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くるみ学園

2025年03月24日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 くるみ学園 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害児入所施設(福祉型) 定員 20(16) 名
所在地 〒241-0812
横浜市旭区金が谷550番地
TEL 045-951-1711 ホームページ https://le-pli.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1967年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 ル・プリ
職員数
常勤職員:22 名
非常勤職員:3 名
専門職員
児童指導員:9 名
保育士:5 名
認定心理士:1 名
管理栄養士:1 名
看護師:1 名
社会福祉士:3 名
施設・設備の概要
居室:一人部屋(20室)
設備:食堂(4室)
設備:療育室
設備:相談室
設備:浴室(4室)
設備:医務室
設備:静養室(2室)
設備:トイレ

③ 理念・基本方針
<法人理念>
1.ル・プリに集うすべての人のウェル・ビーイング(良い状態/良い状況であること)を目指します。
2.利用者に対し、その人格の尊厳を尊重し、その人ごとの様々なヒューマン・ニーズを充足させる支援を行います。
3.人々がそれぞれに持つ脆弱性(ヴァルネラビリティ)を包み込める共生社会の実現に、社会福祉の実践者として参画します。

<基本方針>
1.安心できる場所となること
2.ひとりひとりの育ちを助け保障すること
3.地域の中で暮らすこと

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<くるみ学園の特徴的な取組>
●法人として、年齢に応じた支援の提供~過齢児を出さない取り組み~
●施設独自の活動の提供(グループ活動、フロア・ユニット活動、全体活動)~障碍特性に応じた枠組みのある生活支援の実施~
●子ども一人ひとりの意見を反映した個別支援の実施

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/10/01(契約日) ~2025/03/14(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 4 回(2021年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【くるみ学園の概要】 
●くるみ学園(以下「施設」という)は、相鉄線「二俣川駅」よりバスで約10分程度の「ニュータウン第7」下車、徒歩3分程の場所にあります。また、国道16号線保土ヶ谷バイパス「下川井インター」は、施設から300m程の至近距離にあります。施設の所在地には、社会福祉法人ル・プリ事務局の他、ポート金が谷(児童養護施設)、サウスウエスト金が谷(自立援助ホーム)、いずれも障碍者(以下「障碍者」とする)施設である、くるみ学園(施設入所支援・成人女性用)、ホルツハウゼ(施設入所支援・成人男性用)、野のゆり6次舎(生活介護事業所)があり、施設間連携が図られています。

●施設の運営主体は、社会福祉法人「ル・プリ」(以下「法人」という)です。「ル・プリ(LE PLI)」とは、フランス語で「襞(ひだ)」のことです。法人の命名の趣旨は、襞を持つ布地のように、あるときは相手との関係を優しくくるみ、あるときは襞と襞が折り重なり合うように人と人とがかかわり合うことで、ル・プリに集う全ての人の「ウェルビーイング(well-being)」を実践することにあります。法人は、平成29年に、「くるみ会」、「杜の会」、「試行会」の3法人の合併により設立されました。法人は、障碍福祉、高齢福祉、児童福祉、保育に関わる事業所を、横浜市内で多数運営しています。

●施設は、法人事務局も入る管理棟と、知的障碍のある子どもたちの生活する南棟から成っています。南棟は1階が男子フロアのA・Cユニットで、2階が女子の生活するB・Dユニットの計4ユニットで構成さ
れ、各ユニットの定員は5名で、4ユニット合計の定員は20名です。尚、本年12月1日の現員は、小学校3年生から高校3年生までの男子9名、女子7名で、平均年齢は14.2歳、平均入所期間は4年1カ月です。4つのユニットの内、B・Cユニットでは知的障碍の程度が中・重度の子どもが生活しています。施設では、一昨年に起きた子どもに対する不適切な支援を背景に、現在、改善に向けての取組が進められています。職員は、専門性を求められる日常の支援や、週末等に行われる多様な活動等に追われる中での研修の受講や権利擁護委員会の活動、また改善計画に位置付けられる児童福祉部門虐待防止委員会第三者委員会(以下「第三者委員会」という)の審査結果を踏まえた取組は、肉体的・心理的な負荷が大きく、ストレスは想像以上のものがあると思われます。そうした状況の中で、権利擁護委員会に陪席しましたが、参画しているリーダー的な立場にある職員は、子どもたちの適切な支援について真剣に討議され、職員間の連携も図られていることが認められました。表情・意欲等にもモラルの維持が図られており、専門集団意識の高さが窺えました。

◇特長や今後期待される点
1.【職員の高度で専門的な支援】
それぞれの子どもの背景や特性に配慮した支援が行えるよう、障碍の特性・障碍児の心理・発達、子どもとの関わり方等、法人研修や外部の専門家による施設内研修を強化して、知識やノウハウを習得しています。また、外部の専門家によるコンサルテーションを受け、研修の成果を実践に応用して、子どもの個別性に配慮した支援に取組んでいます。この施設の特長として、子どもの直接支援に当たる職員は、全員常勤職員が一貫して担当する体制が採られています。子どもの支援の現場や、支援に関わる会議では、ベテランの主査(児童発達支援管理責任者)や主任・副主任の管理職が、適宜スーパーバイズを行っています。ユニット会議・フロア会議・リーダー会議等の重層的な会議や権利擁護委員会で、子どもの支援の在り方や実践方法が話し合われています。現在行われている改善計画の取組は、職員にとっては受動的であるものの、改善計画を機に実施している外部の専門家による実践的な研修やコンサルテーションは、職員の専門性の強化を図り、確実に効果を上げているものと認められます。その成果の一端は、第三者評価の折に陪席した権利擁護委員会での議論や姿勢、職員間の連携に表れていました。
 
2.【施設独自の活動~障碍特性に応じた枠組みのある生活支援の提供】
施設の特長として、土・日・祝日・夏休み等の長期休みに、ユニット活動やフロア活動、子どもたちの能力に応じたグループ活動が行われており、併せて全員が参加する全体活動として、企画・実施担当を決めて外出や外食、買物等のレクリエーションや、旅行、祭り等のイベントが毎月必ず企画・実施(内、休養日とみんなの会が各1回あり)されています。例えば、10月には、最初の土・日に子どもたち全員参加の山梨への一泊旅行(温泉・シャインマスカット狩り)、第2週の土はフロアごとのグループ活動、日・月(祝)はそれぞれのユニットで企画したユニット活動、第3週の土は休養日、日は全体活動で秋祭り、第4週の土はグループ活動、日はみんなの会が企画・実施されています。業務多忙にもかかわらず、子どもたちのために、これほど多くの活動が毎月実施されていることは、高く評価できます。また、こうした活動は、計画の作成だけでなく、「展開案(全職員が同じ方向を向いてその計画をどのように展開していくか(どう動くか)の実践案)」を作成し、どの職員でも同じ対応ができるように取組んでいることも併せて評価に値します。

3.【過齢児を出さない取組】
施設では、過齡児を出さないことを施設の基本方針の一つに置き、子どもたちの能力や適性を踏まえた地域移行支援に、法人内関係事業所・施設や横浜市等の関係機関と連携して積極的に取組んでいます。法人内では、地域移行推進会議を開催し、グループホームや障碍者支援施設、児童養護施設等の法人内関係施設・事業所が参画して、子どものニーズや障碍特性に適した移行先の検討を行っています。また、個々の子どもを対象として、横浜市の主導により、学校、児童相談所、横浜市・区役所、関連する相談支援事業所等が参加する地域移行カンファレンスが開催され、横浜市内の法人外への地域移行の道も開かれています。法人では、1年に1か所グループホームを設ける方針があり、現在は50数か所に上っています。また、グループホームや障碍者支援施設、生活介護事業所や就労継続支援B型事業所等が法人内にあり、こうした施設や事業所と連携した法人内の移行が図れることも、法人・施設の強みとなっています。因みに、昨年度の卒園者2名はいずれも地域移行につなげられています。移行先は、1名が当法人内グループホームから就労継続支援B型事業所に通い、1名は当法人外グループホームから特例子会社に通っています。

4.【体系的・重層的・計画的・戦略的な職員の育成】
研修は、法人研修、施設内研修、外部研修の3本の体系で実施されています。法人研修では、初任者研修(仕事の基礎・権利擁護・子ども支援・虐待防止・施設処遇・障碍特性等年9回)、コア研修(自閉症障碍特性の理解、同アセスメント、知的障碍者の心理、ダウン症児者の特性理解、障碍児者のための制度、支援者のセルフケア等年10回)、理事長や外部の専門家による「虐待サポート研修」、「中途採用職員マナー研修」、「アンガーマネジメント研修」、グループワークを主体とした「ベースアップ研修(良い支援・関わりについて)」等が行われています。施設内研修では、外部の専門家による「障碍理解を深める研修及びコンサルテーション」、「子どもの理解を深める研修」、自分の物の見方を知る「権利擁護研修」を通年で行っています。外部研修では、横浜市社会福祉協議会等が主催している「記録の書き方」や「ストレスマネジメント」、「プレゼンテーション」「スーパーバイズ」等の研修を受講しています。さらに、スキルアップに必要な各種研修(「包括的暴力防止プログラムトレーナー養成研修」等)についても、職員の積極的な受講を勧奨しています。このように、法人・施設では、体系的・重層的・計画的な研修を戦略的かつ、積極的に実施しています。

5.【諸課題への計画的な取組について】
(継続的な施設運営を図るために)
事業活動計算書の経常増減差額が、近年マイナスとなっています。支出は抑制されていると認められますので、収入を増やす取組が求められます。施設長も認識されていますが、子どもの入所増による措置費・給付費の増加、新たな加算の獲得等により収入増を図り、継続性のある施設運営を行われることを期待します。また、施設の老朽化に伴う大規模修繕等の計画的な資金確保策を、法人と協議しながら検討されると尚良いでしょう。

(中堅職員の法人運営・施設運営への関心を高めるために)
改善計画の取組途上で、現状、余裕はないものと承知していますが、今後の課題として提案しておきたいと思います。経営状況は、施設長から毎月の収支状況等を職員に伝えてはいますが、職務との直接の関連性が認識されにくいため、職員の認知度は低い状況です。また、今回の第三者評価に係わる職員の自己評価結果においても運営面(共通評価基準)に関する中堅職員以下の職員の理解度が低いことが明らかとなっています。法人では、主査以上の管理職には、研修等を通じて経営状況の認識化に努めていますので、管理職になって初めて経営の実情を知るといった状況です。バランス感覚とマネジメント能力を備えた職員の育成の為、中堅職員に対する、経営についての研修等を通じた理解促進が期待されます。

(開かれた施設運営を図るために)
職員の努力により多彩な活動が企画され、子どもたちが外へ出かける機会を多く設けている取組は評価できます。一方、ボランティア、あるいは地域との関わり等、外からの施設への関わりが薄いように感じられます。施設の特性もあり難しい課題ではありますが、学習ボランティアや、地域の伝統的な行事等の技能者、近隣の大学や高校生等の受入れを少しずつでも図られていくことを期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 くるみ学園児童       
           
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
今回の第三者評価は、子どもたちへの不適切な支援をなくしていく、より適切な支援に取組んでいくことに重点的に取組んでいる中での第三者評価でした。
これらの取組については、当法人が設置した第三者委員会での定期的な審査を受けながら進めていましたが、併せて、より市民目線に立っての評価を受けることができ、当学園での取組が適正に進んでいるということを、改めて確認することができました。

当学園では、何よりも職員一人ひとりの支援力の向上、人権意識の向上、チームワークの醸成に主眼を置いて取組を進めてきた経緯があります。その点では一定の評価を頂くことができたと思っておりますが、一方で、運営面・経営面での基本的な事項について、職員への浸透度が不十分であったことが明らかになり、施設長として猛省しなければならない点だと思っています。さらに改善に向けて、取組んでいきたいと思います。

これからも、今回の評価結果を踏まえて、子どもたちにとっても、保護者の皆様にとっても、また職員にとっても、風通しの良い安全で安心できる施設となるよう取組を進めて参ります。

≪評価後取組んだこととして≫
1.自己評価結果について、職員会議を活用して職員と共有すると共に、取組むべき課題認識についての共有化を図りました。

2.自己評価結果等については、第三者委員会に報告しました。利用者アンケートで頂いたご意見についても報告し、委員会での意見を参考に、施設としての判断・対応をしました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念は、利用者、家族、職員にとって最善の利益の追求、利用者の人間としての欲求の充足、共生社会の実現等、当該施設の目指すべき方向に正に合致するものです。施設では、毎月の職員会議配付資料の次第の下部に、理念を掲載して職員への継続的な周知を図っています。一方、児童相談所を経由した措置による入所であること、家族会がないことから家族への周知を図る機会が乏しい状況です。子どもたちへの周知も特段行われてはいません。法人理念は、施設の方向性そのものですので、分かりやすく子どもたちへの理解を促す取組が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

施設では、横浜市内の福祉型障害児入所施設5施設(くるみ学園、ぽらいと・えき、ぶどうの実、すみれ園、横浜訓盲院)で構成する、横浜市知的障害関係施設協議会児童発達支援部会に参画し、横浜市内の入所児の動向分析や経営環境、行政ニーズの把握を行っています。また、施設長は、横浜市児童福祉審議会障害児部会の委員として、国や横浜市の障碍福祉計画の動向等も把握しています。法人の経営情報については、施設長が、法人のプロジェクトマネジャーとして理事会に参加していますので、把握できる立場にあります。施設長が入手した利用者動向、行政計画、経営状況等の情報は、適宜、職員会議や管理職等のミーティングを通じて職員への周知が図られています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

施設では、喫緊の課題として、一昨年に発生した子どもに対する職員の不適切な支援に対する、再発防止に向けての改善計画の取組を進めています。また、人材の確保も課題ですが、人材確保は法人の専権事項ですので、施設としては、経営状況の改善が次の課題として挙げられます。経営状況の改善には、子どもの入所増による措置費給付費の増加、新たな加算の獲得等が必要ですが、施設が受入れ可能な子ども像と児童相談所が打診してくる子ども像が合わない為、空床が続いている状況です。経営状況は、施設長から毎月の収支状況等を職員に伝えてはいますが、職務との直接の関連性が認識されにくいため、職員の認知度は低い状況です。法人では、主査以上の管理職には、研修等を通じて運営状況の認識化に努めていますので、管理者となり初めて経営の実情を知るといった状況です。バランス感覚とマネジメント能力を備えた職員の育成のため、中堅職員に対する、経営についての研修等を通じた理解促進が期待されます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人、施設共にビジョンの明確化は図られていますが、中・長期計画の策定には至っていません。法人の中・長期計画の策定は、昨年度からの継続的な取組課題となっています。施設のビジョンとして、「安心できる場所となること」、「ひとりひとりの育ちを助け保障すること」、「地域の中で暮らすこと」を掲げ、「過齢児を出さない取組」、「施設独自の活動の提供」、「子ども一人ひとりの意思を反映した個別支援の実施」を基本的な3本の方針として、子どもたちの療育・支援に取組んでいます。具体的には、中・長期的に実現を図る目標として、「風通しの良い働きやすい職場づくり」、「児童福祉、障碍福祉のプロ(専門家)としての意識と知識・技能の習得」、「横浜市、児童相談所、関係機関との協働の下での、子ども一人ひとりの適切なアセスメントの実施と将来を見据えた支援の徹底」、「年齢に応じた適切な生活環境の提供/過齢児を出さない取組の強化」、「入所児童数の現実を踏まえた福祉型障碍児入所施設の在り方についての検討と調整・協議、推進(横浜市・児童相談所との連携)」を課題として取組むこととしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

令和6年度の事業計画は「令和6年度児童運営方針」として、Ⅰ.運営方針と、Ⅱ.業務・事業推進の視点の2編で構成されており、4月の職員会議で説明・了承されています。「運営方針」には、1.障碍児の積極的な受入れ、2.地域ニーズに応えるべく取組の推進、3.安全面の強化、4.事業の見直し・中期計画の策定、の項目が設けられています。また、「業務・事業推進の視点」には、1.改善計画の着実な推進、2.改正法及び指導監査指摘事項を踏まえての取組、3.具体的な業務・事業内容、4.会議の運営、の各項目が位置付けられています。各項目には、それぞれ内容や取組が記載され、事業推進が図られています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

【5】の事業計画の「業務・事業推進の視点」の1.改善計画の着実な推進に記載がありますが、昨年度、今年度は、改善計画の着実な推進が、最も大きな事業課題となっています。改善計画は、職員ヒアリングを踏まえて策定され、第三者委員会による改善に向けての取組の審査や、施設内の権利擁護委員会(虐待防止・身体拘束適正化委員会)の設置・運営、研修の実施等が行われています。改善計画の実施状況は令和6年6月に中間報告としてまとめられ、令和6年度末時点で最終報告の予定です。日々の子どもたちの支援の困難さを抱える中で、改善計画は職員の負担を生じており、職員のストレスは大きいものと思慮されますが、調査当日に行われた権利擁護委員会では、子どもに対する権利侵害行為か否か気になった支援についての有無や対応方法について、真剣に議論がなされていました。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

令和6年度の事業計画(「令和6年度児童運営方針」)は、改善計画と関連付けられており、いずれの計画も施設の運営システムや体制に関わる内容で、子どもたちの支援に直接には関わるものではないため、子どもたちや家族への説明や、周知は図られていません。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

現在は、特に子どもたちへの権利侵害の防止、適切な支援を図るための取組が、改善計画に基づき組織的に行われています。取組の内容は、第三者委員会により審査されると共に、各年度末に評価され、次年度の事業計画(「児童運営方針」)に評価結果が反映されています。また、第三者評価も3年ごとに実施されています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

改善計画に基づく前年度の評価結果の課題は、【5】の事業計画(「児童運営方針」)の実施項目に整理され、組織的に改善策が実施されています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長の位置付けや役割については、就業規則や組織図、防災・消防計画、BCP(事業継続計画)に明記され、施設長不在時の権限移譲や、感染症や災害時等緊急時に職員が取組むべき内容も上記の規則や計画の中で明らかにされています。施設長は、自らの役割や方針等を年度初め等に適時、職員会議やリーダー会議等で、職員に伝えています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、行政の説明会や研修会、関係施設との協議会、さらには法人の理事会、新聞報道等で、法令や条例・規則の制定・改廃内容の情報を把握しています。また、法人の顧問弁護士や、社会保険労務士、会計士等法令の専門家への問い合わせや、これら専門家からの情報提供等、法令改廃情報の取得ツールがあります。職員が遵守すべき法令等は、施設長が職員会議やリーダー会議で周知しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、子どもに提供するサービスの質の向上について、法人・施設の理念や基本方針、「くるみ学園療育・支援要綱」に照らして適切な支援ができているかを常に意識して、職員育成を行っています。また、改善計画を職員の理解を得ながら率先して推進しています。特に、職員の専門性の向上を図ることを通じて組織力を高めるため、外部の専門家を招いて、「障碍理解を深めるための研修とコンサルテーション」、「子どもの理解を深めるための研修」、「権利擁護研修」を行うと共に、研修内容を録画し、未受講者は必ず視聴する等、戦略的に実施しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、経営と運営の両面から、現状分析を行うと共に、現状分析を踏まえ、昨年度一年間、業務改善委員会を設置して、改善に向けた検討を行いました。検討の結果、各支援領域における支援目標の絞り込みや、それに伴う記録の仕方の見直し、ユニット活動の実施方法の見直しを行うと共に、記録システムの使いやすさに向けての整備を行う等、改善に向けての取組を進めています。今年度は、運営面の改善を目指し、職員による委員会(係)(災害対策委員会、記録・活動検証委員会、旅行・ブログ更新委員会)方式を導入して、諸課題の解決を図っています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

福祉人材の確保・育成については、法人の事業方針の中で、法人本部の5つの重点課題の2番目(1番目は法人運営)に位置付け、新規学卒者のリクルート活動や経験者の採用に通年取組んでいます。法人のホームページにも、採用情報をはじめ、「代表メッセージ」、「仕事内容」、「教育制度」、「スタッフインタビュー」、「数字で見るル・プリ」等の就職関連サイトを用意して、法人本部が、積極的な採用活動を行っています。募集人員に対する充足率は比較的高いものと認められますが、それでも毎年欠員が生じています。施設では、ソーシャルワーカーと心理職の確保が課題となっています。職員の育成については、【18】で詳細を記載しますが、多様な研修が計画的・実践的に進められる等、積極的な取組が行われています。尚、実習生経験者等が施設を特定した就職希望がある場合に、施設での直接雇用ができる仕組み等、入職者の希望に沿った採用方法についても検討されることが望まれます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

「期待される職員像」については、法人・施設の理念、「くるみ学園療育・支援要綱」で職員のあるべき姿や基本的な子ども支援の姿勢が示されています。また、人事基準については、給与規定にキャリアパス基準表が掲げられ、昇給・昇格の判定に用いられています。キャリアパス基準表は、「経営職」・「管理職」・「主任職」・「一般職」ごとに、業務内容、求められる能力、必須(目標)資格、能力開発制度(受講すべき法人・内部・外部研修)が掲げられています。尚、目標管理については、施設長や主査と職員との個別面談により、年度当初に「業務目標、キャリアアップ」、中間に「中間期の振り返り、次年度に向けての希望(異動を含む)」、年度末に「年間振り返り、次年度に向けての希望・考え」が話し合われていますが、必ずしも十分とは言えず、また、人事考課と直接結び付くものではありません。目標管理と人事評価との連動の仕組みを検討されることが望まれます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

改善計画の推進過程にあり、働きやすい職場づくりが課題となっています。施設では、中・長期的に実現を図る目標の第一に、「風通しの良い働きやすい職場づくり」を掲げて取組を進めています。風通しの良さについては管理者・リーダークラスが参画する権利擁護委員会に、調査日に陪席して観察しましたが、職員相互に活発な議論がなされていました。職員ヒアリングでも「職員同士が応援し合う雰囲気ができている」との発言もあり、風通しの良さが認められます。休み易さについては、研修や、各種委員会、会議に加えて、ほぼ毎週土・日に活動がありますので、中々公休以外の休暇を取ることが難しい状況です。職員体制の確保が厳しい現状ですが、施設長等管理職が、職員の勤務状況や家庭環境を把握・理解し、「前月半ばまでに希望休の予定を入れる」、「勤務表に希望休を赤で記しローテーション上の指定休と区分する」、「宿直明けの後は2連休にする」等の工夫を行う等、ワーク・ライフ・バランスを尊重した職場づくりに取組んでいます。子どもへの支援に専門性が求められる、精神的に負荷の生じる職場ですので、職員のメンタル面のケアについては、施設長が随時職員面談を行うと共に、定期的(年3回)な面談を行っています。さらに、産業医に相談を受けることができる体制があります。福利厚生制度については、退職金制度や住宅手当等の他施設同様の制度に加えて、ハマふれんど(横浜市勤労者福祉共済)に加入しています。さらに、奨学金の返済支援の他、法人独自の奨学金制度も有しており、福利厚生制度は、比較的充実していると認められます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「期待される職員像」については、法人・施設の理念や「くるみ学園療育・支援要綱」で職員のあるべき姿や基本的な子ども支援の姿勢が示されています。目標管理については、施設長や主査と職員との個別面談により、年度当初に「業務目標、キャリアアップ」、中間に「中間期の振り返り、次年度に向けての希望(異動を含む)」、年度末に「年間振り返り、次年度に向けての希望・考え」が話し合われています。また、キャリアパス基準表に「経営職」・「管理職」・「主任職」・「一般職」ごとに、業務内容、求められる能力、必須(目標)資格、能力開発制度(受講すべき法人・内部・外部研修)が掲げられおり、職員研鑽の指標となっています。また、【18】に記載の通り、新採用職員から管理職に至るまで、それぞれの階層に応じた研修が行われています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

研修は、法人研修、施設内研修、外部研修の3本の体系で実施されています。法人研修では、初任者研修(仕事の基礎・権利擁護・子ども支援・虐待防止・施設処遇・障碍特性等年9回)、コア研修(自閉症障碍特性の理解、同アセスメント、知的障碍者の心理、ダウン症児者の特性理解、障碍児者のための制度、支援者のセルフケア等年10回)、理事長や外部の専門家による「虐待サポート研修」、「中途採用職員マナー研修」、「アンガーマネジメント研修」、グループワークを主体とした「ベースアップ研修(良い支援・関わりについて)」等が行われています。施設内研修では、外部の専門家による「障碍理解を深める研修及びコンサルテーション」、「子どもの理解を深める研修」、自分の物の見方を知る「権利擁護研修」が通年で行われています。外部研修では、横浜市社会福祉協議会等が主催している「記録の書き方」や「ストレスマネジメント」、「プレゼンテーション」「スーパーバイズ」等の研修を受講しています。さらに、スキルアップに必要な各種研修(「包括的暴力防止プログラムトレーナー養成研修」等)についても、職員の積極的な受講を勧奨しています。このように、法人・施設では、体系的・重層的・計画的な研修を戦略的かつ、積極的に実施しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

前述のとおり、法人・施設では、職員一人ひとりのスキルアップやセルフケアを目的とした研修を実施しています。さらに施設内では、主査・主任・副主任が中心となって、職員一人ひとりの経験や習熟度に合わせたOJTを実施しています。また、研修を録画し未受講者が視聴できるようにしており、今後は積極的にeラーニングを導入する等、職員一人ひとりの就業状況も勘案した職員育成を図ることとしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

施設では、「くるみ学園療育・支援要綱」3章1に「研修生・実習生の受入れについて」を位置付け、組織内の理解を図ると共に、実習生受入れマニュアルを整備して、大学や短期大学、専門学校等から毎年4~5名の実習生を受入れています。実習生の受入れに当たっては、主査・主任が学校との連絡や、実習プログラムの調整、受入れにあたっての心構え・姿勢等の留意点等のオリエンテーションを行う等の取組を行っています。実習生の受入れは職員採用の機会と捉え、施設内にOBが在籍する学校等に働きかける等、積極的に実習生の受入れを図っています。尚、社会福祉の実習が可能となるよう、社会福祉士養成実習指導者研修を受講した職員を配置しています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

WAMNET(全国社会福祉協議会の福祉・保健・医療情報サイト)に法人の現況報告書と各事業所の計算書類や、第三者評価結果を掲載すると共に、法人のホームページに多様な法人・事業所・施設情報を掲載しています。法人のホームページには、「代表あいさつ」、「理念・ポリシー」、「法人概要」、「組織図」、「沿革」、「事業方針」、「事業報告」、「法人予算・決算」、「一般事業主行動計画」等の法人情報が掲載され、利用希望者や就職希望者の理解を促進するための「ル・プリのおしごと」や「施設情報」等の多様な情報がビジュアルに分かりやすく掲載されています。苦情・相談体制については、施設内に掲示し苦情等の内容は公開することとしています。また、施設の情報は上記のホームページの施設情報に掲載される他、法人が毎月発行する広報誌「くるみからのたより」の中にくるみ学園の記事を掲載すると共に、施設の行事内容や写真を掲載したブログを法人のホームページに掲載する等、広く発信しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の就業規則や運営規程、経理規定、入所児童預り金管理規程等の諸規定に基づいて施設運営が適切になされています。また、施設独自の要綱として「くるみ学園療育・支援要綱」を定め、支援の理念や職員のあるべき姿、組織のあり方、会議の意義や勉強会の意味等を記載し、適切な子ども支援が成されるよう取組んでいます。また、経営状況については、毎月会計事務所による会計のチェック・指導が行われると共に、毎月の経営状況報告が成されています。また施設の運営面に関しては、行政の監査に加えて、昨年度から2年間に亘って、改善計画に基づく取組について定期的に第三者委員会の審査が行われています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちと地域との関わりは、子どもの通学する学校や実習生との交流があります。また、毎週の土・日や祝日には、ユニット活動やフロア活動、グループ活動の一環として、外出や外食の機会を設けています。また、地域の祭りにも、子どもの意向を踏まえながら参加する方向で調整しています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受入れは行われていません。施設の特性もあり難しい課題ではありますが、今後は、高校生や大学生を受入れ、障碍者や共生社会について、青少年の理解促進を図られることや、学習ボランティアや地域の伝統行事の技能者等の社会人の受入れの検討等により、子どもと地域との交流が一層図られることを期待します。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

施設として必要な社会資源は明確であり、リスト化も図られています。また、ユニットごとに子どもの余暇活動等に関わる社会資源について個々に整備しています。学校や医療機関、療育機関、児童相談所等子どもたちと関わる関係機関については密接に連携を図っています。一方、旭区の自立支援協議会には必ずしも毎回参加できていないため、地域とは旭区や校区の賀詞交歓会や、自治会との関わり程度のつながりとなっています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

横浜市知的障害関係施設協議会児童発達支援部会に参画し、横浜市内の利用者の動向分析や経営環境、行政ニーズの把握を行っています。また、施設長は、横浜市児童福祉審議会障害児部会の委員として、国や横浜市の障害福祉計画の動向等も把握しています。また、地域の福祉ニーズについては、学校や児童相談所との会合等を通じて把握しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設では、地域ニーズに応えるため、短期入所用のベッドを2床常に用意して、短期入所事業を行っています。短期入所は、子どもたちの生活に支障のない範囲で、緊急対応を要するケースを中心に受入れています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人理念を職員会議の配付資料に掲載すると共に、「くるみ学園療育・支援要綱」に子どもの養育・支援に関わる理念・意義、支援姿勢等を掲載して、年度当初に読み合わせを行い、新任職員に説明する等、職員の理解と、理念や当該要綱に沿った取組を促進しています。また、【18】に記載の通り、法人研修・施設内研修の中で、権利擁護や虐待防止をはじめ、障碍児・者の特性や心理を理解した支援が図られるよう職員の育成が行われています。子どもたちの意見は職員が個々に聴取した上で、ユニット職員の共通の理解の下で適切な支援・対応につなげていくよう努めています。また、子どもたちが自由に意見を出せる場として「みんなの会」が毎月開催され、子どもたちの意見やニーズの把握が成されています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

施設はユニット化され、子どもたちはそれぞれの居室で生活しており、個人情報保護規程等により、基本的には、子どものプライバシーの保護に配慮したサービス提供が図られています。但し、強度行動障害等を有する子どもも生活しているため、事故防止やトラブル回避の必要上、玄関等やむを得ず施錠したり、他児を自室に招く時にはドアを開放する等のルール化を図っています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人のホームページの内容が充実しており、法人、事業所の事業内容等がビジュアルかつ分かりやすく掲載されています。また、事業所のパンフレットもカラフルで見やすく工夫されています。施設の見学や相談には随時、丁寧な対応に心がけています。また、入所前に希望があれば体験入所にも応じています。法人のホームページや施設の説明資料は随時内容の更新が図られています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画等サービス内容の説明については、障碍特性や知的レベルを勘案して、ホワイトボードの活用や、写真やイラスト等も使用して、子どもが理解できる言葉や表現を工夫しています。また、言語表出の難しい子どもには、子どもに書く物を持たせて、書いてもらう等の取組も行っています。職員は、法人や施設が行う、知的障碍の障碍特性や心理と発達、子どもの話の聞き方や理解の仕方等を常に学び、子どもたちとの意思疎通に努めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの入所に際しては、児童相談所等から事前に資料を入手し、リーダー会議や職員会議等において課題や支援方法を共有することにより、円滑かつ適切な入所と、養育・支援に取組んでいます。また、退所に当たっては、引継ぎ書を作成して、養育・支援の継続性を担保しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者満足度の向上については、職員が意識して子どもたちのニーズを把握して常に取組んでいます。ニーズや意思の確認については、選択数を3つ程度に限定し、ホワイトボードやイラスト、写真を活用して、施設側から押し付けることの無いよう配慮しています。施設の特長として、土・日・祝日や夏休み等の長期休暇に、ユニット活動やフロア活動、そしてグループ活動、あるいは子どもたち全員が参加する全体活動として、企画・実施担当を決めて、外出や外食、買物等のレクリエーション、旅行や祭り等のイベントが必ず毎月企画・実施(内、休養日とみんなの会が各1回あり)されています。職員は、業務多忙にもかかわらず、子どもたちのために、これほど多くの活動が実施されていることは、評価できます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

第三者委員を選任すると共に、苦情相談受付担当者や苦情解決責任者を設置し、当該苦情解決の仕組みは、管理棟の玄関に掲出して子ども・家族に周知しています。また、苦情解決の仕組みは、児童相談所、横浜市担当課、かながわ福祉サービス運営適正化委員会等の外部の受付機関を付して重要事項説明書に記載して、家族等に周知しています。第三者委員は、法人の監事2名に委嘱しており、法人での苦情相談窓口ともなっています。尚、近年、公表に至る苦情等はありません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

施設長をはじめ職員は、常に子どもからの相談や意見・要望を傾聴する姿勢で、いつでも相談等を受け付ける旨を伝えると共に、相談等があれば丁寧に対応しています。子どもたちが話したい職員を自由に選択できるように、話しやすい環境作りを行っています。子どもたちが自由に意見が言える場として「みんなの会」を設置して、毎月開催することにより、子どもたちが意見を述べやすい環境を整えています。さらに、意見の表明が難しい子どもから意見を引き出すための研修が、外部の専門家によって施設内で行われており、職員の取組をバックアップしています。子どもとの相談場所は、ユニット内のリビングや子どもの居室や管理棟の相談室等、相談内容に応じて適当な場所を選んで対応しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

意見箱をユニットの玄関に設置し、子どもたちが意見を表明しやすいように配慮しています。また、日頃の子どもたちからの相談や意見・要望内容については、施設として対応を要するものは、各フロアの職員間で共有すると共に、施設長まで報告して対応を検討し、速やかな回答や対応に努めています。対応に時間の要するものはその旨を子どもたちに説明し、迅速な対応に努めています。意見箱は毎月施設長が確認を行い、要望等があった場合は、該当するユニットと協議の上、速やかに対応しています。また、みんなの会での子どもたちの意見・要望については、リーダー会議等で検討する等、速やかに対応しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントについては、事故防止マニュアルや、緊急時対応マニュアル、不審者対応マニュアル、緊急時の関係機関への通報・連絡体制等の関係規定や体制が整備されています。事故の種類、発生日時、子ども氏名の他に、「どうして事故に気付きましたか」、「事故前後の状況及び経過」、「事故処理及びその後の経過」、「主任記載欄」、「施設長記述欄」が設けられたインシデントレポートや、事故報告書を作成し、職員間の周知をしています。さらに、法人内や他の障碍児施設で起こった事故について、リーダー会議や職員会議で周知すると共に、適宜、記録システムでの情報伝達機能を活用し、職員へ周知を図っています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策マニュアルや汚物(嘔吐、下痢便等)の処理手順に基づいて感染症の発生防止や、発生時対応が図られています。さらに、コロナ等の重大な感染症が発生した場合に備えて、「新型感染症発生時における事業継続計画」(BCP)を定めています。当該計画には、「意思決定者と代替意思決定者」、「施設全体方針と対処」、「入所者対応班・ゾーニング」、「施設内業務・食料関係」、「優先業務選択」、「当座休止する事業」、「西部エリア内事業連携」等が記載され、非常時に活用が図られることとされています。また、事業継続計画を職員に周知・徹底すると共に、感染症予防等、感染症に関する情報の共有を職員会議や記録システムの情報伝達機能を活用し、職員の情報共有を図っています。尚、BCPについては、今年度、職員目線での見直しを行っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

自然災害については、安全計画を策定して毎月、消火・避難訓練を行っています。また、大規模災害発生時の職員の初期行動マニュアルや、サバイバルカードを用意して、災害時の初期対応等の職員の行動を定めています。さらに、大規模地震や集中豪雨等の大規模な自然災害を想定した、「自然災害発生時における事業継続計画」(BCP)を策定して、非常事態に備えています。年2回、消防設備と消防機器の点検を行っています。災害用備蓄品は、西部エリアとして総務部門が取りまとめており、リスト化や、適宜入れ替えを行っています。災害時には、自治会の協力を得ながら西部エリア内の法人施設と連携して取組を行うと共に、施設は福祉避難場所の指定を受けているため、災害時には旭区との連携の下で、地域の障碍児・者等要配慮者等への避難場所の提供を行うこととしています。また、施設は耐震設計がなされており、丘陵地にあることから、地震等自然災害に強い立地条件を有しています。また、食糧や薬等の備蓄品についても、各ユニットが利用しやすいよう保管場所の検討・整理を行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

提供するサービスについては、「くるみ学園療育・支援要綱」を基本として、業務に関わる各種マニュアルが整備され、統一的な支援が図られています。また、法人のコア研修や、施設内の外部の専門家による研修等を通じて、障碍児の特性や心理面、子どもとの関わり方への理解が図られると共に、コンサルテーション研修や、強度行動障害の支援に係わる実践研修等通じて、職員の共通理解が図られ、統一的な子どもへの支援が行われています。さらに、土・日・祝日、長期休暇等に行う活動においては、子どもの混乱が生じないよう、計画の作成だけでなく、「展開案(全職員が同じ方向を向いてその計画をどのように展開していくか(どう動くか)の実践案)」を作成し、どの職員でも同じ対応ができるように取組んでいます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

標準的な実施方法に沿って子どもへの支援が行われているかは、日々の支援の実践過程や記録を通じて、職員間で確認され、ユニット会議やフロア会議、リーダー会議で毎月振り返りが行われています。また、子ども一人ひとりのアセスメントも半年ごとに行われ、個別支援計画の見直しに反映されています。また、主査や主任が、職員に手を差し伸べ、OJTやスーパーバイズを行うことにより、適切な支援方法の担保が図られています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の策定責任者である主査(児童発達支援管理責任者)の指導を得て、子どもの個別支援計画は、子どもや家族の意向等を踏まえ主査・主任・副主任のいずれかが出席するユニット会議で検討された後、ユニットごとに原案が作成され、稟議によって成案となります。また、個別支援計画の策定過程には、半期ごとに行われるアセスメントの結果や、必要に応じて行われる外部の専門家によるコンサルテーション・見立てが反映されています。個別支援計画は記録システムで作成し、全職員が把握できるようになっています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、半期ごとのアセスメントを踏まえて、ユニット会議やフロア会議を通じて、計画、実行、振り返り、再実行というPDCAサイクルにより、子どもの支援が図られています。また、個別支援計画の見直しに際しても、子どもや家族の意向聴取が図られると共に、必要に応じて外部の専門家のコンサルテーション・見立てを反映しています。毎月開催される、権利擁護委員会・リーダー会議においても子どもの適切な支援について協議され、子どもの支援に反映させています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

子どもの状態・状況や支援に関わる情報は、「ユニット会議」、「フロア会議」、「リーダー会議」、「職員会議」を通じて、横断的・重層的に把握され、職員の共有が図られています。また、個別支援記録等、子どもに関わる情報は、記録システムで管理されると共に、常時、職員が閲覧できるようになっています。また、記録の書き方については、「くるみ学園療育・支援要綱」の中に、「一般状態の観察視点とその正確な報告の仕方」を掲示し、横浜市社会福祉協議会が主催する「記録の書き方」研修への参加や、主査・主任・副主任を中心としたOJTにより、適切な記録の管理が図られています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

子どもの記録については、「個人情報管理規程」に沿って、記録管理の責任者を施設長と定めて厳格に管理を行っています。児童の個別ファイル等紙ベースの書類は事務所の鍵のかかる書棚に保管すると共に、子どもの情報をUSB等に保存することを禁じています。また、パソコンのネットワークに不正なアクセスがなされないよう、セキュリティソフトを導入しています。通帳類は子どもの通帳も含めて本館棟で総務部門が管理する金庫に印鑑と分けて保管しています。外部への発信文書は職員による二重チェックを行うことにより、誤送付防止や個人情報の流出防止に万全を期しています。尚、個人情報が記載されている廃棄文書は、必ずシュレッダー処理を行っています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもとの話す機会を大切にして、個々のニーズの把握に努めています。意思の表出の困難な子どもや、理解することが難しい子どもには、ホワイトボードやイラスト等を活用すると共に、子どもに直接ホワイトボード等に書いてもらう、3択で子どもに選ばせる等、極力子どもの自己決定を引き出す工夫を行っています。外部の専門家から、障碍特性の理解や子どもへの関わり方を学び、個別支援に努めています。また、ユニット活動等、子どもが興味を持てる行事を活用して、子どもの意向・ニーズを把握して、活動の内容や実施方法に反映しています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

権利擁護に向けての取組については、外部の専門家による権利擁護研修(虐待防止・身体拘束等適正化研修)を実施すると共に、施設内にリーダークラスによる権利擁護委員会(虐待防止・身体拘束適正化委員会を兼ねる)を設置して、適切な支援が図られているかを毎月確認しています。また、欠員補充等の子どもの権利擁護を推進する職員体制の維持・強化に向けても積極的に取組んでいます。こうした取組は、改善計画推進のために設置された外部識者で構成する第三者委員会によっても、定期的に審査が行われており、子どもの権利擁護に対する取組は徹底されていると認められます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設では、過齢児を出さないことを施設運営方針の一つの柱として取組んでいます。卒園後のニーズの異なる、知的障碍の軽度児と中重度児をユニット(生活単位)で分けて、就労や家庭復帰、グループホーム移行や、障害者支援施設移行等、子どもの状態やニーズを踏まえて、18歳以降の生活を見据えた支援に取組んでいます。自立・自律生活を目指して、安全で安定した衣食住の生活の提供として基本的な支援を行うと共に、自立度が高いと認められる子どもには、マイナンバーカードの取得等の役所の手続きや、CD等余暇具の購入の手続き等を職員が教え、一緒に役所や店舗に出向く等、段階的に一人でできるように支援しています。法人では、1年に1か所グループホームを設けるという方針を有していますので、法人内のグループホームや障害者支援施設等とも連携して、円滑な移行が図られるよう取組んでいます。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

言葉等での意思の表出が困難な子どもについては、選択肢の提示やホワイトボードやイラスト等を活用して、表情や行動から意思や反応を多角的に把握しつつ、気付きを記録システムに記録することにより、関係職員間の合意形成を図りながら、必要な支援を行っています。また、子どもの能力を高めるための方策として、子どもに役割や当番を与えることで、子どものエンパワメントを引き出すと共に、日常的にコミュニケーションを図ることを意図しながら支援に取組んでいます。子どもとの関わり方やコンサルテーション等の研修を通して、障碍特性を踏まえたコミュニケーション作りを図っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

外部の専門家による障碍特性や障碍児心理、子どもの理解や関わり方等についての研修や、コンサルテーションを通じて、知識やノウハウを所得し、子どもと個別に話をする機会を随時設けて、本人の意思確認に努めています。しかしながら、重度の知的障碍を有する子どもの意思確認は難しい状況です。職員ヒアリングでは、意思疎通の困難な子どもとは、「筆談、ジェスチャー、絵やイラスト、分かりやすく改良したスケジュール表等を用いて、工夫しながらコミュニケーション作りに努めており、はまるものがあれば子どもの動きが違ってくる」、「ほどよい距離感を保って、家庭的な雰囲気の中で、お母さんのような声かけをする」等の発言があり、職員は、それぞれ工夫や試行錯誤をしながら、子どもと向き合っていることが感じられました。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもたちは、平日は特別支援学校等に通学していますので、施設で行う活動は、主に土・日・祝日や夏休み等の長期休みに行われます。施設の特長として、【33】に記載のとおり、土・日・祝日や夏休み等の長期の休みに、フロア活動やユニット活動、子どもの特性や能力に応じたグループ活動、あるいは子どもたち全員が参加する全体活動として、企画・実施担当を決めて、外出や外食、買い物等のレクリエーションや、旅行や祭り等のイベントが毎月必ず企画・実施されています。また、夏休み等の長期の休みの中でも同様に活動が行われる他、「くるみ学園療育・支援要綱」の「休日の過ごし」に沿って、子どもたちの知的レベルや、障碍特性、生活ニーズに応じた活動やプログラムを設定して、取組んでいます。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

障碍特性を理解し、適切な支援が図られるよう、【18】で記載した法人研修や施設内研修、コンサルテーションで知識やスキルを取得し、日々の支援に活かしています。また、適切な支援が行われているかは、ユニット会議、フロア会議、リーダー会議、権利擁護委員会等で、確認・話し合いが成されています。また、主査・主任・副主任が、適宜、スーパーバイズやOJTを行うことにより、職員によってバラツキのない統一的な子ども支援に取組んでいます。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちの生活支援については、「くるみ学園療育・支援要綱」の「生活を支援すること」に記載された、「子どもの意欲の引き出し、健康な生活提供、食事、排泄、洗面、入浴、着脱・身だしなみ、身辺処理、自己管理」の各項目に沿って、子どもたちの障碍特性や能力に応じた生活支援に取組んでいます。尚、食事は委託調理であり、栄養士が子どもの嗜好調査を行い、可能な限り子どもの嗜好に配慮しています。併せて、自分の好きなものを自分で選んで食べられることができるよう、外食の機会を設けています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

建物はユニット形式で、子どもの居室は個室であり、子どもが一人で安心できる空間が確保されています。通風・採光は、2階の女子フロアは良好ですが、1階の男子フロアは、隣地の塀に面していることから必ずしも十分とは言えない環境となっています。また、風呂場がタイルでカランが3つあり比較的広いため、冬は寒く感じられますので、家庭的なユニットバスへの転換が適当と思われます。建物も老朽化しており破損個所も目立ち始めていますので、大規模修繕等の計画的な実施が望まれます。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

卒園後の障碍の程度や特性に応じた自立生活を営むことができるよう、日常の様々な場面、フロア会活動やユニット活動、そしてグループ活動等様々な場面の中で自立に向けての生活訓練に取組んでおり、個別支援計画に位置付けて支援しています。また、子ども自身が自分の身体の使い方を学ぶこと、身体機能の向上を目指し、管理棟のホール等を活用して、グループ活動で必要な機能訓練に取組んでいます。施設では、機能訓練に留まらず、日常の生活動作においても、PT(機能訓練士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚士)の専門的な支援が必要と感じています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

看護師が常勤で配置されており、年間の保健計画を立て、健康診断、歯科健診等を実施すると共に、日々の子どもたちの健康管理については看護師と連携しながら取組んでいます。毎日、起床時に子どもたちの検温を行い、健康状態を確認すると共に、排泄状況や食事の摂取状況、睡眠時間は、記録システムで管理を行い、職員間で共有しています。また、傷病時には嘱託医である近隣の障碍児に理解のある小児科医等に速やかに通院することが可能となっている等、協力体制が取られています。近隣の精神科医に嘱託医をお願いし、月2回訪問による診療を受けており、精神科受診歴のない子どもたちの意見書の作成等も円滑に進めることができています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

医療的な支援については、施設の運営規程や重要事項説明書に提供するサービスを明記しています。嘱託医・協力医療機関は、小児科・内科、耳鼻咽喉科、皮膚科、歯科に依頼しており、毎月の往診と共にインフルエンザ等の予防接種を実施しています。服薬管理は、近隣薬局と連携し看護師が子ども・保護者の理解を図った上で行っています。薬は向精神薬等厳重な管理が必要な種類が多い為、専用のタッパーに分けられ、薬袋に服薬日と服薬のタイミングを明記した上で、間違いがないように職員が確認して子どもに提供し確認を行っています。嘱託医は地域の医療機関として、必要がある時には通院配慮をする等、連携が図られています。子どもの命に関わるような事故等緊急時には、緊急時対応マニュアルも用意されています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

将来の自立・自律生活に向けたスキル取得の一環として、施設では、多岐にわたる活動を企画して、外出、外食・外泊等子どもたちが社会と関わる機会を多く取り入れています。また、活動ではクイズ等を通じて数字に親しむ機会を設けたり、字を書くことが好きな子どもには今後漢字検定を取り入れる等、子どもの興味や関心、能力に応じた支援にも取組んでいます。子どもの能力に応じて、役所の手続きや窓口での応答等を経験させています。施設外の子どもとの交流は、近くの公園で時間を決めて遊ぶ等、子どもと職員との話し合いを踏まえてルール化を図り実施しています。単独外出についても同様に話し合いを踏まえて段階的に進めています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設では、過齢児を出さない、つまり子どもの年齢に応じた支援の提供を施設の基本方針の一つに置いて、子どもたちの能力や適性を踏まえた地域移行支援に、法人や横浜市等の関係機関と連携して積極的に取組んでいます。法人内では、地域移行会議を開催して、グループホームや障碍者支援施設・児童養護施設の法人内関係施設・事業所が参画し、子どものニーズや障碍特性に適した移行先の検討を行っています。また、個々の子どもを対象として、学校、児童相談所、横浜市・区役所、関連する相談支援事業所等が参加する地域移行カンファレンスを開催しており、横浜市内の当法人外施設等への地域移行にも取組んでいます。ちなみに、昨年度の卒園者2名はいずれも地域移行につなげられています。移行先は、1名が当法人内グループホームから就労継続支援B型事業所に通い、1名は当法人外グループホームから特例子会社に通っています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちにとって家族の存在は日々の生活の支えでもあるため、主査(児童発達支援管理責任者)を中心に職員が連携して、家族支援に取組んでいます。家族に定期的に子どもの様子を伝えると共に、面会等子どもとの交流機会の促進に努めています。また、子どもの精神科の受診には必ず家族に付添を依頼しています。こうした取組にも関わらず、子どもの家庭引き取りは難しい状況ですが、子どもと家族との関係が途切れることがないよう、子どもと家族の交流の機会作りに取組んでいます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

それぞれの子どもの背景や特性に配慮した支援が行えるよう、障碍特性や障碍児の心理・発達、子どもとの関わり方等法人研修や外部の専門家による施設内研修を強化して、知識やノウハウを習得しています。また、外部のコンサルテーションを受け、研修の成果を実践に応用して、子どもの個別性に配慮した支援に取組んでいます。土・日・祝日、長期休暇等に行う活動においては、子どもの混乱が生じないよう、計画の作成だけでなく、「展開案(全職員が同じ方向を向いてその計画をどのように展開していくか(どう動くか)の実践案)」を作成し、どの職員でも同じ対応ができるように取組んでいます。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

就労に係る進路選択については、子どもの意向や特性を踏まえながら、特別支援学校と連携して取組んでいます。現在、就労希望の子どもが在籍しており、特例子会社や、一般企業(障害者雇用枠等)への就職希望があるため、就職に当たっての留意事項や、会社からの宿題の対応等、担当職員が学校と連絡を取り合いながら、子どもの支援に努めています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

福祉型障害児入所施設のため評価外である。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

福祉型障害児入所施設のため評価外である。