社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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たんぽぽのはら保育園

2021年09月17日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 たんぽぽのはら保育園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 90 名
所在地 〒211-0016
川崎市中原区市ノ坪223-9
TEL 044-430-0143 ホームページ https://daijikai.jp/hoikuen/tanpoponohara/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2009年10月16日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人大慈会
職員数
常勤職員:22 名
非常勤職員:9 名
専門職員
保育所長:1 名
保育士:21 名
看護師:1 名
栄養士:3 名
事務:1 名
子育て支援員:3 名
施設・設備の概要
居室:0歳児室1室
居室:1歳児室1室
居室:2歳児室1室
居室:3歳児室1室
居室:4歳児室1室
居室:5歳児室1室
設備:医務室1室
設備:調理室1室
設備:事務室1室

③ 理念・基本方針
<理念>
●我々は、まず福祉の増進に寄与する者でなくてはならない。
●我々は、子どもたちの親、家族の幸せを守り、育まねばならない。
●我々は、我々自身その一人一人が幸福であるように努力し、協力しなければならない。
●我々は、生命の尊さと、大切さと、喜びをよく知っていなければならない。  
<基本方針>
1.ひとりひとりの人格を尊び、守りそだてる。
2.安全で安心し、中庸な保育。
3.協調、おもいやり、相互援助
4.我々は、生命の尊さと、大切さと、喜びをよく知っていなければならない。
5.地域の子育て支援の拠点としての機能の充実を図り、関係機関と連携・交流を深める。
<保育目標>
充分に養護の行き届いた環境の下、くつろいだ雰囲気の中で
子どもひとりひとりの欲求を満たし生命の保持、情緒の安定を図る。
1.健全な心身を持つ子ども
2.命の尊さを感じられる子ども
3.自発的、積極的に行動できる子ども
4.自己表現のできる子ども
5.思いやりのあるやさしい子ども 
6.保護者や子育て全般に対しての支援 

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<たんぽぽのはら保育園の特徴的な取り組み>
●ひとりひとりの人格を尊び守り育て、健全な心身と感性豊かな子どもの育ちを促す。
●子どもと保護者の安定した関係に配慮し、養育力の向上に努め、共有共感できる支援。
●職員の資質向上及び専門性を高め、共通理解のもと喜びや意欲を持って保育にあたる。   
●命の尊さを感じられる安全教育に努め、事故、災害等から子どもたちの身を守る。
●地域や関係機関との連携を保ち、子育て支援、育児支援に貢献していく。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/04/15(契約日) ~2021/08/06(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2013年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【たんぽぽのはら保育園の概要】
●たんぽぽのはら保育園は、社会福祉法人大慈会(以下、法人という)の運営です。法人は1953年から川崎市多摩区堰において「龍厳寺幼児園」を運営しており、1975年9月に社会福祉法人となり、同幼児園を保育園に改称すると共に、公設民営の保育園運営を手掛け、後に完全民営化となり、現在、川崎市内に9園を運営しています。(内、2園は小規模保育事業)たんぽぽのはら保育園は、2009年10月に開園され、法人として第1号の民設民営の保育園です。

●たんぽぽのはら保育園は、東急東横線・ JR 南武線武蔵小杉駅から徒歩8分、東急東横線元住吉駅から徒歩9分の場所に位置しています。保育園を取り巻く環境は、園の北隣はマンションが建ち並び、東隣には市ノ坪中村通公園があり、西側は綱島街道が通り、南側には二ヶ領用水を挟み中原平和公園が大きく広がり、豊かな自然に恵まれた環境にあります。園舎は、鉄骨造り2階建ての南に面した明るい開放感のある作りであり、1階には3歳児室・4歳児室・5歳児室を配置し、2階は0歳児室・1~2歳児室が設定されています。園庭は限られた敷地に設けられていますが、近隣の中原平和公園を活用し、毎日の散歩や屋外で十分体を動かし、伸び伸びと遊べる環境が整っています。

◇特に評価の高い点
1.【考え抜かれたプログラムの実践】
たんぽぽのはら保育園では、卒園までの最大6年間という時間の流れの中に、子どもの成長・発達に合わせて、或いは子どもの成長を見据え、日常生活行動とプログラムがあたかもジグソーパズルの如くに、見事に組み込まれています。一つ目に、デイリープログラム、週次指導計画、月次指導計画、年間指導計画(四半期ごとに分けて記述)、全体的計画の各計画には、生活行動・プログラムごとの「ねらい」と共に、出来ている時の「子どもの姿」が詳しく記述されています。また、年間指導計画→月次指導計画→週次指導計画のつながりが明確であり、1日の行動・プログラムも年間計画の中に位置づけられたものであることが良く分かります。二つ目には、保育士が、一つひとつの日常生活行動やプログラム、各計画のねらい・「子どもの姿」を単に記憶しているレベルではなく、各生活行動・プログラムについての意義、何故その時期・時間帯に行うのかを理解及び認識した上で実践しています。職員に問いかけた時に直ぐに明快な答えが返ってくることからも確認ができました。

2.【研修の高い成果及び実践化】
たんぽぽのはら保育園では、各種研修で学んだ理論、知識、技能を生活行動・プログラムに反映し、実践につなげています。とりわけ、法人系列園間で定期開催されている「部会」では、職員の力量を高める上で大きな役割を果たしている「研修」が挙げられます。部会は、乳児担当部会、幼児担当部会、保健衛生部会、栄養給食部会等、複数設置され、各園の担当者が集い、園ごとの実践や課題を報告し合うと共に、課題について参加者全員で協議・検討を重ねています。各部会での検討結果は各園の全職員に報告される体制が確立しており、この仕組みは、他園での実践や成果を吸収して自園でも生かし、実践しています。この仕組みの蓄積の成果が、考え抜かれ組み込まれた生活行動・プログラム、即ち「計画」であり、その意図を体得している職員による「実践」であると言えます。

3.【職員にとって働きやすい環境】
たんぽぽのはら保育園は、開園から13年目であり、開園時から継続勤務している職員も複数いる等、定着率が高い特徴があります。背景には、①職員個人の個性や考えを尊重する風土、②充実した研修体制、③安心して勤務できる環境、が挙げられます。①については、法人の理念に基づいた、「意見を言いやすい、意見を聞いてもらえる、対応してもらえる」という職場の風土・雰囲気が、法人と職員間、園長と職員間で確立しています。このため、職員は自分の個性をベースにして伸び伸びと仕事をすることができています。②では、多くの研修機会を付与する方針に沿い、職員配置にゆとりを持った体制の基、職種・経験年数・自己の関心に合致した研修を年に複数回受講することができています。受講後は、報告や伝達講習により他の職員に還元し、全職員は常に最新の知識・技能等の情報を得ることができています。学びを継続できる体制により、各職員の成長の機会が確保され、士気向上にもつながっています。③は、年次有給休暇は法定日数を上回る日数になっており、且つ、職員配置にゆとりがあることで取得しやすい体制を整えています。また、法人として独立行政法人福祉医療機構の社会福祉施設職員等退職手当共済制度、公益財団法人神奈川県福利協会の退職共済制度に加入しており、福利厚生においても安心な環境が整備されています。以上のような風土・体制により、職員は働きがいを持ち、安んじて職務に専念できる環境の基、個々の個性を発揮し、明るく自信を持って子どもたちに接することができています。職員一人ひとりの自信・明るさは、子どもにも伝わり、子どもたちが伸び伸び育っている源泉にもなっています。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【職員が、士気高く、長く働き続けられる仕組みの検討】
上述したように、法人・たんぽぽのはら保育園には、職員が働きやすい風土・体制が整っているため、入職以来長期勤務者が多いという特長を持ち、職員が法人・園に対して帰属意識を持ち、士気高く継続して勤務していることは、たんぽぽのはら保育園の強みであると言えます。この強みを長期にわたって維持していくことは、運営法人の使命と言っても過言ではなく、強みを維持していけるよう更なる人事制度の構築が望まれます。園の関連規定に、職員の定年年齢は60歳ですが園長、副園長については65歳定年とし、職務分掌規程では、「職位」と職位の「役職名」を記しています。「職位」主任保育士では「役職名」は筆頭主任保育士、主任保育士が挙げられていますが、上位の「職位」昇格に必要な要件が、規定としては定められていない職位も見受けられます。運用面では、副園長は現状では2つの園のみに配置され、主任保育士は各園2名程度が配置されています。法人は現状、増園の予定がないことを踏まえると、中堅職員がさらに継続勤務し、業務遂行能力を高めた場合でも上位への昇進機会が限られることも考えられます。一考として、今後も継続して士気高く長期的勤務が望めるよう、例えば、「役職」に就かなくても「職位」には位置付ける等、制度の導入の検討が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名: 社会福祉法人大慈会 たんぽぽのはら保育園         


<評価(自己評価等)に取り組んだ感想>
   
 各分野にそって、何故、どうして、どの様にと確認しながら進めることで、当園のみでは深く掘り起こせない分野(地域での関係性)があり、第三者評価を取り組んだことで社会との育ちの関係性を確認することが出来、さらに保育を色々な角度から見直し、人的環境、物的環境、保護者との環境を見直しすることが出来ました。
 第三者評価の目的である、当園と一緒により良い方向性を見つけ出すことの気づきを考えていただき、ありがとうございました。


<評価後取り組んだ事として>

1.中期計画を毎年の事業計画と照らし合わせ、具体的な数値を示し、計画に織り込む

2.研修は報告のみで終わることなく実際に子どものエピソードと絡ませ、研修成果を周知する

3.朝ミーティング(記入内容は継続)を昼(休憩終了後)に時間を移し、午前中の保育の気づき(主に子どもの行動で楽しいこと)や、午後の動き(共有した方が良いと思われる内容)で保育を共有し、子どもの成長を見守る視点の偏りを防止する

4.ホームページが稼働するので保育園の情報を載せ、地域に発信します

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

●運営母体である社会福祉法人大慈会(以下、法人という)の基本理念を基に、たんぽぽのはら保育園の保育方針と保育目標を定めています。基本理念・基本方針は法人のホームページで掲載され、また、「大慈会の保育の特徴」をわかりやすく明示し、園の保育方針・目標は、園のホームページ、パンフレット、「園のしおり」にも掲載し、入園希望者や在園児保護者がいつでも閲覧できるようにしています。さらに、入園説明会(2月)、「保護者会総会・懇談会」(4月)でも説明を行い、周知しています。職員に対しては、「保育業務マニュアル」、「全体的な計画」に記載すると共に、職員会議や内部研修の場において繰り返し周知しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、全国保育協議会、川崎市保育会、川崎市社会福祉協議会、中原区園長会、市ノ坪仲町会に加盟するとともに、それらの会合、研修会に積極的に参加しています。また、法人が運営する9保育園の園長会にも出席して経営状況を把握しています。これらの会合を通して、社会福祉事業全体の動向、地域の福祉計画の動向、地域の子どもの人数や保育ニーズ等を把握しています。また、法人の会計事務所の助言を受けながら経営状況の確認、分析、見直しを随時行っています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

●法人は、系列9園の園長を構成員とする「園長会」を毎月開催し、その会議において、法人、保育園を取り巻く経営環境、財務状況、対処すべき課題等について報告を行い、各園園長からの状況報告も踏まえ、課題等について全員で協議検討を行っています。園長は、園長会で報告された事項、協議検討の結果については、職員会議、主任リーダー会議等を通して職員に周知しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

● 園では、「中期計画」(2021年4月~2023年3月)を策定しています。同計画では、3年間に取り組むべき目標として、(1)地域行事への積極的な参加、(2)人材の育成、(3)虐待防止、人権配慮のための研修の企画、(4)防災体制の確立、(5)延長保育時間中の補食の充実、等を掲げています。目標は具体的に記されており、今後は目標達成時の数値(たとえば、参加件数、参加人数、開催回数等)も記すようにするとより分かりやすくなると思われます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、毎年度、「たんぽぽのはら保育園 事業計画」を策定しています。同計画では、中期計画を踏まえながら、保護者との関わり、地域支援、安全対策、職員の資質向上等に取り組むことを謳っています。その上で、クラスごとの年間保育目標、行事、食育など栄養に関わること、安全管理、防災地域との連携、施設の維持管理、職員研修等について取り組み内容、数値目標等を詳細に定め、後に評価も実施できる内容にしています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

●各年度の「事業計画」は、前年度末に各クラス、各係、各会議等でまとめられた1年間の活動結果、振り返り、反省点等を基に最終的に園長が決定しています。そして、年度当初の職員会議において、改めて園長が説明し、職員へ周知を図っています。また、年度途中に見直しや、改定の必要が出た場合においても随時、職員会議で報告しています。年度末には、活動実績(感染症予防のため中止、延期になったものを含む)を記した「事業報告書」を作成しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

●各年度「事業計画」で記したクラスごとの取り組み目標、行事予定、食育計画、災害対策等々については、「園のしおり」、園だより(電子メール形式)において、図表を加える等、より理解しやすい内容に示して保護者に伝えています。また、4月に開催する「保護者総会・懇談会」の場においても、園長、保育士から口頭で説明を行っています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

●園では、前年度8月に、職員に「人事考課表[自己評価・面談用]」を配付し、自己評価を実施しています。また、主要な行事後には保護者アンケートを取り、アンケート結果に職員の振り返り・反省も附して文書にまとめています。これらを総合して、園としての保育の質の状況を主任リーダー会議で分析しています。第三者評価については、今回は2度目の受審であり、今後も5年に1度の受審を予定しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

●園では、①職員の自己評価結果を集計・総括したもの、②園長と職員との面談の際に出された職員の意見・提言等、③主要行事後に実施する保護者アンケートの集計結果及び職員の振り返り・反省を加えたもの等を基に、園の保育活動に改善すべき部分がないかを主任リーダー会議で分析及び検討をしています。要改善の判断した事項については、次年度の「事業計画」、「全体的な計画」に反映させるよう計画的に進めています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

●「管理規程」、「職務分掌」規定において、園長の職務・職責を定めています。園長は、自らの職務・職責を職員会議等において職員に表明し、周知を図っています。保護者に対しては、「重要事項説明書」において、園長以下職員の職種、人数、職務内容を明示しています。また、緊急時に行うべき対応・行動を記した「アクションカード」を作成し、園長不在時において誰が何をすべきかがすぐわかるよう示しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園長は、全国保育協議会、川崎市保育会、中原区園長会等の会合・研修会、また、運営法人が開催する園長会(月1回)に参加し、社会福祉、保育、労働等に関する法令制度の新設、改定等の情報を入手し、理解しています。入手した情報を基に、園で定めている規定や制度、園で行っている保育活動に改正・改定が必要か否かを確認しています。入手した情報については、職員会議で職員に周知を図り、職員全体で法令遵守を実践できるよう取り組んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●園長は、園としての保育の質を維持向上させるために、先ずは職員が意見、提案等を言いやすい雰囲気の醸成に努め、日々の保育において職員に対して適切な指導・助言を行っています。また、職種、地位、役割ごとに適した外部研修の受講を奨励すると共に、受講した職員からの研修報告を受ける内部研修も随時開催しています。さらに、系列9園の同一職種者、同一役職者、担当者ごとに集まる各種定例会にも参加できるようにし、保育の質の向上に尽力しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

●法人は、顧問契約の会計事務所及び社会保険労務士法人から財務、人事、労務について定期的に助言を受けています。園長は、助言を基に法人と個別に協議を行い、系列9園の園長会での議論も踏まえ、園での適切な人事労務管理、財務管理に努めています。また、非常勤職員を多数配置して、全体として職員がゆとりを持って働ける体制作り、内外研修に参加しやすいよう体制を整備しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●法人は、川崎市内で保育園運営をしている社会福祉法人を構成員とする「川崎市保育会」に加盟しています。同保育会は、統一採用活動を行っており、たんぽぽのはら保育園もこの仕組みを活用することで、園に必要な保育人材を確保しています。また、法人としてもホームページに採用に関するページ「入職をご検討の皆さまへ入職案内」を設け、写真、図表、動画を用いて、保育園の取り組み、資質向上の機会、働きやすい環境、採用の流れについて詳しく情報提供をしています。保育士資格を有していない職員に対しては、資格取得のための支援措置を講じています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

●法人が定めている基本理念(4項目)は、「我々は、子どもたちとその親、家族の幸せを守り、育まねばならない」等と記し、理念自体で、法人として「期待する職員像」を定めています。これに加えて、園の「保育業務マニュアル」では「望ましい保育士としての資質や態度」の一項目を設け、「使命感、責任感を持つ」等、5項目を明示しています。「職務分掌」規定では、職位、その職位に位置づけられる役職、その役職の主要業務、昇格条件等を記してキャリアパスを明示しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

●園では、非常勤職員を多数採用し、休憩時間の確保、年次有給休暇の取得し易さ等、働きやすい職場作りに努めています。福利厚生面では、川崎市保育会の職員厚生会事業への加入により職員が様々なサービスを受けられるようにしている他、法人において独立行政法人福祉医療機構の退職手当共済事業、公益財団法人神奈川県福利協会の共済事業に加入し、退職金制度も整えています。職員には、園長との面談に加え、法人理事長とも個別面談ができる仕組みを設けています。さらに、悩みやハラスメントについて相談できる外部相談窓口も整えています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育理念及び「保育業務マニュアル」において、保育士として求められる資質や態度を明記しています。職員に対しては、これに基づいた、(1)各自の「今年度の目標(3つ以上)」、(2)「目標を達成する方法及び手段」の記入、(3)「達成意欲」等7項目での「自己評価」(3段階評価)を実施しています。園長は、自己評価等を元に都度、各職員と面談を行い、目標及び達成状況の確認を行い、指導・助言を行っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●園で企画、実施する「園内研修」、法人が企画、開催する「法人内部研修」、川崎市保育会、川崎市、川崎市中原区、白峰学園保育センター等が開催している「外部研修」等、3種類の研修に、各職員が参加しやすいよう人員体制を整え、受講を奨励しています。 毎週月曜日には、外部研修を受講した職員から研修発表の場を設け、全職員が外部研修の成果を共有できるようにしています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

●外部研修の受講を奨励し、行政や研修機関から届いた研修案内は直ぐに全職員に紹介しています。職員が受講しやすいように常に人員配置にもゆとりを持たせています。さらに、園内に「研修振り分け」担当者を設置し、各職員が職種、役職、自己の関心等に基づいた研修を無理なく受講できるように勤務シフトを調整しています。これらの仕組みに加え、職員ごとの年度研修受講履歴の一覧を整備し、事務室に掲示しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

●保育実習、保育体験等を積極的に受け入れる方針を持ち、保育士養成校の保育実習は基より、小学生の職場見学、中学生の職場体験、高校生のインターンシップ、学生及び社会人のボランティア活動等も受け入れています。受け入れに当たっては、「受け入れマニュアル」を基に、事務手続き、依頼校との連絡調整、実習生の指導等を行っています。さらに、実習指導者としてのスキルを多くの職員が身につけられるよう、実習指導に関する外部研修の受講も奨励しています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

●法人及び園のホームページでは、基本理念、基本方針、保育方針、保育目標に加え、保育の特徴、取り組んでいる保育、質の高い保育の提供、施設・設備の概要、主な行事・保健行事、所在地等を分かりやすく公開しています。地域の福祉向上のための取組みについては、「中期計画」、毎年度の「事業計画」に掲載すると共に、年度末の「事業報告書」は1年間の取り組み実績を記しています。園のパンフレットは、中原区役所の保育園紹介コーナーに設置している他、中原区主催の保育園年長児作品展(1月~2月)時には会場に設置する等、来場者に手に取ってもらえるようにして情報を提供しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「管理規程」において事務員を配置することを規定しており、同規定に基づき事務、経理等は事務員が遂行しています。税務、労務に関する手続き、書類作成、役所への報告等は、事務員を通して法人の顧問契約の会計事務所、社会保険労務士法人に委ねています。他、法人は弁護士との顧問契約も締結しており、これら外部専門家から業務の執行状況等について適宜助言を受け、適正な運営に努めています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●前年度の「事業計画」において、「地域社会との連携」の項目を設け、取り組み計画内容を記載し、年度末に作成する「事業報告書」に実際に実施した活動を記しています。但し、2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響により、ほとんどの活動が主催者側の方針で中止になっています。2021年度も先行きは不透明ですが、小学校や他保育園との交流、二ヶ領用水での灯籠流しや餅つき大会への参加、子育てサロンの開催等を企画し、取り組む所存です。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

●保育ボランティアについては積極的に受け入れる方針を持ち、「保育体験・実習・ボランティアの受け入れについて」と題するマニュアルを策定し、事務手続き指導の仕方等について規定しています。今後は、指導担当予定者に対する研修を充実すると共に、感染症、コロナ禍の下において、保護者、子どもたち、職員、実習者の全員が安心できる実習体制のあり方を探っていく予定にしています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

●園では、警察署や消防署を始め、川崎市子ども家庭センター(中央児童相談所)、川崎市児童虐待防止センター、川崎市中央療育センター、川崎市社会福祉協議会など関係諸機関の連絡リストを作成し、事務室内に掲示して緊急時等には迅速に連絡が取れるようにしています。また、中原区が主催する園長会、幼保小連絡会議、各種担当者会議には、ほぼ毎回出席して新しい情報を入手すると共に、担当者との連携を深めています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●毎年度の「事業計画」に「地域社会との連携」の項目を設け、年度末の「事業報告書」に実施した活動を記しており、具体的には、地元の市ノ坪仲町会に加盟し、総会等に参加している他、北隣のマンションの理事会にもオブザーバー参加する等、地域の福祉ニーズや園に対する要望、地域の治安状況等の把握に努めています。把握したニーズから園として離乳食相談、育児相談を地域の子育て親子に向けて開催しています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

●地域の活動である市ノ坪仲町会が開催する灯篭流し(7月)や、餅つき大会(12月)に毎年参加しています(2020年度は中止)。また、中原区が毎月開催している子育てサロンにも参加しています。さらに、中原区が作成している「なかはら子ネット通信」(地域子育て情報カレンダー)には、園で実施している近隣の子育て親子にも参加できるイベントを掲載しています。防災については、中原区が主催する総合防災訓練(例年は9月)に参加し、非常時には近隣と協力し合える関係の構築に努めています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育方針の1つに、「一人ひとりの人格を尊び守り育てる」と定め、子どもの人権を第一に考えること、子どもたち一人ひとりに寄り添う保育を行うことを表明しています。職員が実践できるよう、「保育業務マニュアル」では、例えば、(1)人権を配慮した保育、(2)子どもの人権を守るために、(3)プライバシーの尊重と保護、(4)差別用語は使ってはいけない等の見出しの下、すべきこと、してはならないこと等を具体的かつ詳細に記しています。職員会議や研修でも随時取り上げ、徹底を図っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

●「保育業務マニュアル」の中に、「プライバシーの尊重と保護」の見出しの下、個人情報の保護や守秘義務について職員が守るべきことを列挙しています。毎日の排泄(おむつ交換)、着替え等においては、子どもの羞恥心を大切にすることを前提に、他の子どもから見えないところで行う等、配慮しています。保護者に対しても、行事参加の際の撮影した写真・動画で、他の子どもが写り込んでいるものをSNS等にアップロードしないよう伝え、プライバシー尊重を呼びかけています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

●入園希望者向けのパンフレットを作成し、園見学を実施しています。感染症対策として、1日に2組、1回につき15分等の限定を設けていますが、入園希望者に実際の保育の様子を見てもらえるよう工夫に努めています。園見学の案内は、園の正門の壁面にも掲示し、通行者にも周知しています。園見学とは別に、保育体験を実施し、入園希望者が保育活動の一部を実際に体験できる機会も設けました。今後は、園のホームページにも園見学案内等の情報を掲載すると尚良いと思われます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

●入園が決まった保護者には、1月~2月に入園説明を行い、合わせて入園前健診を実施しています。その際に保護者からの意向・要望等を聞くと共に、園としても、子ども・保護者・家庭の状況を大まかに把握し、個別面談日時を設定し、子どもの状況等を詳しく聞き取り、保育内容、給食、行事等について詳しく説明しています。説明は「重要事項説明書」を基に行い、説明後には同意書への署名押印をもらっています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●中原区が開催する幼保小連絡会議には必ず出席し、小学校教諭との意見交換を行い、園児が卒園後、小学校への進学をスムーズに行えるために連携を図っています。得た情報は保護者にも伝えています。卒園時には、卒園後も園と関わりを持ち続けてほしいことを伝えていますが、それらの旨を文書化することが望まれます。夕涼み会(7月)や運動会(10月)の際には、参加を呼びかけています。また、小学校の行事には保育士が出向き、卒園児の様子を尋ねる等、継続性に配慮しています。園児が転園する場合については、転園先の保育園から問い合わせがあった場合は中原区役所と協議した上で情報提供を行うこともあります。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●保育参観、個別面談、懇談会、主要行事の際には保護者へアンケートを実施し、保護者の感想、意見、要望等を把握しています。アンケート結果は、集約して文書にまとめ、主任リーダー会議等の場で分析し、改善できるものは直ぐに実行するようにしています。今回の第三者評価で「利用者家族アンケート」を実施しましたが、来年度からは、法人全体で利用者満足度調査を実施する計画を立てています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

●「管理規程」の中に、「苦情解決組織の設置」と題する一条を設け、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を置くことを定めています。また、「苦情対応マニュアル」を策定し、それに沿って対応に当たっています。「園のしおり」には、苦情の申し出先として、園長、法人理事長、川崎市、川崎市保育会の電話番号を掲載し、電話以外にも直接の声かけ、手紙、意見箱等、方法を問わないことを説明しています。意見箱に入った苦情等については、先ずは保護者会が確認し、保護者会と園とで協同して解決を図っていくという仕組みを取り入れています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

●園では、苦情に限らず、相談・要望等について、直接の申し出、電話で受け付けることを「園のしおり」及び「重要事項説明書」に明記しています。申し出先についても、園長、主任、担任、看護師、栄養士と誰に対してでも良いことを伝えています。園内で相談を受ける際には、多目的室やフリースペース等、他の保護者から見られない場所で話を聞き、プライバシーの確保にも配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

●「苦情対応マニュアル」を策定し、マニュアルに沿って対応することにより、職員の応対に差異がないようにしています。苦情を受けた際は、「苦情受付書」に内容と経過、申出者の希望、想定原因等を記入し、その上で、主任リーダー会議等で原因分析や対応方法の検討を行い、最終的に園長が決定し、速やかに申出者に回答しています。また、意見箱に入った苦情については、保護者会の確認の上、園側に伝えられ、園の対応策は後日、保護者会役員会で報告し、役員会から保護者にも報告を伝えています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

●保育活動中に起こりうるケガ・事故等については、「ヒヤリハット記録」と「予防できたね表」の2種類の様式を用意し、発生したことだけでなく、発生したかもしれないことについても記録しています。また、事故等を想定した「シミュレーション学習会」も適宜開催し、様々なケース発生時に職員が適切な対応を取れるよう準備しています。「保育業務マニュアル」には、事故につながりやすいもの、行動、状況などについて、その具体例、未然に防ぐための措置、子どもへの注意の仕方等について詳しく記しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、従前から「保健マニュアル」、「健康管理マニュアル」を策定し、感染症予防及び発生時対応について定めていますが、さらに、新型コロナウイルス感染症への対策として、次亜鉛塩素酸水を用いた園内の物品・設備等の消毒、職員の健康管理の強化、保護者に対する予防対策の情報提供を行っています。情報提供は、園内ロビー下での掲示に加え、電子メール形式での一斉配信でも行い、注意喚起への体制を整備しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「災害対応マニュアル」、「非常災害対策マニュアル」を策定し、マニュアルに沿って、防災計画策定、訓練、災害発生時の連絡体制確認を行っています。避難訓練は毎月実施し、総合避難訓練は年2回予定しています。その内、消防署員立ち合いは9月に1回実施しています。備蓄品は、建物1回、建物2回、外倉庫の3か所に分けて保管しています。水・食料以外にも、簡易トイレ、固形燃料、哺乳瓶等を備蓄しています。災害時の保護者への連絡体制については、電子メール一斉配信を基本に、携帯電話や固定電話への個別連絡も行う想定にしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

●「保育業務マニュアル」を策定し、冒頭で基本理念、保育方針、保育目標を記載しています。その上で、職員が理念・方針・目標に沿った保育活動を行えるよう、①身だしなみなど社会人として当然守るべき基本的な心構え、②早番、遅番、土曜日保育、引き継ぎなど時間帯ごとの必要業務、③子どもへの接し方、④授乳、オムツ交換等々の際の注意点、⑤保護者との接し方、等々について、箇条書きで具体的に記しています。さらに、職員がマニュアルに沿った行動が行えているかについて、園長や主任保育士は日々、気づいた都度職員に伝え、さらに園内研修でも繰り返し周知し、確実に実践できるよう取り組み、標準化を図っています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

●標準的な実施方法は法人が策定し、法人系列9園で共通して適用するマニュアルを備え、園ごとに異なる状況(人数、地域性、施設・設備の違い等)を踏まえて一部追加、修正が施された園のマニュアルと、2種類のマニュアルを策定しています。園のマニュアルについては、マニュアルごとに担当者チーム割り当て、職員の振り返りや提言、提案、保護者からのアンケート結果、意見、要望、苦情等を基に、毎年3月に見直しを行い、追加、修正案を提出し、それを主任リーダー会議で検討した上で、最終的に園長が決済して、決定する等、仕組みを確立しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:a】

●入園前に、「児童票」(4枚)、「健康診断記録表」、「食材確認表」等の書類を保護者へ配付し、記入してもらっています。各書類を基に面談を行い、保護者から状況の説明や要望等を伺い、アレルギーや障害等の実状を把握しています。その後、園長以下、保育士、看護師、栄養士も加わり、園として配慮すべき事項を盛り込んだ個別指導計画を策定し、子どもにとって最善の保育を行えるよう努めています。個別指導計画は全職員に周知し、全職員が情報共有できるよう整えています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

●「全体的な計画」は、毎年2月頃から、(1)「保育所保育指針」(改定があった場合)、(2)1年間に出された保護者からの意見、要望、苦情等、(3)職員の振り返り、(4)職員研修の成果、等を踏まえ、主任リーダー会議を中心に追加、削除、修正すべき点をまとめています。これと並行して、クラスごとの「年間指導計画」についても、クラス担当保育士が、(a)四半期ごとの振り返り、見直し、(b)「全体的な計画」の変更予定部分、等を踏まえて追加、削除、修正すべき点をまとめ、乳児会議、幼児会議に提出して検討しています。これらのプロセスを経て、年度末に最終的に園長が決定し、決定後は職員会議で説明して、職員への周知を図っています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「計画策定マニュアル」を策定しており、園で作成している様々な記録、書式について、記入内容や記入の仕方について定めています。実際に職員が記録した文書について、(1)統一された記入方法で記されているか、(2)ふさわしい記入内容になっているか、を園長、主任がチェックし、至らない部分があれば、直ぐに個別指導を行っています。他、市販のガイドブック等も揃え、職員が自ら学べるよう推奨しています。また、法人全体として、記録の電子化やITを活用した記録方法の導入について検討を進めています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

●「運営規程」の中に、「記録の整備」と題する一条を設け、園で作成した記録、文書の保存、保管について定めています。各種記録については、種類別、保管期間別に一覧表を作成し、主任保育士が管理を担当しています(責任者は園長)。文書は、事務室内の鍵付き書庫に格納しています。また、「就業規則」、「管理規程」、「保育業務マニュアル」の中で、秘密保持、個人情報保護等について定め、職員に厳守するよう命じています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

●「全体的な計画」には冒頭部分で保育理念、保育方針、保育目標を掲載し、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」についても記載して計画の目指すところが掴みやすい構成になっています。「全体的な計画」は、前年度3月頃から、クラスごと、乳・幼児会議、そして主任リーダー会議で子どもの状況や保育者のニーズを第一に踏まえて検討しています。最終的に園長が決裁して決定しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

●保育室は、全室南側に配置されており、陽光が十分に入ります。その為、午睡中は眠りやすい暗さ・温度となるように調節しています。各保育室には、従前からエアコン、24時間換気装置、空気清浄機、加湿器を設置していましたが、昨年以来、コロナ禍の予防に備え次亜塩素酸水の噴霧器を新たに設置し、窓も常時開放して自然換気を実施する等、一層心がけています。また、玩具や家具の消毒もクローラ水を用いて行っています。乳児室については抗菌のジョイントマットを敷き、裸足でも寛げるようにしています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●「保育業務マニュアル」において、「人権に配慮した保育」という見出しの下、「子どもと共感し、同じ思いを持つこと」等、子どもと接する際の基本姿勢を14項目に亘って示しています。また、「子どもの人権を守るために」の見出しでは、保育中、給食時、午睡中等々の場面ごとに、職員の望ましい声かけ、相応しくない声かけの具体例を記し、一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行うよう促しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

●基本的生活習慣を子どもそれぞれの発達に合わせて身につけていけるよう、先ずは「眠る」ことを大事にしています。静けさ、暗さに配慮した午睡環境以前に、子どもたちが安定し、安心した気持ちになれるよう、先ずは保育士がリラックスすることを重視しています。子どもがしっかりと眠ることでリズムを掴んでもらい、次なる生活習慣の獲得につなげています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

●保育士は、子どもたちが、自主的・自発的に遊び、活動するように、小さなことでも「すご~い!」、「できたね!」等と褒め、共感するよう心がけています。自信がついたことや、やりたいことを思う存分やってもらうことで、子どもたちの自主性を伸ばしています。乳児は、最初は一人遊びですが、やがて同じ玩具で友だちと遊ぶようになる機会に、友だちと一緒に遊ぶ楽しさを知るよう、また、玩具を貸したり、借りたりやり取りができるように、保育士は仲立ちとなって援助しています。保育士の援助により、子どもが友だちと協同することや社会的ルールを学ぶことを促しています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●0歳児については、完全担当者制にはしていませんが、慣らし保育中に、一応の担当保育士を決めています。どの保育士も愛着関係を築けるよう、子どもの表情や態度から、「今、何を求めているか」を感じ取れるように努めています。保育室は、クッションマットを敷いています。室内を動き回っても安全であるように、家具や棚にはコーナークッションを取り付けています。また、玩具、マルチパーツ(可動遊具)、保育士の手作りおもちゃ等、様々な遊具を用意して子どもが興味・関心を持ち、遊びを広げていけるよう配慮しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●1~2歳児は、何でも自分でやりたがる年頃ですが、保育士は、子どもの欲求や要求を先ずは受け止めて見守り、出来たことは、褒め、共感しながら子どもの成長を一緒に喜ぶようにしています。また、友だちとの関わりが増える中、玩具の取り合いなどで自我が強く出た場合等は保育士が仲立ちとなり、双方から思いを聞き、それを相手に伝えることで、友だちの気持ちに気づけるように促しています。その上で、ルールのある遊び、ごっこ遊び等を増やしていきます。また、お散歩では、虫や植物、自然に興味・関心を持ってもらい、園で飼育したりすることで、動物や植物にも興味が広がるよう促しています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳以上児については、友だちと協同する、友だちと一緒に何かを作り上げる、という活動を通して、自分の役割の理解、他者との協同・協調を学べるよう、共同制作活動等を多く取り入れています。5歳児での、運動会の鼓笛、創作劇、サッカー交流会等はそうした活動の成果発表の場にもなっています。また、園では、体育、造形、歌とリズムについては、外部の専門講師から指導を受け、リズム感、音感、創作意欲等が伸びるよう支援しています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●環境整備については、園内にエレベーターの設置はされていませんが、フロアは段差のない構造になっています。園では、障害のある子どもの保育に関する外部研修を受講し、いつでも受け入れられる体制を整えています。障害のある子どもの入園時には、中原区役所、川崎市中央療育センター、嘱託医等に相談し、助言を受け、保護者と個別面談を行って状況・要望等を聞き取り、適切な保育のあり方を策定しています。そして、職員会議等を通して、全職員が情報を共有できるようにし、体制を整えています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●在園時間が11時間もしくはそれ以上の時間を園内で過ごす子どももいる中、子どもたちが心身の健康を保てるよう、様々に配慮しています。具体的には、早朝や延長保育中には、それぞれの子どもが好きな遊具で遊べるよう、年齢に合わせて複数の遊具を揃え、コーナーを用意して気分転換や休息が図れるよう配慮しています。延長保育中には手作りの補食の提供もしています。保育士の引き継ぎについては、「朝会議ファイル」、「保健日誌」、「引継ぎファイル」を基に、遅番保育士に確実に情報が伝わるようにし、お迎えの保護者に対して、伝え漏れのないよう、子どもの1日の様子を丁寧に伝えられるよう努めています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

●年長児が、小学校入学後の姿について見通しを持てるように、(1)遊びの中に雑巾絞りや床拭きを取り入れる、(2)給食時間を、小学校での給食時間である25分にする、(3)サッカー交流会(2月頃)で他園年長児と交流する場を設ける、等の取り組みを行っています。また、今年度は感染症対策により控えましたが、例年は小学校訪問も行っています。他方、保育士は、中原区主催の幼保小連絡会議に出席して、小学校からの情報を入手すると共に、その情報は園だより等を通して保護者にも伝えています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「健康管理マニュアルを」、「保健マニュアル」を策定し、子どもの健康・体調の管理を適切に行っています。登園時には、保護者から伝えられた情報や保育士の視診を基に、いつもと違う様子がないか確認しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)防止については、0歳児は5分に1回、1歳児は10分に1回、2歳児は15分に1回、3歳~5歳児は30分に1回、と細かくブレスチェックを行い、万全を期しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

●園では、内科健診(0歳児、1歳児は2ヶ月に1回、2歳児~5歳児は4ヶ月に1回)、歯科健診(年1回)、爪・頭髪検査(毎月1回)を実施しています。また、身体測定は毎月行っています。健診、身体測定の結果は、川崎市が定めている様式の記録用紙に記入しています。保護者に対しては、スマホでも見られるように電子連絡帳形式で伝えています。これに加えて、予防接種記録、既往症等を保護者に記入してもらい、保護者と園と双方で子どもの健康管理が図れるようにしています。また、健診結果の全体的な傾向等については、保健だよりで保護者に伝えています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●アレルギー疾患のある子どもについては、個別指導計画を策定し、アレルギーの状況について全職員で情報共有をしています。給食については、「食物アレルギー個別対応プラン」を作成し、除去食を用意しています。提供に際しては、(1)栄養士、保育室によるダブルチェック、(2)専用トレー、専用食器の使用、(3)別テーブルの使用、(4)名札の使用、(5)食事中の職員付き添い、等々の対応をとることで安全に留意しています。アレルギーに関する知識については、内部研修、外部研修を併せて、職員が繰り返し学ぶ機会を設け、研鑽を図っています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●おいしい給食を提供できるように、先ず、調理室において、調理設備を充実させ、広い調理台を設置することで、調理作業がしやすい環境を整え、安全・清潔にしています。食器は陶器製とし、サイズも複数用意して、子どもに応じて使いやすいものにしています。食育計画では、(1)野菜作りについては、土作りから始める、(2)味噌作り、ポップコーン作り等も行う、(3)スイカの解体ショー、さんまの骨取り等、素材の中も見てもらう、(4)災害避難時の食事を試食する、等の取り組みを行い、食についての興味・関心が深まるようにしています。また、給食人気メニューのレシピを小さな用紙に印刷し、メニュー紹介ボードに設置して保護者が持ち帰れるよう取り組みを行い、家庭での食育にもつなげています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●給食メニューは、川崎市統一献立を使用しています。その献立に、「わくわくコーナー(誕生日メニュー)」、行事食、地域食等を加えています。地域食では、地元川崎の奈良茶飯や、東北の料理、世界の料理等も提供しています。食材は、地元の米穀店、八百屋、肉屋、魚屋から新鮮で安心なものを購入しています。幼児クラスでは、食事場所で盛り付けることで、自分の食べたい量を盛り付けることにより、喫食状況は良好であり、残食は少ない状態です。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園玄関ロビーに、(1)職員の顔写真、(2)本日の子どもたちの出かけ先、(3)行事写真、(4)公園マップ、(5)子どもの季節の作品、(6)本日の給食見本、(7)給食人気メニューのレシピ、(8)保護者会掲示板等、様々な保育に関する内容を掲示・展示しており、保護者が、登園時やお迎え時に、今日の活動内容などが一目瞭然で直ぐわかるようにしています。これに加え、スマホでも見られる電子形式の連絡帳を導入し、子どもの様子、連絡等は個別に保護者に送信しています。また、お迎え時には、口頭でも1日の様子を伝えています。他、懇談会(年2回)を開催し、全体として保護者と情報交換できる場も設けています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、保護者との予め設定された面談はもとより、毎日の登園時やお迎え時、行事の際に、その場で話された要望、意見、苦情等もなるべく記録し、集計、分析して、後に全職員が共有できるようにしています。また、相談しやすい雰囲気、話しかけやすい雰囲気を作るために、職員から積極的に保護者に声をかけるよう指導を行い、話しかけられた時の傾聴の仕方、応答の仕方、接する態度等についても、園長はその都度助言しています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

●園では、「虐待防止及び早期発見マニュアル」、「子ども虐待防止対応マニュアル」を策定しています。そして、虐待の防止また早期発見について、全職員がその方策や発見ポイントを熟知できているよう、内部研修、外部研修で繰り返し学んでいます。実際に兆候が見られた際は、緊急に会議を開いて職員間で共有すると共に、必要であると判断した場合は、直ちに関係機関に報告することとしています。このため、川崎市子ども家庭センター(中央児童相談所)、川崎市児童虐待防止センターとは、常に連携できるよう、日頃から連絡を取り合っています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:a】

●各クラス担当者は、週ごと、月ごとにクラスごとの振り返り、反省の場を持ち、そこで話し合われたことを、乳児会議、幼児会議で報告し、さらに議論を深めています。こうした議論の結果は、クラスの「年間指導計画」、「全体的な計画」にも反映させています。また、職員には、「人事考課表[自己評価・面談用]」において、7項目で、3段階評価での自己評価を実施し、資質向上に努めています。職員は、これを基に園長と面談を行い、保育の改善や専門性の向上に向けた具体的方策を定め、保育の質の向上に努めています。