社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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かたくりの里

2023年01月24日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 かたくりの里 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護, 就労継続支援(B型) 定員 60名(就労継続支援B型40名、生活介護20名) 名
所在地 252-080
藤沢市湘南台5-1-2
TEL 0466-45-8512 ホームページ http://www.tomoni.or.jp/katakuri/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1988年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:8 名
非常勤職員:12 名
専門職員
社会福祉士:4名(常勤2名、非常勤2名) 名
精神保健福祉士:5名(常勤3名、非常勤2名) 名
看護師:1名(非常勤1名) 名
介護福祉士:1名(非常勤1名) 名
施設・設備の概要
作業室:4
面談室:2
休憩室:2
食堂:
厨房:
事務室:
多目的室:
梱包室:
倉庫:2
トイレ:男性2、女性2、多目的1、共用2
シャワー室:
店舗:

③ 理念・基本方針
【理念】
(1)ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
(2)先駆的で開拓的な事業を展開します。
【基本方針】
1.人権の尊重とサービスの質の向上を図ります。
2.インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を行います。
3.地域との共生をめざします。
4.ニーズの多様化・複雑化に対応します。
5.社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
6.説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
7.人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
8.柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
9.財務基盤の安定化に努めます。
10.国際化への対応に取り組みます。
11.社会貢献活動に積極的に取り組みます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
当事業所では、就労継続支援B型と生活介護の二つの事業を行い、利用者者様の多様なニーズに応えられるように事業を行っています。

就労継続支援B型では、製菓部門、受注・軽作業部門があり、利用者様の意向と強みに合わせて作業部門を決めています。
製菓部門ではクッキーを中心とした焼菓子の製造・販売を行っています。生地の生成から焼き作業、トッピング、袋詰め、シール貼り、販売など多くの工程があり、利用者様の意思を尊重しながら作業内容を決めています。
受注・軽作業部門では、レトルトカレーの箱詰めやダイレクトメールの封入作業など様々な作業などを行っており、利用者様お一人お一人に合わせ、作業をお願いしています。
その他、施設外作業として、一般企業の倉庫内での仕分け作業や、近隣農家での畑作業を行い、就労に向けての支援を行っています。

生活介護では、プログラム活動を中心として、生活リズムや体調を整える場、日中の居場所として安心してご利用いただけるように事業を行っています。
また、軽作業も行っております。短時間から参加できるようにし、ご本人のペースを尊重して、作業を行えるようにしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/16(契約日) ~2022/12/21(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)利用者の状況に合わせ、柔軟なサービスの利用ができます
利用者は主に精神障がい者を対象としています。利用者の体調によって、就労に向けた継続的な通所や作業の困難な場合がありますが、そのような場合は、生活介護部門に移籍し、生活リズムを整えながら、安心できる居場所でゆっくり過ごせるサービスが選択できます。体調が戻れば、就労継続部門に復帰することもできます。就労継続支援事業と生活介護事業の両方を、同一事業所として運営する特長を活かし、利用者の状態に合わせ、柔軟なサービスの利用ができます。

2)利用者の適性、能力を活かせる多様な作業メニューを用意しています
利用者の適性、潜在能力を見つけ出し、本人が希望する生活や就労に向けた取組をしています。就労継続支援部門では、製菓、軽作業、清掃作業などがあります。隣接する店舗、市役所、生協などで毎日のようにお菓子の販売活動をしています。軽作業では商品の箱作りやパソコン作業をしていました。施設外では一般企業の倉庫作業、近隣農家の農作業もあります。職員が「農福コーディネーター」の資格を取り、農家とのネットワークを広げる取組もしています。利用者の可能性を広げる、さまざまな作業メニューを用意し、利用者は選択することができます。

3)豊富な食事メニューを自由に選択できます
食事は、20種類ものメニューを用意し、利用者が毎日、好きなものを選択することができます。季節限定メニューもあり、写真付きのポスターを貼り、利用者の楽しみを膨らませています。その日の体調により通所が不確定で、予約をしにくい方もいるため、朝9時半までに申し込めば希望のメニューを食べられるようにしています。利用者から「食事をしたいから、来た」という声もあるようで、通所を続ける楽しみの一つとなっているようです。

4 )事業所としての中・長期計画策定が期待されます
法人としての中・長期計画が策定されています。現在、事業所としては中・長期計画は作成されていません。管理者は、事業所としてめざしていきたい将来像を持ってはいますが、具体的に計画化、文書化されていないので、今後の課題と考えています。事業所の特性、歴史、使命の事業所独自のものを検討し、今後、職員、利用者とともに、未来への構想を話し合い、形にしていくことが期待されます。

5)業務内容、手順などを整理し、文書化をすすめることが期待されます
事業所の日常業務、標準的な業務を提供するための手順書、マニュアルを整理、整備していくことが課題です。ボランティア、実習生の受け入れに力を入れていますが、受け入れの基本的考えや手順を文書化して、職員の共有化がしやすいようにすることが望まれます。自己評価や第三者評価の結果、どのような課題に、どう取り組んできたのかを文書化し、管理者や職員の交代があっても、検証可能で継続した取組が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 事業所として必要な業務や現状について再確認する良い機会となりました。アンケートでは、利用者様のご意見やお気持ちを伺うことができました。今後も事業所で定期的に満足度調査等を行い、皆様のお声を大事にして、よりよい支援を目指してまいります。
 日常業務の手順書やマニュアルなどの整備が課題であると再認識いたしました。職員間での共有を行い、文書化を進めてまいります。
また、今回の評価結果を受けて、課題に対する取り組みを継続的に行い、事業所として定期的に検証してまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念、基本方針はパンフレットやホームページに公開され、事業所の事務所にも掲示されています。職員は入職時の研修で説明を受け、周知しています。また基本方針を反映した事業計画が作成されており、職員会議でも機会を見て、確認するようにしています。利用者や家族には契約時に基本方針の説明をし、理解を求めていますが、より分かりやすい工夫をしていくこと、周知を継続していくについては、十分ではないと考えており、今後の課題としています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

事業経営を取り巻く環境や経営状況については、主に法人からの情報で把握しています。管理者会議に参加するとともに、経営企画会議の議事録や行政からの通達などがメールで配信され、最新の社会福祉事業全体の動向を確認しています。事業収支の状況は常に把握し、利用者数、利用日数、利用率の推移を確認、分析し、収支改善に向けて上部機関と対応を協議しています。事業所としては、「神奈川県精神障がい者地域生活支援団体連合会(県精連)」や「藤沢市地域生活支援連絡会」に参加し、地域の動向の把握に努めています。地域の福祉計画の策定動向と内容の把握、分析までは行えていません。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

現在の経営課題として、利用率を向上させ収支を改善することをあげています。コロナによる影響だけでなく、日々、波がある利用者の体調次第で利用率が変動します。そのため、通所につながりにくい利用者に面談等のアプローチをする必要があると考えています。次に、「利用者の工賃向上」と「個別支援」とのバランスを課題としています。作業に追われると、利用者への丁寧な個別支援が弱くなってしまうので、面談の時間をあらかじめ設定するなどの工夫をしています。このような課題は職員間で共有していますが、状況の改善につながるよう努めていきたい、と考えています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

以前は、法人としての中・長期計画が策定されています。現在、事業所としても中・長期計画は作成されていません。管理者は、事業所としてめざしていきたい将来像を持ってはいますが、具体的に計画化、文書化されていないので、今後の課題と考えています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

単年度の計画は、法人の理念、使命、指針を土台として、当年度の重点目標を掲げています。業務面では、作業、工賃、職場実習、就労支援、利用者支援、家族支援などの計画が記載されています。この他、研修、年間予定、行事計画、社会貢献・地域貢献の取組について計画しています。中・長期計画がないために、単年度事業計画の積み重ねとなっています。数値目標や具体的な成果を設定し、実施状況を評価できるような計画を策定していくことが課題です。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、職員会議、リーダー会議での話し合いを通じて所長がまとめて作成し、3月の職員会議に報告しています。進捗状況を半期ごとにまとめ、法人に報告しています。実施状況の把握や見直しについては、職員全体が把握できるような取組ができていなかったため、事前に部門ごとに話し合ってもらったり、個別に意見を出してもらうようにしています。事業計画への職員参画をさらに進めていきたいと考えています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画について、利用者や家族に対して分かりやすい資料の作成や積極的な周知への取組ができていなかった、と考えています。行事計画は、利用者にとっても関心が高いことなので、本来は年間の予定をお知らせすべきですが、利用者の特性上、難しさを感じています。予定通り実施できないことが多く、また、変更があると、戸惑う方もいるため、確定した時点で予定をお知らせするようになっています。月初めの利用者ミーティングで次月の予定を伝え、外出先を利用者の投票で決めるなどの取組に努めています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの内容について、所属するエリアのグループ会議で毎月の事業報告書を提出、報告し、課題を話し合っています。事業所の課題については、法人執行役員、グループ長、事業所管理者が個別に協議し、対策を検討しています。事業所としても重点課題を設定し、事業計画に盛り込み、改善の取組を行っています。ただし、目標の立て方が曖昧だったり、評価の方法が確立されていないことは課題と考えています。第三者評価は3年に1度受審しています。法人の取組として職員の満足度調査(運営、職場環境等)を実施しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

事業報告を半期に一度法人に提出し、振り返りを行い、課題を明確にしています。職員会議等で職員間で共有し、解決に取り組んでいます。3年前に第三者評価を受審しましたが、その結果を受けて事業所が課題解決にどう取り組んだのかが曖昧になっていました。管理者交代時に、引き継ぎができていなかったことを反省点としています。今後は、評価結果から明確になった課題について、職員の参画の下で、改善策や改善計画を策定し、文書に残すことで、管理者交代があっても、取組が継続していくような体制づくりが期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

管理者の職務内容、責任と権限は経営、運営、資産管理、人事、環境整備、工賃向上、法人への進言などに及び、「職務権限規程細則」に詳細に記載されています。非常時の連絡体制については、法人作成の「職員ハンドブック」にフローチャートがあり、管理者への報告の流れが記載され、職員に周知されています。事業所内では、管理者、副主任(サービス管理責任者)、副主任、の順位で責任が委譲されることになっていますが、文書化はされていません。管理者の役割については特段、広報紙等での掲載はしていません。「職務権限規程」はいつでも職員が閲覧できるようになっています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人には「法令遵守規定」があり、責任者は、常務理事となっています。法令遵守違反の疑いがある場合、「コンプライアンス検討会議」で解決に取り組むことになっています。「コンプライアンス推進室」が事業所からのさまざまな事象を把握し、適切な指導をすることになっています。事業所は「法令遵守規定」にもとづき、関係利害関係者との適正な関係を保持している、としています。新しい法令については、法人内外の研修を受けています。法人の「倫理行動綱領」および「倫理行動マニュアル」があります。「職員ハンドブック」には内容が分かりやすく記載されており、職員に周知されています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は職員会議で、事業所の月次状況報告を冒頭に行い、状況や課題について評価、分析し、職員に伝えています、職員会議の前には、部門リーダー会議を開き、職員会議で話し合う議題を検討、整理しています。福祉サービスの質の向上に向けて、それぞれの会議で職員の意見を聞いて、現場職員の視点を大切にするよう努めています。職員の研修については、階層別研修、分野別研修、職員にとって必要と思われる研修への参加を促しています。サービスの質の向上に向けた取組は今後さらに努めていきたいと考えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

利用率を向上させるために、休んでいる利用者へ声かけなどのアプローチをしています。また、利用者の新規開拓に向けて関係機関を回る予定にしています。時間外労働を削減するために、職員と個別面談をして業務の整理をしています。職員の異動や退職などで職員体制に変更がある場合は、職員の意向を聞いて、職員配置を行っています。部門を超えて職員が話し合うような機会を作ることで、相互に協力し合う雰囲気を作り出しています。職員がより協力しあう環境を作るために、課題の共有や業務マニュアルの作成に取り組んでいますが、組織的な活動には至っていません。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人として人材確保と育成に関する基本的な考え方をホームページで示しています。人材確保の計画は法人人事部が行っています。常勤職員は法人が、非常勤職員は事業所が中心となって採用活動をしています。ホームページの採用サイトでは、仕事の内容を写真付きで紹介し、職員一日を追った記事を載せています。現職職員が仕事のやりがいについてメッセージを寄せて、志望する人の参考にしています。人員確保については、法人全体の課題となっています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の「職員倫理行動綱領」に職員としてのあるべき姿を掲げており、また、「職員ハンドブック」に13項目にわたって期待する職員像が明記されています。「職員昇給・昇格・昇進に関する細則」が定められており、常務理事、事務局長、エリアマネジャー、所長による推薦で審査会による総合審査および理事長の最終判断で決められています。しかし、職員全体に仕組みの周知が十分できてはいないと認識しています。人事考課は、昨年度まで法人のシステムにより実施されていましたが、現在は、システムの再構築を検討しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

法人は職員に対して、年に1回「意向調査」を行い、現在の業務についての認識や、次年度の就労意向、異動の希望、面談の希望、などの情報を把握しています。面談相手は、所長以外を希望することもできます。メンタル面での悩みを相談できる「こころの相談室」には、心理士が対応しています。傷病休暇や育児休暇からの復職などをサポートする「いきいきライフサポート室」には、産業医、心理士などの専門職が配置されています。ハラスメント相談連絡先の一覧表が職員ロッカーに貼ってあります。有給休暇は常勤年5日の取得、非常勤は完全消化を呼びかけています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員に対して業務上の目標を聞き取り、本人が取り組みやすいように業務を調整したり、関連する研修受講を促すようにしています。昨年度までは、法人共通の人事考課システムを使用し、具体的目標を定めて、年度当初、中間、年度末に面談と確認を行っていましたが、今年度は人事考課の見直しが行われており、目標管理のための仕組みを再構築中です。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人の研修委員会が研修計画を策定し、新人研修や事例検討を行っています。国家資格取得支援のため、学費を貸付し、合格して一定期間勤務をすれば、返済を免除される制度があります。法人の研修計画に基づき、対象となるような職員にそれぞれ受講の声かけをしています。事業所として研修のねらいや目的、対象者をあらかじめ明確にした、年度研修計画の策定が期待されます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

法人の研修計画には階層別研修があり、経験年数に応じた研修を受けられるようになっています。入職3年目の職員は、法人内の他の事業所を1日体験する「交流研修」を受講していますが、これは職員の視野が広がり、良い刺激になっています。新人職員には、法人の研修に加えて、OJTとしてサポート職員が1名つき、1ヶ月後に達成状況を評価するようにしています。職員の経験や習熟度に配慮した個別的なOJTプログラムの具体化に期待します。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生は、事業所の福祉サービスを理解する人を広げるために大切な存在と認識しており、社会福祉士、精神保健福祉士、看護師養成校の実習を積極的に受け入れています。実習生は事業所の作業部門に入り、ほぼ職員と同じ動きをしながら学び、実習日誌を書き、日々の振り返りをします。最終的には個別支援計画を作成することになっています。実習生のプログラムと流れは決まっていますが、受け入れマニュアルの整備が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念、基本方針、事業計画、予算書、決算書、事業所の活動は、法人ホームページ、パンフレット、法人広報紙において公開しています。第三者評価は定期的に受審し、結果は公表されています。苦情解決体制(責任者、窓口、第三者委員)も公表されていますが、苦情内容への対応については、個人的なことにもかかわるので公表はしていません。苦情内容についてどのような対処をしているかは、事業所の姿勢を外部に理解してもらうためには必要であり、個人を特定されない範囲で内容を公表していく取組に期待します。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は「内部管理体制の基本方針」のなかで、経営についての管理体制、リスクの管理体制、監査環境の整備を定めています。法人事務局が定期的に巡回して、内部監査を実施しています。経理、取引の適正な運営ルールは「経理規定」のなかで具体的に示されています。法人で数年に一度外部の専門家に委託し、各事業所の財務監査支援を行っています。取組について、職員への周知が十分ではないと考えています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「地域との共生」が基本方針であり、地域との関わりについて、生協や市役所などの販売会への利用者の参加や、農業を通じての地域交流を「事業計画」で明記しています。掲示板に法人運営のカフェやイベントのポスターを掲示し、利用者に周知しています。地域のお祭りやイベントにおいて、利用者は販売で参加しています。近隣農家での農作業や一般企業での倉庫作業を通じて、地域の方とともに仕事を行い、社会参加の機会を作っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアは現在、3名が定期的に活動しています。ボランティアセンターに団体登録し、ボランティア保険に加入しています。ボランティア希望の方の紹介があると、面談の上、個人情報保護等について説明し、同意書を提出していただきます。市の精神保険ボランティア育成講座に実行委員として参加しています。ボランティアの受け入れの手順は決まっていますが、基本姿勢やマニュアルの明文化がされていないので、今後の課題です。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

行政機関、医療機関、デイケア事業所、就労援助センターなど、提携機関のリストは独自のものではありませんが、市が作成したものを活用しています。市の精神障がい者地域生活支援連絡会や湘南東部地区精神障がい者就労推進協議会(SEJA)に参加し、共通の課題解決に向けて情報交換や協働した取組を行っています。就労の機会を増やすために、「農福連携コーディネーター人材育成研修」に職員が参加し、コーディネーターの資格を取得して、その人脈で農家との連携を作り、新たな就労のきっかけを作ることができました。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

県精神障害者地域生活支援団体連合会(県精連)、市精神障がい者地域生活支援連絡会など関係団体に参加し、福祉ニーズを把握し、共通課題を共に取り組んでいます。また自治会に参加し、組長も経験して、会費の集金や草むしりなどを通じて地域との信頼関係を築いてきました。自治会から敬老の日のプレゼントで使用するお菓子の注文を受けました。地域との連携、生活課題の把握や取組は今後の課題と考えています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

現在はコロナ禍により中断していますが、地域貢献のために、法人では社会貢献活動プロジェクトを立ち上げ、横浜市中区寿町での生活困窮支援事業を行う「寿炊き出しの会」やバザーを行っています。日本赤十字社の職員の献血活動を実施しています。事業所として自治会や商店会に加盟していますが、地域貢献につながる活動は今後の課題としています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本方針の第一項に「人権の尊重とサービスの向上」を掲げ、「倫理行動綱領」、「倫理行動マニュアル」で具体的な支援姿勢と支援の最低基準を示しています。これらは入職時に配布する「職員ハンドブック」に載せています。職員は1年目にグループワークも含め3回シリーズで実施する「社会福祉施設職員の職業理念、倫理」の研修を受けており、理念や基本方針は職員室内にも掲示しています。支援会議では個々の利用者を尊重し、日々の支援が基本的人権に配慮したものとなっているかどうかを振り返っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

「倫理行動要綱」の基本的理念で「自由とプライバシーの守られる環境の維持」をうたい、職員ハンドブックで具体的に記述して職員が実践できるようにしています。利用者がベッドで休むときのためにパーテーションを用意しています。「かたくりの里 基本ルールとマナー」で「ほかの利用者の方の個人情報をむやみに他人に話したり聞き出したりすることを禁止します」「ほかの利用者の方に断りなく動画・カメラ撮影をすることを禁じます」と記し、利用者にもプライバシー保護を呼びかけています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

ホームページやパンフレットではイラストや写真を多数掲載し、事業所での過ごし方がイメージできるようになっています。パンフレットは市役所や相談支援事業所、病院のデイケアルーム、商品を販売する店舗等に置いています。月に1~2名見学希望者がおり、積極的に受け入れています。事業部門(就労継続支援B型事業と生活介護事業)、週当たりの通所日数、部門内の作業や活動内容など、ニーズに応じていろいろ選択できることを特に丁寧に説明しています。事業部門は両方とも体験してから選択することができます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

サービスの開始にあたっては、利用契約書や重要事項説明書を渡して説明しています。開始時及び変更時には、利用者から同意書を受け取り、保管しています。文章だけでわかりにくい部分については、写真等も用い、口頭でも補足説明しています。新事業である生活介護の利用契約書は、すべての漢字にふりがなを振り、項番も入れ替えて就労継続支援B型の契約書と比べわかりやすくなっています。サービスの変更時の説明については、さらに分かりやすくしたいと考えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

サービスの変更や移行等の際は、本人の意向を大切にし、不利益が生じないように進めています。ただ、移行先への連絡について、手順や引き継ぎ文書等は定められておらず、今後の課題と管理者は捉えています。また、利用終了後、相談に乗ることはありますが、口頭で答えているだけで、文書を渡すことはしていません。今後、手順を定めて文書を作成し、記録を残していくことが期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

就労支援事業B型では月1回、事業所内の環境を含めて意見を出してもらうため利用者ミーティングを開いています。「床やドアが汚れているからきれいにしてほしい」など意見を出してもらって記録に残し、改善しています。レクリエーション活動の内容は利用者の意向をもとに組み立て、実施後感想を聞いています。その他、随時行う個別面談で利用者満足を把握しています。満足度調査やアンケートについては、定期的に実施することを検討中です。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決に関する規則」「苦情解決事務手続き」を策定し、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を設置して体制を整備しています。重要事項説明書に苦情の受付及び権利擁護について明記し、利用契約時に説明しています。また、苦情解決責任者等の連絡先や顔写真を載せた苦情受付ポスターを所内に掲示しています。また、意見箱を設置し、匿名でも意見を言えるよう配慮しています。ほとんどの苦情は直接職員が口頭で受け、所定の記録用紙に記入しています。苦情内容、解決結果を、苦情を申し出た方への配慮をしたうえで、公表していく取組に期待します。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

相談の際は、利用者が職員を選択できることを周知しています。苦情に関しても、複数の苦情受付窓口のほか、外部の第三者委員や藤沢市、神奈川県の相談先を重要事項説明書等に明記し、事業所内に掲示しています。法人のホームページには問い合わせのページがあり、そこからも苦情の申し入れができます。相談を受ける際は面談室を使い、プライバシーに配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

「クレーム(苦情)対応マニュアル」「クレーム(苦情)報告マニュアル」を整備しています。福祉サービスの向上につながるよう、苦情受付担当者は年に2回研修を受けて対応の仕方を学んでいます。相談や意見の内容は朝礼または終礼で共有し、「開門時間が遅い」などの軽微な問題点であれば即改善していますが、多くのクレームは対応前に副主任や管理者に報告・相談しています。作業等の業務で相談を持ちかけられた時にすぐ対応できないこともあるので、相談日や時間帯を決めて作業量を調整するなど、相談しやすい環境整備を検討しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

ヒヤリハット/インシデント分析管理委員会を設置し、委員会主催の研修を実施しています。職員ハンドブックに危機管理について記載し、トラブル発生時の対応を職員に周知しています。近隣の利用者への送迎を行っているため、車両にまつわるヒヤリ・ハットの割合が多くなっています。日々の終礼でヒヤリ・ハットの報告をし、対応策を検討して実施しています。例えば利用者が頭をぶつけそうなできごとがあったら、クッションをつけ、「頭上注意」と大書しています。収集したヒヤリ・ハットは分類して集計しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人で危機管理室を設置し、感染症予防に対するガイドラインを作成して定期的に改定しています。ガイドラインを職員に配布し、マニュアルの読み合わせを行っています。日々の地域の感染状況などを朝礼で伝え、継続的に感染対策を行えるよう意識付けしているほか、利用者・職員ともに体温測定と消毒を徹底しています。感染症発生時には、ガイドラインに沿って対応し、状況によっては藤沢市保健所及び法人危機管理室と相談して対応策を決めています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

法人で災害発生時の対応について定めています。また、安否確認システムを導入し、各自のスマートフォンなどで安否確認を行えるようにしています。防災訓練を3月と9月の年2回行い、避難経路を確認しています。消防署と連携して消火訓練を行うことはコロナ禍でできておらず、コロナ終息後の実施が期待されます。地域のハザードマップも確認していますが、大災害発生時の具体的な対応策は不十分であると管理者は認識しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの標準的な実施方法として、法人策定の「県央福祉会職員行動綱領」「「倫理行動マニュアル」を掲載したハンドブック(基本的なサービス提供)」を職員に配布しています。職員の理解を深めるため、法人内や外部研修により、利用者の尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢を明示しています。事業所としての業務の手順はありますが、文書化が不十分で、共有化も十分されていないと認識しています。マニュアル類はパソコンにそれぞれありますが、共有し利用しやすいように、整理、工夫していくことが期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法については、必要に応じて担当者が手直しを行い、職員会議で報告しています。標準的な実施方法の検証・見直しの仕組みは特段用意されておらず、定期的な検証が十分ではありません。法人策定の標準的実施方法に基づいて個別支援計画が作成され、個別支援計画の見直しを適宜、行っています。実施内容に問題があれば、随時、検討や見直しを行います。障害特性や状態、生活環境に必要な支援の見直しが必要な場合は、個別支援計画に反映しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の策定責任者はサービス管理責任者です。責任者は各部門の担当者の意見や利用者・家族の希望やニーズ、本人のストレングス(強み)を反映したアセスメントを作成しています。必要な見直しが出た場合は、関係職員らと協議の上、適宜、個別支援計画に反映しています。個別支援計画作成後、半年に1回以上、実施状況の確認を行い、必要に応じて変更をしています。従来のアセスメント表は、情報量が少なかったので、項目を増やした書式に変更するなど、より充実したアセスメントをすべての利用者に実施できるよう、事業所として体制づくりに取り組んでいます。触法案件についても、関係機関と連携して、本人に寄り添いながらサービスを提供しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画は、毎月開かれる個別支援会議でとりあげ、評価、見直しをしています。個別支援会議には非常勤職員も含めて参加し、職員がグループに分かれて一つずつケース検討を行うようにしています。モニタリング、利用者面談により作成した個別支援計画案を職員で検討の上、利用者、家族の同意を得ています。個別支援計画の評価の仕方、見直しの仕組みに関して職員に理解度の差があるため、研修を予定しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

法人の記録システムを使い、日中の利用者の様子、職員の所見等を入力しています。デジタル化されているので、過去の記録を参照したり、情報共有もしやすいのですが、プリントして情報共有する方法も併用しています。記録システムの活用について習熟が不十分なので、個別支援計画との連関など、システムをより有効に活用できるよう、取り組んでいます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人の「個人情報保護規定」において、個人情報の適切な収集、管理、開示方法について示されています。文書の管理については、「文書管理規定」があり、持ち出し禁止、文書ごとの保存期間、廃棄方法などが明記されています。パソコンは番号を付け、法人が管理しています。電子記録の外部流出を防ぐため、USBなどの媒体の使用制限があります。個人情報の取り扱いは契約時に重要事項説明書で説明しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

アセスメントで利用者の利用目的や意向を聞き取っています。また日々の様子やモニタリングを通し、個々の利用者に対する理解を深め、自己決定を尊重した個別支援計画になるように取り組んでいます。個別支援会議では、本人のストレングスを活かしながら希望や目標の実現を目指せるように支援計画を立てています。例えば英語が得意な利用者が土曜日の英会話プログラムの講師を務めるなどしています。クレイ(粘土)バッジなど、センスのある小物作成に秀でた利用者は、事業所の店舗に自分の作品を並べて販売しています。事業所での生活に関わるルールについては、利用者と一緒に話し合いをして決めています。最近は自転車の置き方が問題になり、話し合いの結果、職員の自転車の置き場所を変更しました。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

法人の「職員ハンドブック」、「倫理行動綱領」および「倫理行動マニュアル」に権利擁護に関する具体的な取組を明記しています。事務室に「虐待はなくせる」と大書した紙を理念や基本方針とともに貼り出し、法人はもとより事業所内でも虐待防止を重視しています。非常勤職員も含め、全職員が入職時に権利擁護に関する研修を受けています。また、職員会議や研修等で定期的に権利擁護について振り返る機会を持ち、権利侵害になるかどうかの判別が難しい行動についてもロールプレイで学んでいます。権利侵害が発生した場合には、事故検証委員会を設置して、原因究明と再発防止に向けての調査・検討を行っています。プライバシーに配慮しながら法人内で事例を共有し、再発防止に取り組んでいます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

アセスメントに基づき、利用者自身が考える自律・自立生活の実現に向けた支援を行っています。就労継続支援B型と生活介護の多機能型であるため、ニーズや希望に沿ってサービスの移行が可能です。さらに、過ごし方についても柔軟に対応しています。利用日数、終日過ごすか午前中で帰るかなどが選べるだけではなく、就労継続支援B型利用者の体調が整わない場合には週に何日か生活介護のプログラムを利用することもできます。利用者の意向で通所しない日は、今日は自宅で何に取り組むか、取り組んだ結果はどうだったかを電話で確認し、孤立しないように支援しています。行政や生活上の手続きに関する相談に応じ、利用者が主体的に手続きできるよう、書類の作成を見守りながらサポートしています。また、必要に応じて福祉サービス等の紹介や利用について情報提供し、利用調整を行っています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の心身の状況を把握し、一人ひとりに合わせたコミュニケーションの方法を工夫しています。会話での伝達が難しい利用者には、書面や道具などを使い、視覚的に伝えています。自発的に気持ちを訴えられない利用者には、職員が気づきの視点をもって本人の状況を把握し、気持ちを汲み取るように心がけています。場合によっては家族の協力も得ています。アセスメントやモニタリングでは、話を1回で全部聞き取るのではなく、10分程を数日に分けて聞き取っています。しかし、これらの取組でもまだ不十分な点があると管理者は認識し、今後の課題としてとらえています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

半年に1回のモニタリング面接のほか、利用者からの希望に応じて面談を行っています。また、利用者の活動の様子をよく観察し、必要に応じて職員から声かけをして面談しています。相談内容については、記録するとともに終礼や職員会議で共有して、より良い対応について検討しています。また、相談を通して本人への理解を深め、個別支援計画に反映したり、必要な関係機関への連絡調整を行ったりしています。かたくりの里では、就労継続支援B型と生活介護の両事業があり、さらに施設内外の多様な日中活動プログラムの用意があるため、利用者の選択の幅が広くなっています。利用者がよく理解して選択・決定ができるよう、情報提供を丁寧に行っています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

就労継続支援B型事業では、製菓部門と軽作業部門があり、部門や作業内容の選択は利用者の希望に基づいています。その他、農作業や清掃作業、物流会社の作業なども提供しています。生活介護事業では、利用者の希望を聞き、個々のエンパワメントにつながるようなプログラムにしています。生活リズムや体調を整える場として安心して利用できるよう、自主活動の日も多くとっています。生活介護で提供している梱包やシール貼りの軽作業は、利用者のペースで短時間から参加できるようになっています。土曜日にはごみ拾いボランティア、調理体験、ヨガ教室など多彩なレクリエーション活動があります。そのほか、利用者の希望を参考に職員が提示した複数の案の年間行事の計画を提示し、さらに利用者が選択して決定しています。行事はコロナ禍でしばらく中断していましたが、今年は時期をずらしたり、部門ごとに分けて人数を絞ったりして花見や旅行を実施しました。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は法人内外で障害の理解や支援の向上のための研修を受けています。法人では入職してすぐ、障害に対する理解を含めた分野別基礎研修を行い、その後は経験年数・役職などに応じた専門的な階層別研修を行っています。法人外では、「神奈川県精神障害者地域生活支援団体連合会(県精連)」や「藤沢市精神障がい者地域生活支援連絡会」に出席し、両団体主催の研修に参加して支援力向上に努めるとともに、ネットワーク作りを行っています。刺激に過敏な利用者に個室の利用を促すとか、麻痺がある利用者に片手でも操作できるツールを提供するなど、個々に適した支援方法を検討したり、見直しを行ったりしています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事は、希望者が20種類のメニューの中から希望するものをその日の朝までに選ぶ形式です。食事が楽しみで、通う意欲につながっている利用者もいます。食堂は十分な広さでコロナ対応のパーテーションもありますが、活動室等に持っていって食べることも可能です。生活支援については、自立している利用者が多く、基本的には見守りが中心になっています。食事支援や排泄支援が必要な利用者に対しては、その日の体調に応じて介助の度合を調整し、本人ができることを奪ってしまわないように配慮しています。入浴サービスは提供していませんが、精神的な要因で入浴回数が減っていると思われる利用者には声かけを行い、心身の状況の把握に努めています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

ごみの分別やトイレの掃除などを記した「かたくりの里 基本ルールとマナー」を利用者に配布し、利用者と協力して清潔を保持しています。また、事業所内の環境なども含めて意見を出してもらう利用者ミーティングを月1回開き、生活環境の改善に努めています。生活介護の活動室は、正面中央に大きなソファーをコの字型に置き、リラックスした雰囲気の部屋になっています。また、横になりたい利用者のためにベッドも複数台用意し、パーテーションで視界をさえぎって休めるようにしています。会議室、面談室、作業用個室は、休憩場所のほか、利用者が落ち着くまで一人で過ごすスペースとして活用されています。現在は該当者はいませんが、車いすでも利用できるように階段にリフトを付けています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者全員が参加する機能訓練の時間は設けていませんが、各利用者の希望や目標につながるような機会を増やしています。腰痛等の症状を緩和して心身機能の維持向上を目指す日中活動を増やしています。ラジオ体操、腰痛体操、リラックス体操、ウォーキングは日常的に実施しています。運営法人にはトランス・フィットネス事業部があり、ストレッチ、トレーニング、骨盤体操などを組み合わせたトランスフィットネス教室をこの事業所でも毎月開催しています。ヨガ教室も毎月開催しています。麻痺がある利用者のトレーニングについては、他事業所の作業療法士から助言を得て今後実施していく予定です。生活訓練については、個々の利用者の必要に応じて調理体験や洗濯支援などを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

日ごろから利用者の様子をよく観察し、やり取りの中で妄想が多くなってきているか、表情が眠そうかなど利用者の健康状態の把握に努めています。「利用者基礎情報シート」を作成し、緊急時の対応に必要な情報をまとめています。法人に医療・相談部門の事業所があり、医師が定期的に来所して、生活介護事業の利用者の方を中心に支援しています。職員は、利用者の体調が変化したときやこれまでと違うサービスを利用するときに、医師の判断をあおいでいます。看護師も週1回巡回で来ており、利用者の面談の希望に対応しています。健康診断を年1回実施し、本人と一緒に健康状態を確認しています。また、必要に応じて通院に同行しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

アセスメントのフェイスシートで受診状況、体調の波も含めた心身状況を調査し、個別支援計画策定に利用しています。利用者には全員かかりつけ医がおり、事業所もかかりつけ医の指示に基づいて支援しています。重要事項説明書に精神科の協力医療機関を記し、サービスの利用開始時に利用者に説明しています。服薬管理は自ら行っている利用者が多いですが、支援が必要な場合は薬を預かるなどの対応を行っています。定期的に来所している医師及び看護師は、各利用者の状況だけでなく、薬の飲み合わせについても確認しています。現在、日中の医療ケアが必要な利用者はおらず、医療専門職も常駐していないので、医療的な支援を直接行うことはありませんが、てんかんの発作についてはいつ起きても大丈夫なように、職員は対応のしかたを習得しています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

製菓部門で利用者が製造した焼き菓子は事業所の店舗で販売するだけでなく、生協や市役所など6ヶ所で週3回~月1回販売しており、ほぼ毎日利用者のだれかが販売員として出向いています。また、近隣農家での農作業、物流センターでの倉庫内作業にそれぞれ週2回、3人ずつ参加しています。その他、福祉事業所での清掃作業もあります。これらは顧客や社員等との接触がある施設外就労で、地域の一員として社会参加を希望する利用者にとってよい機会となっています。学習支援としては、就労に役に立つパソコン技術の習得が挙げられます。「パソコンに触れよう」「パソコンを一緒に使ってみる」などの学習支援を就労継続支援B型、生活介護の両部門で行っています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者は全員地域生活を送っていますが、今の生活が自分の理想ではないと考える人もいます。そこで、理想の地域生活のために何が必要なのか利用者と一緒に考え、個別支援計画に盛り込んでいます。一人暮らしの利用者には、必要に応じて24時間利用できる相談先を紹介しています。今後は、すでに地域で暮らしている人の日中の場だけでなく、地域生活をこれから始める人が日中過ごしたいと思って選んでくれる場になることも目指しています。具体的には、長期入院の方が安心して地域移行できるよう、関係機関と連携して移行前から支援を行っていきたいと考えています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

自立している利用者が多いため、支援は基本的に利用者本人とコミュニケーションを取りながら行っています。そして、本人の意向や必要性に応じて、連絡ノートや電話などで、家族と連携しています。家族会は、以前は定期的に行っていましたが、コロナウイルスの感染拡大を受けて最近は開催できていません。今年度から少しずつ行事を再開しているので、家族向けの相談会や事業報告会も、感染対策に配慮しながら行う予定です。利用者の体調の急変時に家族にすぐに連絡できるよう、非常持出用ファイルに情報をまとめていますが、報告・連絡ルールは特に決めていません。将来自立度が低い人が事業所を利用する可能性も考えて、家族等への報告・連絡のしかたを決めておくことが期待されます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

多様なニーズに応えてさまざまな作業メニューを用意しています。就労継続支援B型事業では、製菓部門と軽作業部門があります。製菓部門では、焼き菓子の製造・販売を行っており、製造では菓子作りのほか袋詰めやシール貼りなど多くの工程があります。軽作業では、箱詰め、検品、封入、梱包などのほか、データ入力、ホームページ・点字入り名刺作成などのパソコン作業を請け負っています。その他、近隣農家での農作業や清掃作業、物流会社の倉庫内作業など、出向いて行う作業もあり、就労へのステップアップとなっています。その他、クレイ(粘土)バッジや絵はがきなど、利用者の創作物も商品として店舗に置いています。製菓部門と軽作業部門それぞれで毎月利用者ミーティングを開いて作業のしかたを点検しています。「荷物を渡すときに投げない」「クッキー生地の厚さの確認は引き続き行う」など、就労に必要なマナーや知識の定着に効果を上げています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の意向やアセスメント結果により、作業部門や、作業提供の仕方を決めています。軽作業は就労継続支援B型でも生活介護でも提供していますが、作業内容を変えています。また、随時見直しを行っています。「工賃算定規程」に基づき、工賃の時給算定をしています。時給算定表は、軽作業・PC部門、製菓部門、店舗、と3種類あり、加算のしかたを変えています。たとえば製菓部門では、能力加算と頻度が高い作業の調整加算があり、「ある程度、自己判断が正確に行える」「生地作りを補助なしで行うことができる」など各加算項目の評価基準を具体的に示して、利用者ができていることや課題となることを振り返れるようになっています。生活介護、清掃でも別途工賃を定めています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者のニーズに合わせて関係機関と連携し、さまざまな選択肢から就職先を選べるよう支援をしています。必要に応じて就労後も相談を受けており、就労の継続をサポートしています。離職した人の受け入れも行っています。「湘南東部地区精神障がい者就労推進協議会(SEJA)」に参加しています。この協議会には地域の就労支援機関や藤沢市障がい者支援課、精神科病院、就労支援事業所などが参加し、就労支援に関する研修やイベントを行っています。協議会で作成した「就労支援ブック」は事業所でも活用しています。所長は就労の実績を上げること、再離職を防ぐことを今後の課題と考え、自分に合った職場かどうか利用者自身が見極められるよう、就職先に実習期間を長めに設定してもらうことを検討しています。