマネジャーが、現場支援を担う世話人の育成を行っています。マネジャーはホームの運営に責任を持ち、世話人にはきめ細かく声かけをするように心がけています。マネジャーの資質に関しては高いレベルが期待されており、様々なWEB媒体を使ってマネジャーの募集活動を行っています。

◇課題と考えていること

マネジャー採用基準の見直しと有資格者の確保が課題と考えています。また、勤務回数の多い高齢の職員が長期休暇に入る場合や、緊急の事態で出勤できない職員が出た際の対応策が明確ではないことも課題としています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

金銭管理、預かった薬の管理などについて複数の職員によりダブルチェックを行う様にしており、特に金銭管理は、本社の社長に報告し、一緒に確認する体制を取っています。

◇課題と考えていること

ホームページは空き情報が主で、内容の公開が必要と考えています。金銭に関しても多くの職員が関わる中でミスを生じる可能性を懸念しており、手順の文書化などより高い安全性と透明性が担保できる仕組みづくりが必要と考えています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

グループホームは利用者にとってオフの場と位置づけ、地域交流は特に意識していませんが、事業所があるマンション内に住んでいる住民の方とは挨拶をするなど、事業所の存在を意識してもらえるように努力しています。

◇課題と考えていること

利用者特性から地域交流を望まない場合があります。また、職員の人員体制からも地域交流は難しいと考えています。しかし、今後の課題と捉えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

利用者にとって難しいことがらであっても、利用者ファーストの視点から、粘り強く支援方法を組立てるようにしています。多数の所有物が居室からあふれた時も、少しずつ利用者との話合いを重ね、整理整頓が進むように働きかけて、整理することができました。

◇課題と考えていること

余暇活動支援など、利用者からの要望に対応することが難しい場合、家族や関係者と相談しながら、方針を決めています。できるだけ利用者の要望に応えられるように、業務のやり方を検討していきたいと考えています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

利用者ごとにグループホームの生活において目的・意向・課題を確認しています。提供するサービスや支援計画について利用者に説明し、了承を得るようにしています。利用希望者や見学者には、体験入居も含め丁寧に対応しています。

◇課題と考えていること

Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

利用者ごとにグループホーム生活に求めることは違い、状況も変化するため、1、2ヶ月に1回以上面談を実施し、個別にきめ細かい支援ができるように心がけています。

◇課題と考えていること

グループホーム生活に利用者が求める目的・意向等の確認を行う時は、利用者と十分な関係性があることが大事であると認識しています。しかし、開所してから間もないため、利用者の満足度が低い場合があり、更に関係性の構築を心がけていきたいと考えています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

日々の挨拶、声かけ、雑談などにより、常に全職員が利用者に気を配っています。世話人は毎日全利用者にインタビューを行い、状況をオンラインで報告、全マネジャーが内容を把握しています。苦情解決のポスターで利用者が第三者に連絡をとることができることを周知しています。

◇課題と考えていること

行動に問題がある利用者に対して、率直に意見を伝える体制作りが必要と感じています。開所してから間もないので、一部の利用者との関係性が十分構築できていない状況を改善したいと考えています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

災害時に最低3日間生活できるように、水、食料、簡易トイレなどの備蓄品を準備しています。利用者一人ひとりに防災リュックが用意されています。避難訓練も実施しており、直近の訓練では、裏庭の駐車場に利用者が集まりました。

◇課題と考えていること

マニュアルによる安心・安全のための組織的な取り組みは存在しますが、災害時の安否確認など現実に実施できる体制構築や訓練をさらに行っていく必要があると認識しています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

支援のばらつきを緩和するため、ケアファイルを活用しています。ケアファイルには、各利用者の支援や対応方法、留意事項等を記載し、必要事項は追記していきます。毎月実施しているスタッフミーティングに参加できない職員も、勤務前にケアファイルを確認し、統一した支援を行っています。

◇課題と考えていること

世話人の多くは複数のホームを兼務しており、全ての職員がケアファイルを読んだだけで細かい情報まで共有することは困難な現状があるため、マネジャーは対面で世話人に状況を伝える努力が更に必要と考えています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

入居時のアセスメントでは、保護者、日中活動のスタッフ、相談機関等からの情報を総合し、本人、マネジャー、サービス管理責任者、希望があれば保護者が参加して個別支援計画書を策定します。策定した支援計画は、利用者本人と家族に示し了解を取っています。

◇課題と考えていること

アセスメント内容に変更が生じた場合、マネジャー間では情報の共有ができるものの、現場の支援職員との情報共有や支援の統一が不十分な場合があると認識しています。今後は、他機関との協力とともに家族の困りごとなどの情報共有も密にして支援に反映していくことが必要だと考えています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

世話人が、業務日報に各利用者の支援記録を日々記録しています。記載内容については、マネジャーがコメントを入れるとともに、個別に適切な書き方の指導を行っています。記録およびコメントは全マネジャーと本部職員がアプリを活用し把握しています。

◇課題と考えていること

職員間で記録の質に差が見られるため、記録の書き方については、マネジャーが直接当該の職員に、理解を深める指導が必要と考えています。また、個人情報保護の観点から、世話人全員が情報共有システムを活用できないことも課題と捉えています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

特に意見箱などは設けず、利用者の意見や要望は、職員の居室訪問や毎日のインタビューで把握しています。食堂に作られた畳の部屋は、特に夕食後くつろげる空間になっており、利用者は自分が話し易い職員に要望などを伝えることができます。職員は、きちんと利用者の話を受け止め、サポートが必要な場合、本人や他の利用者に不利益にならないことに関しては、本人が決定したこととして積極的に尊重し、先回りにならないよう留意して支援をしています。

◇課題と考えていること

例えば、ホームでは、室内での喫煙を禁止していますが、守れない利用者もいます。迷惑をかけない喫煙の代替案があれば提案などしていますが、ともすれば説得になりがちなため、職員の対応として、利用者本人に理解し、納得してもらえるようなきめ細やかな説明ができるスキルが必要だと感じています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

利用者の呼称はさん付け、許可なく居室の開錠・入室はしない、利用者の安否確認が必要となるような特別な場合はマネジャーに連絡し了解を取る、そのことをきちんと記録するなど、毎月のミーティングで、職員に対し注意喚起をしています。また、利用者の個人情報が入ったファイルなどは、利用者の前で記載しない、目に触れないようにすることも、日々伝えています。支援職員は二人体制をとっており、権利侵害に関して気になる言動があった時には、お互いの目があることを意識できるようにしています。

◇課題と考えていること

A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

利用者の多くは実家からの入居で、それまで自分で何かをするという経験の少ない方たちです。ホームでは、個々の利用者にとっての自立の意味を考え、自分で買い物をする、言えないことが言えるようになるなど、今までできなかったことが日々の生活の中でできるようになることの積み重ねを大切にしています。また、スタッフミーティングで自立支援とはどうあるべきかをマネジャーが職員に伝え、不参加の職員には資料として配布しています。

◇課題と考えていること

利用者に対するケースワークは、各エリアのマネジャーたちが連携して行っていますが、利用者が躓いた時の支援について、外部支援者との連携、先回りの支援をしないなど利用者の自己決定を支えることを基本とした適切な自立支援をそれぞれのマネジャーが行うことが必要と考えています。更にマネジャーの資質を向上させる必要があることも認識しています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

食事は、食材配達会社から取り寄せていますが、若い利用者が多く、ボリューム不足の面があります。職員がメニューを追加するなど、工夫とアイディアで食事の充実を図っています。また、利用者が自らの選択で自炊することも容認しています。余暇に関しては、利用者の様々な状況があり統一した行事は行っていませんが、外出時にヘルパーの活用を提案するなど、個々の趣味活動等に係る支援は行っています。入所前から継続している公文やダンス教室に合わせた外泊支援など、入所前からの活動の継続も大切にしています。

◇課題と考えていること

食材配達会社の選定も含め、食事の質の向上について検討したいと考えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

マンションの一戸を2人の利用者が使用しています。中のトイレ、風呂、ダイニングキッチンの共用部分とみんなで使う食堂等は世話人が毎日清掃をし、清潔が保たれています。特に水回りには念を入れ、トイレなど夜に掃除をしても朝にはチェックし必要があれば再度掃除をします。居室は各利用者が掃除をしますが、共用部分の清掃に入る際、職員が利用者に声を掛け、様子を把握する良い機会となっています。夜間は、職員が毎日2回、居室手前まで巡回し安全確認をしています。

◇課題と考えていること

二人一組のマンション利用となっており、居室は壁一枚で隔てられているため、音や生活上のことに関してはトラブルが発生することがあり、解決する必要があると考えています。トラブル解決のための介入や、利用者の組み合わせには十分配慮していきたいと思っています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

これまで機能訓練の必要な方の受入れはしていません。日常生活や家事動作等も、食後の食器洗いや自室の清掃、洗濯など、入所時には自立が前提となっており、特別な訓練は行っていません。ただし、現在の機能を維持するための配慮やサポートは行っています。

◇課題と考えていること

特に新規入所者の生活状況について、詳細な把握ができていないことがあります。例えば洗濯物干しや取り込み、そのタイミング等きめ細かい配慮が必要な家事動作についてきちんと確認をし、必要に応じて、目標にすることとして個別支援計画に反映することも検討していきたいと考えています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

日常的な健康管理は、近隣のクリニックの医師に週一回バイタルチェックを依頼する方向で調整しています。利用者はそれぞれ主治医があり通院しています。精神科通院の場合、特に症状が悪化し不安定になった時や本人の訴えがあった時には、本人が主治医に連絡を取り自ら臨時の通院を手配することにしていますが、できない場合は職員が行います。また、基幹相談支援センターや、緊急で精神状態が悪化した場合、精神科救急医療情報窓口に相談をしています。処方薬は原則自己管理で、必要に応じて預かり、確実に服用するまで見守っています。

◇課題と考えていること

協力医療機関との連携について、訪問医療、訪問看護を個別に依頼できるよう調整中です。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

利用者が自主的に社会参加や地域での活動を行うことについては、施設ではサポート対象として位置付け、移動の援助が必要な場合は、ガイドヘルパーを利用するか家族の協力を得るために必要な支援をしています。しかし、事業所としては、現在利用者が日中活動の場所に継続的に行くことを支援の中心と考え、社会参加や学習支援に関する情報提供や地域での活動への勧奨は、日中活動の事業所に委ねており、行っていません。

◇課題と考えていること

職員による働きかけを鬱陶しいと感じる利用者や、他の利用者との生活がストレスになるなどで、自立へのモチベーションが上がらない利用者もいます。支援技術の向上を図るため、職員を対象にした研修を、今後計画・実施する必要を感じると同時に、全ホームの利用者へも学習の機会を作ることを検討する必要があると考えています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

現状、地域移行を希望している利用者はいませんが、ホームでは、近い将来一人暮らしを前提とする利用者に対し、基本的に掃除などの生活技術を向上させることや金銭管理・貯蓄ができることなど、利用者本人の希望に添う支援をしています。具体的に地域生活にともない課題となることを個別支援計画に明記し、就労支援を含めた自立支援を継続することが当面の方針です。

◇課題と考えていること

マネジャーは、地域の自立支援協議会への参加、相談支援事業所等との利用者を巡る意見交換などから、地域の状況を把握していますが、それらの情報を利用者には還元していないと認識しています。
地域生活への移行に関する準備や地域移行後の支援については今後の課題と捉えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

保護者には、入所時に会社の運営方針などを伝えています。家族会はなく、それ以外に事業の内容や報告などの情報は出していません。日常的には、作業所やグループホームで問題が生じた時や利用者が精神的に不安定になった時、その他、趣味活動に関する支援が必要な時などに、随時連絡・連携をしています。

◇課題と考えていること

現在家族会はありませんが、入所者と他の同じ系列のホームの保護者同士が知り合いで、SNSグループができています。今後は、事業所の情報提供を保護者に対して積極的に行って、保護者の要望を聞くとともに、事業所への協力を得ながら、これまで取り組めなかったことに取り組みたいと考えています。また、利用者の困りごとだけではなく、良い変化が起こった時などに、SNSやメールで近況を伝えることも検討したいと思っています。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 理念や基本方針に沿った組織的人材育成計画と研修の実施
マネジャーが複数のグループホームを兼務する体制で、直接支援にあたる世話人の指導・育成に関してはほぼマネジャー個人に委ねられています。しかし、世話人が目指すべき職員像が示されていないため、マネジャーは時に不安を感じています。組織として求める職員像を明文化し、会社の理念や運営方針に基づいた人材育成計画の策定と、各階層に応じた研修の実施が望まれます。
分類 地域交流の必要性の検討、利用者への地域情報の収集、提供
障がいの有無にかかわらず、地域で生活するためには周囲の住民との関わりが不可欠です。利用者と地域住民双方向の協力や理解があることで、利用者がこの地域の生活者としての立場を実感できること、また地域の社会資源を知り活用することで、これからの生活をより豊かにできる可能性があります。一方大規模災害に備え、利用者の生命と安全を守る意味でも、防災マップの掲示だけではなく、施設として地域の情報を収集・提供することや自治会との協力など地域とのつながりについて検討し、取り組まれることを期待します。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人 2名(男性1名、女性1名)

・世話人さんは優しく接してくれる。
・職員は、丁寧な言葉で対応してくれている。
・一部下の名前で呼ぶ人もいるが、殆どの職員は姓にさん付けで呼ぶ。

・世話人さんは清掃の時に声を掛けてくれる。
・職員が了解なく入室することはない。

・疲れた時に入浴しないこともある。
・ホームの食事は良いし、安心して暮らしている。

・ホームを利用して、なんでも自分でできるようになりたいと、家族、マネジャーと話し合った。
・ミーティングで、職員に自分の話は聞いてもらっている。

・預けてあるお金から、毎週金曜日5千円をもらう。出し入れは出納帳で週に1回確認している。
・自分で通帳と残金を確認している。

・話があるときは、世話人さんと話す。対応してくれる。
・困るのは、隣の部屋の人がいないと寂しいこと。
・困ったときは、携帯電話でマネジャーに相談し、対応してもらっている。

・日中活動の作業所のスタッフに相談できる人がいる。
・基幹相談事業所や日中作業をしている施設の所長に相談できる。

・世話人さんはすぐに対応してくれる。
・実際に具合が悪くなったりけがをしたことはないが、そうなった時にはすぐに対応してくれると思う。

・コンビニや近くのスーパーに弁当などを買いに行く。
・外出は自由にできている。
・暇な時間には、塗り絵をすることが好き。



・ホームの暮らしは楽しい。他の利用者とおしゃべりするのが楽しい。
・世話人さんは優しく接してくれる
・ホームでは大切にされていると感じている。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」