社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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アイン松本町保育園

2021年03月09日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 アイン松本町保育園 評価対象サービス 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 68 名
所在地 〒221-0841
横浜市神奈川区松本町3-27-8
TEL 045-314-4152 ホームページ https://www.ein-group.com/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2013年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 中央出版株式会社
職員数
常勤職員:13 名
非常勤職員:5 名
専門職員
保育士:16 名
栄養士:2 名
施設・設備の概要
居室:乳児室1室
居室:保育室5室
設備:調乳室1室
設備:調理室1室
設備:医務室1室
設備:事務室1室
設備:幼児用トイレ9個

③ 理念・基本方針
<理念>
みらいを生き抜く力を育てる(法人)
今の子どもたちが大人になる頃、多種多様な社会問題、環境変化を乗り越えないといけない時代です。子どもたちに挑戦する心、諦めない心感謝の心を持ち元気な大人になるための環境を提供します。アイン保育園は愛情を持った「共育」を実施し生きる力と夢を持った子どもを育てます。

<基本方針>
1.安心・安全を第一に考えます。
2.子どもと大人が共に学び、成長する。
3.利用者、地域のニーズに応える。
4.豊かな人間性を持った子どもを育成する。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<アイン松本町保育園の特徴的な取り組み>
私たち職員は未来を生きぬく力を育てるために、乳幼児期の大切な時期に保育士と子どもが丁寧に関われる環境を作っています。乳児期は育児を生活の軸とし食事、排泄、睡眠などで保育者と1対1の場面を作り、子どもたちの思いに共感し、応答し、愛着関係や信頼関係が築けるよう関わっています。そうした関係性ができ、安心できる環境下で夢中になれることを一つでも多く見つけられるよう保育園生活では多くの種まきを出来たらと考えて保育をしています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2020/08/28(契約日) ~2021/02/22(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2015年度)

⑥総評
特に評価の高い点 【アイン松本町保育園の保育方針】
●保育目標に「好きな遊びをみつけてお友達と楽しくいっぱい遊べる子ども」、「いろいろなものに興味をもち、意欲的に挑戦する子ども」、「思いやりの心をもった優しい子ども」とし、『自由保育』・『モンテッソーリ教育』・『共育』をコンセプトとして保育を推進しています。「自由保育」は、子どもたちが自分で考えて個々の興味・関心のある遊びを見つけて取り組むことで、自分で決める力や主体性が育ちます。「モンテッソーリ教育」は、全ての子どもは自分を伸ばす力(自己教育力)を持っているという考え方を基本にしています。大人は、子どもに何かを教えるのではなく、個々の子どものその時期の興味をよく見て、適切な環境を整えて援助をするのが役目とし、モンテッソーリ教育では各発達段階の子どもたちがやってみたいなと思える教具がたくさんあります。「共育」とは、子ども、保護者、地域の方々、保育士がお互いに助け合い、勉強しながら共に育っていくということです。これらをコンセプトにして保育の工夫と共に積極的に取り組んでいます。

◇特に評価の高い点
1.【未来を生き抜く力を育てる保育の実施】
●アイン松本町保育園は、『自由保育』・『モンテッソーリ教育』・『共育』をコンセプトとした保育を推進しています。具体的な保育内容を今年度の指導計画で確認しました。5歳児クラスの保育姿勢は、「自分で考え・判断し、進んで取り組んでいけるような時間や機会を作り、活動できるように環境を整える。」としています。5歳児の保育日誌(10月)や保育士の戸外活動、昼食時、午睡時での記録からも確認することができ、子どもたちは、自己決定力や主体性、自分を伸ばす力が育まれています。この育まれた力を、保育所保育指針の「育みたい資質」・「能力の3本柱」と連動させ、豊かな感性から物事を感じ取り、身に付ける「知識及び技能の基礎」を培い、あらゆる発見・気づきを持って「思考力、判断力、表現力等の基礎」を築き、心情・意欲・態度が育つ中で、より良い生活を営もうとする「学ぶに向かう力、人間性等」につながっていくよう取り組んでいます。

2.【体と心を育てる給食の提供】
●食べる力は生きる力です。アイン松本町保育園の食育のねらいは、『食べ物と体の関係に興味を持つ、友だちと一緒に食べる喜びを味わう。』としています。年間の食育計画は、1年をⅠ期~Ⅳ期に分けて行い、Ⅰ期のテーマは、「姿勢よく食べ、お皿を持ち、三角食べをする」、「気持ちよく食事をするためのマナーを身につける」、「食べ物に興味を持つことで、友だちや保育者と楽しく会話しながら食べる」、「バイキング形式の給食で適量を摂る」とし、クッキング実習等を通して習得しています。子どもたちは、Ⅳ期までの食育計画に沿って様々な調理器具を活用しながら楽しくクッキングを行い、三色食品群により食材の働きを学び、食事のマナーを身につけて行きます。苦手な食材もクッキングを通して、少しでも食べてみようという意欲につながった事例もあります。日本文化に因んだ和食クッキングでは、箸の使用や和食への興味が広がりました。また、食育Ⅳ期のねらいでは、「食品を選ぶ力を養うこと」、「食に関わる全てのものに感謝の気持ちを持つこと」、「みんなと食べる楽しさを味わうこと」を身につけて行きます。園では、月1回、給食だよりを発行し、歳時記や食材の効用、副菜レシピ、食育豆知識等を紹介し、家庭での食育につなげています。11月号の給食だよりでは、「和食の日(11/24)」に因み、日本文化を掲載し、和食の基本と言われる一汁三菜や、宮城県の郷土料理「はっと汁」の説明や、「和食の日」の献立に用いられる食材の栄養等について伝えています。子どもたちは、美味しい手作り料理で生きる力を育み、自由保育で主体性を培って未来を逞しく生き抜く力を日々養っています。
改善を求められる点 ◇改善を求められる点
1.【保護者との情報共有をさらに密接に図り、保育に対する安心感・信頼を高める】
●アイン松本町保育園の子どもたちは、保育コンセプトの自由保育を受け入れ、主体性を持って未来を生き抜く力を育んでおり、その保育内容は保護者等に高い評価で支持されています。園の自己評価が低い項目の内、保育園と保護者との情報共有に関する内容が比較的多く挙げられます。その代表例として、(1)理念、基本方針の継続的な周知方法の必要性(2)利用者満足度において保護との認識の乖離が見られる(3)保護者への情報の伝達不足による相談・意見に対するICT化の促進等、さらに密接な情報交換のできる工夫が望まれます。子どもの生活を充実させるためにも家庭との連携は必須であり、現在の連絡帳等の他にビデオ記録、メール機能の拡張等、情報発信の一考を提案します。保育士の基本的な役割は家庭養育の不足を支援、補完することであり、親子の関係が円滑で愛情深いものになるよう手助けすることです。そのためには保育士自身も保護者・子どもとの信頼関係を築くことが重要です。現在、地域の子育ての中核を担う専門職として保育士の重要性も高まっています。保護者との関係構築を図る為にも、丁寧な対応や情報共有ツールの追加・工夫を行い、保育に対する安心感・信頼を高めていかれることが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名:アイン松本町保育園


<評価に取り組んだ感想>
   
 園長が代わり、初年度での第三者評価の受審で、アイン松本町保育園を一から学ぶ機会を作っていただき、良かったと思います。ヒアリングを行いながら、質問の意図に対して何を求められているか、そこに対しての答え方など、改めて学ぶことができました。

 また、法人(中央出版株式会社)のアンケートとはまた異なり、第三者評価での利用者アンケートは園への意見として貴重なものとなりました。

 今回、評価していただいた結果から、さらに良い保育園にするために、多くの助言をいただき、ありがとうございました。もう一歩でも保護者との関係を強くして、ファンになってもらえる努力をしていきたいと思いました。

 お忙しい中、本当にありがとうございました。


<評価後取り組んだ事として>

1.保護者に向けての発信方法を書面だけでなくICTの面から、メールを使用して重ねて伝えることを始めました。

2.子どもの発達をさらに知り、適切な関わり、丁寧な観察、対応が行えるように、会議や昼礼などで共有、研修の場を設けています。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

●園の保育理念、保育方針、保育目標は、入園のしおり(重要事項説明書)等に記載しています。職員の行動規範としては、「保育運営マニュアル」により接遇に関してや園則の中の職員の資格等、「期待する職員像」を明示し、具体的に示しています。職員に向けては、入社前、大研修(年に2回、日曜日開催、全職員出席)や園内研修を行い、掲示物、パンフレット等を掲示し、会議や毎日の昼礼で理念や方針の理解について園長・主任の話をベースにディスカッションを行い、共通理解に努めています。保護者に向けては、入園説明会や保護者懇談会等で説明を行い、園だよりやクラスだより、ホームページ上で園の理念や方針をわかりやすく周知しています。しかし、第三者評価の利用者アンケート調査結果では、保育方針、保育目標を知っている家族が半数に満たない状況になっています。保護者に対する周知の方法、継続的な取り組みについてさらなる工夫が望まれます。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:a】

●情報の把握については、園として神奈川区の園長会議、幼保小校長・園長連絡会、区や市の会合の他、法人本部で全国組織の日本子ども育成協議会に加入し、情報を得ると共に、厚生労働省の最新情報の入手にも努めています。地域の福祉計画については、法人事業本部で都道府県白書等の分析を行い、園長は神奈川区園長会議、幼保小校長・園長連絡会、区や市の会合に参加し、得た情報を法人本部にフィードバックし、情報共有を図っています。子どもの出生の状況、都道府県及び都道府県内の市区町村の人口動態、他園の運営状況等を分析するようにしています。保育園ではICT化を行い、経費分析や経営指標の確認を実施しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

●保育の基本業務の他、全体的な業務に関しては職員の「担当係」を明確にし、責任分担を明らかにして各係の責任者にある程度の権限を委譲して組織として課題の解決に努めています。課題が発生した場合は、課題のテーマにより決められた担当チームが取り組み、解決する仕組みをつくっています。経営状況や園全体として取り組む課題については、事業本部等で検討し、方向性を共有しています。園長は今年4月に就任し、就任後は園の課題を全職員で洗い出し、3年計画で対策を取り組む計画に尽力しています。保育園運営上の課題として、職員が安定して長期間働けるようにすることを挙げています。全職員から抽出した課題について、管理職内での解決の話し合いは行われていますが、全職員への周知は希薄さがうかがえます。また、園と法人事業本部との共有を十分に図り、法人事業本部及び全職員への周知、課題解決に向けての取り組み等、計画的に実施されることが望まれます。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●アイン松本町保育園としての中長期的な目標(ビジョン)を策定し、ビジョンは文書として明示しています。中長期的な目標は、全職員が日常の保育に反映していく項目と、役割分担して進める項目に分け、わかりやすく設定されていますが、中長期的な目標(ビジョン)を文書として作成された段階で、具体的に各項目を細分化して工程管理をするまでに至っていませんので、中長期的な目標(ビジョン)の内容を現在の経営課題や問題点の解決改善に向けた具体的な内容にブレイクダウンし、計画内容を日程管理できるように工夫されると尚良いと思われます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

●単年度の計画は、中長期計画の内容と同一のビジョンとして策定しています。望まれる点は、前項【4】と同様に工夫されることを期待いたします。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

●アイン松本町保育園としての中長期的な目標(ビジョン)は、全職員にアンケートで提案された項目を集約して作成されています。従って中長期的な目標(ビジョン)は、全職員の参画や意見の集約・反映の基で策定されています。中長期的な目標(ビジョン)は、日々の保育業務に反映できるものから実施されており、日々の昼礼の中で話し合いを行い、実施しています。アイン松本町保育園としての中長期的な目標(ビジョン)は、計画期間中において、事業計画の実施状況をあらかじめ定められた時期、手順に基づいて把握及び評価が行われています。さらに、その評価の結果に基づいて事業計画の見直しを行えると尚良いと思います。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

●アイン松本町保育園としての中長期的な目標(ビジョン)は、作成する当初に全職員からアンケートを取ると共に保護者アンケートも実施して目標を策定する際の各項目に反映しています。この目標を進めるに当たり、保育のねらいや関わり方について、おたよりや懇談会で保護者へ伝えていますが、中期計画の各項目は職員が実施する内容であり、文書を示しては伝えていません。事業計画の主な内容を分かりやすく説明した資料を作成する等、保護者等がより理解しやすいよう工夫を行い、保護者等の参加を促す観点から周知、説明されることが望ましいです。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

●職員会議や昼礼等の場において職員間で保育や子どもの成長についてディスカッションを行っています。保育の質の向上については、指導計画は、日案、週案、年間・四半期案に振り返り、評価欄に記入して保育内容を見直しています。保育士の質の向上については、園独自の自己評価書があり、自己評価項目が設定されています。個人別に自己評価項目の中から課題を抽出して次の目標課題に設定しています。自己評価は定期的に園長と面接し、達成できなかった項目については次の目標に組み入れるよう質の向上に努めています。第三者評価は定期的に受審予定とし、保育の内容の評価を行い、保育の質向上につなげています。基本的には業務は、PDCAのサイクルで実施されています。但し、指導計画について担当以外のクラスの保育計画、保育内容について十分に踏み込んで意見を述べ合うまでに至っていない部分もあり、担当以外のクラスについても全職員の意見を反映されることが望まれます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

●第三者評価の結果や、指導計画の評価・反省について課題とその解決策(案)を作成し、案を職員会議で検討を図り、決定して実施に結び付けています。職員間での共有化は職員会議で行い、次期計画に組み入れて展開しています。改善計画は基本的には次年度指導計画とし、それまでに改善の努力を継続するようにしています。改善については随時、見直しを図っています。会議に参加できなかった職員には、会議資料や話し合った内容を共有できるようにしています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

●園長は年度初めに保育園の経営・管理に関する方針を明確にし、保育方針にも示しています。園長はその役割と権限について保育運営マニュアルの「職務分担について」に明記しています。保育運営マニュアルは職員全員が所持し、このマニュアルにもとづいて日常の保育に当たっています。また、責任者として会議や会話の中で常に伝えています。有事についての代行責任は主任であることを保育運営マニュアルの「職務分担について」に記載されていることを確認しました。保育運営マニュアルの「職務分担について」に記載されている園長職務内容は、園内職務の統括についてのみ記載されています。対外折衝、情報収集、運営会社保育事業本部の機能活用なども重要な業務です。これらについて園長業務に記載されることが望まれます。また、園長の職務分掌表等の内容を充実させ、職員の職務分掌表と併せて職員全員に周知できることが望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●遵守すべき法令はリスト化し、新入職員については入社時研修で周知を図っています。法令の勉強会や、保育の研究会、発表会等に参加し、地域環境の法令等についても出席し、職員へ必要な関係法令の周知に努めています。法人の定款、経理規定、就業規則は誰でも閲覧できるようにし、守秘義務に関しては、各職員と誓約書を交わすと共に、内容を確認し、理解しています。他園のコンプライアンス情報、一般企業の法律抵触の情報等を収集し、社会人として守るべき規律や規範等を職員に伝えています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●園長は保育の質の維持・向上に意欲を持ち、毎日の報告や毎月の職員会議の中で職員に確認し、個々に応じた対策を図るようにしています。通常の保育以外の業務について業務のテーマ毎に担当する組織図を作成しています。その仕事の分配から役割に応じた関わり、指導を行っています。園長は、定期的に職員と面談を行い、個別に評価や課題について話し、会議・昼礼では園長が職員に向けて保育の質の向上につながる話をしています。職員研修・教育は年間研修計画を立案し、行政主催の外部研修や、園内研修や会議を通して行っています。園長は、多くの外部研修や各種会議に出席し、保育に関する知識の習得を継続し、アイン松本町保育園の保育の質に関する課題をさらに見つけ出し、改善のための具体的な取り組みを明示して指導力を発揮していかれることを期待いたします。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

●園長は、毎月の収支を確認し、改善が必要と思われる点は職員に向けて説明を行い、業務改善に取り組んでいます。また、業務の実効性を向上するため、職員と話し合い、組織体制を変更したり、組織運営に努め、円滑に連携が図れるよう体制の在り方について常に考えています。また、限られた人員でより効果的な方法を模索しています。問題点の早期発見や意見からの改善など、極力迅速に対応しています。園長は、経営の改善や業務の実効性を高めるために組織内に具体的業務遂行体制を構築しています。仕事の見える化、シフトの融通性、保護者との対応、環境美化・衛生、感染症対策、書類管理などの長期的な課題の業務遂行体制と日常保育の課題遂行体制を整備しました。園運営で抽出された課題をこれらの体制で対応しています。課題対策を計画的に実行するために課題の内容を細分化して日程管理を行っていかれると尚良いと思われます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

●人材確保について、長期の求人計画を策定し、法人で求人専用のパンフレットを作成し、OGが同行して大学で説明会を開催し、地方の大学へも求人活動を行い、系列園での体験実習を企画しています。また、福利厚生や社宅制度、家賃援助についても説明しています。研修等の体制、給与、配属等については、職員一人ひとりと面談し、資格を優遇し、柔軟に対応するようにしています。計画に基づいた人材の確保や育成について、全国の保育養成校の訪問、人材採用会社・人材採用メディアのサイトへの登録、合同説明会への参加、オンライン説明会、園見学等を実施しています。採用後の研修は、事業本部の採用研修、2・3年研修、中堅研修を園内研修で実施しています。園では、職員が長期間安定して働けるようにし、職員充足をしたいとの事業経営上の課題を挙げています。中・長期計画ではこのことに関連したテーマを取り上げており、まだ計画が作成されて日も浅いため、具体的に課題を日程管理されるまでには至っていませんが、これからの取り組みに期待が寄せられます。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

●保育運営マニュアルの「職務分担について」に、各職位の業務が記載されています。「保育業務上の手引き」に職員の勤務心得が記載されていますが、「期待する職員像等」を階層別に明文化し、人事考課に連動し、昇給、昇格に反映する体制について、職員全員に明示する透明性は確認されていません。一定の人事基準と専門性、遂行能力、職務の成果を分けての評価、能力給の比率などの管理は法人事業本部で行っています。職員の意向については「近況報告書」に基づいて年2回、園長との面談にて職員一人ひとりの意向、悩み、希望を聞き、改善できる事柄については善処するようにしています。産業医システム、相談ホットラインが法人事業本部に整備されています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

●職員の就業状況についてはICT化の促進により、出退勤のデーターベースでの管理が進んでおり、それを業務時間の平準化につなげています。特に、所定外就労申請書を毎月職員が作成して管理しています。幼児の担任に負担がかからないようフリー職員の活用をするなど工夫し、負担軽減に努めています。有休取得については平均化を心がけ、ワーク・ライフ・バランスについては、法人事業本部のトレーナーとの相談や保育園の担当係と相談して決めるようにしています。職員の心身の健康と安全の確保については定期健診、安全委員会によるパトロール、予防接種等を始め、前出、個別面談の他、法人事業本部に悩み相談窓口、産業医受診システムを設けています。組織風土の状況の改善策については、中長期計画で改善を目指しています。テーマとして働きやすい職場が原点であり、その為に「職場改善組織」を立ち上げ、職員で話し合いを行い、中長期計画を策定して実施するようにしています。そして、年2回の近況報告や普段の会話などで状況を共有しています。中長期計画では、職員が幸せに働くための職場作りとして、仕事の見える化、シフトの融通・有休を取得しやすい環境作り、清潔・きれいな保育園、感染症対策、書類管理等を計画的に解決していくことを目指し、これらの項目について、実行可能な事柄にブレイクダウンして計画実行の日程管理をされることを期待します。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●保育運営マニュアルに職員の職務分担、職務の心得を明示しています。そして近況報告書に自身の保育に対する分析、課題、目標などを記載して、園長面談による目標管理を行い、職員一人ひとりの能力アップによる全体のレベルアップを図っています。園長面談は、毎年2回(6月・11月)行い、他に年1回、職員の自己評価シートに従って自己評価を実施しています。園長は、新卒の研修や職員の近況報告を基に面談をしながら目標やキャリアプラン等の話を行い、職員一人ひとりの能力向上に努めています。さらに、職員一人ひとりの目標設定について、目標項目、目標水準、目標期限を明確にしていかれると尚良いと思われます。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

●保育園が目指す保育を実施するために、保育運営マニュアルや職員のお約束の中に、「期待する職員像」を明示し、研修計画は階層別に定めています。また、園が目指す保育に向けて教育・研修計画は年度当初に決め、計画に沿って研修を実施しています。研修内容は毎期末に見直しを図り、研修計画のカリキュラムも定期的に見直しを行い、職員の資質向上に努めています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

●個別の職員の知識、技術水準、専門資格の取得状況等を把握しています。階層別研修、職種別研修、テーマ別研修等の機会を確保し、職員の職務や必要とする知識・技術水準に応じた教育・研修を実施しています。外部研修については情報を伝え、自発的な参加希望者を募り、研修終了後は、研修報告を提出すると共に、職員会議にて発表・報告を行っています。キャリアアップや階層別研修、区の研修など経験や係に合わせて研修の提案をしています。可能な限り、職員一人ひとりに研修に参加できるよう業務の調整に努めています。無資格者に対しては、子育て支援員の研修の機会を作り、参加できるように環境を整えています。新型コロナウイルス感染症の影響や職員配置、年間予定の関係から、難しさもありますが、できる限り研修の機会に配慮しています。新任職員をはじめ職員の経験や習熟度に配慮した個別的なOJTは昨年まで実施されており、今後、OJTについては習熟度に配慮した個別的なOJTの手引き書の整備が望まれます。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

●実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成に関する基本姿勢を明文化し、実習生受け入れのマニュアルを整備しています。基本的に実習生を受け入れることとし、実習依頼校の要望に応じたプログラムを準備しています。実習は依頼校と連携しながら行い、受け入れる際には受け入れ態勢を整えてから受け入れますが、実習指導者研修も望まれます。今年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、受け入れを行っていません。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:a】

●園の情報については、ホームページ、園のしおり、パンフレット等で周知しています。園は、運営が株式会社であり、経理数字の公表はしていませんが、入園説明会等で運営内容等の説明を行っています。第三者評価受審結果、苦情体制や改善方法については保護者に対して公表しています。地域に向けては、園の活動状況について広報誌に記載し、区役所等で配布しています。さらに、商店街マップを作成し、商店街や駅にも配布する準備を整えています。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

●保育園のルール、職務分掌、権限・責任等については明確にし、職員に周知しています。事務、経理、取引等の内部監査については、法人事業本部の経理担当者が毎月、園の経理チェックを実施しています。事業、財務については外部の会計事務所に委託し、外部専門家のアドバイスを参考にして経営改善を法人事業本部で実施しています。保育運営マニュアル、「職員のお約束」に保育園のルール、職務分掌、権限・責任等については抜粋して記載されています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●地域との関りについては、指導計画書、月案に記載しています。地域の会合等、予定及び協議内容等が決まったことについては記録に残し、商店街との交流も設けています。社会資源についてはリスト化し、一覧にして職員、保護者に周知を図り、有効活用するよう努めています。地域行事については、地域のお祭りに職員が子どもたちを連れて参加して交流を図っています。また、子どもたちが地域のデイサービスを訪問して入居者と世代間交流を行い、良好な関係作りを行っています。幼保小連絡会の活動にも参加し、地域の他保育園と連携を図っています。地域の方とは散歩時に挨拶を交わし、商店街を通る際は、商店の方々から挨拶をいただく等、良い関係ができています。さらに、地域の消防署の見学、警察署から交通ルールの講習会を受ける等、交流を広げるよう取り組んでいます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

●ボランティア受け入れの基本的考え方は文書に整備し、学校教育(中学生の体験学習、高校生のインターンシップ等)の受け入れを明文化しています。受け入れ時にマニュアルに沿ってオリエンテーションを実施し、園の方針、留意事項等を説明しています。近隣の小中高の学校へ協力する旨を表明しています。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、実施はできていませんが、例年は行える体制はできています。さらに、ボランティア受け入れの基本的考え方、受け入れの具体的な方法を詳細に記述してマニュアルを整備されることが望まれます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

●関係機関・団体についてはリストが未整備ではありますが、区役所、地域療育センター、児童相談所、保健所、消防署、警察、病院等と連携及び、協働を図っています。地域の関係機関・団体とネットワーク化まではできていませんが、情報交換ができる体制にあります。虐待が疑われる子どもについては、要保護児童対策地域協議会への参画や児童相談所との連携を視野に入れて対応するようにしています。社会資源を明示したリストや資料を作成して職員が何時でも閲覧できることが望まれます。また、職員会議で説明し、職員間で情報の共有化が図られることも望まれます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

●地域の園長会議、幼保小連絡会、町内会に参加し、商店街の会合や会計報告会等にも参加し、地域のニーズを把握する機会としています。その他、関係機関との連携活動も含めた交流の中で、地域の情報やニーズを聞き、できる範囲内で対応しています。保育園のアインフェティバルには地域の店の出店協力をいただいています。得た地域のニーズの情報は会議等で全職員へ周知し、保育園の運営に生かす取り組みの検討及び記録を残し、活用をしていかれることが望まれます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

●保育に関して、子育てに留まらない社会貢献活動の展開を企画・実施しています。例えば、公園の危険物の撤去、清掃を子どもたちと一緒に行う、デイサービスへの訪問等を行っています。町内会に加入して地域の行事にも参加し、神奈川区主催の催しものへの参加や、子どもを介したコミュニティ活動に貢献しています。また、地域の防災対策や、被災時における福祉的な支援を必要とする方々、住民の安全・安心のための備えや支援の取り組みを行っています。例えば、この地域は液状化地域に指定されています。災害発生時に園の備蓄品の提供、一時避難所としての保育園の活用、AEDやガスボンベで発電する発電機の設置、その他の防災グッズの利用を発信しています。さらに、把握した福祉ニーズ等に基づいた具体的な事業・活動を、計画等で明示され、保育園が有する福祉サービスの提供に関するノウハウや、専門的な情報を、地域に還元する取り組みを積極的に行い、増やしていかれることを期待したします。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●保育理念に「みらいを生き抜く力を育てる」としています。この理念による運営は、子どもを中心に置いた保育であり、この園の特徴となっています。倫理及び接遇については、保育運営マニュアル、「職員のお約束」の中に記載されていますが、より明確となるよう、倫理及び接遇マニュアルとして編集されると尚良いと思われます。園の保育方針について、職員は正しく理解し、同じベクトルで保育を行うことの共通認識を図り、手法に間違いがあれば皆で話し合い、正していくようにしています。基本的人権については、入職時採用時研修で学んでいます。園長は、子どもも一人の人間としての人格がある事を研修や会話の中で伝え続けており、保育にも定着しつつあります。職員は、基本的人権について理解し、評価については保育士の自己評価シートにより定期的に把握・評価が行われています。互いを尊重する点については3歳児~5歳児の交流保育において、また、団体の中や異年齢で生活する中でスキルを育んでいます。職員は、性差を意識して保育には当たっていません。出席簿、グループ分け、製作での色、服装の色、遊び等、子どもが自由に選択できることを尊重しています。子どもの出自、国籍、人種、宗教等で区別することはありません。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

●子どものプライバシー保護に配慮し、おむつ替えの台は外から見えない場所に設定し、女児のトイレにはドアを設置しています。また、プール使用時は外から見えないように日除けシート、衝立を活用して工夫し、排泄に失敗した際は子どもの羞恥心に配慮して他児にわからないよう処理するよう配慮しています。プライバシー遵守は重要事項説明書にも掲載し、職員にも周知しています。一人ひとりの子どもにとって、生活の場に相応しい快適な環境を提供し、子どものプライバシーを守れるよう設備等の工夫を行っています。例えば、トイレの着替えはトイレの端や、衝立の中で行います。保育の内容については、入園説明会、懇談会等で保護者へ丁寧に説明しています。障害や配慮を要する子どもの対応についても説明し、保護者へ理解を促しています。園の見学会や保育参加等で保育の実態を見てもらい、取り組みについて理解ができるよう工夫しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

●園のパンフレットは区役所、町内会に設置して園情報を提供していますが、基本的には園のホームページに掲載し、参照してもらっています。来園者についてはパンフレットを手渡し、希望に応じて説明をしています。園見学の希望の問い合わせには園長、主任が丁寧に対応し、園と見学者双方の希望・都合を調整し、できれば午前中の見学を勧め、土曜日の見学も対応しています。見学者(利用希望者)への提供情報は適宜見直し、作成しています。ホームページでは、保育の内容が「自由保育」「モンテッソーリ」「共育」と謳われていますが、それぞれの内容が理解できるような説明がやや希薄であり、また、系列園ごとに独自の取り組みを記載されると尚、特長・理解が深まると思います。また、アイン松本町保育園のパンフレットには実施している保育内容の分かるパンフレットにされることが望ましいと思います。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

●保育の開始時、変更時の説明と同意については、保護者の意向を念頭に置いて、できる範囲で配慮するよう努めています。変更点があった際には保護者に文書として配付しています。開始・変更時には、パワーポイント等を活用して分かりやすく説明し、保護者が理解しやすい工夫や質疑の時間を設けています。保育の開始時、変更時には保護者に説明・同意を得、それを園の書式の書面に残しています。特に、配慮が必要な保護者、例えば外国籍の保護者や知的障害などのある保護者については、個別対応で配慮しています。この項目の着眼点5項目について園では全て実施されています。しかし、第三者評価アンケートにおいて保育内容を理解している保護者は39%に留まり、保護者に対しての説明は十分とは言えず、今後は従来の方法をさらに分かりやすくして丁寧に説明を行うか、メール機能の拡充やICT化の検討などの一考を期待いたします。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

●個人の記録は常にまとめてあり、引継ぎはいつでもできる体制になっています。就学先の小学校へは必ず指導要録を提出していますが、通園途中の保育園の変更等については保護者の同意、若しくは市町村の依頼で提出する場合もあります。卒園・退園後も保護者の希望により園長をはじめ、在籍する職員での対応は行っていますが、対応の不可は法人事業本部と相談して決めるようにしています。卒園児には運動会や夏祭り等の招待状を送り、園との関係性を継続・維持しています。卒園時に、卒園後いつでも遊びに来て良い旨を口頭で伝えていますが、文書にして渡したり、残すことはしていませんので今後、文書化することが望まれます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

●子どもの満足については、日常の保育の中で常に把握に努めています。保護者の満足度は、行事ごとのアンケートの他、年間で園に対する意見、要望を聞く機会を設けています。第三者評価でのアンケートも確認し、また、法人としての保護者アンケートも実施しています。定期的な保護者の面談、懇談会等でも意見を抽出し把握するようにしています。アンケート結果等は、職員会議で全職員に周知し、意見等について検討し、集計・分析の結果から改善策を立て、実行に取り組んでいます。第三者評価アンケートでの保護者総合満足度の%にも着目し、保護者と保育園との情報交換を高め、保護者の理解不足の要因を探求し、園からの情報伝達の工夫への検討が望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

●苦情解決の仕組みでは苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の氏名を記載した内容を掲示しています。苦情解決の仕組みについては分かりやすく記載され、併せて目の付きやすい場所に掲示しています。苦情が述べやすいように意見箱の横に「記入カード」を準備し、記入しやすいよう工夫しています。いかなる苦情に関する内容も記録として残しています。意見に対して、検討結果は保護者に対してフィードバックし、受けた苦情等は公にできる内容は玄関に掲示して公表しています。苦情・意見は職員に周知し、検討を図り、保育の質の向上に役立てています。保護者等の意見において、例えば、「戸外で遊ばせて欲しい」との意見に対して、園では気候が良ければ殆ど毎日のように出かけ、散歩に行き、公園で遊ぶ機会を設けています。掲示での周知や、メール機能の拡充、ICT化等を検討し、保護者との意思疎通の工夫を一考されてはいかがでしょう。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

●入園説明会時に相談や意見は職員の誰もが対応できることを伝え、相談相手を選ぶことができる旨を説明しています。担任や園長、他職員等、保護者の言いやすさ等によって述べる相手は選べる仕組みを取っています。相談内容によって対応する職員も変えるように配慮しています。職員誰でも相談できることを明文化した文書があり、掲示もして周知しています。相談スペースとしては空いた保育室で行い、プライバシーにも配慮しています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

●日頃から、保護者が相談しやすいよう職員体制に配慮しています。職員は、送迎時等に保護者の様子を敏感に感じとり、声をかけるよう努めています。相談がありそう場合は個人面談につなげています。保護者の意見は積極的に把握し、検討するようにしています。相談を受ける際のマニュアル(重要事項説明書)を整備し、マニュアルに沿って対応しています。相談に対して、検討時間のかかる場合は中間報告をして安心を提供するように配慮しています。保護者からの相談、意見は保育の質の向上に生かすよう心がけて、マニュアルは定期的に見直しています。意見や相談はすぐに園長に相談して対応し、できる範囲で即日対応に努め、または保護者に許可を得て迅速に対応するよう心がけています。保護者とのコミュニケーションの日常的な手段は、送迎時等での保護者への声かけや会話、連絡帳が主体ですが、さらに、密接な情報交換の工夫等、「安心感」を提供する試みを期待いたします。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

●リスクマネジメントに関する責任者を園長とし、リスクマネジメントに関する委員会を設置して体制を整備しています。事故発生時の手順についはマニュアルを備え、マニュアルに沿って実施することにしています。法人として危険事例の収集と対策に努め、分析した内容を各園に配付し、園で討議する機会を設けています。収集した事例を基に対策を検討し、再発防止に努めています。職員に対する事故防止の研修を実施し、事故防止策に努め、事故防止策については実効性の見直しを行い、周知を図っています。園内で起きたケガや事故は、事故報告書に記入し、反省や改善を踏まえ、定期的に見返すようにしています。日常の活動において、事故等につながる要因は常に内在しており、保育が始まる朝の会等で安全呼称を入れたり、マニュアルの見直し、安全点検チェック表の見直し、感染症予防策の十分な対応等、さらなる注意喚起が望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

●感染症対策の責任と役割を明確にした管理体制を整備し、季節の感染症の蔓延防止に努めています。登園禁止の感染症については重要事項説明書にその対応と、再登園の際の手続きも含めて明示し、周知しています。感染症対応のマニュアルを整備し、重要事項説明書にもその内容の一部を掲載して保護者へ周知しています。感染症マニュアルの作成や感染症対策係を作り、感染症が流行る時期や原因等の情報の共有化を図り、感染予防の再確認をしています。感染症に関する保護者対象の勉強会も開催し、啓蒙しています。感染症の予防策は、絵・図で示した手洗い・うがい方法を手洗い場に掲示し、励行して実施しています。感染症対応のマニュアルは適宜見直しを図り、都度、職員へ周知し、勉強会でも確認しています。保護者への情報提供は適宜行い、地域で流行している感染症についても情報を開示し、注意喚起を行っています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

●災害時の対応体制、組織図、避難場所については事務室内に掲示し、職員がいつでも確認できるようにしています。園の立地条件を考慮し、事業が継続出来る計画(BCP)を持ち、万が一に備えています。子ども、職員の安否確認の方法を示し、全ての職員が理解しています。食料、水、おむつ、発電機、毛布、ヘルメット等の備蓄品リストがあり、管理者を決めて管理しています。また、アレルギー児については専用のカバンに特性の詳細を記しています。防災計画、防災体制を策定し、消防署を始めとする連携先に示しています。担当係を決めて備蓄や対応を確認しています。防災予防や研修を定期的に行っています。安否確認の伝達は伝言ダイヤル、一斉メール「ネオ」で行うことになっています。一方向通信だけではなく、メール機能拡充等も検討されると尚良いと思います。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

●標準的な実施方法が記載されたマニュアルを整備しています。今年度、新規に乳児の保育マニュアルを作成し、園内研修等で共有しています。マニュアルに子どもの尊重、プライバシーの保護、権利擁護を明確に記載し、会議等でも確認し、共通認識を図っています。マニュアルは研修等で職員に周知を図り、徹底すべき標準的な実施方法を記載し、OJTを含め様々な方策を盛り込んでいます。保育が標準的な実施方法に基づいて行われているかを園長、主任が実際の保育現場に入って確認し、昼礼でも確認しています。標準的な実施方法は画一的なものにならないよう、子どもの希望を柔軟に取り入れるよう工夫しています。保育運営マニュアルに必要最低限の保育業務を抜粋して運用し、詳細については、感染症対策マニュアル等の専門マニュアルが整備されています。今回の新型コロナウイルス感染症予防対策のように日常の保育内容は改善され変化していきます。マニュアルは保育内容の変化に応じて、充実補強されることが望まれます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

●マニュアル類については1年間の実施を踏まえ、年度末に見直すか否かを確認することにしています。見直しが必要なマニュアルについては、検証し、指導計画の実施結果から見直しています。また、見直しは昼礼、職員会議でも実施しています。前項のマニュアルの追加拡充に続いて、現在整備されているマニュアル類の全てについて、定期的に見直しを行い、実施した期日を各マニュアルに記載しておくことが望まれます。現在のマニュアルに記載されている期日は古いものや、期日の記載のないものもあります。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

●指導計画策定の責任者はクラス担任、複数担任のクラスはリーダーを責任者とし、園長の承認を得るようにしています。アセスメントはモニタリング表、個人記録、個人別指導計画に沿って行います。栄養士等、異職種に意見を要請することもあります。保育の指導計画は全体的な計画に沿って策定し、子どものニーズを日常の保育を通して把握し、保護者は行事後のアンケート等でニーズを抽出して指導計画に反映させるようにしています。保育実践の振り返りは日案、週案で行い、年間指導計画の四半期ごとに記録しています。支援困難ケースへの対応も同じ手順で対応しています。指導計画の策定は責任者が作成して主任、園長の承認を得ています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

●指導計画の見直しは、日案、週案で行い、年間指導計画の四半期ごとに記録しています。指導計画の振り返りで課題が見つかった場合は、次回の計画に反映しています。見直しにおいてマニュアルに変更が必要であれば対応を行い、保育の質の向上に係る課題は明確に区分けしてマニュアルに反映するよう努めています。指導計画を緊急に変更する場合、昼礼で話し合い記録に残しますが、話し合いで決まった変更事項を次の計画に反映するルールを明文化することが望まれます。指導計画の評価・見直しにあたっては、標準的な実施方法に反映すべき事項、子ども・保護者のニーズ等に対する保育・支援が十分ではない状況等、保育の質の向上に関わる課題等を明確にして、明文化・記録されることが望まれます。指導計画は随時閲覧可能な状態でファイル保管されています。しかし、職員が常に見る習慣まではできておらず、必要に応じて指導計画書を確認して保育が行われることが望まれます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

●子どもの発達状況は、経過記録に記録しています。乳児・幼児で記録を取り、保護者にも配付し、昼礼でも毎日午前中の様子をクラスごとに報告して共有化を図っています。また、記録要領の研修を園全体で行い、個別に行う場合もあります。保育に関する情報の流れ・分別、記録文書の設置場所を定め、情報の活用についてはテーマを絞って職員会議で話し合っています。さらに、会議の進め方の技術・訓練及び議事録の取り方の統一、情報共有の場(昼礼、職員会議、日誌、引継ノートなど)での内容の本質の伝達技術、正規職員からパート職員への伝達の差異が生じないための配慮等、園全体で正確な情報伝達の仕組みの工夫を検討されることが望まれます。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

●子どもの記録類については法定保管年数が定められており、基本的には法定年数を遵守することにしています。個人情報に関しては機密管理規定に定められています。保護者には、不適切な利用、漏洩がないことを重要事項説明書で説明し、文書化して保護者と書面を交わしています。記録管理の責任者は園長としています。記録の管理方法については重要事項説明書に定め、鍵のかかる書庫で管理及び保管を行い、その取り扱いについては研修を実施して周知徹底を図っています。また、基本的には事務室での事務作業を行い、情報の漏洩に注意しています。個人情報の取り扱いについては保護者へは重要事項説明書で説明し、理解の上、同意書を得ています。さらに、個人情報保護規程等により、子どもの記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関する規定を職員用に定めていることが望まれます。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:b】

●全体的な計画は児童憲章、児童の権利に関する条約、児童福祉法、保育所保育指針などの精神に沿い、それを犯さず、子どもの最善の利益を実現できる趣旨で作成されています。また、保育所の理念、保育の方針自体が児童憲章等の法令に準拠して編成されています。全体的な計画は子どもの発達過程、子どもと家庭の状況や保育時間、地域の実態などが考慮されており、母親と日常のコミュニケーションで得られる体験が身に付く前の低年齢からの入園に対して、その対応にも配慮して策定しています。全体的な計画は、前園長と現園長の話し合いのもとで作成され、さらに主任、副主任の意見を取り入れ、その後、職員会議、園内研修で全職員に周知しています。全体的な計画は指導計画の振り返りから次期計画の編成に生かしていきます。全体的な計画は、保育に関わる職員が参画して作成することが望まれます。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

●保育室の環境については、室内の温・湿度管理は夏、冬の設定範囲を定めて管理しています。換気については循環式の強制換気の他、適宜窓を開けて自然換気に努めています。特に、トイレについては通気に配慮しています。保育室は南向きで採光は十分取り入れられており、明るいです。音に関する環境については、音楽や子どもの声等、地域にも配慮し、職員の声の大きさも常に適切な状態に保持するよう注意しています。現在、屋上園庭の利用は住民に対する配慮により、夏場の水遊びのみにしています。保育園内外の設備は常に清掃し、用具や寝具の消毒等をチェック表に沿って行い、衛生管理に努めています。家具や遊具の素材・配置、保育士の導線等の工夫を行い、室内の有効活用に努めています。一人ひとりの子どもが寛いで、落ち着いて過ごせる場所の設定に配慮しています。午睡は、食事テーブルが設置されている空間を利用していますが、寝食の区別に向けて、場所の移動や時間差等の工夫が期待されます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

●園では、理念に沿い、一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行うよう心がけています。子ども一人ひとりの成長と発達過程、家庭環境等から生じる一人ひとりの子どもの個人差を十分に把握し、尊重して保育を行っています。職員は、子どもが安心して自分の気持ちを表現できるよう配慮し、子どもの気持ちを汲み取るよう努め、子どもが分かりやすい言葉づかいでゆっくりと話すよう配慮しています。また、理念に沿い、子どもの最善の利益と福祉の増進を考慮し、子どもの主体性や人権を尊重すると共に豊かな人間関係が育まれるよう保育に当たっています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発達に合わせて、生活に必要な基本的生活習慣を身につけられるよう配慮しています。基本的な生活習慣では、トイレットトレーニングやお箸の持ち方、睡眠等について保護者と連携して行っています。基本的生活習慣の習得に当たり、子どもが自分でやろうとする気持ちを尊重し、トイレの声かけなどの援助を行い、決して無理強いはしていません。また、強制することなく、一人ひとりの子どもの主体性を尊重し、集団生活の中で自分もやってみる、できた気持ちを大切にした自由保育で支援しています。毎日の生活は一人ひとりの子どもの状態に応じて、「活動」と「休息」のバランスが保たれるように工夫しています。基本的生活習慣を身につけることの大切さについて、子どもが理解できるように働きかけています。着替えや歯磨きの「なぜ」を絵本や紙芝居で説明して取り組んでいます。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

●自由保育を行い、子どもが自主的・自発的に生活と遊びができる環境を整備しています。色紙、折り紙、クレヨン等は子どもが自由に使えるようにして子どもが独創的な遊びや自由発想で遊べるよう支援し、様々な表現活動ができるようにしています。体を動かす遊びでは特に、雨の日の室内遊びにリズム遊びを取り入れ、室内を周回したり、音楽に合わせて体で表現する活動等、雨の日の運動不足解消ができるようにしています。戸外での活動では、天気の良い日は公園等へ散歩に出かけています。また、生活と遊びを通して、友だちとの人間関係が育まれるよう、楽しい劇遊び、七夕飾り作り等、皆で一体感を体感する遊びを取り入れています。社会的ルールでは、散歩で交通ルールを学ぶ、トイレの順番を待つ、絵本を静かに聞く等、場面々で知らせています。自然との触れ合いは、保育室に秋の収穫物(例えばどんぐりのセット)をしたり、戸外遊びで身近な自然、季節の産物と遊ぶ等をしています。地域の型との交流では、高齢者デイサービスを訪問し、世代間交流をしています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●0歳児の体力、睡眠、休養、活動への配慮として、家庭で過ごしているのと同様に、長時間安定して過ごすことに適した生活環境と遊びに工夫を施して配慮に努めています。保育室の中央にクッションを置いて、上ったり下りたり寝転んだりと、自由に遊べるようにしています。特に、0歳児が安心・安定できるよう、保育士等と愛着関係(情緒の安定)の構築に努め、担当保育士を固定しない緩やかな体制で愛着関係を育んでいます。職員は、子どもの表情一つひとつを大事にし、子どものアクションに応じて応答的な関わりを大切にしています。0歳児が、興味や関心を持つことができるよう生活や遊びに工夫し、おもちゃの入れ替え等、その時々の興味・関心を見逃さないように努めています。食事の姿勢やハイハイの姿勢が崩れたら保育士の膝の上で食事を提供する等、配慮しています。保護者との連携では、子どもの生活を動画にしてQRコードで保護者に送り伝達しています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 1歳以上3歳児未満の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●この時期を養護と教育の一体的な展開の基礎を作る時期と捉えています。また、3歳以上児における「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の基礎を作る大切な時期でもあり、一人ひとりの子どもの状況に応じて、衣服の脱着など子どもが自分の力で取り組もうとする気持ちを尊重しています。探索活動では、探索が十分に行えるような環境を整備し、援助しています。自由保育のため、遊びを中心として子どもが安心して自発的な活動ができるよう支援しています。子どもの自我の育ちを受け止め、友だちとの関わりでは保育士等が適切に仲立ちを行い、様々な年齢の子どもや、保育士以外の大人(栄養士や地域の方々等)との関わりを持つ機会を設け、人間関係の基礎を緩やかに援助しています。子ども一人ひとりの状況に応じて家庭と連携した取り組みや、配慮が成されています。2歳児は、トイレットトレーニング、育児相談など保護者と連携して進めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

●3歳児は、個人の興味・関心と集団での活動を並行して園生活を過ごしています。保育では、集団の中で安心・安定を確保しながら、遊びを中心とした子ども一人ひとりの興味や関心のある活動に取り組めるよう環境を整えています。異年齢保育では、お兄さんお姉さんとの関係も加わり、豊かな人間関係を育んでいます。また、自我を生かしつつ集団生活が進められるよう保育士は適切にサポートしています。玩具は、年齢に合わせてセットして自分の好きなものを選べるようにしています。4歳児の保育では、集団の中で自分の力を発揮することをねらいとし、友だちとも楽しみながら遊びや活動に取り組めるよう環境を整えています。来年は最年長であることの心構えも徐々に育ち、5歳児の行いを学んでいます。4歳児では、大人が入りすぎないように配慮し、子ども同士で遊ぶ姿が見られます。5歳児の保育に関しては、集団の中で一人ひとりの子どもの個性を生かし、友だちと協力して1つのことをやり遂げるといった活動や創造した遊び等に取り組めるよう環境を整え、「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」についても身に付けています。また、アプローチプログラムを実施し、就学を見据えたスターティングプログラムにつなげています。異年齢保育では、下の子どもたちのお世話を進んで行っています。子どもの育ちや取り組んできた協同的な活動等については、保護者や地域・就学先の小学校等に保育要録を通じて伝えています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

●保育園内はバリアフリーであり、園舎2階までのエレベーターを設置し、建物・設備、障害に応じた環境が整備されています。障害のある子どもの状況に配慮した個別の指導計画を作成し、クラスの指導計画と関連付けて保育に当たっています。基本的には統合保育を実施し、他児と一緒に保育を行っています。計画に基づき、子どもの状況と成長に応じた保育を行っています。子ども同士の関わりに配慮しながら、共に成長できるように援助し、保護者との連携を密にして、子どもたちの園生活に配慮しています。必要に応じて、医療機関や専門機関から相談や助言を受け、職員は、障害のある子どもの保育について研修等により必要な知識や情報を得ています。障害のある子どものクラスでは担任の先生に負担がかからないように園全体で保育していく体制が必要であり、また、他の保護者へも理解を促すことによって統合保育の効果も得られます。そのためにも常日頃から当該児の保護者はもちろん、全ての保護者と園の情報共有を密に図っていかれるよう期待いたします。

【A10】A-1-(2)-⑨ 長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

●1日の生活を見通し、その連続性に配慮した子ども主体の計画性を持って取り組んでいます。子ども一人ひとりの体力を考慮し、様子により保育途中でも休養させる等、子どもの状況に応じて、穏やかに過ごせるよう配慮しています。季節感を演出し、家庭的な雰囲気で子どもがゆったりと過ごすことができるよう環境を整えています。また、夕方の延長保育では合同保育になり、年齢の異なる子どもが一緒に過ごせるよう生活、遊びにも工夫に努めています。保育時間の長い子どもには、家庭の要望に応じて夕方の補食の提供を行っています。子どもの状況については職員間で引継ぎノートを活用して適切に行い、伝達漏れのないようにしています。担当保育士と保護者との連携が十分にとれるよう配慮し、なるべく多くの保護者と話せるよう声かけに努めています。延長保育では異年齢保育になり、年下のクラスの子どもは、年上の子どもを目標に有意義な遊びなど憧れを持って学ぶことが多く、良い時間を過ごすことができています。一方、年中、年長児にとっての相応しい環境セットも考慮されることが望まれます。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

●全体的な計画の中に小学校との連携や就学に関連する事項が記載され、それに基づいた保育が行われています。子どもが、小学校以降の生活について見通しを持てる機会を設け、園の多くの子どもが就学する近隣の小学校と連携があり、学校見学や授業参観、5年生との交流会を行っています。保育士等と小学校教員との意見交換、合同研修を行う等、就学に向けた小学校との連携を図っています。幼保小連携連絡会議が例年3~4回開催されますが、今年は2回でした。5歳児の担任は保育所児童保育要録を作成し、園長が確認の上、該当小学校へ提出しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:b】

●子どもの健康管理に関する規定に基づいて、一人ひとりの子どもの心身の健康状態を把握しています。子どもの体調悪化、園内でのケガ等については、その日の内に保護者に伝えると共に、事後の確認も必ず確認するようにしています。子どもの保健に関する計画を作成し、毎日の問診や、日々の保育内での観察、昼礼での周知及び共有を図り、記録にしています。午睡のブレスチェックでは、0歳児が5分、1歳・2歳児が10分おきに行い、記録しています。看護師不在を補い、新型コロナウイルス感染予防の観点からも、子どもの健康に関する方針・取り組みをさらに強化し、保護者に対して十分な安心を提供できると尚良いと思います。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科検診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

●健康診断・歯科健診を定期的に実施し、健診結果は記録して関係職員に周知しています。健康診断・歯科健診の結果は、園の保健計画等に反映させ、保育に生かしています。健康診断・歯科健診の結果は家庭での生活に生かすよう、保護者に伝えています。特に、必要に応じて(要再検)かかりつけ医への受診を強く勧めています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

●アレルギー疾患のある子どもに対して、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を基に、子どもの状況に応じた適切な対応を行っています。慢性疾患等のある子どもについては、医師の指示の下、子どもの状況に応じた適切な対応を行っています。当該児の保護者と半年ごとに面談を実施して状況を確認し、医師の診断に沿って園内での対応を変更しています。他の子どもたちとの食事の相違に配慮し、トレイ、食器を使用し、食札に除外食材、名前を記載し、厨房内、保育士と栄養士、保育士と保育士のトリプルチェックを実施し、誤食が無いよう十分に注意しています。職員は、アレルギー疾患、慢性疾患等について、研修等により必要な知識・情報を得、技術を習得し、保育に生かしています。また、園では、アレルギー疾患のある子どもについて、他の子どもにアレルギー疾患、慢性疾患等についての理解を深めるための取り組みを行っています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

●食に関する豊かな経験ができるよう、保育の計画の1つとして食育計画を位置づけ、取り組みを行っています。食育計画に沿った調理実習や植物の栽培・収穫を年齢に応じて行っています。子どもが楽しく、落ち着いて食事を取れるよう同じテーブルに同じメンバーで楽しく食事ができるように工夫しています。食事は、子どもの年齢に合わせて盛り付け、個人差や食欲に応じて量を加減できるように工夫し、完食の満足感を経験できるようにしています。食器は、材質や形状等に配慮し、全て強化磁器製の食器を採用しています。乳児は、ユニバーサルプレートの食器、取っ手のないコップを採用しています。食べたいもの、食べられるものが少しでも多くなるよう保育士は援助しています。子どもが食について興味・関心を深めるよう、食育の取り組みを行っていますが、今年のクッキング体験は新型コロナウイルス感染症防止により開催を控え、乳児クラスでは果物の皮むきや給食室前の旬の果物の貼り紙等で少しでも興味が持てる工夫をしています。子どもの食生活や食育に関する取り組みは家庭と連携して行っており、今日の食事のサンプルを並べ、給食レシピを配付し、おやつもレシピを公開する等、家庭での食育にも力を入れています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

●一人ひとりの子どもの発育状況や体調等を考慮した、献立・調理の工夫をしています。メニューは法人で作成され、昼食時には栄養士が各保育室を巡回し、子どもの食べる量や好き嫌いの食材、人気メニュー等を把握しています。また、残食の調査記録や検食簿をまとめ、喫食量の記録を取り、月1回の給食会議で栄養士と保育士で共有を図り、食材の切り方、刻み方の配慮を含めて献立、調理の工夫に努めています。献立は、季節感を心がけ、旬の食材を取り入れ、季節ごとの食文化等については給食だよりで保護者へ紹介するようにしています。地域の食文化や郷土料理、行事食なども積極的に取り入れ、月1回は「おたのしみランチ」を行い、旬や文化に触れられる工夫をし、子どもたちの楽しみとなっています。調理室の衛生管理は委託会社に一任しています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

●乳児は連絡帳を活用し、幼児は日々の様子をホールに貼り出して子どもの様子を保護者と共有しています。また、幼児は、出席カードの裏に保護者が記入できる欄があり、書面でも伝達ができるようになっています。降園時には保護者への伝達や1日の様子を伝え、情報を提供しています。保育のねらいや保育内容については、保護者の理解を得る機会(懇談会、面談等)を設け、様々な機会を通して保護者と一緒に子どもの成長を喜び、共有できるよう努めています。家庭の状況、保護者との情報交換の内容等は必要に応じて記録しています。さらに、園が掲げる自由保育・室内活動・戸外活動等、保育に当たり、保護者に理解されるよう、現在の連絡帳等の他にビデオ記録、メール機能の拡張やICT化等の情報発信も検討されると良いと思います。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

●日々、保護者とコミュニケーションを図り、保護者との信頼関係を築くよう心がけ、保護者から相談がある場合には直ぐに応えられるよう体制を整えています。受けた相談内容によっては、保育士から主任や園長に相談し、助言を受け、相談を受けた保育士等が適切に対応できるような体制を整えています。担任では対応できないケースについても主任、園長が同席し、複数で話を聞くよう工夫しています。相談内容は記録を残し、内容は伝達ノートや口頭にて職員間で情報共有をするようにしています。保護者の就労等、それぞれの事情に配慮し、相談に応じられるよう取り組み、育児相談、トイレットトレーニング等、育児の不安に関して保育所の特性を生かし、保護者への支援に努めています。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

●園長は、虐待等権利侵害の兆候を見逃さないよう心がけ、子どもの心身の状態、家庭での養育の状況について把握に努めています。親子の些細な変化にも注意する目を持ち、敏感な「気づき」を大切にしています。虐待等権利侵害の可能性があると職員が感じた場合は、速やかに保育所内で情報を共有し、対応を協議しています。虐待等権利侵害となる恐れがある場合には、予防的に保護者の精神面、生活面の援助をするようにしています。職員に対しては、虐待等権利侵害が疑われる子どもの状態や行動等をはじめ、虐待等権利侵害に関する理解を促すために啓蒙し、発見した場合の対応等は保育運営マニュアルに記載され、そのマニュアルに基づいて園内研修を実施しています。児童相談所等の関係機関との連携、相談ができる体制を整え、日々の申し送りや、服装、食事、持ち物等で変化があった際に対応できるよう職員に伝えています。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

●保育士等が、記録や職員間の話し合い等を通じて、主体的に自らの保育実践の振り返り(自己評価)を行っています。指導計画の自己評価に当たっては、子どもの活動やその結果だけでなく、子どもの心の育ち、意欲や取り組む過程に配慮しています。保育士の自己評価の様式は園独自のもので実施しています。保育士等の自己評価は年2回実施し、園内研修でストレス耐性やエゴグラム診断等も行い、自分自身の分析、カリキュラムを通して保育を見直す機会を設けています。保育士等の自己評価に基づき、保育全体の改善や専門性の向上に取り組んでいます。園長は、各保育士の自己評価に挙げられた課題を集積して保育園の課題としてとりまとめをしています。そして、そこで得られた保育園の課題を中長期期計画に落とし込み、解決期日を決め、日程管理に取り組んでいかれることを期待いたしております。