社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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かわさき地域生活支援拠点たじま

2024年01月26日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 かわさき地域生活支援拠点たじま 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 60名(利用人数:65名) 名
所在地 210-0853
川崎市川崎区田島町20番地10
TEL 044-276-9693 ホームページ https://kawasakiseifu.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2016年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 川崎聖風福祉会
職員数
常勤職員:32 名
非常勤職員:15 名
専門職員
看護師:4 名
精神保健福祉士:3 名
社会福祉士:7 名
介護福祉士:12 名
介護支援専門員:1 名
施設・設備の概要
活動室:4、内1ヶ所はスヌーズレン室
小活動室:1
相談室:1
ボランティア活動室:1
浴室:1階(機械浴室、中間浴室)
女性トイレ:3
男性トイレ:3
車椅子用トイレ:4
スタッフルーム:1
事務室:1
厨房:1
調理活動室:1
食堂:1
倉庫:1
エレベーター:

③ 理念・基本方針
1. 個人の尊厳
 本法人は、福祉サービスを利用する個人の尊厳の保持を基本に、ご利用者が心身ともに健やかに日々を過ごすことができるよう適切なサービスの提供に努める。
2. 地域福祉ネットワーク
 本法人は、地域社会における公共性、基幹的な社会資源であることを常に念頭に置き、地域の福祉ネットワーク構築の拠点的役割を果たすよう努める。
3. 多様なサービスの開発
 本法人は、地域社会を構築する一員として地域住民が日常生活を自立的に営むことができるよう、必要とされる多様なサービスの開発と提供に努める。
4. 職員の資質向上
 本法人は、良質で多様なサービスの継続的な提供を図るため、職員の資質の向上をはじめ勤務条件、施設設備など良好な環境の整備に努める。
5. 社会的責務
 本法人は、基本理念に基づく各種事業を誠実に実施することにより、地域社会を構成する一員として社会的責務を果たすことに努める。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・地域共生社会の実現、暮らしの力を支える総合的支援を目指します。
・社会、地域における福祉サービスの充実・発展することを使命とし、多様な生活課題や福祉需要に柔軟かつ主体的に取り組みます。
・ご利用者、地域、社会ニーズに沿った質の高いサービスを提供し、事業の安定的な経営、将来に向けて持続な運営・経営を進めていきます。
・地域社会の役割として、資源に配慮した環境づくり、緊急時、災害時のセーフティーネットを構築します。
・全世代型相談支援機関として、多機関ネットワークのマネジメント機関のモデルとなるのが、たじま家庭支援センターである。当センターは元々は障害者支援拠点施設の地域生活支援機能としてスタートし、川崎市の了解を得て当法人が名称と対象拡大を行ったものである。
・川崎市から委託を受けている内容は、地域で障害者等が安心して生活を送る為の相談支援を行う者が、障害の特性を踏まえて社会適応力や生活力を高めるための支援を行うとともに、地域住民によるボランティアを育成し協働することで、担い手の充実を図る事。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/03/31(契約日) ~2024/01/15(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 回(年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)障害特性に応じて、利用者本位のきめ細やかなサービスを提供しています
障害特性に応じて、重症心身障害者や医療的ケアが必要な人、強度行動障害の判定を受けている人、感覚過敏のある人、軽作業に集中できる人と、グループに分けて支援しています。年度初めに新規利用者の状態を見極めて、部屋割りやパーテ-ションを使用した区分けを行い、利用者の安心感につなげています。快適に座っていられる車いす、ゆるやかな時間が感じられるクールダウンの部屋、音の刺激から自分を守ることができる空間、仕事に集中して頑張れる場所など、事業所が「安心していられる場所、行きたくなる場所」となるように、利用者の気持ちを慮りながら、きめ細やかに対応しています。一人ひとりの全体像を職員間で共有し、利用者にとっての最善を目指しています。

2)意思決定支援を重視し、利用者の意向確認を励行しています
利用者を尊重する姿勢として、意思と意向の確認を基本に沿って忠実に行っています。利用者が意思決定するにあたっては、丁寧な説明やゼスチャーでの表現などを通して理解を促し、時間をかけて回答を待ちます。活動プログラムや軽作業の開始前、食べる物の順番、飲み物の選択など、日々の支援の至る所で利用者の意向確認に努めています。確認が難しい場合でも、表情やしぐさ、視線などによって可能な限りコミュニケーションを重ね、馴れ合いによって職員が判断・選択することのないように注意しています。「失敗も含めて、自分で選んで自分で行う」という利用者の自由意志の尊重について、愚行権についても全体会議やカンファレンスにて話し合っています。

3)地域の多様性を考慮して、利用者や家族の個別支援に取り組んでいます
家族が生活困窮、依存症、虐待、ネグレクト、引きこもりなどの問題を抱える家庭もあり、課題は多岐にわたっています。日本語の理解が困難な家族には、行政の通知やお知らせについて説明したり、個別支援計画をローマ字で表記し、日本語の「音」によって内容理解を得るケースもあります。相談したい状況であっても、施設に来所しない・できない家族も多く、職員が家庭訪問の対応をしています。地域の多様性や各家庭の状況に応じた支援を行いながら、地域における事業所の存在意義を模索し続けています。職員が長年培ってきた障害者支援の経験を活かして、地域の特性に応じた個別支援に真摯に取組んでいます。

4)職員の理解を深めたうえで、人材育成に取り組むことが期待されます
法人としてのキャリアパスは現在作成中です。先行して、事業所独自に「キャリアパスノート」を作成し、今年度より運用を開始しています。管理者は、職員の知識や専門的スキルの向上により、福祉サービスの質の向上と職員の負荷軽減に繋げることを目指しています。特に、強度行動障害者養成研修(基礎研修・実践研修)については、常勤職員に加え、契約社員の受講も推進しています。現場職員は支援で多忙なこともあり、管理者の意図を十分伝えることができていないと感じています。今後は、現場職員との双方向のコミュニケーションを通じて、管理者の意図に対する理解を深めたうえで、人材育成に取り組むことが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 施設が開所して、8年目となる中、外部からの客観的な評価を受ける事が今回初めてとなり、受審に向けて、改めて帳票類等を揃える中で、日々の活動や事業計画等について、ご利用者・ご家族に向けての事前説明や広報の機会が少ない事が分かりました。
また、職員が事業目標、個人目標をしっかり確認できるように取り組んでいきます。そのためにもマニュアルや要領等、現在に合っていないものは、定期的な点検をし最新のものにブラッシュアップしていきます。
職員が理念や事業内容を理解できるように、掲示や閲覧だけにとどまらず、会議などで工夫した説明を行っていきます。
今回の調査準備にあたり、標準的な記録、記載の部分が当施設では全体的に弱いと感じられました。
記載事項の見本の整備を行っていきます。
 選ばれる施設を目指す意味でも、ハード面・ソフト面のブラッシュアップが必要であることは理解しており、具体的な方策として、職員個々が意識して取り組んでいくかが課題と認識しており、自ら考え試行しながら成果を求めていく、「P・D・C・A」サイクルの構築が必須と考えております。職員にとっても、魅力のある・働きがいのある施設を構築していく為にも、更に職員間・職員と上司含めて意見交換の場を増やし、ボトムアップ出来る環境を目指していきます。職務対話の機会、改善につながる工夫をしていきます。

 個々の問いに記載いただいたコメントを共有し、具体化するためご利用者・ご家族に分かり易い表現や提示の仕方を工夫していきたい。そのためには、職員自身が問われている内容に対して改めて理解し合う機会と、真摯に向き合う事を忘れずに、具体的な対応等について考える機会を持っていきます。


詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の基本理念は、ホームページ、法人案内(法人のパンフレット)、事業所の中長期事業計画、年度の実行計画事業計画書などに記載しています。職員ガイドブック「Smileレシピ」には、基本理念に続き、行動規範として「職員の心得」を掲載し、新人研修で読み合わせています。契約書やパンフレットに記載した運営方針には、事業所の目指す方向や考え方を記載しています。理念や基本方針がより分かりやすく利用者や家族に伝わる内容にするため、現在、パンフレットの改訂を実施中です。早期の完成が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

法人から、社会福祉事業全体の動向や地域ごとの経営環境、課題などの分析結果を入手しています。管理者は、毎月開催されている法人の経営会議に出席し、各事業所の収支報告や半期ごとの収支予測を確認しています。管理者は、たじま地区「地域づくり連絡会」や「相談支援連絡会」などに出席し、地域における福祉サービスのニーズ、潜在的利用者に関する情報を収集しています。収集した情報を職員会議で報告し、設備の整備や職員体制などの分析に活用しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

管理者は、毎月開催されている法人の経営会議に出席し、法人の経営状況や委員会の活動状況を共有しています。拠点共通の課題は、法人委員会が中心となり解決に向けて取り組んでいます。各事業所内への展開については、管理者がリーダー会議や職員全体会議で課題を報告し、職員に周知するとともに、係や担当者を任命し、課題の解決に向けて取り組んでいます。管理者は、係や担当者によって、取り組み状況に差異が発生していると感じており、対策を検討しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人全体では、中・長期計画を策定し、定期的に見直しています。昨年度から、法人の中・長期計画を受けて、事業所としての中・長期計画を策定しました。法人の中・長期計画を踏まえ、「拠点型施設として地域に根差し、選ばれる施設となる」ための課題を設定し、改善するための施策、スケジュールを設定しました。施策数が多いため、今後の中・長期計画の見直し時に絞り込みが必要と考えています。また、事業所の中・長期の収支計画が策定されていません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、中・長期計画に基づき単年度の法人事業計画を策定しています。法人の事業計画には、法人の計画、各委員会活動計画、各事業所の事業計画が掲載されています。年度計画は、課題ごとに責任者と実施スケジュールを設定し、進捗状況が評価できるよう定量的な表現となっています。施設の改修費は、単年度の収支計画への反映に留まっています。中・長期の収支計画が策定された際には、整合性を図ることが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

中・長期計画や単年度の実行計画の検討は、課長、係長、リーダー、サービス管理責任者が中心となっています。前期の事業報告書は4月に完成するよう取りまとめています。来期の事業計画書は2月中に策定し、3月に法人の経営会議で決定します。事業報告書と事業計画書は職員会議で共有するとともに、会議欠席者には回覧しています。上期終了後に進捗状況を評価し、法人に報告しています。今後は、契約社員やパート社員に対しても、計画を周知することが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画の主な内容が利用者や家族に周知されていません。年2回の家族懇談会や個別面接時の説明の中で、口頭で事業計画に少しふれる程度で、内容の説明までには至っていません。事業計画は、利用者への福祉サービスに関わる事項であることから、主な内容をまとめた資料を用いて説明するなど、利用者や家族がより理解しやすい工夫が期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの質の向上にむけて、職員の能力向上や職員のモチベーション向上などに取り組み、継続的に評価しています。強度行動障害者支援に関しては、更生相談所の心理職をアドバイザーとして招き、定期的にケースカンファレンス(検討会)を実施し、組織的にサービスの維持向上に努めています。これまでに事業所の自己評価は実施していません。今回、事業所として、第三者評価を初めて受審しています。評価結果を分析・検討する場を設けることが期待されます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

評価結果を分析し、課題の抽出、分析をし、職員会議で説明していますが、パート職員の中には、参加できない人も存在します。係長やリーダー職が現場職員の意見を確認し、改善計画を検討しています。管理者は、現場職員の意見を確認しているものの、検討自体も現場職員の参加が必要と感じています。今回の第三者評価の受審を契機に、現場職員も参加し、結果を評価・分析し、改善計画を立案(P)・実施(D)し、結果を評価(C)・見直す(A)活動に取り組むことを計画しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

体制図と各委員・係の一覧表を作成し、管理者の役割を明確にしています。業務分掌において、管理者の責任と役割を記載していますが、職員への更なる周知が必要と感じています。災害や事故などの緊急時におけるマニュアルに所長の役割を明記していますが、今後は、不在時の権限移譲や命令経路についても明文化することが期待されます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の規程集は、職員が随時事務室でパソコンで閲覧できる状況になっています。管理者は、定期的に障害福祉情報サービスかながわのホームページを確認し、最新の情報を収集しています。障害者総合支援法、障害者差別解消法、虐待防止法、労働基準法、安全衛生法などについて、職員会議で職員に周知しています。特に、利用者の人権等に関しては、毎月定期的に気になる接遇や良かった接遇などを全体会議の中で取り上げて、グループワークを実施し、職員へ注意喚起しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は、年度の事業計画書において、職員が知識や専門的スキルを向上させることにより、福祉サービスの質の向上と職員の負荷軽減に繋がることを示しています。リーダー層には理解されていますが、現場職員は支援で多忙なこともあり、管理者の意図が十分伝わっていないと感じています。今後は、現場職員との面談やヒアリングの機会を増やし、丁寧に説明する予定です。現場職員との双方向のコミュニケーションを通じて、管理者の意図に対する理解を深め、人材育成に繋げることが期待されます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

管理者は、法人の経営会議に出席し、職員会議で各事業所の収支状況を伝えています。労務関係では、有給休暇の取得を促すとともに、残業時間が増えている職員が発生した場合には、状況を確認し業務の偏りを見直しています。人事面では、働きやすい環境づくりに取り組んでいますが、現場社員の更なる理解が必要と感じています。管理職の取組が働きやすい職場の実現にどのように結びつくのかについて、現場社員に対し、より一層丁寧に説明することが期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

各事業所の人員補充要望に基づき、法人が採用計画を策定しています。ハローワークや新卒採用イベントの活用、ホームページへの採用情報掲載など、人員確保に取り組んでいます。福祉専門職配置基準を満たすためにも職員の勤務経験を把握し、要件を満たした職員に対して資格取得を促しています。リーダー層の人材育成が急務であり、育成や人員補充に努めていますが、計画が達成できていません。現在、従業員にとっての事業所の魅力を取りまとめており、今後の採用活動に活かすことが期待されます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

職員ガイドブック「Smileレシピ」には一般職員を対象に、期待する職員像を明文化しています。「Smileレシピ チューター編」には、入職3~5年目の先輩職員を対象に、期待する職員像を明文化しています。法人としてのキャリアパスは現在作成中です。先行して、事業所独自に「キャリアパスノート」を作成し、今年度より運用を開始しています。運用後に職員から様々な意見が寄せられており、今後の「キャリアパスノート」の改善に活かすことが期待されます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

勤怠管理システムを活用し、職員の残業、有給休暇状況などを把握しています。健康診断や定期面談、年1回のストレスチェック、年2回のセルフチェックを実施しています。ストレスの比重が高い職員には、産業医等による巡回面談を実施しています。また、出産休暇や育児休暇、時短勤務など、職員のワーク・ライフ・バランスに配慮しています。職員が、施設長、係長やリーダーなど宛先を指定して直接意見を伝えることができるアンケートシステムを活用し、改善に繋げています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人としてのキャリアパスは現在作成中です。先行して、事業所独自に「キャリアパスノート」を作成し、今年度より運用を開始しています。職員は、個人予定表に短期目標(1~2年以内の目標)と長期目標(3~5年内の目標)を記載しています。年度当初、半期後、年度末の面談において達成度を確認しています。事業所では、リーダー・係長像を具体的に示し、職員の目標設定に活用することを計画しています。今期中に具体化することが期待されます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人では毎年教育計画を作成し、階層別の法人内研修を実施しています。外部研修では職員が希望するテーマを選択しています。出席者の報告や意見から研修を評価し見直しに反映しています。事業所独自に作成した「キャリアパスノート」には、各職員が階層別研修、職場内研修、外部研修について、月毎に受講する研修を記載する様式となっています。職員との面談の際に研修に関する感想を確認し、事業所の教育計画に反映する予定です。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員の保有資格に加え、資格受験に必要な要件の充足度を把握しています。要件を満たした職員には、資格取得を働きかけています。また、更新研修の時期も把握しており、事前に勤務シフトの調整を実施しています。特に、強度行動障害者養成研修(基礎研修・実践研修)については、常勤職員に加え、契約社員の受講を推進しています。今後は、パート職員についても、教育・研修の機会を設けることが期待されます。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生受入要領に、基本姿勢、研修・育成について記載しています。実習生受入要領には、手順・配付物・実習方法・記録・学校との評価や振り返りについて記載しています。介護福祉指導者資格をもつ職員が実習を担当しています。実習日程とプログラムを作成し、実習の振り返りアンケートを通じて、実習内容を見直しています。実習生受入要領の改訂が必要な箇所があることを認識しています。計画的に改訂することが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人ホームぺージに理念や基本方針を記載しています。ワムネットに法人の事業報告、予算、決算情報を公開しています。苦情・相談の体制や内容は事業報告に記載しています。第三者評価の受審は初回のため、今後公表予定です。以前は、事業所の活動やお知らせなどを記載した「たじま便り」を掲示板に掲示していましたが、活動状況を知ってもらうため町内会の全戸配付に変更しました。今後は、事業所の活動内容に加え、法人の理念や基本方針についても説明することが期待されます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

経理マニュアルを整備し、事務処理ルールを可視化しています。経理や事務が適正に処理されているかについて、法人から内部監査を受けています。今年度は、小口現金について法人から内部監査を受けました。法人が、税理士から経理処理に関する指導を受けています。指導事項の内容によっては、法人からの指示に基づき事業所のルールを見直しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業計画書の基本方針には「拠点施設としての地域社会における共生と暮らしを支える総合的支援」を掲げています。事業所の地域交流スペースや会議室、キッチンを近隣の方々に貸し出し、ボッチャ、料理教室、気功体操など様々な活動の場として活用されています。「たじま こそだてフェステバル」「福祉の集い」など地域の人々と利用者との交流の機会を設けています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

ボランティア受け入れ規定、並びに、ボランティア受け入れの手引きに沿って、登録手続きや事前説明、ボランティアの配置を行っています。手引きには、施設におけるボランティア受け入れのポイントや個人情報・肖像権保護などの留意事項を記載しています。毎年川崎区社会福祉協議会が開催しているチャレンジボランティアや地域教育会議の中学生対象とした職業体験も受け入れています。ボランティア受け入れ後は、振り返りも実施しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

法人理念として「地域福祉のネットワーク」「多様なサービスの開発」を掲げています。外部の相談支援事業所、訪問介護、訪問看護、日中一時預かり事業所、川崎市更生相談所、医療連携機関などと会議を開催し、意見交換しています。会議の中で、医療ケアが必要な子どもから大人の障害者の日中活動・ショートステイの場の必要性が議題となりました。外部施設と連携して対応する方法を検討し、可能な範囲から試行しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

コロナ禍を契機として、併設の事業所とともに、こども食堂やフードパントリーなどの食糧支援を実施しています。川崎区社会福祉協議会と連携を密に図り、必要な食糧の確保や、食糧配布から見えてきた課題に対して、行政に提言し、活動しています。新型コロナウィルスが5類になった後にも食糧支援の必要性が認識されたため、子ども食堂やフードパントリーの活動を継続しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の二次避難所として、隣接する支援学校と協力し、住民の安全・安心のための備えや備蓄を実施してます。拠点施設を活用して、こども食堂を実施しています。こども食堂では、子どもから高齢者、障がい者の方々の役割を持った活動の場となっています。事業所への訪問が困難な家庭には、配食サービスを実施しています。「社会福祉施設と地域のつながり方」「こどもたちの笑顔を守るために私たちができること」などの地域講座を開催しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

理念の第一項目に「個人の尊厳」を掲げ、新入職員や異動職員が参加する研修で理念や職員行動指針について説明しています。「障がい者虐待の理解と防止マニュアル(差別解消法含む)」に職員行動指針を明示していますが、倫理綱領は例文記載にとどまっているため策定が望まれます。職員マニュアル「Smileレシピ」には権利侵害の機序を説明し、権利擁護をわかりやすく解説しています。マニュアル類は書棚に格納し、職員がいつでも閲覧できるようにしています。職員はオンライン研修サービスを利用して、基本的人権や権利擁護について学ぶ機会を得ています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

マニュアル類は入職時に職員に配布し、初任者研修や新規採用職員研修では、法人策定の権利擁護ガイドラインに基づいて説明しています。職員行動指針に「プライバシーの保護に最大限の努力をします。」との文言が明記されています。接遇マニュアルに記したプライバシーへの配慮として、書類やパソコン画面上のプライバシー情報の取り扱い方にも注意喚起しています。また、パーテーション、衝立、カーテンなどプライバシーが守られる環境づくりをしています。事業者と職員の守秘義務を重要事項説明書に明記し、契約時に利用者と家族に伝えています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

パンフレットを支援学校や相談支援事業所、区役所障害福祉課、支所に持参しています。地区のまつりや子どもフェスティバルのブースにも置いています。一日の流れ、活動の紹介、アクセス、またセンター全体の特色などを簡潔にわかりやすく説明しており、利用状況がイメージできる写真を多用しています。隣接する支援学校生が卒業後の居場所として、事業所利用を選ぶことが多く、家族との見学に応じています。その後、実習生としての実地体験を経て、意向を確認していきます。パンフレットの内容変更や写真の入れ替えなどを随時行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

利用者と家族の思いや意向を確認しながら、最善策を考えていきます。親の過干渉、ネグレクト、生活困窮、家庭内暴力など家庭の抱える問題は多様であり、時には時間をかけて対応しています。契約書、重要事項説明書、個人情報使用同意書、料金についてもしっかり説明して、納得を得て進めています。外国籍の方が多い地区であり、日本語の理解が困難な場合は、保護者の母語やローマ字表記を使用して、個別支援計画などを書き直しています。送迎の時間や乗車場所の変更時には、写真を使用するなどして、わかりやすく丁寧な対応に努めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

サービス終了や事業所変更の際は、サービス管理責任者や併設の家庭支援センター職員がフォローする体制となっています。通所できなくなったり、長期入院している利用者との関わりの継続を重視し、通所再開につなげています。グループホームや施設に入所した利用者が退所に至った場合なども、家族からの相談に応じています。サービス終了後も電話や書面で相談を受けていますが、相談窓口や担当者を明記した文書を渡していません。引き継ぎの書類としてはフェイスシートやアセスメントシートがあり、それらは状態変化時に適宜更新しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年1回、利用者嗜好調査、4年ごとに権利擁護アンケートを行っていますが、定期的に事業所のサービス全般についての満足調査は行っていません。年2回の面談の際に、家族からサービスへの満足を聞き把握しています。毎年開催の家族懇談会でも、家族の満足や要望、希望を聴取しています。今年11月に発足する運営推進会議には家族を始め、町内会役員や民生委員の参加が予定されており、率直な意見や要望を聴取できる機会として、また事業所運営の透明性やサービスの質向上に向けて新たな一歩を踏み出すことが期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決体制として苦情受付担当者、苦情解決責任者、第三者委員を整備し、重要事項説明書への記載や施設内のポスター掲示により、利用者や家族への周知を図っています。連絡帳や電話連絡、投書箱により苦情を受け付け、リスク苦情解決委員会作成のガイドラインに沿って内容を記録し、月次報告書にまとめます。検討結果や改善策は連絡帳への記載や電話連絡により、必ず家族にフィードバックするとともに、年次の事業報告書にその内容と解決策を公表しています。解決への経過を利用者の個人ケア記録に記載し、職員間で情報共有に努めています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

年度初めに施設の職員紹介冊子を家族に配布して、職員の誰にでも相談できる旨を伝えていますが、その説明文は作成していません。困りごとや悩みごとの相談窓口として、川崎市障害福祉施設事業協会の活動内容を記載したポスターを掲示し、活動を周知しています。相談対応は相談室やボランティア室など、利用者や家族のプライバシーが守れ、ゆっくり傾聴できるスペースを確保しています。また、心身の状態や事情によって、施設に来ることができない家族の要望に応えて、家庭訪問での相談や意見聴取も行っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者や家族からの相談や意見に対して、その都度迅速かつ適切な対応を心掛けています。家族からの意見を基にサービス提供を見直し、医療的ケア対応の詳細を看護師が確認し合ったり、外出先の選択肢を増やすなどの取組が実現しています。相談対応について対応方法等を記載したマニュアルが作成されていないため、今後の整備が期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

所長をリスクマネジャーとし、係長やリーダーが現場でのフォローを担っています。リスクマネジメント委員会を設置し、事故対応マニュアルを整備しています。事故発生時には発生要因の分析、改善策の検討と実施を行い、事故報告書を作成して、毎月の全体会議で職員に周知しています。帰り支度の際に利用者の持ち物を入れ忘れてしまうなど、同じような事故やヒヤリハット事例が続くことがあり、人員不足による職員の疲労感や注意力低下への対処も含めて、より有効な対応策を検討中です。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の医務衛生委員会で感染症対策マニュアルを作成し、毎年定期的に見直しを行っています。コロナウイルス、インフルエンザ、ノロウイルス等の感染症の蔓延予防に向けて、手洗い、手指消毒、うがいの励行とともに、テーブルや手すりの消毒、空間除菌を併行しています。コロナウイルス感染予防として、アクリル板の設置、食事支援時のエプロン着用を継続しています。また「二次感染者を出さない」をモットーに、医療用抗原キットを揃え、検査ができる体制を整えています。感染症勉強会の定期的開催を課題としています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

危機管理委員会の指導のもと、事業継続計画(BCP)を策定中です。避難訓練は施設全体で行い、夜間の地震、火事、水害を想定しています。災害時の職員安否確認方法は、携帯電話の連絡網アプリを使用しています。管理栄養士が食料や飲水、使い捨て食器等備蓄の責任者となり、リストに賞味期限を記入して、130人1日分の備蓄を管理しています。賞味期限が近付くと給食で提供し、無駄なく活用しています。川崎市の二次避難所の指定を受けて、平時から自治体や消防署や町内会などと情報やマニュアルの共有を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

一般職員を対象に職員ガイドブック「Smileレシピ」、入職3~5年目の先輩職員を対象に「Smileレシピ チューター編」を作成し、一般的な業務から制度理解、医療対応などを記載しています。「職員接遇対応マニュアル」「個人情報保護規定」「障がい者虐待の理解と防止マニュアル」など、標準的な実施方法で実例に基づいた留意点を記載しています。食事・排泄・入浴・移動・移乗等の標準的な実施方法については、画像でマニュアルを作成し、内部研修を実施して周知に努めています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

マニュアルに基づきOJTを実施し、日々の業務引き継ぎや職員会議等で気づいたことについて意見交換し、職員からの提案や職員会議の検討内容等を踏まえ、随時改訂しています。今年度の実行計画には、アセスメントシートを見直し、より一層、意思決定に関するアセスメントを実施すると記載がありますが、見直しのタイミングは記載していません。今後は、標準的な実施方法の検証・見直しをするタイミングを設定し、定期的に実施することが期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

サービス管理責任者を中心に、担当職員、グループ職員、看護職員等がアセスメントに基づき個別支援計画を策定しています。計画策定にあたっては、職員会議で協議し、課題に応じた目標と具体的な支援内容を明確化して全職員で共有しています。特に、支援が困難な利用者に関しては、更生相談所の臨床心理士等から専門性や客観性に基づくアドバイスを受け、実際の支援の場で確認後にモニタリング実施し、支援に反映しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

サービス管理責任者と利用者の担当職員が協働し、支援会議で個別支援計画の進捗確認を実施しています。年2回利用者・家族と面談し、同意を得たうえで支援を実施しています。利用者の心身の状態に変化が生じた際は、随時個別支援計画を見直しています。個別支援計画作成に必要な資料は、パソコンに保管しています。また、各利用者のケースファイルにも取りまとめており、いつでも確認できるようにしています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

利用者に関する情報はケースファイルにとりまとめており、職員間で活用しています。記録内容や書き方は、管理者がチェックし、記載事項の洩れなどを指摘しています。パソコンでの文書確認、朝の申し送り、全体会議等などで、全職員が情報を共有出来るよう努めています。職員により、記載内容にバラツキがあるため、管理者は、標準的な記載事項の見本を整備するとともに、職員を指導するリーダー層にも記録内容に関する教育を計画しています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

法人の個人情報保護規定を全職員に周知しています。管理者を記録管理の責任者とし、法人共通の業務マニュアルや内部研修等を通じて職員教育を行っています。「個人情報保護規定」を周知し、全職員から守秘義務・個人情報保護に関する誓約書を取得しています。管理者は、職員間で個人情報保護の重要性に関する理解度にバラツキがあると感じています。今後、個人情報管理の重要性と漏洩時の影響を教育する事を計画しており、期待されます。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の意思決定プロセスを重視しています。誕生会で食べるケーキを決める、喫茶外出時に飲み物を選ぶなどの日常的なことも、利用者が「自分で決めて自分で行う」機会として設けています。机上活動の内容についても、計算、色分け、粘土など、何を行いたいかを必ず本人に問いかけています。軽作業開始前にも、利用者自身の働く意欲を確認しています。利用者の意思や個性を尊重していますが、集団生活では利用者一人ひとりの状況への配慮も欠かせません。例えば、特定の図柄が発作の原因となる利用者が安心して過ごすためには、他利用者への周知も必要になってきます。利用者同士が対立し合う場面では職員が間に入り、丁寧に説明したり、少し距離を置くなどの対応をしています。目で見てわかる視覚化や構造化など合理的配慮は至るところで行っていますが、過度に配慮することで、利用者の活動のチャンスや失敗を含めた「経験」を奪わない視点をも保ちつつ支援しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

緊急やむを得ない場合の身体拘束実施の手続きや虐待防止について重要事項説明書に明記し、契約時に利用者や家族に伝えています。権利擁護ガイドラインや虐待防止マニュアルを整備しており、年2回内部研修で権利擁護について職員理解を深めています。自己チェックシートによる振り返りにより障害特性を再確認し、虐待防止法や差別解消法などコンプライアンスの徹底に努めています。虐待発生時の迅速な報告方法とその経路、通報義務も職員に周知しています。研修欠席者には議事録を回覧して周知徹底を図っています。また、日頃の利用者支援の中で見聞きした「好ましい接遇・好ましくない接遇」を、QRコードを利用して自身が選んだ役職者宛てに送信できるアンケートシステムの取組を始めました。権利侵害の早期発見と職員間コミュニケーションの円滑化に役立て、送信内容をもとに毎月の全体会議の中で意見交換を行い、より良い支援につなげています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

日頃の関わりの中で、利用者の心身状態や、生活への希望や要望を把握しています。利用者の思いを理解できるように表情やしぐさのコミュニケーションを大切にし、簡潔な言葉やわかりやすい提案を心掛けています。挨拶、着替え、活動準備、片付けなどの生活リズムの定着を図り、見通しを持って安心して過ごせるように支援しています。個別活動に利用者の意向を反映することで、「自分で選んで自分で行った。上手くできた。」との自己肯定感が育っています。自立生活に向けて相談支援事業所を紹介したり、生活保護受給者には予防接種の際に利用する医療券の交付代行などを行っています。家族の体調不良時や入院時にはヘルパーや短期入所サービスの導入を提案するなど、必要に応じてサービス利用につなげています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身状態は、重症身体障害者や医療的ケアが必要な方、強度行動障害の判定を受けている方、感覚過敏のある方、軽作業に集中できる方など、様々に異なっており、その特性ごとにグループに分けて支援しています。コミュニケーションの取り方も一人ひとり異なり、個別の配慮を行っています。文字盤、絵カード、写真などの視覚を通して意思を確認したり、動作やしぐさ、表情などを観察することで意思や希望を読み取るなどしています。職員の言動が刺激となってしまう場面もあり、その時々の利用者の状況へ細やかに対応しています。更生相談所での評価に基づいて、理学療法士や言語聴覚士などの専門職のリハビリテーションを受ける機会を得ています。リハビリテーションは年単位での積み重ねを要するケースが多く、家族への精神面でのフォローを含めた支援体制を築いています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

相談室や送迎車内など、利用者と職員が1対1になれる場面で、他利用者の前では言い出せなかった本人の思いや希望を聞き取っています。本人の意思確認や意思決定が難しい場合は、候補を2つ提示して選択を促したり、家族から聞き取るなどしています。家族の意向や希望は、年2回の面談時や家庭訪問時に傾聴しています。家族が精神疾患や経済的困難を抱えていたり、ハラスメントを受けていたりと、施設内面談では表現しづらい心の内を、家庭訪問で聴取しています。相談支援業務は、併設の家庭支援センターと連携を取りながら行っています。また、動画を見たい、カラオケで歌いたいなど聴取した内容は支援会議に持ち帰り、その具体化について話し合った結果を個別支援計画の第一項目である意思決定支援の欄に記載しています。利用者の快・不快を判断したり、思いを汲み取ることを大切に、日々の支援を継続しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者のニーズや希望を汲み上げることで、個別支援計画に位置付ける支援内容は多種多様となっています。リハビリテーション、感覚と体験、生活リズムや見通し、働く楽しみ、社会参加などの項目ごとに、集団参加と個別対応を行っています。例えば感覚刺激としてスヌーズレン、砂場遊び、手浴足浴、オイルマッサージ、トランポリンを試みたり、制作ではアイロンビーズ、ブレスレット、キーホルダー、ピンクッションなど様々な制作品づくりを行っています。楽器演奏やカラオケで自己表現したり、クリスマス会や夏祭り、福祉まつりに参加する楽しみもあります。抗てんかん薬などの服用により日中に眠くなったり、その日の気分によっては参加できないこともあり、現状に即した状況判断を都度重ねて実行につなげようと、職員は考えています。支援内容は年2回のモニタリング時に見直し、更新しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

内部・外部の研修や階層別研修では、障害基礎、自閉症、感覚特性、てんかん、強度行動障害などの科目を用意し、オンライン研修でも障害者福祉について学び、理解を深めています。また強度行動障害支援者養成研修の受講を推進しています。行動障害について、更生相談所の臨床心理士による定期巡回実施で、利用者の状態観察を通したアドバイスを得ています。その結果、職員が毎日の記録や振り返りをした上で、対策を検討し、より良い場面提供につなげる工夫が必要だとの方向性が見えてきています。支援会議や夕方の申し送りの際に、利用者の個別対応について検討を重ねています。利用者間の関係調整が必要になった場合は、スペースを分けて距離を置く、食事時間をずらすなどを試し、お互いが気持ち良く過ごせるように配慮しています。特に送迎時の車内は狭く限られた空間であり、相乗りは利用者同士の相性を考慮した上で決めています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年1回利用者に嗜好調査を行い、味付けの良し悪しや献立の好き嫌い、「ニンニクの臭いが辛い」など利用者の声を聞き取り、結果を献立に反映しています。毎月開催する給食会議では、献立の見直しや利用者一人ひとりの食形態を調理委託業者とともに確認しています。季節行事やイベントでの食事を楽しみ、館内放送アナウンスで食事の雰囲気を醸し出します。更生相談所の作業療法士や言語聴覚士の意見を参考にして、食形態やポジショニングについて個別に支援しています。入浴環境や介護負担増などで自宅での入浴が困難となった人には、施設での入浴を個別支援計画に位置付けて、週2回程度の入浴介助を行っています。排泄介助は基本的に同性介助としており、入浴介助と同様に羞恥心への配慮をしています。利用者の状態によっては車いす全介助での移動となります。移動移乗の支援としては、自走式車いすのメンテナンスや調整に繋げています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

強度行動障害の判定を受けている利用者が安心して過ごせる場所の提供として、活動性の高さにより活動室を大きく二つに分けることで、全体が見渡せるようになり、怪我のリスクも軽減しています。今年度初めに、新規利用者の状態によって、部屋割りを見直し、場合によってはパーテーションで区分けする工夫もしています。利用者が施設内清掃や送迎車洗車を担い、共有部分の掃除や館内消毒を清掃業者に委託することで、清潔な環境が保たれています。車いすでの座位が疲れた時はマットレスを敷いて身体を横たえることもできます。BGMを使い分け、休憩時間や昼食時間などの生活リズムの定着に役立てるとともに、静養室やスヌーズレン室をクールダウンの場所として用意するなど、安心安全に過ごせる環境を整えています。家族の意向として、監視カメラを取り付けて欲しいとの意見もありますが、要検討としています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

機能訓練はハビリテーションやリハビリテーションのように日常的な生活動作の中で意図的に行うものと、ストレッチ、関節可動域訓練、平行棒を使用した歩行訓練、近隣ウォーキングなど活動プログラムとして実施するものを併せて行っています。更生相談所の理学療法士、作業療法士、言語聴書士が評価を実施後、提供されたプログラムを機能訓練として活用しています。これらの取組にあたっては必ず本人の意思確認を行い、身体を動かすことが楽しみになるように「やりたい。参加したい。」の意欲を引き出しています。自宅で利用する訪問看護ステーションのリハビリ専門職が、施設にも訪問してリハビリを提供し、変形や拘縮の進行予防、安楽な姿勢保持、筋力維持を目指しています。6ヶ月ごとにモニタリングを行い、新たな状況を把握して、個別支援計画を更新しています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

来所時に体温、血圧、血中酸素飽和度を測定、その後も利用者の健康状態に留意し、体調変化の早期発見につなげています。体重の急な増減が見られた際には、家族、施設看護師、管理栄養士に相談して、食事量や運動量を調整しています。毎年の健康診断と歯科健診の結果に基づいて、必要に応じて主治医へ指示書発行を依頼します。月2回内科医の回診があり、状態確認を継続しています。軟膏の塗布方法や量について職員間でバラツキがみられた為、医師に対応の詳細を確認しています。毎月歯ブラシを新品と交換したり、水分摂取量が可視化できるコップを導入するなどの工夫をしています。コロナウイルスやインフルエンザの予防接種を施設で実施し、利用者にとって安心感のある慣れた施設で、落ち着いて接種ができています。障害の特性に見合った健康管理ケアについては研修で知識を習得し、利用者への個別対応は先輩職員から実地で指導を受けています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:b】

医療的ケアの実施は主治医からの指示書に基づいて行い、受診連絡カードの内容を読み込んで、日々適切な支援に努めています。服薬管理は施設看護師が担当となり、処方薬のみ対応していますが、マニュアルの作成を今後の課題としています。喀痰吸引等研修の受講を推進し、利用者が安心して通所できるように取り組んでいます。てんかん発作のある利用者については、家族との連絡帳のやり取りを通して状態把握に努め、発作時の対応方法を個別支援計画に記載し、支援会議にて情報を共有しています。また自宅で利用する訪問看護ステーションとの連携も密に行い、利用者の全体像の把握につなげています。腹膜透析や水頭症、アレルギー除去食への対応を安全かつ適切に継続しています。医療的ケアに関する定期研修の開催を課題としています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

コロナ禍が続き、マスク着用が難しい利用者も多く、近隣公園の清掃活動は中止したままですが、短時間の公園のごみ拾いを行っています。工場見学を外出活動に組み入れたり、隣地の支援学校との交流を通して、体験の幅を広げています。市民まつりや福祉まつりではビーズアクセサリーやお花のマグネット、小物ボックスなど様々な自主制作品を販売して社会参加につなげています。文字の書き取りを好む利用者には、学習支援として漢字や物語を書写する時間を設け、本人の達成感や自己肯定感が高まる機会としています。支援学校で陶芸の技術を習得した利用者が、卒業後に通所利用となった際、その技術を活かせる場面が見つけにくい状況があります。今後、調理活動室でのパン作りなど活動内容の拡充を検討しています。(イは通所支援により適用外となります)

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

生活介護事業所としてのサービス提供は地域生活を継続するための支援が中心であり、利用者の生活音への近隣からの苦情に対応したり、精神疾患のある家族を医療へつなげるなどのサポートを実施しています。地域生活への移行や定着の希望を聴取した際は、併設の家庭支援センターと連携をとっています。年2回の家族面談、連絡帳、電話連絡の中で、高齢となった家族の「親亡き後」への不安や増加する一方の介護負担に向き合い、話し合っています。その結果、グループホームなど施設入所や就労継続事業所への移行が実現しています。施設入所した後に継続できずに退所に至った際にも、利用者の思いの聴取を重ね、基幹相談支援センターや更生相談所へ相談し、アドバイスを仰ぎながら次のステップにつなげています。利用者と家族の今後を見据えて、重度身体障害者のグループホーム創設を事業所の中長期計画に掲げ、次年度以降プロジェクトを始動する予定です。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の生活状況の報告や相談希望については連絡帳を通してやり取りし、必要時には電話連絡や家庭訪問も行っています。家族からの相談は自宅ケアの限界や家族の病状悪化など逼迫した内容が多く、可能な限りの迅速対応を心掛けています。また職員への不満や不信感などにも、家族の立場に立って「思いを聞かせて下さい。教えて下さい。」との気持ちを基本としつつ、じっくりと時間をかけて傾聴し、信頼関係の構築を図っています。個別面談やカンファレンスを意見交換の場として、サービス内容や家族の困り感、利用者の将来像などを一緒に考えています。フェイスシートには緊急時の連絡先や優先順位を家族が記入し、また家族状況やエコマップの欄を設けて利用者を取り巻く環境の把握に努めています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】