社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

たいら虹保育園

2022年02月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 たいら虹保育園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 120名(利用者119名) 名
所在地 〒216‐0022
川崎市宮前区平2-13-1 
TEL 044-948-4350 ホームページ https://hinode.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2021年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 日の出福祉会
職員数
常勤職員:28 名
非常勤職員:14 名
専門職員
保育士:25 名
栄養士:3 名
看護師:1 名
子育て支援員:3 名
施設・設備の概要
保育室:10
トイレ:3
調理室:1
事務室:1
休憩室:1
調乳室、浴室:1
教材室:1
園庭:あり   

③ 理念・基本方針
・保育理念=「あたたかい昼間のおうち」という法人理念のもと、子どもたち一人ひとりが「大切な時期に大切に育つ」よう、保育者が寄り添い、一緒に考えながら成長していきます。健全な環境と豊かな愛情のもと、子どもの最善の利益を守り、一人ひとりを尊重し、未来を作り出す力の基礎を培う。                                                              

・保育方針=集団の中で一人ひとりの子どもの心を大切にし、子どものもてる力を発揮させながら、生き生きと遊び、心地良い生活ができるようにしていきます。自然や動植物との触れ合いの中で感動体験を豊かにし、感性や探求心を育てると共に、生きることの喜びや命の尊さを知らせていきます。                                                  

・保育目標=子どもたちが今を肯定的に生きるために、元気な挨拶ができる人になりましょう。健康に留意した遊びを十分に楽しみましょう。優しい気持ちと思いやりをもつ人になりましょう。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
前年度までの公立保育園時に培ってきた、子どもたちが毎日元気に伸び伸びと生活する姿や行事等(季節の行事や豊年太鼓等)を継承し、一人ひとりに寄り添いながら保育を展開している。その中で、自然を生かした保育から四季を感じ取り職員も一緒に成長し合ったり、自分が興味関心を持ったことを探求し伸ばしていけるような、主体的な保育を行っています。そして、行事等では子どもと保護者と職員が連携し、日々の成長を実感し、共に喜び合えるよう連携を図っています。また、地域の方々との関わりを大切にし、近隣に散歩に出かけたり、行事での関わりや地域の皆様を園にご招待するなど、地域と密接に関わり合う運営を心掛けています。                                                                  また、法人内で関西をはじめ、東京、埼玉でも保育施設の運営を行っているので、1園のみの考えではなく、各施設の長所や短所を生かし、連携を密に取り合いながら協力し合って運営を行っています。そして、一つひとつの問題に対して、法人全体で真摯に向き合いながら、各地域に根付き周りの方々笑顔に溢れる運営を目標にしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/08/11(契約日) ~2022/02/14(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) - 回(-年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)子どもたち一人ひとりを大切に見守る保育を実施しています
職員は、子どもが何をしたいのか、自分でどうしたいのかという事を意識し見逃さないようにしています。年齢や性格から言葉で上手に伝えられない子どもには、「〇〇したかったのかな?」「〇〇だったのね。」などと、子どもの気持ちを汲んで、行動を肯定的に見守る事を大切にしています。子どもにかける言葉を選ぶなどして、職員と子どもとの信頼関係と子どもの主体性が育まれるように努め、子どもの育ちを見守る保育を実施しています。

2)全体で意欲をもって改善に取り組んでいます
民営化により今年度から公立保育園を引き継いだため、従来の方法を踏襲しつつ、子どもや保護者の混乱を招かない範囲で、それまでの保育内容・環境について見直しを図り、改善に取り組んでいます。職員の入れ替わりも多い中、1年目から第三者評価を受審する機会を設け、問題点と改善方法について法人と相談し課題を抽出して改善に繋げています。時間をかけて保護者へ説明を行い、理解を求めることに尽力し、より良い保育に繋がるよう積極的に進めています。
改善を求められる点 1)マニュアルの整備と職員への周知確認
公立園の良さを引き継ぎながらも、園独自の良さや取組を職員が展開するためには、マニュアルの整備が必須です。法人としてあるものや、公立園を引き継いだものがあるようですが、職員が統一した方法を実践しなければ、保育の質の向上につながりません。民営化1年目ということで、園としては大変な時期だとは思われますが、計画作成やマニュアルの共有化が望まれます。現在のマニュアルを見直し、必要なものは何か、職員の意見を組み込み、保育に活用できるマニュアルを作成することが望まれます。

2)保護者への説明と情報共有
前園から引き継ぎを行いながら運営する中で、職員の変更や退職について保護者から不安の声が挙がっています。保護者からは意見や相談のしやすさや、言いやすい雰囲気についても厳しい評価・意見が出ています。園でも苦情処理についての周知や家庭との保育連携、職員間のコミュニケーション不足を課題と認識しています。園の現状、課題、その対策についてや進捗状況などを保護者と共有し、保護者の理解を得て、信頼につなげる取組が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
今回、第三者評価を受審し、今後当園が改善していかなくてはならない点が明確になりました。まず、園で作成したマニュアルや書類を基に、全職員が園内研修等を行い共有していくことです。一つひとつの事象に対して、その人と同じ目線になって物事を考え、全職員が同じ目標に向かって保育を行えるようにしていきたいと思います。そして、職員の意思統一と定着を図っていき、共有したものをわかりやすく子どもたちや保護者、地域の皆様に発信し理解していただき、共に子育てをしていきます。
 また、施設長をはじめ、保育士・看護師・栄養士・その他職員がそれぞれの専門性を生かし、直面した問題や課題に対しても迅速に対応し、利用者の皆様に満足して頂ける保育を提供できるようにすることが必要です。そして、現在のニーズに合わせた保育を行い、皆が笑顔で、この「平」の地域に必要とされる保育園となれるよう運営していきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

ホームページや、パンフレットには法人の理念と指針、園の保育理念と保育方針、保育目標、運営方針を具体例をあげて説明しています。保護者には入園説明会や保護者説明会で園長や主任が説明し、園便りでも園長から分かりやすく伝えています。また、法人の理念や指針などを玄関に掲示し、日常も周知に努めています。理念や保育方針などの職員の理解状況は自己チェックで認識を促しています。職員の入職時にばらつきがありますので、全体の職員に周知されているか、確認される事が望まれます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

法人は 関東地区に系列6園の保育園を運営しています。園の運営、その課題、改善策、対応策などについては、区園長会議(WEBで実施)で情報交換をしています。地域の動向については、園長が宮前区の園長会等に参加して、地域のニーズを反映させ、公立園時の開園時間を拡大するなど具体的な改善を実施しています。法人からも定期的に福祉の動向について情報が送られ把握しています。保護者のニーズはアンケートなどから把握し、経営環境や課題の分析につなげています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

系列6園が集まる法人の園長会で職員体制について話し合い、法人側と財務に関する情報の共有も図っています。法人は各園の経営状況、設備修繕や保育内容、職員体制などを把握・分析して、具体的な課題や問題点を明らかにしています。園は移管時に約半年間、当時の公立園に職員を移動させて、公立園の行事等の引継ぎをするなどして具体的な取組について引継ぎをしてきましたが、移管後、職員の退職等で、現在の職員に周知されていない事、共有されていない事があります。法人で話し合い等を確認、周知されることが望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

令和3年度の法人事業計画(関東系列園のみ)には、令和2年度からのエリアとしての収支と現状における課題及び取組として、園の安定運営など、前年度との比較や今期の目標等の記載があります。そして、目標達成に向けた改善点が具体的に記載されていますが、職員への周知は徹底されていません。経営全般に関する中長期計画として、期間が明記されたもの(法人、園独自)がありませんので、中長期計画として柱を明確にしたものを作成し、法人の理念、方針に沿った園運営に、活用されることが期待されます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

令和3年度の法人事業計画(関東系列園のみ)には、令和2年度からのエリアとしての収支と現状における課題及び取組として、たいら虹保育園の安定運営と明記されています。そこには、前年度との比較と今期の目標等の記載があり、目標達成に向けた改善点が具体的に記載されています。しかし、これを受けて、園ではどのように取り組んで行くかなど、単年度の計画が明記されていません。日常業務の中で話し合われていることなどが、具体的な取組となっていることもあると思われますので、全職員のモチベーションを上げるためにも、園の方向性が明確にできるよう、紙面化、視覚化されることを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:c】

法人作成の事業計画には、目標達成に向けて①公立園の保育内容を引継ぎつつ、安心、安全を最優先にし、保育内容を充実させる。②各マニュアルの整備。③保育理念を浸透させ、保育の質を高める、とあります。職員の入職時期によっては、園の年間を通じた計画、方向性が充分に周知されているとは言えない状態です。①については、公立園の行事は全部引き継ぎをするなど、保護者の移管後の不安の軽減を考慮した取組もありますが、職員が集まって見直しをするなどの機会がもたれず、取組がどのように、反映されているか理解、周知されていません。計画自体が初年度は方向性が見えづらいこともありますので、課題に対して法人としての考え、園としての方向性を伝え、なおかつ職員の意見を集約する機会を作るなどして、園全体の声を次年度の取組に繋げる事が期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業計画の内容については、保護者に配付する「入園のご案内・しおり」や「重要事項説明書」を通して保護者に伝えています。園のご案内には、地域との連携、就労支援サービス、保育カリキュラム、行事、給食、健康管理、家庭との連携、安全管理など、事業の主な内容について明記されており、保護者の知りたい情報がわかりやすく記載されています。園行事については、面接時に年間行事計画書を配付し、さらに、毎月発行の園便りなどで詳しく保護者に伝えています。懇談会などに欠席した保護者には、個別に内容を伝えるなど、迅速に対応しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

保育の質の向上のため、各指導計画はPDCAサイクルにもとづいて、計画に沿って実践した保育に関する評価を行ったうえで、園長の確認を得て次回の計画を立てていますが、指導計画の記載の統一ができるよう、PDCAサイクルをもとにした、指導計画を作成する研修などが望まれます。園は今年度開園のため、「保育士の自己評価」、園としての「保育所における自己評価」等については現時点では未実施です。今年度、第三者評価を初めて受審し、自己評価として全項目について職員からの自己評価、意見を集計し、園の評価に繋げています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

園長による職員との個別面談などから、園としての課題を収集しています。開設一年目という事で課題を集約し、課題に向けてどのようにして行くかなど計画をまとめたものは時期的にまだ作成されていませんが、今後職員会議等で周知できるようにするなど、共有化できるような仕組みを整えています。園は入職時期の違う職員、公立園時代から在籍する職員などの様々な情報の共有が一貫されていない事が課題となっています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、法人と園との橋渡し役を務め、園運営においてもリーダーシップを発揮しています。保護者に向けて、苦情解決窓口の苦情解決責任者が園長であることが明記されています。キャリアパスには、職員等級とともに、組織としての役割、権限責任などが明記されていますが、一般的な職務分掌表はありません。職務分掌表では、園長不在時における副園長への権限委任等役割が明らかになります。またそれぞれの職員の立場、権限、責任を明確にすることで、自分自身の仕事においての役割等が解りやすくなりますので、職務分掌等で職員に周知される事が望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、保育所保育指針や遵守すべき法令などについての理解に努め、利害関係者とは適正な関係を保持しています。法人では子どもの人権に関する法令を踏まえた研修を行い、言葉づかいや保護者へのかかわり方などについて学んでいます。保育中の子どもに対する言葉づかい、対応などについて気になることがあれば、ミーティング、会議等で副園長、園長が話をしています。また、職員には保育実務ハンドブックを配付し、保育士の倫理感、子どもとかかわる姿勢などマナーについても周知しています。園長は宮前区の園長会に出席し、保育所として遵守すべき法令や、環境に配慮した法令についても把握しています。今後、さらに職員への周知が望まれます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は、指導計画や保育日誌などの書面を定期的に確認し、保育計画が計画通りに行われているか保育内容について評価し、保育の質について課題を抽出しています。そして、各担任が指導計画を作成する際に指導、助言を行い、個々の職員の課題を明らかにするとともに、強みを発揮できるように支援し、職員の育成に取り組んでいます。園長は職員と日々のコミュニケーションに心がけ、行事や研修などについては職員の担当を割り振り、職員一人ひとりがやる気を持って仕事ができるように取り組んでいます。また、保育の様子を観察し、必要に応じて指導、助言するなど、保育の質の維持・向上に取り組み、園としての保育水準の向上に努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は園の統括責任者として、主任は補佐として園内の業務を行っています。園長は法人の会議で労務について指導を受け、労働基準法などの法令について学んでいます。職員の仕事量軽減策として、子どもの人数が少ない時は合同保育にするなど、職員の仕事量の軽減に努めています。副園長がシフトを作成し、園長は有給の調整を行うなど、働きやすい環境整備に取り組んでいます。正職員と補助職員との勤務時間配分では現在、保育を円滑に進める体制として充分に機能できない場合があり、職員によっては負担が多くなってしまう事を課題としています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

園の運営に必要な人材確保は、法人が行っています。そのほかに、就職フェアに参加し、園を知ってもらえる工夫をするとともに、法人のホームページには理念、特色や保育の取組などを掲載し、理念や方針に共感し、保育の取組などに興味を持って働いてもらえる職員を募集しています。職員の育成については、法人で新人研修をはじめ、階層ごとに必要な研修や資格取得支援を行っています。そして、職員の資質の向上を図る園内研修や、日々の業務を通じてOJT(職場内研修)を実施しています。事務員はシルバー人材センターからの派遣です。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

キャリアパス制度を設け、職位に準じる等級、等級において求められる心がまえ、役割、求められる能力、行動など職務に必要な内容を明確にし、職員自身が将来の姿を描きやすくしています。園長は、職員には自身の得意な部分で自信をもって保育に臨み、園に貢献してほしいと考えています。各等級ごとの勤務実績評定を設け、職員個々の自己評価とともに、職員の専門性や職務遂行能力、職務に関する成果などを評価する仕組みがありますが、あまり浸透していない状況です。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

園長は、労務管理の責任者として、職員の就業状況を把握し、休暇の取得推奨や残業の削減など、職員のワーク・ライフ・バランスに配慮した取組をしています。シフトは副園長が作成していますが、事前に職員の意向を確認し、バランスをとれるような勤務になるように作成しています。法人の方針で職員から出た希望はすべて認めるようにしています。借り上げ社宅など法人の支援もあります。現在の園内の職員体制において、個々の意向は聞いていますが、反映しづらい状況であり、その改善を課題としています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の保育や教育理念にもとづき、職務に応じた心構えがキャリアパスに明記されています。職員は自己目標設定を行っています。これらを踏まえて、年2回の園長面談では本人の意向などを確認し、必要に応じて助言、提案をしています。次年度の配置などについては職員本人の意向を聞き、そのために園が期待する人材像を説明し、職員が目標に向けて意欲を持てるように努めています。職員の育成に努めていますが、職員の定着にはつながっていません。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

等級に合わせた職員の心構えとして、法人が期待する職位像がキャリアパスの中に明記されています。園内には研修担当の係がおり、必要な研修内容を選択して園長と相談し、決定しています。区役所の看護師による、アクションカードを使った研修、AEDの研修など子どもの安全に配慮する研修が実施されています。職員は研修報告を記載し、職員間で情報を共有しています。2回行われる研修はどちらかを受講することで、できるだけ全職員が研修に参加できるように配慮していますが、具体的に計画された研修計画はありません。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

新人職員には先輩職員が指導役となり、保育士として必要な知識や技術をOJT(職場内研修)の形で教育・指導しています。キャリアパスには職務経験別、担当保育年齢別、職種別などに分けられています。キャリアパスに連動したキャリアアップ研修はありますが、それ以外の、必要で求められる能力に関わる研修計画の作成はされていません。職員自身どのような研修を受けるべきか見えていないことが課題としてあり、改善策を検討中です。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

コロナ禍での開園で、今年度は実習生の受け入れはありませんでした。また、実習生や、ボランティア受け入れに関するマニュアルがまだ作成されていませんので、今後の受け入れに向けて整備されることが期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

園のホームページでは、保育理念をはじめ、園の概要、保育の様子や園での生活などの情報を、写真とともにわかりやすく紹介しています。法人のホームページでは、財務関係の情報も公開しています。福祉サービス第三者評価は今回初受審なのでまだ公開されていません。園への苦情や要望については、苦情解決の仕組みを整え、玄関に意見箱も設置しています。苦情は、対応についてを個人情報に配慮して保護者に知らせています。園の掲示板に園行事などについてお知らせを掲示し、地域に園を知ってもらうように努めています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

事務、経理、取引、職級による権限など具体的に明記された職務分担表はありません。収支報告は月次報告で園長は確認できますが、改善に向けて園はどのように取り組むかなどの周知、会議にまでは繋がっていません。経理や外部との取引などは園長の職務になっています。個人情報管理や現金実査(帳簿上の現金残高が正確かの確認)などの内部監査を実施しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

全体的な計画の中には「地域の実態に対応した保育事業と行事への参加」という項目があり、公立園から引き継いだ保育園行事への中学生の参加、中学生の職業体験受け入れ、地域の方などの保育園参観等の記載があります。自治会には加入していませんが、自治会長とは交流があります。園でも地域の社会資源として、体験保育、園庭開放などを設けていますが、今年度はコロナ禍、開園1年目という事もあり、園内の地固めに力をいれている状況で、地域との交流は開始できていません。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

地域との交流として、中学生の職業体験の受け入れには積極的ですが、コロナ禍で実施されていません。また、ボランティアの受け入れに関するマニュアルが作成されていません。受け入れまでに作成し、職員間で周知することが望まれます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

園では「保育園と関連機関」として、嘱託医をはじめ近隣の小児科などの医療機関や消防署、警察署、地域の避難場所、地域医療救護拠点、区の子ども家庭支援課、福祉保健センター、子どもに関連する療育センターなど関係機関のリストを作成し、職員がいつでも確認できるようにしています。園長は、法人園長会、幼保小連携連絡会などとの各種会議へ参加し、地域の課題解決に向けて協働しています。また、虐待などが心配な子どもに関しては、宮前区子ども家庭支援課や児童相談所と連携を図っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

園長は法人、区の園長会や、各団体主催の研修、連絡会へ参加するなど、情報収集をして地域ニーズの把握を行っています。特に、区内の待機児童対策や保育士確保策などの課題を把握しています。園見学時の利用希望者や、地域向けの園庭開放や育児相談などの利用者からも地域のニーズや課題を把握するように努めています。コロナ禍での開園1年目ということもあり、取組の結果はまだ見えてきていません。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域連携を全体的な計画の中に含み、公立園から引き継いだ地域ニーズにもとづく地域育児支援事業を展開しています。公開保育、育児相談、園庭開放などを実施し、また、地域の子育て情報の提供などを計画的に行って、地域に専門性を還元しています。宮前区役所にある地域お知らせ掲示板を活用し、地域の人に情報を提供しています。子育て親子やシニアの方と交流する「ひだまりニコニコ」「あそびの広場」などを開催し、地域の子育て親子を支援する計画がありますが、現在実施が難しい状況です。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員は、子ども一人ひとりを尊重し、子どもの最善の利益を念頭に指導計画を作成しています。保育実務ハンドブックにも人権に配慮した言葉づかいについて明記され、全国保育士会の「倫理綱領」を周知して人権に配慮した保育に努めています。区の研修に参加したり、自己評価を実施し、子どもの尊重や基本的人権への配慮についても学んでいます。自分と違うものに対しての理解として、自分に苦手な事があるように、お友だちにも苦手な事があり、それぞれ違いがある事、違いがあることは皆一緒である事を、子どもが理解でき、納得できる言葉で伝えています。職員は保育の中で、男の子だから、お母さんだからなど固定観念での役割などを言わないように意識していますが、とっさの時に適切といえない言葉遣いが見られるケースがあります。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人でプライバシー保護規定を整備しています。守秘義務、プライバシーの尊重と保護については、入職時の研修や、他園の事例をもとに周知確認しています。プール遊びでのシャワー時には周囲の視線に配慮し、目隠しを設置しています。おむつ替え、着替えの際には子どものプライバシーや羞恥心に配慮して場所を考慮し、子どもの羞恥心に配慮した声かけをしています。幼児用のトイレにはドアがあり、プライバシーが保たれています。子どもにも着替えの仕方を伝えています。保護者には、入園説明会や保護者会で、園のプライバシー保護に関する取組について説明しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

利用希望者をはじめ、多くの人が園情報を得られるように、区のホームページ、法人の園のホームページからも写真を交えた園の情報を知ることができます。園のパンフレットは、イラストを用いて一日の流れなどを掲載しています。園見学は1組15分程度とし、現在は保育室は廊下から見てもらうようにしています。副園長、園長が対応をして、園で大切にしていることを伝えながら、個別に丁寧な対応を行っています。見学時の利用希望者からの質問などから地域のニーズ、保護者のニーズを把握し、役立てるように務めています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

保育の開始にあたり、入園説明会や個人面談で、園のしおりに沿って保育内容や延長保育の利用などを説明しているほか、慣らし保育に関する園としての方針を伝えています。個々の状況に応じて、保育は丁寧に進めていくことを伝え、保護者から同意書を得ています。説明会では、入園後に子どもが使う備品の実物を置くなどして、保護者が視覚的に理解しやすいよう工夫しています。外国籍の保護者には、その保護者が理解できるような方法で分かりやすく端的に伝えるようにしています。必要な場合は行政に支援を依頼することも考えています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

園は公立園からの移管となっています。法人職員が半年、公立園で一緒に保育に参加し、公立園時代の行事はすべて内容を引き継いでいます。民営化後、巡回訪問を4月は週1回、5~7月は月2回、以後は月1回行い、保育全体の様子、行事の取組、環境、保護者対応、計画などについて行政と法人で確認をしています。第三者会議の開催、アンケート実施などにより意見要望を把握し、地域に根ざした園となれるように努めています。今年度開設のため、初の卒園児となりますが、卒園後にその後の相談方法などを明記した文書等はありません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園では移管後、行政、前園長、保護者にアンケートを実施し、その結果をもとに園の取組、課題を把握して、改善に取り組んでいます。また、保護者からは日々の会話や、面談を通じて満足しているかを把握するように努めています。保護者からの意見に対しては、可能なことはできるだけ迅速に対応し、サービスの向上に繋げています。また、子どもの遊びの様子などから、子どもが充分遊びこめているか、遊べていない場合の原因は何かを職員の声から把握し、環境を整えるなど具体的に取り組むように努めています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

法人統一の「苦情解決マニュアル」を整備し、保護者から要望や苦情があった場合に対応できる体制を整えています。苦情解決責任者は園長、苦情受付担当者は主任で、第三者委員2名を設置しています。苦情解決の仕組みを「重要事項説明書」に記載し、また、「福祉サービスの相談・苦情を受け付けています」とわかりやすく記した文書を入園説明会で説明しています。相談・苦情受付のポスターを玄関に掲示し、意見箱の設置、保護者アンケートを実施しています。要望、苦情は「苦情・相談対応記録簿」に記載し、検討結果は保護者にフィードバックして、内容に応じて掲示しています。受け付けた内容は検討し、サービスの向上につなげるよう努めています。園以外にも外部の公的な権利擁護機関へ苦情・相談等の申し出ができることの周知が期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

重要事項説明書には、面接、電話、文書など複数の方法で相談や意見を受け付けることを明示しており、園や第三者委員への申し出についても知らせています。意見箱を設置し、いつでも意見が出せるようにしています。相談内容によっては、看護師や栄養士が専門的な立場から対応を行っています。保護者が話しやすいよう、プライバシーに配慮した環境整備をしています。相談の結果は内容、解決結果を記載してファイルされています。園以外の外部の公的な権利擁護機関へも相談や意見が申し出られることの周知が期待されます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

職員は保護者が相談しやすい雰囲気づくりに努め、日ごろの会話などから保護者の気持ちを汲み取って、意向の把握や相談に努めています。連絡帳やメールでも保護者の相談に対応しています。意見箱の設置やアンケートの実施などで、保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備しています。相談や意見を受け付けた場合は、苦情解決マニュアルにもとづいて速やかに対応し、受け付けた意見などについては園内で共有し、対応策を検討しています。検討に時間がかかる場合には状況を保護者に説明するなど、迅速な対応に努めています。相談や意見は保育の質の向上に活用しています。職員が相談を受けた場合どのような対応をすればよいか、など周知を再確認する事が望まれます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントの責任者は園長です。具体的にはプールでの配慮事項や避難訓練、保育中の事故対応、不審者の対応などについての記載があります。園長や主任を中心に、園内外の安全対策や避難訓練の計画、職員対象の事故防止の研修の実施、緊急事態発生時の対応などについて話し合っています。けがや事故が発生した時には、事故報告書に記載しています。今後、ヒヤリハット集計と分析をすることで、園内の安全へ子どもの事故を未然に防げる手立てになると思われます。また、マニュアルの職員周知度が低いようなので、再度の確認、周知徹底が望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策については、法人で実施された研修を看護師が園内研修で職員に伝えています。嘔吐処理については、実際に嘔吐物を再現した物を使用し、感染対策を講じながら適切に実施されています。看護師が中心となって園内の感染症対策など、職員周知を図る体制があります。園内で感染症が発生した場合は、玄関に感染症のお知らせを掲示し、保健便りへの掲載や連絡アプリを通じて保護者に注意喚起を図っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

園では立地条件等から、地震、火災、台風と災害対策の優先順位を定めています。月一度の避難訓練は様々な想定により実施しています。事務所には、火災時の指揮権などの役割分担が掲示され、責任者は園長となっています。台風など予想がつく自然災害の時には、借り上げ社宅の職員が開園するようにシフトを組むなど、対応できるようにしています。災害時用に、水、食料、おむつなど3日分を備蓄しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

法人作成の「保育実施ハンドブック」には、プライバシー保護や権利擁護に関する姿勢、適切な保育の実施について明記されています。入職時に全職員に配布していますが、保育内容の理解やレベルに個人の経験や資質による差が見受けられます。今後、標準的な保育の実施方法について、園内研修等での知識共有や周知が期待されます。 

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

保育に対しての保護者からの意見や提案は、送迎時の会話や意見箱の設置、保護者面談等で確認しています。検証や見直しを適宜行い、月案・週案等の指導計画に反映しています。開設1年目でもあり、保育の標準的な実施はまだ十分行われていません。今後、「保育実施ハンドブック」の内容の周知に努め、標準的な実施の徹底が期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

園長を責任者とし、「全体的な計画」と「保育課程」にもとづき、年間指導計画等の各指導計画を立案しています。公立園からの引継ぎにあたり、個別面談により再度取得したアセスメントをもとに、クラス担当を中心に、必要に応じて医師や看護師・栄養士等の意見を参考にしています。それぞれの計画には評価・反省点を記入する項目があり、保育の振り返りや次回の計画作成に役立てていますが、情報共有が不十分な点があり、今後の組織的取組が期待されます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

年間指導計画には四半期ごとに自己評価欄を設けており、課題を明らかにして評価・見直しを行う仕組みがあります。保育の実施については、乳児・幼児会議、副主任会議で評価・反省を行い、問題点を全職員に共有しています。指導計画の変更については、必要性があった場合には保育士業務専用アプリで園長から発信されています。指導計画の検討会議についての記録が作成されていますが、入職日の浅い職員など、全職員への周知が期待されます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

入園前の子どもの身体状況や家庭環境等は、保護者の混乱を避けるため、公立保育園から引き継いだ書式を用いた健康記録や児童票で把握しています。入園後の発達状況については保護者向け情報連絡共有の専用アプリの発達記録で管理・共有しています。記録内容に関して、保育士による文章や内容の差異が見受けられます。園長が指導にあたりますが、園としての記入方法等を統一する仕組み作りが期待されます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

法人の個人情報保護規定に、子どもの記録の管理について定められており、個人情報の不適正な利用や漏洩に対する対策と対応方法も職員全体に周知しています。個人情報の取り扱いについては、入職時の他、都度確認を行い、職員の理解を深めています。保護者には入園前に個人情報の取り扱いについて重要事項説明書を用いて説明を行い、同意書を収受しています。書類は共有スペースに保管されており、施錠・開錠の管理はチェックリストで記録しています。今後、個人情報に関する園内研修や個人情報保護規程の読み合わせ等で、定期的に職員の理解を深めていくことが期待されます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

「全体的な計画」は、児童福祉法・保育所保育指針をもとに保育理念・保育方針・保育目標に沿って編成しています。今年が開設1年目ですが、前年度10月から、現園長を含む職員で引き継ぎ保育を実施して、今年度の計画を作成しました。毎月の乳児・幼児会議で日案・週案・月案の振り返り・見直しを行っていますが、計画に則った保育の実施ができておらず、また、地域や家庭の実態に応じていない部分があると感じています。年度末に予定している職員会議等で、保育指導計画の実施状況の評価・見直しを行い、次年度に計画的に生かすことが期待されます。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

2歳児以上の保育室は2部屋ずつ用意され、“静”と“動”の空間として活用しています。加湿器やエアコン、サーキュレーターを使って温度・湿度・換気などで適切な環境状態を保ち、玩具等の子どもが手に触れるものはこまめな消毒を実施して衛生的な状態を保っています。おままごと道具や本などコーナー保育を実践していますが、スペースの問題と職員数にも限度があるため、配慮が必要な子どもに対して一人ひとりが落ち着ける場所の確保は困難な状況です。保育室とトイレや洗面所は日々の清掃を徹底して行い、清潔で子どもが利用しやすい設備を整えています。保護者負担の軽減で公立園時代のやり方を踏襲していることもあり、午睡用の布団や押し入れ、マット等の衛生管理が十分ではない部分が見受けられます。保育環境を整えるためには大きな変革が必要になりますが、保護者の理解を得る工夫が期待されます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもを受容する丁寧な保育を実践してくことを心掛け、年齢や一人ひとりの発達に合わせた声かけを行い、子どもの考え方や意見を聞くことを大切にしています。職員の入れ替わりもあって保育の方法に差異が見られます。制止させる言葉が出てしまう場合があり、保育の専門性と子育てとの違いや、子どもと関わらない掃除等の雑務に対する心構えなど、園内研修を充実させることを検討中です。副園長が2名加わったことで、職員会議以外にも適宜サポートや指導に入り、情報共有や振り返りの内容、問題点を話し合うことが可能になり、職員全体のレベルの統一に組織的に取り組んでいくことが期待されます。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:b】

子ども一人ひとりの発達に合わせて、挨拶、登園時・食事前・トイレ後の手洗いや、食事・排泄・更衣・睡眠等の日々の生活習慣を身につけられるように指導計画を立て配慮しています。発達段階に応じて、子どもが自分でできるよう配置し、自分でやろうとする気持ちや達成感を得ることで自信や次への意欲につながるよう時間をかけて支援しています。職員が子どもに対して過干渉になるところも見受けられるため、自立心を奪わないように発達状況を見極める、見守ることを大切にしています。全職員が保育の専門家として、全ての子どもに対して完璧な保育を提供できるように、と常に意識を持って保育を実践するために研鑽を積みたいと考えています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

子どもが主体的に活動できる環境を整備して保育を実践することを心掛けています。子どもの遊ぶ様子を常に観察することで、年齢や興味・関心に応じて、自ら遊びを選択し遊びに集中できるような玩具や教材・絵本を用意しています。また、食育を兼ねて野菜や稲を育てる機会を設け、近隣の公園で自然や生き物にふれる機会を設けて遊びを楽しむ環境を用意するなど、子どもが自主的・自発的に遊ぶことができる保育の環境設定に努めています。公園への散歩を多く取り入れ、挨拶、歩き方、横断歩道、信号確認、順番といった交通ルール・社会ルールを保育士が分かりやすく伝える工夫をしています。コロナ禍により地域の人たちと接する機会は減りましたが、近隣の老人ホームと一緒に避難訓練を実施しており、地域の人と接する機会を設けています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

生活リズムを大切にして、ゆったりと快適に過ごすことができることを重視しています。子ども一人ひとりを十分に受け止め、愛着関係を築くことができるように配慮しています。0歳児用の保育室は1歳児の保育室に隣接した奥に確保されており、壁紙を季節に合わせて変える等、落ち着いて過ごせる環境が整えられています。園舎も公立園から引き継いだ建物の為、築年数が経過しており、電力供給に限りがあって温度管理等十分でない状況があります。食事やオムツ替えや睡眠の際に、子どもの表情やしぐさから思いを汲み取り、あやしたり話しかけたりして応答的な関わりをしています。保護者とは、送迎時の会話や連絡帳を使って、園と家庭での様子を共有し連携をとっています。素材や硬さ、大きさなど安全面を考えた玩具を用意して、使用後にはすぐに消毒を行って、衛生面に配慮しています。言語で表現できないことが多いので日頃からよく観察をし、表情や声・仕草等から体調を確認しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

1、2歳児については、養護と教育とが一体的に展開されるように、保育士に対して安心感・信頼感を持てるように、子どもの思いを受け止め、褒めたり共感したり柔軟に応えるように努めています。個々の発達を職員間で共有し、子どもが自分でしようとする気持ちを大切にしながら身辺自立の芽生えをゆっくり見守ることを心掛けています。保育士によって対応の差があり、標準的な保育を身に付けるための内部研修を検討しています。コロナ禍で、老人ホームとの交流会や異年齢保育を控えている現状ですが、近隣の公園や畑の管理人と接する機会を持つことができており、挨拶や接し方などを学んでいます。保護者には送迎時に積極的に声かけを行って子どもの様子を伝え合い、個別の課題については保護者の意向を確認しながら、保護者向けアプリを活用し、家庭と連携して取り組んでいます。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

幼児クラスでは、年齢や発達に応じて色々な遊びに興味・関心を持ち、子どもが自ら活動を選択して遊びに集中できるような玩具や教材を提供しています。子どもたち同士で遊ぶ楽しさを経験することを重視して、自分たちでルールを決めて遊びを展開していく様子を見守っています。今年度は中止になりましたが、地域活動の1つである5歳児の太鼓披露を目標に、3歳から遊びの中で段階的にリズムを取り入れる計画を立てています。子どもたちの活動内容の写真や制作物を廊下や玄関に掲示するほか、園だよりでも各クラスの様子として掲載し、保護者に伝えていますが、就学先の小学校に対して伝える計画がないため、今後の工夫が期待されます。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

公立保育園であった前園からの引き継ぎで、障害のある子どもや特別な配慮の必要な子どもが複数在籍しています。建物が古いため、ハード面での環境が追いついていません。障害児保育について経験のある職員や研修を受講した職員が中心となり、専門施設からの助言等も得て個別指導計画を作成していますが、専門知識や情報を全職員にフィードバックする機会が今年度は用意されていません。障害のある子どもの受け入れに際しては、障害の状態や家庭での生活、生活習慣の対応等の個別のケースについて、ケースカンファレンスを行い、配慮する点や関わり方などについて、必要に応じて市の臨床心理士や療育センター等の関係機関を交えて話し合う仕組みを構築しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

1日の生活を見通した保育を提供し、子どもが安心して心地よく過ごせるよう、保育室は長時間の保育時にもストレスがないように、明るさ・音・温度等に配慮しています。時間帯や子どもの人数に応じて玩具を入れ替え、飽きずに、安全に過ごせるように工夫しています。在籍している長時間保育の園児のことを考慮して、一日の活動の中に“動”と”静“の活動を取り入れています。子どもの主体性を重視した保育を実施したいと考えていますが、前園では一斉保育が多かったため職員間で認識に差異があり、保護者からも一斉保育を求める声があるため、今後の移行が課題になっています。遅番の保育士とは子ども一人ひとりの「引継ぎ簿」で保育の様子を情報共有する他、口頭、個別の保育日誌で確実な引き継ぎをしています。保護者とは連絡帳や保護者向けアプリ、降園時の会話を利用して、連携が十分にとれるように配慮しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:b】

小学校との連携については「全体的な計画」に記載しており、就学を見据えて「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」をもとにした各指導計画を作成して保育にあたっています。就学を見通した小学校との連携を予定していましたが、今年度はコロナ禍で近隣の幼保小連携した会議や交流が持てていません。「保育所児童保育要録」や特に配慮を要する子どもに関する書類等は、園長の責任のもと、担任保育士を中心に作成して小学校に提出する予定です。保護者に対しては就学に向けた面談を個別に実施する予定でいます。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

健康管理については「全体的な計画」や各指導計画に記載しており、法人作成の「保健年間計画」を園の看護師と相談してアレンジした内容を用意しています。12月には嘔吐処理の研修等月ごとの取組を行い、全ての職員に、看護師や巡回する園医等の専門的な指導を受ける機会を設けています。法人作成の健康管理マニュアルにもとづき子どもの心身の健康状態の把握や事故の対応等を行っています。毎月「ほけんだより」を発行して感染症や健康上の注意等を伝えています。入園時に記入してもらった児童票に生育歴・内服歴・既往症・予防接種の状況、毎日の看護師の視診から、受診結果・予防接種の把握を行い、「すこやか手帳」に健康診断結果や毎月の身体測定結果を記載して、一人ひとりの健康状態と成長を把握しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については口頭・配布物で説明を行い、睡眠時には様子を確認・記録して安全確保に努めています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健診については「全体的な計画」や「年間保育指導計画」に予定が記載されています。園医による年2回の健康診断と年1回の歯科健診、毎月の身体測定を実施しており、結果を「すこやか手帳」と児童票に記録しています。保護者にも、子どもの成長を実感してもらい、家庭での生活に活かされるように、歯科健診結果表を配布し、健診・身体測定結果を知らせています。食事の提供方法などを保護者と相談し、保育にも有効に反映できるように努めています。手洗いやアルコール消毒の仕方など、時節に応じた内容を保護者にも伝え、掲示を行って家庭でも実践をお願いしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

厚生労働省が示す「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」にもとづき、園でアレルギーマニュアルを作成して適切な対応を行っています。アレルギー疾患のある子どもの除去食対応は、医師の主治医意見書に従い、栄養士・園長・クラス担任が保護者と相談して、安全で適切な対応に努めています。事故を防ぐために専用トレイや食器の色分け、複数人による声出し確認を行い、直接対応する人を限定して、他の食事との違いを明確にしています。保護者に対しては、入園説明会で園への飲食物の持ち込みや園内での飲食の禁止を伝えていますが、必要に応じて、子どもたちにもアレルギーの危険性について伝え、保護者に理解を図るような取組を行う予定となっています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

「全体的な計画」に沿った「食育計画」を作成しており、保護者には栄養士作成の「食育だより」を毎月発行して、家庭と連携して食育を進めています。コロナ禍のために、食材に触れたり調理を行ったりする特別な食育は実施していませんが、日々の巡回時に子どもにおかずや食材の説明を行い、食について学ぶ機会を設けたり、豊かな経験ができる工夫をして食への関心を深めています。年齢や個々の発達に合わせて栄養士が食形態・食事量を調整し、年齢に合わせた食器具を使用して、一人ひとりの食欲と食べる意欲を伸ばしています。無理に食べさせるのではなく、食べられる量を把握しながら、完食の喜びや食への意欲・興味を持って食事を楽しむ工夫をしています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

栄養士は毎日巡回して食事状況を把握し、献立を作成しています。子どもたちの食事状況や好きな献立、苦手な食材などを把握したメニューを毎日提供しています。クラスごとの「喫食状況記入表」に記録しており、必要に応じて個人状況簿を記入しています。毎月開催される給食会議で献立や子どもの食事の状況などについて職員と情報共有しており、栄養士は喫食状況を確認して、次回の献立や調理に反映させています。食材は地域の業者から調達しており、季節の食材や日本の伝統的な食文化・行事食を取り入れて、献立や盛り付けに関心を持ち、食事を楽しむ機会を設けています。子どもの発育状況に応じで調理方法を工夫しており、幼児の保護者には献立表を、乳児の保護者には食種別献立表を配布しています。支援の必要な子どもに対しては、保護者と連携して食材の好みや刻み方に配慮しています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

乳児は個人連絡帳を、幼児は保護者向けアプリを利用して、毎日の保育状況を知らせています。保護者とは送迎時に家庭での体調や遊びの様子、園での活動や睡眠・食事等の様子を確認し、個々に伝える必要があることは口頭で連絡し、家庭との連携に努めています。子どもの成長や様子・情報を共有しています。トイレトレーニング、お箸の導入など家庭と保育園とで連携して取り組むことを心掛けています。今年度はコロナ禍で保育の様子を自由に見学することができないため、乳児の保護者には日時を設定した保育参観を行い、幼児は生活発表会を実施して、保育園生活の理解を得る機会を設けています。毎月発行する園だよりやほけんだより等の配布物や行事案内・保護者会で保育内容を伝えていますが、保護者からは保育活動中の様子が分からない・写真の掲示を増やして欲しいとの要望が引き続きあるため、保護者の期待に応えられるような更なる工夫が期待されます。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

毎日の送迎の際に、保護者には積極的な声かけを行ってコミュニケーションを図り、保護者との信頼関係を築くように努めていますが、前園からの引き継ぎもあって職員の交代が多く、全ての保護者との関係構築には至っていません。園長をはじめ保育士・栄養士・看護士が相談に応じる体制を整備して、保護者にも周知しています。保育所の特性を生かした子育て支援計画を作成していましたが、今年度は人員の関係で実施に至っていません。保護者からの質問や相談には個別に対応して支援を行っています。面談記録には相談内容についての記載がないため、適切な記録が望まれます。支援や配慮の必要な子どもについて、発達状況や家庭での保育に関する相談にも応えられるように、次年度は発達相談支援コーディネーターの講習を受ける予定です。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

重要事項説明書には、虐待など権利侵害の禁止や児童虐待防止法を遵守すると明記しています。子どもや保護者のサインを見逃さないように早期発見、早期対応に努めています。登園時の親子の関わりを観察して、子どもの情緒が乱れていないか、身体的外傷がないか等に留意しています。特に、会話・顔色・外傷・あざ・衣服の乱れ等に注意を払っています。オムツ交換・着替え・トイレの時には視診を実施して、家庭での養育状況の把握を心掛けています。系列園での実例をもとに、話し合いや検証、フィードバックを行っており、虐待発見時のルールを定めていますが、具体的な対応等が明文化されておらず、マニュアルの作成がありません。早急なマニュアルの整備と周知が求められます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

各指導計画には、子どもの生活のリズムを大切にして育つことができているか、また、保育指針の10の姿からずれていないか、という視点での自己評価欄を設けています。個々の振り返りは、法人作成のガイドラインに則り、年2回の人事考課でも実施しています。週案・月案の見直しに際して振り返りを行い、保育内容に関してクラス単位の反省・共有をしていますが、職員全体での共有はありません。職員会議での共有は、ヒヤリハットや相談・苦情対応が中心で記録がありません。保育所全体の保育実践の改善や専門性の向上に繋げるためにも定期的に職員の自己評価の結果を分析し、自己研鑽・自己啓発に拡がる取組が期待されます。