社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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さむかわ保育園

2023年04月19日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 さむかわ保育園 評価対象サービス 2022~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 180名(207名) 名
所在地 253-0106
高座郡寒川町宮山935
TEL 0467-75-0134  ホームページ www.kanagawa-doen.jp/samukawa-hoikuen
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1955年06月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人恩賜財団神奈川県同胞援護会
職員数
常勤職員:32 名
非常勤職員:10 名
専門職員
施設長(保育士):1 名
主任(保育士):1 名
保育士:33 名
栄養士:1 名
施設・設備の概要
保育室:9室
遊戯室:1室
トイレ:5カ所
職員トイレ:3カ所
調理室:1カ所
調乳室:1カ所
沐浴室:1カ所
事務室:1カ所
園庭:1カ所
職員休憩室:1カ所

③ 理念・基本方針
<法人理念>
1 人権を尊重します
2 幸せであるためのサポートをします
3 地域社会と共生していきます
<法人基本方針>
1 子どもを人格のあるひとりの人間として尊重し、理解していく
2 成長の発達段階を踏まえ生活・遊び・教育・環境を通しての総合的保育
3 保護者との連携をとり、一緒に子どもを育てていく
4 保育の質の向上を図るために、専門性と人間性を深める努力をする
<保育目標>
1 元気にあいさつができる子ども
2 心身ともに元気でおもいやりのある子ども

色々な環境におかれている子どもたちが集まっています。個々の環境を十分に配慮し、大人の愛情を沢山感じながら育っていけるように優しい心の保育を心がけています。保育者同士、保護者、子どもへの挨拶を明るく積極的にすることで、自然にこどもたちがあいさつができるようになることを目標にしています。又、おもいやりのある子どもは、大人から十分なおもいやりを感じることで、おもいやりの心が身につきます。沢山のおもいやりを保育士が子ども達にかけることを目標に日々奮闘しています。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
〇さむかわ保育園は寒川町の中心部にあり、寒川駅から10分程の場所にあります。町全体が緑で潤っており、園の敷地にも沢山の木々があり、広い園庭には樹齢100年以上になるいちょうの木がシンボルとしてあります。広い園庭は小学校のグランドと隣接しており、校庭でも遊ばせてもらっています。すぐ近くには中央公園があり、全年齢の園児がよくお散歩にでかけています。
〇リトミック教室
外部講師(リトミック専任講師)が行うプログラムです。2歳児から5歳児は年14回・1歳児は年度後半4回行っています。音に耳を傾けて身体を動かすことを通して、集中力や記憶力、判断力、表現力が自然に身に付きます。友達と一緒に活動することを通して、社会性や協調性が育ちます。職員も子ども達と一緒にリトミックを学んでいます。
〇体育的遊びの充実
子どもたちに、跳ぶ・跳ねる・蹴る・渡る・バランスなどを取り入れた体育的遊びの経験を継続的に提供するため、カリキュラムの中に取り入れ、発達段階に合わせた内容を提供しています。小さい時からの積み重ねが、子ども達の運動能力の向上や自信へとつながっていきます。プール遊びも入水するだけでなく、遊びを取り入れながら、楽しんでいます。
〇その他
絵画・工作・歌・音楽遊びなど色々な経験を積み重ねることで、どれか1つでも大好きで自信をもってできることが見つけられると良いと思っています。けっして無理をさせず、自分が「やってみたい」と思うのを待ちます。しばらくの間じっとみていたり、他のことをやる子どもたちもいます。初めてとりかかった時は、全力でほめたたえ、次へのやる気に結びつけられるように心がけています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/09/16(契約日) ~2023/03/20(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2015年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)一人ひとりの子どもの成長を大切にした保育に取り組んでいます
子どもを人格ある一人の人間として理解していくことを基本方針に掲げ、職員は子どもが必要としている援助や配慮を絶えず意識しながら保育を行っています。クラス単位、乳・幼児単位、リーダー単位等の小グループでの会議をきめ細かく行い、日々の保育を振り返る場としています。意見交換をする場を多く設定することで保育の質の向上に繋げています。また、適切な保育のため、保護者からの情報や職員間の情報の共有が漏れなく的確に行えるように努めています。

2)地域への子育て支援を積極的に行っています
法人の理念である地域社会と共生していくことを、地域への子育て支援という形で実現しています。地域の子育て家庭に対して、週日午前の園庭開放、運動会やどんど焼き等園の行事へのお誘い、園児と一緒のどろんこ遊びやお店やさんごっこなど遊びへの誘い等を町内の他の2園と共同で日をずらして開催しています。また、日常的に育児相談や見学等にも対応しています。その他、ファミリーサポートセンターの支援者向け研修会に保育士を派遣し、遊びや玩具作りなど保育の技術を伝えています。併せて中学生や高校生の職場体験や保育体験に積極的に協力し、次世代の育児・保育の担い手への支援にも取り組んでいます。

3)優しさをもって子どもを受容することを大切にしています
施設長は日頃職員へ「優しい先生でいてください」と指導しています。職員は子どもたちの行動や気持ちをしっかり受け止めることに努めています。様々な年代の職員がおり、多くの視点で子ども達を見守っています。職員が一人ひとりの子どもを受容している姿勢は、他の子どもたちにも伝わっています。障がいのある子どもがパニックを起こした際も、周りの子どもたちは自然に受け止め、対応する心が育まれています。

4)マニュアル等の一層の整備が期待されます
法人の保育士部会で業務マニュアルを策定しています。安全や健康に直接関連する内容が中心となっており、マニュアルに基づいて実施すべきことを実践し、適切な保育の提供につなげています。しかし、プライバシーの保護に関して等、子どもに配慮した保育を行っているにもかかわらず文書化がされていません。保育の質の向上のために、共通で行う作業について、手順書などを文書化したマニュアルの作成が期待されます。

5)設備環境の整備・工夫が期待されます
豊かな環境の中で広い園庭や園舎が保育に役立っています。しかし、新しい社会に伴う子どもや保護者の要望に応えるため、バリアフリーやセキュリティなどへの見直しも必要になってきています。保護者等の意見を取り入れ、安心、安全に子どもが過ごせる環境や駐輪場などの設備の整備・工夫が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
今回は2回目の第三者評価の受審となりました。
良い評価を頂けると励みにはなりますが、それよりも今現在の事業活動や保育内容等の状況を見直せる良い機会として捉え受審させていただきました。
社会状況としっかり向き合いながら、時代は何を求めているのかを考え保育の基礎は揺るがすことなく、取り組んできたつもりですが、日々の保育に追われ、行き届いていないところがあるのに気づくことができました。
小グループに分かれ、全職員が意見を出し合い課題を見つけて取り組む積極的な姿勢は、課題解決への意欲にも結びつくと感じました。
第三者評価受審をきっかけに、職員同士が意見を出せる場をもっと多くしいろいろな場面にそれが役立てていけるような体制を作っていきたいと考えています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念、保育所基本方針、保育目標等について、法人や園のホームページで広報をする他、パンフレットや入園のしおりにも掲載しています。公民館や子育て支援センターなど公共の場にも配架し、配布しています。また、園の玄関や事務室等に掲示しています。職員には入職時や年度初めの職員会議で周知し、保護者には入園時説明会や懇談会、園だよりでも園の方針と共に説明しています。園では、保育の方針や指導計画を策定する時に、理念、基本方針に立ち返って再確認をしています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

施設長は毎月の法人の保育部門会や施設長会、町主催の会議や県の保育士会等で、福祉の動向や施策の状況を把握し、法人と共に地域における公的保育の現状分析を行っています。また、施設長は、過去2年から3年の状況を見ながら子どもの受け入れや保育士の配置等について検討し、その年度の状況を参考にして法人と協議し、予算書等を作成しています。しかし、育児休業制度等の活用状況等、分析に必要な要素を全て網羅した十分な分析は難しいと感じています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

園では、町内の保育を必要とする子どもたちを巡る状況等を把握しながら、運営について検討しています。他市からの転入や全体として支援の必要な家庭が増加しており、園としては経営課題への取組と併せて、まずは子どもの心の安定と安心を提供することが大切と考えています。課題の分析内容に対して、具体的な対策に結びつけることが必要で、今後は職員が施設長と同じ感覚と目的意識を持ちながら対応していくことを目標としています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

園として、2024年度までの5ヶ年計画を策定し、経営基盤の充実・安定、事業、財務、人事管理、倫理性について明記しています。その他、修繕については法人の中・長期計画修繕戦略マップがありますが、収支を含めた具体的な数値目標等の計画はありません。また、理念や基本方針の実現に向けた保育の提供に関するビジョンも含め、建物の老朽化が進み、建替えの必要性もある中で、財務上の計画と共に、園の運営についての見通し全体について具体的な計画の策定が期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、法人の理念や基本方針等を基本として策定し、毎年度の事業計画は、実践しての振り返り、反省や課題を解決する形で次年度の事業計画につなげています。策定した事業計画は、子どもたちの育成を図る計画的な保育事業、地域ニーズへの対応、防災・安全対策、人材育成など多岐に亘り、必要な事業内容となっています。しかし、数字の枠を明確に作成していないため、数値目標の設定は難しいと考えています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、毎年度末に施設長以下主任保育士、乳児・幼児の各リーダーと職員が話し合い、前年度の反省を次年度の計画に組み込んで作成しています。行事ごとの反省会での意見や、2月に実施している保護者アンケートの意見をもとに、非常勤職員も参加して小グループで話し合った結果を集約し、乳児部会、幼児部会、リーダー会などの話し合いの結果も大事にしながら策定しています。策定した事業計画は、全員に回覧して周知しています。計画は日常の業務の中で進捗状況も含めて評価し、次年度に向けて見直しをしています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

毎月園だよりやクラスだよりを発行し、園での行事やその内容、また、その月の保育目標や取組の様子などを伝えると共に、健康や安全対策に関する取組を知らせています。年度始めには年間行事計画を配布しており、保護者が参加する行事、希望で参加できる行事を明記し、保育参観はいつでもできることも伝えて保護者の理解と協力を求めています。今後、年度の重点目標や保育方針など計画全般に亘る内容についても、保護者に伝わるような取組が期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

園の特徴として、様々な段階での話し合いが多く開催されていることが挙げられます。毎日、年齢ごとのクラスで保育についての振り返りが行われています。乳児・幼児部会にはリーダーと主任保育士も参加して話し合っています。これらの内容は全体の職員会議で共有されています。どの会議においても日々の保育内容に関する反省と改善についての話し合いが行われ、次への実践につなげています。保育の質の向上については、第三者評価の定期的な受審、保育計画のみではなく園全体の運営等に関する定期的な自己評価の実施が望まれます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

評価結果に基づいて分析した結果については、事業報告の中で明らかにして文書化し、職員間で回覧、共有しています。基本は、クラスごとの日々の保育実践に対する振り返りから課題を見つけて記録することで、課題は次期の指導内容に反映し、新たな指導計画を作成していく作業を繰り返しています。課題は、職員会議、リーダー会、乳児・幼児部会、クラス会議でそれぞれ話し合われ、年度毎のまとめを行い、次年度の事業計画の重点目標につなげています。直近ではコロナ禍で制限されていた地域交流に関して、実施方法を工夫して再開を実現しています。今後、設備や人員配置等、園全体に係る課題についての取組も期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

法人の職務規程に施設長の専決事項について規定されています。また、園の事務分担表で施設長以下の分掌事務を明確にし、分担表は職員室に配置し、常時閲覧できるようにしています。保護者には、園だよりで園長以下の職員紹介をしていますが、役割や責任の説明までには至っていません。施設長は、年度始めの職員会議の冒頭で、園の運営に向けての姿勢や留意事項、大切にしたい保育方針等について、職員に伝えています。施設長不在時の権限については、主任保育士が委任されていることを事務分担表に明記しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

関係法令、国や県からの各種通知等の情報は、法人や町、県保育士会等から得ています。施設長は法人の運営委員会や理事会に出席し、経営等施設運営に必要な情報を収集しています。施設長はこれらの法令等について理解し、利害関係者と適正な関係を保持し運営に努めています。保育に関係の深い内容については、保育リーダー達に伝え、リーダーからクラス会を通じて各保育士に周知しています。職員が遵守すべき法令を正しく理解するよう努めていますが、更に幅広い分野で理解を進めていくことが期待されます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、保育の質の向上を図るため、職員研修に力を入れています。保育の基本については、時代が変わっても子どもを中心に据えてぶれないこと、保護者への支援を行うことと考えており、全職員が園全体や小さな問題に目を向け周知しておく必要があることを日常的に伝えています。また施設長だけではなく、皆が相互に気づいたことを言い合える環境をつくるために、職員同士が小グループで話し合う機会を多く作っています。求める職員像を年度始めに伝え、定期的な面談以外にも常時保育状況を見ながら気づいたことを伝えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園の運営に関しては、施設長と主任保育士が核となって意思統一をし、リーダーが課題や取組の実質的な働きをするという仕組みを作っています。また、取組の基本は職員が自分たちで話し合って決めていくこととしており、施設長はその内容や運営に責任を持ち、ワークライフバランスに配慮した職員の働きやすい環境作りや人的整備、経営改善に取り組んでいます。併せて、経営改善や業務の実効性のため、職員一人ひとりの意識を高める働きかけも行っています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

園での職員体制は、法人として国の配置基準を上回る配置をしており、保育部門会では人材不足が生じないよう全体で取り組んでいます。職員の採用は、事業所ごとに行いますが、法人の保育園長たちが協力して保育士の養成校を回り、確保に努めています。法人は新人を対象に、保育所で必ず習得すべき研修を体系的に策定し、育成に努めています。階層別研修を実施しており、段階を経て必要な研修の受講が義務づけられています。園では働きやすい環境を作り丁寧な指導を行うことで、人材の定着を図っています。目指す保育内容を提供するために、さらなる人員体制の充実が必要と考えています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人で「保育所職員の心得」を、園で「職員の心得」を作成し、職員のあるべき姿を示しています。また、あるべき姿を保育士自らが掲げ「保育の目安と姿勢」として纏めて全員に配布しています。就業規則や給与規程で昇格等の処遇について規定しており、施設長は変更の都度職員に説明をしています。育成に関しては、「職員育成目安表」を法人で策定し、職員はチェック項目ごとに自己の目標や達成度を評価しています。施設長は自己評価に基づいて職員面接を行い、総合的な仕事の仕方を評価すると共に職員の意識向上を図っています。職員が将来的ビジョンを描ける仕組みの明確化が望まれます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の就業状況は、業務管理システムに記録されています。時間外労働や休暇の取得状況は、施設長や主任保育士が確認し、把握しています。施設長は時間外労働をしない方針を明確に打ち出しています。有給休暇の取得も職員同士が協力し、お互いに取得し易くなるようにしています。安定した人員体制を作るための人材の確保やシフトの組み方等について職員と状況を共有しながら配慮しています。事業所内での職員間の話し合いの場を多く設定することで、風通しの良い働きやすい職場作りにつなげています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、日常業務の中で法人理念等を基に、職員のあるべき姿を明確に伝えています。法人では「保育所職員の心得」を、園では「職員の心得」を作成し、また、職員自身のあるべき姿を纏めた「保育の目安と姿勢」で振り返りをしながら業務に当たっています。職員一人ひとりの育成については、法人の「職員育成目安表」を活用し、施設長が業務に必要な事項について実施状況や目標達成状況、課題などを明らかにし、進捗状況の確認を含めて年2回職員面接を行っています。法人の必須研修への参加を進め、園内研修にも力を入れていますが、施設長はさらに充実させたいと考えています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

園の運営規程において、職員の職種や資格の法的根拠等を明記しています。法人では、業務目的を達成し提供するサービスの質の向上を図ることを目的として研修制度を策定し実施しています。園では年間計画を立て、法人に参加状況を報告しています。現在、階層別研修として新人レベルを対象としたS1研修を体系化し、接遇やコミュニケーションなどの内容で実施しています。園内研修では、特に子どもたちの安全を図ることに力を入れた心肺蘇生やけがの応急手当等の研修を計画し、全員参加で実施しています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

法人として、階層別研修、職種別研修、テーマ別研修を実施しています。施設長は「職員育成目安表」を活用した面接や日常業務の中から各職員の経験や技術について把握しており、法人の必須の研修以外に、それぞれの職員にとって、さらに必要な研修を提供したいと考えています。個別のオンライン研修受講は、園内の別室において業務から離れてできるよう配慮しています。園内研修は、グループに分けて複数回実施することで全員参加を実現しています。外部研修の内容は、職員会議終了後に口頭で研修報告を行い、資料等は回覧で共有しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

業務マニュアルで、実習生受け入れについて明記しています。園としては、学校の求めに応じて積極的に受け入れる方針です。実習前に主任がオリエンテーションを行い、基本事項を伝えた上で、業務マニュアルに添って指導をしています。実習のプログラムは学校から送られてきますが、基本は実習生自身が何を見、経験したいか、そして楽しく実習に臨むことを大切にしています。実習指導には各クラス担当の保育士が当たっていますが、指導者への研修や指導は施設長が行い、実習生に対する園の指導方針や留意事項などを伝えています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人及び園のホームページで、理念や基本方針、保育目標や保育内容、収支等を公開しています。園の玄関や保育室等にも掲示しており、保護者を始め来園者がいつでも見ることができます。園のパンフレットなどは町役場やファミリーサポートセンターなど公共の場に配架しています。併せて、地域の住民に向けて、園の行事や地域の育児だけではなく幅広く困りごとの相談を受けていることを看板で知らせています。また、毎年実施している保護者アンケートの結果、意見の内容や要望等への回答等、対応状況と共に集計して玄関に貼り出しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

事務分担表で、施設長が予算・決算の策定・執行について責任を持っていること、事務職員が経理に関する事務を担当することを明らかにしています。施設長は、地域状況を把握し、入園する子どもの構成を予測しながら収支の計画を立て、毎月月次試算表を用いて法人と経営状況を把握しています。法人内部の監査は2年に1回、会計士による外部監査も2年に1回実施しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念の一つに、地域社会との共生を掲げています。また、園の運営規程では、地域子育て支援および育児支援に関する事業を実施することが明記され、事業計画の重点目標にも地域の子育て支援ニーズに応えていくことを掲げています。地域の親子に対して育児相談、園庭開放、盆踊りやどんど焼きなどの園行事へのお誘い等を行い、一緒に遊ぶことを通して園児との交流や育児支援を展開しています。また、園児が老人ホームを訪問したり、地元の獅子舞い協会や農家との交流も行っています。地域の社会資源の紹介は、必要に応じて町役場等との協働で行っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

法人でボランティア受け入れマニュアルを作成し、受け入れの意義や受け入れ方法などを明記しています。園では特別事業として、世代間交流を図るため、及び保育サービスの透明性と質を高めていくために、中・高生に対し、インターンシップとして職場体験をすることを計画しています。ボランティア受け入れは主任保育士が担当し、事前のオリエンテーションや活動後に質疑応答の時間を設けるなど、活動が意義のあるものとなるよう取り組んでいます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

入園時に保護者に配布する「入園のしおり」に、困ったときの相談機関をリストで紹介しています。町内の保育所・幼稚園・小学校連携協議会が作られており、年1回研修会を開催していますが、現在はコロナ禍で中断しています。その他、関係機関との連絡会や個別のケース会議などに施設長や主任が出席し、情報交換しながら必要な対応等を話し合い、職員とも課題を共有しています。しかし、地域全体の共通課題等については協議されておらず、施設長は、今後、町役場とも協力し、町独自の連携を図るための協議会を立ち上げたいと考えています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人は県内各地に福祉事業所を運営しており、施設長は法人の会議等に出席し、県内各地の状況を把握し、参加者の意見などから地元の福祉ニーズを探っています。法人も園も、地域の福祉ニーズに応える取組を積極的に行っており、園では保育所としての専門的機能を地域住民に提供すること以外にも、障がいや生活困窮等の相談に応じる体制を作り、「ポッポサポート同援ジャー」を立ち上げました。園の入り口に看板を設置し、育児相談を行っていることを周知しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念である、地域社会との共生を実現する手段として、様々な事業を通して園の子育て支援機能を地域に提供しています。地域の子育て支援事業として、日常的な相談を受け、園庭開放で園の子どもたちと一緒に遊び、行事にも参加を呼びかけています。町の福祉祭りへの協力や町社会福祉協議会イベントでのボランティア団体としての活動、子育てサポートセンター支援者研修へ講師を派遣し、玩具作りや保育技術を伝えるなど、保育の専門的なノウハウを提供し、地域コミュニティの活性化に貢献しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎年4月の職員会議で法人理念、保育目標や基本方針等について理解しやすいように具体的な事例を挙げて全職員に周知しています。職員は常に理念等を念頭に置いて保育にあたることができています。外部研修参加者は報告書を作成し、全職員へ回覧したり、職員会議でフィードバックして内容の共有を図っています。文化の違う外国籍の保護者への説明は、写真などを用いて理解できるよう努めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

全国保育士会倫理綱領に、子どものプライバシー保護について守るべき姿勢が明記されており、園内に掲示しています。プールの際、外から子どもたちが遊んでいる姿が見えないように目隠しをし、また、トイレの便座間には仕切りを設置しています。プールで遊ぶ子どもの様子の写真を園内に掲示していますが、外から写真が見えないようにしており、その旨を送迎時に保護者へ口頭で伝えるなどプライバシー保護に関する取組について説明しています。その他、2階にいる幼児がおもらしをした際は1階のシャワーを使用するなど、保育の様々な場面でプライバシーに配慮した対応を行っています。ただし、具体的な対応についてのマニュアルがありません。業務の標準化の一環としてマニュアルの整備が望まれます。          

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

法人の保育所理念、保育目標や特徴等が紹介されたパンフレットは、町内の同じ法人3園が合同で作製し、町役場、健康管理センターや子育て支援センター等に置いてあります。パンフレットには保育時間、行事や各園の案内図がわかりやすく載せてあります。園の見学は随時行っており、行事や活動の様子を写真で見てもらいながら説明しています。見学者に対する情報提供の内容は年1度見直しをしています。またパンフレットについても、法人内3園の主任会議で内容等を見直しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

保育の開始については、「入園のしおり」で園の生活や準備するものなど必要な事項を丁寧に説明しています。特に慣らし保育についての説明は目安期間が明記されていると共に「ならし保育のお知らせ」も配布しています。慣らし保育は保護者等の意向や子どもの様子に配慮し、担任と相談して決めています。説明にあたり、日本語が苦手な保護者には、同じ国籍の方に通訳を依頼したり、漢字にふりがなをつける等の配慮をしています。配慮が必要な保護者について「配慮が必要 職員周知」のファイルを作成し、職員で周知しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更にあたり、特別な申し送り事項が必要となる場合は町の保育担当から変更先の市町村の保育担当へ申し送りができるような仕組みとなっています。法人内の園へ変更する際は保育年数等が継続となるため、入園日がわかる台帳の表紙をコピーして渡しています。また主任会議などで子どもに関する情報を直接伝えています。利用が終了した際、園では引き続き相談などがあれば対応していますが、担当者等の内容を記載した文書は渡していません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎日の子どもの登降園時には、必ず職員が保護者と言葉を交しており、保護者からの要望や意見等を把握しています。その他、希望のあった保護者と個別面談や保育発表会後に開催される保護者懇談会で保護者等の意見を聴取しています。また年一度の保護者アンケートや各行事後のアンケートからあがった質問や要望を主任と保育リーダーが中心となって検討し、園長へ報告しており、結果は保護者へも報告しています。日々の保育の中で、子ども自身が好きなことを見つけ出せるような取組を行っており、子どもの満足度を表情や様子から汲み取っています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決の責任者や苦情受付担当者、第三者委員が設置されており、苦情解決の体制を整備しています。苦情解決の仕組みについて各保育室に掲示するとともに、年度始めに「苦情解決の仕組みについてのお知らせ」を保護者に配布しています。保護者からの問題提起には、すぐに対応するよう努めており、内容は職員会議で職員へ周知され、記録は苦情解決のファイルへ保管しています。対応策は保護者へフィードバックしています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

入園時に、子育ての悩みや相談、意見等を担任、その他の保育士や第三者委員に相談できることを説明しています。また「保育園のしおり」に苦情解決の仕組みを明記するとともに、玄関や保育室に「苦情解決の仕組みについて」を掲示しています。子どもの送迎時には、職員は保護者と必ず会話をし、意見や話を聞くようにしています。相談を受け付けた職員は保護者の都合に合わせて相談日時を設定し、空き室等を利用して、安心して話が出来るよう配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

職員は保護者との関係性を日常的に構築することを心掛けています。口頭、文書やアンケート等で寄せられた保護者からの相談や意見は施設長と主任へ報告され、保護者へは迅速な対応が取られています。相談内容等はクラスやリーダー会等のグループに分かれて意見交換を行っています。相談や意見を受けた際の報告手順等は、苦情解決の報告手順書に準じて行っています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントに関する責任者の明確化はされていませんが、事故発生時の初期動作等の手順がマニュアル化されており、職員間で確認しています。ヒヤリハットを含む園内の事故事例や職員の気づき等を収集し、要因分析と対応策の検討・実施が行われています。毎月安全チェックシートを活用し、安全対策に努めています。また保育事故に関する新聞記事を休憩室に貼り出し、職員に安全対策について意識づけをしています。毎年、救急救命の外部研修に参加し、子どもたちの安全確保に努めています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策についての役割が明確にされた管理体制がマニュアルに明記されており、全職員に周知されています。手洗い方法を各保育室に掲示し、毎日検温をして感染症の予防策を講じています。クラスごとの感染症数等を玄関に掲示し、保護者へ情報提供を行っています。また、親子一緒に感染症予防の興味を持ってもらうため園内に「ほけんだより」を掲示し情報提供しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

法人で災害対策マニュアルを整備しています。各教室に「緊急・避難時の分担表」が掲示され、対応体制が決められています。園は第一避難場所に指定されており、子どもや保護者、職員の安否確認にはメール等のシステムが職員や保護者に周知されています。大災害を想定した引き取り訓練を年に1回行っています。備蓄品は、食料や水200人分を5日分、粉ミルク10人分を5日分、その他にも多く準備しています。また消防署と連携した通報訓練を年に2回行っています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

園での業務に関しては、概ね業務マニュアルや個別の指導計画案に標準的な実施方法が文書化されています。2歳までの子どもや配慮を要する子どもに関しては、個人指導案を作成し、随時注意点を記載しながら保育を提供しています。危機管理、感染症、苦情解決等についてのマニュアルが整備されています。プライバシーの保護について、十分配慮した保育を実践しているにもかかわらず、保育士会倫理綱領で示されている以外の文書化がされていません。業務の標準化について、不足のマニュアル等の一層の整備・充実が期待されます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

個人指導案以外の業務マニュアルは、町にある同じ法人3つの保育所共通のものになっています。基本的には年度末に、3園が集まって総合的に見直し作業をしています。その他、随時に職員から変更の提起がされた場合や保護者アンケートの結果を踏まえ、早急に変更が必要と判断した場合は、3園の主任会議や園長会で見直しについて協議し、各園の保育リーダーに下ろしています。リーダーによる検討結果を主任会議で協議し、園長会での了承を経て見直しが決定されます。個人指導案は、定期的な業務の振り返りの中で必要に応じ見直しをしています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

入園時に保護者から提出される児童票や個人記録をもとに指導計画を策定し、その後は保護者との会話や日々の保育の中から得た情報を根拠として追記しています。策定は、年齢別のクラス会議で話し合った結果で担当保育士が行いますが、2歳までの子どもと幼児クラスで配慮を必要とする子どもについては、リーダー会や職員会議で支援の方法などを説明し、全員が周知しています。必要に応じて、栄養士や町の障がい者相談支援事業所の職員の意見を取り入れ、実施後も相談支援事業所の協力を得ています。アセスメント手法の確立と文書による標準化が望まれます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

年間指導計画は、基本的に毎年度末に年齢ごとのクラス会議で振り返り、話し合うことから開始します。見直しをし、次年度の計画に課題等を反映しています。話し合いの内容をクラスリーダーがリーダー会議で報告し、意見を集約し、最終的に主任と保育リーダーが施設長と協議をして新しい計画を策定しています。話し合いの過程で一人ひとりの子どもに関する保護者の意見も反映しています。月間指導計画や週案については、子どもの状況に応じて、日々の保育実践の中で個別に協議し、必ず手順を踏んで見直しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

日々の保育内容は担当職員が、日誌にクラスの様子などを記録しています。職員が工夫して作成したもので、子どもの動きを適切に記録できるよう要点を押さえた様式となっています。緊急に情報等共有が必要な場合は、「本日確認連絡表」と連絡ノートに記入し、職員に周知しています。担任の記録は、リーダーから主任、施設長へと確認し、記録の書き方については、施設長が日々の記録のチェックと併せて園内研修で指導しています。施設長は、職員間の情報をより確実かつ効率的に行うため、コンピュータネットワークでの作業に移行する必要があると考えています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報管理について、法人では個人情報保護管理規程を定め、「保育所職員の心得」で具体的に説明しています。園でも「職員の心得」に明記し、年度始めに業務マニュアルで確認しています。子どもに関する記録等個人情報の管理責任は施設長と主任保育士が担い、実際には主任が事務室内の鍵付きキャビネットへの保管管理を行っています。職員は入職時に新人を対象にした研修を必ず受講し、個人情報の取扱いについて学んでいます。保護者への対応として、入園時に個人情報を他に伝える場合の条件を示し、「個人情報の使用に係る同意書」を提出してもらっています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、児童憲章や児童福祉法の趣旨をとらえ、また保育理念、保育方針や園の保育目標に基づいて作成されています。作成の過程では、子どもの発達段階の具体的な特徴を意識し、重視すべき課題を抽出すると共に、子どもの生活と発達の連続性に留意しています。年間指導計画や月間指導計画は1年を見通して年齢会議やリーダー会議で内容を検討し、2歳以上のクラスには体育指導案も作成されています。年度末には年間の振り返りを行い、次年度の作成に活かしています。最終確認は園長と主任で行っています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

各保育室には温・湿度計を設置し、日誌に室温・湿度を記録しています。室内は明るく、子どもたちが快適に過ごすことができるような環境が整えられています。感染防止対策もあり、消毒液を常備し換気も十分に行われています。乳児の保育室には危険防止のため、手洗い場等に段ボールで手作りしたガードを施しています。また、床暖房があり、午睡と活動の場所を区分しています。食事やおやつ時はテーブルクロスをかけたり、テラスで食べたりなど、環境を変えて子どもたちが楽しめる工夫をしています。一人ひとりの子どもにとって落ち着けるコーナーやスペースへの配慮、工夫が課題です。 クールダウンが必要な時は、空き部屋等の静かなところへ移動し、職員が一人ついて落ち着きを取り戻すまで対応しています。園庭の砂が園舎に入りやすいため、職員が丁寧に清掃をしています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は基本方針「子どもを人格のあるひとりの人間として理解していく」を念頭に置き、日々の保育にあたっています。時間をかけた対応が必要だと判断した際は、ヘルプ職員を頼んで個別で対応しています。自分を表現する力が十分でない子どもに対してスキンシップを多くするなど、その子どもにあった対応をしています。施設長は職員へ「優しい先生でいてください」と日頃から指導しており、せかす言葉や制止する言葉を不必要には用いることはありません。職員は一人ひとりの発達過程や家庭環境等を把握しており、状況を考慮した対応を行っています。連絡事項があった際は職員間で伝達事項を回覧し、漏れやミスがないよう努めています。月間指導計画に、一人ひとりの子どもを受容するための援助内容が記されています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

0歳児から2歳児までの保育は、担当職員で年齢部会を開催しています。子どもの達状況を確認し、援助方法等を話し合って決めています。3歳児から5歳児は一人ひとりの子どもに合わせて温かい声がけをしながら、できた時は一緒に喜び合える保育を行っています。食事中に眠くなってしまった子どもは早めに午睡に入る、食事が足りない場合はおかわりを提供するなど、一人ひとりに合わせて対応しています。午睡時間は、眠たくなければ無理に寝させることはしませんが、体を休めるために休息が必要であることを子どもに伝えて静かに過ごすようにしています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

3、4、5歳児の1週間の予定にはリトミック教室、体育遊び、楽器遊び、制作の時間が設けられています。子どもたちが様々な経験をすることで自信に繋がり、自主性や自発性を発揮できるように援助しています。リトミックや体育遊びの取組からバランス感覚も養われています。行事や園外保育で異年齢で一緒に過ごしたり遊ぶ機会を設け、協調性やコミュニケーション能力が伸びています。地域の伝統を守る会で行われる獅子舞の披露やパン屋からパン作りを教わる、演奏会等、地域の方の協力で社会体験が得られています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児の教室には怪我防止のためのガードの設置など、様々な対策を施しています。発達過程に応じた玩具を用意して、探索活動や移動が十分楽しめるようなスペースを確保しています。特定の職員とスキンシップや1対1の関りを持ち、豊かな感情が育つような援助を行うことで情緒の安定を図っています。離乳食のすすめ方を保護者へ情報提供し、進捗状況を報告してもらっています。子どもの様子を保護者へ送迎時等に口頭や連絡ノート、教室入口に掲示されているホワイトボードを活用し伝えています。また、活動の様子を写真の掲示で伝え、保護者の安心につなげています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳児クラスの室内遊びは、子どもが活動しやすいように少人数グループに分け、コーナーに用意した玩具などで安心してのびのびと自由に自発的に動いています。職員は危険がないように見守っています。できることが増える2歳児クラスは、グループに分かれて意欲的に活動しています。友だちとの関わりも増えるなか、まだ言葉で表現できないことも多いため、職員が間に入り仲立ちをしています。異年齢の子どもや調理員、また、中高生のボランティア等との関わりを図っています。保護者には個人面談や懇談会で子どもの様子を伝えています。職員は日々の保育を振り返り、話し合いを重ね、今後の保育へ繋げています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

各年齢を2グループに分けて保育を行っています。3歳児は生活習慣等において個人差があり、一人ひとりに寄り添った援助をしています。自分の気持ちなどを言葉で表現することがまだ十分ではないため、職員が介入して子どもの伝えたいことが言葉や行動で表現できるように援助しています。4、5歳児は集団の中で仲間意識が強くなり、競争などに負けた際の悔しいという感情を職員は共感し受容しています。また、職員は子どもが目標に向かって力を合わせて活動し、達成感や充実感が味わえるように援助したり、縦割り保育で年下の子どもの面倒を見るなどの自覚や責任が育つよう援助しています。保護者や小学校に園だよりを配布し、子どもたちの活動等を伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

障害のある子がパニックになっても、周りの子どもはその子の特徴として捉えており、子ども同士で声を掛け合って過ごすことができています。配慮が必要な子どもへの対応については、町に委託されている障害者相談支援事業所や園に隣接している児童の発達相談センターへ相談し、指導を受けています。専門職から受けた指導を職員会議で報告して、全職員が同じ対応ができるように周知しています。職員は障害のある子どもの保育についての外部研修に参加し、職員会議等でフィードバックしています。保護者に対して、障害のある子どもの保育については敢えて触れていません。また、個別指導計画も作成していません。今後は個別の計画書の作成、及び、クラス等との指導計画との関連付けや計画に基づく保育の実施が期待されます。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

延長保育では、子どもたちがゆったりと穏やかに過ごすことができるように、特に0歳児は2人になったら異年齢と合流する等の配慮をしています。子どもの在園時間に配慮して、朝早く来園する乳児にはミルクを提供しています。また、お迎え時間が18時以降になる子どもへは補食を提供しています。子どもの状況等について、職員間で引き継ぎノート等に詳細を記録し、情報共有に努めています。園と保護者も連絡ノートを活用しています。早朝、延長保育は職員が固定されており、子どもと保護者とコミュニケーションを図りながら信頼を得られるように努めています。園児の人数が多いこともあり、園では、家庭的にゆったりと過ごせるための工夫がさらに必要と考えています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画や5歳児の年間指導計画の中に、就学に関する事項が記載されています。子どもたちへ、近隣の小学1年生から学校の様子の絵や写真のプレゼントがあります。受け取った子どもたちは小学校の生活に対する期待を膨らませています。保護者には就学・教育相談の案内をしています。行政主催の保幼小連携協議会が開催され、意見交換や研修の案内がされています。就学前には、小学校と対面や電話等で一人ひとりの子どもの様子を引き継いでいます。児童保育要録は担任が作成後、施設長と主任から助言を受けて仕上げ、小学校に提出しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症、乳児突然死症候群SIDS予防等のマニュアルが整備されています。身体検査表では一人ひとりの子どもの健康状態を把握することができています。保健計画が作成されており、子どもの発育や発達に適した生活を送ることができるよう援助しています。アレルギーのある子どもに対して栄養士等も含め、関係職員で情報を周知しています。既往症や予防接種の接種状況等は児童票で管理されています。園の子どもの健康に関する方針等は保護者に周知され、健康状態に変化がある際は速やかに保護者へ報告しています。健康状態に関する情報は、乳幼児会議や職員会議等で共有し、勉強会を開催して知識を深めています。職員はSIDSに関する研修に参加し、保護者に対してSIDSに関する情報を伝えています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健康診断を年2回(5月と11月)、歯科健診を年1回(10月)に行っています。3〜5歳児は年1回尿検査も行っています。健康診断の結果は保護者へ報告しています。歯科健診の結果は健康診断と同様に保護者へ報告し、保護者の確認印をもらっています。健診結果に異常がある際は職員会議等で職員に周知されます。一人ひとりの子どもの発育・発達状況等は行事記録や個別の身体検査表に記録しています。6月に町主催の栄養士によるエプロンシアターが開催され、子どもたちが体や歯について関心が持てるよう援助しています。その他、園内に掲示しているほけんだよりで保護者に情報提供をし、子どもたちには絵本などで健康の大切さを伝えています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患のある子どもに対して、マニュアルをもとに保護者・栄養士・給食・担任が連携をとって子どもの状況に応じた適切な対応を行っています。また保護者・栄養士・担任で三者面談を行い、現状での医師の指示や今後の対応等の詳細を確認しています。熱性けいれんを繰り返している子どもの薬を預かり、事務所に保管しています。重症なアレルギーの子どもに対応するため、職員は消防士によるエピペンの研修を受けています。保護者へは入園説明会でアレルギー疾患やアレルギー除去食等について説明しています。アレルギー食は食缶に入れてクラスまで運ばれ、担任が確認してから提供され、他の子どもと席を離して誤食がないようにしています。他の子どもへはアレルギー疾患等について理解が図られています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

指導計画に食育に関する取組が記載され、実施しています。食事の席は決めておらず、子どもが好きなところへ座っています。乳児クラスでは職員が定位置につき、子どもの成長に合わせて援助しています。スプーンから箸への移行時期には個別の援助を行っています。乳児は手付きコップ、幼児はコップを使用し、一人ひとりに応じて量を加減しています。野菜を栽培したり、下ごしらえ等の調理に携わり、子どもたちへの食への興味・関心を増やしていく取組を行っています。また、幼児は年間を通して調理に携わる機会を設け、作る楽しさから食への興味がもてるような取組を行っています。食事のサンプルを展示し、保護者は確認しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

子どもの体調が良くない場合は軟食へ変更するなど個別の対応をとっています。職員は子どもの嫌いな食べ物を把握しており、子どもが食べてみようと思える声がけを行っています。クラスごとに毎日の食事の状況を給食日誌に記入し、栄養士や調理員も参加して月に一度の献立会議で内容を検討しています。5月は鯉のぼり、12月はポテトサラダツリーなどをバイキング形式で提供しています。日頃から調理員がクラスを回り、子どもたちに食材を見せる等子どもと会話をしています。マニュアルに基づいた衛生管理が行われており、体制も確立されています。保護者からは、子どもが新たに食べられようになった食材の情報を提供してもらって給食に生かすなど連携を図っています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

園と家庭とのやりとりは主に送迎時の会話や連絡ノートを使用しています。連絡ノートは0〜1歳児は毎日、2歳児以上は相談・連絡事項がある場合に記入しています。家庭からの大切な事項は、職員間で回覧や連絡ノートを活用して情報共有に努めています。日々の保育内容について、保育目標や当日の活動を玄関前やクラス出入口ドアのホワイトボードに記入して保護者に伝えています。また各保育室前にはその日の子どもたちの写真を掲示して活動の様子を伝えています。保護者はいつでも子どもの様子を見学でき、子どもの成長を直接目にすることができる環境となっています。その他、毎月発行している園だよりやクラスだより、きゅうしょくだよりで、その月の保育目標などを伝え、保護者の理解を図っています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の送迎時等で保護者とのコミュニケーションを図っており、相談しようと思える関係づくりに努めています。定期的な個人面談だけではなく、随時希望に応じて面談を実施しています。町へ提出された保護者の就労証明書を確認後、延長保育を受け付けています。相談内容は担任だけではなく、全職員で共有しています。内容は個人面談の記録に残しており、回覧や職員会議で周知されています。相談を受け付けた職員は園長・主任へ報告し、適切に対応できるようにアドバイスを受けられる体制となっており、要望等への対応は迅速に行うようにしています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

運営規程に虐待防止法遵守について明記され、マニュアルも整備しています。職員は朝の受け入れ時に親子の関わり、保護者の対応や子どもの様子を観察しています。子どもの体に虐待と思われる痕を発見した際は、写真を撮り、記録して、施設長から町の子育て支援課や児童相談所へ報告し、対応を協議しています。児童相談所等の関係機関と連携を図るため、町内にある同法人運営の3園でサポートネットワーク会議に参加しています。また年2回ほど児童相談所主催の虐待や人権に関する研修に参加して理解を深めています。児童相談所から虐待に関する情報が入った際は、子どもと保護者の様子を注意深く把握するように努めています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

実践している保育内容について、毎月末にクラスごとに振り返りを行い、翌月の指導計画案に反映しています。作成した指導案に対して、施設長、主任保育士や保育リーダーが再度確認をしています。法人の目標援助シートを活用し、保育士自身の振り返りの機会としています。各自がシートに自己の目標や課題、書かれた項目に対する達成状況を記入し、施設長と主任保育士が年2回個別に面談して必要な助言をしています。それぞれの職員が、小さな問題に関する提起を自分事として受け止め、個人の目標達成が保育所全体の保育の質の向上につながるように努めています。保育士自身の振り返り・自己評価の集計と園の自己評価との関連や分析は今後の課題となっています。