社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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くろかわのぞみ保育園

2024年03月07日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 くろかわのぞみ保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 120名(利用人数:123名) 名
所在地 215-0036
川崎市麻生区はるひ野4-7-1
TEL 044-819-7481 ホームページ https://syunkenbikai.jp/kkn
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2012年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 春献美会
職員数
常勤職員:22 名
非常勤職員:15 名
専門職員
施設長:1 名
主任:1 名
保育士:28 名
看護師:1 名
栄養士:1 名
調理師:2 名
調理補助:2 名
事務:1 名
施設・設備の概要
保育室:6室
トイレ:5カ所
調理室・厨房:1カ所
職員室:1室 
地域交流室:1室
相談室:2室
絵本コーナー:1カ所
屋上・園庭:
沐浴室:1カ所
ホール:1カ所
職員休憩室:1室
浴室:1室

③ 理念・基本方針
【保育理念】
乳幼児の最善の利益を考慮し、その福祉を積極的に推進することを前提とする。
乳幼児が生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期にその生活の大半を過ごすところが保育所である。従って、保育所は家庭や地域社会と連携を図り、多様な価値観を尊重しあっての「親育ち」主体性が育つ物的・人的環境のもとでの「子ども育ち」安心して地域の中で子育てができる「育ち合いの場づくり」を基本理念として運営する。


【保育方針】
・あたたかい見守りの中で心地よく過ごせる環境を提供していく
・ひとりひとりの良さを伸ばせるように育ちを援助していく
・家庭との連携を密にして信頼関係を作り、子育ての楽しさを共感し合う
・地域・保育園・家庭が支えあって子育ての輪を広げていく

④ 施設・事業所の特徴的な取組
青い空と緑に囲まれた、くろかわのぞみ保育園は2012年4月1日に社会福祉法人春献美会としてスタートとしました。最寄りの駅から徒歩3分と閑静な住宅街の中に位置しています。線路沿いの遊歩道では小田急線の電車の行き来も楽しめるため乳児クラスの人気スポットです。近隣には、はるひ野小中学校が隣接しています。緑豊かな「ひだまり公園」や「横峰緑地」等、自然に恵まれたたくさんの散歩コースがあります。自慢の広い園庭にはアスレチックや山登りを楽しめる斜面があり、子どもたちは生き生きと遊んでいます。また大きなリクガメ2匹を飼育しており植物や昆虫、動物等生き物への興味と触れ合い、命の大切さを伝えています。戸外遊びや探索活動を通して自然に触れる機会を保育に活かし安心できる環境の中でのびのびと生活しています。自己肯定感を育て豊かな経験を通して生きる力をつける保育を目指しています。
・英語教室(5歳児対象)週1回オーストラリア出身の講師を招きネイティブな発音で、月のテーマに沿った内容でゲームをしたり、歌ったり身体を動かしながら英語を楽しく学んでいます。
・体操教室(4.5歳児対象)週1回講師を招き、子どもたちに合わせたカリキュラムに基づき身体の様々な部分の発達を即す運動を行っています。
・行事は日々の暮らしを彩り、保護者の方に子どもの成長を見てもらう機会でもあります。その時々の子どもの育ちを保護者の皆さんと共に喜び合えることを願って様々な行事に取り組んでいます。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/06/01(契約日) ~2024/03/01(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2018年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)子どもの主体性を育む取組が行われています
保育士は子どもたちが自発的に活動できるよう工夫しています。前日に子ども同士が、どの公園でどのような遊びをするかを話し合って決めています。さまざまなコーナーが設けられ、子どもたちが自分の興味に応じた遊びを選べるようになっています。また、「子ども会議」と称し、宇宙や星など子どもたちにとって魅力的なテーマを取り上げ、自由に話し合いを行っています。日常の様々な問題に対処するために、例えばケンカの原因や言葉の影響力について考える機会が設けられています。絵本に登場する「チクチク言葉」と「フワフワ言葉」を通じて、人の心の動きや言葉の影響を理解しやすくしています。子どもたちには、他人の気持ちを理解し、意見を表明する力を養うための機会が提供されています。子ども会議を通じて発言が難しかった子どもたちも、徐々に自分の意見を述べる自信をつけ、他人の感情を理解する力を身につけるようになっています。保育士たちは、このアプローチが成果を生んでいることを実感しています。

2)就学に向けた手厚い支援をしています
就学を迎える年長児と小学校1年生から6年生までの卒園生が、一同に会する「冒険お楽しみ会」がこの夏、4年ぶりに開催されました。様々なブースに子ども達の興味深い手作りワークショップを用意し、全員参加のリレー、ドッチボール、そして夕飯は子どもたちの人気メニュー,キーマカレーで遊び満載の楽しい夏の1日を過ごしています。例年「冒険お泊り会」を開催していましたが、今年度は「冒険お楽しみ会」とし、注意を払いながら140名近くの子どもたちが参加しました。このイベントは就学間近の子どもたちが、同じ保育園の卒園児がいる小学校に安心して入学できることを目的としています。また、懐かしい園での遊びも卒園生にとってはうれしいイベントです。園は「幼保小の架け橋プログラム」に参加し、就学に向けての子どもの育ちについて学んでいます。「冒険お楽しみ会」も年長児の心の不安を払拭させ、希望をもって就学できる取組の一つとして催されました。

3)人材育成・確保への取組が期待されます
園では職員の人材確保や育成が課題となっています。人材募集は法人や園のホームページ、ハローワークに掲載しています。現在中堅層の人材が少なく、年齢や経験のバランスがとれた構成を期し園でも人材を確保の工夫を検討していく考えです。実習生の受け入れにより、次世代育成や人材確保だけでなく、職員の育成にもつながり積極的に受け入れたいと考えています。今後の取組が期待されます。

4)マニュアルの充実化が期待されます
法人作成のマニュアルはありますが、一定の手順や基準が明確ではなく、全体的に内容が十分とは言えません。業務プロセスの標準化や教育の効率化につなげるためにも園独自のマニュアルを職員と共に作成し、さらに見直しや更新をルール化することが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
今回の第三者評価は着任2年目での受審となりました。一つ一つの課題に取り組む中で難しく思うところも多々ありましたが、その課題に向き合うことで自分自身の振り返りや学びに繋がったと思います。また全職員で評価項目の話し合いを重ね、疑問に思っていることが明らかになったり、共通認識だと思っていたことが個々の捉え方が違っていたり、様々な視点から日々の保育の振り返りや業務の意義など多くの気づきがありました。より良い保育運営に向かうための共通理解が深まり、方向性の確認ができました。不足部分についての改善はこれから丁寧に取り組むとともに、社会福祉法人や保育園に求められる課題に真摯に向き合ってまいります。ご協力をお寄せいただきました保護者の皆さまに感謝申し上げます。ありがとうございました。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

理念・基本方針は、入園のしおり、重要事項説明書、ホームページなどに明文化し、園内に掲示しています。理念からは、園の使命や目指す方向・考え方を読みとることができます。入職時に配布される「保育士マニュアル」には、職員としての資質や態度、保育士としての使命感、責任などを明記しています。法人全体の研修などで保育の基本とする理念・基本方針の職員への理解浸透に努めています。保護者へは入園前の説明会や保護者会などで資料をもとに説明していますが、十分な浸透には至っておらず、継続した取組が期待されます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

社会福祉事業全体の動向については法人が分析し、年に4回開催する法人の園長会で伝達されます。地域的な動向は、川崎市麻生区が開催する園長会や幼保小連絡協議会などに参加し、地域の状況や課題等も把握しています。園見学者や一時預かりなどの需要が減少気味の現況を鑑み、地域における園環境の課題、保育コスト、利用者の推移・利用率の分析などを行い、法人に報告しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営環境や経営状況における課題、問題点は、法人が分析し、法人の施設長会議で共有しています。特に職員の定着・人材確保は重要課題としており、職員にも周知しています。改善策として会議の効率化、業務軽減、有給休暇取得など、働き方改革を実施し、職員の定着や確保に努めています。課題解決に向け継続した取組が期待されます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人は法人傘下の施設全体の統一した中長期5年計画を策定しています。中長期計画を中期3年、長期を5年とし、進捗状況を確認しながら次期計画策定に反映するとしています。計画策定の基本的な考え方、重要事項、財務、地域貢献などについて、各項目に関する目標を掲げ、長期5年間における行動計画に有給取得率/休暇制度の改善・男性職員の育児休暇取得・長時間労働の削減の3つを目標としています。今後は、数値目標や成果を評価できるような計画策定が期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

事業計画策定には、前年度の事業計画・報告をふまえ、次年度の計画へのPDCAサイクルを活用することが望まれます。計画内容は、課題・改善策を明確にして取り組みますが、進捗状況を確認し、見直しをすることも大切です。また、法人内施設の統一した中・長期の計画内容を反映した計画とし、目標の数値化や実施状況の評価ができるような計画策定が期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、前年度の計画・報告の継承として策定しています。計画の策定時期や手順は決められていますが、実施した各項目の課題や改善策を明確にし、評価が行える計画としては課題があります。PDCAサイクルにより継続的に質の向上へ取り組み、中長期計画の目標につなげる事業計画策定が期待されます。園の状況や運営内容について更に職員への理解を深めることが期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画、収支計算書、事業活動計算書などは、玄関ホールにファイルとしてまとめてあり、保護者はいつでも閲覧することができます。保育内容に関しては保護者会や懇談会で説明し、また、ICTのアプリで配信していますが、保護者の理解に課題があります。説明を継続し、更に理解の浸透を図る取り組みが期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

各期間の指導計画作成には、実施状況の分析・反省を行う欄を設け、クラス、リーダー会議、職員会議で意見交換を行い、改善に向けた取組へとPDCAサイクルが活用されています。定期的に第三者評価を受審し、職員の自己評価、保護者のアンケートなどから園の自己評価を年1回実施しています。園の重要項目として人材育成に向けた研修や研修後の報告の仕組みを作って取組を実施しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

保育内容においては、評価結果を分析し、課題改善に向けての取組を明確にし、文書化しています。また、職員間で意見交換を重ね、次年度の計画に反映する仕組みを整えています。園の自己評価結果、および改善策については、職員参画ではなく、主に園長が事業報告として文書化しています。必要に応じて改善計画の見直しを行っています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、年度初めの会議や定例会等で園の方針や取組について職員に伝えています。また、職務分掌や業務分担は、一人ひとり把握するために資料を配布し、口頭でも説明しています。災害マニュアルを整え、有事における権限委任を明確にしています。また、想定された災害時には、それぞれの基本的な行動マニュアルとしてフローチャートを作成し、保護者にも入園のしおりに入れて周知しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、施設長会や各種研修会で学習し、保育運営にかかわる法令遵守について正しく理解しています。園の責任者として、職員に保育所としての法令や社会的ルールについて周知し、必要に応じた研修を行っています。保育士マニュアル、児童虐待マニュアル、個人情報保護マニュアルなどを整えて守るべき法令や対応について定めています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

職員の行動基準や職務遂行に求められる能力・自己チェックを年1回実施し、一人ひとりの保育能力を把握しています。日常的に職員の指導計画の確認や各クラス活動を観察し、必要な助言や指導を行っています。クラス会議、リーダー会議や職員会議に園長も参加し、現状の問題や課題について共に考え、改善策を検討しています。園長は、また、職員の育成に力を注ぎ、常勤・非常勤職員の学びの機会を設け、一人ひとりの自己研鑽・自己啓発に取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長の職権内で経営・業務改善の分析を行っています。今年度からは特に職員のコミュニケーション能力の向上に向けて研修をしています。職員間の信頼関係を深め、効率的な業務につなげる取組となっています。また、働き方改革として日々忙しい中でも休憩を取ること、有給休暇100%取得の促進、登降園時の専属職員の配置、個人記録や発達記録の重複改善など、書類の効率化や全体的業務に関するICTシステム活用等々、積極的に取り組んでいます。引き続き、職員が意欲をもって就労できる環境の整備を行っていきたいとしています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人職員として「望ましい保育士としての資質や態度」や、非常勤職員としての「求める職員像」も保育士マニュアルに明文化しています。基本的な人材や人員体制に関する考え方は就業規則や運営規定に明記しています。人材育成は、系統的な研修計画をもとに内部・外部の研修やキャリアパス制度を導入し、職員のモチベーションや業務の効率化を高める取組が実施されています。人材確保は、就職相談会の参加やホームページ上での募集、養成校や実習生の受け入れ時などで年間を通して行っています。引き続き工夫をし、人材確保につなげていきたいとしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は、入職時に人事基準や人事考課に関する評価方法などを職員に周知し、保育士マニュアルにも明示しています。年度初めに目標管理シートの作成や意向調査を実施し、本人の意向、専門性、職務遂行能力、成果や貢献度などの総合的な評価・分析を園長が行っています。この仕組みにより、職員は自身の経験を積み、成長できる機会が与えられています。園では人材育成を重点目標に挙げており、引き続き、職員一人ひとりの自己研鑽・自己啓発をバックアップをしていきたいとしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

労務管理の責任体制を明確にしています。一人ひとりの就業状況を把握し、定期的な個別面談の他にコミュニケーションをとり、職員の様子からいつでも相談できる就業環境に努めています。法人内に産業医による相談窓口も設けています。有給休暇の取得促進、休暇届け・時間外労働の事前の申請による承諾など、できる限り職員の希望に沿った予定を受け入れ、ストレスのない就労環境に取り組んでいます。今後も職員の満足度調査などを実施し、より良い就労環境に努めていきたいと考えています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人は、年間の階層別、専門別の研修計画を作成し、計画に沿った一人ひとりの研修を実施しています。また、目標管理制度により、それぞれの目標設定を年度初めに作成し、目標に向けた取組を進めています。年度初めと年度末に課題や目標達成の確認をしていますが、中間に進捗状況を確認する面談を行い、効率的に、確実に目標達成につなげる仕組みが望まれます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人の職員像として理念・基本方針に基づいた職員像を「保育業務マニュアル」に明記しています。就業規則、運営規定、階層別研修計画などに専門技術や専門資格を明示し、必要な教育・研修が行われています。研修計画は、定期的に評価・見直しを行い、職員の現況に合わせた研修計画を立てています。系統的に考案された研修計画をもとに引き続き人材育成に努めていきたいとしています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの職員の知識・技術水準・専門資格の取得状況や研修受講歴などを把握し、それに基づく教育・研修の機会を設けています。外部研修・内部研修の情報を流し、積極的な受講を推奨しています。OJT制度による新任職員や経験・習熟度に配慮した保育全般の指導は、現在、主任が行っていますが、新任職員の年齢に近い先輩職員によるOJTトレーニングも検討しています。年間を通して研修の機会を設け、職員が受講しやすいように人員配置などに配慮しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

次世代の福祉人材育成の場として実習生を受け入れるとしています。受け入れの担当は、主任が行っており、事前に実習生本人や学校側の要望を尊重し、学校との連携を図りながら、より効果的な育成プログラムを作成しています。一日の終わりには、評価・反省・質疑応答などを丁寧に行う体制を整えています。マニュアルがあり、受け入れから終了までの手順が示されていますが、より具体的に実習が進められるような改良が期待されます。実習生受け入れごとの評価を行い、必要に応じてマニュアルに追記するなど、主任以外の指導者でも把握できるマニュアルの見直しが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

園のホームページに理念・基本方針・保育内容を公開しています。事業報告・計画、資金収支計算書、第三者委員、園の自己評価、保護者満足度アンケートなどは、玄関ホールで閲覧することができます。第三者評価、苦情・相談の体制を公表し、第三者評価の受審結果はホームページや園内に公表されています。特に感染症に関しては、個人情報に配慮し、園の方針、および、対応を掲示し、ICTアプリでも配信しています。麻生区主催の園児作品展やあさお子育てフェスタに参加し、園の紹介をしています。地域向けには、子育て支援の印刷物の配布やホームページなどに活動内容を紹介しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

経営・運営業務に関するルールや職務分掌と権限・責任を明確にし、職員に周知しています。定期的な内部監査、会計監査があり、経営改善の相談や助言を得ています。外部の社会保険労務士による助言等も受けており、公正かつ透明性の高い経営・運営の取組に努めています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の中長期計画に「地域における公益的な取組を積極的に実施する」ことを掲げています。利用できる公共施設や地域の情報などは、玄関ホールに提供しています。園庭開放、看護師、栄養士による健康・栄養などの育児相談や移動動物園などに子育て親子を招待するなど、保育所として提供できる地域子育て支援に努めています。また、園庭には、大きなリクガメを飼っており、子どもたちの人気ものです。麻生区役所や商業施設イベントの参加、高齢者施設や老人会などで、歌やダンスの披露をしています。園には、プラネタリウム室があり、今後は地域住民らと星座を楽しむ会も検討し、地域との交流をさらに広げていきたいとしています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

法人の中長期計画には、法人内に地域貢献プロジェクトを設け、ボランティアや教育場面を活用した小中学生の次世代育成の取組を積極的に行うとしています。園のホームページにボランティア・職業体験の受け入れを掲載しています。「保育士マニュアル」には、実習生・ボランティア、インターンシップの受け入れについて明示しています。乳児、幼児の交流体験の少ない、または初めての職場体験やボランティアにも理解が深まるよう、より分かりやすく受け入れ体制を明確にしたマニュアルとして改良し、より良い受入れ体制を整備されることが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

園運営に必要な関連機関のリストを作成し、職員間で共有しています。幼保小連携事業では、麻生区の小学校教員らと「幼保小の架け橋プログラム」の一環として「就学する子どもたちの育ち」などについて学んでいます。虐待の疑いがある場合には、北部児童療育センター、児童相談所や警察との連携で支援方法などを共有しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

麻生区の地域子育て拠点や幼保小連携事業などと連携し、イベントや相談事業などの取組を提供しています。園の基本理念は、家庭や地域社会と連携を図り、安心して地域の中で子育てができる「親育ち」「子ども育ち」「育ちあいの場づくり」を目指すとしています。地域社会との交流は毎年の重点目標の一つに掲げ、関係機関・団体との連携、地域会合への定期的な参加や子育て支援への積極的な実施など、保育所として貢献できる取組に努めています。園は、専門的な質を高め、地域が求めるニーズに応えていきたいとしています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページや地域情報誌に活動や取組を掲載しています。園舎内に地域交流室を設け、毎週水曜日には、看護師による育児相談、園庭の開放や移動動物園など、地域の親子が楽しめる定期的なイベントの開催をしています。年1回は相撲力士が来園し、地域住民らとの交流も行っています。園舎3階にあるプラネタリウム室での星空講座や畳敷きの部屋を活用した地域貢献も検討しています。被災時の支援については、スペースの確保をしています。園は、更に地域貢献への活動に努めていきたいとしています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育マニュアルに子どもを尊重した保育や人権擁護に関する内容が記載され、職員向けの研修も実施されており、子どもを尊重した保育の基本姿勢について共有されています。子ども同士のコミュニケーションや子ども会議を通じて互いを尊重する心を育む取組もあります。「入園のしおり」に子どもの権利に関する条例を記載し、子どもを尊重した保育の基本姿勢を示しています。今後は保護者への情報提供や理解を更に深める取組が期待されます。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

子どものプライバシー保護に関する規程・マニュアル等を整備し、一定の配慮をしています。お漏らしの際の着替え場所や乳児のトイレのガラス対策など、日常的な対応を行っています。保育活動や行事の際の写真は同意書により、保護者の同意を得て配信を行っています。日常の保育で実施している子どものプライバシーに配慮した対応や取組について、規程やマニュアルを活用し研修等で更なる理解を深めることが期待されます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

利用希望者が保育所を選択するために必要な情報提供のアプローチを積極的に行っています。園のパンフレットは麻生区役所保育課に置かれ、子どもの作品展では園の紹介が掲示されています。一時保育も実施しており、希望があれば見学することができます。園の見学は主活動を観ることができるように午前10時から受け付けています。ウェブサイトでは毎月更新される「園だより」「給食だより」「保健だより」などが掲載され、外部の人も園の情報を容易に入手できるようにしています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

保育の開始や変更時の説明と同意プロセスでは、入園児面談で「入園のしおり」を用い、保護者が理解しやすいように説明し、「持ち物」などは動画で配信するような工夫をしています。また、就労時間や家庭状況の変更時には「異動届」や延長保育が必要な場合は「延長保育申請書」などの定められた様式の提出を求めています。重要事項を説明した後、全保護者に対して同意書の提出を求めています。さまざまな事情をお持ちの保護者の方へはルール化した説明を行っていくことが期待されます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

転園に際しては、転園先の園から電話があったり、書面の希望があった場合に保護者の同意を得たうえで書類のコピーを渡すことにしています。また、「何かあった際には気軽に来園や電話で相談してください」とは口頭で伝えています。利用終了後も相談を受けられることや相談方法、担当者を文書として示していますが、配付されることが期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの満足度は、表情や嫌がらず通園しているかなどから把握し、保護者の満足度はクラス懇談会で1人ひとりの要望や意見を聞くようにして把握しています。懇談会で表明しにくいものは個別面談で聴取しています。また行事後には匿名のアンケート調査を行い、意見を聞いています。3月、4月のクラス懇談会に職員が出席し、利用者の満足度を把握するよう努めています。アンケートや面談から抽出した意見や改善課題については職員会議で検討し、保育活動や次の行事等に反映するようにしています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決の仕組みが確立され、苦情受付担当者は園長と主任、苦情解決責任者は法人理事が担当しています。苦情の連絡先は玄関と園のしおりに掲示され、入園時に全保護者に説明されています。苦情内容はファイルに記録し、リーダー会議で詳細を共有しています。苦情があった際には、苦情を申し出た保護者に十分な配慮をしながら解決結果を公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

相談室が整備されており、連絡帳や送迎時の相談には随時回答しています。「入園のしおり」の苦情解決制度の中で苦情の定義を示し、苦情、不満、意見や要望についても複数の方法と相手を選べることを明記しています。あわせて、入園時の説明の際に「いつでも尋ねてください」と口頭でも伝えています。今回の利用者調査では、相談や意見を言いやすい雰囲気について保護者の評価は7割程度に留まっています。利用者評価の向上を図る取組が期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

保護者からの相談や意見は組織的かつ迅速に対応し、職員は信頼関係を築き相談しやすい雰囲気を作るよう心がけています。玄関に意見箱を設置し匿名での提言も受け付けており、直接園長への文面での意見も受け付けてしています。回答は可能な限り早く行い、対応が難しい場合は期日を設定して処理を進めています。職員の対応に関する意見は会議で共有し、改善策を検討しています。相談や意見の受付け、対応に関するマニュアル整備を、今後の課題として改善を図る考えです。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの安全を脅かす事例の収集と要因分析を積極的に行っています。月末ごとにクラス担任が保育室の安全点検を実施し、「安全点検記録」を残しています。担当職員は遊具の点検を定期的に行い、クラス内で生じたヒヤリハット事例は報告し合って職員全員が確認できるようにしています。園長は外部研修に参加し、他園でのヒヤリハット事例などの情報を共有しています。今後、事例収集と要因分析、再発防止策の定期的な検討が計画されています。リスクマネジメントの責任者の明確化と委員会等の体制整備が期待されます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症の予防策を講じ、緊急時の子どもの安全確保について体制を整備しています。感染症の対策責任者は看護師が担当しており、発生時には感染症ボードに情報を掲示し、アプリで配信して迅速に注意喚起しています。職員は嘔吐処理や消毒などの対応を学ぶ研修を受けています。感染症マニュアルは川崎市のものを基にしていますが、今後はこれをベースにして園独自のマニュアルを整備し、感染症別の対応マニュアルにも発展させたいとしています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもの安全確保のため、災害時の具体的な行動を示すフローチャートを作成し、保育マニュアルや各クラス、事務所内に掲示しています。3日分の非常食は栄養士が管理しています。不審者対策として職員だけが知る合言葉を設定して備えています。棚の固定や転倒防止プレートの設置などの対策も実施しています。来年度の課題として、保護者および職員の安否確認方法を具体的に規定し、伝言ダイヤルの訓練を検討したいとしています。さらに、地域との連携を一層強化し、協力を得て防災訓練を展開していく方針です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

保育において、標準的な実施方法が文書で整備され、広範な領域が網羅された法人作成の保育マニュアルが提供されています。子どもの尊重や権利擁護に関わる姿勢も明確に示されています。新規正職員全員には配布され、事務室内には随時閲覧可能な場所に保管されています。今後は、保育マニュアルに基づいた保育の実施確認ができる仕組みづくりや正職員以外の職員にもマニュアルを配付し誰でも同様の保育が実践できるようにすることが期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

保育士マニュアルは指導計画の内容に紐づいて、作成、見直しがされています。保育士マニュアルの組織的な検証と見直しを実施し、職員や保護者意見などもふまえ新たな技術や知識を導入し、より効果的な手法を取り入れるための協議の場が期待されます。法人の保育マニュアルをベースに、より具体的で園特有の保育マニュアルを進化させたいとの考えがあります。取組が期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

園長は保育園における指導計画の責任者として、子どもと保護者の具体的なニーズを把握するため、綿密なアセスメントを行っています。個々の子どもの発達段階や学習スタイル、保護者の期待などを十分に理解し、必要なサポートを明確に把握しています。計画策定においては、栄養士、児童相談所、療育センターなど、様々な専門職と連携しながら個別指導計画を構築しています。支援困難ケースに対しても積極的にアプローチし、支援が必要なケースには迅速かつ適切に対応するとしています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

指導計画について実施状況の評価と計画の見直しに関する手順を組織として定め、実施しています。指導計画の見直しにおいて、改善点を見極めるために、まずクラス単位の担任全員が集まり、従来の計画を振り返り、発展させるべき内容を抽出しています。教育現場における知見や経験を共有し、新たなアイディアを取り入れながら計画を進化させています。送迎時における保護者との密なコミュニケーションや連絡帳を通じて、保護者のニーズや期待を把握し、次回の目標に有益な情報として取り入れています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子ども一人ひとりの保育の進捗は丁寧に記録され、これらの情報は職員間で共有されています。体調不良や怪我、医療機関の受診に関する事柄については、アプリのメモ機能を活用して迅速に情報共有しています。発達状況は児童票、生活状況は経過記録といった統一された様式を使用し、情報の整合性を確保しています。記録する内容や書き方が職員によって異ならないように、記録要領の作成や職員への指導方法に工夫が必要です。一貫性を保つために、柔軟で分かりやすいガイドラインや研修の提供が求められます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

法人の個人情報管理規定に基づき、子どもに関する記録管理には厳格な規定が適用されています。児童票などの書類は、鍵のかかる書庫に保管し、外部への持ち出しを厳禁としています。年度初めに保護者に対して説明し、個人情報の提供に関する同意書への署名を取得しています。職員は入職時に誓約書を提出し、外部のボランティアや実習生も誓約書の提出を求めています。内外の全ての関係者が個人情報の適切な取り扱いに対する責任を共有し、法令や規定を厳守しています。職員の記録管理に関するスキル向上のために、研修や教育の充実が望まれます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、保育所の理念や方針、目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭・地域の状況に応じて策定しています。保育理念や方針に基づく社会的責任、人権尊重、説明責任、情報保護、苦情解決などのカテゴリーが設けられ、年齢に応じた保育目標が明示され、養護・教育・食育の観点から子どもの発達に合ったねらいと教育内容が示されています。計画策定の手順として、年度末にクラスの担任が次年度に見直したい事項を挙げ、これをリーダーが代表者会議に持ち込み、検討の結果を基に園長が全体の計画を作成しています。このプロセスを通じて、保育活動において包括的かつ具体的な方針が確立され、年度ごとの進化が促進されています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

子どもたちが心地よく過ごせるよう、生活に適した環境を整備しています。3階建ての園舎は各保育室に室温計と空気清浄機を完備し、夏は約24度、冬は約23度に設定しています。乳児の部屋では加湿器も使用しています。教室の壁は可動式で、室内のイベントに柔軟に対応することができます。転倒防止処置が施された家具が配置され、階段の下には隠れ家的な絵本のコーナーがあり、子どもたちが落ち着ける場所として親しまれています。絵本は年2回入れ替えられています。手洗い場のステンレスシンクには怪我防止のためのコルクボードが取り付けられています。3階にはプラネタリウム室と浴室があり、広い湯船での利用が可能です。屋上には周りの高い建物から遮られないようにプライバシーを確保しながら楽しめるプールが設置されています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

個々の子どもを受け入れ、その状態に合わせた保育を心がけています。児童票には子どもの発達過程を記録し、連絡帳やアプリを通じて保護者からの情報を取得しています。子どもたちが自分の気持ちを表現できるよう、保育士は様々な方法を用いています。例えば、人前で気持ちを表現できない子には個別で話を聞き、5歳くらいで気持ちの表現ができるようになると、少人数のグループを作り「子ども会議」を開催し、テーマを決めて話し合う機会を設けています。これにより、表現が難しかった子どもが話せるようになったという成果を感じています。また、発達の過程で起こる主張や欲求に対しては、一人の保育士で受け止められない場合には、他の職員と交代をして関わってみたり、場所や気分を変えてみるなど、子どもの気持ちを尊重しながら対応しています。子どもたちとの対話では「チクチクことば」(否定的な表現)を使わず、「ふわふわことば」(肯定的な表現)を重視しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもが基本的な生活習慣を身に付けることができる環境の整備、援助を行っています。基本的な生活習慣を身に付けるため、環境整備と援助に注力しています。手洗い、歯磨き、うがいなどの生活習慣を教える際には、手洗い場の前の壁にポスターを掲示することや、ストーリー仕立てのパネルシアターで、なぜこれらが必要なのかを分かりやすく説明しています。手洗いの際に特殊なクリームを塗ってからブラックライトで洗い残しを確認し、歯磨きでは歯垢染色剤を使って自分の磨き残しを見せ、子どもが理解しやすい形で学べるように工夫しています。写真を撮ったものを保護者と共有し、洗い残しの部分の傾向があることを伝えています。また、子どもがやりたくない時は、無理強いせずに手伝ったり、後でできるかもしれないと待つなど、やる気を引き出す方法にも配慮しています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開しています。前日に子どもたちと協議し、翌日の活動を決定する取組があります。園庭での遊びや散歩先の公園での活動を選択し、散歩が嫌いな子は別のクラスと一緒に室内で遊ぶことができます。自然豊かな環境を生かして、落ち葉シャワーや焚火ごっこ、ドングリ拾いなどを通じて子どもたちに様々な経験を提供しています。また、「おてつだいせんせい」のアクティビティでは、5歳児が1歳児の部屋に行き、かたづけを手伝ったり、身の周りのお世話をしてあげるなど、関わりを持っています。年上としての自覚を持ち関わることで大きな自信と成長に繋がっています。感染症の制約がある中でも、できる範囲で地域との接点や社会体験を提供し、子どもたちが学び成長できるよう取り組んでいきたいと考えています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

乳児保育(0歳児)において、擁護と養育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮しています。愛着関係を築くため、担任制度を導入しています。特に0歳児の保育ではし、子どもたちにとって「第2のおかあさん」となって安心して過ごせる環境を提供しています。保護者との緊密な連携を大切にし、日々の成長の様子を連絡帳と送迎時の会話を通じて共有しています。子どもたちの興味が月齢によって変わることを考慮し、玩具のストックを入れ替え、棚から自分で選べるようにしています。遊ぶスペースでは小さなおもちゃを置かず、安全面にも留意しています。保育士は離乳食などの相談事にも栄養士に繋げることで問題の解消に導いています。初めて口にする食物は給食に出さないように徹底し、アレルギーに留意しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳以上3歳未満の保育において、擁護と養育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮しています。一人ひとりの子どもが自分の好きな遊びを選び、思う存分遊べるように、低い段数の棚を使ってコーナーを分け、保育士が必要に応じて関わり、遊びを提供しています。安全性を確保するために、転倒の危険のある場所にはあらかじめラバーを敷き、探索活動が充実できるように工夫しています。発達の過程で生じる主張には、無理強いを避け、後からならできるかな?先生と一緒ならできるかな?といったアプローチで、できる方法を共に考えるようにしています。広大な園庭では全学年が一緒に遊ぶことができ、異年齢で交流する姿もあり、年上の子どもたちが年下の子どもを気づかう姿や年上の子どもの姿を真似るなど関わりを持てる機会となっています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳以上児の保育において、擁護と養育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮しています。各年齢層に対する取組を工夫し、3歳児には自由に好きなことを体験し、遊びの中で人間関係を築く機会を提供しています。4歳児にはヒントを与えつつも、自由な発想を引き出すように心がけています。5歳児には1年間のテーマを設け、それに関連するキーワードを保育に組み込んでいます。また、3歳から5歳児までをグループ分けし、水遊びやお店屋さんごっこなどの活動を異年齢で行っています。活動を通じて、3、4歳児は年長児に憧れを抱き、逆に年長児は年下の子どもたちをサポートしながら、互いの成長を促進しています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮しています。園の入り口はスロープになっており、園内全体がバリアフリーに設計され、エレベーターも設置されています。必要に応じて、専門の職員を配置してサポートすることが可能です。北部療育センターの専門職が訪れ、生活上必要な助言を受けています。職員は障害児に関する知識を向上させるために、園外研修や療育センターの見学などに積極的に参加しています。配慮の必要な子どもに関する情報は代表会議で共有し、議事録を回覧して全職員が把握できるようにしています。障害のある子どもの保護者から、子どもの行動に関する話を他の保護者と共有したいとの希望があります。今後は、障害のある子どもの保育について園としての方針や対応等について示し、保護者全体へ伝えていくことが期待されます。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

子どもたちの在園時間を考慮して環境を整備し、保育の内容や方法に細心の注意を払っています。延長保育では疲れが出てくる時間帯を考慮し、ゆっくりと過ごせるように工夫しています。ままごとやプラレールなどの遊びを通じて、子どもたちがリラックスできる雰囲気を提供しています。合同保育では安全を考慮し、小さな玩具は出さないようにしています。職員間の情報共有は口頭や引き継ぎ表を活用し、子どもたちの様子を伝えています。また、保護者の迎えが突発的に遅くなる場合は、前もって子どもたちに説明を行っています。遅番の保育士が2名の場合、保育と清掃に分かれるのが一般的ですが、慣れていない場合は不安を感じないように2名で保育にあたり、子どもたちが安心して過ごせるようにサポートしています。3歳児の部屋で保育を行う都合上、玩具が限られているため、今後は他の玩具も選べるように改善していく予定です。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

小学校との連携を強化し、就学に向けた計画を基にした保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮しています。全体的な計画や年間指導計画、月案を策定し、就学に向けた具体的な取組を展開しています。興味を引くかるた遊びを通じて、ひらがなに触れさせ、時計の針に意識を向ける活動を取り入れています。また、午睡の時間を段階的に短縮し、1月からは寝ない日を設け、3月には完全に午睡をしない生活に移行しています。小学校への適応を促進するために、立って靴を履く、立って着替えをすることを練習するなど生活面のサポートをしています。さらに、小学校と連携を図り、年長児が小学校を訪れて学校生活を探検する機会を提供し、就学に向けた見通しを得ることを目指しています。担任が保育要録を作成し、小学校に送付するなど、円滑な情報共有を図っています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

川崎市の健康マニュアルを活用し一人ひとりの子どもの心身の健康状態を把握しています。子どもの健康状態や怪我に関する情報は、引き継ぎ表に掲載し、それを翌日の保育に反映させています。毎年6月に新入園児対象に予防接種調査を行い、その結果をまとめています。予防接種については、強制ではなく最終的には保護者の判断に委ねています。玄関にはAEDが備え付けられており、緊急時には保育士全員が適切に使用できるように、園内での研修を実施しており、今年度はDVDを活用して学習しています。AEDの使用時に発生する音に慣れ、パニックを防ぐためにも定期的なトレーニングを重ねています。また、アナフィラキシーの発症時に使用するエピペンについても、保育士が自ら刺す練習を実施しています。熱性けいれんの子どもに関しては、かかりつけ医の指示に基づき、保護者との密な相談を経て、適切な対応を行っています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

身体測定は月ごとに行い、体重と身長をはじめ、5月と11月には胸囲と頭位の計測も行っています。健診の頻度は、乳児が年6回、幼児が年3回で、歯科健診は年1回行っています。測定値はカウプ指数の計算を通じて発達曲線に記入し、その数値を栄養士と共有して子どもの成長管理を行っています。健診結果は健康手帳に記録し、問題がある場合は担任が直接口頭で保護者に伝えています。健診結果に基づき、看護師による4、5歳児対象の歯磨き指導などの取組を行い、よく噛むことで虫歯予防など、子どもの生活指導にも積極的に生かしています。看護師は健診時に、保護者が気になることや医師に伝えたい事柄などを、自然なやりとりの中でできるだけスムーズに共有するよう努めています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患や慢性疾患のある子どもに対しては、医師の指示に基づき的確な対応を行っています。病院の指示書に従い、除去食の対応を月1回のミーティングで保護者、園長、担任、栄養士の4者で協議を行っています。アレルギーのある子どもには、一目でわかるように食器の色を変え、誤食を防止しています。土曜日はアレルゲンを除去した給食を提供し、誤食のリスクを低減させています。主治医の指導に基づき、完全除去や一部除去などの対応を行い、配膳時には細心の注意を払っています。食事の際には、子ども自身や他の子どもたちにも理解できるように説明し、差別を防ぐ工夫をしています。席を離して食べる際にも寂しさを感じないよう保育士が側に付きながら食事の援助をしています。アレルギー疾患のある子どもの保護者以外にもアナフィラキシーのリスクを伝え、誤食に繋がるリスクを防ぐため、園内へ食べ物を持ち込まないようにお願いしています。また、麻生区の看護師によるエピペンの園内研修を実施しています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

子どもたちが食事を楽しむために、食育の計画をたて、トウモロコシの皮をむいたり、そら豆をさやから取り出したり、さまざまな経験を提供しています。また、トマトやバジルなどをプランターで栽培し、育てた野菜を使用して毎年ピザパーティーを開催しています。食器の材質も工夫し、割れやすいことを学べるように飲み物用以外には陶器のものを使用しています。家庭では食べない食材も、園で調理されたものなら喜んで食べることも多く、保護者が直接栄養士に質問しに来ることもあります。食が細い子どもたちには分量を調整し、食べ切る達成感を味わえるようにし、好き嫌いがある際は無理強いせず、少しでも食べてみようと思える声かけをするなど、少しずつ食べられるものを増やせるように工夫しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

子どもたちがおいしく、かつ安心して食事を楽しむために、川崎市の献立をベースにアレンジし、季節の食材を取り入れた給食を提供しています。食材は国産にこだわり、隣接する市の業者から仕入れています。食事の好みに配慮し、喫食簿を付けて子どもたちの傾向を把握し、調理方法や食材の切り方などを工夫しています。夏祭りでは屋台で楽しむ焼きそばや唐揚げ、クリスマスには自分で選んで楽しむバイキングなど、季節ごとに楽しい企画も実施しています。料理は出汁から取るようにしており、しいたけ、にぼし、かつお、昆布などの出汁を子どもたちが飲み比べるなどの体験もしています。栄養士は時折、給食時に子どもたちの食事の様子を見たり話を聞いたりして、新しいアイディアを得ています。おやつの秋色マフィンの中に柿を干して入れるなど、子どもたちに地元の食文化を味わいながら親しむ機会を提供しています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

0歳児は、月齢により、個々に成長が異なるため連絡帳と口頭でその日の子どもの様子を事細かに伝えています。1歳児以上の園児にはICTアプリを利用し、日々の子どもの様子や園からのお知らせ(園だより、クラスだより、保険だより、給食だより、献立表など)を配信しています。また、アプリのスケジュール機能で毎日の給食の写真や幼児クラスの活動報告を行っています。保護者が見られない日中の子どもの様子を配信し、その日の保育活動がわかるようにしています。保育内容や保育の意図の理解を深めるために、年間の行事予定を配布し、行事内容・個人面談・保護者参加などの詳細を周知しています。その他に保育参加、保育参観、必要に応じて随時行う個人面談など、できる限りの保育支援に努めていますが、まだ、十分ではなく、さらに家庭との信頼関係を深め、子育ての楽しさを共感していきたいとしています。家庭からの相談や状況などは必要に応じて記録に残しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

今年度より職員の連携強化としてコミュニケーション術の研修を始めました。職員間の信頼関係の向上・情報共有の円滑化・チームワークの向上などについて学習しています。更に、保護者とのコミュニケーションから保護者の思いや要望、不安、悩みなどを的確に捉え、必要な支援を職員間で共有し、保護者との信頼関係を築くことにも取り組んでいます。保護者からの相談は、保育所としての専門性を活かし、あらゆる方面からの支援を行っています。相談内容により、担当保育士だけでなく、主任や園長、また、療育センターなどの援用支援にも繋げています。相談内容は記録し、児童票に追記しています。園はさらに信頼関係を深め、どんなことでも相談ができる園環境にしていきたいとしています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

送迎時の子どもや保護者の様子、保育場面の中での健康観察により虐待の兆候を見逃さないようにしています。重要事項説明書に「虐待等の防止のための措置」を明記し、保育士マニュアルには「児童虐待防止対応」のマニュアルを明記しています。マニュアルには、虐待の疑いがある際の対応、連絡先、早期発見のためのポイント等をまとめています。定期的に職員自身の人権擁護に関する自己点検・自己評価でセルフチェックを行い、年度末に課題をまとめ、研修受講につなげています。今後は、より詳細な手順や注意事項をまとめマニュアルの充実化を図り、全職員へ周知されることが期待されます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

子どもの心の育ち、意欲や取り組む過程が、適切であったかなど、総体的な自己評価を各期間の指導計画ごとに行い、クラス会議でまとめ、職員会議で意見交換を行っています。年度末には総合的な振り返りや見直しをし、次年度の指導計画を作成しています。また、職員の自己点検・自己評価から課題を抽出し、課題改善のための具体策を検討し、園の自己評価につなげています。園は、保育士の専門的な知識を高め、あらゆる角度から保育全般の理解への体得の積み重ねを勧めていますが、保育士自身の主体性・自主性を高める人材育成を強化していきたいとしています。