社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

あっとほーむ高田

2025年11月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 あっとほーむ高田
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2020年02月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人茅ヶ崎市社会福祉事業団
③ 理念・基本方針 利用者が地域において共同して、基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活又は社会生活を営むことができるよう、当該利用者の身体及び精神の状況並びにその置かれている環境に応じて共同生活住居に置いて入浴、排泄及び食事等の介護並びに相談その他の日常生活上の支援を適切かつ効果的に行う。一人ひとりの人権を尊重し、個々の特性とニーズに即した、心のかよいあうサービスを提供する。また、その人がその人らしく生活していけるよう、一緒に考え、自分でできることを増やせるように、必要に応じた支援を行っている。住み慣れた地域で活き活きと暮らしていくことの重要性を意識し、利用者同士が仲良く、気持ちよく生活していくことを目指している。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 利用者の誕生日にホームからケーキをプレゼントし、利用者と世話人で簡単な誕生日会を開催し、ささやかながらみんなでお祝いするようにしている。周囲の人とかかわることが苦手な利用者が多く、自室で過ごす方が多いため、自室で食事ができるように、食事の提供をお弁当形式にして、一人で食べることができる対応をしている。もちろんリビングで集団で食事をとる利用者もおり、自分の気分で食事をとることができる。マンションの一室を借り入れているので、南側の部屋2部屋が居室となっており、集団といっても玄関は2人しか使わないため、お風呂も相手が一人と自分のペースで過ごすことがしやすい環境になっている。アパートタイプのグループホームに近い。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2025年07月07日
終了:2025年11月21日(評価結果確定日)
受審回数:0回(0年度)
⑥ 総評
◆ 特長や今後期待される点
1)利用者尊重と質の高い個別支援を実践しています
経営方針に基づき利用者支援の考え方を明示し、職員間での共通理解の醸成に努めています。アンケートによる業務点検や個室の整備など、利用者の尊厳とプライバシーに配慮した支援が定着しており、丁寧な対応を実施しています。説明と同意の過程では、丁寧な説明を行っている点も特筆されます。個別対応マニュアルの共有や定期的なアセスメントの実施、専門職の助言体制などにより、質の高い個別支援を実践しており、安心して暮らせる環境を整備しています。
2)満足度調査を活用して継続的改善の実践につなげています
定期的な利用者満足度調査を実施し、その結果をもとに福祉サービスの質向上に向けた取組を計画的に進めています。調査結果を活用して課題を明確化し、改善策を講じることで、PDCAサイクルによる継続的な改善が定着しています。職員間で課題を共有し、対応を工夫することで事故の減少など具体的な成果も得ています。利用者や職員の特性に応じた対応を行い、そこで改善した好事例を他のホームと共有することで、組織全体のサービス向上につなげています。
3)理念浸透と透明性を重視した信頼性の高い運営体制を築いています
ホームページに経営理念や方針、事業内容を明示しており、福祉サービスの方向性を明確に伝えています。施設内での資料掲示や職員への周知も丁寧に行い、理念の浸透状況は業績評価や面談を通じて確認しています。中長期計画や事業報告の公開により、透明性の高い運営を実現しており、職員の意見を反映した単年度計画も整備しています。
4)利用者や職員体制の特性に応じた計画と周知方法に工夫が期待されます
運営法人では地域特性や福祉事業の動向を的確に捉え、柔軟な対応力と高い透明性を備えた運営を行っています。今後は、非常勤職員への情報共有の工夫や、障害のある利用者の理解力に配慮した周知方法の充実が期待されます。加えて、それぞれのグループホームの利用者特性や職員体制に応じた具体的な事業計画を策定し、現場での実践と振り返りを通じて、法人全体の支援力向上につなげる取組が望まれます。
5)利用者の健康面での安全管理体制の充実が期待されます
日常の生活の中で顔色の変化や咳が出ていないかなど、健康面の配慮は常に行っていますが、離れた個室であることにも配慮した利用者の健康面での安全管理体制を充実していくことが期待されます。利用者の日々の健康状況についてチェックし、管理者に報告する体制を強化しています。管理者と相談しながら、必要に応じてかかりつけ医や提携医療機関などと速やかに連携し、適切な医療的支援を円滑に実施し、利用者の健康管理面での不安が生じないよう取り組むことが期待されます。また、夜間など緊急時の連絡体制を見直し、職員からの緊急連絡が管理者に速やかに取れるよう整備し、利用者の安全管理体制の運営に資することが望まれます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント  当法人がグループホームを開設して13年が経過したなか、利用者の満足度向上、サービスの質の向上、世話人にとっても働きやすい職場環境を目指し、今回初めて第三者評価を受審しました。
 第三者評価とはどのようなものなのか、厳しい指摘を受けるのではないか、客観的な評価はどのようなものか、正直不安を抱えながらの受審となりました。
 しかしながら、法人が目指す理念や方針を共有し、同じような立場、同じような目線で調査を進めていただき、何でも話せるような安心感を持って評価を受けることができました。
 評価項目毎に調査を進めていく中で、現状では不十分な点だけでなく、法人が取り組んでいる地域貢献等を評価していただき、グループホームの受審ではありましたが、法人全体の良さや強みについても気付くことができました。
 課題としては、ホーム毎の具体的な施策展開、職員の意欲や支援力の向上につながる人材育成、利用者も含めた地域とのつながり、ICT導入による記録管理の効率化等が明確になりましたので、次年度の事業計画に反映し、世話人をはじめ職員が生き生きと働ける環境を整え、利用者にとっても魅力あるホームにしたいと考えております。
 今回は、株式会社フィールズ様にご協力いただき、貴重な機会を得ることができました。この場を借りて御礼申し上げます。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

経営理念・方針を明文化し、ホーム内に掲示するとともに、パンフレットやホームページに掲載して広く周知している。理念・方針は福祉サービスの特性を踏まえて目指す方向や考え方を示し、職員の行動規範として事業計画や業績評価に活用している。また、利用者や家族に理解しやすい資料を作成して掲示するなど、周知の工夫を継続している。

◆評価機関からのコメント

ホームページに経営理念や方針、事業内容を明確に示しており、福祉サービスの使命や方向性が深く理解できます。施設内にもわかりやすい資料を掲示し、利用者・職員への丁寧な周知を徹底しています。職員への浸透状況も業績評価や面談で確認しており、理念の実践に向けた意識の高さが伺えます。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人は経営環境の変化に対応し、経営状況および福祉サービスの動向を把握・分析している。地域福祉計画ならびに社会福祉事業全体の動向を的確に分析し、コスト、職員体制、設備、財務状況などの現状を評価することで課題を明確化している。経営課題については理事会などで共有し、今後10年間の経営計画および収支を職員に周知している。加えて、事業報告書および決算書をホームページ上で公開し、透明性の確保に努めている。

◆評価機関からのコメント

運営法人では社会福祉事業の動向や地域特性を的確に把握し、茅ケ崎市との連携を通じて福祉計画を分析するなど、経営環境の変化に柔軟かつ具体的に対応しています。財務状況やサービス利用状況も定期的に分析し、課題は役員・評議員間で共有しています。非常勤職員への周知には今後の工夫が期待されます。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人は中長期計画を策定し、理念および基本方針の実現に向けた目標を明確にして取り組んでいる。計画には数値目標および成果を設定し、必要に応じて見直しを行い、ホームページ上で公開している。中長期計画を反映した単年度計画は、実行可能な具体的内容として策定し、職員の参画を得ている。事業計画については、毎月の会議において実施状況を把握し、評価を事業報告書にまとめ、その結果をもとに改善を図っている。

◆評価機関からのコメント

運営法人で中・長期的なビジョンに基づく計画を策定し、ホームページに5年間の経営計画や事業報告などを明示するなど、透明性の高い運営を実施しています。職員の意見を反映した単年度計画も整備しており、今後はグループホーム毎の具体的な施策展開や、障害のある利用者の理解力や情報受容の特性に配慮した周知の工夫が期待されます。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームにおいては、質の向上を目的として日常的にPDCAサイクルを実践している。第三者評価の受審を契機として、より良い運営および生活環境の整備に取り組んでいる。福祉サービスの満足度調査を実施し、組織的に評価を行う体制を整備している。評価結果および課題は職員間で共有し、職員の参画のもとで改善策を協議し、計画的に実行している。これにより事故の減少などの成果が認められ、リスクマネジメント規程への反映を進めている。

◆評価機関からのコメント

定期的な満足度調査を実施し、その結果をもとに福祉サービスの質の向上に向けた取組が計画的に進めています。調査結果を活用して課題を明確化し、改善策を講じることで、PDCAサイクルによる継続的な取組が定着しています。利用者の課題を職員間で共有・改善することで、事故の減少など具体的な成果にもつながっています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

管理者は自らの責任および役割を明確にし、運営規程に基づいて職員へ周知している。職員の意見は会議などを通じて集約し、働きやすい環境の整備に努めている。法令遵守を徹底し、利害関係者との適正な関係を保持するとともに、研修や勉強会を通じて知識を深め、職員へ伝達している。さらに、福祉サービスの質を定期的に評価・分析し、課題解決に向けた改善策を明示することで責任を果たし、経営および組織運営の向上を図っている。

◆評価機関からのコメント

管理者の責任と役割が運営規程により職員へ周知し、世話人会議を通じて意見を聴く姿勢も示すなど、働きやすい環境づくりに努めています。施設長は兼務体制でも代理を明確にし、リーダーシップを発揮しています。複数ホーム間ではSNSを活用した連絡体制を工夫しています。非常勤職員にも配慮した年1回程度の交流機会の検討が期待されます。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

法人は人員体制および福祉人材の確保・育成方針を明確にし、各ホームにおいて必要な職員を配置している。職員の意向および就業状況を把握するため、正規職員には年2回、非常勤職員には年1回の個別面談およびアンケートを実施し、相談や意見を反映して働きやすい環境の整備に努めている。また、職員の研修内容および業務への対応力については世話人会議においてフィードバックを行い、具体的事例を活用することで、日々の業務改善および環境整備に取り組んでいる。

◆評価機関からのコメント

運営法人は福祉人材の確保・育成に関する具体的な計画を整備し、人事管理体制のもとで着実な取組を進めています。非常勤職員による交代勤務が多い中でも、職員間の良好なコミュニケーションにより安定した運営を図っています。今後は、非常勤職員の多様な勤務形態を踏まえつつ、「期待する世話人像」などを明示することで、役割理解や意欲の向上につながる人材育成が期待されます。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームページなどを活用し、理念・基本方針、福祉サービスの内容、事業計画・報告、予算・決算情報を適切に公開することで、運営の透明性を確保している。地域福祉向上の取組状況および評価状況、苦情・相談体制についても公表している。法人内においては定期監査を実施するとともに、外部専門家による監査支援を受け、指摘事項に基づいた経営改善を行うことで、公正かつ透明性の高い運営に努めている。

◆評価機関からのコメント

ホームページに理念・方針、中期計画、事業報告、決算情報を適切に公開しており、運営の透明性を確保しています。さらに、内部監査を通じて公正かつ適正な経営・運営に向けた取組を継続的に行っており、信頼性の高い体制を整えています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームにおいては、利用者の日常的な買い物などを通じて、利用者の個別ニーズに応じた地域の社会資源の活用を行っている。市職員向け講座の開催、ハローワークへの説明も実施している。利用者には地域情報を提供し、職員間でも情報共有を図っている。草刈活動、商店街とのキャップ収集、農業関係者との協働による食品ロス対策など、多様な機関との連携を通じて、地域福祉およびコミュニティの活性化に貢献している。

◆評価機関からのコメント

茅ケ崎市や地域と連携し、エコ活動や見守りボランティアなどの地域貢献に取り組んでいます。今後は、こうした活動の意義や内容を職員へ丁寧に周知し、利用者も含めた参加の機会を工夫することで、地域とのつながりをさらに深めることが期待されます。
Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者の選択および意向を尊重する姿勢は、理念および方針に明示しており、職員はこれを理解し実践している。年2回の研修および業務点検アンケートを通じて状況を把握し、必要な対応を講じている。利用者からは、職員が丁寧な言葉遣いで接しているとの回答を得ており、職員もその実施を認識している。さらに、生活の場にふさわしい快適な環境の整備を行い、プライバシー保護の取組について利用者および家族に周知している。

◆評価機関からのコメント

経営方針に「利用者支援の考え方」を明示し、職員間で共通理解を深める取組を行っています。アンケートによる業務点検も実施し、利用者は丁寧な対応を評価しています。個室での生活などプライバシー保護にも配慮しており、利用者を尊重した福祉サービスの実践が定着しています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームにおいては、福祉サービスの提供に際し、利用者が理解できるよう丁寧な説明を行い、自己決定の尊重に努めている。利用者の特性および配慮事項については世話人会議において情報共有を行い、「利用者支援マニュアル」を作成したうえで、職員間で対応者を協議し決定している。サービスの開始・変更時には、理解しやすい資料を用いて説明を行い、同意内容を文書にて記録している。さらに、サービス終了後も相談が可能である旨を伝え、継続的な支援を実施している。

◆評価機関からのコメント

重要事項説明書や利用契約書に基づき、利用者への説明と同意を丁寧に行っています。利用者が理解できるよう、必要に応じて時間をかけて細かく説明する姿勢が定着しており、自己決定を支える取組を実践しています。利用者一人ひとりの個別対応マニュアルを職員間で共有することで、利用者が安心して生活できる環境を整えています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

年1回の利用者満足度調査を実施し、現状における満足点および不満点を把握している。課題が判明した場合には迅速に対応し、解決に努めている。日常生活の中で生じる細かな要望についても、担当者が直接聞き取りを行い、対応可能な事項については実施している。調査結果は検討会において分析・評価し、改善策を具体的に実行することにより、利用者が安心して生活できる環境の整備に取り組んでいる。

◆評価機関からのコメント

利用者満足度調査を毎年実施し、課題が見つかれば迅速に対応するなど、満足度向上に継続的に取り組んでいます。それぞれのグループホームでは、利用者や職員の特性に応じた対応を実施しており、改善した好事例を他のホームでも共有することにより、さらなるサービス向上につなげています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

利用者が意見や相談を述べやすい環境を整備し、職員は日々の支援の中で直接話を聞き取り、必要な対応を行っている。苦情解決責任者、受付担当、第三者委員、行政の苦情受付機関については重要事項説明書に明記し、ホーム内の掲示物により周知している。相談および意見には迅速に対応し、その結果および対応策を利用者および家族にフィードバックしている。利用者の意見に基づく改善およびサービス向上にも継続的に取り組んでいる。

◆評価機関からのコメント

運営法人では苦情受付体制を整備し、第三者委員や行政窓口の明示により、公正で透明性のある対応を確保しています。住居内への掲示や世話人による聞き取りなど、日常的な相談体制も構築していますが、障害を持つ利用者の意見表出の困難さにも配慮し、安心して相談できる工夫の充実が期待されます。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

ホームにおいては、安心・安全な福祉サービスの提供に向けて、世話人会議においてBCPおよびヒヤリハット事例の定期的な確認・共有を行っている。事故発生時の責任および対応手順を明確にし、職員研修および事例分析を通じて改善策ならびに再発防止策を実施している。リスクマネジメントに関する取り組みを推進しており、感染症対策および災害時の安全確保体制の整備を進めている。予防策および対応内容については職員に周知し、備蓄品の管理および安否確認方法についても定めている。

◆評価機関からのコメント

BCP(業務継続計画)の策定と定期的な確認により、安心・安全な福祉サービスの提供に向けた組織的な取組を進めています。特に、障害を持つ利用者の特性を踏まえたリスクマネジメントの追求を行っており、感染症・災害対応に加え、利用者自身の理解や行動を促す啓発的な視点も含めた体制づくりを検討しており、今後が期待されます。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

個別支援計画については、世話人室において常時確認可能な状態とし、日々の生活支援において意識的に活用している。毎月開催する世話人会議においては、利用者の現状を共有し、対応方法を協議するとともに、課題が認められた場合にはPDCAサイクルに沿って改善策の検討および実施を行っている。「世話人のお仕事」として標準的な実施方法を文書化・図式化し、基本的な支援内容を明示している。支援の実施方法については、研修および個別指導を通じて職員に周知し、定期的な見直しを行うことで、職員の意見も反映している。

◆評価機関からのコメント

利用者一人ひとりの特性に応じた支援を個別支援計画に基づいて行い、職員間で共有しています。各グループホームではそれぞれに支援の質向上に取り組んでいますが、共通の支援標準を整備し、標準に沿った支援の実践により全体としての支援の質の底上げが期待されます。尚、満足度調査や世話人会議を通じて標準レベルの見直しを行っています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

共通のフェイスシート、アセスメント要約表、5ページ構成のアセスメントシートを活用し、利用者の現状確認および課題の把握を行い、優先順位を設定したうえで、分かりやすく支援計画に反映している。個別支援計画は半年ごとに策定し、責任者を設置して職員に周知している。環境の変化や必要に応じて医師への相談を行い、モニタリング結果を支援計画に反映している。評価および見直しは組織的に実施し、変更内容についても職員に周知することで、福祉サービスの質の向上に資している。

◆評価機関からのコメント

利用開始時及び定期的には6ヶ月ごとと状況変化時に、整備した様式を用いてアセスメントを実施し、それに基づいて個別支援計画を適切に策定しています。アセスメントでは、必要に応じて精神科医師や産業医の助言を得る体制があり、通所施設などとの情報共有を通じて支援の質を高めています。個別支援計画には、利用者の希望や到達目標、具体的な支援内容を明示しており、利用者一人ひとりに配慮した支援を実践しています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

世話人は、利用者の身体状況および生活状況を統一様式により記録し、必要に応じて職員間で情報共有を行っている。個別支援計画に基づくサービスの実施状況についても、記録により確認可能な体制を整えている。支援情報の流れは明確化し、会議において共有している。個人情報保護の方針に則り、記録の管理および情報提供を適切に実施しており、職員はそのルールを理解し遵守するとともに、契約書などを通じて利用者および家族に対し取扱い方法を説明している。

◆評価機関からのコメント

記録は統一様式で日々記載し、職員間で共有して支援の一貫性を保っています。今後は、個人情報保護を踏まえた記録の保管・廃棄・情報提供に関するルール整備が求められます。また、職員の高齢化に配慮し、ICT導入による記録管理の効率化と支援の質向上が期待されます。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

自己決定が当たり前ととらえ、提案しても強要はしていない。自分のペースで自分のしたいことをするが、必要があれば見守りや後方支援を行っている。

◆評価機関からのコメント

食事する時間や場所など利用者の意思や希望を尊重した支援を行っています。利用者一人ひとりの権利について、世話人会議などを通じて話し合い、理解・共有に努めています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

虐待防止に関しては定期的に研修を行い、その意識が途切れないように心掛けている。また、世話人会議の中で、ホームは閉ざされた環境なので透明性を高めていきたいことを周知徹底するようにしている。職員間の意見交換も風通しの良い環境設定を意識している。

◆評価機関からのコメント

虐待防止に関する研修では、法人が作成したチェックシートを用いて、職員が自分の日常の支援活動について点検し、虐待などの事故につながらないよう意識を高めています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

できることは自分ですることを徹底しているが、その日の調子によっては手伝うこともある。行政の手続きや、通院同行など、利用者の理解度によって代行や同行をしている。コミュニケーションが苦手な利用者には表情で読み取ることや、選択肢を設けて、自分で決定できるように配慮している。発信する機会を増やすために、利用者への声かけ方法を変えており、個別の対応はできている。

◆評価機関からのコメント

引き続き、利用者の特性などを配慮しながら利用者の自律・自立につながるよう個別支援に努めています。利用者の希望やニーズを踏まえ、ホームでの活動や地域の社会資源を利用して参加できるプログラムへの選択肢を増やしていくことが期待されます。
A-2-(2)日常的な生活支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

同じようなメニューが続かないよう、栄養価が偏らないように考えながらメニューを決めている。利用者の誕生日には同居する利用者全員でケーキを購入し、簡単な誕生会を行っている。ADLが自立している利用者が多く、入浴や排せつの支援は必要な時のみの対応となっている。集団が苦手な利用者には自分の部屋で食事を食べるなど個別な対応も行っている。

◆評価機関からのコメント

利用者の誕生日に誕生会を実施しています。誕生日会の参加は、利用者の特性に配慮し、無理のない範囲で促しています。より多くの人が参加し、利用者同士の交流につながるよう工夫していくことが期待されます。
A-2-(3)生活環境

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

居室の管理は個人に任せているが、清掃が必要な利用者も多く、世話人と一緒に清掃し、清潔を維持するようにしている。共同で使用する場所の管理は担当者が行い、故障などには迅速に対応している。シーツや枕カバーの洗濯も本人に声かけを行い、洗濯するように促している。ペットボトルやゴミ出しなどの分別も理解度の低い利用者とは一緒に行い、清潔を保つようにしている。

◆評価機関からのコメント

居室の清掃についての呼びかけは、利用者と相性のよい職員が一緒に行い、利用者の快適性などに配慮した生活環境の確保に努めています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

理学療法士などの専門職の意見を求めることはないが、一般的なストレッチやトレーニングについて提案することは多々あるが、継続することが難しく、継続実施に至る利用者は少ない。食器を洗う、洗濯するなど生活面の必要な動きは声かけ、見守りのみで自分自身で行えるようにしている。

◆評価機関からのコメント

利用者が機能訓練の観点から、ストレッチやトレーニングプログラムなどを継続して取り組む支援について検討していくことが望まれます。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

生活の中で顔色の変化や咳が出ていないかなど、健康面の配慮は常に行っている。必要に応じて市販薬の購入を促す対応をしている。体調が悪い、発熱などがあるときは、自分の部屋で過ごすなど感染拡大しないようにしている。

◆評価機関からのコメント

職員は、利用者の日々の健康状況についてチェックし、管理者に報告する体制を強化しています。管理者と必要に応じて相談しながら提携医療機関等と速やかに連携することにより、さらに利用者の健康面での安全管理体制を充実していくことが期待されます。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

実家に帰る、友達の家に外泊するなど、本人や保護者から申し出があるときは外泊届を提出し、外泊可能となっている。

◆評価機関からのコメント

利用者の状況に配慮しながら、利用者の自律・自立に向け、引き続き社会参加や学習の意欲の掘り起こしに努めていくことが期待されます。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

地域生活について積極的な利用者は少なく、地域のスーパーや商店に買い物に行く程度である。個を好む利用者が多い現状で、一部の利用者は世話人が持っている畑の収穫のお手伝いなどには参加している。

◆評価機関からのコメント

地域生活移行に向け、利用者が興味の持てる地域の情報や学習・体験の機会について提供し続けていくことが望まれます。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◆取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

家族がいる人、いない人がいるため、全体向けに関係者会議を行うことはできない。個別に連絡は取れる状態にはなっているので、必要に応じて家族や保護者に連絡を取ることはある。

◆評価機関からのコメント

利用者の生活や支援について家族などと意見交換する機会は多くないが、自宅に一時帰宅する利用者も一定数いることから、家族などとの交流・家族支援について、工夫していくことが期待されます。

利用者調査結果<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:6名
アンケート調査対象:6名
ヒアリング調査対象:1名
アンケートで評価の高い内容と %
・「グループホーム内で悩みを聞いてもらったり、相談できる人はいますか」では、相談できる人がいる:80%(わからない:20%)
・「あなたに、職員・スタッフは丁寧な言葉で話してくれますか」では、話してくれる:80%(わからない:20%)
・「自由に外出したり、友達に会いに行ったりできますか」では、自由にできる:80%(わからない:20%)

アンケートで評価の低い内容と %
・「あなたはグループホームでの生活についての不満や苦情(困っていること)がありますか」では、ある:60%
・「あなたは職員・スタッフから大切にされていると感じますか」では、感じる:40%、あまり感じない:20%

③調査全体でとらえた利用者の状況
 (障害特性や利用者の背景や表情等も含め記述)
ホームはマンションの独立した3室で構成されているため、利用者は自由に外出したりして自分のペースで生活しています。部屋が離れているため、利用者からの「自分と合わない利用者や世話人との関係要望」も改善されて、独立した満足な生活ができています。