社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

わーくす大師

2024年03月28日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 わーくす大師 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 就労移行支援, 就労継続支援(B型), 就労定着支援 定員 40(就労移行支援20名、就労継続支援B型20名) 名
所在地 210-0812
川崎市川崎区東門前 1-11-6
TEL 044-277-5444 ホームページ https://www.denkikanagawa.or.jp/seivice/daishi.html
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2001年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 電機神奈川福祉センター
職員数
常勤職員:11 名
非常勤職員:10 名
専門職員
社会福祉士:7 名
精神保健福祉士:2 名
職場適応援助者:2 名
社会福祉士実習指導者:3 名
就業支援基礎研修修了者:2 名
施設・設備の概要
作業室:2
事務室:1
面談室:2
会議室:1
多目的ホール:1
食堂:1
トイレ(男女別) :各2
バリアフリートイレ:1
シャワー室:1
更衣室(男女別):各1
小型エレベーター:1

③ 理念・基本方針
【法人の基本理念「わたしたちのめざすもの」】
①障害者の社会的自立をめざす
障害者の就労、特に一般企業における障害者雇用をゴールに、障害者一人ひとりに個別の目標を設定し、総合的な育成をはかります。
②地域福祉の充実をめざす
地域の高齢者・障害者に対する介護・福祉サービスのプランや調整、そしてデイサービスを中心とした日中活動の支援を行います。
③福祉に対する啓発
より多くの地域の方々に、福祉について身近に感じとってもらうための啓発活動を行います。

【法人職員のミッションとコミットメント】
ミッション(使命):「最善・最適な幸福(サービス)の提供」
コミットメント(誓い):「絶えざる研鑽と成長」

④ 施設・事業所の特徴的な取組
2001年4月に川崎市直営の通所授産施設「大師授産場」を、運営法人の電機神奈川福祉センターが受託し、2021年4月には、川崎市から建物の譲渡を受け、民設民営の施設として運営をしている障害福祉サービス事業所です。事業は、就労移行支援事業、就労継続支援事業B型、就労定着支援事業を運営しています。
施設内でのプログラムは、主に企業からの受注作業を中心に行っており、年間約30社の企業との取引をし、紙器組み立てや、電子部品等の製造、発送物の封入・封緘作業等多岐にわたっています。近年は事務補助業務等の就職を希望する利用者が増加傾向にあり、PCを使った受発注の業務に取り組んだり、施設内の庶務的な作業を利用者にお願いし、模擬的な事務作業にも挑戦してもらっています。また、施設外での企業実習先を複数持つことによって、利用者への就職へ向けた企業体験の提供や、高い生産活動収入を得られています。2022年度の総売り上げ額は約1760万円に及び、就労継続B型利用者の年間平均工賃は3万円を超えています。
作業以外にも、体力の低下などが懸念される利用者に向けた「運動プログラム」や、就職を目指している利用者に「グループワーク」なども行っています。
一般企業での就職に向けた取り組みも積極的に行っており、2001年の受託開始から延べ296名の利用者を就職に結びつけてきました。毎年、就労移行支援事業からは定員の半数程度(15名~10名)、就労継続支援事業B型からも1~2名の就職者を輩出しています。就職先は、神奈川県内だけでなく東京都内も含めて広域で、企業も一般企業や大手企業の特例子会社など多様です。就職後の社会的な自立を実現できるよう、雇用形態もほとんどの利用者がフルタイムに近い処遇での雇用を目指しています。
就職後の定着支援も、定着支援事業の中での支援だけでなく、事業終了後も支援を希望される方には、施設独自のサービスとして定着支援を実施しています。一部のご利用者は、地域の就労援助センターなどへのケース移管をしましたが、2014年度以降の就労者は事業外でのサービスを提供し、安心して長く働き続けられるような環境づくりを目指しています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2023/10/13(契約日) ~2024/03/21(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2017年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)制度の枠に限定されない利用者本位の就労支援をしています
就労移行支援、就労継続支援B型、就労定着支援は制度的な内容は違いますが「働く場」であるという法人の理念のもと、利用者の就労意欲と能力に応じて仕事内容を検討し、できることを増やしチャレンジの機会を設けています。利用者の話を聞き、親身な個別対応を行っています。まずは実習を行って事業所での就労意欲を向上させ、一般企業に勤務できるように支援しています。それらの経験をもとに利用者が就職先で活躍できるような仕組みができています。

2)個別支援計画と工賃評価を連動させています
一人ひとりの利用者に毎月支払う工賃の評価を行うにあたり、個別支援計画のアセスメントと連動して評価するという根拠が明確になっています。また、評価結果については、一人ひとりの利用者にフィードバックされ、利用者の自己評価を促すような仕組みになっています。そして利用者が行う仕事内容についても、利用者の特徴や強みを活かし、配慮した内容となっています。利用者のチャレンジに準じて工賃についても他の事業所の約2倍の報酬を支給できています。企業研究を行い、様々な作業を発注してもらえるように開拓しており、その結果、利用者は色々な仕事ができて楽しいと実感しています。

3)安全に配慮した作業環境の整備に努めています
産業別労働組合が母体となって設立された法人であるという特徴を活かし、企業の製造現場を退職したOBが作業指導員として勤務しています。OBが企業で培った専門性を活かした取組(作業動線や作業道具の作成など)が行われています。特に安全に配慮した作業環境について、利用者の毎日のミーティングでの安全標語の唱和や指さし確認をするなど積極的に取り組んでいます。その取組は、令和3年に神奈川県労働局長を受賞し表彰されています。

4)事業所の取組をマニュアルや手順書に反映することが期待されます
事業所が行っているさまざまな取組や利用者支援の手順について、職員間では口伝や口頭による共有が多い現状です。利用者一人ひとりへの個別支援は重視されるべきですが、一定の段階までの共通した対応についての文書化は可能であり、サービス提供を振り返る際の基準ともなり得ます。これまで就労支援のパイオニアとして事業所が積み重ねてきた利用者支援や具体的なサービス提供について言語化し、マニュアルや手順書の作成を励行することが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設の全職員で評価項目を確認する作業を行ったことで、マニュアルは整備されているものの、その周知が不足している状況や、事務処理などの業務内容や進め方が口頭で伝えられ、マニュアルそのものが整備されていない現状なども理解することができました。
2017年度に前回の第三者評価を受審しており、しばらく間が空いてしまいましたが、定期的に受審することで、施設のサービスの在り方や課題などを確認することができ、今後のサービスの質の向上に向けた取り組みへの指針を施設の管理者だけでなく職員全体で見出すことができたと感じています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念、使命、誓いをホームページに記載し、事業所内にも掲示して周知を図っています。「障害者の社会的自立・地域福祉の充実・福祉に対する啓発」を理念の三本柱として掲げ、使命(ミッション)と使命達成のための誓い(コミットメント)を福祉サービス提供の拠り所としています。理念等については、入職時研修で学び、その後の理事長訓話の中でも再確認しています。また、家族会や事業報告会において家族にも伝えています。利用者、家族、職員それぞれの理解度の把握を課題としています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

厚生労働省説明資料や学校基本調査等を参照して、社会福祉制度の動向を捉えるとともに、かわさきノーマライゼーションプランを始め、川崎市、横浜市、横須賀市等の障害福祉計画の把握分析結果を、法人の中・長期計画に反映させています。経営環境や福祉サービス動向等の経営状況については、法人役員が経営会議や事業所ヒアリングで確認しています。事業所は、毎月の全体会議で収支状況を把握し、年1回の法人事業報告会において全職員参加のもと、全施設利用者数、収支報告、各部署の課題や実践例等を共有しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:a】

全事業所の月次報告は、経営会議と事業所ヒアリングで法人役員が共有し、事業所の職員全体会議で職員へ周知しています。毎月の職員全体会議では、事業所の授産会計と施設会計の収支結果と、3サービス種別ごとの利用者数・サービス提供人数の予算比を報告し、次月以降の見通しを立てながら、課題解決に取り組んでいます。喫緊の課題として、新卒学生の新規利用減少が挙がっており、施設運営のあり方やプログラムの見直しを図るとともに、新たな営業先や営業方法について検討しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人の中・長期計画として「発展強化計画(第3期6ヶ年計画)」を策定しています。計画の推進に向けた基本に法人理念を据えて、法人が到達すべき姿を確認し、課題解決に向けた内容となっています。単年度の進捗状況をもとに3年ごとに見直し、必要に応じて修正しています。これまでの「発展強化計画」では収支に関する具体的な数字を策定せずにいたため、次期計画ではその点について見直しを図っていきます。また、法人内のネットワーク掲示板による職員への発信のみでは、細目の理解までには至らない現状であり、周知徹底を今後の課題としています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

「発展強化計画」に基づいて「6ヵ年(2018~2023年度)の重点行動計画」を1年ごとに区切り、単年度計画を策定しています。この間、2021年3月を以て川崎市指定管理者制度が終了、川崎市から民間移管を受けるという変革を経てきました。建物の老朽化による設備補修や建替えが必至の状況となっています。来年度からの単年度計画については、取組内容を具体的に記載し、半期ごとに進捗状況を振り返り、より確実な状況判断を目指しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は毎年2~3月に施設長が主体となって作成し、課長や主任、現場統括担当の確認を経て、3月に経営会議と理事会に諮ります。策定後、事業所の全体会議や回覧を通して職員全体に周知しています。半期ごとの振り返りを理事会に報告し、必要に応じて計画や予算の修正につなげています。事業計画についての理解到達度をキャリアパスにも位置付け、職員が自発的に取り組む姿勢を評価しています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

ホームページに記載した事業報告の中に、翌年度の事業計画を載せています。毎年、家族会で事業報告を行っており、欠席した家族に向けては、事業報告冊子の自宅への持ち帰りを利用者に依頼しています。利用者には事業計画書を配布していますが、説明の機会を設けてはいません。事業報告書はグラフや表、写真を多用することで、視覚的理解に役立てています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

事業報告書作成にあたってはPDCAサイクルにもとづいて、運営状況や利用者支援を振り返り、見直しと評価を経て、次期事業計画の方向性を確認しています。日々のサービス提供についても、ネットワーク上の業務日誌の「検討事項欄」へ発信して情報共有しています。また、ミーティングでの協議を通して、サービスの向上に繋げています。運営会議や法人内ヒアリング等においても、事業所の課題把握と共有に努め、解決に向けた取組を実施しています。評価基準シート等を用いての「事業所の自己評価」は行っていません。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

事業報告書の作成プロセスが自己評価として機能しており、ネットワーク上の業務日誌、ミーティング、職員全体会議等により職員間で課題を共有し、進捗状況や達成度を把握して随時見直しを図っています。組織的、計画的に改善に向けて取り組むためにプロジェクトチームを立ち上げる時もあります。改善策の一例として、利用者の定員変更、工賃の仕組み改定、利用者休憩スペースの確保、多目的ホールへのリフォーム、パンフレットの見直し等が挙げられます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

管理者(=施設長)の役割や職務内容について、運営規程、重要事項説明書、職務分担表に明記しており、運営規程には「就労移行支援事業・就労継続支援事業B型・就労定着支援事業の管理者を兼務」する旨を備考欄に記しています。利用者や家族宛てのお知らせ等には施設長名を記載し、毎年度「職員体制のお知らせ」を配布し、施設長を始めとする全職員を紹介しています。水災害発生時避難確保計画や新型コロナウイルス感染症発生時の事業継続計画(BCP)においては、管理者を責任者と定め、緊急時の指示命令系統を明確にしています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

管理者は、福祉関係の法令等はもとより、就労支援事業所の立場から、労働基準法や下請法等の関連法についても理解を深めています。障害者総合支援法等について、不明点をガイドブックで確認したり、行政へ問い合わせるなど、規程に基づいてコンプライアンスの推進を図っています。全国就労移行支援事業所連絡協議会やNPO法人障害者雇用部会への参画を通じて、法改正や雇用情勢の把握に努めるとともに、福祉新聞購読により新しい情報を得ています。管理者が得た知識や情報は、法人内のネットワーク掲示板や職場内回覧を用いて周知しています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

管理者は、全体会議、運営会議、随時のヒアリングで職員からの意見を聴取するとともに、事業計画や中長期計画、サービス提供の現状との比較検討から、改善へ向けての具体策を提示しています。利用者が快適に過ごせる環境づくりとして、利用者の休憩スペースの確保、多目的ホールへのリフォーム、給茶機設備の導入などに取り組んでいます。今年度は、月額ベースの工賃計算への変更を実施しています。また、サービスの質の向上に向けて、テーマ別研修、全体研修、支援学校見学、法人外事業所視察など、バラエティーに富んだ研修を計画しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

施設全体会議において、経営状況や利用者支援について共有し、今後の方向性を話し合っています。人員配置、職員の健康状態、勤務状況については、運営会議で確認し、責務の偏りや過度な負担の有無等について管理者は聴取しています。職員の休憩時間の確保、パソコン増設、利用者勤怠管理システムの導入など具体的な取組の実施により、職員の就業環境の向上が実現しています。年次の事業報告や事業計画に対する職員の理解は進んでいますが、中・長期計画の内容把握が課題であると、管理者は考えています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

キャリアパス制度の導入により人材の確保と育成の方針を確立し、プロジェクトチームによるキャリアパス制度のマイナーチェンジを推進しています。職員配置や人材確保については法人が立案していますが、施設としての人員過不足は随時法人へ働きかけ、人員不足を阻止して基準を満たすように努めています。就労定着支援事業の対象期間(3年6ヶ月迄が対象期間)を越えた独自サービスの利用者は増加の一途であり、余剰分の人員を独自サービス分野に配置しています。人員不足が見込まれた際には、中途採用により欠員を補充しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:a】

キャリアパスシートと人事考課面談シートを用いて、レベル別職務内容をどこまで到達できたかを考課者と職員が面接で話し合い、双方の合意のもと、最終的な評価を決めています。キャリアパスの中にレベルごとの達成度や仕事への姿勢等を記載し、「期待する職員像」を明示しています。定期的に、半期ごとの人事考課面談、年1回の昇給面談と年2回の賞与面談を予定しており、職務の成果や貢献度などの評価を給与や賞与に反映しています。レベルごとの「期待する職員像」を達成すると、職位が上がる仕組みとなっています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

管理者は職員の有給取得や残業時間を把握し、年1回全職員対象にストレスチェックを行い、働き方やメンタルヘルスを確認しています。法人内外にメンタルヘルスやハラスメントの相談窓口を設けて、職員に周知するとともに、勤労者福祉共済への加入により、福利厚生の充実を図っています。育児休暇、介護休暇、時間短縮勤務、時間休暇等の制度を整備して、働きやすい職場づくりを目指しています。また、入職や育休後復帰等の職員個々の状況に応じ、法人を横断した集いの場をセッティングするなど、精神面でのフォローにも取り組んでいます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

キャリアパスシートや人事考課面談シートの作成は、職員が自己覚知する良い機会となっています。考課者と職員の合意のもと、職員一人ひとりのキャリア形成、将来像、目標を設定しています。常勤職員には半期ごとの人事考課面談があり、考課者と職員が1時間以上じっくりと時間をかけて、目標達成度や進捗状況を話し合っています。非常勤職員に対しても、毎年契約更新時に面談を行っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

新任職員の育成プログラムは先輩職員が講師となり、座学から施設見学や行事の企画準備まで施設全体で取り組んでいます。内部研修については、年次計画に沿って定期的に開催し、アンケート実施により内容等の見直しを図っています。また、職員の資格取得状況や有効期間については組織的に管理を行い、必須となる研修への参加を促し、更新切れや該当者不在を防いでいます。外部研修参加を積極的に促しており、管理者が参加状況を確認後、研修報告は法人内のネットワーク掲示板で共有可能となっています。外部研修への計画的参加を課題としています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

職員一人ひとりの専門知識や技術水準、資格取得については面談時に確認を行い、新任に限らず中堅職員にもワークシート活用による育成を継続しています。年間を通じて、管理者は、職員個別にスキルアップに必要な研修、例えば面談技術、アンガーマネジメント、てんかん対応等を提案し、学びへの後押しをしています。職員全員で法人外の関係機関の視察研修に参加や、法人内の就労支援事業所へ赴き、事業所見学後に虐待防止研修に合同参加し、互いに視野を広げる機会等も設けています。外部研修への参加の促しが回覧板のみの現状であるため、研修参加が本人の主体性まかせになっており、今後、研修の情報提供手段と参加の促し方法について検討していく予定です。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:a】

毎年、複数の大学から社会福祉士実習生を受入れています。事前に作成済みのプログラムをマニュアルとし、オリエンテーション資料や注意事項を加除修正して、実習生個々の状況や希望、大学の要望等に応じて個別のプログラムを作成しています。養成研修修了者である指導担当職員が受入れ業務を遂行し、また、実習指導経験を重ねた管理者やサービス管理責任者が指導担当職員へ指導助言を行っています。法人内の他事業所見学や実習、企業巡回同行も組み入れ、プログラムの充実を図っています。また、行政機関等からの一日体験実習も受入れています。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

ホームページで法人理念や基本方針、パンフレット、広報紙、サービス内容、事業計画、事業報告、決算情報等を公開しています。事業報告では、就労支援の詳細、工賃額、地域福祉への取り組み、また苦情相談体制、実際の苦情対応を公表しています。広報紙「だいしフレンズ」には就労状況や季節行事などを記載し、地域の特別支援学校や区役所、相談支援事業所に持参して、定期的な情報提供となっています。見学者には事業所選択の一助として、パンフレットや広報紙を配布しています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

管理部マニュアルに記載された事務や経理のフローは、全事業所共通の処理となっています。入職時に説明を受けた後も、常時イントラネットで確認可能となっています。事業所では職務分担表に沿って事務処理を行っており、毎月法人に会計処理書類を提出し、確認を受けています。外部会計士よる監査は法人において行っています。半期ごとの決算にあたっては、事業所の施設会計と特別会計ともに精算書等を確認しています。会計監査での指摘事項にもとづいて、経理処理の改善を実施しています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

理念に「地域福祉の充実」を掲げており、法人の中・長期計画の中で事業所ごとの実施計画として、地域におけるチームアプローチの必要性を説いています。利用者のニーズによっては相談機関と連携して、ガイドヘルパーやグループホームなどの地域資源の利用に繋げています。職員は地域の企業や学校に積極的に出向いて、障害理解の促進や就労についての講演を行っています。地域の商店街から作業を受託することは地域貢献ともなり、利用者には、施設外就労の実習の機会提供となっています。地域との定期的な交流の機会は特にありません。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受入れは行っておらず、今のところ受入れの予定もありません。就労支援というサービス提供の特性から、事業所は就労に向けての訓練の場という側面を重要視しています。規律やルールを守り、品質や納期を意識した働き方を学び、職業人として自立した生活を営むことを目標としています。利用者・家族・職員の意向把握アンケートでも、ボランティア受入れのニーズは挙がっていません。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

生活課題(生活困窮・触法・多問題世帯等)や多種多様な国籍、言葉、文化の違いが存在する地域特性から、生活面での支援が必要な利用者も多く、他機関との連携を密にしています。「家賃の滞納」「水道光熱費の未払い」「通達文の意味が分からない」「家族の病気が悪化」等々の利用者の困りごとに職員が対応したり、他機関につなぐなどしています。自立支援協議会、就労系福祉サービス事業所連絡会議(サザンネット)、障害福祉施設事業協会等への参加や、全国就労移行支援事業所連絡協議会への参画を通して、共通の課題に向き合い、政策への提言等を行っています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

生活課題のある利用者が多い地域特性があり、精神的支援や日常の衣食住に関わる支援が必要な状況下で、職員は個別対応を行っています。日常生活の支援の他にも、自立支援協議会、サザンネット、障害福祉施設事業協会、NPO法人障害者雇用部会、就労支援プラットフォーム、発達障害学生支援ネット、発達障害児者関係機関連絡会等の会議に職員を派遣して、地域のニーズ把握や意見交換、福祉専門職としての発信に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:a】

特別支援学校主催の講演会に職員を派遣し、就労に向けた障害者の育成や就労支援のノウハウについてレクチャーを行い、発達障害学生支援ネットワークでの、年1~2回のセミナー開催により、障害学生の大学内支援者への情報発信を続けています。2023年度中に、地域の発達相談支援センター等と連携して開催してきた、日中活動の場「コミュニケーション・ゼミナール(通称:コミュゼミ)」が終了しましたが、現在、形を変えた継続方法を模索中です。災害時の二次避難所としては、避難所開設後フローやマニュアルの再確認を予定しています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

理念と基本方針に利用者本位のサービス提供について謳い、「最善、最適な幸福の提供」を使命とする姿勢を明記しています。入職時研修やその後の研修での理事長訓話等で、職員は理解を深めています。契約書にも「利用者の人間としての尊厳を重んじる施設を堅持する」の文言を記載、身体拘束適正化や守秘義務についても明文化しています。年1回開催する虐待防止研修について、今年度は法人内他事業所と合同開催とし、より一層の学びを得ています。人事考課面談においても定期的に、利用者の尊重や人権の配慮について評価しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

利用者のプライバシー保護について規程とマニュアルを整備し、それらに基づいてサービスの提供を行っています。プライバシーカーテンや鍵付きロッカーの設置、面談や静養時の個室使用などの対応をしています。LGBTQへの対応として、トイレや更衣室のあり方を検討中です。定期的に月2回程、情報共有ミーティングにおいて、プライバシー保護の具体例をあげながら認識を新たにしています。肖像権については契約時に書面で確認しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

パンフレットと広報紙「だいしフレンズ」を相談支援事業所や特別支援学校等へ持参しています。写真やイラストを多用し、サービス内容について工賃や就職数も含めてわかりやすく説明するとともに、パンフレットにはQ&AやQRコードを載せ、事業所の情報提供に努めています。特別支援学校からの見学や体験学習に対応しており、利用希望者には、施設見学→実習前オリエンテーション→実習と段階を踏んだ対応について、丁寧な説明を心掛けています。公開見学会や個別の見学、学校への出張説明会とオンライン中継、保護者向け講演会等も行っています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

利用前には実習を必須としており、実習体験を通して、利用するか否かの本人判断を待ちます。実習開始時には、オリエンテーション資料をもとに、利用詳細や注意事項、施設でのマナーを説明しています。終了時には、本人と職員が共に実習評価票の内容を確認し、振り返りをしています。契約書と重要事項説明書は、文字を大きくしてルビを振ったものも用意し、本人の選択に任せています。意思決定が困難な利用者に対して、面談を重ねる、カンファレンスで意見聴取するなどの個別対応をしていますが、明文化したルールはありません。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

事業所変更の意向に対しては利用者や家族と話し合いを重ね、必要に応じて相談支援事業所等の関わりを得て、利用者自ら選択できるように支援しています。引き継ぎ書類は先方から求められれば、利用者と家族の同意のもとに渡していますが、個別対応が基本であるため手順やフォーマットは作成していません。サービス終了後の相談窓口を設置していますが、口頭で伝えるのみとなっています。また、就労定着支援事業の期間(3年6ヶ月)終了後、同一企業で就労継続する場合は期限を定めずに定着支援を続行しています。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者アンケートを毎年度末に行い、年1回家族会終了後にもアンケートを実施していますが、検討会議に利用者等は参加していません。今年度は就労者アンケートとたまり場支援(仕事帰りにちょっと立ち寄れるスポットの提供)での発議から就労者同窓会が実現しています。家族会での外部講師によるグループホームについての講演会が好評を得て、翌年には就労者家族に向けての開催に取り組んでいます。その後、たまり場支援においてグループホーム利用者の声を聞く会の開催へと展開しています。アンケート結果に基づいた取組が、利用者満足の向上につながっています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:a】

苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員を設置し、施設内に文書を掲示しています。契約時には重要事項説明書と契約書に沿って、利用者と家族に説明しています。苦情を受け付けた際は、ネットワーク上の業務日誌への入力とテキストソフトの検索機能使用により迅速正確に共有しています。朝夕のミーティングでも、苦情の内容や対応策を話し合い、川崎市障害福祉施設事業協会の第三者委員会へ月次報告を挙げています。苦情を受け付けた時点で、その後の対応を利用者や家族に伝えています。年次の事業報告書の中で、苦情内容や対応策、件数などを公表しています。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

利用契約前の実習オリエンテーション時から、どの職員も質問や相談に対応できると伝えています。非常に大切なことなので説明時に<赤い紐の名札を付けた人>などと利用者本人に書き入れてもらうように、「職員の見分け方は< >です」と必要部分を敢えて空欄にした書面を渡しています。日々のコミュニケーション、個別記録、朝夕のミーティングを通して、職員間で利用者全員の情報を共有することで、いつでも誰からの相談や意見にも対応できる体制を整えています。相談時には個室を使用して、プライバシー確保と情報漏洩防止に努めています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

利用者自ら相談や意見を発信する場面が多く、職員はその都度、傾聴と適切な対応に努めています。意見箱設置や定期的アンケートの他にも、給茶機飲み物アンケートなど折に触れて、利用者意見を聴取する機会を設けています。苦情解決事業規程の中で、要望や不平・不満、利用者間のトラブルへの対応も明記しており、それらの案件についても規程にもとづいて処理しています。データの当日中アップ、朝夕のミーティングでの共有、全体会議や運営会議での話し合い等、組織的な対応に努めています。マニュアルの定期的な見直しを課題としています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントの責任者を施設長と定め、法人の安全衛生推進会議において事故予防と再発防止、発生時対応等を話し合う体制を整えています。ヒヤリハットを積極的に収集し、安全衛生推進会議における対応策を事業所のミーティングで共有しています。年2回の理事長巡視により、清掃内容や荷物置き場の改善が図られています。火災の予防、2S(整理整頓)の徹底、通勤途上の災害対策など安全衛生計画に様々な内容を組み込んでいます。利用者に対する安全教育として、KYT講座(危険予知トレーニング)を定期的に実施しています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人にて感染症対策のBCP(事業継続計画)を策定、安全衛生推進委員会において感染症対策を講じており、責任者を施設長と定める等の体制を整えています。毎月安全衛生推進委員会を開催し、感染症対策について学んでいます。コロナ5類移行後も感染症対策を安全衛生計画に落とし込み、手洗い・うがい・アルコール消毒の周知徹底に努めています。コロナ禍では厚生労働省の対応や情報の更新に従って、法人のマニュアル「感染症の対応について」も版を重ねました。今後、定期的にマニュアルを見直す必要があると考えています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

自然災害時のBCP(事業継続計画)、洪水と火災に対する避難確保計画を策定しています。年2回の防災訓練では、避難時の通報訓練や初期消火訓練等を励行しています。日頃から床にテープを貼ることで消防設備前のスペースを確保し、災害時食として60人3日分を用意したり、安全衛生推進委員がリストを作成して備蓄品管理をするなどしています。職員の安否確認はビジネス用LINEで行い、利用者への連絡はメール配信体制としています。巨大地震や大規模停電等の突発的な災害時の連絡体制について、検討を急いでいます。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

必要な情報収集を行い個別支援に活かしています。標準的な福祉サービスの実施方法については、標準化できる内容として面接フォーマット、利用者の企業実習マニュアルなどがあり、個別的に提供・実践すべき内容としては、就労移行のための支援や実習時の評価などがあります。しかし、これらの手順書は全体を通してわかり難い状況となっています。一方、職員育成計画においては、新任職員に標準的な実施方法について指導するとともに、講師役も先輩職員が担うことで、自分達が行っている支援について振り返る機会につながっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

支援方針ミーティング(個別計画改定に向けた会議)や情報共有ミーティング(標準的な実施方法についての検証会議を兼ねる)とも常勤職員の参加を基本としています。またこれらの取組にあたっては、PDCAサイクルで実施、見直し、質の確認をしています。連携先である南部地域支援室に運動プログラムを作成してもらい、実施しています。定期的にモニタリングで訪問してくれるため、助言・指導をもらい、必要に応じて見直しをしています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

工賃評価票を使用して、常勤職員全員で多角的にアセスメントしています。また、個別支援計画作成については利用者の担当職員をできるだけ交代することで、一人の視点では見えない様々な視点を得られるように配慮しています。一方、施設のみで対応が困難と判断した場合は、他機関と連携を図ったり、積極的にコンサルテーションを受けるようにしています。その際は、担当職員を固定して計画作成しています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

個別支援計画策定にあたっては、支援方針案作成→会議の開催→個別支援計画案をもとに本人や家族との面談→計画作成→本人交付の流れを明確化し、手順に従って実施することができています。また常勤職員全員で工賃額と連動したアセスメント表を用いてモニタリングに活用することができています。個別支援計画を緊急に変更したことは今までないため、その仕組みの整備はできていません。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者の個人票については統一した書式を使用し、そこに情報ソースをまとめています。そして日々の支援の記録はネットワーク上の業務日誌に記録し、印刷、及びいつでも法人内のネットワークで閲覧できるようになっています。記録方法については研修を行い、職員によって差異が生じないよう工夫しており、ネットワーク上の業務日誌においては全ての利用者の記録だけではなく、特記のある利用者について詳細な様子を残す形式をとっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人のネットワーク掲示板では、全ての職員がいつでも確認することができる情報が記載されており、これらは文書管理に関する各種規程にもとづいて運用されています。また利用者に対しては個人情報使用同意書で説明するとともに写真・動画等の広報への掲載などについても契約時に書面で同意を取っています。また、日々の支援のなかでのささいなことでもヒヤリハットとして取り上げ、対策を検討することが、職員の意識向上や個人情報漏洩防止に取り組むことにつながっています。法人内ではネットワーク委員会を設置し、パソコン関連の情報管理のあり方について検討しています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

自己決定や自己選択の支援としては、1、昼食の弁当の選択(2つの弁当屋、パンの販売週2回の選択できるようになっています) 2、行事の場所や食べるメニュー 3、進路選択や実習に行く企業先(親の意向も強いが本人の意向を尊重)を行っています。また利用者の主体的な活動の発展を促す支援として、毎月面談を実施したり、作業場の安全にかかわるルールについて利用者へ意見を募集したり、給茶器のお茶の種類についてアンケートを行い、利用者の意見を取り入れる支援をしています(コーヒーを入れて欲しいという意見が多かったため、メニューとして取り入れています)。就労移行支援、就労継続支援B型、就労定着支援でも「働く場である」という位置づけであり、個人が考える衣服や理美容などの希望は制限されます。これらを進めていく為に、法人の新任研修で利用者の権利を学んだり、就労支援事業所として利用者の適切な支援について学んでいます。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

虐待防止対応規程や身体拘束適正化のための指針等を定めて、職員周知に取り組んでいます。職員に対して権利擁護のための具体的な取組と、周知方法として具体的な言葉を示し、不適切な発言であることを伝えたり、具体的な事例を取り上げて理解につなげています。また、体験利用の実習生や、社会福祉士実習生、見学者、関係機関など外部からのフィードバックを通して周知するようにしています。権利侵害や苦情などの再発防止策としては、ヒヤリハット報告書を提出したり、軽易な苦情を把握したりするようにしています。権利擁護に関する取組について、多角的な視点から把握していきたいという方針のもと、担当制を設けずに様々な職員が関わる支援を進めています。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

一人ひとりの利用者の生活背景は様々であるため、個別的な支援が必要となります。グループホームの情報提供(必要に応じて、グループホーム見学に同行)について、親には家族会で説明しています。また利用者にも説明し、お金の使い方、対人関係、生活スキルの向上につながるようにしています。工賃は個別支援計画と工賃アセスメントが連動しており、その評価結果を利用者に面接でフィードバックし、動機づけとしています。利用者自身は毎日記載している「業務日誌」のなかで、自分の生活や就労状況について振り返り、自己覚知に繋がっています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

コミュニケーションが苦手な利用者に対しては、個別対応で支援をしています。具体的には、挨拶が苦手な利用者には「挨拶練習ノート」を作成して、職員に挨拶をしてサインをもらうなど工夫しています。また、意思表示や伝達が苦手な利用者には、達成度に応じた課題を与え訓練や環境調整を行っています。担当制を設けないメリットとして、様々な職員が関わって支援する仕組みが出来ています。言語コミュニケーションができる利用者が多く、そのため対人関係のトラブルも多いため、対人関係の保ち方などについてグループワークなどで講習を行っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者とは毎月面談を実施しており、個別支援計画での目標の進捗確認や困っていること、悩みごとの相談に応じています。また相談内容について課題などがあった場合は、必要に応じて相談支援事業所や基幹相談支援センター、グループホームなどの外部関係機関と連携し、必要な支援に繋げています。内容については施設内職員と、日々のミーティングやパソコンで管理しているネットワーク上の業務日誌、月2回の情報共有ミーティング(出席者は全常勤職員、運営方法としてはフォーマットがあり、トピックがある利用者や情報共有する必要がある利用者について、各々の職員が順番を決めて実施)で共有しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:b】

様々な就職先を想定し、様々な作業が体験できるよう、年間約30社の企業と取引して作業受注に取り組んでいます。また、就労移行支援事業では、就労を前提として施設外の現場で実習することができるよう、現場を複数確保することで日頃の作業では得難い就職に向けた訓練に取り組んでいます。就職先については、本人の希望に応じて複数の企業を紹介し、最適なジョブマッチングを目指しています。また法人としては就職後も支援を継続しており、毎年同窓会なども実施しています。地域に参加した活動はできていませんが、余暇活動についても利用者の希望を取り入れながら、企画しています。新緑ハイキングや納め会などを開催し、利用者の交流や楽しみの機会を作り、選べるようになっています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

専門知識習得のために、常勤職員へ施設外の研修等の案内を回覧し、職員を積極的に派遣しています。研修に参加した職員は報告書を作成して法人のネットワーク掲示板に掲載し、法人職員全員がアクセスすることが出来ます。利用者の体力維持向上のために、市の総合リハビリテーションセンター(更生相談所)と連携して「運動プログラム」を作成しています。利用者同士のトラブルなどもその都度調整しています。施設の支援スキルのみの対応では困難な場合には、外部の発達相談支援センターなど、専門機関に積極的にコンサルテーションを求め、支援方法の検討や見直しに努めています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

食事提供については、調理設備がないため、昼食は、持参する、コンビニエンスストア等の弁当、施設での仕出し弁当の注文などを選択してもらい対応しています。選択することで利用者の自己決定を支援することにも繋がっています。入浴支援はしていませんが、失禁の際は利用者の尊厳に配慮し、必要に応じてシャワー室で対応しています。男性利用者のひげそりなどは、男性職員がひげを伸ばし、具体的に電気カミソリの使い方を教え、身だしなみの支援をしています。理解しやすい支援の見える化に努めています。施設外実習の際などに、事前に通勤訓練をするなど必要に応じた移動支援をしています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

同一法人の川崎周辺地域の事業所と連携して毎月安全衛生推進会議を開催しています。ヒヤリハットや事故などの情報を共有し、全体で安全に対する意識の向上を図っています。職員の安全衛生についての取組経験を生かして安全衛生標語を独自に作成し、作業班の朝礼などで唱和や指導を行っています。さらにグループワークのなかで危険予知教育なども取り入れています。年2回、法人理事長による安全衛生巡視が実施され、改善すべき点などがあれば指摘を受けるなど、現場だけではなく法人全体で安全衛生に取り組んでいます。これらの取組について、令和3年に「神奈川県労働局長表彰」を受賞しています。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画にもとづき、就職に向けた課題について、職員全体で検討し支援方針を決定しています。作業訓練を担当する職員と生活支援を担当する職員が、利用者一人ひとりの就労に向けた課題や支援方針などについて、月2回の情報共有ミーティングで共有しています。情報共有ミーティングでは、施設内での訓練内容や就労を前提としない体験的な施設外実習、就職を目指した企業実習のタイミングなどについて検討し、定期的なモニタリングでそれに応じたプログラムの提供をしています。就労支援、就労継続支援B型、就労定着支援の事業別サービスで区別するのではなく、利用者の心身の状況に応じて支援しています。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

年1回の健康診断だけでなく、施設近隣にある医院を協力医として契約しており、毎月利用者の体重測定や健康相談を行っています。体の不調を訴えることができない利用者の虐待早期発見のため、不自然な痣や傷がないかを確認する場になる事もあります。基本的に施設でバイタルチェックはせず、服薬についても自己管理となっています。ただし、メンタル面で不調のある利用者が通院している医療機関に対しては、施設での様子を書面にまとめ診察の参考にしてもらったり、必要に応じて通院同行をしたりしています。就労継続支援B型の利用者のなかには体力低下が懸念される人もいるため、川崎市の総合リハビリテーション推進センター(更生相談所)と連携し、体力の維持・向上のための運動プログラムを作り、長く就労するための体力作りを行っています。体調不調時(緊急時)の対応の手順や方法についての明確化は今後の課題です。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

グループワークでは就職に向けた講習だけでなく、就職した会社での過ごし方や対人関係、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)関連等も指導しています。これまでは、この講習の部屋の確保が難しい状況でしたが、施設の定員縮小をきっかけに作業室の一部をホールに変更し、講習に集中できる環境が可能となっています。また、コロナ禍であっても、できるだけ利用者の希望する行事を行いたいとして、密にならない環境での行事(ハイキング等)を行ってきました。コロナが5類になり、2023年12月には久々に納め会を行い、施設利用者全員で外食行事を再開し、好評でした。これからも利用者の希望と意向を尊重した行事や社会参加、学習のための支援を行っていきたいと考えています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

親元から離れてグループホームで生活することを希望している利用者や家族、また親元から離れて生活することが望ましい利用者には、個別支援計画の改定の際などに積極的にグループホームの利用などを勧めています。またそのために必要となることについては、関係機関と連携ながら自立した生活が送れるような支援を行っています。就職者の同窓会などでは、実際にグループホームで生活している利用者にグループホームでの生活について話をしてもらったりしながら、親元から離れて生活することに興味や関心を持ってもらえるよう取り組んでいます。グループホームでの暮らしが継続できるように相談に乗りながら、バックアップしていきたいと考えています。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画作成時の面談では、家族からの要望の聞き取りや利用者の家庭での生活の様子を把握し、必要な場合には連携して支援を行っています。また、年1回現役利用者及び就労者の家族向けに家族会を開催し、前年度の事業報告と併せて、「親亡き後の準備」や「グループホームの生活」などのテーマで講演会を行い、情報発信や、家族間の交流を広げる取り組みをしています。就職に際しては、労働環境や雇用条件などの説明を行うとともに、職場でトラブルが発生した際などには、企業と利用者本人・家族の間に入り、調整する役割をしています。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

定期的に利用者のアセスメントを常勤職員全員で実施し、就職に向けた課題や本人の「強み」「弱み」をモニタリングしています。そして、作業スキルの向上だけではなく、安心して働くことができる作業環境などについても併せてアセスメントしています。また、就職活動で求められる面接練習や履歴書の書き方、及び職場での対人関係やお金の使い方など就職後の生活も意識したグループワークを行っています。就職して施設を卒業する際には、施設全体で終礼を行い、就職が決まった利用者から在所者に挨拶してもらうことで、他の利用者にも「次は自分も就職したい」という気持ちになるようにしています。また家族にはもらった工賃、訓練手当は「生活費」「貯金」「おこづかい」とお金を分けて使い、少額でも家計費を担うことで生活への自信に繋げるようにと話しています。

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:b】

企業就職後は自分が希望する作業だけができるわけではないことを踏まえて、訓練段階においても作業内容については利用者の希望を確認・相談しつつも職員が主導して決めていくようにしています。職業アセスメントなどから利用者本人の「得意」「不得意」を見極め、「不得意」の克服よりも「得意」を引き延ばせるように作業提供しています。作業全体を課題分析し、本人ができる工程を抽出したり、治工具の工夫などにより、より難しい作業が遂行できるような工夫もしています。また、安全に作業に従事できるように、作業手順書や視覚的構造化にも取り組んでいます。さらに、工賃の引き上げに向けて、新たな施設外実習の現場を開拓することも積極的に行っていきたいとしています。

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:a】

川崎周辺にある同一法人内の事業所(障害者就業・生活支援センター含む)との情報交換を月1回開催し、雇用企業情報を共有しています。採用に関しては、これまでの採用実績のある企業だけではなく、新たに障害者雇用枠での採用を始め、企業へのアプローチを進め、採用時の業務の切り出しの提案や採用を前提とした実習のコーディネート等を行っています。企業との信頼関係が構築され、求めに応じて企業内指導員への障害者理解の講座などを実施しています。一方、離職せざるを得なくなってしまったケースについては、本人の希望などを聞き取り、施設利用を希望する場合には、多機能である施設のメリットを活かし、利用の受け入れを行う事もあります。