社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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あかいとり保育園

2024年03月29日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 あかいとり保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 110(利用人数:108名) 名
所在地 240-0026
横浜市保土ヶ谷区権太坂3-1-34
TEL 045-721-6241 ホームページ http://www.akaitori.org/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2005年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人赤い鳥保育会
職員数
常勤職員:20 名
非常勤職員:6 名
専門職員
園長:1 名
主任:1 名
副主任:1 名
保育士:20 名
子育て支援員:1 名
保育補助:2 名
施設・設備の概要
保育室:2室
トイレ:3ヶ所
調理室:1ヶ所
事務室:2ヶ所
園庭:有

③ 理念・基本方針
保育理念『愛されている実感、それが子どもの育つ栄養』
保育理念を元に、子どもたちがどれだけ自分の存在を肯定的に受け入れられ、愛されていることが実感できるかを大切に関わります。「誉める保育」を積極的に実践し、子ども自身が自らの存在を肯定されることも実感し、誰かの指示ではなく自ら自信を持って行動ができる、自発的な子どもに育つように見守っていきます。自分の存在や気持ちを表情や言葉(泣き)などで相手に伝え、時には喧嘩を経験しながらコミュニケーションを持ちながら、相手の気持ちに気付き、関わる力の育つように見守ります。
また子どもが「怒られる権利」も必要なことと考え、危ない場面や相手が嫌がることを故意にするなど、いけないことにはしっかり「怒る」という関わりも同時に大切にしています。子どもが保育者に認められながら将来にわたる生きる力を身につけられるよう、「誉める」関わりと「怒る」関わりのバランスを考えながら、日々丁寧に子どもと関わることができるようしています。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
自発的に取り組める保育環境…保育者主導で「やらせる・やってもらう」のではなく、子どもの興味や関心が広がり、子どもの主体性が尊重される保育室・教材や活動の提供を大切にします。成長の課程を踏まえて、定期的に保育の教材を多種多様に変更することで、新鮮な気持ちで保育園を楽しめる環境に配慮しています。

日常保育重視の取り組み…行事重視で保育活動の展開を行うのではなく、日常の保育の中で子どもの興味や関心が広がり取り組めることを大切にしています。ダンスや楽器に触れる活動も日々の保育の中で子どもが自然に取り組めるように環境を配慮しています。

描画活動…保育の中で表現活動として展開します。椅子に座れるようになった頃から始まり、最初はまず描くことで自分の表現を楽しむことから始まり、成長とともに時に題材を決めて果物や植物などさまざまな題材を実際に手に取り、自分自身で観察して様々な発見を楽しみ表現することを大切にしています。

チーム保育…保育士一人の主観で子どもの成長を見るのではなく、様々な視点から子どもの成長を見守ることができるよう、保育者チームによる見守る保育を行っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/08/01(契約日) ~2024/03/26(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2008年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)広々とした保育室や園庭で、快適に一日を過ごせます
保育室は子どもの年齢や発達を考えて作られた木製家具で構成されており、広々しています。採光や通風も考慮され、登園から降園までの長い時間を気持ちよく過ごせるようになっています。子どもたちが作った制作物や植物が適度に飾られ、落ち着いた環境が作られています。園庭の木製の大型遊具もオリジナルです。制作活動に必要な材料や、集中して遊ぶことのできる保育教材は、子どもたちの状況、興味関心の幅、年間計画を基に、保育者が随時話し合い準備しています。子ども自身が遊びを選択し、取り組めるようにしています。

2)子どものペースを尊重し、一人ひとりを大切にしています
異年齢のコーナー保育を中心に、子どもの自発的な取組を大切にしています。チームによる保育で、複数の目で子どもを見ることができ、健康状態や、遊びの様子を把握し、連携しながら一人ひとりに合わせた対応をしています。思い切り外で遊びたいのか、部屋でのんびり過ごしたいのかなど、子どもの意向を確認し進めています。食事や休息の取り方も、年齢や時間で区切ることはせず、余裕ある時間配分をしています。家庭的な環境の中でのびのび過ごすことができています。

3)保育の質を向上させるため、系列園での視察や実践研修を積み重ねています
保育の質の向上を図るため研修に力を入れています。法人系列の他園に職員を派遣して保育を視察したり、実際に保育を実践するという特色があります。参加した職員は環境設定や子どもの様子から得た気づきを他園の職員とディスカッションし、課題を持ち帰っています。この課題を自園でどう生かせるか、職員全体で話し合う取組を続けています。毎月2回程度職員を一人ずつ派遣しています。このほか中堅職員を対象にテーマを絞り込み、他園で実際に保育に入って体験する実践研修、法人のある長崎の保育園での取組を学ぶ研修に、職員を派遣しています。法人の保育理念を深め、保育の質の向上を図るうえで重要な取組になっています。

4)年齢ごとの具体的な指導計画の作成が期待されます
異年齢保育をしているため、乳児クラス(0~1歳児)、幼児クラス(2~5歳児)の2種類の月間指導計画を作成しています。年齢別の指導計画ではありませんが、0歳児~2歳児については個別経過記録(週に1回程度)から個々の子どもの姿を確認することができ、月間指導計画から個別の配慮やねらいが引き出されています。幼児クラスの月間指導計画にも子どもの姿やねらいが書かれていますが、年齢別になってないため、特に3、4、5歳児ごとの内容が読み取れません。異年齢保育の指導計画であっても、年齢ごとのより具体的な内容にしていくことが望まれます。

5)保護者に、園での子どもの様子を伝える工夫に期待します
保護者満足度について「満足」との回答が多く評価が高いことがわかります。それでも「園での様子がわからない日がある」「園の様子がもう少し分かるとよい」「連絡帳の記入が少ない」等の声も寄せられています。園としても、保護者とのコミュニケーションが十分ではない、と考えており、面談の機会を増やしたり、園での様子を写した写真掲示を増やすことなどを検討したいとしています。保護者からの信頼がより高まるよう、今後の取組に期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
この度、第三者評価を受審し、経営・保育環境・利用者・職員と様々な視点での評価をいただき、多様な意見を聞かせていただくことができました。改めて話し合う機会や文章として表現することなど、見つめなおせるきっかけになりました。
園全体であらためて保育を考え意見を交わしあったり、会話に繋がったりする姿があり、とても有意義な時間となりました。今まで大切にしてきたことを自信を持って深めることができたり、さらに変化できる部分に繋がる発見があったりと、この機会で大きな収穫を得ることができたと感じています。良いところをさらに伸ばし、園児や保護者のみなさまにしっかり提供し続けられるように園全体で生かしていきたいと思います。また、自園の保育理念「誉める保育」や保育活動、こどもたちの日々の様子を、保護者のみなさまにもわかりやすく伝わる方法を模索し、提供できるようにさらに変化していきたいと思います。
保護者のみなさまにはお忙しい中、アンケートにご協力いただきありがとうございました。いただいたご意見は大切に考えていきたいと思います。
評価者のみなさまに客観的に評価していただき、保護者のみなさまのご意見や職員との自己評価など様々な視点で見ることができることの大切さを感じます。評価機関のみなさまにもこの度は、貴重な機会をいただきありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

保育の理念は、パンフレット、ホームページ等に記載され、保護者には園見学や面談などを通して話をしています。また、日常のやりとりや、行事を通して、園の方針を踏まえた取組について分かりやすく説明しています。職員は法人内の他園と交流研修を数多く実施しており、そのなかで保育理念にかなった保育実践についてディスカッションを行い、自園の課題や良い点を自分自身で考え、発言する機会を多く持つようにしています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

法人は全国の系列園の園長と連絡を密にして、各地の情報共有を図っています。法人は長崎にありますが、理事長は毎月、関東に出向き、圏内の園長を集めて事業経営をとりまく環境や経営状況、重点課題などを伝えています。理事長は各園に2ヶ月に1回は出向き、意思疎通を図っています。園は保土ヶ谷区や横浜市の主催する会議、私立園長会への参加等を通して、地域の福祉計画などを把握しています。また、園では地域の待機児童や他園の定員割れの動向など、経営に関わる各種情報と分析を法人と共有しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

目下の経営課題は、少子化による入所児童数の減少傾向にどう取り組むか、であると考えています。特に3~5歳児の入所児童数は入所数が定員を下回ると見込んでおり、現在満員の0~1歳児の入所数もこのままでは維持することが厳しくなる、と分析しています。そのため、法人ともに来年度から認定こども園に移行すること決め、入所対象児童を広げる計画をしています。職員には、目下の経営課題を伝えていますが、具体的な研修や会議は持たれていないので、今後、一人ひとりの認識を深めていく取組をしていきたいと考えています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

子どもを取り巻く環境の変化に対応するため、2020年度~24年度の「中長期計画」を策定しています。まずは保育理念をさらに深めていくことが事業環境の変化に対応する基盤と考えています。具体的には、地域への公益的な取組、利用者満足の追求、設備等の計画的整備、人材育成と確保、地域貢献、防災対策等を計画に盛り込んでいます。コロナ禍により実現できなかった項目もあるため、見直しが必要と考えています。また、数値目標の設定など具体的要素が不十分であり、見直していきたいとしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、「中長期計画」で強調している、保育理念の実践の徹底を具体化した内容となっています。ただし、「中長期計画」で計画している、地域への公益的な取組、利用者満足の追求、設備等の計画的整備、人材育成と確保、地域貢献、防災対策等のテーマについて、単年度の計画のなかに反映されているテーマと、されていないテーマがあります。また、今後は、単年度の事業計画で、数値目標や具体的な成果を設定することなどにより、実施状況の評価が行えるような内容にしていくことが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、法人園長会で相談しながら、職員の意見を把握したうえで、園長が作成しています。保育年間計画、食育計画、保健計画も、法人の基本計画をもとに職員と協議や意見を集約して計画を策定しています。事業計画は、年度初めの会議、クラス会議で説明し、職員への周知を図っていますが、評価・見直しの方法も含め、職員の理解をより促していく取組をしていきたいとしています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

保護者に対しては、入園の際に事業計画に伴う保育内容について説明をしています。保護者会はありませんが、保護者面談は随時行い、園で行う予定、内容や趣旨を伝えています。来年度から認定こども園に移行する件については、お知らせを発行し、趣旨について説明し、子どもの保育については引き続き変わらない姿勢で行っていくので安心していただくように、理解を求めています。行事の内容や保育の内容変更の際には、書面や口頭でわかりやすいように伝えていますが、より理解が深まるような工夫を検討したいと考えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

保育については、保育理念に基づいて年間計画、月案、週案を作成し、クラス会議の際に、子どもの発達状況や保育内容についての振り返りを行い、次回の計画に反映させています。研修で他園の保育を視察したり、実際に保育に入ることで自園の保育を振り返って評価する機会を大切にしています。年に2回、61項目にわたる職員の自己評価を実施し、園長面談を行って、自己の課題を発見するとともに、これをもとに園全体の自己評価を年度末にまとめています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

法人内研修や園内研修を通して評価、課題の分析を定期的に行っています。園長、主任、副主任を中心に課題分析を行い、少人数の会議の場を設け、職員一人ひとりが責任を持って保育に携わるような体制づくりを心がけています。園の自己評価を年度末にまとめていますが、ここで明らかにされた課題の解決を、次年度の事業計画に反映させるような工夫が期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長の職務は、「運営規程」において保育・教育の質の向上及び職員の資質の向上、管理及び業務管理を一元的に管理する、と定められています。具体的には経営管理、事務管理、職員の人事、労務、健康管理、保育計画の立案、保育業務の管理、園舎の管理、官庁・保護者など渉外連絡、会計責任者、衛生推進担当、苦情解決担当、防火管理者であることが職務分担表に明記されています。園長は職員とのコミュニケーションを大切にして、園の課題を日常的に伝える努力をしています。「危機管理マニュアル」において、有事(災害、事故等)に園長の不在時における権限委任と順位が定められています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、モラハラ防止や育休制度改正など区の事業長会、私立園長会等などの研修にも積極的に参加して、法令遵守の意識を高めるように努めています。研修で得た情報は会議または書面で職員に通知しています。次年度に認定こども園に移行するので、「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」や関連法令について、職員への指導ができるようにさらに研究をしていきたいとしています。ゴミの分別や廃材を遊具にするために保護者に呼びかけるなど、環境対策にも取り組んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は保育の質の向上のため保育現場に足を運び、自分の目で客観的に保育を観察すること、現場の職員との対話をすることを大切にしています。研修や会議の場で法人の保育理念をもとに、子どもの呼び方、食事や排泄など生活の場面ごとに注意すべき点を伝えています。園長として、法人内研修や外部研修に参加し、職員とは別の客観的視点も大切にして、職員とその内容を共有するようにしています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園の収支などの経営状況は園長が管理し、法人の園長会で確認しています。勤怠管理システムにより、職員の勤務状況、休暇取得状況は常に把握しています。職員の人員配置については、クラス担任以外にフリーの職員を配置したり、乳幼児クラスの職員を調整して配置するなど、園全体をサポートしあうしように努めています。年2回職員面談を実施し、一人ひとりの現状や課題、今後の展望を聞き取り、把握しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

毎年の事業計画で必要な人員配置の計画を明記しており、人材については充足しています。保育士養成校とつながりを欠かさないように訪問を続けています。学生を実習生、ボランティア、アルバイトとして受け入れながら、新規採用につなげています。ゼミの研究や授業の参加など、将来の福祉人材確保につながるような取組も養成校と検討しています。SNSに公式アカウントを作成するなど、ICTの機能を駆使して園の魅力を学生に伝える工夫をしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

年2回行われる職員の自己評価では、理念や目標への理解をはじめ、保育計画、保育内容、給食、行事、保育環境、安全・健康管理、組織、研修などの領域の合計61項目についてチェックし、この中で法人・園の職員として「期待される職員像」が具体的に明記されています。年度の後半に全職員の「意向調査」を実施し、次年度の就業意向を把握しています。次年度の人員計画は、この「意向調査」の結果をもとに関東の系列園の園長が共同で検討し、決定する仕組みになっています。各園の園長は、系列園を回る機会が多く、各職員の事情や意向を共同して把握し、一園長が抱えこむことなく、協力して対策をとるようにしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の労務管理は、園長の下で行われることが、「運営規程」、「職務分担表」で明記されています。重要なことは園長が独断で決めることはなく、法人内の園長会議で相談して対応しています。勤怠管理システムにより、職員の有給休暇の取得状況や時間外労働のデータなど、就業状況を把握しています。年次有給休暇は次年に繰越する20日を超過する日数について、完全に消化しています。職員の相談窓口は法人にありますが、ほとんど直接園長に相談が寄せられています。相談しにくいときは、系列の他園の園長に話せるような関係性があります。職員のモチベーションを高く保てるよう、課題・目標の達成のための面談を年2回行っています。退職金・確定給付年金など各種福利厚生制度を整備しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年2回行われる職員面談に向けて、職員は「自己評価シート」を記入することになっています。シートには、理念や目標への理解をはじめ、保育計画、保育内容、給食、行事、保育環境、安全・健康管理、組織、研修などの領域の61項目があり、この中で法人・園の職員として「期待される職員像」が具体的に明記されています。職員面談はおおむね10月に年度目標の実施状況や、次年度に向けた課題を確認します。年度末の3月に1年間の振り返りを行い、次年度の目標を確認しています。職員一人ひとりの目標設定は、面談のなかで行われていますが、目標項目、目標水準、目標期限が文章化されていないため、今後改善していきたいと考えています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

園がめざす保育理念実施のため、法人系列の園が連携して相互交流、視察研修、実践研修を中心に行っています。視察研修では、月2回ほど関東圏内の系列園に職員を1~2名派遣し、保育を観察して課題を見つけ、ディスカッションを行い、自園で生かせる課題を持ち帰っています。実践研修では中堅職員を対象に、実際に他園の保育に携わるなかで課題を発見する研修をします。このほか、描画についてなど、テーマを設けた研修、法人のある長崎の園での研修など、法人独自の研修システムがあります。いずれも研修報告、レポート提出等によって成果を確認しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

各職員の経験、専門性や課題に応じた研修派遣を行っています。研修会場、研修内容によって、参加者、ペアリングを決めています。新任職員には新人研修を行い、入職前はアルバイト研修を行っています。マニュアルをもとに反省会を行い、振り返りの機会があります。外部研修については、横浜市や保土ヶ谷区からの案内を伝え、参加の勧奨をしていますが、あまり参加できていない状況です。今後の取組が期待されます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生受け入れの際はオリエンテーションを実施し、服装や持ち物、実習のポイントについて伝えています。また、法人の保育理念、プライバシー保護などの説明と誓約書の提出を求めています。クラス担任が持ち回りで指導にあたり、クラスで保育を体験してもらい、振り返りを行います。学校側と実習内容や訪問による打ち合わせなどで連携しています。指導者は先輩から指導を受け、標準的な指導方法を共有しています。実習生対応のマニュアルはありますが、文書と口頭での情報共有となっており、研修会や会議等での確認が不十分なことを課題としています。今後の取組が望まれます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームページには、保育理念、保育室や園庭の写真、事業報告書、事業計画書、財務諸表、苦情解決定期報告などが公開されています。園のホームページでは、1日の流れ、主な保育内容の写真、年間行事予定が公開されています。保育の様子の写真はアルバムとして保護者が閲覧でき、データとして無償でダウンロードできるようになっています。関係資料等は閲覧できるように玄関に常備しています。苦情解決体制は園内に掲示され、「重要事項説明書」に明記されています。第三者評価は平成18年度以来の受審です。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

職員の園内の役割は、「職務分担表」に明示されています。園における事務・経理は、園長と主任が行っています。法人内の経理処理決裁権限は、「経理規程」に定められており、法人と連携をとっています。法人の事務担当が告知なしで来園し、適正な処理が行われているか確認しています。関東圏の園長間で相互の運営状況や書類を確認しあうようにしています。労務・人材管理を外部の公認会計士、社会保険労務士に業務委託し、客観的かつ専門的な視点で指摘や助言を受ける体制があります。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

コロナ禍により、子どもたちと地域との関わりが途絶えてきましたが、昨年度から近隣の幼稚園で芋ほりをさせてもらったり、小学校との交流もできるようになりました。また、お誕生日ケーキを買うため、買い物散歩に出かけ、お店の人と話したり、遠足では公園の乗り物の乗車券を買うなど地域交流しています。公園で他の保育園児と交流することもあります。近隣のコミュニティセンターとも交流があり、コミュニティセンターのイベント開催時にはチラシを提供してもらい、保護者へ案内しています。今後は、施設開放も検討し、地域の子どもたちとの交流を広げていきたいと考えています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

園の「中長期計画」の中に、地域における公益的な取組として、ボランティアの育成と活動支援を掲げています。夏休み等の長期休暇の時に大学等に呼びかけて保育の手伝いを募集しています。まず、オリエンテーションで子どもたちとの関わり方についての注意などを確認しています。近隣の中学生の職場体験や職場インタビュー受け入れて、学校教育に協力しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちによりよい保育を提供するために必要となる関係機関として、区役所、医療機関、療育センター、リハビリテーションセンター、学校などと連携しています。特別に配慮を要する子どもたちに関して、療育センターやリハビリテーションセンターと連携をとり、相互に訪問して、園での子どもの様子を見てもらったり、専門機関としての支援方法を見学して、個別支援につなげています。また、家庭において気がかりな養育環境のもとにある子どもについて区役所と連携し、ケース会議を開くなど、支援しています。個別に配慮すべき子どもたちが安心して生活できるよう、これまで以上に関係機関との連携やネットワークを作っていきたいと考えています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

区の公私保育施設・事業所会で入所児童や待機児童の動向、養育支援が必要なケースなど、地域にとって重要な課題を話し合い、共同して解決に取り組んでいます。私立保育園園長会では、事業所としての要望事項をとりまとめ、市に要望しています。町内会には加入していませんが、町内会長との交流の機会があります。近隣小学校の交通安全ボランティアとは、地域の話題を話したり、園の草刈りを手伝ってもらうなどの交流があります。コロナ禍で子育て支援事業が十分できなかったため、今後は地域行事に積極的に参加したり、育児相談の実施などを検討したいと考えています。取組を期待します。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

近隣での有事の際には、警察署や消防署に協力して駐車場の開放を行うなど連携し、環境を整えています。災害時には、連携している小規模園の園児を受け入れることにしています。コロナ禍により、地域との関わりが十分にできていません。「中長期計画」では、地域のニーズの把握と地域活性化の取組として、地域の人々を招く「マルシェ」を開催することや、園庭開放などの施設機能の活用を掲げています。今後の園の具体的な取組を期待します。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人で作成している保育の基本方針の中で、子どもの主体性を尊重することが掲げられており、職員は会議や研修、日々の話し合いで確認し理解に努めています。幼児クラスになると、グループごとに活動内容を話し合い、公園に出かける取組があります。ダンスの時は男の子と女の子の数を揃えることなどはせず、一人ひとりの意欲を大切にしています。外国籍の保護者には、お便りにふりがなを振ったり、個別に説明するなどの配慮をしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

保育マニュアルや会議・研修を通して、プライバシー保護について定期的に確認しています。報道などで具体的事案があった場合は注意喚起を行い、見直しや改善の機会とし、継続して意識できるようにしています。複数の保育者で見守ることで子どもの様子を把握し、声かけや援助をしています。保育中の着替えはロッカーの後ろで行うよう伝えたり、排泄に失敗した時は、さりげなくシャワー室へ誘う配慮をしています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

入園希望者の見学は積極的に受け入れています。主に園長が対応し、写真入りのパンフレットに沿って説明をしています。1時間ほどゆっくり時間を取り、持ち物やおむつの処理といった細かい質問にも答えるようにしています。質問内容を職員と共有し、職員一人ひとりが説明に対応できるようにしています。区と連携した情報開示を行っています。パンフレットなどを地域や公共施設に置くなどの広報活動の方法を検討しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

保育の開始にあたっては、重要事項説明書や保育のしおりを用いて、一人ひとり説明を行っています。ICT導入や来年度に迎える認定こども園への移行などのお知らせは、書面の手渡しと合わせて口頭でも説明を行い、質問や疑問に迅速に対応できるようにしています。日本語が苦手な保護者など配慮が必要な場合は、書面内容を丁寧に説明するなど個別対応をしています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所変更にあたり、転園先との書類のやり取りは今までありません。必要になれば、個人情報に配慮し保護者の同意のうえで引き継ぎを行うことを考えています。退園後も連絡が取れるように、住所や連絡先の確認をしています。就学後は学校運営協議会を通じて、子どもの様子の把握をしています。利用が終了した後の相談方法を記載した文書作成は今後の検討事項になります。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育中の子どもの様子を全職員で把握できるように、「伝達表」や「周知ノート」を活用しています。疑問や課題を話し合い、保育に還元できるようにしています。連絡帳アプリや送迎時の保護者との会話の中から、保護者の意向を汲み取る努力をし、保護者会主催のアンケートで利用者ニーズの把握ができています。今年度から保護者会が無くなることもあり、利用者ニーズを把握する新たな方法を模索しています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

法人として、苦情の対応と解決を図るための規定があり、保護者へ周知しています。入園時の面談の際「保育のしおり」や「重要事項説明書」で説明し、関係書類を玄関に置いて閲覧できるようにしています。受け取った保護者の意向や意見は、園長、主任、職員で話し合っています。保育園利用がより良いものになる事柄については、積極的に取り入れています。アンケートを実施していた保護者会が無くなることもあり、保護者が苦情を申し出しやすい仕組みづくりを模索しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

「保育のしおり」、「重要事項説明書」を入園時に配布し、要望・苦情を解決する体制があることを知らせています。園に直接に苦情が言えない場合の第三者委員などの周知には課題があります。挨拶をしっかりし、送迎時など丁寧に保護者対応し、相談しやすい信頼関係を築くことを心掛けています。玄関ホールに椅子を置いたスペースがあり、気軽に話ができます。個別にゆっくり話したい場合は、2階の応接室で対応しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

連絡帳アプリや送迎時の会話から、育児の不安や保護者の意向を汲み取れるよう、園全体で心掛けています。気づきや課題と感じたことは、「周知ノート」で情報共有したり、園長、主任に報告し、迅速な対応ができるようにしています。行事等で保護者に声をかけて、意見を聞くことがあります。、コロナ禍で懇談会が開催できなかったことや保護者会が無くなったことで、保護者の声を聞く新たな環境作りを模索しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

「危機管理マニュアル」や「ヒヤリハット・事故報告書」を揃え、職員がすぐ確認しやすいようにしています。室内外の遊び方や見守り方を共有しています。日々の保育の中で、職員同士が声を掛け合い、安全が確保できるようにしています。課題が見つかった時は迅速に対策を検討し、子どもたちにも都度伝えるようにしています。法人内や報道されている事案にも共有を行い、自園で起きた場合を想定した対策を行い、共通意識が持てるようにしています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「保健衛生マニュアル」や「嘔吐処理マニュアル」等を揃えています。新年度には感染症の対応について確認しています。主任、副主任が医薬品や消毒の整備、保健衛生を担当しています。登園時の検温や日中の健康状態を伝達簿に記入し、家庭と健康管理の連携ができるようにしています。インフルエンザ等の感染症の発生時には、玄関にボードを掲示し、感染状況を知らせています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

園長が防火管理者、主任、副主任が防災・避難訓練の担当者になっています。月ごとに行う避難訓練を積み重ねていくことで、子どもたちが避難の仕方を覚え、合図でスムーズに動けるようになっています。年1回消防署と連携した総合避難訓練を実施し、消防署員と一緒に避難したり、アドバイスをもらっています。学校運営協議会を通じて自治会長とコミュニケーションをとっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

法人が作成した「赤い鳥の保育」が標準的実施方法の保育マニュアルとして、全職員に共有されています。ここでは、保育理念、基本方針をもとに、食事、睡眠、排泄、運動、名前呼び、お片付け、保育コーナーの作り方などの方法が示されています。保育コーナーの作り方については、事前準備、絵本の立て方、遊具の置き方、ラベルの写真の撮り方など詳細な手順を、事務室に掲示しています。「赤い鳥の保育」で、子どもを尊重する姿勢も明示しています。生活場面における子どものプライバシーの保護についても、子どもの羞恥心に配慮することが明示されています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

保育に関して、毎月のクラス会議、月案作成の場において、保育マニュアルである「赤い鳥の保育」ほか各種マニュアルなど標準的実施方法に沿った保育がされているか、検証や見直しを行っています。法人内研修において他園園長や職員が客観的な視点で保育観察を行うことも、計画や保育内容の検証の機会になり、自園の保育の見直しにつなげています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

入園時に個別面談を行い、家族構成、医療事項、食事、睡眠、排泄、好きな遊び、遊び相手、性格など詳細に情報を確認し、指導計画作成の基礎としています。計画作成は、クラス会議で話し合い、定期的に振り返る仕組みがあります。乳児(0~2歳児)においては、約1週間ごとの行動観察をした個別経過記録をもとに月間指導計画が立てられ、個人別の保育のねらいが計画(個別計画)されています。幼児クラスの月間指導計画にも子どもの姿やねらいが書かれていますが、年齢別になっていないため、とくに3、4、5歳児ごとの内容が読み取れません。異年齢保育の指導計画であっても、年齢ごとに目標とする姿やねらいは異なってくるので、年齢ごとの内容がわかる指導計画にしていくことが望まれます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の保育理念をもとにして、毎年度末に各クラスの年間指導計画を園長、主任、副主任、クラスリーダーを中心に協議を重ねて作成しています。毎月のクラス会議において、目標の振り返りと次月の目標を決めています。日常の保育の中で迅速に計画変更が必要な時は、職員の独断にならぬよう、必ず複数の職員で話し合いの場を設け、副主任、主任、園長への報告を行ったうえで対応するようにしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

子どもの発達状況の記録は、統一された書式で管理されています。0~2歳児については、約1週間ごとの行動観察を「個別経過記録」に記載しています。3歳児以上は、連絡アプリで保護者あてに記入した「園での様子」を記録として保存しています。日々の園児の出欠状況、健康状況、家庭との連携事項などは「伝達表」、「周知ノート」に記入され、全職員が情報共有するようにしています。コンピュータネットワークが整備されており、また職員室に保管されている記録ファイル等を確認し、情報は共有できる仕組みが整備されています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報の取り扱いについて、「個人情報保護規程」があり、利用目的、取得に関する規律、個人データの適正管理、第三者提供の制限、開示のルール、職員の守秘義務等が定められています。「運営規程」には、職員の秘密保持、記録の整備、保存期間が書類の種類ごとに定められています。職員は守秘義務について採用時に誓約書を提出し、研修で周知徹底するようにしています。保護者には入園時に「重要事項説明書」で説明し、同意を得ています。コンピュータなどICTについては各自のIDとパスワードを設定しており、園児データを修正できるのは園長のみ等の権限を設定して管理しています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、法人の保育理念を踏まえたものを法人が作成し、系列園共通のものとなっています。それをもとに、園長、主任、副主任、乳幼児各リーダーで自園の地域の実状や子どもの発達状況を考慮した年間計画が作成されています。日々の保育実践は、法人理念に基づいており、全職員が理解、実践していくための研修や会議が行われています。課題が見つかった時や疑問を持った時は、随時話し合いを持ち、保育者が共通意識を持って保育実践できるように努めています。法人全体で行われる研修や視察の取組があり、保育に関する意識統一や情報共有がなされており、それを基本に保育が行われています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備しています。天井が高く広々とした保育室は、木製の家具で統一されています。椅子の足置きや、リュックや着替えを置いておく棚などは法人オリジナルのものも多く、子どもの年齢や発達、安全を考えた工夫がされています。夏場には暑い窓際を避けて休息をとれるようにしたり、子どもたちの様子を見て家具を移動させ、レイアウトを変えています。トイレには子どもたちが作った制作を飾り、窓のないところでも暗くならないよう工夫しています。足ふきマットの滑り止めやトイレ用のスリッパ設置など、さらなる配慮の検討も期待されます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

異年齢保育で複数の保育士が関わる中、話し合いを密にし、一人ひとりの子どもの状態を把握しています。そのうえで、その時の子どもの意欲や健康状態、個人差に柔軟に対応しています。丁寧な関わりや声かけ、所作は、法人理念に基づいて振り返りを行っており、園全体が家庭的でゆったりと落ち着いた雰囲気になっています。表現する力が十分でない子どもに対応する時は、寄り添い、ゆっくり言葉をかけ、気持ちに共感することを心掛けています。保育者側の都合を優先して子どもを動かすことのないよう、一人ひとりの子どものペースが尊重され、日々の話し合いや研修で確認をしています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

保護者との連絡を密にして、一人ひとりの子どもの生活リズムに合わせ、活動と休息のバランスが保てるように配慮しています。着脱に興味を持ち始めた子どもに対しては、脱ぎ着しやすいパジャマを持ってきてもらうなど、きめ細かく対応しています。会議や日々の報告等で職員の情報共有を密にし、子どもに対する働きかけの時期や方法、言葉かけの仕方を話し合っています。「自発的な子どもに育つ関わり」を保育目標に挙げ、生活習慣習得が強制にならないように全体で考えています。どの年齢の子どもに対しても、褒める保育を心掛け、子どものやる気や達成感につながるようにしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

子どもが主体的に活動できる環境作りが整備されています。保育者は命令口調にならないように留意し、子ども自身が自ら遊びを選択できるようにしています。遊びに入れないような時も、寄り添い見守りながら、子ども自身の選択を促すように心掛けています。園庭は周囲の建物と隣接していないため開放的で、木々が植えられ、野菜の栽培もしています。近隣の幼稚園との連携で芋ほり体験をしたり、近くの商店に誕生日ケーキを買いに行くこともあります。描画活動に力を入れており、絵の具に適した紙を取り寄せ、0歳児から筆を持って絵の具にふれる経験をしています。出来上がった作品の一部は、額縁に入れて飾っています。4、5歳児の希望者は、月1回近隣のスイミングスクールへ通うこともできます。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

異年齢保育のため1歳児と同室の生活となっていますが、職員が周囲の状況を把握し、声をかけ合いながら安全を確保するようにしています。子どもの月齢が低い時期はベビーベットを設置するなど、一人ひとりに合わせた配慮をしています。担当保育者を決めることはせず、情報共有を密にしながら、途中で職員の入れ替わりがあっても、登園から降園までを安心して過ごせるように心掛けています。連絡帳アプリや登降園時の保護者との会話を通じて、子どもの様子や発達状況を共有することを大切にし、食事段階などの保育に生かせるようにしています。保育室が洗剤等が置いてある部屋とつながっており、開放されているので、見守りや声かけに加えての安全対策検討が望まれます。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

年齢での保育計画を基準にしながらも、乳児クラス(0、1歳児)だから、幼児(2~5歳児)ではないからという枠にとらわれない、一人ひとりの健康状態や発達状況、興味関心に応じた保育が行われています。幼児クラスに行って遊ぶ様子を見たり、園庭で一緒に遊ぶこともあり、様々な年齢の子どもたちとふれあっています。担当以外の職員、ボランティアや実習生との関りにも取り組んでいます。連絡帳アプリや送迎時の保護者との会話も大切にしており、園と家庭両方の子どもの姿の把握に努めています。1歳児クラス後半には、2~5歳児クラスへの移行を考慮し、給食を食べに行ったり、幼児クラスで過ごす時間を増やすようにしています。慣れるまでは乳児クラスへ戻ることも念頭に、柔軟な対応をしています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

異年齢のコーナー保育を中心に過ごしています。制作活動は担当保育者が季節ごとに考え準備し、皆で取り組めるようにしています。時期によっての変動がありますが、年齢別クラス活動も取り入れています。「お名前呼び」は法人全体で取り組んでいる活動の一つで、一人ずつしっかり名まえを呼んでもらう時間を大切に考えています。行事は日々の保育の延長にあり、当日のために練習することはしていません。参加することを強制せず、日々の保育の中の遊びの一つとして取り入れ、少しずつ興味が向くようにしています。保育の様子や取組内容は、写真をいれた壁新聞としてまとめ、玄関に置いて自由に閲覧できるようにしています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

配慮が必要な子どもに対しては、保護者と連携をとりながら保育を行っています。医療機関や療育センターとも積極的に連絡を取り合い、助言を受けたり情報収集する体制ができています。配慮が必要な子どもが異年齢保育に入るにあたっては、職員全体で情報を共有し、話し合いをする場を設けています。好きな遊びが見つかるように、ゆっくり寄り添い、参加できるタイミングを図るようにしています。現在受けているキャリアアップ研修に加えて、他の研修にも積極的に参加したり、職員同士で学びあうことで、園全体のスキルアップを考えています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

職員の勤務時間に関わらず、どの職員が対応しても、登園から降園までを一人ひとり穏やかに過ごせるように考えています。子どもたちが、担当職員に限らずに安心できるよう、「伝達表」を用いて日中の様子や体調面を確認するなど、クラスや職域を超えた情報共有を大切にしています。夕方の人数が少なくなる時間は、乳幼児一緒に過ごしています。「まだ、お迎えに来ない」ではなく、待っている時間を苦に感じないように、子どもの周りで掃除機をかけたりせず、子どもがそこに居ていい雰囲気作りを心掛けています。職員が丁寧に優しく対応することで、家庭的でゆったりした環境ができています。担当保育者が直接保護者に話す必要がある場合は、来てもらって話せるようにしています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

異年齢の年間計画の他に、5歳児の年間計画が作成されています。幼児クラスで「冒険の旅」(グループで活動内容を話し合い、公園に出かける取組)を経験し、それを土台に、年長児は、子どもたちが計画から携わった「卒園遠足」が行われます。小学校との交流は、秋祭りに参加しています。就学を控えた2、3月には、ランドセルを背負わせてもらったり、給食の割烹着を着せてもらう等、学校校生活を具体的に感じられる機会を作っています。園長は学校運営協議会に参加しており、園児の主な就学先の小学校と協力関係ができています。地域との、さらなる連携の協議中とのことで、その取組や、保護者への周知が期待されます。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

保健計画に基づき、健康管理を行っています。嘔吐処理や熱性けいれん等に対応するマニュアルが揃えられており、職員が随時確認できるようになっています。毎日の「伝達表」や話し合いで、子どもたちの健康状態の情報共有をしています。感染症の発症については、感染状況を玄関に掲示し、保護者が情報を得られるようにしています。0、1歳児クラスは午睡時にブレスチェックを行い記録しています。0歳児にはセンサー付きマットも用い、睡眠時の観察を行うようにしています。その日の体調により寝る場所を変えたり、部屋の明るさを保ち、顔色などの確認ができるように配慮しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健康診断や歯科健診では事前に保護者から相談を受けることもあり対応しています。基礎疾患のある子どもの場合は医師のアドバイスを受けています。結果は、「受診結果表」を用いて保護者に伝えています。職員も結果記録を健診票等で確認することができます。受診内容で気になるところがあった場合は、再検査をお願いする等、保護者と連携しています。結果によっては、医師の助言や保護者の意向を踏まえ、呼吸状況を確認したり遊び方の配慮をして見守っています。歯磨きやうがいは新型コロナの流行があり、中断しています。歯科健診の結果は職員も共有し、離乳食のサイズの見直しを協議しています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患のある子どもに対して、医師の生活指導表を基に完全除去の食事提供を行っています。保護者には定期的に生活指導表を提出してもらい、アレルギー状況の確認をしています。「保育のしおり」に記載し周知を図っています。提供にあたっては、給食室での受け取り時の指差し確認と、子どもに配膳する時の複数での確認のダブルチェックを行っています。食事チェック表にはチェック者の名前を記載するようになっています。食器は柄付きのものを使用し、他の子どもたちの無地のものとの違いが見た目でもわかりやすいように工夫しています。給食会議には園長、乳幼児代表、調理を担当する委託業者から栄養士、エリアマネジャーが参加し、アレルギーを議題に挙げています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食事は子どもが自ら量や品目を決め、よそってもらいます。苦手なものを少なくしてもらうことで負担を減らし、少しでも食べられた経験を増やしていくようにしています。時間をかけて偏食や食べず嫌いを少なくし、食べる意欲を育てることを「保育のしおり」に記載し、保護者への周知を図っています。食育担当の職員が中心になり園庭で野菜の栽培をして、給食に利用しています。キュウリを塩もみにして提供しています。食器は陶器を使用しています。割れるリスクはありますが、職員が丁寧に扱う様子を見せることで、プラスチック製品を併用していたころより、破損が軽減しています。白い無地の器を使うことで、料理が映えるようにしています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

調理は業務委託している給食業者が行っています。園とは給食会議や、離乳食の状況や日常の食べている様子を見てもらうことで、連携を密にしています。給食会議には園長、乳幼児代表と、給食業者から栄養士、エリアマネジャーが参加し、摂食状況を含め、食育計画やアレルギーについて話し合っています。給食業者提案の行事食やクリスマスメニューを提供したり、季節を感じられるそうめんやおでんが献立に入ることもあります。畑でとれた野菜は夏野菜カレーにしてもらいました。クリスマスにケーキのデコレーションを企画したり、誕生日には近くのお店にケーキを買いに行くこともしています。地域の人にもらった柿を皆で食べたり、美味しく、楽しく食べるための工夫をしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

連絡帳アプリや送迎時の会話を通して情報交換を行い、家庭との連携を図っています。0、1歳児クラスは毎日、2歳児クラスは週2回程度、3~5歳児は週1回程度を目安にして、連絡帳アプリで日中の保育の様子を伝えています。5歳児の小学校との交流時には全員に様子を配信しています。送迎時に保護者と直接顔を合わせる時間を大切に考え、伝達事項が無い時も言葉をかけるように心掛けています。家庭での様子や気になった点については「周知ノート」に記載し、職員全体で情報共有できるようにしています。行事の際などの機会を活用して、園での取組や保育の様子を伝えるようにしています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

異年齢保育で複数の保育士が関わって保育をしていますが、クラスや職域に関わらず、どの職員でも保護者へ丁寧な対応ができるよう、職員間の情報共有を大切に考えています。「周知ノート」を活用し、迅速な周知を図るとともに、内容によっては園長、主任、副主任への報告を徹底し、必要な対応がとれるようにしています。別室で時間を取って個別に面談をすることもあります。面談内容は個別に記録し、職員全体で統一した対応ができるようにしています。お迎えの時間は重なることが多く、一人ひとりに十分な時間を確保するのが困難である中、壁新聞の発行を多くしたり、写真を多く載せるなどの改善案を検討しています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

年度ごとに不適切保育の話し合い、「虐待防止マニュアル」の確認をしています。連絡帳アプリや、日常の送迎時の会話によって家庭の様子を聞くとともに、保護者との信頼関係を築き、園を信頼してもらい、困っていることや悩みの相談しやすい雰囲気作りを心掛けています。気になったことがあった場合は、園長や主任、副主任に報告し、見守りの強化に繋げています。毎日、複数の保育者で子どもの様子をよく観察し、表情や食欲、身体の様子の変化を見ています。関係機関や役所とは情報交換をするとともに、家庭内の様子が不明な時には、家庭訪問をお願いするなどの連携をとっています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

日常の保育については、乳・幼児クラス会議だけでなく、クラスを超えたり、職員年次、職種を超えた組み合わせにするなど、さまざまな設定で、話し合いの場を多くとるようにしています。そのなかで、自己の課題発見や保育の振り返りを行い、意欲をもって向上できるよう取り組んでいます。年2回、職員の自己評価を実施していします。「自己評価シート」に理念や目標の理解、保育の計画や内容、環境設定、安全対策、研修などのテーマについてA~Dの自己評価を行います。10月と3月に園長と面談を実施して、自己の課題や専門性の向上について確認するようにしています。職員の自己評価と同様に、園としての自己評価も年度末にまとめています。