社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ふきのとう舎

2021年04月30日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 ふきのとう舎 評価対象サービス 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護, 就労移行支援, 就労継続支援(B型) 定員 40名(利用者50名) 名
所在地 242-0024
大和市柳橋5-3-1
TEL 046-269-8880 ホームページ http//www.tomoni.or.jp/fukinotousya/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1983年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:10 名
非常勤職員:15 名
専門職員
社会福祉士: 名
看護師: 名
施設・設備の概要
作業室6、個別作業室2、食堂1、会議室1、相談室1、事務室1、静養室1、更衣室3:
厨房1、男性トイレ4、女性トイレ3、身障対応トイレ1、洗濯乾燥室兼シャワー室1:

③ 理念・基本方針
〇 理念
 1 ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
 2 先駆的で開拓的な事業を展開します。

〇 基本方針
 1 人権の尊重とサービスの向上を図ります
 2 インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援
を推進します
 3 地域との共生をめざします
 4 ニーズの多様化と複雑化に対応します
 5 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します
 6 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します
 7 人材の確保・育成のための研修体制を充実します
 8 柔軟で行動力のある組織統合(ガバナンス)を徹底します
 9 財政基礎の安定化に努めます
10 国際化への対応に取り組みます
11 社会貢献活動に積極的に取り組みます

④ 施設・事業所の特徴的な取組
1 生活介護   
  軽作業や簡易な作業を通じて工賃を支給する「働く生活介護」として、平均4,655円
 を支給しました。

2 就労継続支援B型 
  自家焙煎珈琲の製造販売を通じて就労支援事業を実施し、市場流通を目指しています。

3 就労移行支援
  ビル清掃を受託し、清掃を通じた就労支援を実施しています。すぐに就労が難しい方を積極的に受け入れ、就労につなげています。

4 就労定着支援
  就労移行支援を巣立った方で、就労6か月を経過した方を中心に、定着支援として月1回以上の職場訪問と面接を実施しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/05/29(契約日) ~2021/04/24(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 4 回(平成29年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)作業工程の細分化と標準的な実施方法の可視化を行っています
作業工程の細分化により多様な作業を用意し、個々に応じた分担を工夫しています。珈琲焙煎では、不良豆を取り除く作業、焙煎前後の異物の除去作業、袋詰めなどの作業工程を提供しています。配食サービスではグラム数を計量する、タッパーに詰める、食洗器で洗う、配達に同行する、などの工程を用意し、利用者の力や可能性を引き出す環境を提供しています。
各作業の実施方法を可視化した手順書が利用者向けに策定されています。作業工程について、手順及び注意点が写真やイラストを用いて分かりやすく記載したマニュアルを作成し、利用者が作業工程について理解を深めるとともに、担当職員が変更になった場合も業務が円滑に継続できる仕組みが作られています。

2)各種のプログラムを創り就労移行を行っています
ビルメンテナンス作業のチームにおいては、担当職員が利用者のニーズに応じた独自のトレーニングプログラムを創出し、就労に向け作業能力や就労意識の向上を図っています。「ジョブステップトレーニング(JST)」と名付けた清掃業務のトレーニングプログラムでは、挨拶、身支度、体調のチェック、清掃用具の準備、清掃手順などを手順書に従い学んでいます。「生活向上講座(QOL)」と名付けた仕事上のソーシャルスキルを学ぶプログラムでは、ロールプレイにより様々な場面の挨拶や「報告・連絡・相談」の注意点等を理解したり、清掃作業中に出会った外来者の接遇マナー、想定外の出来事への対応方法についての設問を解くなどのトレーニングを行っています。
これらのプログラムを通じて、利用者が見通しを持ち自立・自律的に仕事を進められるようになるなど、効果的な支援を展開しています。  

3)チームワークの醸成による働きやすい職場環境を整備しています
チームワークの醸成等により楽しく、働きやすい環境整備に取り組んでいます。生活介護の2つの作業室では担当職員の相互交流や研修により、職員はいずれの作業室の支援にも対応可能なスキルを持ち、急な欠勤にも対応できる協力体制が確保できています。チームワークの醸成やシフトの協力体制の構築による安定的な運営により、働きやすい職場環境に繋げています。



改善を求められる点 1)実習生受入マニュアルの整備
社会福祉士の実習指導者養成研修に職員を派遣し、実習生の専門的な指導にあたっています。一方、作成済みの実習生の受入マニュアルは長期間改訂を行っておらず、現在は使用していません。指導者養成研修の知見も踏まえ、職員間の共通認識を築くため、実習生の受入方法の標準化を図り、実習生受入の基本姿勢のほか、事前準備からプログラムの策定、実施、終了後に至るまでの手順等を記した実習生受入マニュアルの整備が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
全体的に高い評価を頂けたと思います。
特に利用者支援(作業)の所では作業マニュアル、可視化、個々の能力に応じた 役割分担が出来ていた事に対して高評価でした。これはふきのとう舎が日中の活 動場所だけではなく昔から踏襲しています「働く」を念頭に入れた結果だと感じ
ました。しかし、B型の全国平均工賃に比べ、まだまだ届いていないのが現状課 題です。
生活介護の利用者さんも働く気持ちと持てる力のバランスを見極め、作 業に積極的に取り組んで頂いており、今後も健康に留意しながら働き続ける環境 と支援を行っていきます。

ふきのとう舎は法人の中で一番最初に出来た歴史ある事業所です。
現理事長から歴代の所長が今まで創り上げ、今にあります。
幾度の成功や失敗を繰り返しそして常に新しい事に先陣を切って挑戦し続けてい きます。 

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人は二つの理念と11の基本方針を定め、法人のホームページやパンフレットに掲載しています。法人は「県央福祉会倫理行動綱領」「県央福祉会倫理行動マニュアル」を定め、職員の行動規範としています。法人の理念、基本方針は新人研修で職員に周知を図っています。所長は理念・基本方針について職員会議等で随時、職員に確認を行い、職員室にも掲示しています。
利用者・家族に対しては、理念・基本方針を掲載している法人のパンフレットを渡し、周知しています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

所長は、法人の理事長、四役、エリアマネージャー等が出席する経営企画会議や、法人内の所長会議、大和・座間・綾瀬・海老名の法人外の施設長が集まる県央東地区施設長会議などで、社会福祉事業の動向を把握しています。地域のニーズは県央地区の法人内の全所長が集まるエリア会議でも情報を得ています。相談支援事業所とは適宜情報交換を行い、欠員のある就労移行支援についてニーズ把握を行っています。毎月、月次試算表を作成及びコスト分析をすると共に、必要に応じて担当執行役員と協議をしています。今年度は市の障がい福祉課の課内会議に出席し、ニーズ把握等を行いました。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

所長は月次試算表を作成し、毎月の分析結果や経営課題を明らかにしています。経営課題は法人の就労継続支援担当執行役員を通じて、経営企画会議で法人幹部と共有しています。職員に対しては、月次試算表に基づき支援員、事務員が出席する職員会議で、収支などの課題を周知しています。経営課題の解決・改善に向けては、作業種の見直しや職員体制の見直し等により収支バランスの課題に取り組んでいます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

法人の5ヶ年中長期計画であるマスタープランの先期分はで平成31(2019)年度で終了し、今期分の中長期計画は策定中です。事業所独自の中長期計画は策定していません。事業所としては利用者の親の高齢化に伴い、ニーズが高まるグループホームの利用に向けた取組や、親の疾病や入院に備えたショートステイの利用推進などを中長期的な課題と考えています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

今期の中長期計画は策定中です。事業所の単年度の事業計画書には、法人の理念及び方針を遵守する旨明記し、理念、方針に基づく計画としています。
事業所の単年度計画には事業所の重点目標のほか、事業所としてユニークで独創的な取り組み、支援や作業活動計画、施設管理給食、会議、保健衛生、研修、行事など実行可能で具体的な計画を立案しています。数値目標としては、法人の重点課題である人件費率68%以下を目標として掲げています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は法人で定められた様式に基づき、事業計画の策定、実施状況の把握、評価・見直しを行っています。事業計画案の策定にあたっては所長が案を作成し、主任、副主任と話し合いの上、職員会議に諮っています。計画の進捗確認については、重点目標は所長、研修・行事は主任、数字は事務員など役割分担をして行っています。10月には、中間報告として上半期報告書を作成しています。今年度、事業計画の利用実績や収支について中間評価し、家族アンケートの結果も踏まえ、年末年始の開所日数を増やしました。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

家族の高齢化に伴い家族会は廃止となったため、事業計画書について一堂に会しての説明は行いませんが、家族には毎年4月に連絡帳にはさんだり、郵送により配布しています。利用者に対しては、事業計画書の記載内容に関連することは日々の支援の中で説明しています。工賃についての不満などが出された場合は、工賃の算定のしくみを説明するなど、その都度個別に分かりやすい説明に努めています。事業計画の主な内容を分かりやすく説明するための資料は作成していません。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

サービスの質は経営面と利用者満足の視点があり、職員の定着率や通所(利用)率に影響を与えるものと考え、サービスの質の向上に努めています。第三者評価を重視し、平成28年、29年、30年と継続的に受審し、自己評価や利用者アンケートを組織的に取り組んできました。年度の事業計画については、評価結果を上半期の事業報告書及び、年度の事業報告書にまとめています。事業計画書及び事業報告書の作成は所長、主任、副主任を中心に行い、職員会議に諮っています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

前回の第三者評価の結果、支援業務マニュアルの整備についての指摘があり、各作業室の手順書の作成に取り組みました。就労移行支援のビルメンテナンスの作業については、清掃技術を学ぶ「ジョブステップトレーニング(JST)」を創出し仕事の手順を可視化しました。ソーシャルスキル等を学ぶプログラムでは、「挨拶」や「報告・連絡・相談」などについて、ロールプレイの設定の仕方なども定めるなど、チーム内の研修に役立て、仕事のスキルアップにつなげました。今回の第三者評価結果が公表された後には、話し合いや改善策の立案等を行うこととしています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

所長は事業所の経営・管理に関する方針と取組を、年度毎の事業計画書において明確にし、年度初めには職員会議にて読み合わせを行っています。所長は事業所の広報誌「ふきのとうだより」を活用し、年度初めや年度末などに経営方針や取組内容について職員や家族に表明しています。所長は自らの役割と責任について「職務分掌表」に明記し、職員全員に配布し周知を図っています。有事の際の管理者の役割と責任の権限移譲については、事業所内での明文化が望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

所長は遵守すべき法令等について、法人の所長会議や所長研修の機会に理解を深めています。医療関係、就労支援関係、食品製造関係など、各種取引事業者との適正な関係の保持に努めています。法人においては安全運転管理者委員会を設置し、運転を行う職員の免許証の有効期間のチェックや年1回の安全運転チェック、危険予測トレーニングなどを実施しています。その他、職員会議や朝夕の打ち合わせの際に遵守すべき関係法令の周知を図っています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は第三者評価を毎年受審する方針とし、サービスの質についての定期的・継続的な評価や課題改善に取り組んでいます。サービスの質の向上に向けては、所長は作業室の巡回により支援現場の実態や職員の声など積極的に把握し、必要に応じて職員会議や支援会議で議題としています。
所長は職員の教育・研修の充実に努め、職員を外部研修に派遣をしたり、新人職員の育成にも取り組んでいます。所長は入職1年目の職員を対象にした新人研修を設け、入職後1週間は毎日、その後週1回、月1回と頻度を下げつつ振り返りの所長面接を行い、職員の育成に努め定着を図りました。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は月次試算表の分析により経営課題を明らかにし、年末年始の開所方針について家族アンケートで問うなど経営改善に努めています。所長はチームワークの醸成等により楽しく、働きやすい環境整備を目指しています。生活介護の2つの作業室の担当職員の相互交流によりいずれの作業室も担当可能とし、チームワークの醸成やシフトの協力体制の構築により業務の安定的な運営につなげています。残業を減らす取組としては、水曜日をノー残業デイとする、残業は事前申請にて1時間迄とする、記録を簡素化するなどに取り組み成果を上げています。職員との合意形成に向けては、主任、副主任による調整や所長自ら個別に話す機会も大切にしています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人の人事部が職員採用の方針を立案の上、常勤・非常勤の募集・採用を行っています。事業所としては、財務状況や最低基準を踏まえた人員体制の確保に留意し、人事部との調整を図っています。職員に対して、国家資格等の取得に関する情報提供を行っています。
職員の育成に向けては、法人で年間研修開催計画を立案し、四半期毎にシラバスを作成・周知しています。階層別研修では、入職1年目、2年目、3~4年目、5~7年目、と対象者を分けて研修を実施しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像について、法人は理念・基本方針や事業計画等により明確にしています。人事管理は法人が一括して行っています。人事基準は就業規則に定められ職員はいつでも確認が可能です。法人は新たにクラウド型人事評価システムを導入し、今年度は試行的な実施段階で、給与には反映していません。四半期毎に予定している所長面接は、職員との日程調整が困難であり、実施しきれていません。職員の意向調査や法人の満足度調査により把握した意向・意見については法人の四役、執行役員、エリアマネージャーで共有し、改善策等を検討・実施しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員が休暇を取りやすい環境に配慮し、勤務シフトの作成時には有給休暇の希望を取るほか、所長自らも積極的に有給休暇を消化しています。生活介護の2つの作業室間での交流研修等により、職員は自らの担当以外の作業室へも対応可能なスキルを持ち、急な欠勤にも対応できる協力体制が確保できています。
職員の健康維持に向けては、法人の実施するメンタルヘルス診断のほか、法人内に職員の悩み相談窓口を設けています。所長は各職員の意向把握に努め、特に入職後1年目の職員については高頻度で振り返りの所長面接を導入したり、休職者のリワークにも力を入れ、職員の定着に努めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像について、法人は理念・基本方針、事業計画により明確にしています。新たなクラウド型人事評価システムにより、職員一人ひとりの目標管理のための仕組みを構築しており、職員の目標項目、目標水準、目標期限は明確です。今年度は試行的導入の段階で、各職員への個別面接を四半期毎に行い、目標の設定や進捗確認等を行うこととしていますが、職員との日程調整が困難であったため、実施しきれていません。職員の個別面談については、試行的段階において現実的な実施方法の検討が望まれます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像については、法人は理念・基本方針、事業計画により明確にしています。法人の研修委員会で年間研修開催計画を作成し、四半期毎に各研修のシラバスも明らかにしています。研修後にはアンケートを実施しています。研修の種類は、全体研修、入職後の年数・役職毎に実施する階層別研修、各エリア主催、部会主催、委員会主催などの専門分野別研修など体系化されています。
一方、研修計画や研修内容についての評価・見直しなどが機能的に行われているか、事業所からは見えづらいと感じています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

法人の階層別研修では入職1~7年目まで経験年数別や、所長、部長、課長、主任、副主任など役職者別の研修を実施しています。専門分野別研修では、生活支援、就労支援、生産活動部会など各部会の主催研修や、人権、リスクマネジメントなど各委員会主催の研修等があります。事業所の新任職員研修では作業室において常勤職員によるOJTを行うほか、高頻度で所長面接も行っています。外部研修は県内の中核的な生活介護の実施施設の研修や、てんかん協会主催の専門研修などへの受講を勧奨しています。受講は勤務扱いで、交通費負担などの配慮もしています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉士や保育士等の実習を受け入れています。社会福祉士の実習指導者養成研修に職員を派遣し、実習生の専門的な指導にあたっています。
実習生の受入マニュアルは改訂を行っておらず、現在は使用していません。実習生の受入方法の標準化を図り職員間の共有化を図るため、受入窓口、利用者・職員等への事前説明、実習オリエンテーションの実施方法、学校との連携などを記載した実習マニュアルの整備が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人はホームページにおいて理念、基本方針、事業計画、報告、予算、決算等の情報を公開しています。事業所のホームページではパンフレットの掲載し、各作業室の活動を紹介したり、ふきのとうだよりweb版として不定期に行事などを紹介しています。SNSでも写真や動画にて活動を紹介するなど最新の情報発信に努めています。地域に向けて活動等を紹介した印刷物の配布は行っていません。第三者評価の受審結果については、ホームページから神奈川県社会福祉協議会にリンクを貼っています。今後、利用者・家族への配慮と記載内容の工夫により、苦情・相談への改善結果など可能な公表内容・方法の検討が望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

法人内の事務・経理・取引等に関するルールは規程等により細かく定め、事務員会議等で周知され、クラウド上でも関係資料をいつでも確認できます。事業所では職務分掌表により、管理職の職務、施設事務(労務管理、経理、庶務)など各職員の職務分掌と権限・責任を明確にしています。職務分掌表は職員全員に配布し、周知しています。
事業所の財務等については監査法人による経理監査を実施しています。法人本部職員による事務、経理等の内部監査を行う仕組みもあり、結果に応じて必要な改善を図っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本方針には「地域との共生」をめざす、との方針を明示しています。例年は法人の市内4施設の共催で地域住民に感謝を意を表す「感謝祭」を行っています。近隣中学校吹奏楽部などのステージイベント、自主製品の販売、バザー、ゲーム、豚汁の無償提供などを行い、地域住民との交流の機会としています。利用者が活用できる地域の社会資源については、必要に応じてインターネットで検索し、利用者に情報提供をしています。現在、積極的に地域の行事や活動に参加する体制は整えていませんが、日常的には、地域住民とは散歩時に挨拶を交わし、つかず離れずの好ましい距離感で見守られていると感じています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:a】

事業所は「ボランティア受入要領」を整備し、ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明文化すると共に、受入方法、受入担当者、活動の注意事項、活動内容、個人情報の取扱い、確認書、誓約書等、必要な事項を定めています。ボランティアの希望者にはオリエンテーションを実施し、事前に必要な知識等を伝えています。
学校教育への協力も行い、施設の行事への参加、利用者の作業への参加、清掃ボランティアのほか、近隣の中学校の職場体験を数名受け入れるなどの機会を提供しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者が必要とする社会資源等については、随時インターネットで最新の情報を収集し、提供しています。県知的障害者福祉協会主催の県央東地区施設長会議に出席し、法人外の生活介護、就労継続支援B型、就労移行支援の実施施設とともに、新型コロナウイルスや報酬改定など共通の課題について話し合っています。大和市障がい福祉課の課内会議に出席し、就労移行支援の説明を行うなど、特別支援学校卒業後の進路について情報共有を図っています。就労支援において、大和市障害者自立支援センターや相談支援事業所等とも連携しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

県央地区にある法人事業所の所長によるエリア会議、県央東地区施設長会議や、大和市障がい福祉課、大和市障害者自立支援センター、相談支援事業所など関係機関との会議に出席し、行政や事業所との情報交換や協議を通じて、地域の福祉ニーズ等の把握に努めています。地域においては特別支援学校卒業後の進路などが課題となっています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人では社会貢献活動として、神奈川県社会福祉協議会のライフサポート事業に参加し、寿町の生活困窮者支援などを行っています。これについては、エリア内の事業所で分担して参加する方針としています。事業所としては公益的な事業・活動は未着手です。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念、基本方針及び「職員倫理行動マニュアル」「職員倫理行動綱領」などに利用者を尊重した福祉サービスの実施について明示しており、入職時の研修や職員会議のテーマとしています。事業所内では、毎年、所長が作成した「人権ツール」を用いた所内研修を行っています。これは所長が人権に関わる具体的な支援場面について 10問の問いを作り、これについて個人ワークとグループワークにより職員が話し合う設定で、利用者の尊重や人権について理解を深める機会としています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

「職員倫理行動マニュアル」には「自由とプライバシーの守られる環境の維持」等について明文化しています。「職員倫理行動綱領」には着脱衣・トイレなどの介助場面における「プライドや羞恥心への配慮」を明記しています。マニュアルや綱領は職員の入職時の研修や職員会で周知しています。プライバシー保護のため個室を必要とする場面では、会議室、指導室などを使用するなどの配慮を行い、支援にあたっています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

理念や基本方針、実施する福祉サービスは法人のホームページに掲載しています。事業所のホームページにはパンフレットを掲載し、各作業室の活動を紹介したり、ふきのとうだよりweb版として不定期に行事や見学者などを紹介しています。SNSでも写真や動画にて活動を紹介し最新の情報を分かりやすく提供しています。
空きがある就労移行事業については、見学や1~2週間の体験利用も行っています。生活介護、就労継続B型事業は空きがなく、希望に応じられない状況であるため、積極的な情報提供は行っていません。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

利用開始時には、契約書、重要事項説明書、個人情報の提供に係る同意書について説明を行い、同意のサインを書面に残しています。契約書にはルビを振っています。意思決定が困難な利用者については、必要に応じて相談支援事業所など関係機関の協力の依頼により、客観的な立場でのサポートを得られる様に配慮しています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所等の変更時には、利用者に不利益が生じない様に、関係機関と情報共有し、密な連携に努めています。必要に応じて行政やグループホーム等とカンファレンスも行っています。サービスの継続性に配慮した手順書や引き継ぎ文書についての定めはなく、退所後の相談方法等については文書での説明は行っていません。
利用者の定着率は高く、生活介護と就労継続支援B型については、ここ数年間、退所者が居ない状況が続いています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者満足の向上を目的として、個別面談の場で利用者からの希望や意見を聴取しています。また、作業室ごとに利用者自治会が組織され、月1回実施される話し合いの場で外食の行き先の希望等、利用者からの意見を把握しています。
定期的な利用者満足に関するアンケート調査や調査結果の分析・検討は実施していないので、今後検討することが望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

法人全体で苦情解決に関する規程が整備され、事務手続きマニュアルにより具体的な手順及び各種様式を明記しています。利用者へは、重要事項説明書において苦情解決について明記し説明するとともに、事業所各フロア内に顔写真入りで苦情解決の仕組みと責任者の紹介を行っています。
苦情解決の結果報告の公表は、理事会資料としては記載するものの対外的な公表は行っていません。今後、利用者・家族への配慮と記載内容を工夫しつつ対外的な公表を検討することが望まれます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

利用者から相談したり意見を述べたい時は、担当職員が随時対応して個別面談をして話を聞くようにしています。作業室ごとの利用者自治会でも意見を聞く場としています。相談や意見を聞く場合は、個別に部屋を用意して話しやすい環境作りに配慮し、常に相談を受ける体制をとっています。
職員以外に相談できる方法として、オンブズパーソンによる相談について、担当者の顔写真入り文書を各フロアに掲示し紹介しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者からの相談や意見は、日々の活動の場面及び個別支援計画作成時の面談等で積極的に聞くことにしています。家族との連絡も積極的に行っており、通院同行や関係機関との調整などにも対応しています。利用者及び保護者からの意見を把握する目的で「みんなの声ボックス」を玄関に設置していますが、近年は意見の投函はありません。
今後は、相談や意見を受け際の報告・記録・対応の流れを定めたマニュアルを整備することが望まれます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

日常活動の中での気づきから、ヒヤリハット報告が多く報告されています。施設長もヒヤリハット報告を奨励しており、利用者の安心と安全について事例の集計と分析により、改善及び再発防止の取組を行っています。施設内には、リスクマネジメントに関する責任者の選任及び委員会の設置は行われていません。重大な事故が生じた場合は関係機関への報告と共に法人内の事故検証委員会で検討しています。車両運行時の事故についても、運営委員会事業報告書の中で報告されています。
今後は、リスクマネジメント責任者の選任及び委員会を設置し、安全確保等の評価を見直す中で、継続的な安全確認や事故防止に取り組むことが望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

感染症対策は、各作業室の担当職員が担当し実施しています。感染症予防と発生時の対応について法人作成の「職員ハンドブック」の中で明記し、全ての職員に周知しています。感染症対策については利用者が不安を持っており、情報提供に工夫が期待されます。法人本部からの情報提供を受けて対応するとともに、最新の対応マニュアル等についてもネット上から必要な情報を収集して見直し、各職員に周知するなどの対応に取り組んでいます。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害時の対応体制については、法人の危機管理委員会が防災マニュアルを策定しています。平常時の訓練として、法人防災訓練を年2回、ふきのとう舎・向生舎合同防災訓練を年2回実施しています。利用者の安否情報については、法人本部が安否確認システムを用いて発信することにしています。食料・飲料水等の備蓄は、数日分を専用倉庫に保管し、保存箱に内容と期限が明示しています。
地域自治会等と共同で実施する防災訓練は行っていません。今後、被災時の対応訓練として、地元自治会や関係機関等と連携した防災訓練の実施や参加が望まれます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

提供する福祉サービスについて標準的な実施方法については、法人が作成した「倫理行動綱領」及び「倫理行動マニュアル」の中で職員の基本的支援姿勢、利用者との関係、法人・施設との関係、社会(地域)との関係、家族との関係等について、職員としてあるべき姿を具体的に規定し、標準的な実施方法として取り組んでいます。この行動マニュアルの内容については、毎年、施設内で研修を行い、職員間で確認しています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法については、利用者の個別支援計画を反映した内容の見直しを図っています。テナント清掃、コーヒー焙煎等の活動について、写真やイラストを用いて手順及び注意点を細かく記載したマニュアルの作成、作業しやすい治具の考案など必要に応じて見直しを行い、利用者が作業行程の理解を深めるとともに担当職員が交代しても業務が継続できる仕組みを作っています。
これらの標準的な実施方法について、検証・見直しを組織的かつ定期的には実施していないので、今後、検証・見直しする仕組み作りが望まれます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、毎年度初めに1年間を計画期間として、全ての利用者の個別支援計画をサービス管理責任者の責任のもと策定しています。個別支援計画の策定にあたっては、国基準及び県の定めた手順に基づき、「ふきのとう舎個別支援計画アセスメントシート」により利用者の状況・強み等の確認と課題点の検討のもとで策定しています。また、半年に一度モニタリングを実施して個別支援計画の達成状況の把握及び評価を行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画は、サービス管理者が1年間を計画期間として策定し、半期にモニタリングを行い評価及び見直しを行っています。個別支援計画の策定及び変更については、利用者本人及び家族の意向を聴取して策定し、内容について署名による同意を得ています。また、年度途中で本人及び家族等の状況に変化があった時は、緊急的に個別支援計画の変更を行っています。個別支援計画策定時に、本人または家族から将来的なグループホーム等の利用の意向について、毎回確認を行っています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの福祉サービスに関する記録は、書面として個別ファイルに集約しています。電子データ化した資料等については、全てクラウドサーバー上のファイルに保存し、パソコンを通じて職員間で共有できるシステムとなっています。利用者に関して共有が必要な情報については、職員会議の場で話し合い、共有化を図っています。記録の内容や書き方が職員間で差異が生じないよう、主任及び副主任が各職員に指導を行っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人として個人情報保護規程を策定し、個人情報の収集・管理・利用及び提供等に関して規定し、職員への教育・研修は、入職時に実施しています。個人情報の取り扱いについては、規程に基づき保護者等に対して説明を行い、署名・捺印のうえ同意書を得ています。法人が定める文書管理規程で記録の管理期限等を定め、ケースファイルは永年保存としています。また、施設長がコンピューター管理におけるデータ管理、ウィルス対策及びメンテナンスの責任者に任命されています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自己決定を尊重し、個別の配慮に関する必要事項を個別支援計画に記載しています。利用者の意向について、半年ごとの個別支援計画のモニタリングにおいて聞き取っています。さらに、日々の活動中の会話から表出される利用者の意向を把握することに留意しています。
利用者の権利については、法人が定める「倫理行動綱領」及び「倫理行動マニュアル」の中で、注意点や配慮すべき点について詳細に規定され、採用時研修で理解・共有を図っています。さらに、非常勤職員にもマニュアルの内容を説明し、確認書を得ています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利侵害の防止等に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利侵害の防止と早期発見について、「倫理行動綱領」及び「倫理行動マニュアル」の中で、「利用者さんとの関係」の項目で権利侵害に関する注意点や留意点が明記されています。例年、権利侵害に関する研修を施設内で行っています。
研修では、法人作成の人権DVDやセルフチェックシートを用いてグループワークによる研修を行い、他者の人権に関する考え方を知ることで、多様な考え方の理解及び相互牽制の必要性等について確認しています。法人内、他法人で起きた権利侵害の事案について情報を得た際は、速やかに周知しています。さらに、人権侵害に繋がりかねないヒヤリハット事例などは、打ち合わせ会などで話し合い、改善に取り組んでいます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の自律・自立に向けた取組として、自力で行う生活上の行為は極力見守ることとし、本人のペースに合わせた過ごしや活動を大切にするなど、利用者の自律・自立に配慮した個別支援となるよう職員間で共有しています。身体障害のある利用者の運動機能の維持を目的として、職員が見守る中で自力で階段昇降する取組を行っています。
利用者及び家族に対する自立生活に向けた確認や情報提供は、半期に一度の面談の中で確認されています。行政サービス利用等の支援として、利用者本人または家族による手続きが困難な場合は、施設側と行政が連携して支援を行っています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身の状況に応じた個別的な配慮として、主に自閉症スペクトラム障害の方を中心に、可視化した作業手順書やマニュアルの作成による伝達手段や端的に伝える方法などを工夫して、利用者の状況に沿った支援を行っています。視覚に障害のある利用者は、パンフレットの封入などの手指の感覚で確認できる作業に取り組み、作業内容・方法等を工夫した支援を行っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者からの相談を受ける体制として、随時、担当職員が聴けるように配慮しています。利用者の困り感やメンタル面で不調が見られる時は、担当職員が声掛けをし、必要な場合は相談室や会議室などの部屋を用意して利用者の話を聞くことに努めています。さらに、利用者からの要望があれば、施設長と個別に面談することも可能としています。
面談内容については、必要な事項については終礼時打合わせ会で報告され、全職員が共有することに努めています。利用者と定期的に面談を行う機会として、個別支援計画に係る定期面談を年2回実施し、面談は主に担当者やサービス管理責任者が行っています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

作業の内容は、作業室ごとに決めていますが、利用者の個別ニーズに合わせて柔軟に対応しています。仕事のモチベーションを高める目的として、声かけ、動機づけを意識して利用者支援を行っています。利用者自治会を毎月作業室ごとに開催し、利用者の意見を聞くように取り組んでいます。
利用者自治会では、利用者の中から司会者及び会議録作成者を選出し運営しています。自治会の会議の中では、外出活動の行き先を話し合ったり、食事メニューについて希望を募るなどの意見交換を行っています。地域の情報として、過去には大和市の市民まつり、社協ボランティア等について情報提供を行っています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の障害の状況に応じた支援として、職員は、利用者一人ひとりの障害特性を理解することに努めています。毎年、自閉症に関する研修、セルプセンターにおける研修、生活介護に関する研修等に参加しています。参加した研修内容については、随時、打ち合わせ会等で報告し、タイムリーな内容についての理解と共有を図っています。
利用者の不適応行動などの行動障害への個別的対応については、常に行動を見たまま捉えるのでなく、背景にある根本的な原因を考える、エビデンスに基づいた支援に配慮して取り組まれています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事については、委託先業者と毎月給食会議を開催し、利用者の食事の様子や意見などを伝えています。年数回、選択給食を実施し、好みの丼(牛丼・カツ丼・親子丼など)を選べたり、選べるサラダやバイキング形式の食事機会を設定し、利用者がおいしく楽しく食べられるよう工夫しています。
現在、入浴支援・清拭支援を必要とする利用者はいませんが、排泄支援などが必要な場合は同性介助により行っています。身体に障害のある利用者の移動について、職員が単純に介助するのではなく利用者の機能低下予防の観点から、職員見守りのもとずり上がりやロープ手すりを使用した階段昇降に取り組んでいます。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

ふきのとう舎の施設が建設されて38年が経過し、全体的に老朽化していますが、大規模修繕などを実施して必要な施設整備を行っています。必要な設備の修繕は、速やかに行うこととしています。階段にはテープで昇降方向を明示するなどして、利用者が安全に過ごせるよう環境整備に配慮しています。利用者の作業場や食堂などは、採光・空調共に良好です。
利用者の状況により個室を必要とする場合は、相談室や会議室を使用できるように配慮を行っています。室内及び廊下等の動線も確保され、築年数は経っていますが安全・安心に配慮された生活環境に努め、利用者からの改善要望等は特に出ていません。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

身体障害のある利用者への意図的な機能訓練・生活訓練として、階段昇降時に本人の意欲と上肢機能維持の目的から、安易にエレベーターを使用せず、機能訓練を兼ねてズリ上がりやロープ手すりによる階段昇降に取り組んでいます。この取組で、大きな機能低下は見られていないと施設は評価しています。
看護師が週1回勤務し、利用者の健康管理、健康体操の実施、身体機能の確認、健康上の悩み相談などについて専門的な見地による指導助言を受けています。アセスメントシートの中で生活面や健康等について評価し、課題点等を個別支援計画に反映しています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の健康状態の把握は、生活介護配置の看護師が週1回勤務し、利用者の健康管理を行っています。また、嘱託医が隔月に来所し、利用者の健康状態の把握や健康相談を行っています。ふきのとう舎は、生活習慣がある程度自立した利用者が多い施設であり、入浴や排泄時の健康観察は行っていません。
健康状態について変化があった時は、看護師への相談をはじめ協力医療機関への受診や電話相談を行うなど柔軟な対応に取り組んでいます。来所中の体調変化時は迅速に対応し、検温・血圧測定等を行い、家庭やグループホームへ電話連絡して通院を促すなどの手順を職員間で共有しています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

基本的に、医療的対応が必要な利用者がいないことから医療的な支援についての実施手順は定めていません。緊急的に医療対応が生じた場合は、家庭またはグループホームに連絡し通院を促す等の手順を職員間で確認しています。服薬管理は、基本的に自己管理できる利用者が多数ですが、一部の利用者は、来所したときに職員が薬を預かり、服薬時に本人に渡す形で支援しています。
医療的な研修として、てんかん発作に関する外部研修を対象となる職員が受講しています。てんかん発作時等の対応については、職務の中でOJTとして職員へ個別指導を行っています。服薬管理に関するマニュアルはありませんが、職員間で手順を共有し実施していますので、今後、マニュアル等の作成が望まれます。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が参加する旅行の計画を立てる際は、「利用者自治会」の中で、行き先について複数の選択肢を提示して、利用者の希望と意向の把握を行っています。就労継続支援B型においては、「学習会」として「社会的マナー、働くという意味、人の気持ちを考える」などについて話し合いの場を設け、利用者が社会参加について理解を深める支援に取り組んでいます。
利用者へ社会参加に関連する情報や学習・体験の機会の提供については、積極的には行っていません。今後、生涯学習の観点を踏まえた学習やスポーツ・芸術活動に触れる機会作りが望まれます。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設管理者が法人内でグループホームの執行役員も担っていることから、グループホームへの入居に関する情報提供は十分に行われています。個別面談において、全員利用者に必ずグループホームの利用や将来的な生活について聞き、希望と意向の把握に努めています。
利用者に地域生活移行の意欲を高める目的で、法人内グループホームに2週間程度の体験入居の機会を設け、地域移行への動機付けに取り組んでいます。グループホーム利用については、家庭の事情に応じた個別対応にも配慮し、相談支援事業所及び行政と調整・連携して地域生活移行に向けた支援を行っています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回実施される個別面談において定期的に家族と話し合う機会としています。しかし、近年の保護者の高齢化などの理由により、来所可能な家族数が減少している状況となり、電話等で家族に確認・報告することが増えている状況です。職員が保護者等と面談を行った時は、必ず面談記録票に記載し、ファイリングするなどして記録化しています。
生活介護では、日々の活動状況について、ノートで家庭と連絡を取り合っています。また、書面で伝えきれない事項については、電話で直接話すことにしています。さらに、事故などの場合は、施設長が必要な電話連絡をする場合もあります。来所中の体調変化時は、検温・血圧測定を行い、速やかに家庭等に電話連絡して通院を促すなどの対応手順を職員間で共有しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

障害児施設でないため、評価外となります。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの働く気持ちと「持てる力」のバランスを見極め、強みを生かした作業の提供を工夫しています。就労継続支援B型のコーヒーの自家焙煎では作業工程の分割により、不良豆を取り除く作業や焙煎前後の異物の除去作業、袋詰めなど、工程を細分化し、作業内容を分かりやすく提示する工夫をしています。法人内16カ所のグループホームなどへの配食サービスではグラム数の計量、タッパーに詰める、食洗器で洗う、などの作業工程を分担しています。コーヒー製造と配食サービスの仕事は、月1回ローテーションしています。
就労移行支援では貸会議室などが入る公共施設でビルメンテナンス作業を行っています。担当職員は清掃技術を学ぶ「ジョブステップトレーニング(JST)」やマナーなどソーシャルスキル等を学ぶオリジナルのプログラムを創出し、利用者のスキルアップを支援しています。
 

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

販路拡大の取組等により、着実に成果を上げ、工賃向上により利用者のモチベーションの向上につながっています。工賃は時給制から総額配分制に変更し、収益を増やすことにより、工賃アップを目指しました。
自家焙煎珈琲の製造・販売を中心とした生産や一般市場への流通に力を入れました。百貨店からお歳暮等の受注にて珈琲ギフトの売り上げ増を図ったことや、新たに出来たショッピングモール内での常設販売が可能となったことなどにより、好調な売れ行きで工賃アップにつながりました。一方、コスト高で赤字となった豆腐製造を終了させるなど、経営改善を図りました。
工賃については、利用契約書に、賃金の支払いは工賃規程に基づく旨明記しており、説明の上同意を得ています。毎年年度ごとに、作業室単位でも利用者への説明を行っています。労働時間は5時間を基本としています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

就労移行支援は定員を満たしていませんが、就職率、定着率とも高水準で維持してきています。本人のもてる力と本人に合う仕事を見出し、就労に向けた訓練や定着への支援をきめ細かく行っています。障害や生活・行動面の困難を抱え、高等部の進路指導の段階で就労移行支援が難しいと判断された方についても、家族等の協力の下、就労意欲の高い利用者を積極的に受入れ、2~3年の支援期間を経て就職に結び付けています。
ふきのとう舎内の清掃業務で障害者雇用も行い、1日5時間、週5日の非常勤として勤務し、一般就労へのステップとしています。ハローワークや県央地域就労援助センターなど関係機関とも連携し、離職後の対応や就労への支援、職場への定着支援をも継続してきました。令和2年度10月からは、就労定着支援をスタートし、制度にのせました。