社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

ぶどうの実

2024年04月26日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 ぶどうの実 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 障害児入所施設(福祉型) 定員 30 名
所在地 〒241-0005
横浜市旭区白根7-10-6
TEL 045-952-1753 ホームページ http://www.shirane.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1960年05月12日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人白根学園
職員数
常勤職員:23 名
非常勤職員:8 名
専門職員
保育士:7 名
社会福祉士:2 名
精神保健福祉士:1 名
介護福祉士:4 名
栄養士:1 名
看護師:1 名
施設・設備の概要
居室:一人部屋(30室)
居室:二人部屋(2室)
設備:多目的ホール
設備:リビングダイニング
設備:医務室
設備:浴室
設備:洗面所
設備:心理室
設備:相談室
設備:トイレ
設備:エレベーター

③ 理念・基本方針
<理念>
知識より、信仰より、愛を以て第一と為す

<基本方針>
私たちは、
1 人としての尊厳を守ります。
2 人権を擁護します。
3 意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。
4 社会の一員として活動に参加でき、安心できる暮らしの実現に努めます。
5 サービスの点検を行い、利用者に対して有効かつ適切な支援を行います。
6 職員としての専門的役割と使命を自覚して行動し、日々研鑚に努めます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<社会福祉法人白根学園 ぶどうの実の特徴的な取組>
ぶどうの実は障害を理由に学校教育を受けられなかった子どもたちの教育の場として設置されました。その後養護学校が義務化され、多くの児童施設が成人施設に転換される中、家庭生活が困難な要保護児童のための施設として運営を続けてきました。子どもの中の多くは、望んで施設に来ているわけでは無く、大人との信頼の置ける関係や、安心の出来る家庭環境での生活をしてこなかった児童になります。まずは、ユニット制による家庭的な環境と、信頼できる大人との愛着関係を育み、集団生活のメリットを最大限に活かし、他者を思いやり、協力することで対人関係の基本を学びます。一人ひとりの生活を大切に、個々のニーズに即した生活提供を目指しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/09/05(契約日) ~2024/04/22(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 3 回(2020年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【社会福祉法人白根学園 ぶどうの実の概要】 
●「ぶどうの実」は、社会福祉法人白根学園(以下、法人という。)が運営する福祉型障害児入所施設です。法人は、知的障害者(児)就労・生活支援総合事業として入所施設・通所事業所・就労支援事業所・グループホーム等、多くの施設や事業所を横浜市に展開しています。「ぶどうの実」は平成27年には建て替えを行い、施設入所の他に、短期入所、日中一時支援、障害児通所支援事業を行っています。施設は高台に位置し、みなとみらい地区等が見渡せ、周りには病院、保育園、少し離れて公園や学校等が点在し、安心して生活ができる環境です。また、屋上に太陽光発電を設置し、「太陽光発電遠隔監視システム」を導入し、長期間、安定稼働しています。 

●かつて、障害のある子どもたちは学校へ行けない時代があり、家庭で過ごす以外できなかった子どもたちを集めて始めたのが障害児入所施設「ぶどうの実」であり、法人の始まりです。当初は、教育に代わる場所でしたが、現在、それ以上の支援が必要とされています。それは、親元、家庭での生活が困難となった障害のある子どもたちにとって、「ほっ!」と安心して生活できる場所の提供です。障害があっても無くても、皆が一緒になって遊び、勉強できる場を目指しています。法人では「ぶどうの実」の他に、壮年期を暮らす「光の丘」、中高年のための「しらねの里」、それに将来を見据えた新しい形の入所施設「希望」(一般の家に近い雰囲気の小舎制ユニット)等を提供し、障害者の生活をサポートしています。

●基本方針に沿い①利用者の「生命」、「存在」を大切にし、利用者の意向、適性、障害特性等を踏まえた支援を行うこと、②障害を理由とした、いかなる差別、虐待、権利侵害を認めないこと、③利用者自らの選択、決定を尊重し自立と自己実現を支援すること、④地域社会の一員としての参加が実現できること、社会の一員として活動、暮らしができること、⑤利用者に有効且つ適切な支援を行うこと、⑥職員としての専門的役割と使命を自覚して研鑽・行動すること、を実践するため、職員一同、全力を上げて取組んでいます。

●令和6年度に向けて重点事業として、①過齢児及び18歳以降の人たちに対し卒後のサポート体制作りの実施、②高齢化による法人内成人施設のライフサイクルの循環機能の停滞対策、③愛着障害、強度行動障害等専門分野研修への参加、を挙げており、達成を目指して時間をかけて、他施設、公的機関を巻き込んだ実現が期待されます。

◇特長や今後期待される点
1.【働く大人として自立するために】
誰でも、18歳になったからと云って、就職したからと云って、ある日突然、大人になるわけではありません。日々、いろいろな人たちとの交わりの中で、様々な経験をしながら、少しずつ生活の主体者として実感が持てるようになり、働く大人としての自覚が湧き、それに思考・行動が伴うようになります。特別支援学校等を卒業して、就職し給料を得、職場で仕事を覚え、経験を積んで成長する機会はありますが、働く大人として生活していく知恵や技術は、どうやって身に付けたらよいのでしょうか。知的なハンディキャップが軽度な方を対象とした、就労している仲間と共に生活しながら、大人になっていく過程への支援を受けられる事業である「共同生活介護事業GH」と、1人暮らしが落ち着くまでをサポートする「横浜市障害者自立生活アシスタント委託事業」があります。法人では自立サポートセンター歩及び9か所のグループホーム歩で協力して自立への支援に尽力しています。

2.【さらなる障害児の支援に向けて】
法人では、まだまだ不十分な障害児への対応として、令和4年度に引き続き令和5年度の重点事業として、地域移行カンファレンスにおいて、18歳以上児のスムーズな移行を進めるために、高校生の早い時期から児童、成人期に必要な関係機関と連携し、卒後のサポート体制の実施を計画しています。福祉型障害児入所施設では障害のある児童の家庭に代わる生活の場として、健康的な生活環境を整え、利用児童の安全な生活を保障するための適切な生活支援と、教育権の保証としての通学等の支援を行っています。働く大人として生活していく知恵や技術はなかなか身につかない現状にありますが、横浜市として移行を先延ばししていた地域移行カンファレンス等の取組を、より早くから成人対象の機関と連携し、円滑な移行を進めることになりました。法人としては施設の新設は難しいようですが、既存「グループホーム」の利用調整を図るよう検討しており、「ぶどうの実」の利用者のためにも期待されます。

3.【問題点として】
原則論は前述の通りですが、現実問題として、①利用者が定員を下回る。②過齢児(18歳以上)が就労、自宅復帰等ができず滞留する。③措置滞留者が退去した後が空床化する。④短期入所、デイサービス、相談支援の分室化の問題。⑤地域移行のためのソーシャルワーカー等の配置問題。等々、ヒト・モノ・カネの必要な課題を要し、今後の見通しについて、行政の考え方を正す必要がある点について推進を期待しています。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 社会福祉法人白根学園 ぶどうの実  
    
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
ぶどうの実としては4回目、私自身としては初めての受審となりました。自己評価の際に、客観的な評価を意識していましたが、「できている」という評価を付けることは簡単なことではありませんでした。しかし、第三者に評価を受けて「できている」といった評価をいただき、また、具体的な説明(評価理由)を伺い、自信に繋がることもありました。
また、自己評価を付けるにあたり、各階層別にグループで評価を行い取りまとめていきました。職員全員が実施することで、各職員にも自分たちの職務を改めて提示、確認する場になったと思います。
現場からの「管理者のリーダーシップについて」の項目における評価については、なかなか現場から評価を直接受ける機会は少なく、貴重な機会となりました。

≪評価後取組んだ事として≫
評価に表れている課題について、事業所で自覚している項目もあります。現体制や利用受入れの状況の急激な改善は難しいため、この状況を受け止めつつ改善に動き出せればと思います。
また、数年間コロナ禍で滞ってしまった行事による利用者の生活の充実、職員も含めた経験の場・地域参加・研修、打ち合わせ等の育成を再開し、充実させることでより良い施設になるよう尽力していきたいと思います。

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

理念・基本方針は、法人の広報誌・ホームページ等で周知し、事務室にも掲示しれています。創設当初より、一人ひとりが自分に合った、自分の望む生活を実現できるよう利用者主体の福祉を貫いており、理念・基本方針は利用者の人権の尊重や個人の尊厳に関わる姿勢が明確になっています。理念・基本方針に基づく職員行動指針は、職員の行動規範となるよう具体的な内容になっています。本年度は法人の園長より理念浸透のための研修会を毎月開催し、全職員が参加できるよう実施しています。しかし、利用者及びそのご家族への周知については、措置入所が多いこともあり、各種会議、研修会へは案内ができず、契約での入所の家庭には手紙での報告に留まっており、今後の工夫に期待されます。さらに、児童相談所との連携を強化していく予定でいます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

利用者に良質かつ安心・安全な福祉サービスの提供ができるよう、福祉事業全体について、法人本部が具体的及び、福祉サービスのコストについて把握・分析をしています。施設協議会への参加、法人運営会議や法人内経営会議(施設長会議)を毎週開催し、主に障害福祉を中心に制度・報酬等について確認しています。地域の各種福祉計画の策定動向と内容は、横浜市等からの情報を集めて把握し分析しています。地域の特徴・変化等の経営環境や課題については、定期的に開催される障害関係施設の施設長会で情報交換して把握・分析を行っています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営環境や財務状況等の法人本部での現状分析を基に、毎週開催の法人運営会議(施設長会議)において、組織体制や設備の整備・職員体制・人材育成等の課題や問題点を明らかにし、行事費の設定、節電対応、入所児童の積極的受入れ等について話し合っています。運営会議には役員も出席し、経営状況や改善すべき課題について法人理事会にも報告を行い、具体的に検討し、方向性を役員間で共有しています。経営状況や改善すべき課題については、毎月の職員会議等にて周知し、職員間で課題を共有するようにしています。一方、処遇困難児童の受入れの難しさ等の課題については、改善と課題克服が必要と考え、取組を検討中です。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

理念・基本方針の実現に向けたビジョンを明確にした第二期中期計画(令和2年度~令和5年度)を策定し、今年度は中間見直し~次期計画を作成しています。第二期中期計画は、経営状況・環境等の把握・分析を踏まえた具体的な内容になっており、「ぶどうの実」としては「過齢児対策」、「障害児通所支援事業」、「地域における公益的な取組」等が中期計画の項目になっています。中期計画では、数値目標や具体的方策を定め、実施の状況が具体的に示せるようにしており、定めた項目に関して進捗状況を定期的に確認しています。第二期中期計画については冊子にまとめ、全職員が閲覧できるようにしています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

第二期中期計画進捗と連動し、前年度事業報告書を踏まえ、今年度の事業計画として、実現可能な計画を具体的に策定しています。予算管理を実施し、期中チェックを行います。第二期中期計画前半の結果報告及び昨年度の事業計画については9月の理事会経由で報告しています。第二期中期計画後半の事業計画は実施評価が可能な体制計画を策定していく予定です。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、幹部職員(施設長・係長・主任)により、意見の集約を元に原案を策定し、職員会議で全職員に説明し、理解を得て、再策定して理事会にかける仕組みで進めており、社会の動向・組織の状況・利用者の育ち・地域ニーズ等の変化にも対応しています。理事会で承認の後、決定した事業計画を職員に周知・説明し、計画に沿って組織的に実践しています。また、制度・報酬改定に基づく見直し等、必要に応じて補正予算と合わせて事業計画の見直しも行っています。事業計画の策定、見直しは実施しているものの、長期的な課題等もあり、改善に至らない課題、目標もある点は課題と考えており、今後に期待します。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画・事業報告はホームページに記載していますが、利用者には説明をしていません。事業計画の根拠となる懸案事項の主たる項目が利用者(過齢児、支援困難児童)にかかるケースが多く、周知できない事項が多く、説明も難しいためです。事業計画の主な内容は、利用者の生活に密接に関わる事項であり、保護者に対しては年4回の保護者会で、事業計画・報告の資料を配付し、周知しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画の見直しは、定期的に実施しています。事業所内では、役割(委員会や諸係)ごとによる部門ごとの打ち合わせを通して改善に努めています。さらに、福祉サービスの質の向上に向けて、職員の自己評価や第三者評価の定期的受審等に、組織的に取組んでいます。職員は「人権チェックリスト」で毎年自己評価を行い、施設長・係長が職員面談を行い、評価する仕組みがあります。法人内では、各事業所のサービス等に関わるグッドジョブコンテストが毎年実施され、その取組と評価は、全職員にも周知され、職場改善・サービス改善につながっています。個別支援計画についてはサービス管理責任者を中心としたモニタリング・アセスメントを年2回以上実施し、福祉サービスの質の向上に向け取組んでいます。引き続き、全体の福祉サービスの評価を行い、改善策を検討・分析する場を設け、質の向上のため組織的にも取組んでいかれることを期待いたします。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

実施した評価の結果に基づき、職員会議で課題が提案され、部署(利用者担当グループ、委員会、諸係)毎に課題を整理していく仕組みになっており、施設長が中心となって改善に取組んでいます。また、月1回の職員会議・グループ会議・ユニット会議等で職員間での課題の共有化は図られています。共有化のために支援のソフトを導入し、日々変わったことが把握できる体制が確立し、計画的な言葉がけができる体制が整っています。感染症対策や地域活動等、速やかに改善できることについては直ぐに取組み、検証を行っています。また、時間を要する事項は別途計画を立てて取組み、次年度も改善の努力を継続していきます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は運営に関する全てを把握し、その役割と権限について職務規定にも明記されています。毎月開催の主任以上の職員による運営会議や全職員出席の職員会議の他、日常的に開催されるカンファレンスやケース検討の機会に、自らの立場を明確にしています。施設長は平常時のみならず、有事における役割と責任も職員に表明し、施設長のBCPを作成し、その中で、不在時の権限委任等を含めた詳細を明確にしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

施設長は、社会福祉関連法令はもとより、施設の理念・基本方針や諸規定を理解し、社会ルールや倫理に基づき職員に周知しています。法令遵守の観点から、法人本部主催の研修や、行政機関が行う研修を受講すると共に、関係団体の定例会、同一種別施設の会合等で情報交換し、職員が遵守すべき法令等を正しく理解するための教育にも取組んでいます。法人では、法令等を遵守した事業経営を行うためコンプライアンス規定を策定しており、職員に対して遵守すべき事項を周知しています。SDGsに関連して、数か月に1回程度行われている地域の「グリーンロードサポーター」にも協力しています。施設長は、施設を取り巻く社会情勢や環境の変化等を考慮し、幅広い分野の遵守すべき法令等を把握していますが、職員が理解を深めるための取組をさらに進めていかれることを期待いたします。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、理念や基本方針を具体化する観点から、福祉サービスの質の向上に関する課題を把握し、改善に向けてリーダーシップを発揮しています。サービスの内容に関しては、職員の意見を聞きながら、現状の把握に努めています。支援に関わる職員の取組と利用者の反応については、常に送迎等現場にも入り、各ユニットを巡回し、職員との会話・利用者の行動観察等を実施しています。施設長は、職員との個人面談や運営会議・職員会議等で職員の意見を聞き取り、でき得る限り職員の意見を吸い上げるようにしています。また、福祉サービスの質の向上のため、職員一人ひとりの考え方や課題を把握し、職場改善のため組織的に取組んでいます。職員には研修への参加を促し、職員の資質向上に努めています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、経営の改善や業務の実効性を高める取組に指導力を発揮しています。財務面では月次試算表(事業活動収支・資金収支・貸借対照表)により、毎月の収支の確認を行っています。労務面では、経営状況を意識し、法人と「ぶどうの実」双方を考慮した人員配置を行い、平日や休日・夏休み等の休暇により利用者の日課が変更されることに伴う勤務シフトの変更等、必要な人員配置を行っています。また、職員の声を傾聴し、職員の年間研修計画を作成する等、経営の改善や業務の実効性の向上に向けて、労務環境改善と組織内に同じ意識を形成する取組に力を入れています。今回の第三者評価の実施により、職員一人ひとりの「気づき」が得られ、課題を把握し、同じベクトルを持って成果が上がることを見込んでいます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

人材確保については、長期の採用計画を策定し、法人本部が中心となって取組んでいます。必要な人材確保のために、法人のホームページや複数の就職サイトに求人案内を掲載し、養成学校にも働きかけを行っています。役職や多様な福祉サービス分野、専門職によるキャリアパスがあり、週1回の施設長出席による人事運営会議では採用計画と採用決定の情報を共有し、各事業所の必要な有資格職員の配置状況等を随時確認し、各事業所の人員配置を法人で組織的に決定しています。法人の企画部で人材紹介業者や成果報酬型、コストパフォーマンスに優れた業者を選定し採用を実施しています。また、専門学校や大学への訪問、保育や相談支援、介護実習といった実習生の積極的な受入れを実施し、新任職員に対する年間研修計画で育成に努めています。 

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

「期待する職員像等」を階層別に明文化し、人事考課に連動し、昇給・昇格に反映する体制が整っています。人事基準を明確に定め、職員に周知しています。法人の「人事考課規定」で階層別定義や代表的仕事事例を示し、職員自らが将来を描く仕組みを構築しています。役職や、多様な福祉サービスによるキャリアパスがあり、年2回、人事考課として、各自、自己評価を行い、職員面談を通して自己評価の修正を行うと共に、全職員の満足度や意見・要望を把握の上、人事運営会議で定例の職員移動・昇任・昇格等を決定しています。週1回の運営会議で採用計画及び採用決定を実施し、各事業所の人員配置を法人で組織的に決定しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員の就業状況や意向の把握は年2回の職員面談を組織的に行い、労務管理に関する責任体制を明確にしています。面談においては職員の心身の状況等も把握するようにしています。法人では、独自に年間10日のリフレッシュ休暇や、育児等休業、時短勤務等の制度の取組を実施していますが、人材不足もあり、職員の印象としては負担感も拭えない状況にあるのも現状です。また年1回、全職員のメンタルヘルスチェックを実施し、メンタルヘルス相談員を任命する等、職員の悩み相談を受ける体制を整え、メンタルヘルス、ハラスメント等の窓口を設定しています。しかし、愛着性の課題のある思春期の児童等による粗暴、暴言等による精神的負担も生じやすい職場の現状も見過ごせない状況ではあります。職員の有給休暇の取得状況や時間外労働のデータを定期的に確認し、就業状況を把握しています。さらに、毎年「職員満足度調査」を実施し、「仕事・職場・人事育成・人事給与・労働環境・業務効率・組織風土」について調査を行っています。調査後は集計講評としてまとめ、課題を抽出していますが、今後、把握された意向・意見についてのさらなる分析・検討する仕組みが必要だと思われます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「期待する職員像等」を階層別に明文化しています。年2回の面談により目標管理と進捗状況の確認を行い、職員の育成に向けた取組を実施しています。施設の目標や方針を踏まえ、面談を通じたコミュニケーションにより、職員一人ひとりの目標を設定しています。主任以上は年2回、「仕事の出来映えシート」・「執務態度チャレンジシート」を活用して自己評価を実施し、年度目標の確認をしています。体制として人事考課制度に取組み、年1回「人権チェックリスト」でも自己評価を行っています。自己評価結果は、施設長・係長との面談により評価しています。 

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

組織が目指す福祉サービスを実施するために、基本方針や計画の中に必要とされる専門技術や専門資格を明示しています。法人内の研修委員会が「年度研修計画」を策定し、職員が計画的に参加できるようにしています。法人が主催する全職員向けの権利擁護研修は年5回実施され、年1回は必ず参加するよう義務付けています。また、横浜市社会福祉協議会の「福祉保健研修交流センター・ウィリング横浜」主催のキャリアパス対応生涯研修課程の研修は、主任・中堅・リーダー・管理者の研修として全階層に推奨しています。研修計画の内容やカリキュラムも定期的に確認し、職員の資質向上に努めています。但し、ここ数年は人手不足やコロナ禍等の影響で研修の派遣がし難い状況があります。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員一人ひとりの資格等については、採用後に取得資格を確認し把握するようにしています。入職後1ヶ月間はOJTにて教育を行い、法人として、階層別、職種別、テーマ別に研修を設定し、教育を推進しています。「管理職」はマネジメント研修、労務管理研修、主査昇任者研修、副主任・主任職昇任者研修、「新任者」は新採用職員採用前研修、「階層別」では新採用職員研修、初任職員研修、中級職員研修、キャリア別職員研修、「部門別」に高齢者福祉部門研修、児童福祉部門研修、障碍者福祉部門研修を、「エリア別」には北部エリア研修、西部エリア研修、南部エリア研修を設定し、外部研修としては、ウィリング横浜主催の研修、社会福祉協議会主催の研修や、加算要件となる研修には参加させています。法人全体として研修プログラムは用意されていますが、施設長は、今後の課題は個別プログラム毎の充実にあると考えています。法人内では階層別研修、権利擁護ディスカッション等を実施していますが、外部派遣研修の機会はコロナ禍以降、感染症防止や人材不足、休暇の充実により研修時間の確保の問題があります。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

実習生受入れマニュアルを整備し、実習生(主に保育士や指導員)の研修・育成に関する基本姿勢やプログラム等を明文化しています。事前のオリエンテーションで施設の方針や実習中の心得・守秘義務等について説明しています。保育士を目指す学生を中心に、年間30~40名と多くの実習生を受入れています。実習生において特に、専門職種については、その特性に合わせたプログラムを作成し、相談実習のプログラム等も整備し、実習依頼校との連携を図り、継続的に取組んでいます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページ等の活用により、法人・施設の理念や基本方針と提供する福祉サービスの内容や事業計画等が適切に公開されています。定期的に第三者評価を受審して評価結果を公表し、事業や財務等に関する情報も開示することで説明責任を果たし、さらに経営の透明化を図るため、法人広報誌を年4回発行して情報提供に努めています(本年度はリニューアル検討中)。また、苦情・相談体制についても公表し、苦情申立先第三者委員の設置の他、オンブズパーソン2名が毎月来所し、利用者や新任職員等と面談を行っています。情報公開については、施設種別の特性を配慮しながら今後も慎重に取組んでいかれることを期待します。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスを提供する主体として、公正かつ透明性の高い経営・運営のための取組を行っています。事務・経理・取引等は、経理規程により運営し、職員に周知しています。施設の事務・経理・取引等については法人本部が内部監査を実施し、定期的に確認しています。法人の外部専門家による監査支援等を活用し、経営改善等の助言・指導を受け、運営に生かしています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本方針の一つに「社会の一員として活動に参加でき、安心できるくらしの実現に努めます。」と示しています。利用者が地域の人々と交流を持つことは基本方針に明記され、「社会的生活体験」を得るのに大切なプロセスと考えており、町内会・自治会等が主催する夏祭りやカーニバルに入所利用者が参加しています。地域との関わりについては地域ケアプラザ主催の「白根地区地域支え合い連絡会」に参加し、地域と情報交換や行事イベント、子ども食堂等の情報交換を実施しています。利用者が地域のスーパー、美容院等の店を利用することを積極的に支援し、買物等の日常的な活動についても、近隣のスーパー等、利用者の希望に応じた店を利用しています。また、地域と福祉避難所協定を結び、「福祉避難所連絡会」に参加し、地域の人々と交流の機会を設けています。自立サポートセンターとの連携もあります。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアについては、ボランティア受入れマニュアルを整備し、オリエンテーションで施設の方針や守秘義務等を説明する等、受入れに対する基本姿勢を明確にし、体制を確立しています。以前は児童へのダンス指導等のボランティアを受入れ、また、中学生の体験学習にも協力しています。現在、行事時のボランティア受入れは旭区ボランティアセンター等を活用して募集しています。ボランティア受入れは地域社会と福祉施設をつなぐ柱と考えており、今後の取組に期待しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

福祉サービスの質の向上のため連携が必要な機関や団体と連携を適切に行っています。横浜知的障害関連施設協議会に加入し、施設長が児童部会長を務めると共に月1回、定例会を開催し、児童相談所等と連携を図り、共通の問題に対して解決に向けて協働して取組んでいます。児童相談所連絡会、地域移行カンファレンス、その他学校、児童相談所等のカンファレンス等も実施しています。また、横浜知的障害関連施設協議会に加入し、支援学校とも情報の共有を図り、こども医療センターからは毎年、「子ども医療の医療コンサルテーション」にてケース検討等のコンサルテーションを受けています。共通の問題に関しては職員会議で話し合い、解決に向けて具体的な取組を行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

「ぶどうの実」として、施設協議会、児童施設部会、旭区自立支援協議会等へ参加しています。子ども食堂を実施し、旭区子どもの居場所連絡会(区社協中心)への参加も行っています。また、白根地区地域支え合い連絡会(白根地区センター、チームオレンジサポートセンター中心)・旭区自立支援協議会へも参加しています。「ぶどうの実」は災害時の役割として、福祉避難所に指定されており、地域に協力しています。また、3階「ホールにじいろ」は地域住民との交流の場として貸出し開放する等、「ぶどうの実」が有する機能を地域に還元しています。「ぶどうの実」は、地域の関係機関・団体と連携を図り、地域の福祉向上のために取組んでいます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域資源の一つとしての立場を意識し、できる事・やるべき事に取組んでいます。前出の子ども食堂の開催、旭区子どもの居場所連絡会への参加、福祉避難所協定、連絡会の参加、3Fホールの貸し出しについて云えば、「子ども食堂」は月1回開催し、地域の子どもや保護者に夕食を提供しています。事前申し込みで毎回40食~50食を用意し、食堂内にノートを備え、参加者が自由に意見や感想を書けるようにしています。コロナ禍時においては持ち帰りにしていました。福祉避難所として地域と協定を結び、「福祉避難所連絡会」に参加しています。旭区子ども連絡会や地区社会福祉協議会が実施する会議にも参加し、施設が有する専門的な情報を地域に提供しています。今後、引き続き「ぶどうの実」の有するノウハウを地域に還元して行きます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人による理念研修、新採用研修時の講義・実施により、理念や基本方針に利用者を尊重した福祉サービスの実施を明示し、職員が共通理解を図れるよう取組んでいます。誓約書、就業規則服務規程に沿った支援の実践に努めています。法人系列施設内の施設長をメンバーとした権利擁護委員会を2カ月に1回開催し、利用者の権利擁護に関する取組の検討を行っています。権利擁護委員会での検討を受け、同作業部会で具体的に取組んでいます。また、毎年全職員を対象に「人権チェックリスト」による自己評価を実施し、職員が理解し実践するための取組を行っています。外部講師による人権研修も実施しています。職員は日本知的障害者福祉協会の「倫理綱領」や規程等を遵守し、利用者を尊重した福祉サービスの提供を行っています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:b】

利用者のプライバシー保護に関する姿勢・責務等を明記した規程・マニュアル等を整備し、職員研修を通して理解を促しています。法人の行動指針、服務規程等を遵守しています。利用者の日常生活におけるプライバシー保護は、利用者を尊重した福祉サービスにおける重要事項として捉えています。利用者については、入所時に「個人情報及び肖像権の取扱いに関する同意書」を提出してもらい、施設構造としてユニット体制で原則個室を用意し、利用者のプライバシーが守られるよう工夫しています。プライバシー保護に関して、職員研修により一層の理解が図られることが必要だと思われます。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービス選択に必要な情報は、法人のホームページに掲載し、理念や基本方針・福祉サービスの内容等を紹介しています。組織を紹介する資料は図・絵の使用等で分かりやすいものにしています。現在、入所に関しては、ほとんどが児童相談所の措置入所であり、担当者を通しての対応になっています。利用契約による利用者については、保護者(親権者)と契約しています。見学・体験入所・一日利用等の希望にも対応しており、マッチングの問題を含めて有効活用を図っています。措置入所が多いとは云うものの、利用希望者に対する、より分かりやすい情報提供方法等につき、見直しの検討も適宜必要だと思われます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

措置児童に対して、児童相談所からの動機付けに加え、施設見学、見学の際にぶどうの実はどういうところか、ユニットのルール、何ができるか等の説明及び、宿泊体験をして、本人の納得を得るようにした上で、受入れるよう努めています。サービスの開始・変更時の福祉サービスの内容に関する説明と同意に当たっては、児童相談所の措置入所の場合、利用者の自己決定を確認することはありませんが、利用契約者の場合は家族の自己決定を尊重しています。措置児のサービスの開始・変更時には、児童相談所と連携し、契約者家族等の同意を得た上で書面に残しています。入所時は、利用に際しての必要品を明示する等、分かりやすい資料を用いて説明しています。今後も、児童相談所と連携し、利用者が理解できるよう継続して努めていかれることを期待いたします。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

移行に当たっては、主管児童相談所や、移行先養護機関等を含めた協議の場を持ち移行を進めています。利用者の状態の変化や家庭環境の変化等での変更・移行等では、利用者の支援内容に不利益が生じないよう配慮しています。他施設や地域・家庭への移行においては、福祉サービスの継続性に配慮した手順と引継ぎ文書を定めています。現在、福祉サービスの変更は、そのほとんどが18歳を超えた後の成人としてのサービス利用となり、家庭・グループホーム・成人施設等への移行になります。従って、養護の実施機関も児童相談所から各利用者の援護区に変更されるため、行政上の手続きやサービス内容の説明は行政担当者が行う仕組みになっています。福祉サービス終了後も、児童相談所や行政機関と連携した相談支援が重要です。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

基本方針の中に、「意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。」とあり、利用者の意見・要望等だけの対応でなく、組織として対応する仕組みを構築しています。児童の特性や年齢・性別を考慮したユニット体制であり、ユニット担当職員が日常から利用者満足を把握するようにしています。利用者のニーズに関しては、積極的に訴えてくる利用者の声のみが反映しやすくならないよう、また、月1回の「利用者自治会」(えがおの会)が形骸化しないよう、ユニット担当職員が取組んでいます。「えがおの会」が、行事やメニュー以外のきめ細かな、幅の広い活動の場へ発展して行くことを期待しています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決の体制(苦情解決責任者・相談窓内担当者・第三者委員)を整備し、苦情解決の仕組みを確立しています。苦情解決の仕組みでは、責任者・担当者・第三者委員の氏名を記載した内容を玄関ホールに文書で掲示しています。重要事項説明書にも、苦情申立先の連絡先電話番号とメールアドレスを明示し、第三者委員2名・オンブズパーソン2名の肩書と氏名、横浜市福祉調整委員会の連絡先を明示しています。保護者には、入所説明時や保護者会で苦情解決の仕組みを説明しています。苦情内容については、第三者委員まで上げることはなく、受付後の個別対応で解決しています。解決後の開示に関しては職員及び第三者委員に行っていますが、当該の利用者家族以外には行っていません。日常生活の中で把握した小さな苦情についても整理し、今後の苦情発生時に生かすこと、意見箱を設置することを望みます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

利用者が必要に応じて相談ができ、意見が述べられる環境作りをしています。ユニット体制で職員と利用者の距離が近く、利用者からの意見や要望は日常会話の中で聞き取りに努めています。利用者からの相談は申し出により受けていますが、その状況により利用者本人の居室や相談室等、プライバシーの確保に努めています。内容が全体に関わる場合は他の利用者も一緒に相談を受けています。決まった文章による通知等はありませんが、言葉による意思表示が難しい場合は絵や写真を交え選択肢を用意する等、意見の確認をしています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

支援における最も重要で十分な時間が必要なことは利用者からの声を聴くことと考えており、日常的な支援現場で話すだけでなく、その行動・表情・言葉の抑揚等、支援員として感じたことを大切にしています。利用者の思い等を、その場で解決・(難しい場合)担当へ引き継ぐ・記録へ記載する・上司へ相談する・検討する・会議で提案する・利用者と話し合う等を日常業務として行うよう指導しています。年間スケジュールで決まっている、月1回のオンブズパーソン2名の来所により、希望する利用者と面談してもらい、利用者の要望の真意の把握に努めています。相談内容は記録に残しています。これら利用者の意見に加えて、事故報告書、ヒヤリハットからの課題、看護師情報等による誤薬の問題等もあり、係長以上による「ぶどうの実向上委員会」を中心としてリスクマネジメント研修も実施しています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメントに関する責任者を明確にし、安心・安全な福祉サービスの提供をしています。事故発生時の対応と安全確保の手順についてはマニュアルに沿って実施し、職員に周知しています。事故の報告は、申し送りや職員会議で行う他、メール配信で全職員に速やかに報告しています。「ぶどうの実向上委員会」を設置し、事故報告書・ヒヤリハット報告書で事例検討を行い、事故予防に努めています。また、防犯カメラやユニット内の見守りカメラの設置により、利用者の安全確保に努めています。今後、事故事例の分析を行い、事故件数の減少に努めることが望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

コロナウイルス、インフルエンザ等の感染症について、マニュアルを基に状況に応じた対応を実施しています。感染症対策の責任と役割を明確にした管理体制を整備し、感染症の蔓延防止に努めています。感染症の予防と対応について、感染症対応マニュアルを作成し、職員に周知徹底しています。マニュアルは主に看護師が見直しを行い、職員会議で職員に伝えています。コロナウィルス・インフルエンザ・ノロウィルス等、集団生活で起きやすい感染症予防について対策を講じています。特に、法人の系列事業所でコロナウイルス感染があり、横浜市から感染予防の指導を受け、「ぶどうの実」としても取組の徹底を図りました。職員会議で看護師が情報提供し、感染症に関する対策の話も聞いています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

災害時の対応体制(職員体制・避難先・避難方法等)は、事務所に掲示し、いつでも確認できます。「ぶどうの実消防計画」に基づき、毎月、火災・地震を想定し、夜間・休日を含め想定時間・想定場所を変えて避難訓練を実施し、年1回、消防署の指導も受けています。また、モバイルアプリによる職員の緊急連絡網を整備し、施設が「土砂災害警戒区域」に所在するため、避難確保計画を作成しています。さらに、BCP(事業継続計画)も作成して備えています。救急救命法の研修は法人内で実施し、新任職員は受講しています。災害時の備蓄類に関してはリスト化を図り、50人分5日間の食料や毛布・トイレ・空気ベッド等を備えています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

標準的な実施方法が記載された日課マニュアルを整備しています。ADL等に関する基本的な支援の他、外出や買い物等の自立支援、清掃等の二次的な支援に関する実施方法が文書化されています。福祉サービスの提供・実践は、利用者の特性や必要とする支援に合わせるべきもので、標準化できる内容と個別的に提供・実践すべき内容の組み合わせとなっています。個別的な内容は随時変更しながら、当該利用者に合わせた支援になるよう努めています。標準的な実施方法について、研修や個別の指導等により職員に周知徹底を図っています。身近な事例では、お風呂に入る順番やゲーム機使用の順番等に関して、平等な対応になるよう支援したり、日常業務、日課の明確化等、細部に渡って内規的に決めています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的な実施方法の検証・見直しは随時行っています。検証・見直しに当たり、個別支援計画の内容が必要に応じて反映されています。標準的な実施方法については、利用者が必要とする福祉サービスの内容の変化や新たな知識・技術の導入により見直しが必要であると認識した場合、担当者による支援の組み立て、児童発達管理責任者、役職による判断、職員会議等で多くの支援員の声を聴き、検討して組み立てています。検証や見直しを継続的に実施し、福祉サービスの質の向上につなげています。今後、検証・見直しについては組織的な取組が望まれます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

児童発達管理責任者を個別支援計画の策定に関する責任者とし、アセスメント様式シートを定め、支援員、看護師、栄養士、学校や児童相談所との関わりでの意見を反映しています。アセスメント様式シートに、身辺自立・家事・健康・学習等12項目について5段階評価を実施しています。また、「利用者の希望・困っている事」を記載しています。利用者の意向を反映できるよう「ぼくのわたしの1年間」として「私の良い所・好きな事・得意な事」、「私の苦手な事」、「やりたいこと、なりたい自分」等、利用者に分かりやすい言葉で表現し、職員が記載しています。アセスメントの作成には、支援員・看護師・栄養士の意見も反映されています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

定期的(年2回)に個別支援計画の評価・見直しを行っています。個別支援計画には、項目・達成目標・具体的支援内容・支援機関・優先順位を記載し、利用者一人ひとりの状況に応じて支援を行っています。個別支援計画の見直しに当たっては利用者の意向を聞き、説明後利用者に署名を得ています。意思表示が困難な利用者については、連絡が取れる家族には意向を確認しますが、基本的に利用者本位で検討しています。また、計画見直しに当たり、利用者の様子によっては主治医や学校から意見をもらっています。個別支援計画の内、心理的評価が必要なケースの場合、心理士が不在の際は児童相談所の心理士に依頼しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の身体状況や生活状況等は、利用者台帳(フェイスシート)に記録が適切に記載されています。個別支援計画におけるアセスメントでも、各利用者の状況が確認できます。パソコンソフトにより記録や予定管理、情報共有のネットワーク構築ができ、各種日誌の他、各利用者のプロフィール・生活記録・支援記録・受診記録・事故報告等を全職員が確認できるようになっています。業務日誌には利用者の様子の特記事項を記載しており、各種会議に出席できなかった職員は必ず議事録を確認するよう、職員間で共有を図っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護規程や文書管理規程に沿い、利用者の記録の保管・保存・廃棄・情報の提供に関する規定を定めています。法人として「個人情報保護規程」を整備し、個人情報に関する苦情受付・解決、及び適正な情報管理のための責任者等を規定しています。新人教育時にも必ず服務規程の遵守を厳命しています。個人情報に関しては不適切な利用や漏洩がないことを重要事項説明書で説明し、文書化して同意を得ています。利用者の記録類については、保管年数が定められており、基本的には法定年数を遵守するようにし、記録の管理方法は業務規程に定め、鍵のかかる戸棚で管理及び保管を行い、その扱いについて職員へ周知徹底を図っています。記録管理の責任者は施設長としています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「個人の自律および自立」や「社会参加」の実現を具体化する観点から個別支援を行っています。入所利用者は、措置と契約の利用者が混在しています。措置入所の利用者は、被虐待ケース等児童相談所が決めた援助方針に基づくことが多く、家族との交流制限等、個別支援計画において利用者本人の意向が反映されない場合もあります。自立度の高い利用者は、単独外出やグループ外出をしており、お金の使い方・交通ルール・公共交通機関の利用方法・買い物のルール等の体験について計画的に行っています。職員は利用者の話を良く聞きながら、答えられない事も含めて上長に相談し、口頭で説明しながら個々に対応を行っています。利用者の意見集約では、月に1回(第二土曜日)に、「ぶどうの実」でのルール・約束事や行事・イベント等について、ユニットごとに「利用者自治会」(えがおの会)を開催し、意見や希望を聞き、柔軟に対応しています。また、ユニット内のルールをユニット内で話し合う等、不定期ですが利用者間で話し合う場を設ける等の工夫をしています。但し、言葉が無い児童等は普段の観察より嗜好の仮説等の工夫を行い、引き続きアセスメントにより希望を理解できるよう努力し、ユニット内での個別支援を定期的に実施する努力も望まれます。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利擁護のため虐待等の権利侵害の防止・発生時の対応等、利用者の権利侵害について職員が具体的に検討する機会を定期的に設けています。「緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書」において、必要な説明を行い、利用者本人、保護者、主治医の承認を得ています。行政への虐待の届出・報告の手順等についても明確にしています。利用者には児童相談所から入所時に「子ども権利ノート」が渡され、権利侵害等の必要な説明を受けています。虐待の届出や法人内権利擁護委員会による虐待案件の評価や対応確認を組織的に行う体制作りをしています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本方針に「意思を尊重し、利用者の立場に立った支援を行います。」・「利用者に対して有効かつ適切な支援を行います。」を掲げています。個別支援計画において、年2回以上のモニタリングとアセスメントを実施し、全利用者について自立支援の項目を設けています。利用者の自立に向けた計画は個別支援計画に反映しています。将来を見据えた支援の実施について、外出や買い物、必要に応じた生活スキルの練習を個別に設定しています。自立生活の実現に向けて、学校の進路担当職員・家族・施設の担当職員等が参加して話し合い、利用者に応じて統一した方針の下で支援に当たっています。進路支援については移行カンファレンスを行政及び成人の福祉サービスも含めた形で実施し、必要に応じて成人の入所施設・作業所への見学、実習、体験を実施する体制を設けています。また、多くの選択の場を作り、利用者本人にどのようにしたいか聞く場(意思決定支援)を意識して支援しています。退所後の生活については、家庭復帰・措置延長以外では、グループホームや自立訓練事業所等の見学会を実施し、その動機付けを行っています。さらに、法人運営の「共同介護事業GH」で自立に向けた訓練も行っています。 

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

コミュニケーションは、利用者の表現や意見の自由を保障するものであり、意思疎通やコミュニケーション手段を確保するための支援や工夫を行っています。アセスメントシートに、気持ちの表現や非言語コミュニケーションの取り方等、利用者の特徴を記載し、利用者の表現方法を職員が共有化し、利用者への個別的な配慮を行っています。言語コミュニケーションの難しい利用者は、その訴えを丁寧に聞くことでコミュニケーションを諦めないことに努めています。必要な利用者は月1回言語治療に通う支援を行っています。行事や、手順を伝える際に絵やカード、予定表を作成して示す事を心がけています。言語コミュニケーションが難しい利用者については行動面をよく観察し、意思を汲み取る努力をしています。行事や余暇等で、食べたい物や行きたいところ等、自己選択の場面を多く作り、意思形成支援に努めています。日常では口頭のやり取りが多く、合理的配慮の余地はあると思われるので、引き続きコミュニケーション手段の確保と必要な支援の取組に期待いたします。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

ユニット体制で利用者と職員が日々生活する中で、利用者が相談しやすい雰囲気作りに努めています。職員は利用者との信頼関係の構築に努め、利用者の気持ちや発言を受け止めるようにしています。利用者からの申し出により、随時個別面談の機会を設け、相談内容により利用者の居室か相談室で行っています。利用者の相談内容等については施設長等へ報告し、記録を残すことで他の職員と情報を共有しています。今後、相談内容を基に、利用者からの申し出により、随時に面談の機会を設けるようにしています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画に基づき利用者の希望やニーズにより選択できる日中活動の多様化を図っています。利用者の障害程度や特性に合わせたグループ別の外出等の機会を設けています。自立度の高い利用者は、単独外出やグループ外出をしています。単独外出については手順を踏んで計画的に進めています。お金の使い方・交通ルール・公共交通機関の利用方法・買い物のルール等を学びます。個別の嗜好や趣味に配慮した余暇提供を行っています。施設の状況により本人や他者に危険を伴う事でできない事もあります。Wi-Fi環境の設定等、テレビゲームやYouTube等の視聴ができるように努めています。園庭にはバスケットコート等を設置し、外遊び等の提供をできるようにしています。ほとんどの利用者が日中は学校教育を受けているので、休日のプログラムが主となり、休日には職員とドライブに出かけることもあります。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員は、障害に関する理解と支援の専門性の向上に努めています。入所者の行動特性は時代と共に変化し、自傷他害等、強度行動障害対応が主だった時代から、近年は被虐待を主とした社会的養護の利用者が増え、愛着障害等、多くは幼児期の生育歴に課題を残しています。そのような課題に対する専門性が追い付いていない現状もあります。障害による行動や生活の状況等を把握し、職員間で支援方法等の理解・共有を図るよう努めています。人材不足から、未経験者や、福祉関係の学びが必要な職員も以前より増えている中で、職員個々の習熟度の差が見られます。利用者の障害に応じた利用者間の関係調整について、ユニット制により調整していましたが、ユニットの空き状況で、その調整が難しく環境整備が困難な状況があります。定期的なケース検討会議の他、随時担当者間のカンファレンス等において課題の共有はしっかり行い、個別的対応については、課題としてさらなる取組を進めて行きます。 

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の日常生活の支援は、利用者の日々の心身の状況に応じて適切に行っています。ADL等に関する日常的な支援は滞りなく行っています。食事は、各ユニットキッチン内に炊飯ジャー・スープジャー・電子レンジを備え、利用者に合わせた食事時間に温かい食事が提供できるよう配慮し、年齢や発達に応じて、食習慣が習得できるようにしています。入浴は、介助や見守りが必要な利用者には必ず職員を配置し、介助は同性介助とし、毎日入浴しています。排泄支援に関しては、職員が支援方法や排泄の状況の共有化を図り、個別対応を行っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:b】

利用者の尊厳と居住空間の快適性や安心・安全に配慮した生活環境が確保されています。各ユニットのキッチンやトイレ・浴室等の共有スペースは、毎日委託業者が掃除して清潔を保っています。自立度の高い利用者の居室は利用者自身に任せつつ、職員が手伝っています。トイレや浴室にはドアを設備し、居室は原則個室で施錠も可能であり、プライバシーの確保は適切に行われています。居室にはロッカーと衣類ダンスが設置され、利用者の衣服や私物を置くことができます。障害程度・種別・特性等でユニットに分けて支援を行っていますが、利用者同士の相性等によりトラブルもあり、居室変更等簡単にはできないことから、利用者一人ひとりの意向に応えるには難しさもあります。安全な環境に配慮していますが、利用者による破壊等を行った場所の修繕が追いついていない箇所は見受けられる現状ではあります。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

排泄の確立のための練習や準備や片付けといった事を個々のスキルに応じて行っていますが、重篤な身体障害の方はいないため、専門的な身体機能訓練を日常的に行う場面はありません。生活訓練の一環として、外出・買い物・金銭計算等は本人の希望を入れながら計画的に行っています。ADL面で未自立な利用者は、その面での訓練を計画的に行っています。幼児から小遣いの金額を学年ごとに決め、「小遣いの約束」を決めています。個別支援計画でのモニタリングは年2回実施しており、生活訓練計画や支援の検討・見直しを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の健康状態の把握については、必要な利用者、ユニットでは入浴時に身体状況を確認しています。学校での健診、集団予防接種(インフルエンザ、コロナウイルスワクチン)を実施しています。職員、看護師が連携し記録を取り、情報共有を行い、健康状態の推移を確認しています。その上で必要に応じ医療受診を実施するようにしています。原則的には、健康管理に関するマニュアルに基づき、利用者の健康状態を確認し、体調変化時の迅速な対応等を適切に行っています。健康診断は、就学している利用者は学校での健康診断を含めて年2回実施し、18歳以上の利用者には年1回実施しています。嘱託医は近隣にあり、利用者の体調変化時やインフルエンザの予防接種等の際に受診できる体制を取っています。定期通院の付き添いや常勤看護師による健康チェック、嘱託医師への相談等、連携・対応を適切に行っています。今後、職員の個別指導等を定期的に行っていただきたいと思います。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:a】

「緊急時医療対応マニュアル」を備え、施設長・看護師の指示の下で対応していますが、服薬も含めた医療面は常勤看護師が管理・チェックを行っています。看護師は服薬マニュアルに基づいて服薬管理を行い、医務室で薬・薬手帳等を管理し、誤薬がないよう一日分をユニットごとに袋に入れています。アレルギーについては、入所時の面談で確認しており、はっきりしない場合は入所後に専門病院を受診し、医師の指示に従って対応しています。利用者の健康状態の把握・定期服薬は看護師の指導の下、ユニット担当職員が行っています。

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

「自立した生活及び地域社会への参加」を実現する観点から利用者の希望と意向を重視した支援を行っています。不安定な児童については、時短登校や支援員の学校への付添い等、できる限り成功体験の中で学習や社会参加が可能になるよう学校との連携に努めています。夏休みには利用者の要望で一泊旅行をし、誕生日外出は職員と二人で利用者が行きたい店に行き買い物や外出を楽しんでいます。地域の図書館に出かける利用者もいます。学校の友人との遊びについては、保護者等の承諾や個々の状態によりますが、互いの家を行き来することもできます。学習は、各居室の自分の机やリビングの机で行い、学校の宿題や利用者本人の希望する学習について時間を設けて支援しています。学力や障害の程度に応じた学習支援は今後の課題となっており、取組に期待します。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

児童相談所を通じ、面談等保護者との適切な関わりを構築する努力をする等、家庭修復のための家庭支援を行っています。卒後の進路については、個別地域移行カンファレンスを開催し、成人対象の福祉サービス機関、児童相談所等の行政や学校と連携し、グループホームや入所施設への体験、作業実習等を積極的に早い段階から実施するように努めています。利用者の社会活力と地域生活への移行や地域生活を継続する支援を行い、個別支援計画に位置付け、見学や体験入居の機会を設けています。地域生活への移行は、利用者本人・家族・学校・児童相談所・区役所障害担当者等のカンファレンスを繰り返す中で、見学等を組み入れながら進めています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

虐待等、保護者と距離を置かなければならない事情のある場合があり、家庭交流が難しい場合もありますが、児童相談所を主体に家庭支援を連携して行っています。利用者から相談を受けた場合は児童相談所と連携し、各自適切な距離感での交流を目指し、カンファレンスを行い、検討しています。被虐待ケース等の養護性の高い利用者以外の家族とは積極的に交流を図っています。「ぶどうの実」の行事については、年度当初に保護者に案内を郵送し、保護者会(年4回)で行事の動画を見てもらうこともあります。法人の広報誌は年4回発行し、保護者に郵送しています。週末帰宅、長期休暇中の帰省等支障がない場合に限り、利用者本人、家族の希望通りに実施しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の育ちと発達の能力を尊重し、利用者の最善の利益を保証することを基本とする発達支援を行っています。利用者の課題や問題については、児童相談所と協議し、個別支援計画に改善計画を明確にして支援しています。利用者の意向を反映できるように「ぼくのわたしの1年間」のシートで把握し、できることを引き出しながら自立に向けて支援しています。学校教育と連携を図り、必要な発達段階での支援を行っています。過齢児については、福祉保健センターと密に連携を図り、日中活動として歩行訓練、運動、調理活動を提供していますが、支援プログラムの作成は課題となっています。また、集団生活のメリットを生かしながら他者の存在意識や協調性を育み、個別の希望には個別の相談を行うことを意識して取組んでいますが、生活施設のため、生活場面主体で、プログラムといった日課は組まれていません。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

児童施設のため対象外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

児童施設のため対象外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

児童施設のため対象外