社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ウパウパハウスノア

2024年12月10日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社 R-CORPORATION

② 施設・事業所情報
名称 ウパウパハウスノア 評価対象サービス 2024~ 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 60(56) 名
所在地 〒211-0041
川崎市中原区下小田中1-13-14 
TEL 044-750-0520 ホームページ https://upa2-house.jp/hoikuen/
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2019年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 株式会社 ウパウパハウス
職員数
常勤職員:19 名
非常勤職員:6 名
専門職員
保育士:14 名
看護師:1 名
管理栄養士:1 名
子育て支援員:1 名
施設・設備の概要
居室:0歳児室
居室:1歳児室
居室:2歳児室
居室:3歳児室
居室:4歳児室
居室:5歳児室
設備:調理室
設備:沐浴室
設備:調乳室
設備:事務室兼医務室
設備:園児用トイレ
設備:多機能トイレ
設備:園庭

③ 理念・基本方針
<理念>
寛容なる愛をもって子どもに寄り添う。

<基本方針>
1.SAFETY:安全を第一とする。
2 .TRUST:愛情をもって接し信頼関係を築く。
3. INDEPENDENCE:自主性を重んじ社会性を養う。
4.MANNER:望ましい習慣・態度・日本語を身につける。
5.SENSITIVITY:豊かな感性や創造性を養う。

<保育目標>
1. 子どもをありのままに受け止め、保育者との絆を通して心の安定を図る。
2. 子どもの持つ可能性・育つ力を認め尊重する。
3. 子どもの自己肯定感を高め、未来に向かって生きる力を培う。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
<ウパウパハウスノアの特徴的な取組>
●3歳児以上は、3つの外部講師レッスンを保育時間内に行っている
 (リトミックレッスン、ECCジュニア、キッズピラティス)
●異年齢交流(毎月のお誕生日会や夏祭り等の行事)
●助産師による「命のお話」 対象は年長児
●自園献立で、行事の際は行事食
●3歳以上の遠足に保護者のサポーターの同行(希望の保護者)

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2024/07/05(契約日) ~2024/12/02(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2020年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 【ウパウパハウスの概要】 
●ウパウパハウスノア(以下「当園」という。)は、JR南武線「武蔵中原駅」の西方約600m、徒歩8分程度の住宅地の中に位置しています。当園は、市道から数十メートル奥まったところにあり、周囲と違和感なく住宅風の造りで、南側の隣接地には市街地には貴重な広々とした畑が広がり、閑静な環境を有しています。経営主体は、株式会社ウパウパハウス(以下「法人」という。)で、法人は当園の他に、川崎市の認定保育園を3園、武蔵中原駅周辺で経営しています。法人は、施設管理や、経理、人事等の運営面を専任し、当園は保育を専任する事業の運営形態を有しています。法人に関係の深い事業所(以下「関連施設」という。)に、助産院と産後ケアハウスがあり、相互交流等の連携が図られています。

●当園は、0歳児6名、1歳児10名、2歳児から5歳児まで各11名の定員60名の保育園であり、保育時間は、平日及び土曜日共に午前7時から午後8時までとなっています。その内、標準保育時間は午前7時30分から午後6時30分までの11時間としています。また、障害児保育も実施しています。

●特色ある取組として、3歳児以上の幼児クラスでは、外部講師によるレッスン(ECCジュニア・水曜日・年間44回)・リトミック(木曜日・月に3回)・キッズピラティス(火曜日・月に2回))を実施し、レッスン料は園が負担し無料で提供しています。また、法人系列の認定保育園での行事経験を生かし、開園1年目から数多くの行事を行っています。さらに、関連施設の助産院の院長による「命のお話」が年長児の卒園前に設けられ、年長児、保護者の命の大切さに対する理解を深めており、保護者からも好評を得ています。

◇特長や今後期待される点
⦅特長や評価できる点⦆
1.【家庭的な環境の下、乳児養育と就学先を重視した幼児教育への取組】
園舎は、商店街から少し離れた住宅地の中にあり、建物外部には掲出物が一切設置されていないので、普通の木造2階建て住宅のような外観が特徴的です。保育室は、0歳児・1歳児室は用途によって広さに大小の違いはありますが、2歳児から5歳児までの部屋の間取りは、各室約14畳で家庭のリビング程の広さの中で、比較的少人数の子どもたちが生活しています。ハード面での家庭的な環境作りだけでなく、子どもの成長に沿って、保護者と同様「寛容なる愛をもって子どもに寄り添う」ことを保育者は常に念頭に置きながら、家庭的な保育が行われています。特に、乳児は安全・安心な養護を重視した保育を、幼児は小学校との連続性を意識した教育を重視した保育が行われています。子どもを受け止め受容し、子どもの主体性を育む保育は、乳児、幼児に共通していますが、乳児ではこれからの保育の基盤となる愛着関係・信頼関係の醸成に向けて、子どもとの個別の関わりを特に丁寧に行っています。生活習慣が定着し始める幼児初期の3歳から、外部講師による「リトミックレッスン」や「キッズピラティス」を取り入れた体力作りや、ドリル等を用いた学習や外部講師による「ECCジュニア」を行うと共に、異年齢児交流を取り入れ兄弟感覚や社会性を養う等、小学校生活との接続を意識した幼児教育を行っています。このように明確な意図を持って養護と教育が意欲的に取組まれていることにより、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」の実現が着実に図られているものと評価できます。

2.【生活習慣を育む保育の実践】
子どもの生活習慣の習得を意識した保育に取組んでいます。規則正しい生活、身体や指先を使う運動、異年齢児交流を保育の中に多く取入れています。日々の生活では、午前中にしっかり体を動かす→食事→睡眠、のパターンを確立しています。自我が芽生える1歳位からトイレでの成功体験を得ることや、洋服を小さなスペースでたたむ、汗をかいたら着替えをする等をルーチン化して習慣となるよう、2歳児位から配慮して取組んでいます。また、体を動かすことを特に重視し、乳児からリズム遊びを保育活動に取入れています。特に幼児期には、当園の特長的な取組であるリトミックレッスンや、キッズピラティスによる運動を継続的に行っています。異年齢児交流による、年長児の年少児へのお世話、年少児が年長児の見習いをする等、相互の学びを大切にしています。さらに、ルールのある遊びや、ブロック遊び、箸遣いの練習等、手先を使うことを意識的に取組む等、生活習慣を育む保育を実践しています。利用者(保護者)アンケートでも「生活習慣について園で覚えてきたことも多く、とても嬉しい」のコメントもあり、「基本的生活習慣の取組について」は、概ね満足を含めて満足度が100%でした。

3.【寄り添う姿勢を大切にした保護者支援】
法人・当園では、ビジョンに沿って、保護者に対しても寄り添う姿勢を大切にしています。子育ては家庭と協働で進めていくことが重要であると認識を図り、家庭内での保育が適切に行われるよう保護者支援に努めています。当園では、保護者との関係作りに特に意を用いており、コミュニケーション、情報提供、育児相談に積極的に取組んでいます。日常の送迎時の保護者との会話を大切にすると共に、子どもの1日の活動を記載した連絡帳のメモ欄を活用して情報交換を行い、子どもの状況を保護者と共有しています。幼児の連絡帳が他園では作成されないことが多い中で、当園は幼児も連絡帳を作成して保護者に子どもの様子を伝えており、保護者は園と子どもの双方からの情報を得ることができます。連絡帳を通じてより正確な子どもの姿を捉えられると共に、園生活について子どもとの会話の活性化につながる良い取組と評価できます。さらに、外部講師によるレッスンの参観日を設けた園生活の実際についての情報提供や、園だより・給食だより・保健だよりによる家庭での育児支援等、日常の保育に関わるきめ細かな情報提供が行われています。また、保護者が気軽に相談ができるよう、職員は明るく接するよう努めています。6月に保護者会、9月に個人面談を設定して、保育内容の説明や育児相談も行っています。保護者面談の期間以外にも保護者の都合を考慮して随時、相談体制を整えています。さらに、法人系列の保育園(一時預かり)や、関連施設である助産院や産後ケアハウスと連携した相談体制や受入れ体制を整備しています。こうした取組や体制により、利用者(保護者)アンケートでも保護者の高い安心感や満足感を得ています。

⦅今後期待される点⦆
1.【園の中・長期計画の策定及び、単年度計画の着実な実施について】
当園では、後継者育成や計画的な園内外研修、職員の安定的な雇用継続等を課題としています。また、保育に関しても、実習生受入れマニュアルの整備や、育児相談の定期的実施等、前回の第三者評価での提案への未着手な課題があります。こうした取組は、単年度での解決や園単独での解決が困難なものが多いものと認められます。一方、今回の第三者評価の自己評価においても、共通評価事項の内、「Ⅰ福祉サービスの基本方針と組織」、「Ⅱ組織の運営管理」の各項目に空欄が多く、園運営面での職員の認知度が低いことが覗われます。今後は、園の運営面を含めた諸課題の解決に向けて、中・長期的な視点に立った計画を園内の合意形成を経た上で作成されること、そして、当該計画に沿った年度ごとの着実な取組が求められます。こうした計画的な取組を法人の理解と支援を得て進められることを期待します。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
施設名 ウパウパハウスノア        
             
≪第三者評価を受審した感想・自己評価での取組の感想≫
一人ひとりが自己評価を行い、数名ずつ話したことがきっかけとなり、周りの人の考えを職員全体が考えられるようになった。

会議や行事の反省や改善点を速やかに周知し、活用するようにした。

≪評価後取組んだこととして≫
1.「地域の交流」
①ハロウィンの仮装をして、近隣の理容室の方々より、製作したキャンディをもらう交流。
②勤労感謝の気持ちで、いつも散歩に行く中原車両区の方々へ、お礼の絵を渡す交流。

2.「子育て支援」
月2回、地域の方を保育園に招いて、製作や身体測定をしたり、子育て相談を受けたりし、 交流の場として開放している。

3.「面談の内容」
自分の短期・長期目標を言葉にすることで、明確にするようにした。

詳細評価PDF 詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:a】

法人・当園の理念、基本方針は、目指すべき保育姿勢を簡潔かつ明瞭に表現しており、職員は、日常の保育の中で常に意識して取組んでいます。職員の理解度も高く、職員の自己評価でも「a」評価が付されていました。保護者への周知については、保育理念・保育方針・保育目標を記載した「情報提供シート」を用いて園の見学時に説明すると共に、年度当初の保護者会でも同様に説明する等、継続的に周知が図られています。利用者(保護者)アンケートでの「基本方針・保育目標」を「知っている」の割合が、「まあ知っている」を含めると89.2%と浸透していることが覗われました。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

園長は、中原区内の園長・校長会議に参加すると共に、法人内の「認定園会議」や「主任会議(園長・主任参加)」に参加すること等を通じて、行政情報を始め、保育業界を取り巻く環境動向や、経営状況について把握しています。一方、経営は法人の専任事項であるためか、こうした情報について一般の職員まで周知が図られていません。職員会議を活用する等して、経営環境や経営情報の概要が職員に届くような取組が望まれます。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

保育に関する現状の諸課題は、保育内容、保育体制等を含め、リーダー会議や、職員会議で周知・検討し、改善に向けた取組が図られています。一方、後継者育成や計画的な園内外研修の実施等の経営課題や、保育に関わるマニュアルの作成・見直し等の中・長期的な課題への取組は、今後の検討課題となっています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人・当園のビジョンは、「寛容なる愛をもって子どもに寄り添う」ことを目指した継続的な取組です。法人では、「子ども」・「保護者」・「職員」それぞれに寛容であることを前提として、乳児では安全・安心な養護を、幼児には小学校との接続を目指した教育課程をそれぞれ重視した保育を行うこととしています。保護者には寄り添う姿勢で、職員は職種を超えて協働し、フォローできる人間関係性の構築を目指しています。こうしたビジョンは法人代表から毎年全職員に伝えています。法人では、ビジョンを実現するためには人材の育成が最重点課題と捉え、管理職の重点的な育成と、職員の面接を通じた資質向上に取組んでいますが、さらに、ビジョンを実現するための方策の明文化と、職員への周知が求められます。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

単年度の事業計画は、保育の全体的な計画とクラスごとの各指導計画と捉えられます。これらの保育計画に基づき、愛情を持って子どもに寄り添う支援がなされています。一方、園では、後継者育成や計画的な園内外研修、職員の安定的な雇用継続等を課題としています。また、保育に関しても、実習生受入れマニュアルの整備や、育児相談の定期的実施等、前回の第三者評価での提案への未着手な課題があります。こうした取組は、単年度での解決や園単独での解決が困難なものが多いと認められますので、中・長期的な視点に立った計画の合意形成を経た作成と共に、当該計画に沿った年度ごとの着実な取組が求められます。こうした計画的な取組を法人の理解と支援を得て進められることを期待します。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

保育に関する全体的な計画が策定されています。全体的な計画には、保育理念、保育方針、保育目標を始め、0歳児から5歳児までの子どもそれぞれの保育目標、保育のねらい、食育、地域交流等、保育所保育指針が求める内容が、適切に策定されています。全体的な計画の下、クラスごとの年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画や、行事計画が策定されています。全体的な計画は園長・リーダー・看護師が中心となって見直し・策定が成されています。他の各計画は実施後に関係職員により反省・評価が行われ、管理者のアドバイスや承認を得て、次の計画の改善につなげています。各計画はパソコンのシステムに掲載され、全職員が共有できるようになっています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画やクラスごとの指導計画は、入園説明会で保護者に説明しています。また、6月の保護者会や、保護者代表と法人代表、園管理者で構成する運営会議で、全体的な計画や各クラスの年間保育計画を伝えています。年間の行事計画は前年度末に、毎月の事業計画はその月の園だよりで伝えています。利用者(保護者)アンケートでの「年間事業計画・行事計画」の認知度は、「まあ知っている」を含めて91.9%と高い数値を示しています。全体的な計画や、クラスごとの毎月の保育のねらい等を園内に掲出されると尚良いでしょう。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

年間指導計画や、月間・週間指導計画、行事等の実施後の反省・評価を、クラスごとに関係職員で確認・協議し振り返りを行うと共に、毎月末に園長・主任・リーダーで確認・見直しを行うことにより、内容の改善を図っています。また、リーダー以上を対象とした系列園共通の自己評価を行うと共に、第三者評価を定期的に受審する等、保育の質の振り返りを継続的に行っています。尚、一般職員を対象とした自己評価や、人権のチェックリストを活用した振り返りを仕組みとして取り入れられることを期待します。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

運営面の課題については、【5】等、前項で触れていますし、法人の専任事項に関わるものもありますので、ここでは、保育面の取組のみに言及します。全体的な計画を始め、保育に関する年間・月間・週間指導計画については、各計画の実施後に反省・振り返りを行い、評価結果に基づいて次期の計画を改善する仕組みがあります。管理者との面接を通じて保育のレベルアップを図る仕組み、行事ごとの改善策の検討、保育を通じて職員が気付いた改善策の実施等、職員が保育の実践課題を意識し、改善に取組む風土作りが園長のリーダーシップの下、意識的に行われています。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

園長は、事務分担表の中に、園全体の運営管理・職員の管理指導を位置付け、自らの内部管理の責任を明確化しています。行政、関係機関・団体、保護者、業者との交渉・連絡・調整等の対外的な責任を表明し担っています。さらに、職員会議やクラス会議等で方針を伝え、職員との共有を図っています。園長不在時には、事務分担表で主任に権限を委任すると共に、緊急事態発生時に職員が行うべき行動が理解できる簡潔な「緊急時対応カード」を各クラスに備え、緊急時に管理者が不在であっても職員が行うべき事項の明確化が図られています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園長は、中原区内の園長・校長会議に参加すると共に、法人内の「認定園会議」や「主任会議(園長・主任参加)」に参加することを通じて、行政や他の事業所から遵守すべき法令等の情報を入手しています。園長は、これらの情報や、人権・プライバシー・個人情報保護等、遵守すべき事項を職員会議等で伝え、コンプライアンスの確保・向上に取組んでいます。尚、人権擁護や虐待防止等、子どもの権利擁護に関わる事柄等を、チェックリストや園内研修の中で定期的に取り上げる等、職員の意識向上を継続的に図る機会を設けられることを期待します。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

園長は、個々の職員との面接指導や、スキルアップ研修の奨励等を通じて職員のレベルアップを図っています。また、毎月の指導計画や日誌等の記録類を精査すると共に、定期的なカンファレンス会議で課題について職員と話し合い、改善に向けて取組んでいます。さらに、積極的に保育現場に入りアドバイスを行う等、職員とのコミュニケーション作りに意を用いています。園長が率先してこうした事業所内の意識や雰囲気の醸成を図ることで、意欲的な職員が育っています。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:b】

園長は、働きやすい環境づくりのため、職員面談を実施し、職員の意向把握に努めると共に、就業状況やストレスチェックに意を用いています。また、ローテーションを工夫することで、年休や時間休が取り易い環境に配慮しています。さらに、子どもと関わらずに事務処理に専念できるノータッチタイムを月末や土曜日に設定する等、時間外労働の削減や有給休暇の取得促進を図り、職員が働き易い環境整備に努めています。職員からの保育に関する業務改善の提案等、園長は歓迎し速やかに業務に取り入れることで、さらなる業務改善を促す職場環境作りに取組んでいます。尚、人事・労務・財務については、法人の専任事項となっており、働きやすい職場作りや業務改善に向けて、園のみでは解決困難な課題が生じた場合は、園内での意識形成を図ると共に、法人と協議して改善に取組まれるよう期待します。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

人材の確保・配置については、学校訪問やハローワーク調整、就職相談会の参加等は法人中心に行われています。園では、系列園や関連施設の助産院等と連携して実習生を積極的に受入れる等、採用活動につながるよう取組んでいます。人材の確保を進める上での課題として、職員の定着による経営の安定化を捉えて、働きやすい職場環境作りに努めています。さらに、フリー職員によるクラス支援や、OJT等を通じた新人職員育成、キャリアアップ研修によるスキルアップ等、人材の定着に向けた多様な支援策を講じています。尚、人材確保に向けて、園を知ってもらうためのホームページの改善等、PR活動にも力を入れて行かれることを期待します。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

期待する職員像については、法人の理念や基本方針に明示されると共に、法人が職員に期待する、保護者に寄り添う姿勢や、職種を超えて協働し、フォローできる人間関係性の構築等、目指すべき姿として法人の代表者から機会を捉えて職員に伝えています。人事基準については、リーダー以上の中堅・幹部職員の育成の考え方は明確で、一般職員の人事考課方法も法人として考え方を有しています。但し、こうした考え方や手法は一般職員には理解されていません。職階ごとの技術水準や、目標管理を通じた達成度の数値化を図る等、一般職員にも分かり易い人事基準を示されることが、職員の意欲の向上や能力開発に資するものと期待されます。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

職員面接を行う中で、職員の意向や要望を聴取し、極力希望等に沿った働き方に配慮しています。ワーク・ライフ・バランスを尊重し、個々のライフスタイルに合わせ、職員が働きやすいシフト管理が行われています。子どもと関わらずに事務処理に専念できるノータッチタイムを月末や土曜日に設けています。リフレッシュ休暇も5年ごとに3日、10年ごとに5日を設けており、退職金制度の導入や民間福利厚生機関を活用する等、福利厚生にも意を用いています。業務のシステム化を行うことで職員の事務作業の軽減化が図られています。職員のヒアリングでも「休みやすい」、「働きやすい」との意見を伺うことができました。尚、職員の確保・定着に向けた取組の一層の充実を図るために、職員のメンタルヘルス対策や、上記の取組を含めた働きやすい魅力のある職場作りに向けた取組や制度を検討し、計画的に取組まれることを期待します。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

園では、個人面談を行うことにより、職員のモチベーションアップや資質向上に向けたアドバイスを行っています。また、園長や主任は職員の相談窓口となり、いつでも相談やアドバイスを行う姿勢を有しています。個別のアドバイスやOJTによる職員育成は図られていますが、一般職員の自己評価や目標管理を通じた業務全般に係る振り返りやステップアップの仕組みがないので、法人・当園の共通課題として検討されることを期待します。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人では、「人が人を創る」として、リーダー以上の中堅職員や管理職等、指導的な立場の職員の育成に重点的に取組んでいます。また、キャリアアップ対象職員をリスト化し計画的な受講を図っています。また、法人研修の階層別研修や系列保育園の合同研修も実施しています。園では園外研修に職員を派遣すると共に、オンライン研修や動画研修を導入する等、取組を行っていますが、園内研修は心肺蘇生や嘔吐処理等、即時対応を図るものが中心です。当園では、園内研修の充実が必要と認識しており、今後、権利擁護や虐待防止、接遇等、職員の資質の向上を目指した園内研修内容の充実に取組まれるよう期待します。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

職員の毎年の研修の受講状況が管理され、キャリアアップ研修をはじめ、川崎市の保育士等の職員研修、療育センターの地域講座等、外部研修等の研修の機会を確保しています。また、オンライン研修や動画研修の活用を積極的に図り、常勤職員のみならず、パート職員の受講促進も図っています。また、短時間のパート職員の研修機会の確保が難しいため、動画研修や研修報告書、その添付資料により、知識・ノウハウの取得を補っています。また、新採用職員やパート職員には、経験値の高い職員とシフトを組むことによるOJTや、業務マニュアル等の活用等により質の確保・向上に努力しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

実習生の受入れについては、福祉人材の育成と共に、新採用職員の確保につながる機会として捉え、積極的に受入れることとしていますが、実習生は、関連施設の助産院等と併せた実習ニーズが多く、看護士の養成校から毎年多数の実習生を受入れています。今年度も9月から12月にかけて毎日6~7人、延べ95人の看護師希望の実習生を受入れることとしています。実習生のマニュアルやプログラムは養成校が作成したものを活用しています。また、実習担当は園長・主任が担うこととしていますが、川崎市の保育士会等の実習指導者研修は受講していません。今後は、保育士の養成校との関係作りや、前回の第三者評価でも提案のあった、実習の手続きやプログラム立案方法、研修後の振り返り、守秘義務等の注意事項等を網羅した実習マニュアルの作成が求められます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人の理念や基本方針、保育内容は園のホームページやパンフレット(情報提供シート)等で公開しています。また、第三者評価結果は、福祉サービス第三者評価結果として神奈川県社会福祉協議会のサイトで閲覧ができます。苦情・相談体制についても重要事項説明書に掲載すると共に園内掲示を行っています。園見学者等、地域対応としては、パンフレット(情報提供シート)等を用いて随時丁寧に対応しています。尚、現在のホームページは重要事項説明書の概要版で堅いイメージを受け、保育の状況等の更新が難しく、各種様式のダウンロード等の利便性に欠けるものです。パンフレットもホームページと同様のイメージですので、それぞれ親しみやすく明るく利便性の高いものに改善され、パンフレット等のPR資料は、公共機関等に広く配架されることが望まれます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

第三者評価結果や行政の監査結果は、職員間で共有がなされ、改善に向けた取組が図られています。就業規則・運営規程・職務分掌等の管理規定も整備され、職員がいつでも確認できるようパソコンのシステムに掲載されています。小口現金の処理は、法人の経理部門の指導の下に厳正に行われています。一方、前回の第三者評価での提案について、園で改善できるものは改善されていますが、実習生受入れマニュアルの整備や、職員の目標設定、期待する職員像の内部基準の細分化等、法人との調整が必要な事項については未着手なため、法人と連携して改善が図られるよう期待します。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

子どもたちと地域との交流については、保育の全体的な計画に地域行事への参加が位置付けられていますが、コロナ禍で中断し、近隣神社を会場とする朝の体操程度が漸く予定される状況です。日常の地域との関わりは、隣接の畑の耕作者や散歩途上での近隣住民との挨拶等が挙げられます。近隣の保育園とのドッジボール等の交流や、近隣農家の協力による芋掘り等も再開されています。今後は、地域の祭りの参加や、商店やスーパーでの買い物体験、交通機関の利用、消防署や警察署の訪問等、子どもたちの希望を捉えながら地域交流を一層活性化されることが期待されます。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受入れについては、保育の全体的な計画の中に、体験学習の受入れを位置付けていますが、コロナ禍の影響もあり受入れにつながっていません。また、ボランティアの受入れマニュアルは未整備です。園では、小・中学生等の受入れに前向きですので、今後は、近隣の小・中学校等へ働きかけて受入れを図ることが期待されます。また、園の行事等に地域の自治会や商店会から協力(例えば餅つき・独楽回し等の伝統的な技術)を得る等、地域からの参加についても意識して、少しずつ進めて行かれることを期待します。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

子どもの支援や保護者の状況に対応できる保健所、療育センター、児童相談所、医療機関を始め、関係の深い助産院等との関係作りに努め、リスト化して必要時に活用できるシステムが構築されています。現在は虐待を疑われる子どもは在園していませんが、職員が日頃、子どもや保護者の状態を観察して、虐待が疑われる場合は、保護者相談や児童相談所との連携が図れるよう体制を構築しています。尚、虐待防止ネットワークへの参画等、外部の関係団体等と連携した地域課題への取組についても、取組が図られるよう期待します。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:a】

地域の福祉ニーズを把握するためのツールとしては、関連施設の助産院や法人系列園3園の連絡会等、医療、福祉を通じてのニーズ把握、子育て相談に参加する保護者等からのニーズ把握、中原区内の園長・校長会議での情報収集、地区の小学校の施設開放連絡会で地域住民ニーズを把握し、大学の助教授からなる第三者委員との意見交換の機会等も設け、多面的に地域ニーズの把握に努めています。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の子育て家庭への支援として、育児相談を実施しています。育児相談は園見学等での要望に沿って随時行っています。また、保育の全体的な計画に、「災害に備え、地域との連携を図る」と位置付け、災害時には園開放や備蓄品の提供を予定しています。関連施設の助産院、産後ケアハウスと連携し、育児相談に総合的に対応できる体制があります。今後は、連携体制の強みを生かして、地域へのPR活動の活性化を通じた育児相談の定期的な実施や、地域の福祉イベント等での育児相談の実施を検討される等、取組の充実が期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「寛容なる愛をもって子どもに寄り添う」を基本理念に、子どもたちの可能性を大切にして、受容的な関わりの中で、職員は、基本方針に則った安全で健全な保育に努めています。子ども一人ひとりの配慮について、子どもの育成記録の記入時に話し合いの場を設け、深く話し合うこととしています。また、日々の保育内容を職員間で確認・共有すると共に、月例の支援計画の見直しの中で、理念・基本方針に沿った保育が行われているかの振り返りを行っています。さらに、命の大切さを考える機会として、毎年年長児を対象に関連施設の助産師による「命のお話」が行われており、子どものみならず保護者・職員が人権を考える機会となっています。保育活動では性差への固定的な対応を避けて、日頃から男女混合で活動しており、子どもの呼称は家庭の延長として親の呼び方を採用しています。子ども同士の関わりについても受容し、主体的な関わりを促す中で、適切なフォローを行うことで、子どもが互いに尊重する心が育まれるよう取組んでいます。インクルーシブ教育の取組や、外国籍児童の受入れ等を通して、多様な価値観の中での共生を大切にしています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:a】

個人情報保護に関しては、保育の全体的な計画に「情報保護」が位置付けられ、職員の就業規則の中でも個人情報保護が規定されています。また、個人情報の限定的な使用について保護者から同意書を徴すると共に、保護者会で行事等での写真・動画の適切な取り扱いについて注意事項を周知しています。SNS(動画)使用時は顔・名前が特定できないよう配慮しています。また、プールの着替え等は、着替え場所が区分され年齢に応じたプライバシーが確保されると共に、トイレやオムツ交換の場所は、明るい空間とされる一方、個々に外からの視線が遮蔽されるようハード面の工夫が成されています。子どもの生活スペースは間仕切り等で、簡単に区分できるよう工夫されており、子どもが一人になりたい時に、ゆっくりと一人で過ごすことができるように配慮しています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:b】

園見学は、随時受入れており、園内を案内すると共に、園のしおりやパンフレット(情報提供シート)や写真等を用いて丁寧に分かり易く伝えています。また、見学時に育児相談がある場合は対応しています。保育園の紹介サイトに、理念・基本方針、園の概要が掲載され、当該サイトから園のウェブサイト(ホームページ)の「情報提供シート」にリンクすることができます。一方、保育園の紹介サイトや園のウェブサイトの情報は、重要事項説明書の概要版といった内容で、さらに園の保育の様子が伝わるような工夫があると尚良いと思います。中原区内等の家庭に広く保育情報を提供することを意識して、一日の保育や行事内容、子育て相談等の情報・案内をブログや写真・イラスト等を用いて分かり易く掲載すると共に、医師の意見書や登園届、施設案内パンフレット等、必要な書類がダウンロードできるような利便性を図る等、ホームページの掲載内容を工夫されることが望まれます。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

入園説明会を開催して、園のしおりやパンフレット(情報提供シート)、写真等を用いて、保育内容を分かり易く説明し、質問にも丁寧に答えています。年度初めの保護者会では、配付資料を用意し、理念・基本方針・保育目標、年間行事予定は基より、日常の様子(外部講師レッスン・安全対策)、給食の内容、プール遊び、クラスや看護師からのお知らせ等の保育情報の提供と共に、アプリの利用等で園からのお願い事項やいつでも相談を受付ける旨も伝えています。また、その折に保育内容等についての疑問や相談に対応することにより、保護者の理解を深めています。保育内容の変更については、園だよりや専用サイト配信、あるいは文書等、多様なツールを利用して、保護者に伝え、重要な事項は、承諾書を徴しています。外国籍等、説明に配慮が必要な保護者は現在はいませんが、入園希望がある際は、ひらがな表記や簡単な英語を使用して意思疎通を図っています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更に当たっては、個人情報の取り扱い上の課題もあり、引継ぎ文書や手順等は定めていません。転園先からの問い合わせがあれば、個々に合わせた配慮を伝えています。卒園児の保護者からの相談や問い合わせがあれば、園長が窓口となって対応していますが、特段、退園後の相談方法等を記載した文書を保護者に渡すこと等はしていません。今後、継続性を視野に入れ、口頭での伝達及び文書化を図ると尚良いでしょう。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

日々の保育の中で、子どもを受容し、主体的な行動を促すと共に、応答的な対応に心がけています。特に、休み明けや週末等は、子どもたちの心身の変化に気を付けながら、積極的に戸外遊びを取り入れるよう配慮しています。保護者満足度調査は、開園2年目から第三者評価を受審することで定期的な把握に努めています。また、保護者代表や法人代表が参加する運営会議をはじめ、保護者会や保護者懇談会、保育行事参加等、多様な機会を活用して意見・要望を伺っています。日々、職員と保護者とのコミュニケーションを大切にし、乳児だけでなく幼児についても連絡帳を活用した相互の情報交流を丁寧に行っており、当園の特長として評価できます。要望・意見等については、対応をクラスで検討を図り、園長等管理者に相談し保護者へ速やかな対応に努めており、苦情につながっていません。利用者(保護者)アンケートの「園の総合評価」項目では、概ね満足を含めて、満足が94.6%と高い評価を得ています。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

園の重要事項説明書や園内掲示で、園内の苦情相談窓口を始め、第三者委員の連絡先を明示しています。第三者委員は、子どもに関わる専門家である大学の助教授に依頼しています。苦情があった場合は、第三者委員に報告し、対応結果を公表することとしています。園、職員が保護者との関係作りに取組んでおり、かつ相談・要望等への速やかな対応に努めていることから、苦情として第三者委員まで上がる案件がないため、近年は公表に至るものはありません。尚、苦情に対する公的な対応機関である中原区保育・子育て総合支援センターについて、苦情解決の仕組みの中に明記し掲示されれば、尚良いでしょう。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:a】

保護者との連携については、重要事項説明書に位置付け、「家庭や地域の様々な社会資源との連携を図りながら、利用する保護者に対する支援及び地域の子育て家庭に対する支援を行います」と明示し、日頃から保護者連携を密に、子どもの育ちの共有に努めています。連絡帳は、乳児だけでなく幼児も用意し、子どもの成育状況を職員・家族で確認・共有しています。個々の子どもの日頃の情報は、連絡帳への記入や、育成記録の情報共有により全ての職員が熟知しており、どの職員も保護者に子どもの様子を伝えることができるため、保護者の安心感を得ています。保護者会では、いつでも相談できることを文書に明記し配布すると共に、職員は、保護者とのコミュニケーション作り・関係作りに意を用いて、保護者が相談等しやすい雰囲気の醸成に努めています。保護者からの相談場所は、部屋を用意し、送迎のない時間帯は事務室でも対応する等、保護者が相談等をしやすい環境の整備を図っています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:a】

保護者からの相談は、クラス内で共有すると共に、管理者に報告の上で対応方法を確認し、できるだけ速やかに保護者に回答する手順を定めています。即時対応が難しい相談等については、その旨を保護者に伝えた上で、職員会議で検討する等、園全体で対応に努めています。今回の利用者(保護者)アンケートにおける「要望・意見について」は、園内で対応策を検討し法人に確認の上、保護者にフィードバックすることとしています。尚、利用者(保護者)アンケートでは、「相談事への対応について」の満足度は、概ね満足を含めて満足が、97.3%と高い数値を示していました。保護者からのコメントでも「保護者からの相談に丁寧に向き合ってくれる」等の意見が複数寄せられていました。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:a】

リスクマネジメントについては、基本方針の第一に「SAFETY:安全を第一とする」を掲げ、保育安全管理マニュアルや、非常時対応マニュアル、不審者対応マニュアル、事故予防対応マニュアル、安全点検リスト等を整備し、安全・安心な保育に努めています。ヒヤリハットについてはレポートに記載し、LINEで情報共有を図ると共に、他園等での子どもや保育関連の事故はその都度職員に周知しています。また、看護師による「心肺蘇生法」の園内研修が定期的に行われています。利用者(保護者)アンケートでは、「保育中のケガ等の対応」、「外部からの防犯対策」等、リスク関連の評価が概ね十分を含め十分が、それぞれ100%、97.3%と高く、保護者の安心感や信頼感を得ています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症ガイドラインや、園の感染症(ノロウィルス)対応マニュアルに沿って、発生時対応を図り、看護師による感染症予防に向けた職員や保護者への啓発を行っています。室内は換気と適当な湿度管理を図ると共に、子どもの手洗い・うがいの励行や、職員が消毒液を携行して日常の衛生管理に努めています。さらに、嘔吐処理のセットが各クラスに配置されており、即時の対応が可能になっています。感染情報は、速やかに職員間で情報共有を図り、玄関の掲示やアプリにより保護者に即時に伝達しています。利用者(保護者)アンケートでは、「感染症の発生状況や注意事項の情報提供について」の項目に対する満足度は、概ね十分を含めて十分が94.6%と評価されています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

地震等の災害時には、運営規程の非常災害対策に沿った対応が図られ、前回の第三者評価で提案のあった事業継続計画(BCP)を作成し、事業再開に向けた優先的な取組を図ることにしています。保護者の緊急連絡先を把握すると共に、地震・火災等の緊急時には、専用アプリやメールにより、職員・保護者との連絡方法を確保しています。火災・地震・不審者を想定した子どもを交えた避難訓練を消防署の指導を受けながら毎月実施しています。避難経路も外階段・中階段と複数用意して、状況に応じて使い分けを想定しています。備蓄品もリスト化し園長が管理しています。地域のハザードマップの確認も行い、災害時には近隣住民への園開放等を予定しています。利用者(保護者)アンケートでも「緊急時の連絡体制、周知、防災訓練等」に関する項目の評価が、概ね十分を含めて十分が94.6%となっています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:a】

保育については、保育の姿勢を明示した保育理念・保育方針・保育目標に沿った全体的な計画、年間指導計画、月間指導計画、週間指導計画に、それぞれの保育のねらいと実施内容が明示されています。また、職員は支援内容が保育理念等に沿って行われているか、日々、職員相互で確認しながら保育の提供に努めています。仕事の基本的心得をはじめ、保育の安全管理、児童虐待防止等、保育の各場面を想定した業務マニュアルが用意され、職員の取組をサポートしています。保育の実施方法については、各種計画やマニュアルに沿って行われますが、個々の子どもの状況に応じて柔軟な対応が成されており、保育の実践が画一的なものにはなってはいません。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

保育に係る各種計画は、期間終了の都度、反省、見直しが行われ、改善策が次の計画に反映されています。また、異年齢児交流時等に他クラスの職員がクラスに入り多面的に子どもを見ることによって、保育の実践方法が画一的なものになることがないよう取組んでいます。コロナ禍で中止していた遠足の保護者サポーターについて、保護者意見を踏まえてコロナウイスル感染症が5類となった昨年から再開する等、保護者からの提案・要望についても保育への反映を諮っています。尚、業務マニュアルについては、定期的な見直しが行われていませんので、マニュアル担当を定め、実施上不都合な点の確認や見直しを行う体制を整えられることが望まれます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

入園前に保護者から成育歴や生活状況を書面で提出してもらい、それに基づいて保護者との面談を行い、保育内容を定めると共に、一定期間、子どもの状況を見ながら保育内容の適否を職員間で協議し、次の保育内容の策定につなげています。0・1・2歳児は毎月生育状況を観察しながら個別指導計画を見直しています。個別的な配慮の必要な子どもは現在いませんが、在園する際は、地域療育センター等外部の専門機関のアドバイスを得て、個別支援計画を策定し、概ね四半期ごとにケース会議を開催して計画の見直しを図ります。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

年間指導計画以下の計画は、クラスの職員で評価し、見直しを行った上で園長等管理者の承認を受け、実践されています。全体的な計画は、前年の実施状況や課題を踏まえて園長等管理者が見直し、協議を行った後原案が策定され、職員会議に諮られた後に成案が策定されます。全ての計画の策定過程に関係職員の参画が図られています。評価の課程では、日々の保育を評価し、保育が子どもたちの遊びや成長につながるよう配慮されています。また、保育内容の急な変更の場合にも、職員間で合意形成を図ると共に、職員配置を工夫して対応できるよう努めています。見直し後の各指導計画はパソコンのシステムに掲載され職員の情報共有がなされています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

運営規程に記録の整備が位置付けられており、これに沿って、児童記録等、保育の記録の様式が統一され、記録された実施状況は、パソコンのシステム上で職員間の共有が図られています。記録は、子どもの成育状況を中心に、必要な支援方法等、職員間で共有すべき内容を時系列で簡潔に記載することとしています。記録の書き方は、記載のポイントを全体会議やクラス会議で管理者が伝達・指導を行い、システムに掲載された内容は、管理者や職員間でアドバイスを行うことにより、記載内容の統一化やレベルの向上が図られています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

就業規則の中で個人情報の管理・利用方法を定めています。個人情報の取り扱いについては研修や会議を通じて事故防止に努めると共に、保護者に対しても保護者会で写真撮影のルールを説明し、園配信の情報や、写真・動画の管理を専用のID、パスワード、クラスのパスワードを用いた専用アプリで行っています。個人情報に関わる書類は、事務室の鍵のかかるロッカーで保管しています。システムを搭載したパソコンを使用後は同室に返却する等、外部への持ち出しを禁止すると共に、園長等管理者退出時には事務室を施錠することにより、残業の抑制にもつなげています。また、個人情報の廃棄は、シュレッダーで処理した後、資源ゴミとして回収されています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画は、法人の保育理念・保育方針の下、園の保育目標を掲げ、保育所保育指針の保育のねらいと内容に沿って、0歳児から5歳児までの子どもの保育目標、養護と教育の保育のねらいを記載し、同指針第3章の健康及び安全に位置付けられた健康支援、食育等の各事項に対する取組計画を明らかにしています。0歳児から5歳児までの保育の目標・ねらいは、それぞれの成長発達を捉えて、年ごとに振り返りながら、年間を通して子どもたちの成長の見通しを立てて策定しています。全体的な計画には、さらに、保育所保育指針に位置付けられた保護者や地域への支援や職員の資質向上の他、留意事項の小学校との連携、地域との交流等の各計画を明示しています。

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:a】

0歳児から5歳児までの各部屋は広く、窓が大きくとられており、採光・通風に恵まれています。各部屋からベランダがつながり出ることができるので、外遊びや水遊びができます。0歳児から2歳児までの部屋は1階にあり、グループに分かれて子どもたちが遊んでいます。また、3歳児から5歳児までの部屋は2階にあり、カーテンウォールで仕切られており、グループ別の保育や異年齢児保育が行われています。朝夕の延長保育時間は異年齢児が合同で、マットや間仕切りを利用してコーナー遊びを行います。トイレや各室は清掃や消毒により清潔に保たれており、空調も適切に使用され、子どもたちは快適に過ごしています。遊びと食事等の生活空間が区分されており、遊びの空間は、可動式の棚や間仕切りで、簡単に仕切ることができるので、小グループでの遊びや、一人で過ごせるスペースも設けることができます。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人・園の「寛容なる愛をもって子どもに寄り添う」の理念の下、子どもの気持ちを受け止めて、尊重し、子どもの状態に応じた保育に努めています。子どもの気持ちを汲み取った上で、そのまま全てを容認するのではなく、選択肢や先の見通し(楽しみ等)を伝えることで、見通しを持って次の行動につなげられるよう支援しています。愛情をもって信頼関係を築くことを大切にしながら子どもに寄り添い、子どもが言葉や気持ちを職員に届けられるように、語りかけに努めています。子どもへの不適切な言葉かけ等がないようリーダーがアドバイスすると共に、保育士間で常に確認し合っています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

子どもの成育に個人差があるため、無理強いせず、保育士のさりげない援助の中で達成感を得て、基本的な生活習慣が自然に身に付いていくように支援をしています。言葉かけ一つ一つを大切にして、「はきはき」、「ぬぎぬぎ」等、分かり易く楽しい声かけをして、行動を促し達成感を子どもが感じられるようにしています。特に、子どもとの信頼関係作りを図り、遊びや、手洗いやうがい等、先生とやってみようという気持ちから一人でやってみようという気持ちにつながるよう支援しています。日々の生活では、午前中にしっかり体を動かす→食事→睡眠のパターンを確立しています。自我が芽生える1歳児からトイレでの成功体験を得ることや、洋服を小さなスペースでたたむ、汗をかいたら着替えをする等をルーチン化して習慣となるよう2歳児位から配慮して取組んでいます。また、体を動かすことを特に重視して、乳児からリズム遊びを保育活動に取り入れています。特に幼児期には、園の特徴的な取組であるリトミックレッスンやキッズピラティスによる運動を継続的に行っています。異年齢児交流による年長児の年少児のお世話、年少児の年長児の見習い等、相互の学びを大切にしています。さらに、ルールのある遊びや、ブロック遊び、箸遣いの練習等手先を使うことに意識的に取組む等、生活習慣を育む保育を実践しています。利用者(保護者)アンケートでも「生活習慣について園で覚えてきたことも多くとても嬉しい」とのコメントもあり、「基本的生活習慣の取組について」の満足度は概ね満足を含めて満足が100%でした。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:b】

室内を間仕切り等で区分することにより、子どもたちが好きな遊びやグループで過ごせるよう活動環境を自由に設定しています。また、おもちゃ箱シールや、行動カード、生活カード等可視化できるツールを用意して次の行動を子どもが選択できるように工夫しています。リズム遊びやリトミック、キッズピラティス等、体を動かす運動を多く取り入れると共に、天気の良い日は外に出て、近隣の公園等で四季を感じながら、自然物を取り入れた遊びや造形、色水遊び等を楽しんでいます。鬼ごっこやボール遊び等、ルールのある遊びを取り入れ、ルールを守る大切さを伝え、子どもたちが好きな遊びを見つけられるよう、子どもたちの興味・関心に沿って環境設定をしています。一方、コロナ禍の影響もあり、現状は子どもたちが地域の人達に接する機会が希薄なため、地域の行事への参加や商店会との交流等、地域交流の機会を増やしていくことを考えています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

0歳児は、愛着関係の醸成と体力的な面を考慮して、6名の小クラスで保育士2名が関わる体制を採っています。0歳児は応答的な関わりを重視し、子どもたちに合わせながら自由な遊びを取り入れ、一人ひとりの興味や関心に注視しながら、安全を第一に考えた関わりに努めています。また、長時間の保育となることを考慮して、午前中のおやつ後に睡眠をとるようにしています。午前・午後の睡眠時には5分毎に睡眠状態をチェックし事故につながらないように配慮しています。室内は空調や、季節に応じて加湿器を使用する等環境に配慮しています。離乳食への移行では、家庭との連携が特に大切な時期を考慮し、連絡帳や送迎時に保護者に子どもの様子を伝え、子どもの状況について、家庭と園との情報の共有を密に図っています。

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳未満児は、「幼児期の終わりまでに育って欲しい10の姿」の基礎を作る大切な時期と捉え、自我の芽生えを踏まえて一人ひとりの主体性を尊重した保育を心がけています。遊びは、複数のコーナーを作って、その中で見守りながら応答し、危険がある場合に仲立ちしますが、基本的には子どもの主体性を尊重し、気持ちをゆっくりと受け止め、次の遊びの選択を促しています。職員のヒアリングでも、「子どもの気持ちに寄り添いながら、写真やおもちゃを提示して、子どもが主体的に遊びを選べるよう支援している」等の発言がありました。玩具の取り合い等のトラブルの際は、双方が互いの気持ちに歩み寄ることができるよう仲立ちをしています。トイレの練習は1歳児から行い、遊びの切れ目に促して成功体験を得ることにより、自分でトイレの意思表示ができるよう支援する等、基本的な生活習慣が少しずつ身に付くよう配慮しています。また、異年齢児との関わりや実習生、保育参観の保護者、散歩途中の大人等、保育士以外の関わりを大切にしています。送迎時や連絡ノートで保護者の質問や不安に丁寧な対応を行っています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3・4・5歳児の縦割りの日を設けることにより、年少児に対する年長児の思いやりの心の育ちを促すと共に、年少児が年長児にあこがれ、見習い、成長しています。園の特徴的な取組として、3歳以上児には外部講師による「リトミックレッスン」、「キッズピラティス」等、身体を動かす運動を多く取り入れています。また、関連施設の助産師が「命のお話」を5歳児に行う取組を続けています。連絡帳での家庭との連絡を幼児においても丁寧に行っており評価できます。5歳児の後半にはアプローチプログラムを導入して小学校入学に向けた準備や学習を行うと共に、就学先の小学校との子ども、職員の相互交流や、保育所児童保育要録の送付等により、保育園と小学校の円滑な接続を図っています。職員ヒアリングでは、「体を動かす遊びや、ルール遊びをなるべく多く取入れる等、遊びの環境を色々用意している」、「手の洗い方の指導や、お箸の使い方やクッキング等の食育を通じて基本的な生活習慣を身に付けるよう取組んでいる」等の話を聞くことができました。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:b】

現在、障害のある子どもの在籍はありませんが、園では障害のある子どもを受入れる際は、インクルーシブ教育を取り入れ、子どもたちと一緒にできる活動と個別の活動を、発達に合わせて行っています。個別指導計画を期ごとに作成し、専門的な研修の受講や、療育機関の訪問や助言を受けながら、必要な配慮を職員間で共有しています。園内はバリアフリーで、障害者用トイレが整備されています。建物は戸建ての木造2階建てで、一般家庭に似せて建築されており、家庭的な雰囲気がメリットですが、エレベーターが設置されていないため、車椅子利用者等身体的に障害を持つ子どもの受入れが難しい状況です。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1日の生活を見通したタイムテーブルが用意され、保育活動の他に自由遊びの時間を設け、子どもの体調に合わせてゆっくりとできるよう配慮がなされています。給食後、午後時まで午睡の時間を設けて休息を取っています。乳児は午前・午後におやつ、幼児は午睡後におやつの時間としてそれぞれ主に手作りのおやつを食しています。午後の延長時間は退園時間によって、軽食や夕食の提供がなされています。自由遊びや延長保育の時間はゆっくりとできるスペースや、横になれるスペースが用意されています。延長保育の時間は異年齢児保育となり、一緒に過ごす子が固定化しますので、できる限り、子どもの要求に応えてリズム遊びや、運動遊びを取り入れる等、楽しく過ごせるように配慮しています。お迎え時には、連絡帳や引継ぎ簿を用いてクラス外の子どもの状況を共有し、丁寧に保護者に伝えています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

5歳児は年度後半から、小学校生活を見通したアプローチカリキュラムを導入しています。午睡の時間を逓減して、ドリル等を用いて、言葉や数等の学習を行っています。また、小学校訪問や、小学生との交流を行うと共に、近隣の保育園や幼稚園の年長児と交流したり、一緒に交通安全教室に参加することで、同じ小学校に行く友だち作りができ、年長児の安心につながっています。園長は区内の園長・校長連絡会に参加し、保育士は区内の年長担当連絡会に参加して意見交換や合同研修を受講しています。このような機会で得た情報は保護者会等で保護者に伝えています。保育所児童保育要録を小学校に提出することで、小学校入学後の子どもの円滑な小学校生活への移行につなげています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

保健衛生管理マニュアルをはじめ、感染症(ノロウィルス)対応マニュアル、アレルギー対応マニュアル、給食衛生管理マニュアル等、子どもの健康管理に関わる各種の業務マニュアルを定め、手順に沿って丁寧な対応に努めています。看護師を中心に年間保健指導計画を策定し子どもの健康管理を行っています。朝の受入れ時に視診や検温等の確認を行い、子ども一人ひとりの体調を把握しています。子どもの既往歴や予防接種等の変化があった場合は、保護者へ連絡を依頼すると共に、園医と看護師が半年ごとに母子手帳を確認しています。子どもの体調変化やケガ等については、保護者に速やかに連絡をすると共に、事後の状況確認をしています。乳幼児突然死症候群(SIDS)についてはSIDS手順に沿って0歳児は5分ごと、1歳児は10分ごと、2歳児は15分ごと、3歳児以上は30分毎に確認を行い、心肺蘇生の園内研修も実施しています。また、感染症発生時には即時に園内掲示とアプリで保護者に伝え、保健だよりを毎月発行して、感染症予防や罹患時の対処方法、虫刺され対応等の情報やSIDSの注意事項等を記して、保護者・子どもの健康管理に取組んでいます。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

園医による健康診断結果は、即時に保護者に伝え、気になる結果については、看護師が子どもの状況をよく観察した上で、保護者の動揺をきたさないよう対応方法も含めて丁寧かつ適切に伝えると共に、必要に応じて子どもの健康相談にも応じています。歯科健診は年1回行い、結果は即時に保護者に伝えています。さらに、必要に応じて歯科医探し等の相談に応じる等、手厚い配慮を行っています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

現在、アレルギーの子どもが在園しており、「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」に準拠した、園のアレルギー対応マニュアルや医師の指示に沿って、事故のないよう丁寧な対応に努めています。入園時に、栄養士も同席し食物アレルギー対応について説明し、保護者と対応を相談しています。アレルギーの状態に変化があった場合は、医師の所見の下で、園長、担任、栄養士、調理師が保護者と面談を行い、対応方針を決定した後、職員間で情報共有を図っています。食物アレルギー児については食事の席を固定して、除去食メニューや、ピンク色の食器、名札を調理室内、栄養士と保育士、保育士と保育士で三重にチェックした後、提供しています。また、手作りおやつでも卵、牛乳の使用を控え、全員が同じものを食べられるように工夫しています。アレルギーに関する研修や講習会に積極的に職員を参加させています。子どもたちにも食物アレルギー理解を促すお話をする等、皆で知る、考える機会を設けています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

食事の場所は、各室とも遊びの場所と区分され、清潔で落ち着いた環境を用意して、室内に飾りつけ等を行い、担任が声かけをしながら子どもたちが食事を楽しめるよう支援しています。調理は、一人ひとりの成長段階に合わせて、栄養士と保育士が話し合いながら食材の切り方等にも工夫して、子どもの食材への抵抗感を減らすよう努力しています。子どもたちは、年3回、栄養士からの食育体験を得て、3歳以上児は、3色列車(栄養素ごとの色群分け)に毎日、献立の食材を分けて貼り付け、玄関に掲出して身体と栄養に対する意識付けをしています。また、食器の大きさや量を調節して、完食した達成感を味わうことにより、食に対する意欲を醸成しています。食育計画を策定し、6月は栄養素の三色群、8月はボックスに入れた野菜を触って当てるクイズ、月は食事マナーと食物アレルギーについて子どもたちに伝えています。クリスマス前にはクリスマスのリース、ケーキ作り等クッキングも取り入れています。また、毎月給食だよりを発行して、子どもの人気メニューや季節の料理のレシピ、食育情報を保護者に提供しています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

栄養士や調理員が自園で調理した手作りの食事を子どもたちに提供しています。おやつも週2から3回手作りのものを提供し、市販のおやつもアレルゲンに注意し、添加物のない鉄分やカルシウムを含むものを取り入れています。子どもの日や七夕、クリスマス等季節に応じた行事食やおやつを毎月取り入れ、世界の料理や郷土食に加えて、誕生会等では子どものリクエスト献立も提供しています。季節の旬の食材を意識的に取り入れ、冷たいものは冷たく、温かいものは温かく保温されて提供されており、第三者評価の調査日にはデザートに梨が添えられていました。日々の喫食状況や残食チェックは保育士や栄養士により行われています。月1回、給食会議が開催され、園長、栄養士、保育士が参加し、味付けや献立、残食状況等を話し合い、献立の改善・工夫につなげています。献立は季節の循環も考慮して、3か月サイクルで替え、その際は季節に応じた味付け等も考慮しています。衛生管理は、HACCP(調達・保存・調理・提供等の各工程の衛生管理システム)、大量調理マニュアルを基に、食中毒等の事故のないよう万全の対応が図られています。利用者(保護者)アンケートでも給食の満足度は概ね満足を含めた満足が97.3%と高い評価を得ています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:a】

日常の送迎時の保護者との会話や、子どもの1日の活動を記載した連絡帳のメモ欄を活用して、情報交換を行い、子どもの状況を保護者と共有しています。連絡帳は乳児だけでなく幼児も含めた全園児を対象としています。登園時に保護者から聞いたことやお迎え時に保護者に伝えたこと等を記した引継ぎ簿等を利用して、子どもの状況を職員間で把握し、どの職員も同じ対応を行うよう取組んでいます。また、日々の保育内容は、クラスごとの活動を写真に撮り、毎日玄関に掲示して、保護者に分かり易く伝えています。さらに、外部講師によるレッスンの参観日を設け活動内容を保護者に公開しています。さらに、園だよりや、給食だより、保健だよりをアプリを活用して毎月保護者に届けることにより、子育てに対する家庭との連携を図っています。育児に関する保護者からの相談にも随時、丁寧に対応しています。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

送迎時の保護者との会話を子どもの保育を行う上で重要な情報入手ツールと捉え、保護者とのコミュニケーション作りに、園・職員は特に意識的に取組んでいます。気軽に相談ができるよう、職員は明るく保護者に接するよう努めています。6月に保護者会、9月に個人面談を設定し、保育内容の説明や育児相談も行っています。また、保護者面談の期間だけでなく、随時相談を受付ける旨を保護者会で伝えると共に、日頃職員からも保護者に伝える等、保護者の都合を考慮した相談体制を整えています。また、個々の子どもに関する相談内容を記録して、職員間で共有しています。相談内容によっては、園長等管理者の助言を得ると共に、必要に応じて関連施設の助産師や系列の保育園、保健所等の外部機関と連携した対応を図っています。利用者(保護者)アンケートでも、「相談があると親身になって聞いていただき、園の様子も詳しく教えて頂けるので安心して通わせられます」等の意見が多く寄せられており、「相談事への対応」に関する満足度が、概ね十分を含めて97.3%と高い値が示されていました。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:b】

現在は、虐待が疑われる子どもの在籍はありません。園では児童虐待防止マニュアルを備え、定期的に虐待の内容や対応手順を職員間で確認しています。虐待や不適切な養育について子どもや家庭に徴候が見られた時は、職員間で共有し、園長に報告して今後の対応を図ることとしています。また、毎朝の視診や着替えの際、健康診断等でケガの有無を確認し、ケガ等が見られた場合は子どもや保護者に確認して、上記同様の対応を図ると共に保健所や児童相談所等、必要な機関と連携できる体制を整えています。職員の面接でも子どもの虐待に関する意識は高く、発見時の対応手順等の理解が図られていました。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

職員は、日々の保育の振り返りを常に行い、保育の質の維持・向上に努めています。保育に関する各指導計画は毎月クラス内で反省・振り返りがなされ、見直しが行われています。人材の育成に関して、法人では、「人が人を創る」をコンセプトに、中堅職員以上の指導者層の育成に重点的に取組んでいます。中堅職員の計画的なスキルアップ研修の受講や、リーダー以上の職員の第三者評価に準拠した自己評価の毎年の実施、自己評価を踏まえた人事効果等の取組は評価できます。一方、一般職員については、指導者層のOJTや、園長等管理者の面接での指導やアドバイスによる育成が図られていますが、自己啓発の面での取組の脆弱さは否めません。また、第三者評価の自己評価においても、共通評価事項の内、「Ⅰ福祉サービスの基本方針と組織」、「Ⅱ組織の運営管理」の各項目に空欄が多く、理解度が低いことが覗われました。一般職員についても自己評価の導入や、自ら達成目標を設定して園長等管理者と達成度を確認し、レベルアップを図る目標管理システム等、自己啓発手法の導入が望まれます。さらに、園の総合力のアップに向けて、職員が法人や園の運営に一層の関心を持てるような職員の意識付けを図る情報提供や、検討体制等の仕組み作りが期待されます。