社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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しなの森のさと

2022年03月30日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 公益社団法人神奈川県介護福祉士会

② 施設・事業所情報
名称 しなの森のさと 評価対象サービス 2021 高齢者福祉サービス版
対象分野 特別養護老人ホーム 定員 104 名
所在地 244-0801
横浜市戸塚区品濃町1386-1
TEL 045-826-1222 ホームページ :http://www.sinanomori.jp/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2000年05月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人あゆみの国のなかま
職員数
常勤職員:41 名
非常勤職員:38 名
専門職員
介護福祉士:18 名
介護支援専門員:5 名
看護師:7 名
管理栄養士:1 名
栄養士:2 名
施設・設備の概要
個室(4)、2人部屋(2)、4人部屋(28):浴室、会議室、デイルーム、食堂

③ 理念・基本方針
◇基本理念
 「安心」 「信頼」 「感謝」
 当法人はお客様中心の体制でサービスの提供を行い、
 人権尊重・法令順守の徹底・介護活動等の透明性を確保し、
 <お客様とご家族に喜んで頂けるサービスの提供をする>を念頭  に置き、以下、品質方針とする。

◇品質方針
「専門知識と介護技術を駆使し、緊張感を保ち、お客様に喜んで頂けるサービスを維持する為、お客様本位の品質マネジメントを実施する」

私達の仕事は、
1.「お客様への感謝」の心と「信頼関係の構築」を基に、
 生活環境を整えることで「安全」への配慮を実施します。
2.お客様が長生きして良かったと思って頂けるように、
 ご自分で意思表現が難しくなったお客様に喜んで頂けるように、
お客様本位の支援をすることで、「生きる尊厳」を支えます。
3.「行動・言動・身のこなし等、礼儀・品位を保つ事」
 心・言葉・振る舞い、あなたの心のバランスが大切です。
見直しを重ね、品質維持・向上に努めます。



④ 施設・事業所の特徴的な取組
〇入居者の一人ひとりを大切に思う気持ちから、常に「お客様」と呼びかけ、職員全体が入居者を大切にする気持ちを持ち続けて、支援を行うよう努めている。職員は、皆とコミュニケーションが取れること、介助の際にきちんと声かけすること、挨拶がきちんとできることなどの基本を常に意識して、業務に携わっている。
○施設開所時より、品質マネジメントシステムのISO9001に取り組んでいる。事業計画の実施状況の把握や評価、見直しは、「品質行動計画書兼報告書」で半期に1回行っている。ISOに取り組んで10年を超えた頃より、ISOマネジメントシステムと施設の流れが一体になっていると感じている。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/11/01(契約日) ~2022/02/09(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2015年度)

⑥総評
特に評価の高い点 ◇事業所の特色や努力、工夫していること、事業所が課題と考えていること等
○しなの森のさとは、平成12年開所の従来型の特別養護老人ホームで、2~4階の4人部屋を中心に104名のお客様が日々の生活を送っている。また、各フロアに短期入所生活介護(ショートステイ)16ベッドを備えている。お客様の居室はすべて南向きで、陽当たりが良く、明るい雰囲気を醸し出している。
〇居室内のスペースは広く、ベッドや備え付けの引き出し、箪笥があり、ソファを持ち込んでいる方もいる。一人ひとりの好みに合わせ、ご家族の写真や吊るし雛などを飾り、その人らしい空間を作って楽しんでいる。各フロアの廊下には、行事の写真や、クラブ活動の作品をたくさん飾っている。また、お客様の出身地の写真や郷土玩具を置き、故郷の懐かしさを味わうことができるよう工夫している。
〇フロアのベランダも広く、天気の良い日はベランダに出て皆で体操をしたり、日向ぼっこをしたりしている。また屋上にはペントハウスがあり、焼き芋や芋煮会などの行事を行うことがある。コロナ禍の中、規模を縮小するなど工夫しながら行事を楽しんでもらっている。
〇お客様とのコミュニケーションをとても大切にして、1日に一度もコミュニケーションを取らない方がいないよう配慮している。食事や排泄、入浴介助は、一人ひとりと関わるコミュニケーションの場としている。
○食べることが一番の楽しみと思っているお客様に、おいしいものを提供するため、栄養士が献立を工夫している。また、お客様の希望を聞き、献立に反映している。月1回、魚料理と肉料理などから、どちらか好みのものを選ぶ選択食を実施する他、季節の行事食を提供して、おいしく食べてもらうよう工夫している。
○2階の認知症の方のフロアは、家庭的な雰囲気で季節感あふれる装飾品を飾っている。お客様は不安そうな表情もなく、落ち着いて過ごしている。職員がせわしなく動き回ったり、大きな声を出すことがないよう留意して、落ち着いたケアを目標にして支援している。日々の生活では、その方ができることを行ってもらいながら、お客様に寄り添った支援を提供している。
○ご家族には、お客様の身体状況や生活状況などを電話や手紙で伝えている。お客様から持ってきてほしいものなどの希望がある時には、ご家族に連絡しながら、最近の様子を伝えている。毎月、「施設長のお手紙」と、介護スタッフからの報告や写真を、ご家族に送っている。ご家族の面会も、1階のデイルームで対応している。
○理事長・施設長が交替して1年が経過する中、リーダー会議や部署会議、フロア会議を中心に意識の統一を図り、委員会活動を活発化するなど、改善に向けた取り組みを行っている。人員の確保や質の向上に努め、施設長と職員の個人面談も定期的に実施して、職員の声を把握するよう取り組んでいる。また、職員の働き方改革にも着手している。
改善を求められる点

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
平成12年の介護保険が開始された時に開設し約22年が経ちました。現在、運営している特別養護老人ホームしなの森のさとの現状を見つめなおし、今後の運営改善に繋げていくため3回目となる第三者評価を受審いたしました。コロナ禍ではありますが、当法人の理念である(お客様とご家族に喜んで頂けるサービスを提供する)を念頭に置き、サービスの質の維持、向上を目指し、職員が一丸となってお客様本位の支援をすることについて評価していただくことができました。また、肯定的なアドバイスを頂いたり、客観的な評価や助言を頂くことにより、職員の意識も向上しました。今後はさらなる質の向上にむけて力を合わせて前向きに取り組んでまいります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の基本理念は、玄関ホールや1階の廊下に掲示するとともに、年度当初の施設長研修で、研修資料に記載して職員に周知している。施設長研修は年2~3回開催し、施設長を講師に、感染症や認知症、防災などの研修を行っている。施設長研修は、非常勤職員を含め全職員を対象とし、参加できない職員はZOOMで確認し、勤務中の職員には研修会資料を配布している。また、基本理念に沿って各部署が部署目標を立て、事業計画書に記載している。ご家族には、入居の契約の前に、施設長と面談し、施設の方針などを説明している。基本理念は、契約書にも記載している。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

2ケ月に1回、市の社会福祉協議会の高齢福祉部会に、事務長もしくは施設長が出席して、社会福祉事業全体の動向を把握している。世の中のニーズに着目し、施設でできること、できないことを確認している。施設の経営状況は厳しく、これまでは外部業者に委託していた清掃業務などを、直接雇用職員で行うなど工夫している。また、人材の確保、人材の不足は高齢施設全体の問題としてあげられ、派遣職員の活用などで補っているが問題の解決までには至っていない。働き方改革に取り組んでいるが、さらに工夫が必要と捉えている。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

理事長・施設長が交替して1年が経過する中、リーダー会議や部署会議、フロア会議を中心に意識の統一を図り、委員会活動を活発化するなど、改善に向けた取り組みを行っている。人員の確保や質の向上に努め、施設長と職員の個人面談も定期的に実施して、職員の声を把握するよう取り組んでいる。施設を開所して20年を超え、施設整備の問題があげられている。まずは施設内のエアコンの取り換えを行う予定である。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

5年ごとに策定される、市や区の「地域福祉保健計画」を踏まえ、中期計画を作成している。中期計画は、施設整備に関するものが中心になるが、リーダー会議を経て、予算と一緒に理事会や評議員会に諮っている。中期計画に沿って、問題に取り組み、改善に向けて計画を立てている。施設長研修などで、目標の明確化を図っている。施設長は、就任前には介護職員・介護センター長として介護現場で働いていたこともあり、現場の状況を把握していることから、働き方改革にも着手している。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

中期計画を基にして、年度ごとの事業計画を作成して実行に移している。事業計画は、4月の施設長研修で、全体に周知している。また、全体の目標に対し、部署ごとも目標を立て、月及び半期ごとに計画の進捗状況をチェックしている。施設開所時より、品質マネジメントシステムのISO9001に取り組み、10年を超えた頃より、ISOのマネジメントシステムと施設の流れが一体になっていると感じている。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画の実施状況の把握や評価、見直しは、「品質行動計画書兼報告書」で、各部署が毎月状況をチェックし、半期に1回実施している。リーダー会議では、ISOの時間を設け、計画の進捗状況を確認している。各部署による、空きベッドなどの稼働率や収支状況の確認で、取り組むべき課題も見えていることから、把握箇所の見直しを検討している。また、現在は看取りの介護を行っていないため、実施に向けて検討を進めている。3名の介護スタッフが、喀痰吸引の研修に参加することが決まっている。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

ご家族には、毎月、利用料の請求書を送付する際に、「施設長のお手紙」と、介護スタッフからの報告、写真を一緒に送り、計画の取り組み状況やお客様の様子を伝えている。年度当初には、事業計画書を抜粋した書面も送付している。コロナ禍により、各フロアや居室での面会はできないが、面会の希望は断らず、1階のデイルームにて、透明のガラス越しで対話してもらっている。個別の対応となるため、1日3回、面会時間を決めて予約してもらっている。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

ISOの品質マニュアルを各部署に置き、福祉サービスの質の向上に向けた取り組みを計画的に行っている。これまで委員会の集りはリーダー会議の中で行っていたが、活発な活動には至っていなかったため、今年度より、リーダー会議とは別にして個々に活動している。現在、「リスクマネジメント・事故発生防止委員会」、「感染症対策委員会・褥瘡対策委員会」、「身体的・精神的拘束廃止及び倫理委員会」の3委員会があり、積極的に活動し、委員会が企画した内部研修も開催している。委員会の集りには、施設長もできるだけ出席している。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

課題を明確にし、改善に向けて協議しているが、人員不足の問題が改善できていない。働き方改革を行い、職員にきちんと休みを取ってほしいことから公休日を増やしたり、退職金に代わるものを検討したりしている。求人についても、新聞の折り込みチラシは止めて、介護専門の求人媒体サイトを活用しているが、改善には至っていない。今後も継続して、人員の確保、定着に向けて、取り組みを進めていく必要があると捉えている。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

「組織体制図」や規程に、施設長を含めた職員の役割表を入れ、役割や責任を明確にしている。施設長の役割や責任は、施設長研修で職員に周知し、取り組みの状況は理事会でも報告している。災害発生時の役割についても、マニュアルに明記している。施設長不在時は、事務長と介護センター長に権限を委譲することを明確化している。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

市社会福祉協議会やかながわ福祉サービス振興会、他団体が開催する管理者向けの研修会や災害時対応の研修会に、施設長が積極的に参加して、遵守すべき法令などの理解に努めている。全国社会福祉協議会の社会福祉施設長資格認定講習においても、基礎を学んでいる。施設長だからよしとせず、自分の不足する部分を補う研修会に参加している。現在、施設では広報誌を発行していないため、発行に向け広報関係の研修会にも参加している。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

年2~3回、施設長が講師を担い、施設長研修を行い、職員に話をしている。また、毎日、2~4階のフロアに行き、写真を貼り換えたり、お客様や職員の声を聴いている。施設長就任前は、介護職員・介護センター長であったことから、みずから入浴の介助に携わることもある。職員とは定期的に個人面談の機会を作る他、日常の場面でもよく話を聴くよう心がけている。介護現場の状況をよく把握しているため、職員からもいろいろな意見が出てくるとのことであった。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

業務の見直しや向上に向け、体制を整備している。今年度より、委員会活動の活性化を図り、各委員会が積極的に活動している。委員会では研修会を企画、開催し、研修の参加率も高い。介護技術などの直接介護の研修に、厨房の職員も参加している。経営の改善や業務の実効性を高める取り組みは行っているが、人員確保、定着の問題は続いているため、今後も検討していく予定である。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

ISOの品質管理要領の中にある、新人教育育成システムを活用して、力量の見極めを行っている。また毎年、人材育成要領の「力量評価記入シート」に、職員が「個人目標」を立て、半期ごとに自己評価とチームリーダーの評価や再評価を行っている。「力量評価記入シート」は、年2回の施設長と介護センター長との個人面談につなげている。「力量評価記入シート」の活用では、リーダー評価が低く、自己評価は高い職員にどのように対応していくか課題もある。また、求人広告掲載事業者の選定を行い、積極的に人員確保を行っている。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

職員との個人面談は年2回行い、施設長と介護センター長が、前期、後期のどちらかを担当している。今年度は前期の面談を介護センター長が対応している。個人面談は、非常勤の職員を含め、全職員を対象にしている。面談では「個人目標」を評価する他、職員の声をできるだけ聴くようにしている。今年度、昇給基準を見直し、職員に提示している。期待する職員像としては、①皆とコミュニケーションが取れること、②介助の際にきちんと声かけすること、③挨拶がきちんとできることなど、基本的なことをあげ、職員に伝えている。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

有給休暇の取得は、年5日以上はクリアしているが、特に介護職はその月により取得状況にばらつきがある。フロアのリーダーがシフト表を作成していることから、取得状況に配慮しながら、シフト表を作成するようにしている。職員の高齢化や体調不良などもあり、どれだけの人員の確保が望ましいか、リーダーに聴取している。働きやすい職場作りとして、産休や育休の制度を取り入れ、復職した職員も多い。日勤での勤務や時短勤務も取り入れている。コロナ禍で、職員に対する福利厚生も充分にはできていないことから、これまで行ってきた暑気払いや忘年会に代わるものを検討している。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

ISOの人材育成要領の「力量評価記入シート」に、職員が「個人目標」を立て、半期ごとに自己評価とチームリーダーの評価や再評価を行っている。「力量評価記入シート」は、年2回の施設長と介護センター長との個人面談につなげ、職員一人ひとりの育成に取り組んでいる。職員とは積極的にコミュニケーションを図り、風通しの良い職場作りを目指している。事務職もフロアに行き、介護スタッフとコミュニケーションを積極的に図っている。相談しやすい環境を目指し、いつでも話を聴く体制を整え、普段と様子が異なる職員には、声をかけるようにしている。訪問調査時、職員からも、あたたかく、アットホーム、信頼関係がある職場との声があがっていた。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

施設長研修や各委員会主催の内部研修を開催している。外部研修は、介護センター長が内容を確認して、派遣者を決めているが、コロナ禍や人員不足で、業務内の参加が難しい現実がある。オンライン研修も取り入れ、フロア会議の中で活用している。コロナ禍前は、毎月数名が外部研修に参加している。専門資格の取得に向け、研修参加の声かけや、取得後の方針を明確化している。今年度は、喀痰吸引の研修に取り組む他、認知症研修は段階を踏んだ研修になるため、職員に内容を説明している。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員の教育体制の構築や、外部研修の参加への配慮を行っているが、人員不足により断念せざるを得ない状況も多くある。今後も職員のスキル向上が図れる体制の維持ができるよう努めていく。外部研修に参加した職員は、「外部研修・会議報告書」を提出し、フロア会議やフロアの勉強会の場で、研修報告を行っている。内容によって、研修資料を職員に配布している。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

現在はコロナ禍で受け入れを中止しているが、コロナ禍前は介護センター長を受け入れの窓口として、教員免許取得の実習生を受け入れている。教員免許取得の実習は、毎年、夏から秋に、7~8名受け入れを行っている。高齢福祉の知識がない実習生の受け入れは、担当する職員も難しさを感じているが、積極的に関わっている。担当する職員にとってもプラスになることが多いことから、今後も受け入れは継続する予定である。介護専門学校の受け入れについては、指導者資格を保有する職員を置いて、体制を整えている。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページに、基本理念や基本方針、事業計画書、事業報告書、予算書、決算書を掲載し、運営の透明性を確保する情報公開を行っている。ご家族には、月1回のお知らせの中で、事業計画や事業報告を行っている。地域とは、できるだけこちらから顔を出す機会を作り、施設主催の大きな行事の案内や参加の声かけを行い、施設内の樹木の薬剤散布のお知らせをしたり、施設で採れたタケノコを配ったりして、顔を知ってもらう機会を設けている。町内会の会長とも定期的にコンタクトを取り、施設を知ってもらう機会を作っている。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

経理規程に、取引のルールや職務分掌、権限を定め、規程は3階の会議室にも置いている。施設開所時より、品質マネジメントシステムのISO9001に取り組み、外部の指導を受けている。ISOの内部監査員の資格は、15~16人の職員が取得している。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

今年度はコロナ禍で交流の機会がないが、施設の納涼祭には、中学生のボランティアや地域の方が多く参加している。また、保育園児や小学4年生の施設訪問があり、お客様と交流している。地域の保育園や小学校、中学校の運動会や合唱コンクールなどの招待を受け、お客様が出かけている。保育園の入・卒園式や、小学校の入学・卒業式には、職員が参加している。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

現在はコロナ禍で受け入れを中止しているが、行事の担当者や介護スタッフが窓口となり、ボランティアの受け入れを行っている。行事の手伝いや生け花クラブの指導、麻雀や将棋の相手、お話しボラ、洗濯物たたみなどに、ボランティアが活動している。また、フラダンスや和太鼓のグループ、落語、演歌歌手などが施設を訪れている。コロナ感染症が落ち着いたら、以前のようにボランティアを受け入れていきたいと考えている。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

市や区の行政機関、市社会福祉協議会、区社会福祉協議会、協力病院、地域ケアプラザなどの関係機関とは、常に連携し、コミュニケーションを取って情報を共有している。玄関ホールには、介護タクシーなどのパンフレットを置いている。消防署とは年間の消防訓練の協力を仰ぎ、施設内の避難経路などについても、指導を受けている。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の福祉ニーズを把握するため、居宅介護支援事業所の介護支援専門員が、町内会の集りに積極的に参加している。また、民生委員児童委員とも連携している。今後も地域の会合などがあれば、積極的に参加して、地域のニーズの把握に努めていきたいと考えている。地域には一人暮らしの高齢者が多く生活しており、孤立する可能性が高い。高齢者のネグレクト(介護の放棄、放任)にも注意していく必要があると捉えている。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

BCP(事業継続計画)の外部研修に職員が参加し、研修で学んだ内容を、内部研修(2回開催)で職員全体に周知している。区から福祉避難所の指定を受けており、区主催の福祉避難所の訓練やWEB上の情報提供訓練に参加して、災害発生に備えている。施設内には3ケ所、備蓄倉庫があり、お客様用や福祉避難所用に3日分の非常食などを備蓄する他、コロナ対策用のマスクや消毒液、衝立なども備え、地域の福祉避難所として活動できるよう取り組んでいる。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本理念や基本方針は、契約書への記載や、玄関ホールや1階の廊下など、目につきやすい場所に掲示している。また、年2~3回開催している施設長研修では、研修資料に基本理念や基本方針を記載するとともに、どのようにすれば理念に基づいた行動となるか、職員一人ひとりが考える機会としている。人権の尊重について、職員は委員会や研修会で学んでいる。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

服薬後の薬の空き袋は、氏名や薬名が他の人の目につかないよう、黒い袋に入れて破棄している。また、入浴時の脱衣については、下半身の下着はシャワーチェアに移動するまでは脱がないよう配慮している。外部への書類の送付時は、氏名など個人情報に関する箇所は隠すよう配慮している。多床室の居室に職員が入る時も、室内全員に聞こえるよう「失礼します」と声をかけている。入居時に、個人情報に関する取り扱いについて説明し、同意を得ている。今後の改善点としては、居室内の仕切りのカーテンを、自分自身で閉めることが困難なお客様への支援方法があげられている。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

基本理念や必要な情報は、パンフレットやホームページに掲載している。ご家族や入院先の相談や介護支援専門員が施設の見学を希望して来所する時がある。コロナ禍のため、居住フロアへの案内はできないが、電子機器(ipad)による動画で、施設内を紹介している。一時期、コロナ感染症が下火になった時は、フロアまで案内し、ドア越しに見学してもらっていた。見学者からは、特に認知症のフロアを実際に見ることで、マイナスのイメージがなくなったとの感想をもらっている。今後は、段階別の料金表が分かりにくいため、改善していく予定である。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入居前の本人面接は、突然の訪問で気持ちが動揺しないよう、ご家族から事前に伝えてもらうよう調整している。病院から直接入居する場合も、本人の気持ちに寄り添うよう配慮している。聴力などに障害のあるお客様の場合には、手話や筆談、口話など、状況に応じたコミュニケーション手段を用いて説明している。面接後は、お客様の自己決定を尊重し、事前面談表を作成し各フロアに配布するとともに、暫定の計画書を作成して、サービスの提供→評価→見直しにつなげている。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設を退居する場合には、施設サービス計画書や基本情報シートに、本人の趣味などを書き入れて情報を提供している。また、医療的なケアが必要な場合は、看護師から情報を提供している。福祉サービスの継続性については特にマニュアルはないが、手順的な文書を用意している。短期入所生活介護(ショートステイ)の場合は、担当介護支援専門員とサービスの内容について、情報を交換している。虐待ケースなど、隔離目的の短期入所生活介護の依頼には、警察や行政機関も介入し、サービスの継続を協議する場合がある。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

年1回、アンケート調査を実施している。ご家族へは郵送で依頼し、お客様からはフロア担当が一人ひとり聴き取りを行っている。家族懇談会は、コロナ禍で密な状況を避けるため開催していないが、施設サービス計画書の作成時には、お客様やご家族の意向を確認し、計画に反映している。お客様やご家族からの意見は、集計、分析し、書面で回答して取り組みの内容を具体的に示している。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者や苦情受付担当者、第三者委員を置き、苦情申出窓口の書面に記載するとともに、それぞれの氏名を1階の廊下に掲示して周知している。同じく掲示している施設運営目的の概要の中でも、相談及び苦情の扱いについて案内している。受け付けた苦情は、改善した内容を書面にして、ご家族全員へ郵送している。また、フロアに改善内容を掲示する他、お客様に直接口頭で伝えている。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

廊下に「苦情申出窓口」の案内や、施設内2ケ所に「意見箱」を設置し、年1回、「アンケート調査」を行う他、面会時に気軽に意見を述べやすい雰囲気を作るよう努めている。また、会議室を使用したり、フロア内の廊下の椅子を活用して、個別の相談に対応している。相談はいつでも受け付ける体制を整えている。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

お客様やご家族の相談や意見は、フロアの職員や介護支援専門員で共有している。月1回のリーダー会議で対応を協議していたが、お客様の生活を一番把握しているフロア職員の意見を取り入れるため、リーダー会議と部署会議を合同で開催する体制に改善している。施設全体に関わる大きな課題については、施設長や事務長、介護センター長で話し合い、職員にも意見を求めて対応している。回答まで時間を要する場合は、途中経過を報告している。また、現在施設では看取り介護を実施していないが、地域のニーズや国の方針に添い、今後は看取り介護を実施していく方向で検討を始めている。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントの責任者を置き、月1回、「リスクマネジメント・事故発生防止委員会」を開催している。年2回、事故防止に関する研修会を開催している。内容は、事例集や要因の分析結果、職員のアンケートから抽出している。直近では、移乗や排泄介護と、報告書の記入方法をテーマとしている。また、ZOOMで参加できる研修を取り入れ、職員は自分の個人目標に沿った動画を視聴し、レポートを提出している。事故発生時の対応マニュアルを作成して、「受診の手順」などを職員に周知している。事故が発生した時は、些細なものでもご家族に報告し、対応の経緯を伝えている。日頃から事故の再発防止に努めているが、どの時点でリスクと捉えるか、事故発生率が下げられるかを課題としている。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症の対策について、発生時の指示系統などを明記し、管理体制を整備している。施設長研修や委員会主催(感染症・食中毒など)の研修会を開催し、パソコン内に発生時の対応の動画を入れ、いつでも職員が確認できる環境を整えている。対応マニュアルは、状況に合わせて評価、修正している。感染症発生時の特別な部屋は用意していないが、発生時には、離れた部屋で罹患の疑いのある人に2週間程、利用してもらっている。職員はコロナのPCR検査を、施設内で定期的に受けている。今後は、施設での対応が可能な範囲や限界などを明確にしていく必要があると捉えている。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

夜間や昼間の災害を想定した訓練を実施している。手順の見直しを繰り返し行い、マニュアルを精査している。災害発生時の避難経路として、建物が斜面に沿っていることから、屋上からの避難経路も作っている。また、地域の福祉避難所として指定を受け、介護が必要な高齢者10名程度は受け入れる体制を整えている。震度によって職員の要請基準を定め、状況に応じて職員が直ちに駆けつける体制を作っている。また、BCPについて、令和3年度から重点的に取り組んでいる。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

お客様の施設サービス計画書に、一人ひとりの特性やニーズに応じた介護の方法を記載している。職員はそれぞれが、自分用のノートを使用し、お客様それぞれの特性を記入して、統一したサービスを提供できるよう取り組んでいる。施設サービス計画書には、長期目標や短期目標を記載しているが、半年毎にモニタリングを行い、適切なケアをタイムリーに提供できるよう取り組んでいる。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

施設サービス計画の内容は、生活記録にも記入し、日々の生活の中で改善点や気が付いたことがあれば、職員が追加して書き入れている。施設サービス計画書はPDCA(計画・実行・評価・改善)のサイクルで検証し、見直しを行っている。サービス担当者会議の議事録には、前回の評価と改善策を記載している。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な福祉サービス実施計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

介護支援専門員やフロアリーダーを、施設サービス計画策定の責任者としている。担当者会議には、リハビリテーションの職員や看護職、栄養士、フロア職員、施設長など、多職種が参加している。食に関しては、栄養士が食事の場面に赴き、食事量や嚥下状況をチェックしている。週1回、歯科医師の受診の機会もある。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に福祉サービス実施計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

施設サービス計画書に、長期目標や短期目標を記載し、モニタリングの時期を半年としているが、実施状況は毎月確認している。お客様本人ができることは声かけや見守りを行い、お客様の自立を支援するよう取り組んでいる。ご家族の理解もあり、職員のモチベーションも上がっている。一方、退院時に、夜間の吸引が必要なケースや意識レベルが弱く医療処置が必要なケースなど、現在の受け入れ体制では困難な場合もあり、課題として捉えている。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

個別のファイル(日常生活記録)に、「本人のニーズ」「前回の評価」などを記載し、それを基に日常のサービスを提供している。お客様個々のやり取りや相談などもファイルして、連絡漏れや行き違いを防ぎながら、職員間で共有している。ファイルは各フロアの「介護センター」の鍵のかかる書棚に収納している。職員がそれぞれ鍵を所持して、必要に応じて閲覧している。現状では、記録に時間を要しており、令和4年2月からパソコンのソフトを導入する予定があり、現在準備中である。導入後のセキュリティーは、ID番号で管理することとしている。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

入居時に「個人情報取り扱い事項」をお客様に説明して、同意をもらっている。職員には、施設長研修で周知している。個人情報記載の書類は、鍵のかかる書庫で保管し、年度を過ぎた書類は年度別にまとめ、5年を経過したら、専門の業者に処分を依頼している。日常のケアの中では、薬袋の破棄に対する配慮や、フロア内でのコミュニケーション、また、玄関先でのご家族や関係者との情報交換などは、居合わせた人に漏れないよう配慮している。令和4年2月から記録の電子化で情報を共有する予定である。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

お客様は、一人ひとりの施設サービス計画を基にして、日々の生活を送っている。昼食後は横になりたいという方には、居室で横になれるよう支援している。そして、職員は生活記録や連絡ノートなどで申し送り、どの職員が関わっても、昼食後は横になれるよう支援している。お花の好きな方は生花クラブに参加し、自由にお花を活けて楽しんでいる。その他書道クラブ、手芸クラブがあり、それぞれが作品を仕上げて楽しんでいる。ベッドで過ごすことが多い方は、居室でテレビを見たり、ラジオを聴いたりしている。また、レクリエーションで行う体操や歌などに参加してもらい、身体を動かせない、声が出ない方でも、楽しい雰囲気の中で過ごしてもらうよう支援している。お客様に、やりたいこと、食べたいものを聴いている。カラオケをやりたい、おいしいものを食べたい、外に行きたい、家族に会いたいなどの希望があり、できるだけ希望に沿えるよう支援している。また、食べたいものは献立に反映している。コロナ禍で、今までのように町内会の行事や保育園の子どもたちの訪問などがなくなっているが、施設内の行事をできるだけ工夫して行っている。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:c】

"
特別養護老人ホームのため、「評価外」とする。"

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:c】

"
特別養護老人ホームのため、「評価外」とする。"

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:b】

お客様とのコミュニケーションをとても大切にして、1日に一度もコミュニケーションを取らない方がいないよう配慮している。お客様に関わるときには、必ず声掛けし、コミュニケーションを図ってから支援することを徹底している。職員には入職時に守らなければならないこととして周知している。食事や排泄、入浴介助は、一人ひとりと関わるコミュニケーションの場としている。お客様の中で聾啞の方がおり、手話が上手で職員は教わりながら関わっている。またボードなどを使用して、筆談で会話をしたり、現在はスマホを使い職員と会話をしている。入所時はなかなかコミュニケーションが取れなかったが、今は職員とのコミュニケーションがうまくいき、信頼関係ができている。職員は、馴れ馴れしい言葉使いはしないなど、ある程度の距離を保ちながら、常にサービスの質の向上を意識して支援を行っている。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:b】

権利擁護に関しては、「規程集」に明記している。「身体的・精神的拘束廃止及び倫理委員会」を設け、委員会主催の研修会を開催している。認知症の方で、車椅子を急にバックして動かしてしまい、後ろの方が危険になる場合や、急に立ち上がって転倒する方の車椅子を固定する行為など、拘束に当てはまるか話し合い、なぜ立ち上がるのか、立ち上がっても安全にいられる方法はないかなど、検討している。また、ベッドから何度も転落する方で、ご家族からベッド柵を4本にしてほしいと依頼されることもあり、対応策を検討している。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:b】

すべての居室は南向きで明るく、暖かい部屋になっている。また、フロアには広いベランダがある。4人部屋の個人スペースは広く、カーテンで仕切られ、個人の好きな物を置いている。ご家族の写真やぬいぐるみ、つるし雛などで、その人らしいスペースを作っている。好きな俳優の写真を貼っている方もおり、それぞれが快適に過ごせるよう工夫している。また、和風の照明などで、落ち着いた雰囲気を出している。ベッドやテレビの位置も個々に合わせて、過ごしやすい環境を整えている。各階の廊下には、お客様の出身地の写真や、楽しい行事の写真があり、花や観葉植物を置くなどして家庭的な雰囲気を作っている。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

一般浴やリフト浴、機械浴の浴室があり、毎日、午前、午後に入浴を介助している。お客様は週2回入浴し、どの浴槽を使用するかは、その方の身体状況に応じて、一番安心して利用できる浴槽を使用している。入浴は中介助2名、脱衣室2名、誘導1名の職員体制で介助している。誘導を担当する職員が入浴前に検温して記録し、体温が37℃以上の場合は看護師に連絡して入浴を中止している。入浴後はワセリンでスキンケアを行っている。医師の処方の薬を塗っている方もいる。湿疹のひどい方は、入浴を最後にして看護師が処置を行っている。認知症の方で入浴を拒否する方がおり、スタッフを変えたり、言葉かけを工夫しながら支援している。どんなに拒否があっても、入浴後には「気持ちが良かった」という言葉が聞かれている。同性の介助を希望する女性のお客様には、男性の介助者から女性の介助者に交代して、同性介助を行っている。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

排泄が自立をしている方は少ない、また、転倒に注意が必要な方や、おむつを使用している方が多い。夜間のみおむつを使用する方、パッドのみ使用する方も多い。夜間にはポータブルトイレを使用する方もおり、消臭剤を使用したり、ポータブルトイレ使用後はすぐに洗浄するなど留意している。排泄チェック表には、トイレへの移動の際や、便座に座ったとき姿勢が崩れてしまい危険な方などリスクの高い方には、名前の下にマーカーで印があり、必ず見守り、目を離さないよう徹底して支援している。パッドの中に排尿してしまったことに対し恥ずかしい、困ったと言う方がおり、介助者は、トイレの中で、他の人に知れないように、安心してもらえるよう声掛けしながら対応している。体格の良い方は必ず2人介助で行うなど、個々の状況に合わせて介助している。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

自力で歩行する方は少ないが、廊下で歩行訓練をしている方もいる、本人の希望により、手引き歩行をしている方もいる。ほとんどの方が車椅子を使用している。介護支援専門員のアセスメンでは、お客様やご家族の希望を確認し、施設サービス計画書に目標を立て、実行状況を記録している。ADL(日常生活動作)が低下してきている方は多く、車椅子の操作が難しい方もいる。居室担当が車椅子の清掃やパンクなどの修理、点検を月1回行っている。点検結果は、チェック表に記録している。スライディングボードを使用して移乗する方もいる。2人で必ず移乗介助を行う方は、チェック表に状況を記入している。月1回のカンファレンスで、移動や移乗で気になる方の検討を行い、全職員が共有している。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食べることが一番の楽しみと思っているお客様に、おいしいものを提供するため、栄養士が献立を工夫している。また、お客様の希望を聞き、献立に反映している。月1回、魚料理と肉料理などから、どちらか好みのものを選ぶ選択食を実施する他、季節の行事食を提供して、おいしく食べてもらうよう工夫している。おせち料理や七草がゆ、鏡開きなど、行事食を提供し楽しんでもらっている。厨房からは温冷配膳車を使用し、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供している。以前はテレビを消して食事をしていたが、現在は家庭と同じようにテレビを見ながら、小声で話をして、楽しくおいしく食べられるよう配慮している。10時と15時のおやつ時には、水分をとってもらうようにしている。おやつの時間は、お茶を飲みながら、片麻痺の方が左手で日記を書いていたり、テレビを見たり、好きなことができる時間となっている。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

お客様の身体状況に合わせ、常食や一口大、刻み食、小刻み食、ミキサー食、ソフト食などの食事形態を用意している。胃ろうの方が5人いるが、注入は看護師が担当している。食べ物を口の中にため込み咀嚼ができなくなったり、食事中のむせこみが多くなる方がおり、申し送りや日誌に状態を記録し、介護支援専門員や栄養士と連携を取り、カンファレンスで検討し、ご家族の了解を得て食事形態を変更することがある。変更時は食事伝票を栄養士に提出している。管理栄養士が「栄養ケア計画書」を作成し、嚥下状態や形態の変更、むせの状態、食欲不振などを記入し、それぞれに適した食事を提供している。食事量が安定しない方は、個別のチェック表で食事量を記録して栄養状態を確認している。また月1回、全員の食事量や水分量を定期的にチェックしている。退院後のお客様には、1週間、細かなチェックを行っている。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

夕食後に歯磨きを行っている。自立している方は自分で歯磨きし、その他の方は義歯洗浄、口腔内ガーゼでの洗浄を職員が行っている。水分でむせてしまう方も多く、うがいが不可能な方もいるため、ガーゼを使っての洗浄を行っている。指をかまれることがあるため、スポンジの歯磨きを使用したりしている。フロアには化粧室があり、散髪や歯科の検診、口腔ケアを行っている。週1回、歯科衛生士が来所し、助言・指導や念入りに口腔ケアを行っている。また歯科医師が来所し、施設内で虫歯の治療や義歯の調整を行っている。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

職員は、褥瘡の基礎知識など、褥瘡に関する研修を受けている。「感染症対策委員会・褥瘡対策委員会」による検討会を開催し、毎月、看護師が褥瘡発生者の周知、褥瘡評価を行い、対応策を検討している。月1回、皮膚科医師による診察や処置内容の指示、薬の処方などがあり、介護職や看護師、栄養士が連携して、予防や治療に努めている。除圧や体位交換が必要な方には、リハビリ担当の助言や体位交換表に時間や体位を記入している。車椅子を利用している方でも、褥瘡ができやすい方がおり、除圧や午後は横になってもらうなどの対応を行い、予防に努めている。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

お客様の中に胃ろうの方が5人おり、現在は医療的処置は看護師がすべて行っている。施設としては今後も医療的ケアが必要なの方を受け入れる考えである。そのため、今年度より、介護職が喀痰吸引の研修を受講し、医療職以外でも関わることができる体制の整備を進めているところである。

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

嘱託医が内科と整形外科の医師であるため、お客様の身体状態を把握して指示を出している。理学療法士や柔道整復師を配置して、機能訓練を実施している。個別の機能訓練計画書により、関節可動域訓練、下肢訓練など、その方の状態に合わせて実施している。訓練室での平行棒を使っての訓練や、廊下での歩行訓練を行い、週1回は集団での体操、立ち上がりの訓練などを行っている。理学療法士や柔道整復師の指導により、生活訓練として、介護職が車椅子の方のトイレの入り口から便座までの短い距離の歩行訓練や、車椅子の自操の声掛けなどを行っている。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:b】

2階の認知症の方のフロアは、家庭的な雰囲気で季節感あふれる装飾品を飾っている。徘徊や大声を出す方もいない。お客様には不安そうな表情もなく、落ち着いて過ごしている。以前は、異食行為や徘徊する方が生活していたが、今は落ち着いている。職員がせわしなく動き回ったり、大きな声を出すことがないよう留意して、落ち着いたケアを目標にして支援している。日々の生活では、エプロンたたみや、その方ができることを行ってもらいながら、お客様に寄り添った支援を提供している。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

対応マニュアルを整備し、手順書により、急変時には看護師に連絡し、救急車対応か様子観察か指示を受けている。救急車の場合は、各部署やご家族に連絡し、手順を踏んで対応している。内容は業務日誌に記録し、申し送りで報告を行い、全職員に周知している。日頃から、医師や看護師と連携して、体調変化の早期発見、早期受診を心がけている。毎朝の検温や介助時の様子など、細かな観察や記録により、変化のある方の報告を行っている。服薬者は多く、薬局から届けられる薬は看護師が朝昼夕に分け、かごの中の個人の名前の中に入れに入れている。そのかごを各フロアの介護センターの薬保管場所にセットし、食後にリーダーが名前を確認して投薬している。また、薬が口の中に残っていないか確認している。その後、他のスタッフがかごの中に薬が残っていないかどうか確認している。AEDの使用法や、サマリー(要約)の書き方など、職員が医療的な研修を受けている。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

現在は終末期の介護は実施していないが、実施に向けて準備を進めているところである。医師や看護師、介護職の調整、またご家族の確認などを行っている。そのため、終末期が近づいてくる前に対象のご家族と面談を行い、今後の方向性や転院先の手配など、お客様・ご家族に相談・転院先の選定・紹介を行い対応している。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

ご家族には、お客様の身体状況や生活状況などを電話や手紙で伝えている。お客様から持ってきてほしいものなどの希望がある時には、ご家族に連絡しながら、最近の様子を伝えている。家族会として「森の会」があるが、コロナ禍で、あまり活動はできていない。ご家族からの希望は、歩いてほしい、話しかけてほしい、たくさん食べてほしい、楽しいことをやってほしいなどで、日々の生活の中ですぐに実行できることから取り組んでいる。コロナ禍で、納涼祭や敬老会、クリスマス会、外出などを通常通りに行うことができないが、フロアごとに規模を縮小して、楽しんでもらえるよう工夫して行っている。ご家族の面会も、1階のデイルームで対応(1月15日で一旦中止)している。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:評価外(訪問介護以外の福祉施設・事業所)】

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特別養護老人ホームのため、「評価外」とする。"