社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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すぎな会生活ホーム すぎな会第3生活ホーム

2024年11月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 公益社団法人神奈川県社会福祉士会
評価対象事業所名 すぎな会生活ホーム すぎな会第3生活ホーム
評価対象種別サービス 共同生活援助(介護サービス包括型)
設立年月日 1981年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人すぎな会
③ 理念・基本方針 すぎな会の経営理念
1.人間としての尊厳を重んじる姿勢を貫きます。
2.利用者それぞれのライフステージにおけるケアを目指します。
3.地域と協調し、地域の一員としての役割を果たすよう努めます。
4.経営体としての安定性・積極性・信頼性を追求します。
本経営理念に基づき、職員・保護者・理事者が力をあわせて、すぎな会発展のため最善を尽くします。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 〇業務運営方針として、以下に取り組んでいる。
1. 重点実施目標
(1) 利用者の人権に配慮し意思を尊重した生活支援
(2) 安定した支援体制
(3) 支援の自己点検の実施
2. 業務運営方針
(1) 利用者支援について以下の取り組みを行う。
 ア 利用者が安心して暮らせるよう人権に配慮し、意思を尊重した支援を行う。
 イ 個別支援計画に則り、利用者一人一人の生活が充実したものになるよう支援する。
 ウ 職員間で意思疎通を図り、情報を共有し利用者支援に取り組む。
 エ ホーム間で連携、協力し安定した支援体制になるよう努める。
(2) 人権擁護の研修をホーム支援会議などで定期的に開催し、人権に対する意識を深め、利用者支援の質の向上を目指す。
(3) 地域の行事や自治会活動に積極的に参加し、障がい者への理解を深めてもらうよう地域との良好な関係づくりに努める。
(4) 新規の入居を目的とした体験利用をしてもらい入居に繋げる。また、外部からの情報も取り入れ新規の入居者を募る。
(5) 補助金を活用し男性ホーム(第5・6・9・10ホーム)のスプリンクラー設備設置工事を進める。設置により、利用者の生活の場が安定したものになるようにする。
(6) 支援の質の向上を図るため、職員自身の振り返りの機会として支援の自己点検を実施する。
〇生活ホーム利用者の状況
 ・女性4名が生活している。50代1名、60代1名、70代2名である。
 ・全員が生活介護・日中活動事業所に通所している。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2024年06月03日
終了:2024年11月18日(評価結果確定日)
受審回数:3回(2021年度)
⑥ 総評
◇ 特長や今後期待される点
〇利用者が一人の地域住民として安心して暮らすため、利用者の意思を尊重した生活支援
 生活ホームで生活する利用者・担当支援員がチームとなり、安心してくつろいで過ごせるよう、日々コミュニケーションを取り、試行錯誤や工夫を重ねて「アットホームな雰囲気のある一軒の家」を形成している。利用者一人一人がホームの主体であり、利用者自らが個別支援計画の策定に参画し、各々の目標を理解し、職員や家族・後見人等と一緒に取り組む姿がある。また、地域の生活者であるとの意識を持てるよう、近隣住民をはじめ地域との関係づくりに積極的に取り組んでいる。

〇職員の人権擁護意識の醸成
法人が4つの経営理念および具現化するための「行動指針」を掲げているのに対し、全職員も「職員倫理綱領及び行動規範」によって、「職員は、『障害をもつ個人が尊厳を以て、その人らしい自立した生活を送れるように支える』という福祉の理念を遵守するという決意を、明確にする責務がある」と基本的な姿勢を明示し、クレドを常時携帯し実践に臨んでいる。毎年、全職員が人権チェックリスト自己点検を行うことにより、自らの行動を振り返る機会を持ち、適切な言葉遣いや対応等を職員間で共有する。人権委員会で2か月おきに人権標語を定めており、ホーム内に掲出し職員に注意喚起している。

〇利用者自らが、意見や考えを述べやすい環境づくり
 利用者一人一人に対して担当職員がついており、身近な存在として気軽に相談できる体制を設けている。ホーム全体として、傾聴を中心に寄り添う形で個別支援を行っている。また、苦情解決第三者委員・オンブズマン制度をホーム内に顔写真付きポスターを掲出し、利用者が相談先を選択できるよう配慮している。今年度、新たに利用者自治会が立ち上げられ、利用者自らが「やりたい」ことを考え、意見交換し、力を合わせて実現につながるよう、職員の後方支援を受けながらも、会長や書記などの役割を自発的に担って活動を開始している。

〇年1回以上の定期的な自己点検と課題整備への取り組み
定期的に第三者評価を実施している。法人全体で、年度ごとの自己評価実施に向けて検討が始まっており、生活ホームも今年度の業務運営方針の柱のひとつに位置づけている。今後、利用者支援に視点を置いたチェック項目が設定され、年度毎に自己評価が実施され、課題整理や対策が講じられるよう仕組みづくりが期待される。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント すぎな会生活ホームは今回で4回目の受審となりました。各ホームの担当職員(常勤)の入れ替わりもあり、すぎな会生活ホームとして第三者評価を受ける職員はほとんどが初めてでした。改めて生活ホームの運営や利用者支援についてホーム内で振り返りながら考える良い機会になりました。また初めの職員には良い経験にもなりました。調査員の方の質問などに「ハッ」としながらも気付きを得ることもありました。
この結果を全職員に周知し、今後の運営や更なる利用者支援の向上に取り組んで行きたいと思います。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅰ-1 理念・基本方針)
・社会福祉法人すぎな会は、経営理念4項目「人間としての尊厳を重んじる姿勢を貫きます」「利用者それぞれのライフステージにおけるケアを目指します」「地域と協調し、地域の一員としての役割を果たすよう努めます」「経営体としての安定性・積極性・信頼性を追及します」を掲げている。
・経営理念を具現化するため「社会福祉法人すぎな会 行動指針」を策定し、経営者および職員が取るべき行動を明示している。
・経営理念・行動指針は規程集に掲載され、全職員に周知している。
・全職員は基本姿勢「障害をもつ個人が尊厳を持って、その人らしい自立した生活が送れるように支える」を「職員倫理綱領及び行動規範」に整備し、クレドにして名札に常時携帯し、実践の拠り所にしている。
・利用者へは入所時に契約書・重要事項説明書に基づき口頭で工夫して説明する他、生活ホームの掲示板に掲出している。
・ホームページを整備し、経営理念や行動指針・行動規範や経営状況を広く情報開示している。

◇評価機関からのコメント

・経営理念4項目の下、職員・保護者・理事者が法人発展のために力を合わせて最善を尽くすと表明し、具体的な行動指針や行動規範を明示し実践している。 ・入職時、全職員が法人内新任研修を受講して周知されており、実際に業務中は名札と一緒にクレドとして常時携帯し、各自で必要に応じて実践を振り返るため活用している。 ・利用者には、本入居前の体験入居時に説明の機会が設けられている。課長が説明者となり、利用者一人ひとりの状態に合わせ、主に口頭で質疑応答形式にて説明対応している。 ・生活ホーム内の掲示物は、ルビや簡単な表現を用いた物が多く、利用者に分かりやすい周知の工夫がみられる。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅰ-2 経営状況の把握)
・法人および生活ホームの業務運営方針や経営状況を、職員会議で全職員に周知している。
・前期中期5ヵ年計画の経営課題として掲げていた生活ホーム利用者の高齢化対策として、日中サービス支援型グループホームを2棟開所した(生活ホームⅡ)。このことにより、利用者の高齢化とADLの低下が進む中でも、利用者の「地域での生活を続けたい」意思を尊重した支援が可能になっている。
・法人として、利用者の地域移行を大切にしており、その取り組みを実現する事業部門として生活ホームが位置づけられている。

◇評価機関からのコメント

・法人の全職員が、経営状況を周知されており、各事業部門が置かれている状況を理解している。 ・生活ホームは収益が望めない点で経営状況が厳しいと認識しつつも、中期計画(5ヵ年計画、2023-2027)で「地域生活支援の拡充」と位置付けられ、利用者支援の上で大切にされている事業であり、担当職員もそれを認識し業務にあたっている。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・2023年度から5か年の中期計画を策定している。今期中期計画に福祉ニーズの多様化・複雑化への対応を課題として掲げ、法人全体で課題に取り組み、地域生活支援事業である生活ホームを拡充すると明示している。
・前期の中期計画を受けて、2021年度から2か年に渡って日中サービス支援型グループホーム(生活ホームⅡ、男性・女性各1棟)を開所し、生活ホームの高齢化・重度化対策を講じると共に、新規需要への対応も図っている。
・年度初めに職員会議を設けて、全職員に業務運営方針(事業計画)を説明し共有を図っている。

◇評価機関からのコメント

・法人の中期計画に基づいた業務運営方針(単年度事業計画)に関連付けて、生活ホームの業務運営方針(単年度事業計画)を策定している。 ・施設長は、前年度の報告をふまえ、「利用者が安心して暮らせるように人権に配慮し意思を尊重した」を基本テーマに簡潔かつ全職員が分かりやすいよう表現を工夫して、方針策定している。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組)
・定期的に第三者評価を受審し、併せて利用者サービス支援についての自己評価を実施している。第三者評価結果を、ホームごと全職員に周知し共有し、業務の見直しや確認の機会を設けている。
・全職員を対象に、毎年定期的に「すぎな会人権チェックリスト自己点検表」を用いて、人権意識を確認する機会を設けている。
・チェックリストは、個人の尊厳の尊重、自己選択・自己決定の尊重、人権侵害、利用者との接し方等13項目50問で構成され、職員が各問4選択肢から最も近いと思う行動や考え方を選択し、自己評価している。
・法人内では、各事業所において毎年自己点検を行う必要があるとの認識を持ち、年度内に独自のチェック項目による仕組みを導入するよう検討している。

◇評価機関からのコメント

・「すぎな会人権チェックリスト自己点検表」の結果は、法人内事業所毎に集計され全職員にフィードバックされている。 ・さらに、生活ホーム課長が生活ホームの結果を分析し、ホーム全職員にフィードバックしており、職員間で注意喚起し合える関係構築につながっている。 ・第三者評価による自己評価に加え、今後、事業所独自のチェック項目による年1回以上の利用者サービスに対する自己点検が開始されることが期待される。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ)
・管理者は、規程集に行動指針と職責が明記され、人事考課制度により評価を受けている。運営にあたり、業務運営方針(事業計画)を全職員で共有するよう取り組んでいる。
・PDCAにもとづいて、「個人目標管理シート」を活用している。4月・12月・1月~2月の年3回人事考査も兼ねて職員面談を行っている。
・スーパーバイズの機能もあり、管理者と職員が業務の確認をしながら、「実は~」という話ができる環境をつくっている。

◇評価機関からのコメント

・在職年数が長く、経験豊富なホーム支援員(世話人)に対しても、他の職員と同様に研修に参加する機会を設け、更なるスキルアップを図っている。 ・職員面談について、常勤職員に対し年3回実施する他、ホーム支援員(非常勤)に対し年1回、面談の機会を設けており、施設長が直接面談する取り組みをしている。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成)
・人材確保が難しい状況があり、職員の負担度が増さないよう工夫している。
・ホーム毎に核となる担当職員を配置し、ホーム支援員との協力による運営体制を整備することにより、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。
・メンタルヘルスへの取り組みとして、全職員を対象に、年に一回ストレスチェックを行っている。
・職員の質の向上に向けて、常勤・ホーム支援員を対象に人事考課制度を導入している。また、研修については、新任職員研修(法人実施、必須)の他、常勤・ホーム支援員の役割や経験年数等に応じた内部・外部研修受講の機会を設けている。

◇評価機関からのコメント

・評価項目5と合わせて、「快適な働く場の実現」を明文化することで、実行していることが確認できている。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・ホームページに生活ホームの施設概要と、各ホーム利用者の生活の様子を紹介している。また、法人の業務運営方針(事業計画)や事業報告・決算報告書を開示している
・広報誌「すぎなだより」には、前年度末(3月)に、生活ホームの新年度の重点実施目標や業務運営方針を掲載している。また、毎年8月には、前年度事業報告および決算報告を掲載している。
・毎年、外部監査機関による会計監査を実施している。会計事務所が月例で法人内事業所を巡回し、確認を行っている。
・法人事務担当者が、生活ホームの経理の他、生活ホーム利用者の日常生活費の精算チェックを2週間毎に実施している。
・毎年5月に法人監事による内部監査を実施し、会計年度に関わる事業報告等に関する確認を実施している。

◇評価機関からのコメント

・運営透明性を確保するため、生活ホームを含め、法人全体として、広報誌やホームページ等の広報媒体を活用し広く周知を図っている。 ・外部監査の他、内部で法人本部に事業所内チェック機能を持たせたりしている。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献)
・地域の自治会に加入し、積極的に地域の様々なイベントに参加している。年2回の地域清掃や、地域のお祭りに参加している。
・毎年、厚木市一斉防災訓練に参加し、防犯パトロールがある地域では、利用者・職員が住民と一緒に巡回活動をしている。
・各ホームは、近隣住民との関係づくりを大切にすることを基本にしている。年2回、夏に手作りの手ぬぐいを、年末に手作りカレンダーを、挨拶を兼ねて地域住民に配っている。
・法人全体として、地域ふれあいの会や納涼祭・すぎな祭を主催し、地域住民を招き交流の機会を設けている。地域の生活者の一人として、障害者への理解を深めるよう取り組んでいる。
・ボランティア受入れについては、利用者の日中活動時間の都合上、実施していない。
・利用者は日常的に、必要に応じて職員同伴で、近隣へ散歩や買い物のため外出するようにしている。
・利用者が個人で参加できるような催しが無いか、市の広報誌やホームページ等を手掛かりに、利用者・職員で一緒に情報収集し模索している。

◇評価機関からのコメント

・生活ホームの利用者・職員は、地域との交流を積極的に図っており、近隣住民と挨拶を交わしたり、普段から利用している指定集積場を清潔に保つよう近隣住民と協力し合ったりする等、一人の地域生活者として当たり前の行動を大切にしている。そのことにより、地域住民の理解が一層進み、利用者が居心地の良い生活環境をもたらしている。今後も引き続き、地域との良好な関係が維持されるよう取り組みが期待される。
Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示)
・人権委員会から、2ヶ月ごとに「人権標語」が掲示される。法人各事業所の職員が「人権標語」を考案し取り組みに参加する。
・「人権標語」は、全職員が意識し業務にあたるよう、支援員室に掲示している。
・人権標語は、主に5.7.5調で作られており、意識に残りやすい工夫がされている。
・プライバシーの保護
個人の生活空間は、個室・カギによってプライバシーが保護されている。
共有場所である浴室、洗面・脱衣所やトイレも、一人ひとりが安心して使用できるよう、他の共有スペースとはさせている。

◇評価機関からのコメント

・「人権侵害防止規程」を整備しているほか、行動指針にも随所に人権に関することが明文化されている。 ・自己評価にも、多くの記載がなされており、利用者も人権意識をもって、地域の中で生活が続けられる様子が確認できている。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

(Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定))
・「すぎな会生活ホームの体験利用に関する要項」(R6.4.1)が整備され、生活ホームへの入居希望者が体験利用を経て入居するかどうかを選択できるよう、機会を設けている。
・体験入居に際し、希望者は「すぎな会生活ホーム体験利用申込書」を提出し、生活ホーム課長が受付窓口になり、「すぎな会生活ホームの日課について」および「すぎな会生活ホーム体験利用時費用・持ち物について」をもとにオリエンテーションを行って受入れしている。
・体験入居について
体験を希望されている方が、「自分が納得した」=意思決定することで、実際に入居につなぐプロセスを踏んでいる。そのため、体験利用の日数を制限せずその方に合ったものを見つけてもらうように工夫している。中には、入居につながらない方もいる。

◇評価機関からのコメント

・体験入居を経て、入居を決められるしくみができている。丁寧な説明文章が作成されており、少しでも不安を取り除く工夫がされている。反面、説明文章の表現が難しかったり、ふりがながないなど合理的配慮が不足する面も見られる。誰のための資料であるかといった視点を盛り込み、必要な情報を対象者に届けられるよう取り組むことが期待される。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・利用者満足のために、利用者満足度調査を3年に1回実施し、「施設利用満足度調査票」を使って継続している。面談については、ホームの職員では無い方が、第三者として個室で行う工夫をされている。
・利用者が自分の意見を言いやすいためにも、第三者がお話を伺っている。今後も実施方法を継続検討していく。
・令和6年度より、各ホームで自治会メンバーを募り、男性1名・女性1名の代表による「利用者自治会」がスタートした。利用者の中には、自主的に書記を担う方もいる。自治会は、利用者から「自分たちで(やりたい)」という声が出たことから、立ち上げにつながっている。
・自治会をこれまで3回開催しており、①自治会の説明②各ホームから代表を選出③愛称をそれぞれ議題にし、議論を交わしてきた。

◇評価機関からのコメント

・法人全体で「施設利用満足度調査」の調査集計結果を取りまとめ、事業所ごとにも結果が示されている。生活ホームはその中で全体的に7割以上の方が「満足」とされている。 ・入所施設と同じ項目を使っているため、回答しにくい項目が一部見られる。その分、一対一の面談でヒアリングしフォローされている。 ・自治会について 利用者の「自分たちで」との声に対し、職員が段階的に(左記①~③)サポートし、実現することができている。この点も、調査で満足度が高かったことにつながっている。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・苦情解決の仕組みや苦情受付窓口
利用者へは、施設内の目立つ場所に苦情受付担当者・苦情解決責任者を明示したポスターを掲示している。
苦情を受けてから検討結果に至るまでの記録は苦情解決担当者が行っている。
第三者委員の設置は、法人規程「苦情解決規程」により、外部から第三者を苦情解決委員に選任している。
申出を面接、電話、書面で随時受け付け、苦情内容を全て書面に記録し、申出人と話し合って解決に努めている。
・「厚木福祉ネットワークオンブズマン制度」を活用している。
・「かながわ福祉サービス運営適正化委員会」を情報提供している。
・相談・意見
利用者からの個別の相談は、全職員で傾聴し、担当を中心に、本人に寄り添い解決に向けて取り組んでいる。
・2か月に1回オンブズマン相談会を設け、第三者に相談する機会がある。ホーム運営に関して利用者から希望や意見が寄せられた場合は、必要性を見極め支援に反映している。外出先や余暇活動の内容について、利用者の意見を出来る限り尊重するよう努めている。
・利用者から食事の要望や意見は、毎月の給食委員会(構成員:管理栄養士、看護師、支援員)で情報共有し対応に努めている。誕生月の利用者にはアンケート調査を行い、集計された希望の食事の中から昼食のメニューを決めるようにしている。
・管理者・サービス管理責任者も直接業務に関わることで、利用者が希望や意見を自由に述べやすい環境整備に努めている。

◇評価機関からのコメント

・利用者満足度調査や給食委員会によって、できるだけ利用者の個人的な好みに合わせる努力をしている。 ・利用者一人ひとりについて、「きらいなもの」リストがキッチンの冷蔵庫や事務室に掲示されており、「食のたのしみ」を一食380円+α(月1回法人負担で好みにそったものを提供)で優先している工夫が確認できている。 ・お一人の利用者が食べられない(嗜好で)等の場合は、食材はメニューで決まったものが届くため、食材を置き換える工夫がされていることを確認した。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・ホームでは、固定的な職員の支援体制をとることにより、人的に安心感のある生活環境の提供を可能にしている。第3~10ホームは2棟単位で併設され、緊急時に複数職員で協力対応できる体制が整えられている。
・夜間は宿直体制を2棟で1名、10棟に対して計4名配置し、緊急時対応に備えている。
・ホームでは、法人の「リスクマネジメント実施要項」や「危機管理対応」「緊急時対応」「感染症予防」「事故報告、ヒヤリハット」の各対応マニュアルを整備し、本体からのバックアップを取り決めている。
・防災マニュアルを作成し、年2回の火災避難訓練、大地震想定による移動訓練を年1回実施している。各ホームの安全点検を年2回行っている。懐中電灯や非常食等の防災備品を揃え、非常時に備えている。
・警備会社による火災通報設備を各ホームに設置し、火災時の対応に備えている。
・医療・健康面について、法人内生活介護事業所の看護師が生活ホーム全利用者の健康管理を担当する。医療機関の受診や日々の治療、服薬管理については、看護師とホーム職員が連携し実施している。
・緊急時対応
ホームに利用者別「利用者健康カード」を備え、医療機関への円滑な対応・引き継ぎが可能にしている。
利用者健康カードのファイルには、家族連絡先や保険証のコピーも備えてある。
ホームでは全職員が、緊急時の対応マニュアルに沿って「報告・連絡・相談」を徹底している。

◇評価機関からのコメント

・今年から、派遣職員を導入している。在職年数が長いホーム支援員が、ルーティン業務だけでない部分も細かく伝達し、業務が滞らない環境が整備されている。 ・近年、退職者が相次いで生じている。退職者個人の事情によるものだが、ホームの人材不足が深刻化している。 ・2年前に導入した業務携帯も、施設長だけでなく、課長・常勤支援員が携帯し業務に当たることで意思疎通が格段に図りやすくなり、現場の人的な面での安心につながっている。緊急時の対応マニュアルに沿った体制もできているが、コロナ対応の時の大変さが伺えた。 ・各マニュアルは随時見直され、その時々に即したものであると確認している。 ・「大地震発生時及び東海地震警戒宣言発令時の対応」については、BCPの観点から「日常生活に戻るまでのプロセス」に着眼した対応の見直しが望まれる。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・「生活ホーム支援マニュアル」の平日用・休日用を整備し、生活ホームごとに職員が内容共有している。マニュアルは毎年見直しし、4月に新たに作成している。
・利用者一人ひとりの特性に配慮した支援事項を盛り込み、一日の生活の流れに沿う形で勤務職員の行動を明記し、支援の統一性を図っている。
・マニュアルは定期的に改訂され、利用者個々の状態に変化があった際にも随時見直し実施している。
・個別支援計画は、「個別計画作成の手順」書により、年度ごとかつ支援の切れ目が無いよう留意され、「個別支援計画書作成資料」として作成されている。
・「個別支援計画書の年間予定」によりアセスメント・計画作成・モニタリング・再アセスメントの工程が定められ、個別支援の質の保持に努めている。

◇評価機関からのコメント

・生活ホーム支援マニュアルには、第3・4ホームの2ホームをまとまりとして作成されている。 ・利用者への声掛け・検温や血圧測定・服薬支援の具体的な方法などが時系列で明記されており、利用者の生活の場としての細かい配慮がなされている。 ・個別支援計画書は、利用者一人ひとりが自身の計画内容を確認できるよう、利用者の特性に応じた書き方や表現・表記の仕方に工夫がなされている。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・個別支援計画の見直しと合わせ、アセスメントを実施している。
・利用者面談を実施し、成年後見人や家族等から「個別支援計画要望受付票」を受け付けて利用者ニーズを把握し、利用者の基本情報を併せてアセスメントシートを作成している。
・アセスメント項目は日常生活動作、生活技術・健康管理、デイ活動での状況、社会技術や社会参加、意思伝達や対人関係、社会生活上の課題、家族状況等80以上に及び、各項目を5段階評価している。
・アセスメントシートを基に「支援課題一覧」を作成し、個別支援計画に反映している。
・個別支援計画は、利用者や成年後見人・家族等の同意を得て、個別支援計画検討会議で合意形成し実施している。
・個別支援計画は年度初めに策定し、6か月毎にモニタリングを実施して利用者状況と支援評価をまとめ、次の6か月の支援につなげている。
・随時、利用者の状況変化に応じ、個別支援計画の見直しを行っている。
・年度末のモニタリングを受けて再アセスメントを行い、次年度の個別支援計画策定につなげるよう取り組んでいる。

◇評価機関からのコメント

・利用者の声と、利用者の立場である成年後見人・家族等の要望を受け付けることで、その時点での利用者ニーズをしっかり捉え、アセスメントが行われている。 ・支援課題を取りまとめ、個別支援計画案に反映させたものを、利用者本人が自ら確認できるよう、表現・表記の仕方に工夫がなされており、利用者参加型でのアセスメントおよび計画策定である。今後もこのような形で進められることが期待される。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・利用者に関する支援記録には、ケース記録、ホーム日誌、健康記録、小遣い表があり、ホーム支援室に保管している。
・利用者ごとの支援状況はケース記録へ、生活ホームごとの日々の記録はホーム日誌へ記入し、それぞれ別に綴っている。
・記録類は「個人情報保護規定」に基づき保護に努めており、利用者個人に関わる話を他の利用者が居る所でしない等配慮し、個人情報を施錠可能な保管庫で管理し、メモ類をシュレッダーで確実に処分するようルール化している。
・法人本部が管理する通院記録等一部は、電子データ管理している。ケース記録やホーム日誌記録を電子データで試行した際、情報の見落としが発生したことがあり、事前準備段階で多くの課題が残っていることが判明した。継続検討しているが、現在は手書きで行っている。

◇評価機関からのコメント

・情報の電子データ化に向けて試行した結果、生活ホームのPC活用による課題が明らかになった。 ・ケース記録は、日々の情報共有だけでなく、個別支援計画の評価に活用することもあり、見落とし無く情報検索する等仕組みの構築が求められる。引き続き、職員間の情報共有の仕組みの整備を検討することが求められる。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・職員は、「職員倫理綱領」等に基づき、利用者個々の人格を尊重し自立した生活が送れるよう心掛け、支援するよう徹底している。
・ホームでは、「個別支援計画作成の手順」及び「R6年度 個別支援計画書の年間予定」を整備し、利用者の個別支援計画書を作成している。
・個別支援計画書作成について、サービス管理責任者が最終作成するまで、多くの人が関わることで、全体として利用者一人ひとりの支援方針を確認できるプロセスを工夫している。
・職員は利用者の気持ちに寄り添い、「自立した生活」を支援の軸として、本人に出来ることは行ってもらい、難しいところを手伝いする等、利用者の自己決定を大切にした支援をしている。
・利用者の金銭管理は、できるだけ自己管理がしやすいようにホームと利用者・家族で話し合いをしている。

◇評価機関からのコメント

・利用者一人ひとりの支援について、PDCAの視点から個別支援計画書が作成されていくプロセスが明確になっている。 ・今年度から、計画作成にあたって利用者・ホーム支援員も参加することで、「その人らしい生き方」につながる工夫がされている。 ・自己決定や人権について、職員だけでなく実習生受け入れ時にも学びを促している。バイスティックの7原則を伝えて共有している。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・人権擁護に関する研修を実施し、全職員を対象に「すぎな会人権チェックリスト自己点検表」に基づく振り返りを行い、人権意識の向上に向けて取り組んでいる。
・ホーム内の支援員室には、人権委員会による人権標語を職員用に掲示し、職員相互に注意喚起しやすい環境づくりに努めている。
・法人規定「苦情解決規定」にもとづいて、苦情解決委員会を設置し、第三者を苦情解決委員に選任ししている。
・定期的に開かれるオンブズマン相談会の参加(任意)や、ホーム相談会を行い、利用者の意見を汲み取るように配慮している。

◇評価機関からのコメント

・項目9のとおり、法人全体で人権に対する取り組みがなされていることが確認できている。 ・生活ホームでは、人権チェックリストの集計結果を課長が分析し、職員にフィードバックすることで、職員自身に気づきを促す工夫がされている。 ・2ヶ月に1回開催されるオンブズマン相談会について、利用者に大変好評であり、毎回定員いっぱいまで申込が入る。利用者のリアルなニーズを汲み取る機会が工夫されている。 ・「オンブズマン相談会」で、利用者が自分の話をする機会が確保されている。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・個別支援計画は「個別支援計画作成の手順」および「R6年度 個別支援計画書の年間予定」に沿って、利用者、家族の意見を確認したうえで「個別支援計画作成資料」を作成し、利用者の承諾を得て確定している。
サービス等利用計画とのすりあわせは、各相談事業所との間で行っている。
・利用者の意思を尊重し会話や傾聴に心掛け支援している。また、利用者一人ひとりの特性に配慮し見守りを重視した支援を行っている。
・利用者の安心・安全な生活を支援するよう心掛けている。加齢による変化に対し、可能な限り本人の想いや希望を実現できるよう、買い物や外出等を工夫し支援している。
・マニュアル通りの支援だけでは完結しない点が、支援の難しさと捉えられている。
・ケース記録についても客観性を重視するよう、管理職から指導を続けている。日常の危険度の観察から、生活環境の改善につなげる努力を行っている。

◇評価機関からのコメント

・法人中期計画に基づいた利用者支援が、職員会議で確認されている。特に、利用者支援の項目で「利用者の日常生活の質の向上」が、ホーム支援員を含めたホーム職員全体で共有されている点が会議録で確認できた。 ・年3~4回開催されるホーム支援員会議でホーム支援員から出た声が、今回の第三者評価実施に伴う自己評価に表現されている。「グレーな点をそのままにしない」「ちょっと変かも」という現場ならではの意見が出され、出された意見は職員間での議論の継続につながっている。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・「生活ホーム支援マニュアル平日/休日」を各職員に配布し周知している。業務マニュアル変更時に文章化し、全職員が標準的な実施方法を行えるよう徹底している。
・ホーム支援員同士の連携を図り、緊急時の対応を行っている。
・食事について、「食べることを重要視」している点から、毎月給食委員会を開催。調理は委託業者が行っており、委託業者も給食委員会メンバーとして出席している。
・食事は栄養士が作成した献立に従い、毎日各ホームに食材が配達され、ホーム職員が調理している。
利用者の好みや要望に応じ、調理を工夫している。
 利用者個人が一部食器を選んで持ち込めるようにすることで、家庭的な雰囲気を味わえるよう配慮している。
・誕生日食など、誕生月の利用者にアンケートを取り、リクエストがあったメニューを提供するようにしている。
・職員は、利用者の高齢化や身体等能力に応じた支援するよう心がけている。お部屋替えをしたり、本人の能力に応じた入浴の介助を行ったり等、その人らしい生き方が継続できる日常的な工夫を実施している。

◇評価機関からのコメント

・ホーム支援員会議によって、土日(休日)の午前午後の引き継ぎを話し合っている。休日予定表を作成している。「希望者は支援員までお知らせください」等、強制ではなく、意思決定支援が生活場面でもできる工夫がなされている。 ・利用者一人ひとりの現状に合わせた生活ができるように、細かく目配りされていることが記録にあり、ヒアリングから確認できている。 ・利用者は、生活ホームが「我が家」であると認識し、来訪者を迎えることができている。利用者が、自分の居場所として安心して生活するために、職員が生活環境を整備し支援するよう心掛けていることがうかがえる。
A-2-(3)生活環境

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・一軒家タイプであることを活かし、利用者の自主性や意向を尊重した環境整備を心掛けている。
・毎日換気や清掃を行い、共用スペースの掲示板を利用してコロナ時期から換気の大切さを周知するポスターを掲示し周知を図っている。
・居室内の家具やインテリアは、利用者の意向を汲んで用意している。
・万が一に備え、警備会社の火災通報設備を設置し、火災時に備えている。
・第3生活ホームは51歳から76歳の利用者が生活している。利用者自身でできることはやってもらい、難しい所を意向確認し支援している。利用者の高齢化が課題となっていたが、日中支援型グループホーム(生活ホームⅡ)が開所したことにより、施設入所(例:法人内の場合はすぎなの郷)だけでなく、地域生活の継続希望に対して調整しやすくなった。

◇評価機関からのコメント

・生活ホーム第3は利用者の居室が全て2階にある。階段昇降だけでなく、周辺の危険箇所を職員が洗い出し、階上の手すりに私物を置かないように等をイラスト入り表示で注意喚起したり、利用者と一緒に居所内の安全確認を行ったりしている。 ・利用者が毎日安心して過ごせるよう、共用スペースの掲示物は、利用者自身が理解しやすいよう表現や文字数・イラスト表示など配慮されたものである。また、職員の勤務表を利用者向けにアレンジし開示している。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・生活ホーム第3・4利用者は、平日日中、全員が法人内外の生活介護・日中活動事業所に通っている。
・利用者の筋力低下や体重増加を防ぐことを目的として、日中活動が無い休日を中心に、散歩や買い物等外出の月間予定表を作成・掲示し、職員が利用者へ声掛けして外出する機会を設けている。単独で外出可能な利用者は、個別に外出しているが、難しい方へは職員が同行している。
・骨折した利用者へは、医師作成のリハビリメモをもとに、個別に日常動作を中心としたリハビリメニューを提供し、声掛け等励ましながら支援した事例がある。

◇評価機関からのコメント

・利用者の余暇の過ごし方を課題として捉え、ホーム支援員の発案で集団外出メニューを提案し、今では利用者の間で習慣化している。 ・利用者は月間予定表を確認し、職員の呼びかけを契機に積極的に参加し、近隣の商店への買い物をあわせたり、川沿いコースを散策して季節感を味わったりし楽しんでいる様子がある。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・生活ホーム第3・4利用者は、全員が法人内外の生活介護・日中活動事業所に通っている。
・支援員は通所先の看護師等と随時連携をとり、利用者の健康管理を行っている。
・月2回嘱託の内科医とカンファレンス機会を設け、利用者の状態を報告・相談し、受診できるよう対応している。
・「利用者健康カード」は年1回更新し管理している。
・服薬は、法人の医務課で看護師が生活ホームの利用者ごとに処方分を受け取って確認し、個別かつ曜日ごとに配薬し、生活ホームごと定期的に届けている。
・生活ホーム毎に「与薬個別支援表」を作成し、与薬方法を「生活ホーム支援マニュアル」に明記し全職員の支援を統一し、誤薬・落薬防止に努めている。
・嘱託の内科医を配置し、65歳以上は年2回、未満は年1回、定期健康診断を実施している。
・利用者の高齢化に伴い、自立度の高い者の中にも日常的な健康管理の課題が生じている。職員不在時のリスクが上がらないよう、利用者が生活介護利用のため不在にする日の10時30分と毎日21時の職員退勤時に居室を巡回し、利用者の自主性に配慮し声掛けしている。

◇評価機関からのコメント

・利用者が安心して予定を把握できるよう、医務からの「通院のお知らせ」メモを職員がタイミングを決めて利用者に知らせることで、利用者が安心して過ごす様子がある。 ・生活ホーム第3では、自傷行為がある利用者に対し、当初は全介助していたが、環境を整え、落ち着いていく経過をみて見守りや様子見へと移行した事例がある。 ・与薬マニュアルに従い実施する中で、職員による人為的なエラーが発生している。生活ホーム全体で共通課題と位置付けている。新任者には1か月間、実地で先輩職員がついて行うよう対策している。 ・生活ホームは、利用者の処方量や服薬タイミングの変更時に事故が発生しやすいことを分析把握している。今後、1件でも事故を減らす取り組みの継続が求められる。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・地域の自治会に加入し、職員は、希望する利用者に同行して地域の祭事や清掃等の行事に参加し、地域生活者の一人として社会参加できるよう支援している。利用者から希望があった際、選挙投票できるよう支援した事例がある。

◇評価機関からのコメント

・利用者の生活拠点の模索について、職員が利用者の権利や意向を尊重し、選択肢を持てるよう寄り添い支援している。利用者が今後も生活場所を模索できるよう、利用者や家族等と連携し情報提供を継続することが期待される。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・生活ホームは、利用者が社会参加し、自治会や近隣住民と良好な関係を保てるよう、日々の支援を継続している。
・利用者は、厚木市美化清掃時、生活ホームや近所周りの掃き掃除を行っている。職員も行動を尊重しつつ円滑に近隣づきあいが継続されるよう、利用者と一緒に取り組んでいる。
・利用者の多くは、今後もホームでの生活を継続したいと希望している。

◇評価機関からのコメント

・日中サービス支援型グループホームが開所したことにより、生活ホームを含む法人施設からの地域生活の継続可能性を担保している。 ・利用者の意向を受けて、職員が他のグループホームへの移行検討を支援している。利用者が選択の幅を持つことができるよう、今後も継続することが期待される。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えていること)

・利用者が定期的に帰省する際には、家族等あてに「帰宅連絡帳」を年1回作成し利用者に持ち帰ってもらい、帰省しない場合も「定期通信連絡帳」を年4回作成している。
・利用者個別の健康や通院状況、日常生活の様子を家族等に報告している。また、随時電話やメール等の手段を用いて連絡を取り、利用者の様子を報告対応している。
・利用者が家族等と連絡を取りたいと希望した際は、時間を調整し対応している。利用者が怪我をした際や、事故報告になるような状況が発生した際は、時間を置かずに家族等に連絡を取り状況報告している。
・家族・生活ホーム・法人にて定期的に「三者例会」を年5回、ホーム懇談会を年2回行っており、支援の説明や意見交換の場としているが、家族等の高齢化に配慮し、来所しなくても利用者の様子が分かるよう配慮している。
・成年後見人の必要性について利用者や家族に説明し制度利用促進している。

◇評価機関からのコメント

・利用者の親の高齢化に伴い、連絡可能な家族の世代交代も利用者の兄弟姉妹等へと進んでいる。 ・生活ホームでは、成年後見制度の利用促進を行っており、年1件の目標を設けて利用者や家族に声掛けを継続し、結果として家族後見、第三者後見人が就任するケースが徐々に増加している。 ・利用者本人の権利擁護や意思決定支援のため、今後も制度利用促進の取り組みが継続されることが期待される。

評価後のコメント<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:4名
アンケート調査対象:4名
ヒアリング調査対象:1名
アンケート及び利用者ヒアリングの結果は以下の通りであった。
① アンケートの結果「満足」の回答率
・あなたは、グループホームでの生活は好きですか75%
・あなたは自分のペースで過ごしていますか100%
・今困っていることや不安なことがありますか 75%
・悩みを聞いてもらったり、相談できる人はいますか75%
・あなたに職員丁寧な言葉で話してくれますか75%
・あなたは職員から大切にされていると感じますか75%
・利用者同士のトラブルに職員が対応してくれますか100%
・自分のお金の額がいくらあるか知っていますか 50%
・ホームに預けているお金の使い道や、使った金額を毎月報告してもらっていますか 100%
・友達に会いに行くなど自由に外出できますか 75%
・グループホームでの生活についての不満や苦情(困っていること)がありますか 75%
・あなたはグループホームでの生活に関する不満や苦情がある時に、誰かに伝えることができますか 50%
② 利用者ヒアリングの内容
・グループホームでの生活は好き。自分のペースで過ごしている。
・グループホームで職員に相談できる。
・職員から大切にされていると感じる。
・自分のお金をグループホームに預かってもらっている。
・職員と一緒に外出する。友達に会いに行ける。
・グループホームでの生活について困っていない。