社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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アズハイム綱島

2022年07月26日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 アズハイム綱島 評価対象サービス 2022~ 高齢者福祉サービス版
対象分野 特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム) 定員 80 名
所在地 230-0071 
横浜市鶴見区駒岡 4-29-1
TEL 045-710-0680 ホームページ https://as-heim.com
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2021年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社 アズパートナーズ
職員数
常勤職員:40 名
非常勤職員:13 名
専門職員
介護福祉士:14 名
介護支援専門員:1 名
実務者研修:4 名
初任者研修:19 名
看護師:3 名
作業療法士:1 名
施設・設備の概要
居室:80
ラウンジ、相談室、食堂、厨房、浴室、トイレ、健康管理室、事務室、洗濯室、汚物処理室、機能訓練コーナー、庭園、エレベーター:

③ 理念・基本方針
1 ご入居者の方々とそのご家族の意志と希望を尊重し、お客様第一主義の精神で対応することを心がけます。
2 心のこもったふれあいの精神を常に心がけ、身体介護だけにとどまらず対話を通しての精神的なサポートを行う事を心がけます。
3 安心・安全の暮らしを大前提としながら自由を抑制しない方針で、ご入居者の方々のケアを行う事を心がけます。
4 ホームの衛生・安全面に十分配慮し、快適な住空間を提供することを心がけます。
5 ご入居者の方々お一人お一人の生きてきた人生を尊重し、いつまでも自分らしい生活を送れるよう心がけます。

<会社基本方針~サービスコンセプト5本の柱>
1 医療:ドクターと一緒に健康をサポート
2 認知症ケア:安心して自分らしく暮らす
3 リハビリテーション:1日1回体を動かす
4 アクティビティ:メリハリのある暮らし
5 地域:地域と一緒に年をとる

④ 施設・事業所の特徴的な取組
令和3年3月にオープンした新しいホームです。勤務しているケアスタッフは、アズハイムの他の事業所から異動してきたメンバーと、2021年入社の新卒スタッフ、中途入社スタッフで構成されています。介護に関わる人員体制は2.0:1以上となっており、より個別性に溢れたケアの実践を目指しています。現在60名のご入居者は在宅生活からご入居いただいた方が多く、意欲の向上や役割の提供を通じてより「自分らしさ」を引き出す介護を目指しています。
入居時には居室担当スタッフが誰よりも先にお迎えすることで、ご入居者に安心して暮らしていただける環境を整えています。日中の活動も1日2回の体操や、ご自分で選択してご参加いただけるレクリエーションをご用意しております。特に午前中の体操では、「排便体操」を取り入れており、下剤に頼らない自然な排泄を目指し、薬剤の適正化を図っています。日中の活動量を増やす事で、夜間の睡眠効率の安定につながっています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/04/11(契約日) ~2022/07/13(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) ‐ 回(‐年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)お客様第一主義に基づき入居者を尊重しています
事業所では、入居者がその人らしくこうありたいという希望や願望を実現していくためのサービス提供を基本としています。従って、支援やサービスは個別にその人の生活目標に沿ったプログラムを提供し、できることは自分で行い機能を維持すること、入居前の趣味や興味関心を継続すること、そのために体調を整え精神的にも安心して過ごせる環境づくりへの取組を大切にしています。スタッフの笑顔での対応、薬に頼らない排便への取組などに力を入れています。
前提として、入居者の尊厳を守るための虐待防止や身体拘束防止、プライバシーの尊重、接遇についての研修を必須とし、日常的なケアの改善・向上に努めています。

2)情報共有の仕組みを作り実践しています
スタッフ全員が、ホームで行われているほぼ全てのケアや入居者情報について、携帯しているスマートフォンで随時確認できるシステムを導入しています。ケア記録には、提供した支援や出来事をその都度打ち込むことで、全スタッフがリアルタイムで情報の共有ができ、それに基づく入居者対応が実現しています。結果として入居者一人ひとりへのきめ細かなケアの充実に繋がっています。

3)専門職と連携して入居者の生活の自立度を進め、質の向上を図っています
看護師、機能訓練指導員、歯科医師などの専門職と連携し、入居者一人ひとりの生活能力、動作能力に関するアセスメントをきめ細かく行い、入居者自身でできることを増やすよう取り組んでいます。歩行支援では動画解析アプリを活用することで、スタッフ誰もが訓練方法を習得し実施しています。褥瘡の改善、適切な口腔ケア、嚥下機能の評価など、生活の質の向上に成果を上げています。

4)事業計画を充実させ利用者・職員と共有することが望まれます
法人の理念実現に向けた中・長期計画に基づいて、その年の事業計画が策定されることになりますが、中・長期計画の可視化及び情報共有がされていません。現在では人材不足と職員のレベルアップが課題となっています。事業所として収支計画や人材育成、組織体制など課題解決に向けた事業計画作成とともに、利用者・職員と共有することが期待されます。

5)地域との交流に取り組むことが期待されます
法人のサービスコンセプトの一つに、「地域と一緒に年をとる」ことが謳われています。しかし、事業所開設が新型コロナウイルス感染防止対策の必要な時期であったこともあり、地域との交流が殆どなされていません。ホーム長は、ホームが事業所で働くスタッフの子ども達やこの地域で育つ子どもたちにとって、また社会や地域にとって大切な資源となること、地域の人々との交流が入居者の生きがいとなることなどを目指しています。ボランティアの受け入れも含め、実現に向けた環境整備や工夫が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
この度は、第三者評価を受審させていただき、誠にありがとうございました。
結果の内容から、日頃の業務の見直し、できていること、できていない事、今後さらに努力が必要な事などを客観的に確認させていただく事ができました。

今回の結果を、維持・継続・向上できるように、日々のホーム運営に取り組んでまいりたいと思います。
心より、お礼を申し上げます。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念(5つの誓い)や基本方針(サービスコンセプト5つの柱)をパンフレット、ホームページなどに掲載しています。事業所では理念を事務室に掲示し、職員は全員が理念や使命、行動規範等を記載したカードを携帯しています。入居者や家族には見学時や入居契約時に理念等を説明し、特に入居者には基本方針通りのケアを実践することで、法人の方針とする姿勢を実感してもらい、職員に対しては、入職時の研修や毎年計画的に行う全スタッフ対象の研修やミーティング、全体会議で周知を図っています。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、不動産事業部が、活用したい不動産のある地域の福祉ニーズを把握し、双方のニーズが一致するところでの施設設置となっていることから、事業所では直接社会福祉事業の動向や福祉計画等の把握はされておらず、法人との情報共有も図れていません。しかし、予算や実績等、経営に係る分析やコスト管理については、情報共有しています。ホーム長は、ホームでのケアを更に充実させるとともに、例えば災害時の避難所としてなど、地域に有益な施設機能の提供をしたいと考えています。今後は地域の福祉情報等の収集が望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

経営に関しては、基本的に法人で把握、分析をしています。事業所では、順調に安定して経営が行われるために、さらにケアを充実させる必要があると考え、スタッフの研修に力を入れています。スタッフの育成については、法人と協力し、理念をしっかり習得できるようにしています。施設開設から1年余りで、入居者が定員に達していないこともあり、ホーム長は朝礼時などに、新たな入居者の受け入れ目標などをスタッフに分かりやすく伝えています。施設見学などを積極的に受け入れ、新規の入居につなげています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

年一度、全社総会がオンラインで開催され、各部署のトップが経営ビジョンについて口頭で発信し、その内容は、法人の機関誌に掲載されています。法人としての中・長期計画は存在しているとのことですが、事業所では可視化できるものとして把握しておらず、調査の中で内容の確認はできませんでした。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:c】

事業所において単年度の事業計画は策定されていますが、法人の中・長期計画が把握されておらず、理念や基本方針を基本にしているものの中・長期計画を反映したものではありません。年度の事業計画は、「運営方針」「人員と予算」「アクションプラン」などの項目で策定し、例えば、アクションプランは、「入居者が望む暮らしの提供」、「個別アクティビティの実施」等の項目で具体的に示されています。ホーム長は、実施に当たってはスタッフへのさらなる内容の浸透が必要と考えています。事業計画は、法人の中・長期計画を踏まえて策定されることが望まれます。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

事業計画は、ホーム長がスタッフと年度末に話し合いながら、人員予算、アクションプランなど、具体的に策定しています。計画の実施状況については日々の業務の中で検証し、見直しをしています。策定した内容は、3ヶ月に一度行う事業所の全体会議でスタッフに説明し、周知を図っています。また、全体会議以外にも、ケースワークシートをスタッフが提出する際などに、ホーム長がスタッフに対し、計画内容の理解を深めるよう個別に指導しています。ホーム長は、計画に対する職員の十分な理解が質の高いケアの提供の為に必要と考えています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

事業計画全体について、基本的には入居者や家族への周知はしていません。計画している事業の一部について、入居者や家族に関連している場合や、介護支援専門員がケアプランを策定する時期に当たるなどした場合に、入居者支援に該当する部分や、興味関心のあることを伝えています。具体的には、入居者のこうしたい、こうなりたいという希望を「夢プロジェクト」とし、実現に向けたケアを提供していますが、この夢プロジェクト実現のための支援内容についてのみ伝えています。アクションプランの一つである排便体操はその一例です。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

福祉サービスに対する評価は、法人が家族に対して顧客満足度アンケートを実施することで把握し、結果は事業所にフィードバックされています。ホーム長は結果について事業所でも検討する場と仕組みが必要と考えています。また、事業所では、直接入居者からの希望等を聞いています。今年はコロナ禍における外出や外泊等の制限への不満が出されましたが、改善のための有効な手立てはなされていません。スタッフに対しては年2回自己評価シートの記入をすることで自己成長の取組を可視化しています。評価結果の分析は法人が全社で実施しています。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

顧客満足度アンケートの結果は、法人で分析し各事業所に報告されます。事業所では、結果を閲覧したり、全体会議で周知しています。事業所では起きていませんが、内容が虐待など至急改善する必要がある場合は緊急の全体会議を開催することになります。それ以外の改善策に関しては、ホーム長と専門職で話し合い、策がまとまった段階でスタッフに知らせ、対応について共有しています。ホーム長は 課題を全スタッフ間でしっかりと共有するとともに、改善に向けての対応を事業所の仕組みとして明確に位置付ける必要があると考えています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

法人は各事業所の役職にかかる業務に関して「職務分掌」を作成し、その中でホーム長の職務や責任について明記しています。ホーム長は、日常業務の中で理念や方針などについて発信するとともに、緊急時や入居者の終末期対応に関する指示、ケアや経営の向上の取組、スタッフの教育・指導などを行っており、スタッフは作成された組織図と合わせ、ホーム長の役割りや責任の範囲を理解しています。ホーム長不在時の権限委任についても、文書での明確化が望まれます。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

ホーム長自身は、社内研修を通じて法令順守についての研修を受けていますが、施設運営全般に関する法令等の研修への参加は十分ではありません。事業所内では高齢者虐待防止やプライバシー保護、感染症対策など、法人として取り組んでいる法定研修をホーム長が中心になって実施し、必ず全スタッフ参加の取組をしていますが、直接的なケアの質を高めることを目的とした一部の法令等に止まっています。ホーム長には事業所の責任者として、高齢福祉分野だけではなく、雇用や労働、防災、環境等、広く施設運営に関連する法令へのさらなる理解が期待されます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

ホーム長は、日々の施設内巡回を通じ、入居者の表情、日常業務におけるケアの実態やスタッフのコンディション等について把握しています。課題や改善すべき点がある場合は、現場責任者や上位者のエリア長などと相談して改善を図っています。また、スタッフが気が付いた課題等は、ケアに関わる全スタッフが書き込める端末を利用した記録システムで情報を共有し、日々課題解決とケアの質の向上に繋げています。2ヶ月に1回の全員参加の研修、年2回の定期的なスタッフとの面談を行う他、随時、気にかかるスタッフとは個別に話し合いを持ち、意見や気持ちに配慮するよう対応しています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

経営改善や労務は法人で一括管理し、方針を打ち出しています。事業所開設後1年余りで新採用のスタッフが多く、ホーム長は法人の人員配置を基本にし、より良いサービスを提供するためには、特に新卒者の育成を丁寧に行う必要があると考えています。また、事業所ではプリセプター(先輩スタッフ)による育成もしていますが、スタッフが業務に精通するまで全体の業務負担が大きく、全体会議等でスタッフの理解を求めながら自らも現場でスタッフのサポートに入るなどしています。業務の実効性を高めるため、事業所全体で組織として取り組む意識形成や体制整備が期待されます。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人が全ホームの必要人員体制から適正な募集人員数を決めて、採用活動をしています。法人の人事セクションに所属しているリクルーターが学校などをまわり、毎年多数の新卒者を採用していますが、ホーム長は十分ではないと考えています。新人は、4月の法人による研修の後、5月から9月まで配属先のホームで実地研修を行います。新人には先輩スタッフがプリセプターとして指導しています。必要人員は確保されていますが、ホーム長としては、まだ新卒の配置割合が多いので、時間をかけての育成が必要な現場の状況は厳しいという認識で研修に力を入れています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

正社員全員に配布される「働きかたハンドブック」には、法人が求めているのは、どのようなスタンスをもち、いかなるスキルを持つ人材かが具体的に記載されています。また、賃金の仕組み、昇給、昇進の基準、評価の仕組等が表やグラを活用し、わかり易く記載されています。職員の評価は年2回実施しています。スタッフが、評価シートに業務領域ごとの項目を自己評価し、ホーム長、法人がさらに評価をします。毎月11月には、スタッフが希望する職種、配属先を直接法人にスマホで伝える、「キャリア意向調査」を実施しています。スタッフの希望は法人としてできるだけ尊重していますが、必ずしも意向に沿えないこともあります。ホーム長はスタッフとのコミュニケーションをさらに改善していきたいとしています。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

ホーム長は定期的な面談の他、日々のスタッフへの声かけを通じて、就業状況や意向の把握につとめています。業務評価のための面談でなく、スタッフの健康確認、人間関係、個人的事情、モチベーションなどを確認するための「カオナビ面談」を2ヶ月に1回実施し、スタッフに関する周辺情報も把握しながら、職場への定着を図っています。年次有給休暇は年に5日を消化できるように全社で取り組んでいます。ホーム長はスタッフを励ますために「メンバーフォロー費」という予算を活用し、スタッフへのフォローに取り組んでいますが、離職はゼロにはならず、さらに改善を目指しています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

年2回、スタッフは評価シートに業務上の目標の達成度を自己評価しています。サービス面、チームワーク、自己研鑽、スキルアップなどの項目に関して、S(よくできた)、A(できた)~D(できなかった)と自己採点します。ホーム長とのフィードバック面談をやはり年2回実施し、目標に向けた達成状況を確認しています。業務以外のスタッフの健康や個人的事情などを把握する「カオナビ面談」も行っていますが、それだけではモチベーションの維持は続かないとホーム長は感じています。さらにスタッフとのコミュニケーションの改善を目指したいとしています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

スタッフが目指すべき7つの行動規範がホームページやスタッフ携帯のカードに明示されています。常勤スタッフ向けの「働きかたハンドブック」には、スタッフとしてのあるべきスタンス、技術が明記されています。法人には、教育・研修セクションがあり、研修プログラムの策定、見直しを定期的に行っています。基本的に行うべき法定研修(ハイスタンダード研修)は2ヶ月に1回、ホーム長、ケアチーフが講師となり実施しています。接遇研修を実施していますが、ホーム長は全スタッフの接遇レベルをさらに上げていくことが課題と考えています。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:b】

新卒スタッフには、先輩スタッフのプリセプターが付き、入職から半年で独り立ちできるように教育指導が行われています。さらに入職3年までは、フォローアップ研修があります。法人は管理職向け研修、ケアチーフ研修、看護スタッフ、介護支援専門員、機能訓練指導員向けなど、階層別、職種別研修を行っています。法人として認知症ケア指導管理士の資格取得を奨励し、ホームに必ず配置するようにしています。介護支援専門員の研修は業務時間内での参加を配慮しています。ホーム長は研修にはさらに取り組みたいと考えています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

現在、法人として実習生の受け入れは考えていません。現在の人材育成はもちろんのこと、未来の人材育成への貢献も期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

ホームページには、法人の理念、ケアの基本方針、サービス内容、取組が写真などを活用してわかりやすく公開されています。入居者、家族等からの意見、クレームは運営懇談会で報告していますが、対外的な公表はしていません。苦情や意見にどう対処しているのか、個人が特定されないように配慮しつつ、広く市民に知らせていくことが期待されます。また、決算情報はホーム玄関で、閲覧できるようになっていますが、ホームページなどで公表されていません。今後は予算決算などの情報公開が望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

職務分掌ではすべての職種、職階に関して、権限責任が明確にされています。取引や経理、事務に関しては稟議規定に基づいて行われています。決裁権限はシステムのなかで自動的にチェックされる仕組みになっています。緊急性のある取引は、その都度上部と相談しています。法人には常勤監査役と監査法人による外部監査役がいます。法人内に内部監査室があり、各ホームを巡回訪問して、事務や財務について確認をしています。事業として公正かつ透明性の高い運営にさらに努めていきたいとしています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人のパンフレットやホームページにはサービス方針の一つとして「地域と一緒に年をとる」ことが明記され、地域交流マニュアルを作成しています。施設開設はコロナ禍の最中で現在に至っており、地域住民との交流は行えていない状況です。その中でも、地域の小学生が折り紙のプレゼントを届けに施設を訪問してくれて、わずかながら交流を持ちました。地域ケアプラザや自治会には開設時に挨拶をしただけですが、交流ができる環境が整えば住民を招き、世代をつなぐ、地域にとっての大切な社会資源でありたいとホーム長は考えています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受け入れは、法人の方針として行っていません。したがって、基本姿勢の明文化もされていません。コロナ禍以前は、他のホームで納涼祭の手伝いや音楽演奏の慰問を受け入れていましたが、現在は、新型コロナウイルス感染防止対策として規制しています。感染対策が解消された際には、地域と施設と繋ぐ役割として、また、施設が果たす地域の福祉人材育成への貢献として、ボランティア受け入れの検討が望まれます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:c】

コロナ禍での開設後1年余りの施設です。直後に地域ケアプラザと自治会の地区連合会長に挨拶し、自治会へ加入しています。その他、消防署と地区の交番と顔つなぎをしています。地域交流が法人として規制されていることから、地域の関係機関・団体等社会資源の情報収集や交流等は行っていません。ホーム長は、新型コロナウイルス感染が収まるなど、時期が来れば地域の関係団体との交流を図りたいと考えています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:c】

コロナ禍で、事業所では地域交流が可能な行事等は行っておらず、地域の福祉や高齢者関連の団体、住民との交流がほとんどできていないため、地域ニーズや生活課題は把握していません。事業所としては、感染が収まる時が来たら、災害時の避難場所提供など、地域での社会資源としてのあり方を検討する予定です。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:c】

事業所では地域の福祉ニーズ等の把握はしておらず、地域への貢献的な活動は実施していません。しかしホーム長は、新型コロナウイルス感染が収束するなどの状況になったら、大規模災害等が起こった時などに地域住民に対して避難場所として場所の提供ができるのではないかと考えています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人の理念に基づき、事業所では入居者一人ひとりの気持ちを尊重し、個別ケアによって安心・安全やその人が望む生活を提供することを大切にしています。スタッフ全員が、理念や使命等を印刷したカードを携行しながら業務に当たっています。安全委員会やマナー向上委員会が中心になって入居者への対応を確認しています。スタッフは全員、高齢者虐待防止や接遇などの研修を受講するとともに、年2回自己評価シートで自らの振り返りとホーム長との面談を実施しています。ホーム長はさらに言葉遣い等、入居者尊重を徹底させたいと考えています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

入居の際の契約書に、入居者の権利としての尊厳を守るため、可能な限りプライバシーが尊重されることを明記し、スタッフ全員がプライバシー保護に関する研修を必ず受講することとしています。接遇マニュアルでは、居室への入退室について触れており、マナー向上委員会を通じて研修を行っています。排泄や入浴介助、口腔ケア介助については、個別に他者の目に触れないところで介助し、入居者の希望に添って同性介助を実施しています。自力で排泄や入浴が可能な入居者には、外からの声かけで見守りしています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

法人や事業所のパンフレットやホームページには、写真や図を多用し、理念を始め利用希望者が必要とする情報を分かり易く掲載しています。パンフレットは公共施設等には置いていませんが、事業所入り口の立て看板に配架しています。見学等の希望者には、専任の入居相談員が個別に丁寧に説明をしています。併せて体験利用などにも対応しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

サービス開始時の説明は、重要事項説明書を中心に行っています。実際に提供するサービスは、サービス計画書に基いて行います。計画書の作成に当たっては入居前に介護支援専門員が家庭等を訪問し、入居者本人や家族と面会して様々な情報を得た上でアセスメントを行い決定します。サービス内容は、入居者・家族の希望や意向を確認して、本人の希望を叶えることを目標にし、入居者や家族の同意を得ています。サービスの変更は、介護認定の変更等に伴う費用負担額の変更にかかる場合で、理解度等状況に応じて入居者又は家族への説明を行います。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

夜間帯にも医療行為が必要となった場合は、ホームでのケアの範囲を超えるため医療機関への移行となりますが、本人や家族の希望があれば看取りまでの対応をしていることから、原則他の福祉施設等への移行は想定していません。したがって引継ぎ文書の定めはありません。医療機関も含め、移行先から情報の提供依頼があった場合は、家族の了解を得て介護記録を提供します。サービス終了後については、移行先の立場を尊重し、事業所での相談継続は考慮していません。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

法人として年に一度、顧客満足度アンケートを実施しています。結果は法人が一括してまとめ、事業所にフィードバックされ、全スタッフが内容を閲覧することができます。内容が重大で即改善が必要な事項については、家族の参加で担当者会議を実施します。また、介護支援専門員が介護計画見直しの為定期的に本人や家族と面談する際に、福祉サービスに関する意見を聴取しています。その他、管理規程に基づきホーム代表、入居者や家族などを構成メンバーとする運営懇談会を年2回実施することになっていますが、コロナ禍で開催できず、ホームの状況を郵送で伝えています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

苦情解決の体制については、法人の苦情処理細則に基づき、苦情処理担当責任者及び窓口をホーム長とし、法人のお客様相談窓口や、外部の第三者機関・行政機関を紹介しています。これらは入居時の契約書や重要事項説明書に明記しています。苦情の申し出は口頭や文書の他、法人のホームページから意見を届けるページを用意しています。クレーム報告書に苦情内容を詳細に記録し、2年間保管され、スタッフはいつでも閲覧することができます。苦情の件数や大まかな内容は運営懇談会で入居者に報告していますが、より公開していくことが期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

入居者は担当スタッフを通じて意見や相談を伝える仕組みとなっています。入居者はこのほかに、ホーム長や生活相談員、介護支援専門員にも相談ができますが、相談相手を選択できる旨をとりたてて説明した文書はありません。受付カウンターにはご意見箱を設置しています。相談室があり、相談しやすく、意見を述べやすい配慮がされています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

ケアスタッフは、入居者の日々の声の傾聴に努めています。内容は法人のITシステムを活用し、端末に記録を入力することで全スタッフがリアルタイムで情報共有することができます。また、毎年顧客満足度アンケートを実施しています。結果は法人で分析、検討し、必要な改善は迅速に対処するように努めています。クレーム対応については、マニュアルがあり、事例を用いた研修を行っています。日常的なクレームは、「2~3日残さない」をモットーに直ちに対処するようにしています。ホーム長はクレームや苦情を少しでも減らすために、さらに取組を強化していきたいと考えています。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

職務分掌に、ホーム長がホーム内の安全確保と緊急時の対応、体制の構築を行う旨が明記されています。事業所では事故・身体拘束防止委員会がリスクマネジメントについて協議しています。入居者の事故が発生した場合、事故報告書を用いてスタッフ間で情報を共有し、専門職も参加してカンファレンスを行い、再発防止策を策定しています。ヒヤリハット事例を収集し、委員会で分析、対策を講じるとともに、全スタッフが介護事故発生予防・再発防止や危険予知トレーニング研修を受講しています。ホーム長は安全対策を徹底するため、さらに取組を強化したいと考えています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症対策の責任者はホーム長です。感染症委員会があり、法人が定めた指針に基づいて、ホーム内の感染対策を具体化しています。看護スタッフが専門的知見から助言、指導をしています。「感染症対策チェックリスト」では、健康状態、手洗い、排泄介助、嘔吐物処理、ゾーニング等の項目があり、毎月スタッフが分担してチェックしています。感染症対策に関しては、ホーム内で定期的に事例検討や研修を実施しています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:b】

災害時対策の全体責任者はホーム長です。事務所には緊急連絡網を掲示し、非常時に用意する準備リストがあります。非常食80名分、水750mℓ54ダースなどを備蓄しています。消防避難訓練は年2回実施しています。ただし、消防署の指導は受けていません。行方不明者の顔写真、特徴を伝える捜索用カードを備えています。事業を継続するため、スタッフ出勤基準、出勤率に応じた業務一覧表が記されたBCP(事業継続計画)を作成しています。急傾斜地に立地しており、土砂災害避難確保計画がありますが、これに対応した避難訓練を行うことが今後の課題です。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:b】

日常の介護は、入居者ごとのケアプランをもとに、統一した対応がとれるようにしています。倫理・法令遵守マニュアルに、利用者の尊重、プライバシーの保護、身体拘束の禁止、虐待防止のためのルールが示されています。このほか、食事、入浴介助、排泄、認知症ケア、介護進行予防、苦情処理対応、等々のマニュアルが作成されており、必要に応じて研修を行っています。新人スタッフに対しては、プリセプターがOJTのチェックシートを用いて確認していますが、他のスタッフが標準的実施方法で実施しているかを確認する仕組みはありません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

各種マニュアルに基づき標準的に実施していますが、入居者の状態やスタッフの意見から、個別のやり方で運用することがあります。個別運用については、端末での情報共有システムでスタッフ間で統一されています。各種マニュアルの見直しは、法人の教育・研修セクションが、法令改訂時、実地指導監査などの助言を参考にして毎年実施し、各ホーム長に通知しています。標準的な実施方法の定期的な検証と見直しに関して、ホーム長としては十分とは考えておらず、さらに精度を高めていく必要があると考えています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別的な福祉サービス実施計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

入居者のアセスメントシートは入居時には介護支援専門員が事前に家庭訪問等をして作成します。入居後は、担当ケアスタッフが3ヶ月に1回、健康、食事、排泄、口腔、ADL等々のモニタリングとアセスメントを実施し、介護支援専門員が内容をチェックして完成させケアプランに繋げます。また、「夢を叶えるケースワークシート」を個別に作成しています。入居者ごとに違う人生経験があり、それぞれが実現したい夢は何か、実現するための阻害要因が何かを分析して個別に自己実現を支援する取組です。入居者が望む暮らしを応援するために、さらにきめ細かなアセスメントをしていきたいと考えています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に福祉サービス実施計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

定期的にサービス担当者会議を開き、ケアプランの実施内容や目標設定を見直しています。サービス担当者会議には、介護支援専門員、担当ケアスタッフ、ケアチーフ、看護師、機能訓練指導員が参加しますが、必要に応じてホーム長も参加します。入居者には、モニタリングの機会に介護支援専門員が内容を伝えています。家族の参加が十分できていないのが今後の課題です。長期目標の変更など重要な事項は、必ず担当者会議で決定します。会議の要点は全スタッフが介護システムの端末から閲覧することができます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

介護記録はスタッフが常時携帯する端末から逐次入力され、すべてのスタッフがリアルタイムで内容を確認できる仕組みができています。電子化された介護記録によって、ケアプランに基づくサービスが実施されていることが確認できます。介護記録の内容は希望すれば入居者家族にそのまま印刷して渡しています。生活の様子、レクリエーション、食事、体操などの写真を添えて全て伝えており、家族の安心に繋がっています。嘱託医も入居者の健康状態をリアルタイムで正確に伝えることができ、正しい情報共有が図れています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:b】

法人が策定した個人情報保護規定に、個人情報の取得、利用、廃棄、スタッフの秘匿義務、本人への情報提供、罰則等のルールが明示されています。介護記録は電子化されて法人のサーバーに保管され、ID、パスワードで管理しています。USBは使用できず、端末の持ち出しは禁止しています。事業所としても記録の管理についての研修を行い、周知に努めていますが、ホーム長はスタッフの意識をさらに高めていきたいとしています。


評価結果内容評価

A-1 生活支援の基本と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者一人ひとりに応じた一日の過ごし方ができるよう工夫している。

【第三者評価結果:b】

入居予定者には、介護支援専門員が入居前に家庭訪問等で利用者本人と会い、人生のあゆみ、家族歴、果たしてきた役割や興味、関心等の情報を得て事業所に持ち帰り、スタッフ全員で情報の共有をしています。その上で、入居後のホームでの生活がよりその人らしく過ごせるよう、必要に応じて医療機関からの情報も得ながら、ケアを提供しています。ケアの基本として、家庭生活でできていたことが施設という環境でできなくなることがないよう、また、介助は自力でできることを損なわないよう配慮する、自宅ではつかまっていた移動していた壁の代わりに本人に合った安全な歩行補助具を提供する、料理をしたい入居者はスタッフが一緒に庭で採れた野菜を調理する、体操やレクリエーションも入居者が自ら選択して活動に参加するなど、スタッフ全体で入居者の意欲と笑顔を引き出すための取組をしています。新設施設であり、入居者が増加する中で人手が不足がちですが、ホーム長は更に個別のケアを充実させる必要があると考えています。

【A2】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に合わせて自立した生活が営めるよう支援している。

【第三者評価結果:評価外(特養、通所、養護・軽費)】

【A3】A-1-(1)-① 利用者の心身の状況に応じた生活支援(生活相談等)を行っている。

【第三者評価結果:評価外(特養、通所、訪問)】

【A4】A-1-(1)-② 利用者一人ひとりに応じたコミュニケーションを行っている。

【第三者評価結果:b】

スタッフが行った全てのケアの内容や入居者の様子など入居者個々の情報は、法人が導入しているシステムを活用して記録されています。専用のアプリを取り込んだスマートフォンを全スタッフが携帯しており、常時情報を把握することができます。スタッフは、これらの情報を基にして、一人ひとりの入居者に合った方法で、良好なコミュニケーションを図るよう心がけています。スタッフの動作を緩やかにし笑顔で接することで、会話し易い雰囲気をつくり安心感を与え、入居者にストレスを与えないこと、意思の疎通が困難な入居者に対しては、ジェスチャーや筆談を取り入れる、色々試して表情を読み取るなどの工夫をしています。マナー向上委員会を定期的に開催し、接遇や言葉遣いなどの改善について話し合うとともに、研修にも力を入れています。ホーム長は、スタッフ全員に徹底する必要があると考え、気になる点については、個別にスタッフと話し合い、改善を図っています。

【A5】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

入居者の権利擁護については、法人の理念に基づき、規程やマニュアルを整備しています。内容は、新採用スタッフの入職時研修やフォローアップ研修、全スタッフを対象に毎年行うことになっている虐待や身体拘束防止、プライバシーの侵害防止などを内容とした法定研修でスタッフへの周知を図っています。また、入居者本人や家族にも、入居契約時に運営規程等を渡して説明をしています。事業所では、事故・身体拘束防止委員会やマナー向上委員会を組織しており、1、2ヶ月ごとに話し合い、課題解決を図っています。会議での検討事項や、具体的なケアの状況は必ず記録し、全員が内容を把握できる仕組みができています。スタッフはフロアごとの担当ですが、作業によっては異なるフロアのスタッフが相互に補完し合う体制となっており、フロアごとのケアの違いや不適切な対応がお互いに見える状況にあります。日常的に、職員相互に気づきがあれば指摘し、改善に向けた検討を行っています。

A-2 環境の整備
【A6】A-2-(1)-① 福祉施設・事業所の環境について、利用者の快適性に配慮している。

【第三者評価結果:a】

事業所は、開所後1年数ヶ月と新しく、明るく清潔に保たれています。玄関では、外来者に対して厳重なコロナウイルス感染チェック対策が取られています。1階フロアには、面会者と談笑できるスペースが設えられており、入居者の折り紙などの作品や写真が飾られ、くつろいだ雰囲気を作っています。4階のガーデンスペースでは、季節の花や野菜の栽培が行われ、入居者に憩いと野菜収穫の楽しみを提供しています。全体の環境整備と清掃についてはサービススタッフが中心となって行うほか、居室の空調やクローゼットの環境整備は居室担当のケアスタッフが行っています。室温や空調は入居者本人の希望を聞きながら調節します。居室には、入居者が落ち着いて生活できるよう、自宅でのお気に入りなどを持ち込み、施設を自宅と感じてもらえるよう配慮しています。ホーム長は、施設内巡回等の中で、更に環境整備を徹底する必要があると考えています。

A-3 生活支援
【A7】A-3-(1)-① 入浴支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、週2回の入浴を基本とし、入浴の時間はケアスタッフが入居者と一対一で関われる貴重な機会と位置付けています。入浴専門のケアスタッフが対応し、入居者の心身の状況に配慮しながら、安全を第一とし、必要な福祉用具も活用してケアしています。特に、入浴を拒否する入居者に対しては、気持ちを大事に受け止め、ケアスタッフを交替することや時間帯やかける言葉などを工夫し、無理なく入浴ができるように配慮しています。入浴に関して自立している入居者には、浴室の外で見守り、安全確認の声かけをしています。その他、体調が良くない時は清拭のみ行う、体の機能によっては機械を使用するなど、臨機応変に対応しています。なお、基本の入浴回数を超える入浴希望があれば、費用負担はありますが対応しています。

【A8】A-3-(1)-② 排せつの支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

排泄介助については、入居者の羞恥心や尊厳を傷つけない対応をすることと、排泄の訴えがされた場合はできる限り早く対応することを心がけています。同時に複数の入居者から排泄介助の要望が出された場合は、状況を判断し、待ってもらう方へのオペレーションを工夫して了解してもらっています。事業所では、できる限り入居者の機能を維持し、より自立に向けて「手を出さない介護」を目指し、「生活リハ」と位置づけた支援をしています。その実践として機能訓練指導員、看護師、ケアスタッフ、介護支援専門員等全スタッフがそれぞれ専門的立場で排泄支援に関わり、入居者一人ひとりの心身の機能に応じて適切な福祉用具を選択し、介助方法を検討しています。また、排泄物の状態をケアスタッフが看護師に報告して健康状態を確認するなど、絶えずスタッフ全員がITシステムで情報共有することで、スタッフ間の連携を図っています。

【A9】A-3-(1)-③ 移動支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:a】

機能訓練指導員とケアスタッフが連携して、入居者の移動能力を評価し、課題を明確にして、機能訓練計画書を作成しています。入居前の訪問面談で歩行など移動の様子を録画し、できるだけ自力で移動するためには、どのようなリハビリを実施するべきか、何の福祉用具を使うべきかを検討しています。入居後の状態変化を観察しながら1~2週間ごとに評価を繰り返し、目標や手段を見直しています。FIM(機能的自立度評価法)を導入して、動作能力を点数化し、客観的な評価を行っています。スタッフによって移動支援のばらつきがないよう、それぞれの端末で動画を確認し共有しています。トイレ、入浴、着替えなどの生活場面で自立を促す生活リハビリを重視し継続することを大切にしています。入居者のなかには、車椅子から歩行器へ、歩行器から独歩へと機能の向上も見られます。事業所として今後は、支援の質の向上を図り、スタッフ間の差をなくすことが課題です。

【A10】A-3-(2)-① 食事をおいしく食べられるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食事サービスは業者委託で、栄養士が作成した献立表に基づいて、1日3回提供しています。給食会議でスタッフから入居者の声を伝え、献立に反映させています。月に一度の「おもてなしグルメランチ」、郷土料理で、メニューにメリハリをつけており、入居者には好評です。カラー写真とキャッチコピーを入れたグルメランチのポスターは期待感を高めています。食事の席は、仲の良い入居者を傍にするなど、楽しい食事になるよう配慮しています。また、食事の前に口腔体操をして、美味しく安全な食事ができるように工夫しています。ふりかけや梅干しなど入居者の嗜好品を持ち込むことができます。食堂のように食事の選択は自由にできませんが、朝食では、ご飯とパンを選ぶことができます。また、行事食で一部のメニューの選択ができるようにしています。ホームではさらにおいしく楽しい食事になるよう努めていきたいとしています。

【A11】A-3-(2)-② 食事の提供、支援を利用者の心身の状況に合わせて行っている。

【第三者評価結果:b】

入居者の嚥下能力について歯科医師と協力して評価を行い、能力に合った食事形態を採用し、誤嚥を予防するようにしています。入居者の心身の状況を観察しながら、自力摂取を促し、掬いやすいトレイなどの自助食器を使うなど工夫しています。入居者の食事量、水分量を記録し、端末を通じてスタッフで共有しています。栄養状態の低下は褥瘡の悪化にもつながるので、看護スタッフと連携して栄養補助食品の提供などをしています。食事前に口腔体操「パタカラ体操」を行い、事故防止に努めています。また、食事も生活リハの一環と捉え、自力で食事がとれるような工夫も行っています。ホーム長は、むせやのどのつまりなどのアクシデントに、すべてのスタッフが適切に対応できる能力を持つよう、育成に力を入れていきたいとしています。

【A12】A-3-(2)-③ 利用者の状況に応じた口腔ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

歯科医と歯科衛生士が毎週来訪し、入居者の口腔内を診察し、必要な指示、助言をしています。入居者全員の一人ひとりに応じた口腔ケア計画を作成し、評価、見直しを行っています。口腔ケアをなるべく本人ができるように、まずはケアスタッフが技術を習得するための実地研修を行っています。食前に口の動きや唾液分泌を促す為に口腔体操(パタカラ体操)を行っています。口腔ケアチェックシートがあり、もれなく実施するようにしています。嘱託の歯科医師が嚥下評価を行い、現在の食事形態が適切か助言しています。現在、入居者のなかで、歯の痛み、トラブルを抱えいている人はおらず、歯科医師からも、口の中がきれいに保たれている人が多い、と評価を受けました。

【A13】A-3-(3)-① 褥瘡の発生予防・ケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

褥瘡の発生予防・ケアは看護スタッフが中心となって対応しています。看護マニュアルに褥瘡の状態に合わせた対応方法が定められています。医師の指示により、薬や貼付剤が処方されます。褥瘡初期のうちに看護スタッフ、機能訓練指導員、ケアスタッフが入居者個別にカンファレンスを行い、体位変換の仕方などを統一します。ポジショニング方法は、動画を記録して解析するアプリを利用し、スタッフで共有しています。栄養状態を注視し、特にアルブミン値の低下は褥瘡の悪化につながるので、その場合は医師と連携し、栄養補助食品の提供をしています。看護師は看護協会の研修などで最新のケア方法の習得などに務めています。現在、入居者の褥瘡はごく軽度にとどまっており、チームケアで予防はできていると評価していますが、今後も適切な対応を継続していきたいとしています。

【A14】A-3-(4)-① 介護職員等による喀痰吸引・経管栄養を実施するための体制を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:非該当(利用者の状況により)】

【A15】A-3-(5)-① 利用者の心身の状況に合わせ機能訓練や介護予防活動を行っている。

【第三者評価結果:a】

ホームでは、入居者の心身の機能低下を予防するには本人の意欲が大切であり、生活場面の中でできるだけ主体的な活動をしていただくことが大切と考えています。常勤の機能訓練指導員(作業療法士)が、ケアスタッフと連携して、入居者一人ひとりの動作能力を評価し、機能訓練計画を作成しています。評価ツールはFIM(機能的自立度評価法)を採用しており、食事、整容、更衣、トイレ動作、移乗、移動、階段、コミュニケーション、問題解決、記憶の能力を1~7点で点数化し、定期的に再評価を行っています。意欲の高い入居者は自主トレーニングとして目標と日課を決め、居室のカレンダーに印をつけています。声かけだけでは伝わりにくい方に、身振り手振りなどで伝える配慮をしています。生活リハビリを月1000回実施するという法人の目標は十分達成していますが、事業所では全員にもっときめ細かく行き届くよう、さらに取組を進めたいと考えています。

【A16】A-3-(6)-① 認知症の状態に配慮したケアを行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の生活歴、食事、排せつ、歩行、更衣、整容、服薬、精神行動障害、意思伝達能力、指示への反応、対人関係、好む活動など生活能力やバックボーンなどを詳細に調査してアセスメントシートで課題分析をしています。認知症の入居者への関わり方について、「ユマニチュード」という手法を全スタッフが動画で研修しています。ユマニチュードでは、目線の合わせ方、触れ方、話し方、出会いやケアへのステップなど、人間としての尊厳を大切にした技法で、スタッフは統一した声かけやケアに努めています。ケアスタッフ、ケアチーフ、看護スタッフ、介護支援専門員によって認知症委員会を定期的に開催し、行動や心理症状を分析し、対応方法を個別に検討しています。23の系列ホームでの認知症ケアの情報共有システムがあり、うまくいった対応方法をヒントにしています。現在、入居者は落ち着いており、ホーム長はスタッフのゆったりした対応が統一できていると感じています。

【A17】A-3-(7)-① 利用者の体調変化時に、迅速に対応するための手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の体調変化や異変があった場合は、看護スタッフが対応し、必要に応じて24時間対応の嘱託医に連絡して、訪問診療を受けるようにしています。夜間は、看護スタッフがオンコールで対応し、夜勤スタッフからの情報をもとに対応を指示したり、嘱託医へ連絡をしています。看護スタッフは日中になるべく早く異変に気づくよう、1~2回は全体を巡回し、食事の様子など入居者の体調を注意深く観察しています。ベッドのセンサー(眠りスキャン)で呼吸状態や心拍、睡眠状態を端末で確認できるようになっています。入居者の薬は看護スタッフが適切に管理していますが、服薬が過剰にならないよう、日常生活の改善を指導するプリファーマシーに取り組んでいます。ホーム長は、緊急時の対応方法や看護師に報告する必要があるかどうかの判断など、ケアスタッフの技量向上を課題としています。

【A18】A-3-(8)-① 利用者が終末期を迎えた場合の対応の手順を確立し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

昨年の開設以来、3名の入居者の看取りをしました。終末期を迎えた場合、家族と過ごす時間が大切と考え、いつでも会える環境づくりに努めており、その一環として家族が泊まり込みで寄り添えるようにしています。「看取り介護および重度化した場合の指針」があり、看護スタッフとケアスタッフが連携し、統一した対応をとるように努めています。担当スタッフが出勤時には必ず部屋を訪れて、手を握るなどのケアをしています。人の最期に直面したことのない若いスタッフも多く、ホーム長が心構えについてなどの研修をしています。介護支援専門員が中心となり、終末期のケアを振り返り、携わるスタッフの心の動きを受け止め合う「デスカンファレンス」を行っています。事業所では、すべてのスタッフが、最期の時間を入居者や家族に寄り添い、心のこもった丁寧な対応ができるよう、研鑽をしていきたいとしています。

A-4 家族等との連携
【A19】A-4-(1)-① 利用者の家族等との連携と支援を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

入居者の様子を報告する際は、家族の希望する方法で適切に行っています。家族との対応は、主にホーム長、介護支援専門員、ケアチーフが対応し、健康面は看護スタッフが、リハビリに関しては機能訓練指導員が対応しています。家族からは電話も多数かかってくるので、丁寧な対応に努めています。。希望される家族には、ふだんの生活場面の様子、食事、レクリエーション、体操など写真付きの介護記録をプリントしてすべて渡しています。いいことも、伝えづらいことも包み隠さず、伝えるようにしています。ホーム長は、入居直後から、どんな小さなことでもできるだけ多くの情報を提供したことで、家族との信頼関係は深まっていったと感じています。

A-5 サービス提供体制
【A20】A-5-(1)-①  安定的で継続的なサービス提供体制を整え、取組を行っている。

【第三者評価結果:非該当(特養、通所、養護・軽費)】