社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

ぽこ・あ・ぽこ

2023年04月11日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 ぽこ・あ・ぽこ 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労移行支援, 就労継続支援(B型), 就労定着支援 定員 50名(利用人数:55名) 名
所在地 235-0032
横浜市磯子区新杉田町 8-7
TEL 045-772-2100 ホームページ https://www.denkikanagawa.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 1996年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
職員数
常勤職員:12 名
非常勤職員:13 名
専門職員
社会福祉士:9 名
精神保健福祉士:2 名
介護福祉士:2 名
施設・設備の概要
多目的室:1
作業室:5
就労訓練室:1
男性ロッカー:2
女性ロッカー:1
男女トイレ:3
食堂:
厨房:
相談室:
面談室:
役員応接室:

③ 理念・基本方針
【法人の3つの理念】
 「障害者の社会的自立」、地域福祉の充実」「福祉に対する啓発」

【法人のミッション:コミットメント】
 「最善・最適な幸福の提供」「絶えざる研鑽と成長」

【ぽこ・あ・ぽこの目的・3つの支援の柱】
  目的:「知的障害をもつ人が、作業を通じて社会自立できるよう支援する」
  支援の3つの柱:「知的障害者が働く職場の創出」、「知的障害者の働く力の育成」、「働いている知的障害者の継続的フォロー」

④ 施設・事業所の特徴的な取組
就労移行支援事業は、作業プログラムを通して知的障害を持つ方が「働く」ことを理解できる様に作業訓練で働く経験を積み上げます。また、ワークで社会人としての基本的な力を学び、身につけます。パソコン業務の適性把握やスキル習得の為、個別模擬訓練等を実施しています。就職活動期には利用者の特性と求人情報のマッチングに力を入れ、特性にマッチした仕事内容や職場環境で安定して働き続けられることを目指します。
就労継続支援事業B型は作業を通じて社会的自立を促すことを目的とし、仕事の場面で求められる作業能力のみではなく、周りの人と一緒に働くために必要なマナーや、仕事をする上で大切なルールや指示を守ることを指導しています。また、工賃アップを目指して作業環境を工夫しています。一般就労の可能性がある方には、就労支援プログラムを提供しています。
両事業とも作業プログラムはリサイクル品の解体、お菓子の化粧箱組立やラベル貼り・梱包、清掃作業等があり、作業品質や作業効率向上の為に治具を使用して取り組んでいます。全ての作業で手順を視覚的に理解して習得しやすくする為、手順書を活用しています。近隣企業から受注している本物の仕事に取り組むことで、厳しさや責任感等の働く姿勢を身につけ、就労のイメージを持てるよう支援しています。
就労後6ヶ月から3年6ヶ月の間は就労定着支援事業で毎月対面支援を行い、就労面や生活面の状況を確認します。また、就労先にも定期的に様子確認をし、課題確認や目標設定をして、安定した就労生活の継続を支援します。サービス終了後も安定して働き続けられるように定着支援を継続しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/07/25(契約日) ~2023/03/15(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2016年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)企業の生産現場を意識した作業環境で利用者支援が行われています
事業所の作業環境は、実際に存在する企業の生産現場のような中で利用者指導が行われています。作業室のボードでの利用者の配置状況、月間作業予定と進捗状況の表、治具を利用しての作業訓練、そして、全ての仕事に手順書があるなど、日本のものづくりを担ってきた優良企業の生産現場と同様の管理手法が導入されています。一般企業を退職したOB職員の有効活用などによって、これらの管理手法が確立されたものと思われます。

2)福祉、教育関係の見学者を受け入れ、社会貢献しています
事業所には、コロナ禍以前では年間1,000名程、コロナ禍の昨年でも400人を超える見学者の受け入れを行っています。見学者は区職員や施設など福祉関係、特別支援学校保護者や教員など教育関係、その他、企業や行政関係など多岐にわたっています。就労移行支援事業所としての歴史や、その実績が広く認められたことが結果として表れています。就労に向けての訓練内容やプログラムなど蓄積されたノウハウを各方面に開示し、社会貢献を果たしています。

3)職業人として、仕事と真摯に向き合う姿勢を学んでいます
「事業所は育成の場」であることを重視して、利用者の働く力を支援しています。作業プログラムの化粧箱組み立てでは水引の複雑な工程にも取り組み、シール貼りではほとんど誤差なくできています。クオリティーの高い完成品が企業の信用を獲得し、次の注文につながっています。働く事の楽しさと厳しさ、完成度の高さを追及して努力する姿勢を、利用者は日々学んでいます。就労定着支援の同窓会でも、「ぽこで勉強した基本が、働き続けるために大切だと思う」との言葉が聞かれています。

4)利用者支援のよりどころとなるマニュアル作りが期待されます
職員の業務改善提案により、現在、職員業務マニュアルを整備中です。これまでも業務内容をまとめていましたが、より詳細に現行の利用者支援に則したマニュアルの作成を目指しています。項目ごとに担当者を決めて、全文を職員が執筆します。現場を反映した内容であるとともに、人権尊重や権利擁護などの利用者支援のあり方にも言及することが望まれます。事業所が長きに渡り培ってきた障害者支援と就労支援の標準化であるマニュアルが、日々の支援のよりどころになることが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
就労支援や定着支援の実績・ノウハウを評価していただき、今後も利用者さんの特性に合わせて丁寧な支援を継続していきたいと考えています。また、対象者や雇用情勢の変化に合わせて支援内容のブラッシュアップに取り組んで参ります。
 これまでは施設運営の上で、法令を遵守しているかどうかの行政監査への対応に重きを置きがちでしたが、第三者評価の受審は、準備の段階から職員間で話合い、提供しているサービスの質について振り返える貴重な機会となりました。必要な事柄は説明していると捉えていましたが実際にはしっかりと伝わっていなかったなど、利用者さんの目線に立てていない事がアンケート結果からも伺え、大きな気づきとなりました。また、利用者さんの意向をアンケートで定期的に確認出来ていなかった点、事業計画に意向がしっかりと反映されていなかった点など、今後取り組むべき課題が明確となりました。出来る事から直ぐに改善に向けて取り組んで参ります。
 利用者さんの意思決定支援のために多くの経験や選択肢を提供し、その経験から意向を引き出すことが必要で有ると考えていました。しかし、提供するサービスの前に、きちんと利用者さんが何を希望しているのかを丁寧に聞き取り確認し、その上でサービスを提供していく事こそが重要であると再認識しました。意思決定支援を丁寧に行えるよう職員のスキルアップに取り組む計画を立てています。今後も選ばれる施設を目指し、サービスの質の向上に邁進して参ります。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念、ミッション、コミットメントをホームページやパンフレットに記載しています。法人理念を事業所の目的「知的障害をもつ人が、作業を通じて社会的自立できるように支援する」の文言に展開し、3つの支援の柱「知的障害者が働く職場の創出」「知的障害者の働く力の育成」「働いている知的障害者の継続的フォロー」と定義しています。職員は入職時、配属後、その後の全体研修などで学びを深めています。毎年度の事業報告書に事業所目的と3つの柱を明記し、利用者や家族へ配布して周知を図っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

管理者は法人の経営会議に出席し、横浜市全域の地域福祉計画の内容を把握分析する機会としています。事業所は複合施設内にあり、施設内の地域ケアプラザとの関わりを始め、介護保険事業所、地域包括支援センター、地域活動交流事業、生活支援体制整備事業などの事業所との交流があります。横浜市全域の地域福祉計画の内容を把握分析する機会もあります。また企業の雇用状況や特別支援学校の進路傾向の把握に努めていますが、更なる分析を課題としています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

経営会議の出席者は、理事長、常務理事、施設長を筆頭に、障害福祉サービス事業、地域福祉推進事業、就労支援センター事業の担当理事が出席し、法人運営での課題や問題点を議題としています。また課長会議は8名で構成し、現場目線での課題分析やサービスの方向性を話し合い、部署ごとの内容は役員によるヒアリングにて報告しています。理事会の記録はイントラネットに掲載しており、常時閲覧可能として、職員への周知を図っています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

現行の中・長期計画は、第3期「発展強化計画」と標して、2018年度から2023年度の6ヶ年を計画年度としています。法人内各事業所の運営方針と6ヶ年の重点行動計画を明記しています。6ヶ年の重点行動計画前半3ヶ年の振り返りと後半3ヶ年に向けた方向修正を中間報告書にまとめ、現在は第4期6ヶ年計画の策定に入っています。2018年度末にて自立訓練事業(生活訓練)を廃止して、就労移行支援にデイリープログラム(集団プログラム)を組み込み、支援プログラムの見直しを行っています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

6ヶ年の重点行動計画を踏まえて、単年度の事業計画を策定しています。全事業所が重点目標を掲げ、それぞれのサービス種別ごとに、利用者人数や工賃金額、実施率などの具体的な数値を挙げて、実施状況の評価に向けた内容となっています。法人の管理部と経営戦略室においても、重点目標と分野別詳細を記載しています。半期ごとに各事業所で振り返りを行い、理事会へ報告しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画書策定には主任職以上の職員が参画し、職員の意見把握やまとめ、分析して反映しています。年度始めに常勤ミーティングと全体ミーティングで目標を共有し、中間期には、目標達成に向けて進捗状況や取組の方向性を確認しています。前年3月に策定、10月に見直しと中間評価を実施して、年度末に最終評価を報告書にまとめるスケジュールとなっています。報告書には個別支援計画の変更事項や就労先会社名、離職後の利用状況など事業内容の詳細についても記載しています。また「工賃のきまり」を同封することで、工賃の評価基準や特別手当の共通認識を図っています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画書は全利用者に配付し、家族へ手渡しを依頼しています。またホームページでも閲覧可能となっています。事業所ごとの重点目標と運営計画、就労移行支援、就労継続支援B型、就労定着支援の3事業所それぞれの目標数字も記載しています。事業計画の見直しと評価は報告書にしています。コロナ禍以前は保護者会で報告書を配布し直接説明と報告をしていましたが、現在はコロナ感染拡大のため保護者会を開催していません。送付票としてA4用紙「お知らせ」を同封して、不明点などへの説明を受け付ける旨を伝えています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

日々の業務や利用者支援を見直してヒヤリハットに拾い上げ、全体ミーティングで共有し、具体的な対策の実行に向けて話し合いを重ねていきます。実行段階では更に、次のステップへのヒヤリハットを見つけ出し、対処していくという好循環が生まれています。毎月開催する給食委員会では利用者や職員からの意見や要望を聞き取り、給食内容に反映させています。また虐待防止・身体拘束適正化に関するコメントを第三者委員から受け付け、福祉サービスの質的向上につなげています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

第三者委員のコメント、ヒヤリハット、苦情受付内容を職員間で共有し、改善策を話し合っています。毎日の常勤ミーティングや月次の全体ミーティングの検討内容を書面で回覧しています。虐待防止ガイドライン作成にあたり、第三者委員のコメント「一般職員も巻き込んだ作業、定期的見直しの必要性」の文言を具体化しています。安全衛生委員会は定期的に職場巡回を実施し、職場環境として改善を要する箇所をピックアップして報告しています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

管理者は、常勤ミーティングと全体ミーティングで経営状況について職員に発信し、事業所の立ち位置や方向性を示しています。広報紙「ぽこ新聞」では施設長として挨拶文を載せていますが、職員が理解するための課題もあります。管理者の役割と職務分掌については、規程に明文化しています。業務分担表やコロナウイルス感染症発生時の業務継続計画(BCP)に、管理者不在時にはサブ担当者へ権限委任する旨が明記されています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

管理者は法人内の管理職対象研修に参加し、法令について学ぶ機会を得ています。事業所のミーティングでも、利用者支援に直接的に関わる障害者総合支援法、障害者差別解消法、障害者虐待防止法、個人情報保護法などについての学びを深め、日々の利用者支援を考える契機としています。授産取引先や外部実習先とは、改正雇用促進法を始め関係法令遵守を基本とした契約を取り交わしています。直近では、短時間労働者の社会保障適用拡大やインボイス制度、電子帳簿保存法に取り組んでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

サービスの質的向上については、毎日のミーティングや常勤ミーティングの中にケース会議の時間を設けて、利用者支援について話し合っています。困難ケースの対応では、保護者面談に管理者が同席し、スーパーバイズをしています。毎年、常勤職員間では課題改善提案会を開催し、勤務時間前の事業所での過ごし方など業務全般の改善に向けた取組を継続しています。内部研修では職員が現場経験をもとに資料を作成し、利用者との接し方や指導のあり方について学び合い、福祉サービスの質的向上を目指しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

管理者は法人の経営会議で、人事、労務、財務などの経営分析や改善課題について見識を深めています。また職員の超過勤務時間など勤務状態の把握を通じて、業務分担の見直しを行い、スキルアップへの助言や業務負担の平準化を働きかけています。また職員がコンスタントに業務改善提案を提出し、地図やスケジュールのアプリケーション利用や箱折り作業の手順書改善が実現しています。業務改善については常勤・非常勤の職員数名でチームを作り、実施に向けて取り組みを行っています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:a】

人材確保は法人管理部が主体となり、法人全体で計画的な採用活動を実施しています。事業所では、今後の事業のあり方に即して、職業支援員を含む職員体制について検討しています。人材育成については、キャリアパス制度を導入しています。職位別の役割や取り組むべき業務レベルを明文化しており、職員はその役割や業務を中心に担っています。職員一人ひとりに見合った目標を考課面談で設定し、半期ごとに振り返りと評価を行っています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

半年に1回常勤職員に考課面談を実施し、考課者と被考課者の双方で目標達成度や評価理由を確認しています。面談の一連の流れは面談シートにまとめて記録しています。職位ごとの役割の習熟度によっては上位職位への昇格の可能性があり、その基準はキャリアパス制度に定められています。昇進は、施設長が提出する「昇進具申書」を経営会議に諮る仕組みとなっています。職員処遇の基準などの周知と納得について、職員の認知に課題があります。今年度は、考課者・被考課者共に外部講師による研修を受講しています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

超過勤務時間数や有給休暇消化率を確認して就業状況を把握するとともに、職員の心身状態の変化にも適切に対応しています。年に1回、ストレスチェックを実施したり、隔月で来所する産業医との面談を提案するなど配慮しています。育児休暇、出産休暇、時間単位の有給休暇、時短勤務など、働きやすい職場が実現しています。現在は男性の育児休暇を推奨しているところです。コロナ禍で入職した新人職員に、事業所間で声をかけ、同期交流会のセッティングを試みるなど、職員定着の観点からの取組も進めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

イントラネット上にはキャリアパス制度に沿って、求められる役割やヒューマンスキルが記載され、目標設定水準の理解を図っています。考課面談は半期ごとに行い、4月に個人の年間目標を設定し、10月に上記の振り返りと目標達成度を評価しています。年度末の考課面談では下期の振り返りと目標達成度評価、更に年間のキャリアパス評価を継続実施しています。考課面談における考課者と非考課者ともに研修を受けて、考課面談の有効活用につなげています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人のコミットメントに「絶えざる研鑽と成長」の文言があり、期待する職員像として明記しています。法人指定の資格には社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、看護師、日商簿記2級などがあり、在職中に指定の資格を取得すると、資格手当と表彰金が支給されています。事業計画には事業所内部研修を位置づけていますが、計画の見直しに課題があります。新規配属職員に対しては長期的な職員育成計画を策定し、スキルアップを図っています。年度末に研修内容や参加頻度などカリキュラムの評価と見直しを行い、事業報告にまとめています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

毎年横浜市に提出する体制届で、有資格者状況を確認しています。職員一人ひとりのスキルやキャリアを把握し、考課面談にて職場教育や内部研修について個別に提案しています。その際、到達イメージを職員本人と確認しながら、業務の幅を広げていく視点を大切にしています。外部研修についてもチラシやイントラネットで情報提供し、参加を推奨しています。常勤、非常勤ともに研修費と交通費の補助があり、継続的な学びの体制を整えています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

県内はもとより県外からも教員や企業の研修を多数受け入れ、障害者就労支援のフロントランナーの役目を果たしています。コロナ禍以前には社会福祉士の実習生を受け入れ、約1ヶ月間に及ぶカリキュラムを組んで対応していました。現在も事業所には社会福祉士実習指導者の有資格者が在籍しており、来年度の実習受け入れが確定しています。来年度の受け入れ再開に向けて、育成に関する基本姿勢の明文化、マニュアル整備、実習指導者への研修、学校側との継続的な連携が目下の急務としています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページには法人のミッション「最善・最適な幸福の提供」の文言を大きく記載し、情報開示の項目では毎年度の事業計画・報告、会計報告や規定類などを公表してします。その他の項目として、身体拘束適正化のための指針や役員等名簿、事業報告の中では苦情内容なども閲覧可能としています。特別支援学校や障害者雇用企業などの見学時に理念や基本方針を伝えるとともに、養護学校向けに動画をアップする工夫も行っています。磯子区自立支援協議会で就労移行支援のパンフレットを作成し、事業所内容や特徴を地域に向けて発信しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

事務や経理は事務処理マニュアルや事務決済規程に則り、ルールを定めて、公明正大を旨として行っています。物品購入、契約事務に関する事務など、詳細なマニュアルを整備しています。規程集の中に職務分掌を定め、権限と責任を明文化して職員に周知しています。課長職の職員が他事業所に赴いて内部監査を担っていますが、時期など監査の仕組みに課題があります。法人としては、外部の公認会計士、監査法人、社会保険労務士などの専門家による監査やアドバイスを受け、業務改善に取り組んでいます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

障害者の就労支援のパイオニア的存在である事業所は、全国各地から見学者を受け入れています。事業所の立地する地域との関係では、地域のグループホームや相談支援事業所と連携して活動を行っています。地域の生活介護事業所や、子育て支援の活動拠点で、利用者が清掃活動を担い、地域と関わりを持つ機会となっています。又、コロナ禍前は、地域の支援学校中学生の体験実習の受け入れも行っていました。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

作業を中心としての育成を行っている施設であるため余暇活動も少なく、その為、本来の意味でのボランティアの受け入れは行っていません。特別支援学校からの実習生(将来は事業所の利用者になる可能性がある生徒)や、福祉や企業、教育関係の見学者を多数受け入れています。事業所の実践する指導方法や作業に使っている手順書がしっかりしていると評判で、多数の見学希望者の受け入れを社会貢献活動として行っています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

NPO法人の障害者雇用部会での定例会や企業分会に参加し、企業や学校との情報共有や連携を図っています。また、磯子区自立支援協議会就労支援連絡会で地域の状況を把握し、課題解決に向けた取組を行っています。相談支援事業所とはモニタリングや面談同席などで支援の方向性の共有を図っています。その他、横浜知的関連施設協議会や全国就労支援事業所連絡協議会とも課題を共有して、行政の政策要望に反映させたり、法制度への働きかけを継続しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

広範囲から利用者が通所しているため、特定の地域との関わりや福祉ニーズ把握の機会は多くありません。関係機関・団体との連携では、障害者雇用部会の企業分会、自立支援協議会就労支援連絡会、横浜知的関連施設協議会(生産活動就労支援部会)での活動に参加しています。これらの関係機関と課題を共有し、課題解決の活動を行っています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の福祉ニーズというよりは、全国的な知的障害者に関する福祉ニーズに対して公益的な事業、活動を行っています。地域においては、福祉避難所として指定されており、地域の避難困難者受け入れに向けての協議会の情報確認、会議への参加、備蓄品の整備、福祉避難所情報受伝達訓練等に取り組んでいます。また、JR新杉田駅、シーサイドライン新杉田駅、商業施設ビーンズとの4者防災訓練に定期的に参加しています。就労支援連絡会を通して、地域の事業所に就労支援に関するノウハウを還元する取り組みを行っています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人全体の共通理念として、「私たちの使命は最善・最適な幸福の提供です」と謳っています。この使命(ミッション)を達成するために、誓いとしていることは「絶えざる研鑽と成長」であると職員を鼓舞しています。利用者尊重や基本的人権への配慮については、毎年部署内研修として、利用者の権利擁護をテーマに定期的に実施しています。個別支援計画の策定にあたっては、利用者や家族の希望を常に確認した上で、具体的な計画を立てるように心掛けています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

事業所は、就労を目指す利用者の学びの場となっています。個人情報の保護や羞恥心への配慮について、各種マニュアルや書面で周知を図り、徹底しています。個人情報保護の観点から個人情報の漏洩は、一種の事故と認識しており、個人のロッカーや個人ファイルについても、その扱いを慎重にしています。個人情報の書かれたファイルを机に上に出したままにするなどが無いよう留意しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所の利用者の約8割は、特別支援学校あるいは養護学校の新卒の卒業生で、2割は引きこもりや就労経験者となっています。利用希望者の見学や実習を積極的に受け入れており、契約前に事業所の概要を把握してもらうよう取り計らっています。また、契約にあたっては、利用契約書や重要事項説明書について、ルビやひらがなを使い、分かりやすく簡潔にまとめたものを別途説明用に用意しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

利用者の受け入れにあたっては、経験の重視と個人特性の把握のため、実習することを前提としています。1~2週間の実習の結果を見た上で、本契約するようにしています。また、サービスの開始にあたっては、アセスメントの後、暫定支援計画を作成し、60日間の暫定期間を経過した段階で、個別支援計画を確定するようにしています。最初の個別支援計画の説明は、保護者の同席のもとで行っています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所での就労に対する訓練や学びを経た後でも、本人の意向変化や仕事や作業内容との不一致など、他の施設や他のサービスに移行する利用者も存在しています。他施設へ移行する利用者には受け入れ先施設及び相談支援などの関係機関に対し、必要に応じて、本人の障害特性や支援経過などの情報提供を行っています。ただし、マニュアルなどの手順書に引き継ぎ文書などのルールは定めていません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:c】

意見箱を設置し、その都度、利用者からの意見や要望を確認しています。また、個別支援計画の改定時に、本人及び家族から生活やサービス利用に関する希望を必ず聞き取っていますが、満足度を把握する取組は行っていません。コロナ禍以前は、年に一度家族会を開催し、意見や要望を聞き取る機会を設けていましたが、近年は事業報告書の送付のみとなっています。利用者対象の行事も一旦中止となり、行事についての希望を確認する機会がなくなっています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

契約書と重要事項説明書に苦情解決制度の受付窓口を明記しています。事業所内の窓口以外に第三者委員にも相談できる事、行政機関その他の外部機関にも相談できる事を記載しています。苦情を受け付けた際は、毎日のケース記録と苦情報告書に記載し、各職員へ周知しています。また、苦情報告を、安全衛生委員会や第三者委員も出席する苦情解決委員会で議論し、解決策や再発防止策につなげています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

苦情や要望への対応として、重要事項説明書の文言にルビを振ったり、ひらがなの説明などで分かりやすく簡潔にまとめたものを別途説明用に用意し、配布しています。意見箱を設置し、自由に意見や要望を投函できるようにしています。利用者が意見を述べやすいように配慮していますが、利用者からの評価につながっていません。相談を受ける場合は、利用者のプライバシーに配慮できるよう、必要に応じて個室での面談対応も実施しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

相談や要望を受けた時には、その内容を書面の他、電子データとして入力し、迅速にリアルタイムで情報共有しています。そして過去の分も含めて相談や要望内容の情報を検索して抽出可能な環境が整備されています。法人内の安全衛生委員で、各部署の相談事例を共有し、議論しています。その内容を周知し、サービスの質の向上につなげています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

法人内の安全衛生委員会がリスクマネジメントについても担当しており、月1回の会議で、事故やヒヤリハットの事例の共有や対策を担っています。毎日の職員ミーティング時に、必ずその日の事故やヒヤリハットの共有を行い、原因分析と再発防止対策も考えています。全体ミーティングで非常勤職員にも周知が図られています。新任職員の導入研修時には、専門知識と経験を有する職員が講師となって安全教育を行っています。また、リスクマネジメントに関しては定期的に職場内研修を実施しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

ここ2年ほどは新型コロナウィルスの感染予防を中心に感染症対策を行っています。利用者の作業位置を毎日記録しています。面談室のパーテーションの設置、対面にならない様に食堂机の円形テーブルを廃止しています。食堂では万が一の濃厚接触疑いが発生した場合用に、カメラによる1週間分の映像記録を残しています。利用者には感染予防と体調不良時の対応についてマニュアルを配布し、検温シートも配布し、毎日の体温を図ってもらい記録しています。職員と来館者にはサーモセンサーで体温をチエックし、職員は週2回、抗原検査を励行しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

年2回、職員と利用者の参加による避難訓練を実施しています。地域の鉄道会社や商業施設と協力して、4者合同防災訓練も行っています。消防法に基づき、定期的な消防署員の立ち入り検査も実施しています。緊急時には各家庭に一斉メール配信サービスが利用できる体制としており、職員へは電話とSNSによる連絡網を構築しています。福祉避難所として指定され、食料の備蓄はミルクまで用意されています。津波の被害も想定し、備蓄庫を5階と1階の2ヶ所に設置しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

提供するサービス内容については、利用契約書や重要事項説明書、個別支援計画書に明示し、必ず本人や家族に説明しています。パワーブックという業務マニュアルがあり、施設内手続きと就労支援業務について詳細が記載され、業務内容の確認に使われています。各取引先からの利用者の請負作業については、取引に応じた作業手順書を用意して標準化に努めています。ただし、マニュアルや手順書通りに業務を進めているか否かを確認するための仕組づくりは、今後の課題となっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

利用者に支払う工賃額については、年に一度の工賃改定(作業評価)により定期的に見直しています。また、個別支援計画などの書類についても、より分かりやすい形にして目標を意識しやすいものにできるよう見直し、改定を行っています。ただし、マニュアルや手順書を定期的に見直しています。サービスの提供の実施方法について利用者の声を反映させることについては、今後の改善が期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

基本的に実習を経た後に利用者を受け入れる方針となっており、実習終了時に評価表を作成し、計画と照らし合わせて一連の習得項目の達成度を記しています。利用に先立つアセスメントは、所定の書式に沿って行われています。サービス管理責任者と支援課長、現場職員が参加して話し合い、個別支援計画を作成しています。個別支援計画は、必ず本人や家族の希望を聞き取った上で作成し、計画書にもその内容が記載されています。毎月、目標に対する作業と生活両面での振り返りを行っています。自己評価をした上で他者評価も行っています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画は、原則として3ヶ月ごとに見直しています。就労に向けた現状評価と課題を、社会人としての生活全般と施設内作業に分けて評価しています。項目ごとに強みと課題を抽出し、今後3ヶ月の方向性と支援を記載しています。個別支援計画を更新する際には、必ずサービス管理責任者が同席の上、ケース会議を実施しています。個別支援計画の改定、状況変化による緊急の変更の場合は、家族や支援機関同席の面談を実施しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の日々の支援記録は、書面の他に、電子データによる記録も行っています。情報共有のアプリを利用し、各職員は入力した内容をリアルタイムで見ることができます。又、作業評価表や個別支援記録もサービスごとに決められた様式に記入しています。入力したデータを検索抽出する仕組みもできているので、利用者の意見や要望の他、各利用者に関係する情報を、各職員が閲覧することが可能な環境が整っています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

個人情報の取扱いについては、法人で機密文書の管理に関する内規を定めています。利用者に対しては、利用契約時に個人情報の取り扱いや個人情報保護について説明しています。個人情報が記載された個人ファイルは、鍵付き書棚に保管しています。パソコン内の電子データ情報については、個人別にパスワードを設定し、アクセス制限も設定しています。USBによる保存を不可能にするなど、情報漏洩に細心の注意を払っています。個人情報のセキュリティについては、法人のネットワーク委員会が主導し、各部署の環境整備と指導を行っています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画書の生活面、社会性、作業性それぞれの活動について「強み」と「課題」の記入欄を設け、利用者の力を引き出す支援をしています。就労希望の聞き取りの際も、「働きたくない」「避けたい職種」などの選択肢もあり、利用者の意向を尊重した、柔軟性のある関わり方を大切にしています。基本的にはルールやスケジュールを守ることを指導していますが、障害特性や配慮事項に応じて個別の対応を行っています。気温変化に弱い、においに敏感、音が気になる、眩しさが苦手など利用者の特性を把握して、無理なく作業に取り組める環境設定をしています。障害者権利条約や障害者差別解消法を基に、共生社会のあるべき姿についてミーティングで話し合っています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の権利擁護についての規定やマニュアルは、法人で整備しています。虐待防止委員会では身体拘束適正化のマニュアルも含めて、現在ガイドラインを作成中です。利用契約時には重要事項説明書と契約書の読み合わせを行い、利用者と家族に権利擁護の取組を説明し、「ハラスメント(権利侵害)は訴えてよい」のだと伝えています。緊急やむを得ず身体拘束を行う場合の三原則(切迫性、非代替性、一時性)や虐待の通報義務などを折に触れて確認し、職員に徹底しています。権利侵害が発生した場合、毎日のミーティング、常勤ミーティング、全体ミーティングで再発防止策について検討する手順となっています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の心身状態や生活パターンの変化に注意を払い、一人ひとりの生活への意向や希望を日々のコミュニケーションの中で把握しています。個別の業務日誌に、自分で決めた「今日一日の目標」を記入し、終了時には達成度を振り返っています。服薬管理、身だしなみ、早寝早起きなど利用者の苦手なことへの克服方法として、一人ひとりの課題に応じたチェックカレンダーを提案しています。寝不足で仕事への集中力が低下した人でも、チェックカレンダーの活用により、生活リズムが安定した例もあります。日常生活が安定してくると、仕事との向き合い方も変化して、意欲的に取り組む姿が見られるようになっています。ハローワークへの同行、横浜市の通所者交通費助成事業の取りまとめ、事業所での障害支援区分認定調査実施などの支援も行っています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者とのコミュニケーションを図る際には、即時対応と具体的な声かけを基本としています。意思疎通が十分にとれない利用者であれば、行動や表情、しぐさなど言葉に頼らない表現を読み取っています。話し合いの席では必要に応じて、ミーティング用紙に文字を起こしたり、イラストや写真を用いるなどの工夫をしています。職員が同行する新しい実習先についても、利用者の不安が募った場合には、実習を行う建物の写真や当日のスケジュールなどの視覚化により、不安軽減につながった例もあります。構音障害がある利用者のコミュニケーションツールとしてカードを利用しています。利用者と職員が一緒に作成した、会話文を記入した単語帳式カードが、有効なコミュニケーションツールとなっています。またタブレットへのタイピングでコミュニケーションをとる場合もあります。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者の希望に応じて、できるだけ早めに相談の態勢をとるように心掛け、信頼関係の構築を目指しています。相談室や面談室の場所を設定する時もあれば、作業室内の静かなスペースで話しを聞く時もあります。「企業見学に行ってみたい」「仕事に集中するにはどうしたらいいか」「ガイドヘルパーについて知りたい」など様々な内容を聞き取っています。相談に対しては、情報提供や助言を行い、必要に応じて相談支援事業所と連携して支援しています。利用者が内容を整理しながら話せるように、職員がミーティング用の紙面やホワイトボードに文字を起こしています。相談内容はデジタルのノートブックアプリケーションに入力して、職員全体で共有しています。サービス管理責任者への報告を経て、ケース会議で個別支援計画への位置づけを検討しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

お菓子の化粧箱組み立て、ラベル貼り、梱包、清掃、リサイクル品の解体など、さまざまな作業プログラムを用意しています。利用者の希望や要望に基づいて、個別支援計画に沿った支援を実施していますが、支援内容は随時見直しをしています。就労定着支援事業として、勉強会と同窓会の余暇活動を継続しています。勉強会では「コロナ禍におけるリフレッシュ方法」を話し合い、同窓会では長期就労者の勤続表彰を行うなどしています。利用者も職員も楽しみにしているイベントとして外出行事やボランティアと行く宿泊旅行がありましたが、現在はコロナ禍により中止となっています。今年は法人の設立母体からプロバスケットボールの試合観戦の招待を受けています。利用者から運動不足解消の相談を受けた際には、障害者スポーツ施設について情報提供をしています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

「自閉症基礎セミナー」「パーソナリティー障害」「神奈川県意思決定支援ガイドライン研修」など、職員の経験やスキルに応じて外部内部の研修に参加し、障害に関する学びを深めています。就労支援では、挨拶の仕方や電話応対マナーなどの基本を毎日5分のワーク(座学)で学んでいます。障害特性への対応としての「定着するまで繰り返し行う大切さ」を具体化しています。利用者と日々関わっていく中で、利用者個別の特性を把握しながら、適切な支援方法を模索しています。ノートブックアプリケーションで即時の情報共有が図られ、その日その時の利用者の変化に応じることが可能となっています。作業班の編成や外部作業の参加メンバー調整は、相性や障害特性へ細やかに配慮しています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事提供は業者に委託し、栄養バランスの良いおいしい食事内容はもとより、食堂の装飾も依頼しています。コロナ禍の現状では、黙食や食堂の時間差利用、テーブルを一方向に向けるなど、感染拡大防止策を励行しています。毎月開催の給食委員会で、味付けや食材など利用者と職員の意見を業者に伝えて、献立作成に反映しています。季節の行事食として、ひな祭りのちらし寿司、七夕のそうめん、ハロウィンのかぼちゃプリン、クリスマスケーキなどを希望者に提供しています。咀嚼状態や食事アレルギーへの対応として、代替の特別食を作っています。「特別食の日は、配膳時に自ら申し出る」と個別支援計画に記載し、利用者の意識づけを図っています。日常生活支援として、稀に手足を汚したり、失禁をしてしまったなどの場合には、清拭や排泄介助の手助けをしています。身体機能に問題のない利用者が多いため、移動移乗の支援は行っていません。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

複合施設内の清掃は、利用者が作業プログラムの一つとして取り組み、清潔感のある快適な空間となっています。作業室内も物の定位置を決め、台車や工具のしまい忘れや危険箇所がないかを確認して、定期的に整理整頓を行い、働きやすく安全な環境を整えています。利用者がルールや安全を意識しやすいように、わかりやすい言葉やイラストを用いた掲示物を貼り出しています。危険予知訓練は、毎日5分のワーク(座学)で繰り返し学んでいます。訓練作業室の丸椅子が人数分ないと利用者から指摘を受け、全員分の丸椅子を揃えました。食堂は全員が一度に利用できる広さではないため自由に休憩できませんが、それぞれが時間差で休憩する工夫をしています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所の役割が、知的障害のある人のための就労支援であり、身体的には問題を抱えている人がいないので、機能訓練は特に行っていません。就労に向けて、生活習慣や身だしなみに関するワーク(座学)を実施しています。歯磨きやうがい、髭剃りや衣類の身だしなみなどを利用者個人に対して適宜助言や指導をしています。個別支援計画に記載してプログラムとして、継続的に訓練を行う場合もあります。金銭管理や生活リズム、健康管理についてもワークシートを使用して指導を行っています。必要性があれば、法人の看護師や外部の精神科医と連携して、利用者に対しアドバイスを行っています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

重要事項説明書の医療及び健康管理の項目で、協力医療機関の精神科医に相談ができ、適切な対応ができるとしています。又、健康管理については、年1回、健康診断の実施、他施設(2階の地域ケアプラザ)の看護師による疾病予防・健康管理、規則正しい日常生活の指導、また、必要に応じて、毎朝のバイタルチェックなどをしています。就労の前提条件として自分で体調管理を行うことができるように指導することを最も重視しています。利用者の健康状態の把握に努め、状態に応じて、血圧・服薬管理・定期的な体重測定、食事・栄養指導、頓服薬の預かりなどを一人ひとり個別に対応しています。新型コロナの感染対策として、毎日自宅での検温に取り組んでいます。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が就労するにあたり、社会生活における必要な知識、例えば、電話のかけ方、挨拶の仕方などについてのワークを計画的に実施しています。又、利用者個人に対して、必要なワークを個別に実施しています。就職に向けて職種や勤務内容について利用者の意向を確認し、利用者の希望する職種を体験できる実習を設定したり、企業見学会を実施し、就労のイメージ作りを支援しています。就労者に対しては、就労における基本姿勢や日常生活に必要な知識についての勉強会を定期的に開催しています。外出外泊、友人との交流へについて事業所での対応はありません。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者が家族から離れて一人暮らしを始めたり、グループホームの利用開始や終了時には、利用者の新生活への不安や疲労感に対して手厚いフォローを心掛けています。家庭からグループホームへと生活の場が移る際には、家族や関係機関と連携して、移行後も生活を安定して送れるように支援しています。事業所までの経路や交通機関についても、確認を重ねます。相談支援事業所と連携をとり、必要なサービス利用を検討することもあります。就労する場合は、就労後に自立生活を考えていけるよう情報提供の機会を設定しています。又、就労移行支援、就労継続支援B型、就労定着支援のサービス種別変更時も、プログラム内容が本人と合っているかカンファレンスを開いて、円滑な移行になるように配慮しています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

年1回は、個別支援計画作成時のカンファレンスに家族の同席を依頼しています。その際、家族に対しては、客観的な立場で情報提供しています。日々の支援の中で必要があればその都度家族と連絡を取り、情報共有や助言をしています。体調不良時は、先ず利用者本人の体調確認を行い、早退する場合は、家族やグループホーム職員と確認してから帰宅してもらっています。軽微な不調の場合は、体温チェック表にメモをつけるなどの手段で報告することがあります。家族への連絡は適切に行われていますが、家族に連絡すべき状況か否かを判断するルールについて、マニュアルなどに明文化することが期待されます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が就労に向けて働く可能性を引き出せるように作業環境を整えたり、必要に応じて全体ワークとは別に個別ワークを実施しています。例えば、電話を掛けるということを習得するために、外部作業として電話を掛けるロールプレイングを実施したり、体験実習として、パソコンを操作してコピーやスキャンを行い、それをパソコン内に保存するなどの模擬作業を経験してもらっています。利用者本人が就職へのモチベーションを持てるよう、日々訓練として作業を行う中で、利用者から聞き取り、助言や話し合いを行っています。また、他の関係機関や家族と連携を図り、情報共有を心掛け、利用者の就労支援を行っています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者との面談で、参加を希望する作業を聞き取り、月2回の会議や日々行われている体制ボードの打ち合わせで利用者の適性に合った配置を検討しています。利用者が手順を理解しやすく、適正な難易度の作業を受注し、工程を細分化することで多くの利用者が取り組めるよう工夫しています。支払う毎月の工賃の額について、利用者にその根拠をわかりやすく説明する資料を作成し、どのような点が改善されれば工賃アップにつながるかを分かるようにしています。又、利用者が安全を意識できるように、スローガン唱和や危機予知訓練の取組を継続しています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所の就労支援員が、企業やハローワーク、就労支援センターと連携し、日々職場開拓の機会を作っています。一般的な求人情報を収集するとともに、利用者の就労の実績がある職場とは、就労定着支援員が定期的に連絡を取っており、求人情報があるか確認しています。就労定着の為に定着支援計画を用いて長期の目標や期間ごとの振り返りを実施し、企業と情報共有しています。さらに就労者とは、月1回面談を実施し、色々な相談に応じるようにしています。長年事業所の職員と家族しか知らずに生活してきた利用者が多く、一人暮らしの利用者が就労後、孤独な生活にならないよう見守り、アドバイスもしています。