社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

みらい伊勢原

2021年04月09日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 みらい伊勢原
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2009年08月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 特定非営利活動法人 未来
③ 理念・基本方針 ◇法人理念
「特定非営利活動法人未来」は、利用者が基本的人権を享有し、その人らしく安心して、生活が出来る地域社会の実現を目指します。を掲げています。

◇ホームの支援の考え
<笑顔があふれる安心ホーム>の支援の考えのもとで、安心の6つのポイントを掲げています。
①家庭菜園で緑と土とのふれあい、②栄養バランスを考えた食事の提供、③心と身体の健康と楽しいレクリエーションを実施、④各部屋に完備された清潔なお風呂とお手洗い、⑤各部屋に完備されたキッチンで自立のための社会生活の訓練、⑥外部からの危険を回避する安心のセキュリティの設置、について主なポイントに掲げ利用者の日常の生活支援を行います。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ◇利用者の住居は、アパート形式ですが、孤立感がないように支援しています。
ホームの構造は、アパート式で、住居は、玄関や浴室、トイレ、厨房などが設置されています。利用者は独立した住環境と自己責任で自由な生活をエンジョイできるよう支援しています。職員は、定期的に個人面談の機会を作っています。利用者は、リビングで一緒に夕食をとる等、利用者同士が懇談やくつろぎができる機会を作り、孤立感がないよう支援しています。更に地域生活へ移行を目指す利用者のためにホームの近くにサテライトの住居1室を設けています。行事への参加や食事提供、生活上の相談、緊急時の対応等の支援を行っています。 
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2020年09月07日
終了:2021年03月29日(評価結果確定日)
受審回数:初回(0年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 (1)家庭菜園に関わり、収穫した野菜をホームで調理しています
戸外の一角に職員・利用者が作る菜園があります。大根やトマト、キウリ、さつまいもなどの四季折々の野菜を作っています。利用者も日々の野菜の生育に関わり、心の癒しにもなっています。新鮮な野菜が食卓を飾り、利用者は、自分たちが育て、収穫した野菜に興味、関心をもって美味しく食しています。また食事は、月~金曜日の朝食と夕食を提供しています。食材を近くのストアから調達し、利用者の健康や好みなどを考慮して、職員がホームに於いて手作りで調理しています。利用者の皆さんから「美味しい」との話が聞けました。また外食や出前等も行い、変化のある食生活が出来るように支援しています。

(2)レクリエーション活動を実施し、日常生活が楽しくなるように支援しています
ホームでは、日常生活の支援の他に、定期的に各種のレクリエーション活動等を利用者が楽しい生活を過ごせるように利用者の意向を取り入れて実施しています。時季に応じた行事として、正月の行事やバレンタインデー、節分、暑気払い等を実施しています。誕生会や日帰り温泉の実施、他の団体の行事にも参加しています。また菜園での活動は、随時に行って野菜の生育状況や季節を感じてもらっています。これらの活動が利用者同士のコミュニケーションを深める大切な機会となっています。

(3)関係団体と連携をとってホームの運営に活かしています
行政や県精連、ブロック会、グループホーム部会など多くの団体に所属し、制度や事業運営などの情報収集・情報交換を行い、よりよい利用者支援ができるように活かしています。市内の「市精神障がい者を支える事業所連絡会」にも積極的に参加しています。同連絡会は、毎月定例会を設けて、家族サロンや講演会が行なわれています。障害者への理解を広く啓発し、地域共生社会の実現のため、また情報交換を目的として参加をしています。
改善を求められる点 (1) 中長期計画の策定
単年度計画については、一定の手順のもとで策定され、職員及び各方面に周知されています。また着実な実施に努めています。更に今後、理念や目標等の実現に向けて中長期計画の策定について考えています。引き続き検討が望まれます。また単年度計画についても中長期計画にもとづく策定が望まれます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

理念として、「利用者が基本的人権を享有し、その人らしく安心して生活ができる地域社会の実現を目指します」。を掲げています。職員への理念の浸透を図り、理念にもとづく支援に努めています。

◇課題と考えていること

障がい者への理解について、地域社会へ啓発の継続・努力が必要と考えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

会計事務所に相談し、アドバイスいただいています。資金繰りに関して、NPO協働推進課に相談の必要を検討しています。

◇課題と考えていること

人件費率の多いことや、単体での運営の厳しいこと。
経営・運営の分析が必要であると考えています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

単年度計画について、利用者が生活の中に楽しみ、本人の納得の出来る生き方を見いだせるよう策定しています。
臨機応変に変更を行っています。


◇課題と考えていること

今後、法人として、中/長期計画の策定を書面化していくことが必要と考えています。
ビジョンと現実的見通し(資金等)の差を感じているところがあります。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

職員全員が主体的に福祉サービスについて研修を受け、ホームに報告し支援の質を高め合い情報共有をしています。職員同士が意見を出し合い、支援の質を高めています。職員の代案のある意見を積極的に取り入れています。

◇課題と考えていること

定期的な職員間の捉え方の違いのチェック機能及び、振り返りの機会が更に必要と考えています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

管理だけではなく、皆で一緒にという姿勢で組織を保てるよう、個々の考え、意見を多面的視点で大切にし、取り入れています。地域というコミュニティへのハードルが高い利用者が、対人関係能力を培っていけるよう、職員各々に役割を担い、さらにレベルアップしていく組織・体制づくりを大切にしています。

◇課題と考えていること

この度のコロナ感染症に対する事業継続計画を立てたときに、管理者の指揮指導による単体のホームでは厳しいと考えていること。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

理念及び職員倫理綱領にもとづいて職員育成を図っています。また地域のマンパワーの確保に努めています。

◇課題と考えていること

職員の高齢化、障がいへの理解と人生経験をリンクした育成、収入の面での今まで以上の常勤の確保が厳しいことが課題です。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

社員総会、理事会での報告。NPO共同推進課やかながわ福祉サービスによる情報公開等に於いて公開しています。

◇課題と考えていること

監査を会計事務所の方に行っていただいています。しかし、より多くの意見を集約し検討する機会が少ないことが課題です。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

地域の民生委員や自治会長との意見交換。ホームが誰でも気軽に寄れる場所の提供。地域のお祭り、神社の例大祭への参加を積極的に行っています。障がい者週間等へ参加しています。

◇課題と考えていること

障がいを持つ方への偏見が根強い部分もあり、地道に理解をしていただけるよう関係を築いているが、地域住民とのコミュニティソーシャルワークの構築はこれからも課題としています。ボランティアの受入れについて検討が必要と考えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

職員倫理綱領を定めています。
自分の望む生活の実現のため、それを思い描けるよう意志決定支援に取り組み、その人らしさを大切にしています。エンパワメントを基本姿勢としています。


◇課題と考えていること

個別性に対応した支援の在り方及び、制度の狭間で支援が思うようにいかないことがあることが課題です。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

個別支援計画に係る面談の時間を多くとり、その際に改めてサービス提供に関する説明をするとともに、自己決定する機会とし一緒に考えています。

◇課題と考えていること

利用者が理解、納得を生活の中で自然に持てるようにすることが必要と考えています。 
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

定期的な面談の中で要望等の聞きとり、本人の不利益に繋がらないことは積極的に取り入れています。

◇課題と考えていること

日常の関わりの中で汲み取るようにしているが、アンケートの様な形式では、利用者の満足を調査した事の無いことが課題です。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

職員の人員を規定以上に配置し、利用者自身が話しやすい職員をみつけられるようにしています。定期面談以外にも要望により時間を設けて面談しています。利用者が気軽に話ができる環境づくりを大切にしています。

◇課題と考えていること

建物の構造上、別室での相談が難しいため、人に聞かれたくないことや相談はアポイントを取ってもらっています。意見はあっても苦情がでたことがない、苦情が言える環境設定ができているか考えています。対応マニュアルの整備が必要と考えています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

利用者の日々の変化などの情報共有を密にし、利用者の障がい特性に合った支援の方法を模索しています。

◇課題と考えていること

リスクマネジメントに関する体制の整備について検討が必要と考えています。小さな単体のホームであるからこそのメリットはあるが、デメリットに対しての計画的な取り組みが出来ていない部分があります。防災に関する他団体との連携が必要と考えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

マニュアルを基本としていますが、利用者一人ひとりの心身の状況が異なるので個人のストレングスに寄り添い個別支援を大切に取り組んでいます。

◇課題と考えていること

臨機応変な対応に職員の能力の差があることが課題です。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

4月にアセスメント等にもとづいて個別計画を利用者・家族及び関係者の協議のもとで作成しています。また10月には、見直しを行っています。

◇課題と考えていること

職員との距離感が近く客観的な個別計画が作成されているかが気がかりとなっています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

日々のサービス提供について利用者ごとの日誌や、ホーム全体に関わる業務の日誌、その他定められた様式にもとづいて記録しています。なお、利用者ごとの日誌について、時系列を追って記録し易いように、検討中です。

◇課題と考えていること

記録様式やマニュアルの更なる整備について必要と考えています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

自己決定が当たり前であることを職員間で常々意識し合えるように話しています。自分で決定できるように見守る、寄り添う、そして待つことを大切にしています。

◇課題と考えていること

本人の意思決定に際し、メリット、デメリットを伝え、納得までの支援の質や過程が課題と考えています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

職員倫理綱領を策定し、利用者の人権と権利を擁護することの徹底を図っています。利用者の意思決定が病状や障がいによって不利益が生じないように関係機関と連携して取り組んでいます。

◇課題と考えていること

家族の高齢化や身寄りのない利用者への成年後見人制度等の利用の必要性について考えています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

利用者の自己実現、願いや希望に添って、主体的な生き方を引き出し、課題対応能力を高め、利用者のストレングスを大切にした支援、及び断片的な支援にならないように努めています。病気や障害の自分だけではなく、楽しい人生を送れるよう寄り添う支援に努めています。

◇課題と考えていること

利用者の人生の中で継続される、途切れることのない支援について。
職員が利用者に関わるその時は、利用者の一部分である自覚を持ち支援の質を高めることについて。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

個別の生活スタイルに応じた支援、及びリカバリーに寄り添える支援を心がけています。日々の利用者の言動の変化を職員がより広く、多角的にキャッチすることに努めています。
関係機関と連携し、情報をもとに利用者支援に活かしています。


◇課題と考えていること

グループホームという枠の中で、障がい特性の様々な方を支援しています。特性に応じた制度支援がさらに必要と考えています。
記録のスキルアップが課題と考えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

個室で独居生活を想定した環境を完備しています。プライバシーの確保のため、本人の許可なく入室しない中で本人が適切な生活環境を維持出来るよう支援しています。温かい安心できる生活環境の雰囲気作りを心がけています。

◇課題と考えていること

本人の自己判断能力が低下した際の支援について。 
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

病気の再発を予防するため、生活の中の課題をキャッチし、本人が病識を持って、理解することで、自身で意識的に行動パターンを変えていけるよう支援しています。リカバリー出来ること、出来ないこと、知らないことへの支援の幅を広げ、丁寧に支援出来るように職員間で共有し、支援しています。 

◇課題と考えていること

生活能力はあるが、やらない方への必要性の理解、納得への継続的支援が必要と考えています。
アパートタイプなため、ある程度の所までは利用者からの報告、連絡、相談が重要で信頼関係が築けるまでの時間が課題です。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

関係医療機関との情報共有を密にしています。日々の体調の確認、変化を見守り、早めの対応を心がけています。障がいによる生活状況の弊害で二次障害が起きないよう働き掛けを行っています。訪問看護師によって利用者の健康管理が行われています。服薬の自己管理ができない利用者について、支援をしています。

◇課題と考えていること

入退院を繰り返す方への支援について。
災害時を想定した際の医療機関との連携について。
利用者が高齢になってきた際の内部疾患に対する支援や対応について課題と考えています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

レクリエーション等を実施し、様々な社会資源と関わるきっかけを提供し、経験値を高めていくことに努めています。ホームに関わる地域の方、様々な人生経験をもった方と関わることで、社会参加の促進につなげていくことに努めています。

◇課題と考えていること

職員の人生経験が押しつけにならないよう気をつけること、また職員自身が輝くことも必要であること。
福祉支援だけではない社会参加の情報提供の不足について課題と考えています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

地域のルールに則した、利用者のマイルールの確立への支援に努めています。
ホームは開設後地域に馴染んだ事業所として地元の祭りや神社の例祭に参加しています。居室はアパート型で一人ひとりが責任をもった独立した生活が出来る環境となっています。地域生活移行へ向けた支援を行っています。 


◇課題と考えていること

ホームを退所後の支援の継続について(自立生活利用者への支援が運営的に現制度では厳しい)と考えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

ご家族にしか出来ないことへの理解を得るため、適時にご家族支援を行っています。ご家族の本音を聞き取ることに努力しています。
法人代表は地域業界で積極的に活動しています。市内の事業者合同で家族の集まる場を作り家族同士の交流などに取り組んでいます。


◇課題と考えていること

ホームに家族の立場を求めてくる方への距離感について。
利用者を支えるパートナーとしての関係性の確立について課題と考えています。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 中長期計画の策定
単年度計画については、一定の手順のもとで策定され、職員及び各方面に周知されています。理念や目標等の実現に向けて中長期計画の策定が期待されます。また単年度計画についても中長期計画にもとづく策定が望まれます。
分類 ボランティアの受け入れによる地域との関係構築
地域住民には障がいを持つ方への偏見が根強い部分で残っています。地域住民との協力関係の構築は課題です。地域のボランティアの受入れについて検討を行い、お互いの理解につなげることが期待されます。
分類 リスク対策の総合的な計画策定
想定外のリスクが増えています。小さな単体のホームであるからこそのリスクマネジメント体制の整備が必要です。想定されるリスクを洗い出し、他団体との連携を含めたリスク対策の総合的な計画策定が期待されます。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人 2 名(男性 1 名、女性 1 名)

<ヒアリング方法>
各々の利用者の居室で行いました。2人の調査員が利用者各一人ずつ受け持って面談しました。

<調査結果の意見>
利用者2名からは、次のとおり事業所や職員への概ね好意的な意見が聞かれました。利用者が日中活動して、ホームへ帰宅した際に「ただいま」、職員からの「お帰りなさい」の明るい声が交わされていました。

① 丁寧な言葉で話してくれます。ホームに戻ると、「お帰り」と言ってくれます。
② 部屋に勝手にはいることは、ないです。話をするときは、リビングで話すことが多い。
③ 職員と自由に話すことができます。食事や風呂は、不満はないです。
朝ごはんは、おにぎりをホームで用意してくれます。土曜と日曜日は、自分で食事を用意します。
④ 計画書は知っています。写しをもらっています。面談があります。
⑤ お金を預かってもらっていません。
⑥ いやなことや困りごとがあった時は、職員に気軽に相談できます。すぐに対応してくれます。具合が悪い時は、医者に連絡してくれた。
⑦ ホーム以外に3人の相談できる人がいます。日中活動場所の職員と相談できます。兄と母に相談できます。
⑧ すぐ対応してくれます。夕方、調子が悪い時に食事を部屋まで運んでくれます。
⑨ 今は、コロナで自粛して外出をしません。普段は、テレビを見たりして自由に過ごせます。
⑩ ホームは、楽しいです。夕食を一人で食べたいです。
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