社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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やまと発達支援センターWANTS

2023年05月16日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 やまと発達支援センターWANTS 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 児童発達支援センター, 放課後等デイサービス 定員 10名/日(児童発達支援、放課後デイの合計) 利用人数は日々変動 名
所在地 242-0021
大和市中央5-2-31青柳ビル1階
TEL 046-244-6961 ホームページ http://www.tomoni.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2012年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:2 名
非常勤職員:5 名
専門職員
公認心理士:常勤1名 名
社会福祉士:非常勤1名 名
施設・設備の概要
療育スペース:2
相談室:1
事務スペース:1
共用トイレ:男女別
給湯設備:

③ 理念・基本方針
【法人理念】                                                Ⅰ.ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。                            Ⅱ.先駆的で開拓的な事業を展開します。                                 

【事業所理念】                                                やまと発達支援センターWANTSは、一人ひとりの子どもたちが抱いている思いや願い(WANTS)を一番に尊重しつつ、個々のWANTSの真の姿を一緒に探りながら、WANTSの実現に向けた支援をご家族を含めて継続的に行っていきます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
事業所は、「総合支援型」の支援の在り方を先駆的に具現化することを目指し、専門性の高い療育サービスを提供しています。利用児一人ひとりのアセスメントを多角的に行い、年齢や生活環境、障がい特性に応じた、コミュニケーション力の向上や社会的スキルの獲得を、バリエーション豊富なプログラムを通して支援します。また、保護者支援に力点を置き、家庭生活や地域生活における様々な相談に対応して、ひとつひとつの課題解決に繋げます。加えて、利用児の地域生活へのインクルージョンを推進するため、保育所・幼稚園や学校等関係機関との連携を積極的に行っています。青年期、成人期に向けては、法人内の障害福祉サービス事業所と連携し、必要な情報提供を行うとともに、見学や体験の機会を設けるなどして、一貫した支援を行っています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 (契約日) ~(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)ていねいなアセスメント、個別支援計画で子どもの成長を支援しています
事業所は、児童発達支援事業(未就学児グループ)及び、放課後等デイサービス事業を展開し『総合支援型』の支援を目指して、専門性の高い療育サービスの提供に努めています。利用契約時に、乳児期の発達状況、家庭での生活の様子、好き嫌い、よく出かける場所・頻度・移動方法などを把握し、丁寧なアセスメントをもとに指導計画を作成しています。また、利用開始後は、子どもの観察を通して、一人ひとりの能力を把握しながら目標を立て、効果、評価を繰り返しています。必要に応じて、田中ビネー知能検査、新版K式発達検査などの心理検査を併用しています。『靴の紐を結べるようにしたい』『忘れ物を減らしたい』など日常生活での要望に応えて、自分で出来ることを増やしてゆく支援に取り組んでいます。

2)子どもの希望や意向を尊重した学習支援を行っています
コロナ禍のため社会参加が難しい中で、子どもたちが利用する保育所・幼稚園・学校等との連携を積極的に行っています。子どもの希望と意向を把握し、必要に応じて学習支援を行い、学校での勉強の遅れなどによる学習意欲の低下を防いでいます。教科は中学生・高校生向けの数学と英語です。教員免許を持つ管理者が中心となり、教材は本人の教科書や学習用プリントを使用して学習を支援しています。

3)青年期、成人期にむけた支援を行っています
特に放課後等デイサービスに通う子どもたちに対して、18歳以降も一環した支援が行われるよう必要な情報提供や相談支援を行っています。障害福祉サービス事業所を多数展開する法人の強みを活かし、夏季学校休業期間を中心に、法人内の事業所での「プレ実習」を行っています。また、将来の地域生活をイメージする一助として、法人内のグループホームの見学会などもしています。

4)事業所の代表者、管理者を明確にすることが求められます
本来は「所長」が管理者と考えられるべきですが、日常的、実質的には「統括施設長」が事業所の業務ないし職員の管理を行っています。しかし統括施設長は、管理者として職務権限上の位置付けが「運営規程」に示されておらず、対外的にも明らかにされていません。所長の職務権限上の立ち位置も不明確です。一方で、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業としては、児童発達支援管理責任者の職員を「管理者」と位置付け、重要事項説明書にもそのように記載されています。対外的には児童発達支援管理責任者が管理者という取り扱いですが、運営規程によると管理者(1名)とは「事業所の従業者の管理及び業務の管理を一元的に行う」者としており、実際は児童発達支援管理責任者がそのような役割をしていません。所長や統括施設長はどのような立場なのか、管理者が誰なのかを内外に明確にすることは組織として重要です。今後の改善が望まれます。

5)事業所の情報提供と蓄積された手法等の文書化が期待されます
法人のホームページ内で事業所を紹介していますが、住所と電話番号の表示のみで活動内容等の紹介はされておらず、事業所独自のホームページもありません。子どもたちの発達支援という意義ある事業を社会に広く伝えるため、ホームページを始め、さまざまな手段を活用した情報提供が期待されます。また、専門的な療育分野で蓄積された手法や手順は貴重な財産です。事業所としてサービスの質の継承をはかるため、担当者の口頭による伝承に終わらせず、マニュアル化、文書化をしていくことが求められます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
 全体を通して、当事業所の状況を正確に評価していた だいたと思います。今回の第三者評価受検を通して、事業所としての強みと弱みを再認識できたとともに、自己評価を作成する過程で職員とさまざまな検討を重ねられたことはとてもよい機会だったと思います。
 一方、共通評価の項目は、いち事業所だけでは解決できない項目も多く、事業所の評価としては難しさを感じました。運営法人として取り組まなければならない課題も多く存在するため、事業所として法人への課題提起を含め、発信性を高めていく必要性を再認識しました。今後、特に業務の標準化を進め、ご利用者様により高い水準のサービスをご提供できるよう、持続・継続性のある事業所運営に努めたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念、基本方針、使命(ミッション)、職員行動指針は法人パンフレット、およびホームページに掲載されています。また、事務所スペースに掲示されており、いつでも職員は確認することができます。各年度の事業計画に理念にもとづいた年度方針、重点課題が書されており、職員は共有しています。利用者や家族への周知については特段の取組はありません。理念、方針について、より理解を深めていく取組は十分ではない、と考えています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

事業所の責任者として所長がいますが、実際上は統括施設長が実務的なリーダーシップをとっています。統括施設長は、毎月の所長会議の議事録を読み込み、社会福祉事業の全体的動向、法人経営の状況などを把握し、分析しています。経営環境に関しては、市内の児童発達支援事業所、放課後等デイサービス事業所の基礎資料を独自に作成し、開設、廃止などの動向や活動状況などをリサーチしています。事業所として、年間の利用見込み数と収支見込表を作成して、分析しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

事業所として経営状況の把握に務め、損益分岐点を見定めながら、職員体制の見直しや経営方針の検討を重ねています。赤字経営の改善が求めらてきたため、今年度は利用者増に取り組み、収入アップを達成し、収支の黒字化が見込まれています。しかし、一部職員の業務量の負担増加につながっており、これ以上の無理はできないとしています。児童発達支援はていねいなアセスメントとプログラムを続けることに意義があるため、そこは手を抜くことはできないと考えています。重大な経営課題について、事業所と法人の役員と認識の共有と、事態の改善への取組が望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

事業所としての中・長期計画は作成していません。過去に法人が策定した中・長期計画がありましたが、現状に合っていないと考えています。法人としてめざすべき目標、経営課題が事業所に伝わらない中で、事業所としても中・長期計画を作成するのは困難だとしています。法人と目指すべき方向性についての認識を共有していくことが望まれます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

中・長期計画の反映はありませんが、事業所としての重要課題を整理しています。今年度は、「総合支援型」の支援をより具体化し、単年度事業計画を強化していくこと、法人への成人期の接続機能をより強めること、働きやすい職場づくり、経営の安定化を掲げ、具体的な計画を記載しています。今後は、計画の実施状況の評価を行うことができるような、計画目標の立て方を工夫していくことが期待されます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、常勤職員と統括施設長の間で話し合い、意見を集約して策定しています。日常業務の遂行に追われているため、事業計画の実施状況の把握や評価は、感覚的に行っているだけで、計画的には行えていません。事業計画は、年末までに進行状況を振り返り、次年度の計画を検討するようにしています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:c】

契約時に、事業所の概要、利用内容、活動予定を説明し、利用契約書、重要事項説明書に記載されている範囲で事業所の取組を説明しています。利用者に年間予定表を配布していますが、事業計画の主な内容を利用者や家族等に周知することはしていません。今後、事業計画の主な内容を利用者、家族等にわかりやすく説明していくことが期待されます。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:a】

療育支援の活動終了後には、必ず30分程度の「ふりかえり」の時間を設けています。子どもたちの様子、指導員の関わり方、声のかけ方などについて職員で振り返り、次につなげるようにしています。個別支援計画は子どもの姿をもとに目標をたて、活動内容を計画し、働きかけを行い、その結果を年間の前期、後期で評価をしています。定められた基準に基づいた自己評価を利用者家族、職員にアンケート方式で毎年実施しています。評価結果は、ホームページに公開され、職員と管理者が打ち合わせの場で分析、検討し、事業計画に反映するようにしています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

自己評価の評価結果は分析され、事業計画に反映しています。職員間で課題について話し合い、その都度、改善策を検討して取り組んでいます。今後、計画的に改善取組を実施していくことが望まれます。自己評価の結果が毎年公表されていますが、結果だけでなく、事業所としての分析結果、所感、方向性などについて文書化されることが望まれます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

本来は「所長」が管理者ですが、所長は他の事業所と兼務となっており、日常的、実質的には「統括施設長」が当事業所の業務ないし職員の管理を行っています。しかし、統括施設長は、「運営規程」に示されておらず、管理者として職務権限上の位置づけ付けが不明確なうえ、対外的にも明らかにされていません。一方で、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業としては、児童発達支援管理責任者を、管理者と位置付け、重要事項説明書にも記載されていますが、経営や人事を含めた事業所全体の運営責任をもつ立場ではありません。管理者を内外に明確にすることは組織として重要です。今後の改善が望まれます。また、有事における管理者の役割と責任について、不在時の権限委任を含めて明確にすることも望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

統括施設長は遵守すべき法令等を十分理解したうえで、取引事業者、行政との適正な関係を保持しています。定期的に職員会議で虐待防止委員会、身体拘束等適正員会を開催しています。法人は前理事長名で「コンプライアンス宣言」を出しており、コンプライアンス室、公益通報制度を作り、規程を定めています。ハラスメント防止と相談窓口について、事業所内に掲示されています。法令遵守についての研修や勉強会の参加については、十分ではないと考えています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

統括施設長、児童発達支援管理責任者は共に、日々の療育活動を確認し、継続的に支援の質の現状について評価、分析をしています。とくに児童発達支援管理責任者は実際の療育内容について意欲的に取り組み、職員のなかでリーダーシップを発揮しています。毎回の活動後には必ず担当職員と話し合いながら、療育内容が適切だったかの振り返りを行っています。職員の教育・研修の充実については不十分と考えています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

統括施設長は、事業の収支見通しをデータ分析しながら、安定的な経営を目指して人員体制の調整や整備に務めています。利用者の数と職員体制のバランスをみながら、支援の質の向上と職員の働きやすさを求めて人員配置に努力していますが、なかなか思い通りにいっていません。採算性を上げたために、職員の負担が増大したという現状を、次年度はぜひ改善したいとしています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

「運営規程」には、事業所とって必要な人員が記載されています。また、職員の資質向上のため、採用時研修(採用後1ヶ月以内)、継続研修(年3回)を実施することが記載されています。公認心理士、児童指導員、保育士の専門職を配置しています。ただし、現行の人員体制で療育サービスの質を維持しているため、職員の長時間の超過勤務を余儀なくされています。そのため人材確保が目下の重要課題と考えています。また、日常業務が多忙なため、研修の時間を確保できないことを課題としています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は「職員の行動指針」、「職員倫理行動マニュアル」を策定し、法人として期待する職員像を明確にしています。「給与規程」、「基本給表」に職種ごと、級・号俸にもとづいた給与支給が行われています。「昇給、昇格、昇進に関する細則」には、所長などの推薦者により審査会を経て理事長が判断するとの手続きが定められています。諸規定について職員は事務所で閲覧することができます。過去には一定の人事基準に基づいた目標管理がありましたが、現在は中断じています。現在、法人として検討し策定中です。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

労務管理に関する責任者は管理者である所長ですが、事実上、統括施設長がその立場を担っています。職務権限上の位置付けを明確にすることが望まれます。有給休暇は年間5日は取得するように勧めています。時間外労働が多いため、人員体制や業務のキャパシティーの見直しが必要だと感じています。職員との個別面談は年2回程度、健康診断は年1回、メンタルチェックは年2回実施しています。法人は仕事上やメンタルの相談ができる「心のサポート相談室」を用意しており、心理士、保健師による相談、カウンセラーを受けることができます。ワーク・ライフ・バランスは法人の制度上は整っていますが、職場実態から運用が十分にされていません。統括施設長は、仕事に対する自信と誇りをもつよう職員を指導しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

かつては職員一人ひとりの目標に対して進捗状況と振り返りをしていく目標管理システムがありましたが、現在法人は、そのシステムの利用をストップさせており、あらたなシステムを検討中です。今年度は事業所ごとに「人事評価表」を使い、職員の目標をS、A、B、C、Dの5段階で本人と上長が評価することを行いました。しかしこの取組は法人の組織的な裏付けが薄く、仕組みとしては不十分と感じています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人として、「職員の行動指針」、「職員倫理行動綱領」が定められ、「運営規程」には「職員の資質向上のために研修の機会を設け、業務体制を整備する」ことを謳っています。法人の「職員研修規程」には、職階別研修、職種別研修、連続研修、実践報告会、管理者・役職者研修、フォローアップ研修、新入職員研修などの研修体系が決められています。さまざまな研修の機会は用意されていますが、参加義務のある研修以外は、参加出来ていないのが実情です。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:c】

個別の職員のスキルや資質は把握されています。職員のレベルに応じた適切な研修を受講を勧めたいと考えていますが、現在は時間的、人員体制的に困難と感じています。新人職員は先輩職員とと共に療育活動を実際に体験し、活動終了後に30分程度「振り返り」を行っています。そのなかで子どもへの言葉のかけ方、観察のポイントなど一つひとつ指導しています。研修に参加する場合は、勤務扱いとなります。職員一人ひとりの研修機会は不十分と考えています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

毎年、実習生として大学生を2名受け入れています。実習前にはオリエンテーションを行い、スケジュール、実習内容、個人情報保護や不適切な言動がないようになど、学校が用意した誓約書に合わせて学生に説明しています。実習内容は、実際にグループ活動の参加や、準備を経験します。日誌を書いてもらい、コメントを担当者がつけて返しています。実習中には学校の担当者が来訪し、本人の面談と実習の進捗についての情報交換、意見交換を行っています。実習生の受け入れについての基本姿勢の文書化、手順についてのマニュアル化、指導者研修は今後の課題です。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人のホームページには、法人の理念、基本方針、使命、事業計画書、事業予算書、法人報告書、法人決算書、現況報告書等が公開されています。ホームページの事業所案内には名称と所在地、電話番号が記載されているだけで、事業所で行っている活動が公表されていません。今後は、積極的に事業所の存在意義を地域社会に発信していくことが望まれます。苦情解決の体制について責任者、担当者、第三者委員が玄関に掲示され、公表されています。苦情はまだ受け付けた実績がありませんが、受け付けた際は改善・対応の状況について適切に公表していくつもりです。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人には「内部管理体制の基本方針」が定められており、経営についての管理体制、リスクの管理体制が決められています。内部監査部門が事業所に定期的に会計、業務運営ついてチェックに訪れています。法人は数年に1回、外部の監査法人に委託し、各事業所の財務監査支援を行っています。監査結果は、事業所間で共有されています。事務、経理、取引所のルールが十分職員に周知されていないと感じています。日常の業務分担表がありますが、各職種、職階の権限・責任を明確にすることが望まれます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用する子どもたちの「インクルージョン(共生)」を支援することが、事業所の重点目標です。子どもたちが他の子どもたちと共に地域の保育所、幼稚園、学校などに通えるように支援しています。職員が実際に保育所などを訪問し、声のかけ方、教え方、遊びの内容などのコンサルテーションを行っています。また、グループ活動の一環で、ファミレスに食事に行き、店員とのやりとり、注文の取り方、会計の仕方などの経験をしています。テイクアウトを電話で依頼することを子どもたちが行うこともしています。注文品を店から受け取り、支払いを済ませ、事業所に帰ります。このほか、セルフレジを体験したり、ボーリング場、ゲームセンターにも行っています。さまざまな地域の社会資源を活用し、地域との交流を通じて、インクルージョンを支援しています。地域の行事や活動には参加できていません。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

現状、ボランティアは受け入れていません。事業所における療育サービスは一定の専門性が求められ、ボランティアが活動できる領域がなかなか見出せないため、としています。ボランティアの存在は、地域社会との架け橋です。ボランティアの存在によって、子どもたちの成長ぶりや発達支援の意義がさらに認知されていく手掛かりになることが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

エリア内の相談支援事業所、自立支援センターなどのマップが事務所に掲示され、連絡先が記載されています。相談支援事業所などから、支援を求める利用者の紹介を受けて、面接、見学、利用開始につながっており、日常的な連携が取られています。子どもの様子や環境面で懸念がある場合に、これらの機関とケース会議を開くこともあります。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

相談支援事業所からの紹介などにより、事業所に申し込む利用者から、本人にとっての具体的な福祉ニーズを把握しています。また、市が主催する「放課後等デイサービス・児童発達支援施設連絡会」が年2回程度開かれ、それぞれの事業所の近況報告を交わして交流を図っています。しかし、利用者以外の地域の福祉ニーズや生活課題を把握する取組はできていません。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は「社会貢献活動プロジェクト」を立ち上げ、横浜市中区寿町で生活困窮者を支援する、「寿炊き出しの会」やバザーのサポートを行っていますが、事業所の職員は参加できていません。毎年赤い羽根共同募金の協力をしています。また、毎月のように利用児童の通う保育園、幼稚園、小学校を訪れ、子どもへの声のかけ方、指導方法、遊びの内容などについて専門的な知見をもとにアドバイスを行っています。その他に地域のニーズに基づく公益的な事業・取組まではできていません。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人は「県央福祉会職員倫理行動要綱」や「職員倫理行動マニュアル」を策定し、入職時に職員に配布して研修を実施しています。その後も、毎月の職員会議等で読み込み、話し合い、理解を深めています。利用する子どもや家族との日々の会話や個別面談を通じて、子どもの思いに近づけるよう取り組んでいます。毎月の療育サービスに関わるミーティングでは、子どもとその家族を尊重することを十分に意識して、振り返り等を行っていますが、組織的取組等が課題だと認識しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どものプライバシー保護について、社会福祉事業に携わる者としての姿勢・責務等を明記した「職員倫理行動マニュアル」や「職員ハンドブック」が整備され、職員への研修によって理解が図られています。プライバシー保護については子どもの入所時に保護者に説明し、理解を得ています。写真は撮影・掲載等一切禁止しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

利用希望者の多くが、地元大和市のすくすく子育て課からの紹介、または座間市のパンフレットを見ての問い合わせ等になっています。相談事業所として、電話で話をし、その後インテーク(援助を求めて相談機関を訪れた保護者等に療育支援専門家などが行う面接)や見学を通して説明を行い、必要に応じて体験利用なども行っています。事業所独自のパンフレットは今後内容を見直し、より分かりやすい内容に変えて、市役所を始めとする行政窓口や相談支援事業所等に配布・配置していく計画です。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの利用開始時は、子ども・家族に、内容に関する説明をわかり易く丁寧に行い、合意を得るようにしています。理解のうえで、重要事項説明書及び所定の利用契約書で最終的な確認・合意を得ています。サービス内容の変更にも子ども・家族に説明し、同意を得て、その内容を書面で残しています。尚、関連する資料等に、ルビをふる等の工夫はされておらず、課題としています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスの内容に変更があった際は説明し、同意を得て、一人ひとりの自律・自立した生活へ向けた療育支援に努めています。18歳(高校3年生までの利用期間の終了後)以降については、法人内の障害福祉サービスを継続して利用できるよう、必要な情報提供や見学の機会を設けるなど支援しています。事業所では他の事業所等への移行に際しての手順や、引き継ぎ文書の規定、書式はありません。また、福祉サービスの利用が終了した後も子どもや家族の相談等に対応していますが、文書等で公表はしていません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人は毎年事業所評価アンケート調査を実施し、利用者の満足度やニーズを把握しています。結果は法人が集計し、ホームページで利用者評価(児童発達支援・放課後等デイサービス)としてグラフ化し公開しています。利用者や家族意見に対しても、法人から一括して回答しています。事業所では毎回の療育支援活動時間の最後の10分間を「フィードバック」として時間を取り、今日やっていたことや困りごとなどを家族と話す時間を作っています。家族会等はこれまでは実施出来ていません。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決の体制は法人として整備されています。事業所では管理者と職員1名が苦情受付担当者として設置されています。解決責任者は事業所代表者(所長)です。第三者委員2名と合わせ、これらの体制を重要事項説明書や利用契約書に記載し、利用者や保護者に対して丁寧に説明しています。これまでに寄せられた苦情はなく、公表等の事例はありません。第三者委員は2名設置され、重要事項説明書に記載されていますが、連絡先の記載がなく、電話番号等の記載が期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもや家族には重要事項説明書などで説明し、相談したり意見を述べることが出来ることを伝えています。子どもからは日々の支援活動の中で、意見や希望を聞くよう配慮しています。特に、毎回の療育支援活動時間の最後の10分間を「フィードバック」として時間を取り、今日やっていたことや困りごとなどを家族と話すコミュニケーションの時間として大切にしています。声が寄せられた時はいつでも話を聞く場を設け、対応しています。他者の目につかないような相談室を用意しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

家族とは適切な相談対応と傾聴に努めています。療育の時間中は相談に乗ることが難しいため、日時を決めて相談対応をしています。各家族と年1回、秋に面談の時間を作っています。「フィードバック」の時間では、1対1、グループでは7対1等で意向を聞き、把握した意見や要望にはスピーディーな対応を心がけています。家族の意見で療育スペースの様子が良く見えるよう収納棚の配置を変更・改善した事例があります。対応マニュアルの見直しは行われていません。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

リスクマネジメント体制は法人内の危機管理対策本部によって責任者の明確化など体制が構築され、事故発生時の対応と安全確保について、責任、手順(マニュアル)などを明確にしています。事業所では管理者がリスクマネジャーとして、子どもの安心と安全を脅かす事例(ヒヤリハットやインシデント事例)の収集に努めていますが、事例は多くありません。毎月の職員会議等で法人内の事例の共有などを行っています。改善策や再発防止に関する組織的な取組を課題としています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の危機管理対策本部作成の「感染症マニュアル」や「新型コロナウイルス感染症予防に関するガイドライン」等に沿い、事業所では管理体制を整備して取り組んでいます。職員の感染症予防に関する予防意識は高い状態が保たれています。毎日検温し、机・いす等の備品は毎朝消毒作業を実施しています。現在大きな問題なく対応できていますが、事業所として対応マニュアルの作成等、体系的な取組は不足していると認識しており課題としています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

法人の年間2回の防災訓練に合わせ、利用する子ども・家族共に参加して避難訓練を実施しています。緊急時の退避経路や緊急連絡体制などを継続して見直し、更新しています。法人の安否確認システムを利用して、メールで子どもや家族の安否確認が出来る体制が確立しています。防災対策の備品や備蓄品等はまだ完全ではなく、今後の整備・備蓄が期待されます。避難訓練に際し、消防署や近隣の住民、自治会などとの連携が実施できていません。今後の連携が期待されます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:c】

標準的な実施方法の基本、特に発達支援に携わる職員として守らなければならないものとして「県央福祉会職員倫理行動マニュアル」(児童版)があり、そこには利用する子どもたちの尊重、プライバシーの保護、権利擁護に関わる姿勢が場面ごとに具体的に明示されています。事業所における日常業務の手順については、職員への個別指導によって周知し、毎回の活動後に必ず「振り返り」を30分程度行い、適切に提供したサービスが実施されたかの確認をしています。ただし、一連の業務手順は、口頭で伝承されているのが実態であり、今後は文書化していくことが求められます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

子どもたちの療育支援活動を終了するごとに、職員が集まり「振り返り」をしています。ここでは、あらかじめ用意した遊具、プログラムに基づいて、子どもにやらせてみた結果がどうだったかを検証しています。子どもたちはあの時わかっていたのか、とまどっていなかったか、なぜなのかを振り返ります。そして仮説をたてて、違う方法を試行してみる、という風に少しでも適切な療育方法に近づけるように取り組み、必要に応じて個別支援計画に反映しています。手順を文書化して、組織的な仕組みにしていくことが望まれます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の作成責任者は児童発達支援管理責任者です。利用契約時に、乳児期の発達状況、家庭での食事、睡眠、排泄、着替え、コミュニケーション、遊び・余暇、困った行動・パニックなどの生活の様子、生活スケジュール、好きなもの・嫌いなもの(食べ物、場所、物、遊び・行動、人のタイプ)、よく出かける場所・頻度・移動方法を把握し、指導計画の基礎資料としています。また、利用開始後は、子どもの様子を観察し、個別支援計画の「芽生え」として記録し、一人ひとりの「目標」を立てていきます。「はたらきかけ」をした結果・効果を評価し、モニタリングを繰り返しています。必要に応じて、田中ビネー知能検査、新版K式発達検査などの心理検査を併用しています。「靴の紐を結ばせたい」、「忘れ物を減らすにはどうしたら」、「時計の読み方を教えてほしい」など、家族からの要望にも応えて計画を作っています。多動、他害、パニックなど支援困難なケースでは、個室で個別対応にしたり、虐待や保護者対応で困難があるときは、関係機関とケース会議を開くことがあります。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画は、前期、後期の年2回、評価(モニタリング)を行っています。保護者に同意と交付を受けたことの署名入りの書面を受理しています。見直しによって変更した個別支援計画の内容は、担当者が責任者に伝えたり、関係職員に回覧もしています。見直しの手順が文書化されることが期待されます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

法人のネットワーククラウドの記録システムを使っています。個別支援計画に記載された、具体的な子どもの目標(○○の練習をしましょう)ごとに、日々の記録を入力する仕組みになっています。記録の積み重ねが、個別支援計画の子どもの姿=「芽生え」になっています。日々のミーティング(振り返り)で、子どもの様子のどこに着目して記録するのかなど、着眼点の整理を中心に職員に指導していますが、組織的横断的な認識共有については、不十分と感じています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

「文書管理規程」には、文書の種類ごとに保管期限(細則あり)、保存方法、廃棄台帳の運用などが定められています。また、「個人情報保護規程」には、適正な情報管理の方法、開示方法、漏洩対策と対応方法が定められています。利用契約書に個人情報の保護、職員の退職後も含めた守秘義務、書類の保存保管、開示についての取り決めを示しています。職員は、採用時に研修を必ず受けていますが、入職後の継続的な教育、研修は十分ではない、と考えています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所は.児童発達支援事業(未就学児グループ)及び、放課後等デイサービス事業(学齢児グループ含む)を展開し、「総合支援型」の支援を目指して専門性の高い療育サービスの提供に努めています。事業所理念に「やまと発達支援センターWANTSは、一人ひとりの子どもたちが抱いている思いや願い(WANTS)を一番に尊重しつつ、個々のWANTSの真の姿を一緒に探りながら、WANTSの実現に向けた支援をご家族を含めて継続的に行っていきます。」を掲げています。利用開始に際しては、家族が記入したアセスメント表により、普段の生活等を細かに把握し、本人・家族の意向を汲み取り、個別支援計画等に反映しています。支援にあたっては、家族の要望と本人の力で出来ることを把握し、すり合わせていく時間を大切にしています。職員は「日常生活での基本的な生活スキルの中で、自分で出来ることのステップを上げて行く」支援に取り組んでいます。日々利用する子どもたち、家族の意思と希望や個性を尊重し、コミュニケーションを通して必要な個別支援に努めています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:c】

利用する子どもの権利擁護について、法人で「職員倫理行動綱領」や「職員倫理行動マニュアル」、「身体拘束」、「虐待」などの各種マニュアルが整備されています。職員は入職時に研修を受講すると共に、その後も職員会議等の機会に学び、理解し、実践しています。権利侵害についての具体的な内容や事例を基に職員間で研修することはありますが、利用する子どもたちに周知するまでには至っていません。家族には重要事項説明書や契約書の説明をする際、丁寧に説明して周知しています。事業所として新人職員への研修は実施されていますが、組織的な取組になっていません。管理者に対する法人の管理者研修が実施されていません。管理者に対し施設長としての各種研修と共に、虐待防止マネジャー研修の実施が期待されます。今後、原則禁止されている身体拘束を緊急やむを得ない場合に一時的に実施する際の、具体的な手続きや実施方法、所轄行政への報告手続きなどを周知徹底することが期待されます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもの心身の状況、生活習慣や、望む生活などを、入所時に作成された「生活の様子」「好きなもの・嫌いなもの」などを基に把握するように努め、「個別支援計画」を策定し、幼児期から青年期、成人期の自律・自立した生活の為の支援を行っています。必要なコミュニケーション力や生活スキルの獲得を念頭に置いた「認知訓練」で、幼稚園児では数字の1と一つのもの、3と三つのものをマッチングさせる等、「操作課題」ではピンセットでつまむ、ハサミを使う、ペットボトルのふたを開けたり閉めたりする、ボタンをはめるなど、子どもが自力で行う行為を、見守りの姿勢を基本とし、必要な時には迅速に職員は日々支援しています。個別支援を基本に、例えば電車に一人で乗れる、頼んだものを買う等、やったらできたの積み重ねに取り組んでいます。グループでは2人にメモを1枚渡し、どちらが買うか相談させたり、今日はこれをやってみようと新たな課題に取り組んで、出来ることを一つひとつ積み重ねています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもの年齢や個別のアセスメントをもとに、一人ひとりの障がい特性に応じた構造化されたコミュニケーション手段の工夫をしています。発達段階や心身の状況に応じて、さまざまな機会や方法により、コミュニケーションが図られています。ゲームなどを通して子ども同士のコミュニケーションを促進し、適切なコミュニケーションスキルが獲得できるよう支援しています。児童発達支援(未就学児)グループでは、子どもが楽しみながら生活習慣を身につけることが出来るよう支援を行っています。お母さん・お父さんに「(物を)とって」と言われて、渡す練習や、もらっていないことを親が子に伝え、本人が「もらってない」と言える等の支援をしています。グループ支援においては、モバイルメッセージアプリを使用したコミュニケーションや宝探しゲームなどグループで相談しなければならない活動等、子どもたちに合った内容で支援をしています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもの意思を尊重する支援として相談等を適切に行っています。子どもたちは自分の意思を表現できるようになるまでには、時間やステップを必要とするケースが多く見られます。思いをなかなか言えない子どもたちも、見ているうちに段々やりたくなって来て、参加してくることが多いようです。自分の意思についても、「(おやつ)をもっと食べたい」とか「おしまい」と言えるようになって来ます。母親に「もっと食べたいと言うんだよ」と伝え方を助けてもらい、コミュニケーションができるようになっていきます。年2回の「個別支援計画」作成に合わせて個別面談を実施していますが、そのほかにも子どもや家族が職員に話したいことを話せる機会を個別に設けています。送迎時や電話での話から、家族からの希望や職員が必要と感じた場合には、相談室などで、改めて個別に話を聞く機会を作り、必要の都度、個別支援計画に反映して療育支援をしています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもと家族の希望やニーズを取り入れて作成された個別支援計画に基づき、支援方法や活動メニューの多様化を図っています。日々の療育サービスについては、子どもや家族の希望を取り入れつつ、全体のバランスが取れるように予定を決めています。基本的には個別支援計画をもとに、個別課題と学習課題を余暇的な活動と組み合わせ、季節のイベント等も取り入れ交えながら、多様なプログラム構成としています。放課後等デイサービスグループではグループで相談してプログラムを決めてもらう等、意思表示や発言出来ることを目標として、小・中・高校等の年齢に応じての運動やゲーム、調理、工作、買い物、テイクアウト、外出、旅行、季節の活動など多様な活動を経験しています。個々の興味の幅を広げ、自立に向けた経験を積み、学んで行くと共に、余暇の過ごし方を見つけていきます。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所ではより専門的な支援を効果的に行っていけるように、公認心理士の資格を持つ児童発達支援管理責任者を中心として、子どもの障がいの状況に応じた適切な支援を行うよう努めています。個別のアセスメントをもとに、特に対応が難しいケースについては、障がい特性との関連性や行動特徴への理解を深めるため、日常的にケースカンファレンスを繰り返し、適切な支援方法を職員間で検討し、共有できるよう取り組んでいます。職員は子どもの日々の行動や生活の状況などを把握し、個人別に時系列に記録を残し、職員間で支援方法などの検討と理解・共有を図っています。支援サービスの終了時10分間のフィードバックでは子ども・家族と今日の課題を振り返り、意見や要望を聞く時間としています。未就学児、放課後等デイサービスグループそれぞれ振り返りを行い、利用者一人ひとりに合わせた支援のかたちを検討し、職員の知識の向上と支援内容の共有化に取り組んでいます。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

通所施設のため、食事の提供や入浴等の支援は行っていません。放課後等デイサービスグループでは、本人たちの希望によりプログラム活動の一環として、調理活動を実施しています。子どもたちの嗜好を考慮した献立を基本としていますが、本人たちにメニューを決めてもらうグループもあります。食事は美味しく楽しく食べられるように工夫され、ホットケーキやチャーハン、各種のおやつ作りなどに取り組み、作った食事を楽しんでいます。外出・買い物などは子どもの心身の状況に応じて実施しています。コンビニエンスストアなどでの買い物を行う際には、決まった金額の中で本人が買いたいものを選んで買えるよう支援しています。また、社会生活で大切な交通機関の利用については、職員の支援を受けながら出発駅から目的駅までの予定を立て、実際にお金を使って切符を購入し、電車に乗り、目的地まで行く練習・経験を職員同行のもとに行っています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

通所施設のため、居室・食堂・浴室・安眠できるような生活環境等はありません。コロナ禍において、生活環境の安心・安全に細心の注意を払っています。法人からコロナ対策のガイダンスが示され、職員は毎日各種の消毒作業や換気対策に取り組んでいます。毎朝、全職員で施設内の机・椅子・遊具などの消毒・除菌を徹底しています。特に子どもたちが触れるところや、おもちゃ、プラスチック製品、木製遊具などを念入りに次亜塩素酸水やアルコールで除菌しています。事業所は鉄筋コンクリート造りの建築物で、トイレが事業所専用ではなく共用というハード面での制約はありますが、耐震強度はあり、安全は確保できています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

生活動作や行動の中で、意図的な機能訓練・生活訓練や支援を行っています。支援にあたっては、作業療法士等の専門職の直接的な関与はありませんが、理学療法士の間接的な助言を通して、機能訓練に準じたプログラムを実施しています。「ムーブメント療法」を導入して、パラシュート体験やビーンズバッグ投げ、風船遊び、フラフープの輪の中をかがんで通るなどの機能訓練・生活訓練の工夫をしています。放課後等デイサービスグループでは買い物をする、電車に乗るなど目標、目的を持った意図的な生活訓練や支援を行っています。訓練では、現金を使ったり、電子マネーを使うなど、子どもの障害の状況に合わせて目標設定し、訓練が行えるよう工夫しています。6ヶ月ごとにモニタリングを行い、機能訓練・生活訓練計画などの支援内容の検討、見直しを行っていますが、アセスメントの進め方や、専門関係職種の関与をこれからの課題としています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

従来からの健康管理に加えて、現在は新型コロナ対策が大きな課題となっています。来所時は必ず検温し、毎回の記録を保存しています。園児・児童・学生は幼稚園や学校での検温結果も確認しています。通常時は、検温や家族からの話などから、子どもの健康状態の把握に努めています。職員は障がい児の健康管理等について、職員研修や職員会議などで指導を受け、対処法を話し合っていますが、組織的・体系的な取組を課題としています。事業所は通所施設で最大利用時でも週1回1時間から1時間30分の利用のため、協力医は設置してはおらず、医師・看護師などによる健康相談なども実施していません。利用する子どもの健康に不安があった場合は、速やかに家族に連絡し、迅速な医療対応に努めています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用する子どもの希望と意向を把握し、社会参加に資する情報や学習・体験の機会を提供する等、社会参加への支援を行ってきましたが、コロナ禍のため、現在は実施が難しい状況となっています。子どもが利用する保育所・幼稚園・学校等との連携を積極的に行っています。学校からの連絡や家族からの依頼で学校に出向くこともあります。また、学校での勉強の遅れなどによる学習意欲の低下を防ぐため、必要に応じて学習支援を行い、教育に取り組んでいます。教科は中学生・高校生向けの数学と英語で、教員免許を持つ管理者が中心となり、教材は本人の教科書や学習用プリントを使用して学習しています。放課後等デイサービスグループでは、コロナ禍の現在も外出プログラム活動では、公共交通機関の利用体験で電車の乗り方を学び、切符の買い方やICカードへのチャージ方法などの手順書を作り、駅での券売機の使い方等の実習を支援しています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用する子どもの希望と意向を把握し、地域生活に必要な社会資源に関する情報や学習、体験の機会を提供しています。事業所では保育所、幼稚園や学校等の地域関係機関と連携し、訪問見学やケースカンファレンス等を積極的に行い、地域での子どもの生活が円滑に進むよう支援しています。中学3年生以上の子どもには高校卒業後の事業所等の見学と実習体験の機会を提供しています。中には家族の要望で1ヶ月間の実習を体験することもあります。受け入れた事業所では、実習態度や作業状況、マナーなどについて「プレ実習生報告書」を作成し、家族等に伝えています。高校卒業後の進路やグループホームの生活について、法人主催のリモート研修会を開催しています。事業所では、希望する子どもや家族向けにグループホーム見学会を実施して、地域生活移行への支援をしています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

毎回、療育支援活動終了10分前から「フィードバック」の時間を作り、子ども・家族とコミュニケーションを図っています。特に、未就学児の家族とは一人ひとり個別の療育内容について話し、意見交換しています。また、家族からの要望や意見を聞き、個別支援計画や日々の療育サービスに反映しています。家庭や地域生活における相談にも積極的に対応し、必要に応じて個別相談の機会を設けています、広報誌「WANTS通信」を2ヶ月毎に発行し、事業所の行事や活動状況、職員の動静、放課後デイサービスの日程などを伝えています。家族会での交流や年度末の報告会などを開催していないため、放課後等デイサービスグループの保護者とは連携、交流の機会が少ない状況ですが、必要な場合は家族に連絡し個人面談を実施しています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの障がいの状況や発達過程に応じた発達支援を行っています。心理評価を含む多角的なアセスメントをもとに、個々の障がい特性や発達段階等を踏まえた個別支援計画を作成し、実施しています。プログラムについては、コミュニケーション力の向上や社会的スキルの獲得などを軸としながら、個別や集団のバリエーションを豊富に用意し、担当職員間で必要な見直しをしながら提供しています。児童発達支援グループにおいては子どもたちの発達過程や適応行動の状況等を踏まえ、フリー遊びや認知課題・操作課題、おやつタイム等の支援を通して人との関わりの練習をしています。放課後等デイサービスでは殆どのグループが、心身の状況に応じて、出来ること、興味あることに焦点を当てて自ら決めたプログラムに取り組んでいます。子どもと家族に対し、学校や幼稚園、保育所等との情報共有、連携・調整を図っています。

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外