社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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いぬくら

2023年03月10日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 学研データサービス

② 施設・事業所情報
名称 いぬくら 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 20 名
所在地 216-0011
川崎市宮前区犬蔵3丁目13番15号
TEL 044-976-6955 ホームページ http://www.ikuo.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2006年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 育桜福祉会
職員数
常勤職員:18 名
非常勤職員:3 名
専門職員
社会福祉士:4 名
看護師:3 名
栄養士:1 名
介護福祉士:1 名
施設・設備の概要
居室の状況:
1階フロア(活動スペース)
トイレ(男1、女1)、職員室、相談室
2階フロア(活動スペース)
トイレ(男1、女1)
施設の状況(設備等):
RC造2階建て(築31年)
入浴室(ミスト浴)(1階)
食堂(2階)

③ 理念・基本方針
基本理念
~心の風景を自由に表現できるキャンバスの創造をめざして~
 育桜福祉会は、障害のある方が住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、一人ひとりの想いや願いを大切にし、その喜怒哀楽を自由に表現できる心豊かな生活の実現をめざして支援します。

基本方針
育桜福祉会は、福祉ニーズの変化に対応するとともに、関係法令等を遵守し、次の通り公共性・公益性及び信頼性の高い社会福祉法人をめざします。
1.利用者の権利擁護と自立支援の推進
 利用者の尊厳を守り、その人権を擁護するとともに、利用者の意思を尊重し、その人らしい生活が実現できるよう福祉サービスを提供します。
2.安心・安全に利用できる環境整備
 安全性に配慮し、事故防止に努め、利用者が快適に利用できるよう環境整備を図り、安心・安全な福祉サービスを提供します。
3.人材育成によるサービスの質の向上
 職員の人材育成を進め、高い専門性を確保し、より良質な福祉サービスを提供します。
4.地域との共生
 共に支えあい、共に生きる社会の実現に向け、地域との交流・連携を深めるとともに、その一員として社会貢献を果たします。
5. 活力ある法人経営
 経営基盤を強化し、公正で透明感のある活力あふれる法人経営をめざします。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
〇重点運営項目
 ①利用者の自己決定と選択を尊重し、その権利擁護を実現するとともに、個人の尊厳に配慮した良質かつ安心・安全なサービスを提供しています。
 ②利用者の快適な暮らしや健康で幸福な生活を確保するため、利用者の立場にたって良質かつ適切な福祉サービスを提供しています。
 ③利用者の人権の尊重
 ・利用者の個人としての尊厳が守られるよう、個々の利用者の特性やニーズに即した支援を提供しています。
 ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)に基づき、不当な差別的取り扱いをしないよう、合理的配慮を行うよう努めています。
〇医療的ケアへの取り組み
 ・医療的ケアの必要な重度障害のある利用者を多く受け入れています。3名の看護師の常駐体制を敷いて、整形外科医や理学療法士と連携し適切な医療的ケアや機能訓練を実施しています。
 ・歯科医師による摂食指導を実施し、個々の利用者の適切な食事形態での摂食支援に努めています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/06/13(契約日) ~2023/01/26(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2015年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 ◆ 医療的ケアが必要な重度障害者が安心して日々の生活を楽しんでいます
 事業所は、嚥下障害、吸引、胃ろう等の医療的ケアの必要な利用者や身体障害を伴う重度障害のある利用者を多く受け入れています。体調不良や急に状態が変化したときなど、専門性に裏付けられた適切な対応が求められます。3名の常駐の看護師を配置して、嚥下機能や身体機能に関する適切な支援に努めています。定期的に歯科医が施設を訪問し、個々の利用者の摂食と安全な食事形態を指導しています。また、整形外科医や理学療法士が定期的施設を訪問し、利用者の残存能力を生かすことを大切にした機能訓練の個別メニューを作成します。個別メニューに利用者が主体的に取り組み、食事の時間や機能訓練の時間には利用者の笑顔があふれています。

◆ 職員は重度障害者の体験の積み重ねを大切にした支援に努めています
 職員は、重度障害者がさまざまな経験や成功体験を通して自ら選択し、自分の意思を他者に伝えることがてきるように支援しています。手が上げられる、声が出せるといった個々の利用者のストレングスを生かして、言葉だけでなくうなずきで拒否の態度がない事を確認します。快・不快の感情を記録し必要な介入はタイムリーにできているかを検証し、絵カード等を用いて利用者が安心して次の行動に移れるように支援します。毎月実施する利用者の自治会は、昼食メニューのリクエストなど利用者が主体となって意見を出し合う場になっています。職員はメニューの映像や、焼肉のたれなど食事の匂いのもとを使い利用者がイメージしやすいように支援します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 今回、第三者評価を受けたことで、事業運営の改善点を見出すことができました。今後の取り組みとして、次の内容について改善を図ることにしました。
 まず、事故・ヒヤリハットについては組織として分析していくこと、その経過を把握していくことの必要性を確認することができました。
 また、苦情内容や解決結果等の開示については、今後は利用者、ご家族等に毎月配布している活動報告に載せていく予定にしています。そうすることで、改善への取り組みを伝えることや、苦情や要望を言いやすいようにしたいと思います。
 それらに組織的に取り組むために、次年度はリスクマネジメント委員会の設置を予定しています。
 また、重度重複障害の方たちが多く利用されている施設であり、緊急時の対応や他の関係機関との連携が欠かせないため、一人ひとりの状況にあわせた資料の整備に取り組むことも進めてまいります。
 これらの改善策は訪問調査で話を進めていく過程で、課題の発見につながったので今後に向けて具体的に考えることができたように思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

 「育桜福祉会は、障害のある方が住み慣れた地域で安心して過ごせるよう、一人ひとりの想いや願いを大切にし、その喜怒哀楽を自由に表現できる心豊かな生活の実現をめざして支援します」を法人の基本理念に掲げ、ホームページに掲載し、また、規定集に明記し全職員に配付しています。事業計画に基本理念・基本方針に基づいた施設運営を行うことを明記し全職員に周知しています。また、事業計画を利用者・家族に配付し、年5回開催の保護者会で「いぬくら活動報告」を用いて、理念に基づいた支援についてわかりやすく説明しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

 施設長は、法人の経営企画会議、管理職全体会議に出席し、川崎市の障害福祉計画の動向を見て、法人全体の事業経営を取り巻く環境の変化や、事業運営の課題等の把握に努めています。法人の中期計画に利用者・家族の高齢化等に関する事業所ごとの課題や、地域の障害者向けのグループホーム対策の必要性などについて明記しています。施設長は、施設運営の課題に対する具体策を事業計画に明記し、また、通所施設としての利用率等の動向やコスト分析を行い、福祉サービスの向上を図り高い利用率を維持しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

 法人の経営企画会議(毎月開催)や管理職全体会議(毎月開催)で法人運営に関する情報の共有を図り、具体的な課題や問題点を明らかにしています。法人を取り巻く環境の変化に応じて中期計画の見直しを行い、課題対策の具体化を図り、事業計画に反映しています。施設長は法人の経営企画会議、管理職全体会議に出席し、事業経営の課題を把握し職員に周知しています。令和4年度は中期計画を受けて通所施設の日中活動の充実を図り、利用者・家族の高齢化対策及び支援ニーズの多様化への対策等を具体化し、事業計画に反映しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 5年ごとに作成している法人の第3期中期計画(2019年度~2023年度)を策定しています。中期計画に障害者一人ひとりの意思や人格を尊重し、利用者の立場に立ったサービスを提供すること等、理念の実現に向けた目標を明記しています。法人の各種委員会(サービス評価推進委員会、安全委員会、総務委員会、労務委員会、研修委員会、地域貢献推進委員会、衛生委員会等)を設置し、中期計画の見直しを毎年実施しています。中期計画には利用者支援の充実、職員確保・育成・定着の取り組み、法人の安定経営など分類ごとに課題を明記しています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

 法人の中期計画を基に事業所の課題対策を具体化し、単年度事業計画を策定しています。事業計画に事業所の運営方針及び年度ごとの事業重点運営項目を明記しています。令和4年度の重点運営項目には、地域の社会資源を活用した活動の充実、利用者の意思に基づく生活の実現に向けた取り組みの推進、関係機関とのつながりの強化等を掲げています。医療的ケアが必要な重度障害の利用者が多い事業所の特性があります。地域の関係機関と連携し、利用者の意思を大切に汲み取り、本人の意思確認をていねいに行うことを課題に掲げ対策を講じています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

 全職員が参加し12月末に事業計画の達成度を評価し、2月に次年度事業計画の原案を作成します。事業計画は、3月に法人の理事会に報告され確定します。また、年度初めに前年度の事業報告書を作成し6月に法人の理事会に報告しています。事業計画の策定に際しては、各種委員会(生活委員会、作業委員会、防災安全委員会、研修委員会、食事委員会、保健衛生委員会等)を設置し、分掌ごとに役割を分担し、事業計画の推進に向けた分掌計画を作成しています。分掌計画の達成状況を半期ごとに評価し、事業計画の見直しを行っています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

 事業計画を利用者・家族に配付しています。年5回開催の保護者会で事業計画に掲げた利用者支援の各種活動プログラムや季節行事の開催等について説明しています。「いぬくら活動報告」を保護者会で配付し、健診などの医療に関することや、フロアごとの日中活動の利用者支援の状況などを写真等を用いてわかりやすく説明しています。また、外出等施設の各種イベントへの利用者の参加を促すなど事業計画の実施内容についての利用者・家族の理解に努めています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

 2年ごとに内部自主評価、3年ごとに利用者満足度評価及び定期的に第三者評価を実施しています。また、権利擁護に関する職員の自己チェックを毎年実施し、課題を分析し利用者サービスの向上に努めています。昨年度法人主催で内部自主評価を実施しています。内部自主評価は、利用者の社会参加や地域連携の取り組み、権利擁護や虐待防止の取り組みなど項目ごとに評価項目を設定し、全部で50項目に及びます。評価結果を分析し課題を定め、事業計画に反映しています。昨年度の内部自主評価の結果を受けて、今年度は利用者の地域交流の一環としての外出支援を課題に設定し、その対策を事業計画に反映しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

 内部自主評価、利用者満足度評価、及び権利擁護に関する職員の自己チェックの結果に基づく課題を文書化し、サービス向上の対策に取り組んでいます。一昨年実施した利用者満足度調査では、建物内の清潔感に関する改善点の指摘がありました。令和3年度は利用者満足度の調査結果を踏まえ、美化委員会を設置して、環境美化に取り組みました。特に玄関の掲示物など目的に応じて、わかりやすく整理しました。また、利用者の外出支援の強化の必要性など、内部自主評価で指摘された課題を事業計画に反映し、具体策を講じています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

 法人の理念・基本方針を基に事業計画を作成し、運営方針及び事業重点運営項目を示しています。令和4年度は、重度障害のある利用者の外出支援に視点を置いて、家族と連携し少人数グループでの飲食店のテイクアウト支援の実施等を掲げています。職務分掌表を作成し、職務及び各種委員会の役割・担当者を明示し、職員に周知しています。また、広報誌「いぬくら」を発行し、施設長としての考えと支援体制を明示しています。災害発生時対応の事業継続計画(BCP)を整備し、施設長不在時の権限委任について明確にしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画で運営方針の第一に、社会福祉法や障害者総合支援法などの関係法令等を遵守することを掲げて職員に周知しています。また、規定集に「法令遵守に係る業務管理体制整備規程」等法令遵守に係る各種規定類を掲載し、全職員に配付して、法令遵守に関する職員の注意を喚起しています。法人の入職時研修で法令遵守の理解について周知し、法人本部の管理職会議等では、法令の改定等に関する情報共有を図っています。雇用・労働面、環境への配慮等法人と連携して取り組み、施設長は朝夕の打ち合わせ等で日ごろの支援と法令を関連付けて説明しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

 いぬくら会議(職員会議)やフロア会議では、利用者支援の個々の課題をテーマに挙げて議論しています。いぬくら会議は施設長が出席し、業務改善事項等に関する職員の情報共有を図り、分掌ごとの会議から浮かび上がった課題や職員の取組みの状況などについて話し合い、事業所全般のサービス品質の向上を図っています。また、フロア会議で個々の利用者特性に応じた支援の内容や課題の対策について話し合います。施設長は改善策の実施状況を日々のミーティングで説明し、モチベーションの向上に向けて職員の意識の共有を図っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

 施設長は毎月法人の経営企画会議、管理職会議等で法人運営の状況や他事業所の状況を把握し、施設運営の課題の対策に取り組んでいます。重度障害の利用者特性に配慮して、利用者に安心・安全なサービス提供を行えるよう人員配置や環境整備を行っています。利用者数や支援区分の状況に配慮して、職員の休憩時間や適切な時間配分を心がけ、職員の働きやすい環境整備に努めています。加えて、経営改善やサービス向上につながるフロアごとの意見の調整と、現場職員の同様の意見を形成する対策のいっそうの工夫が期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 法人本部が中心となって職員採用等の人材確保を行っています。法人の人事基準にのっとり、事業運営に必要な人材確保や職員の資格取得に努めています。法人の人材育成方針を整備し、職員像や研修内容について明示し、入職時から中堅職員までの年次研修を実施しています。また、看護職員会議や栄養士会議等の職種別会議の場を生かして、利用者支援の専門性の強化を図っています。職員は、整形外科医や理学療法士による機能訓練や歯科医による摂食相談等の指導のもとに専門性の向上に努め、重度障害者、医療的ケアの必要な利用者の支援に努めています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

 職員行動指針や人材育成方針に期待される職員像を明示しています。法人の人事考課表を整備して、人事考課の着眼点を明示し、業務遂行能力や実績、社会性等の評価基準を定めています。人事考課表による職員の自己評価と異動希望等の意向調査の結果をもとに面接評価を実施し、人事管理に反映しています。職員の目標管理制度を実施しています。組織目標を明示し、目標達成に向けた個々の職員の実施目標を定めて目標管理シートを作成します。施設長が定期的に職員に面談し、職員の目標達成の能力向上を図り、目標達成の結果を実績評価に反映しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

 施設長と職員の個人面談で職員の意向や状況を把握し、異動希望等に関する職員の意向調査の制度を活用し適切な職員配置に努めています。法人本部と連携し労務管理、就業状況の把握に努め、職員の働きやすい職場環境の整備に努めています。法人の衛生委員会が主体となり、毎年定期的に健康診断やストレスチェックを実施しています。産業医の相談体制を整備し、法人本部にも相談窓口を設け、職員のメンタルヘルスに配慮する取り組みを行っています。育児休業や介護休業、短時間勤務等の制度を導入し、職員の働きやすい職場作りに努めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人の「目標管理制度(職員一人ひとりの人材育成の取り組み)」にのっとり、職員は事業所の組織目標の達成に向けた個人目標を設定し「業務目標自主管理シート」を作成します。年3回(5月、11月、2月)の施設長と職員の面談を通して、目標達成に必要な専門性の向上等の目標の共有を図ります。また、目標の達成度合いだけで無く、取り組みの過程で獲得できたスキルを評価し、さらなるモチベーションの向上につなげています。施設長は職員の目標を把握し日々の業務中に目標とのつながりを示唆し、個々の職員の目標達成に向けた取り組みを支援しています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

 人材育成方針を策定して法人として期待する職員像を明示し、人材育成の研修を体系化しています。法人が主催する年次研修では、入職時研修や1年目の法人の理解と支援者の基礎知識、2年目の法人の事業展開と福祉の仕組みや制度、3年目の障害ケアマネジメント等の研修を実施し、法人の研修委員会で年次研修のカリキュラムの見直しを行っています。また、事業所独自に利用者の障害特性に応じて歯科医の摂食相談や整形外科医や理学療法士による機能訓練等を実施し、摂食や機能訓練に関する研修を取り入れ、支援の専門性の向上を図っています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 施設長は、個々の職員が目ざす専門性や資格取得の希望等を把握し、目標達成につながる研修の受講に配慮しています。法人の階層別年次研修や川崎市主催の集団指導研修、社会福祉協議会が主催する権利擁護等の外部研修等への参加を推進しています。重度障害者の嚥下機能や身体機能に関する支援の専門性に視点を置いて、事業所独自に摂食研修や調理加工研修及び機能訓練に取り組んでいます。また、新人職員のOJTは研修の事前課題を作成し、先輩職員の指導のもとに訓練の結果を報告し、成果を評価し法人の研修委員会に報告しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

 昨年度は大学生など7名の実習生を受け入れています。「介護体験オリエンテーション資料」を作成し、実習生の受け入れの際には実習の目的や利用者特性、利用者へのかかわりで注意すべきこと等について説明し、個々の利用者の障害特性の理解につなげています。5日間の実習を前提とした「介護体験実習カリキュラム」を整備しています。職員は、カリキュラムに沿って日々の実習指導にあたります。実習生は毎日実習ノートを提出し、実習指導職員は実習ノートの確認を通して重度障害者への支援で留意すべきことなどをアドバイスします。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

 法人のホームページに、法人の理念や基本方針を明示し、組織図、事業計画、事業報告、予算・決算、財務諸表、第三者評価結果等を開示しています。また、法人の各事業所の概要等の情報を掲載し透明性を確保しています。法人の広報誌「育桜」を年2回発行し、法人の収支等の情報を関係機関や利用者・家族に開示しています。重要事項説明書に職員配置や苦情対応窓口、利用料金等について明記し利用者・家族に周知しています。また、事業所の広報誌「いぬくら」を年1回発行し、施設運営の施設長の方針等を明記して利用者・家族に伝えています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 監査法人による会計監査人を設置し、年度ごとに法人全体の会計監査人監査を実施し、監査結果をホームページに開示しています。会計監査人による法人内各事業所の内部統制評価を実施し、会計上のデータを確認し毎年5月に監査結果を法人の監事に報告しています。会計監査人監査のほかに法人監事監査を実施しています。施設ごとに内部統制について確認し、法人監事による監事監査会を5月に実施しています。令和3年度の監事監査の結果が現況報告書に明記されホームページに開示されています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 地域資源を活用し、文化活動を積極的に取り入れ地域との相互理解と友好を深めること等、地域とのかかわり方の考えを事業計画に明記し職員に周知しています。毎年区の連絡会に出席して区内の施設間の交流を図り、自主製品の展示や販売を通して地域住民との交流を図っています。また、施設の地域活動として、楽器演奏や歌の披露を行う利用者の「お祝い隊」が高齢者施設を訪問し、地域住民との交流を図っています。利用者の外出支援として飲食店のテイクアウトを取り入れ、地域の店舗と連携して利用者の社会参加を支援しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

 パンフレットの配付や募集依頼等を通してボランティア活動への参加を促すなど、ボランティア受け入れの基本姿勢を事業計画に明記し、職員に周知しています。コロナ禍の中で抑制している状況にはありますが、ボランティアの活用は必ずしも十分とは言えない状況です。地域のボランティアの拡大を図ることで、障害者施設への地域の理解が深まることが期待されます。ボランティア受け入れマニュアルを整備し、ボランティアの育成を図り、地域福祉への住民の関心の高さにつながる取り組みのいっそうの強化が期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

 川崎市社会福祉協議会施設長会に参加し、また、川崎市障害福祉施設事業協会に加盟し関係機関との連携に努めています。区主催の年1回開催の連絡会に出席し、地域の関係機関との情報共有を図っています。重度障害のある利用者一人ひとりの障害特性に対応できる地域の関係機関のリスト化や、緊急時対応の資料整備は今後の課題です。障害者相談支援センター、区の福祉事務所、ケースワーカー、病院等関係機関との連携のもとに個々の利用者の障害特性に応じた地域連携の支援のいっそうの強化が期待されます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市社会福祉協議会の民生委員交流会に参加し、また、川崎市障害福祉施設事業協会に加盟し、行政及び障害福祉施設相互の連携と情報共有を図り、地域福祉ニーズの把握に努めています。利用者・家族の高齢化傾向の中で、障害者支援の介護保健制度との支援の統一性や通所施設やグループホームへの支援機能拡大のニーズが指摘されています。また、医療的ケアや強度行動障害者支援等のニーズへの対応など、重度障害者への専門的支援の必要性が求められており、地域の福祉支援ニーズとして把握し対策を講じています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

 川崎市社会福祉協議会主催の「地域生活支援SOSかわさき事業」に法人として参加しています。分野・領域を超えた社会福祉法人のネットワークを構築し、ホームレスなど生活困窮者への食料、衣類の支給等の公益活動を推進しています。また、特別支援学校生徒を対象にした夏休み親子施設見学(体験)会を開催し、地域の福祉ニーズに対応しています。地域の公益的事業・活動の一環として、災害発生時の二次避難場所を想定し、3日分の飲料水・食料・毛布等を備蓄し緊急時に備えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人の基本方針に利用者の権利擁護と自立支援の推進を掲げています。基本方針の実践に向けた利用者支援標準マニュアル、及びフロアごとに個々の利用者の障害特性に応じた支援マニュアルを作成し、支援の統一性を図っています。毎年「虐待防止に向けての職員チェックリスト」を用いて全職員のセルフチェックを実施し、職員は利用者の人格を尊重した支援ができているかを振り返り、権利擁護意識の強化に努めています。また、フロアごとに権利擁護スローガンを定めて掲示し、職員の注意を喚起しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

 契約更新時に個人情報の使用や広報誌掲載等について利用者の意向を確認し、同意書をもらっています。広報誌を作成し行事や活動風景の様子を写真等で伝えたり、創作活動の作品等を紹介しています。写真などの使用にあたってはそのつど利用者本人の了解を得ています。利用者支援標準マニュアルにはサービス提供の場面ごとに個々の利用者のプライバシーに配慮し、具体的な手順を明示しています。また、毎月の職員のスローガンを定めて注意を喚起しています。今年度11月のスローガンは、「利用者の前で排泄関係の話をしない」でした。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

 施設情報はホームページ、リーフレット、広報誌「いぬくら」などを用いて施設利用を希望する人たちに伝えています。ホームページは法人が中心となり、見やすいことや必要な情報にアクセスしやすいことなどに配慮して作成しています。リーフレットは写真等で施設での生活がイメージしやすいように工夫しています。また、施設見学や1~5日の体験入所を随時受け入れており、特別支援学校・養護学校の夏休み施設見学(体験)会は、進路先選択の情報提供になっています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

 サービスの利用開始にあたっては、発語でのコミュニケーションが困難で意思確認が難しい利用者には見学や体験利用を勧めています。利用者が施設利用のイメージを持ち、安心して利用したいという意識を持てるように支援しています。契約面談では、本人にとって施設での生活がイメージしやすいように写真などを活用しながら説明し、施設利用の本人の意思を確認しています。言語では難しくても、うなずきや拒否の態度がない事などを保護者とも確認し、いぬくらでの活動が本人の生活リズムに合うかを相談しながら契約に進めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

 事業所の変更等新しいサービスへの移行にあたっては事前にサービス担当者会議を開催し、本人・保護者及び障害者相談支援センター等支援機関と話し合い、サービスの継続性が保たれるようにしています。必要に応じて移行先の見学や体験利用に職員が同行し、利用者の意思を確認しています。職員が同行することで本人と新たな支援者をつなげ、引き継ぎ資料を渡して本人が安心できるようにしています。移行後も利用者・保護者にはいつでも相談ができる事を伝え、馴染みの職員が対応することで利用者が安心できるように配慮しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 法人で利用者満足度調査を定期的に実施しています。2020年度の満足度調査では、建物内の清潔感に関する改善の指摘があり、翌年に事業所内に美化委員会を設置しました。1年間建物内の美化活動を推進し、掲示物やトイレ清掃用具の整備など改善策を講じています。建物の老朽化と構造上の制約があり、相談室を整理し個別相談が受けられるように改善しました。また、個別支援計画のモニタリング等で満足度を聞き取り、自治会の行事等の振り返りの中で、利用者が満足できたかを把握するようにしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

 苦情解決の仕組みについては施設内掲示や重要事項説明書等の契約時の書類で利用者・保護者に伝えています。受付担当者・苦情解決責任者を置き、苦情内容は記録システムに随時記録します。苦情申し出者には速やかに連絡し、改善への見通しを説明します。保護者等との話しやすい関係作りに配慮し、苦情対応の結果を口頭や連絡帳で伝えています。また、法人本部や第三者委員会、かながわ福祉サービス運営適正化委員会等の相談窓口を紹介しています。苦情内容及び解決結果等については利用者・保護者の個人情報に配慮したうえで、広報誌等での開示が望まれます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

 重要事項説明書には、苦情や相談について事業所や法人以外にも、第三者委員会、川崎市の窓口、かながわ福祉サービス運営適正化委員会等複数の相手を自由に選べることを明記し、契約時に利用者・保護者に配付し説明しています。言葉や文章での理解が難しい利用者が多いため、写真などで説明し個々の特性に配慮しわかりやすいようにしています。利用者からの相談については、利用者が安心して話ができるように、相談室や利用者が希望する場所で聞き取ります。職員は相談の内容を随時記録システムに入力し、職員間の情報共有を図っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

 職員は利用者の声に傾聴し、思いを聴き取り、職員間の情報共有を図っています。言葉によるコミュニケーションが困難な利用者が多く、職員は利用者の表情等を汲み取ることを大切にし、いつもと違う表情や行動があれば職員間で様子を共有し利用者の思いを推測します。苦情対応については法人統一のマニュアルを整備していますが、医療的ケアや重度障害の利用者特性に配慮した相談支援マニュアルの作成が期待されます。コミュニケーションの苦手な利用者が相談しやすいように、職員の支援の統一性を図るための対策の工夫が望まれます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

 「危機対応マニュアル」を作成して危機管理の基本方針を明記し、法人として対応すべき危機について明示し緊急時の対応に備えています。また、「ヒヤリハット・事故発生と事後対応マニュアル」を作成し、重要度のレベルに応じた処置と報告体制を明示しています。施設長が、事故やヒヤリハットの内容を毎日帰りの打ち合わせで職員に周知していますが、職員参加による事故やヒヤリハット報告の分析と対策の具体化については十分ではありません。職員参加による事故防止と危機管理対策の取り組みの強化が期待されます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 衛生管理委員会を設置して、保健衛生や感染症予防に関する対策を実施しています。「厨房衛生管理マニュアル」を整備し、HACCP(ハサップ食品衛生管理手法)を取り入れた衛生管理を実施しています。また、「いぬくら感染症対策マニュアル」を作成して感染症の予防と罹患時の対策を明記し、新型コロナウイルス対策等必要に応じて見直しを行い、職員に周知しています。毎年定期的にノロウイルス等罹患時の職員対応の実践研修を実施し、処置道具をフロアごとに設置し、吐しゃ物等汚物処理に対する職員の注意を喚起しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

 「非常災害避難計画」を作成して年3回総合防災訓練を実施し、年6回の自主防災点検を実施しています。総合防災訓練のうち年1回は地域の消防署に要請し訓練の状況について評価してもらいます。また、法人の安全委員会が主体となり、年1回危機対応訓練を実施しています。昨年度は直下型地震や水害を想定した訓練を実施しました。大規模災害発生を想定した「BCP(事業継続計画)いぬくら」を整備し、利用者・職員の安否確認や職員対応、避難場所等について明記しています。また、災害発生に備え利用者・職員向けに飲料水など3日分を備蓄しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

 「利用者支援標準マニュアル」を整備しています。マニュアルには、日中活動支援、食事支援、送迎支援等の標準プロセスを明記しています。また、フロアごとに医療的ケアの必要な利用者など、利用者の障害特性に配慮した支援マニュアルを作成し、フロアごとの職員の支援引き継ぎ資料として活用し、支援の統一性を図っています。年1回4月に職員は標準マニュアルの見直しに際し、1日の流れに沿ってマニュアル通りの体験実習を行い、マニュアル通りの支援に関する職員の注意を喚起しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

 年1回、年度初めにマニュアル類の見直をし実施しています。最新の利用者支援標準マニュアルは、2022年3月に改定したことが明記されています。マニュアルの記述は日中活動全般にわたるため、分掌ごとに関連する項目の担当職員が、見直しの必要性をチェックします。食事介助や機能訓練等個々の利用者特性の変化に応じて随時マニュアルを見直ししています。また、マニュアルの見直しに際しては、テーマを決めて職員がマニュアル通りの実践体験を実施し、マニュアル記述の適切性を確認し、職員間の支援の統一性を図っています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

 サービス管理責任者が中心となり個別支援会議を開催し、利用者支援に関する情報共有を図り個別支援計画を策定しています。アセスメントを実施し、利用者・家族面談を実施し利用者同意のもとに支援のニーズを個別支援計画に反映しています。重度障害者のストレングスを生かした個別支援計画の策定に努めています。医療的ケアの対応など利用者支援の根拠を示し、専門性を生かした個々の利用者への適切な支援に努めています。年2回モニタリングを実施し個別支援計画に沿った支援の状況を評価し、個別支援計画の見直しに反映しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

 年2回、個別支援計画の見直しを実施しています。また、利用者状況の変化に応じて随時見直しを行います。見直しに際しては個別支援会議を開催し、重度障害者の機能訓練や摂食支援の現場支援の状況を確認し、利用者のストレングスを生かした職員の支援者としての視点を大切にしています。会議の内容を全職員に回覧し情報共有を図っています。また、半年ごとに個別支援計画の目標に沿って達成状況のモニタリングを実施し、評価結果をもとに課題を明確にして個別支援計画の見直しに反映しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

 記録システムを導入し、パソコンを活用して利用者支援に関する各種の情報を入力し、職員間の情報共有を図っています。記録システムはケース記録等の利用者支援に関する情報だけでなく、利用者個人情報など施設運営全般に関する情報や会議録、看護や栄養に関する情報など多岐に及ぶ情報が登録されています。職員は、個別支援計画の目標に沿って日々の利用者支援が実践されていることをケース記録に記述し、また、日々の支援で注意を要する事柄を特記事項としてケース記録に記述し、職員間の情報共有を図り、支援の統一性を図っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

 プライバシーポリシー(個人情報保護方針)をホームページに掲載しています。個人情報を慎重に取り扱い、法人としての個人情報保護に関する考え方に関する11項目の取り組みについて開示しています。個人情報保護規定を策定し、個人情報保護管理責任者を指名し、個人情報の収集や目的外利用の制限、個人情報の記録・保存等について明示し全職員に周知しています。事業所内の個人情報に関する資料は、鍵管理の書庫に保管しています。パソコン上の個人情報はパスワード管理を行い、データの不正利用や漏洩の防止を図っています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の体験を重視した支援に努め、体験することで利用者が自分の意思で選択し意思決定ができるように支援しています。職員は、個々の利用者の日々の様子ややりとりを記録に残し、言葉だけでなく「手が上げられる」「声が出せる」といった残存機能を生かして、本人の行動から本人の意思を把握しています。本人が得意とすることに自信を持ち、本人の意思で納得した活動につなげるように配慮しています。職員は、個々の強みを生かした活動を利用者本人が継続していけるように、絵カード等を用いて利用者が安心して次の行動に移れるように支援しています。毎月、利用者の自治会を開催しています。それぞれが希望する昼食メニューをリクエストするなど、自治会は利用者が主体となって意見を出し合う場になっています。職員は、メニューの映像を用いたり、焼肉のたれなどの食事の匂いのもとを使ったりして利用者が選択しやすいように支援しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

 基本方針、職員行動指針、虐待防止対応規定等に利用者権利擁護について明記し職員に周知しています。虐待防止委員会が主体となり、毎年「虐待防止に向けての職員チェックリスト」を用いて全職員のセルフチェックを実施し、職員は自らの人権意識や利用者の尊厳を傷つける対応をしていないかを振り返ります。また、虐待防止の早期発見チェックリストを作成し、身体的虐待発見の5項目の着眼点を明示して、権利侵害の早期発見に努めています。「車椅子移乗の時の声掛け」「利用者の前で排泄の話はしない」などフロアごとに権利擁護スローガンを定めて掲示し、毎月見直しを実施し、職員の権利擁護に向けて注意を喚起しています。やむを得ず行う身体拘束については虐待防止委員会で検討し、個別支援計画にも掲載し、利用者・保護者に了承を得ています。就業規則に不適切行為に対する懲罰規定を明記して、職員に周知しています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者のストレングスに着目した個別支援計画を策定し、個々の重度障害のある利用者が、残存機能を生かして自分らしく、安心して日々の生活が送れるように支援しています。歯科医による摂食相談を実施し、利用者に最適な食事形態で安心して摂食できるように支援しています。また、利用者の外出支援の中では、地域の店舗の協力を得て、利用者のテイクアウト支援を実施し、利用者が地域で生活できるための安心感につなげています。職員は利用者が困っていることに対して、どうすればできるのかをいっしょに考えます。やり過ぎていないか、必要な介入はタイムリーにできているのかを常に検証し、利用者の選択と行動への思いを尊重した支援を心がけています。グループホームでの生活を希望している利用者については、障害者相談支援センター等地域の関係機関と連携し、利用者の体験利用等を支援し、利用者の自立に向けた地域生活の実現を支援しています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者によってコミュニケーションの方法がさまざまなため、職員は言葉でのコミュニケーションだけでなく、表情や手足の動きなどを見ながら利用者の思いを把握しています。職員は、日々の支援における利用者の快・不快の反応や状態を記録に残し、利用者支援のニーズの見直しを行います。フロアごとに工夫して、利用者の障害特性に応じて絵カードや写真、スケジュールボード等を用いて、利用者とのコミュニケーションを図っています。本人に合ったツールを繰り返し使い習慣化する事で、利用者のコミュニケーションスキルの向上につながっています。職員は、利用者が安心して自分の気持ちを表出できるよう、本人の状況に配慮して適切な声かけを心がけています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は、一対一で利用者が安心して話ができる環境を整え、利用者の思いを傾聴し、課題の解決に向けて利用者といっしょに考える姿勢を大切にしています。言葉だけによらず、いつもと違う表情や行動からも利用者の思いを汲み取ります。利用者が話をしたい時にいつでも対応できるように心がけていますが、対応できない時は、必ず話ができる時を伝え、利用者が安心できるようにしています。また、可能な限り体験して知る機会を提供し、本人が自分の気持ちを確認し判断する材料を増やすようにしています。グループホームに入りたいといった利用者からの相談を受け、サービス管理責任者を通して障害者相談支援センター等の関係機関との連携を図り、利用者の要望を個別支援計画に反映し、グループホームの体験利用につなげた事例があります。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

 利用者の障害特性に応じたサービス支援のニーズを個別支援計画に反映しています。利用者は個別支援計画の目標に沿って、利用者自身が希望する日中活動に参加します。絵を描くことが好きな利用者は、自主製品のカレンダーの下絵づくりや、地域の展示会に向けた作品づくりなどに、個別に取り組めるようにしています。重度障害のある利用者の自立を支援することを柱に据えて、個々の利用者のニーズを事業所全体で共有し、サービス支援の内容が個別支援計画の目標に沿ったものであることを確認しています。また、日中活動の一環としての季節行事や、地域の高齢者施設での楽器の演奏や歌の披露など、各種のレクリエーション活動を実施しています。職員は、利用者がレクリエーションを楽しみ、自然な形で体を動かし、リラックスできるように支援しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 事業所は、医療的ケアの必要な利用者や身体障害を伴う重度障害のある利用者を多く受け入れています。体調不良のときや急に状態が変化したときなど、専門性に裏付けられた適切な対応が求められます。職員は、医師や理学療法士及び関係機関と連携し、常に専門知識の習得を図っています。フロアごとに、利用者の個々の障害特性に関する支援マニュアルを作成しています。機能訓練における利用者の腕やひざなど手足の動きの状態や、自閉症の行動障害への対応など、日々の利用者支援の状況をケース記録に記述し、特記事項として職員間の情報共有のための申し送り事項を活用し、ひとりの職員の気づきを全体で共有し、支援の統一性を図っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 ほとんどの利用者は、日常生活の食事や排泄、入浴などの全介助を必要としています。年4回、歯科医が施設を訪問して個々の利用者の摂食相談に応じ、利用者に安全な食事形態を指導しています。多くの利用者はソフト食で、ペースト食やきざみ食の利用者もいます。職員は、材料や調理方法を工夫し、安全においしく食べられるように支援しています。また、入浴は全員ミスト浴装置を利用して、利用者が快適に安心して利用できるようにしています。送迎者への移乗は、安全性に配慮しリフトを用いています。職員2名が相互に声をかけて、安全性を確認しています。利用者の障害特性に配慮し、ストレングスを生かした生活課題を個別支援計画に反映しています。個別支援計画の目標に沿った支援が実践されていることをケース記録に記載し、職員間の情報共有を図っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

 職員が毎日清掃マニュアルに基づいて、トイレなどの共用空間の清掃と消毒を実施しています。コロナ禍の状況に配慮し、サーキュレーターを設置して常時部屋の換気に注意しています。作業室の備品配置など安全と快適さを考慮して、動線を確保したレイアウトになるよう工夫しています。建物の老朽化対策として、1階の畳スペースは床上げを行うことで、かびや湿気を防いでいます。また、2階の男性トイレに簡易ベッドを設置し、安全に排泄介助ができるようになりました。年3回専門業者に委託して、災害対策用備品や敷地内・建物内安全点検を実施し、また、2か月ごとに自主防災点検を実施し、車椅子のぶつかりがないように日ごろの利用者の動きに配慮するなど安全性の維持に努めています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

 職員は利用者の残存能力を生かすことを大切にしています。整形外科医や理学療法士が年6回程度施設を訪問し、利用者を診断して機能訓練の個別メニューを作成します。個別メニューを個別支援計画に反映し、利用者が主体的に取り組めるようにしています。利用者の状況によってはリハビリテーションセンターの医師や理学療法士、作業療法士のアドバイスを受け、専門的支援を得て利用者への支援に努めています。また、日中活動を通しての生活訓練に力を入れています。利用者の生活リズム作りとして、歯磨き支援や、テレビを見る順番を決めて利用者が安心してテレビが見られるようするなどの支援を行っています。また、外出支援の一環として、飲食店の協力を得てテイクアウト支援を実施し利用者が店舗で料金の支払いを行う行為など、個々の利用者の地域生活の自立に向けた支援を行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

 年2回の内科健診、歯科医健診、年1回実施の結核健診、生活習慣病予防検診を実施し、また、年5回の整形外科検診、年6回の理学療法士検診を実施しています。また、年4回の歯科医による摂食指導を実施し、個々の利用者の嚥下機能に応じた食事形態の指導を受けています。検温を含むバイタルチェックを毎日実施し、月1回の血圧測定(高血圧は毎日測定)や体重測定を実施しています。バイタルチェックや排泄チェックの結果を記録し利用者の健康状態の把握に努めています。体調不調の利用者は家族と連携し、必要に応じて医療機関が作成した指示書に基づいて緊急時の対応を行います。利用者の健康状態や家庭の状況に配慮し、必要に応じ職員が通院支援を行います。診察の結果や薬について記録システムに記入し、職員間の情報共有を図っています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

 事業計画に医療的ケアが必要な利用者には、家族の了解のもとに主治医による指示書に基づいて支援することを明記し、職員に周知しています。3名の常駐の看護師を配置しています。嚥下障害、吸引、吸入、胃ろうなどの医療的ケアが必要な利用者が多く、看護師が医療機関の指示書に基づいて支援を行っています。服薬管理を徹底し、服薬事故防止を図っています。服薬は、利用者家族から薬を預かり看護師が医師の処方に基づき班ごとに配薬します。担当支援員が服薬チェック表に沿って利用者の服薬の状況をチェックし、最後に看護師が薬の空袋をチェックして服薬事故の防止を図っています。また、災害時対応の必要性に配慮し、3日分の利用者の薬を保管し緊急時に備えています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 社会参加の機会として利用者は自主製品の作成に取り組み、季節に合わせた創作活動を行っています。利用者が作成する自主製品には、カレンダー、エコバッグ、雑巾セット、ストラップ、ステンシル、ピアスなど多彩な製品があります。これらを地域の展示会など各種のイベントに出品して、地域住民との交流を図っています。利用者は自身の好みや得意・不得意の状況に応じて参加しています。また、利用者の外出支援の一環としてのテイクアウト支援を実施し、利用者が店舗で料金の支払いを行う行為など、個々の利用者の社会参加を支援しています。また、利用者の自治会活動を積極的に支援しています。利用者が自由に発言し、利用者同士で話し合い、食べたい物や行きたい所などを自分たちの意思で決定します。職員は自治会活動を通して、利用者自身の意思決定による社会参加を支援しています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 地域で生活する利用者の自立に向けた支援に努めています。利用者の多くは親と同居しており、自宅から通っています。そのため、家族の高齢化やレスパイトケアのための、グループホームやショートステイの地域の関係事業所との連携の必要性が高まっています。障害者相談支援センターと連携し、通所している利用者の自宅からグループホームへの移動を支援しています。利用者が自立した地域生活を送れるように、日中活動の外出の機会を利用して、利用者の体験を生かした支援を推進しています。自治会役員会活動では、地域の飲食店マップを作成しています。送迎者に乗っている時に利用者が見たことのある店舗のイメージをマップで共有し、利用者が地域で意欲的に利用できるようにしています。また、利用者の外出支援を行い、コンビニや喫茶店での注文やお金の支払いなど、利用者の日々の暮らしに必要な体験の積み重ねを大切にしています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

 連絡帳を活用し利用者家族とのコミュニケーションを図っています。また、日々の送迎時には、対面で利用者の日中活動の状況を家族に伝え、利用者の家庭生活の状況等を把握して、利用者家族の施設への要望や思いの把握に努めています。家族の高齢化等の理由で、家族への個別的配慮や支援が必要なケースがあります。週ごとに家族に電話連絡し、同行通院やヘルパー活用、在宅支援の必要性など週間予定の確認が必要になっています。職員は支援が必要と考えられる場合は、関係機関に連絡して、サービス支援に関する情報共有を図っています。利用者の体調不良時などには、家族やグループホームとの連絡を密にとり、障害者相談支援センター、病院等の関係機関と連携して、速やかに協力体制が取れるようにしています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】