社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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カナルの家

2023年03月15日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 カナルの家
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2016年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人県央福祉会
③ 理念・基本方針 ①障がい者のノーマライゼーションの実現から「ソーシャル・インクルージョン」(共生)を目指します。
②社会・福祉・介護ニーズに応えるべく先駆的で開拓的な事業を展開します。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 車椅子の方でも利用することが可能な造りになっています。訪問リハや訪問介護、訪問歯科等を行い、利用者さんの機能維持や健康維持に努めています。その人のペースや要望、希望になるべく寄り添い、一人で宿泊することに慣れてもらえるように丁寧に支援しています。
また、短期入所事業も行っています。将来一人暮らしやグループホームでの生活を目指している方や、ご家庭で緊急な用事が出来て預けたいという相談等があった場合は利用出来るようになっています
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2022年05月16日
終了:2023年02月14日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2019年度)
⑥ 総評
◇ 特長や今後期待される点
1)経験のある職員と利用者とのコミュニケーションが取れています
職員は勤続年数の長い人が多く、利用者とのコミュニケーションがよくとれています。利用者の意図を汲み取ることができて、利用者に合った支援につながっています。職員と管理者との情報共有・協力体制も出来ています。職員の調査結果は、仕事への満足度も高い状況です。


2)短期入所支援による利用者の意図に沿った対応ができています
ホームには短期入所専門の2居室が準備されており、自立支援に向けて一人で宿泊することに慣れてもらうことが出来るようになっています。職員は一人ひとりの要望に沿った個別支援に対応しています。短期入所の居室と、それに伴う浴室も入居者とは別に完備し、プライバシーの確保がされており、安心して宿泊トライが出来ています。


3)見守りの姿勢を基本として、利用者の自力での生活を支援しています
利用者の心身の状況、生活習慣や望む生活等を理解し、利用者が自力で行う生活上の行為は見守りの姿勢を基本としています。「わからない」「できない」という相談を受け、それを手伝うことで解決するなら、それは既に自立としてとらえるように職員で意識しています。退居して一人暮らしができることではなく、ホーム内で十分自立の確立ができるように支援しています。


4)非常勤職員が集まる機会への工夫が期待されます
2名の常勤以外は非常勤職員による支援が中心となっています。非常勤職員は勤務時間やシフトの関係で一堂に集まる機会がありません。非常勤職員での話し合いや研修受講が課題となっています。ITシステムによる情報共有を行っていますので、情報発信だけでなく意見交換のページなどスマホなどの機器を使っての参加の工夫が期待されます。


5)人手不足への工夫が期待されます
ホームでの人手不足が慢性化しています。事業として重要な短期入所の受け入れ時は支援体制の不足を感じます。職員も食事準備の場合など利用者に十分対応できない不足を感じています。法人からは人材補強が了解されていますが、応募が少なく人材確保ができない状況です。ホームの仕事を分割するなどの工夫を行い、関係者に理解していただき、応募者を募ることが期待されます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント この度は貴重な評価を頂きありがとうございました。
支援度が高い利用者さんを受け入れていること、また十分な支援を行うための人的配置(家事支援の配置など)を評価され、今まで私たち職員が当然と思っていたことが、第三者から見ると評価に値すべきことであると分かり、自分たちの自信にもつながったと思います。
また、事業所の課題でもある、障がい者の高齢化に直面するにあたり、「利用者の意見を取り入れる」という取り組みの期待を受けました。まさにご指摘の通りであると感じています。ご本人がどのような生き方や今後を希望しているのか、周囲の先回りした意見や客観的な考えだけで進めるのではなく、寄り添いながら考えていく必要があり、実践していきたいと思います。
今回は新型コロナウイルスの影響で、訪問調査や利用者さんへの聞き取りなどが十分に実施できず、まだまだ改善の余地がある部分をお伝えできていないところです。いただいた意見をもとにより充実した事業所運営、利用者さん支援に還元していきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

法人理念、基本方針が運営法人のホームページ等に記載され、ホーム内に掲示し研修などで職員への周知を図っています。わかりやすい資料による利用者や家族への周知が課題となっています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

毎月定期的に試算表を作成して、福祉サービスのコスト分析や福祉サービス利用者の推移、利用率等の分析を行っています。短期入所の受け入れについて、解決・改善に向けて具体的な取組が課題と考えています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

ホームの方針として法人の理念「笑顔の絶えないホーム」を目標としています。中長期計画がありませんが、事業計画は職員の意見を集約して策定しています。事業計画は職員へ周知し、連絡ボードなどで主な内容を利用者に知らせています。非常勤職員からの意見収集と周知が課題となっています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

支援の質の向上を事業計画に取り上げて、組織的にPDCAサイクルによる福祉サービスの質の向上の取組を実施しています。利用者満足度調査をホーム独自で実施し、その内容の改善を行っています。改善策や実施状況を連絡ノート等で職員が共有していますが、研修参加も含めた非常勤職員の参画がない事を課題と捉えています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

管理者は、福祉サービスの質の向上について、ホーム内で常勤職員との協力体制を構築しています。管理者は、自らのホームの管理に関する取組を明確にしていますが、文書化しておらず課題となっています。会議において管理者の役割を周知して、職員の意見を反映するために話し合うようにしています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

法人は、必要な福祉人材や人員体制に関する基本的な考え方、福祉人材の確保と育成に関する方針を確立しており、求人は法人や他事業所と連携を図りながら行っています。育成に関しては、本人の意思を確認しながら法人の研修制度を利用しています。人手不足が現在の課題になっています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

ホームページ等により、理念や基本方針、提供する福祉サービスの内容、事業計画、事業報告を公開しています。第三者評価の受審結果や苦情・相談の体制や内容についても公表しています。運営規定や倫理行動マニュアル等で、ホームにおけるルール等を明確にして、職員等に周知しています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

活用できる施設や地域の情報を収集し、地域の祭りや地域ボランティア活動等の情報を掲示板等で利用者に提供しています。希望者がいれば参加するための支援を行っていますが、コロナ禍のため積極的に参加することは控えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

倫理行動綱領と職員ハンドブックの読み合わせを行っています。利用者を尊重した福祉サービス提供についての基本姿勢を明示して、組織内で共通の理解をもつための取組が行われています。法人では人権の研修を年1回開催して、職員への意識づけに力を入れています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

利用希望者等に対しては、所長を中心に説明と見学に対応しています。新規入居のために短期入所の体験案内を行っています。事業所の情報をリアルに感じてもらうために、今後は動画等を作成し、伝えやすい工夫が必要と考えています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

利用者満足の向上を目的として、年1回の「満足度調査」を行うことにしています。日頃より利用者家族の来訪時には十分なコミュニケーションを図っていますが、家族の参加などを求めた総会などは開催しておらず、家族連携が課題となっています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

日頃の職員の心掛けにより、利用者が相談しやすく、意見を述べたい時の方法や相手を選択できる相談しやすい事業所になっています。家族からは来訪時に相談を受け付けています。現状ではコミュニケーションを中心とし、連絡ノートなどでの記録はありますが、仕組みとしては不十分と考えています。対応マニュアルの見直しなどが今後の課題です。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

リスクマネジメント体制としては、個人の外出緊急時には管理者やサービス管理責任者に連絡するようにしています。安否確認システムでのメール確認ができるような体制も検討しています。事故防止策等の安全確保策の実施状況はヒアリハットや事故報告などで定期的に確認しています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

標準的な実施方法を運営規程や早番・遅番・平日夜勤・土日夜勤ごとの業務内容に適切に文書化しています。それぞれのマニュアルには、利用者の尊重、プライバシーの保護や権利擁護に関わる姿勢を明記しています。支援の標準的な実施方法の検証・見直しを行い、個別支援計画の内容を必要に応じて反映しています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

アセスメント手法を確立して、利用者、家族のニーズを聞き取りながら、個別支援計画に反映しています。個別支援計画には、利用者一人ひとりの具体的なニーズが明示されています。本人の意思決定の判断が難しい場合は、家族へのヒアリングも同時に行っていますが、家族の協力が難しいケースもあります。小規模のホームでもあり、外部の看護師以外のさまざまな職種の方や他機関との連携を整備していくことが課題となっています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

利用者の身体状況や生活状況等を、統一した様式によって把握し記録しています。パソコンのネットワークシステムの利用により、ホーム内で情報を共有する仕組みが整備されています「個人情報保護規程」により、利用者の記録の保管、保存、廃棄、情報の提供に関する規定が定められています。職員には、職員会議等で伝え、個人情報保護規程等を理解し、遵守しています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

職員は利用者の自己決定を尊重するため、利用者の思いを聞く機会が一番大切と考え、相談できる環境を常に整備することに心掛けています。その人らしさや利用者の気持ちを大切にしながら、利用者の希望や行動が利用者の前向きな気持ちになるように支援しています。対応の難しい要望などの回答に関しては、納得してもらう説明方法が、今後も課題と考えています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

職員には、利用者の権利侵害の防止を図るため、職員会議での説明、内部研修の実施、外部研修への参加を勧めています。身体拘束ついては周知をしています。利用者への声かけには、一人ひとり適切な呼称や適切な言葉づかいをしています。世話人が一人で対応する場合があり、利用者の権利侵害の防止等の確保について検討していかなければいけないと考えています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

職員は、法人における研修や職場の学習を通して支援姿勢等の習得を行っています。常勤職員は採用前に1週間の研修を行い、その後7年目まで定期的にフォローアップ研修を行い、支援の基本等について学んでいます。非常勤職員は採用前実習や研修を通して、基本的な支援を学び、その後は全体研修や職場での会議等で支援の基本を学んでもらうようにしています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

個別支援計画にもとづく日常的な生活支援に努めています。食事は切り方や糖分の制限など個別に対応するようにしています。入浴は基本毎日入浴でき、同性介助をしています。排泄支援も利用者の状況に応じて対応しています。利用者によって支援内容に差異がある為、統一した支援が出来るようにしていますが、なかなか改善につながらない現状を課題としています。
A-2-(3)生活環境

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

環境整備に関してもマニュアルを参照しています。1階の女性部屋と短期入所とは間仕切りがあり、浴室も2ヶ所設定されています。共有トイレも2ヶ所あり、プライバシーに配慮しています。また、部屋トイレの設置もあり、支援内容によって利用している利用者もいます。短期入所者(定員2人)を受け入れる場合は対応に追われ、人員調整が困難な場合もあり、その調整が課題と考えています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

巡回看護師が定期的にホームを訪れ健康管理や相談に応じています。また、通院の同行支援を行って、主治医に本人の様子を報告し、健康面のフォローをしています。利用者の障害に応じて、利用者が主体的に機能訓練や生活訓練を行うことが欠かせません。駐車場や廊下での歩行訓練は毎日続けています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

通院同行時に主治医から話を聞き、指示に従って利用者の支援を行っています。服薬の自己管理が難しい利用者にも、同様に医師等の指示にもとづいて支援を行っています。近年は、糖尿病予防に対しての服薬管理などが重要になってきています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

新型コロナ感染対策からレクリエーションも少なくなり、課題となっている社会参加等も減ってきています。その中で、障害者スポーツ大会のバレーボールには参加しました。利用者個人では、近隣のショッピングセンターなどに自由に出かけるなど個々に自由に過ごせています。今後は利用者家族を対象とした研修などで、社会参加の機会が増えることが課題となっています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

将来は一人暮らしをしたいという希望をもっている方もいます。本人の気持ちを聞きつつ、一人暮らしをする為に身につけることなど、わかりやすく説明していく必要があると考えて支援しています。移行への支援として、同一法人の施設をサテライトとする考え方や、他の障害者GHとの交流や、地域情報なども積極的に収集すること等の検討が課題と考えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

職員は日頃から利用者の要望や希望を聞き取れるようなコミュニケーションを図ることが重要と考えています。家族等には来訪時に、積極的に報告する情報共有の場を設けています。機関誌などの発行や動画を作成することによる新たな情報提供の検討を課題としています。

評価後のコメント<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:10名
アンケート調査対象:10名
ヒアリング調査対象:2名
①  アンケートで評価の高い内容と %
・「あなたは、グループホームでは自分のペースで過ごしていますか」:「過ごしている」80%
・「あなたに、職員・スタッフは丁寧な言葉で話してくれますか」:「話してくれる」80%

②  アンケートで評価の低い内容と %
・(ホームにお金を預けている場合)「毎月報告してもらっていますか」:「聞いている」25%、「聞いていない」25%、「わからない」50%

③  調査全体でとらえた利用者の状況
 (障害特性や利用者の背景や表情等も含め記述)
・ホーム入所時は不安があったが、職員の温かい対応と友達もできることで落ち着けた。
・職員に相談できて利用者同士のケンカなどの対応にも、職員が駆けつけてくれ親身になって対応してもらえ、職員への信頼が落ち着ける生活につながっているようです。
・その都度に悩みも聴いてもらえて、不安もありません。
・ホームではゲームをし、絵を描いてリハビリを行ったりして生活の向上にもつながっているようです。
・買い物にも自由に行けて、今の生活とホームが好きで、楽しく過ごせています。