社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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グランツ遠藤

2022年12月01日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 グランツ遠藤 評価対象サービス 2022~ 障害者・児福祉サービス版
対象分野 生活介護 定員 30名(38名) 名
所在地 252-0816
藤沢市遠藤2020-17
TEL 0466-89-6770 ホームページ http://www.tomoni.or.jp/glanz
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2011年04月11日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 県央福祉会
職員数
常勤職員:5 名
非常勤職員:10 名
専門職員
介護福祉士:2 名
准看護師:1 名
施設・設備の概要
作業室:5
更衣室:2
面談室:1
事務室:1
食堂:1
洗面所:3
トイレ:4
バリアフリートイレ:1

③ 理念・基本方針
法人理念
1. ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します。
2. 先駆的で開拓的な事業を展開します。

基本方針
1. 人権尊重とサービスの向上を図ります。
2. インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
3. 地域との共生をめざします。
4. ニーズの多様化と複雑化に対応します。
5. 社会のルールの遵守(コンプライアンス)を徹底します。
6. 説明責任(アカウンタビリティー)を徹底します。
7. 人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
8. 柔軟で行動力のある組織統治(ガバナンス)を徹底します。
9. 財務基礎の安定化に努めます。
10. 国際化の対応に取り組みます。
11. 社会貢献活動に積極的に取り組みます。

④ 施設・事業所の特徴的な取組
当事業所では、自閉症に特化した部屋を設け、特性に配慮した対応を行っています。また、利用者の意向を反映した、栄養バランスの良い食事の提供をしています。更に、3事業所合同の家族会や日々の情報伝達により、家族と連携して利用者を支えるように努めています。
生産活動では、バウムクーヘン製造、ボールペン箱詰め、割り箸袋詰め、アクセサリー部品仕分けなどの軽作業があります。利用者の障がいの程度や特性に応じて作業内容や作業量などを決めています。生産活動を通じて発生した事業収入から必要経費を引いて工賃として支払い、賞与もその時の収入をみて支払います。そのことによって、働いて収入を得る充実感や喜びが得られるよう支援しています。
創作活動ではパズル、アイロンビーズ、トランスフィットネスなど利用者の好きなこと、希望を聞きながら楽しんで参加できる活動を行っています。年に数回外出の機会もあり、日帰りのドライブや1泊2日の宿泊旅行を行っています。また、年に一度のグランツ祭りを行い、地域との交流を深めています。(現在は、コロナ禍であり自粛しています。)

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2022/05/16(契約日) ~2022/11/08(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 2 回(2019年度)

⑥総評
特長や今後期待される点 1)障害特性に配慮したきめ細やかな個別支援を行っています
自閉症や知的障害の特性や作業内容により、作業室を4部屋設けて、少人数のきめ細やかな支援を実施しています。部屋単位で過ごす活動時間が長いので、利用者一人ひとりと丁寧に向き合い、個別の対応が可能となります。職員は作業室会議や朝夕の打ち合わせで、利用者の状態を確認し、利用者が抱えるストレスや不安、苦痛の理解に努め、個別支援に反映しています。職員が情報共有により統一した対応を継続することで、「自分が理解され、あるがままの自分を受け入れられている」との自己肯定感を高め、利用者の精神的安定につながっています。

2)利用者等と職員とのコミュニケーションが豊かな事業所です
「利用者や家族を理解して、より良い支援を目指したい」との職員の思いを感じ取り、利用者や家族が様々な発信をしています。健康状態、家庭での悩み、休日の過ごし方、将来への希望や不安などを伝えたり、アドバイスを求めるなどしています。言葉以外でも、手話やジェスチャ―、表情や動作速度、何気ない佇まいをも、職員は利用者とのコミュニケーションツールとしています。また、施設長が作業室を含め事業所全体を巡回して、利用者や職員とのコミュニケーションの機会を作っています。利用者がアイコンタクトで所長に挨拶する場面もあり、風通しの良い事業所環境となっています。利用者の代弁者でもある家族からは、手すりや日除けの要望を受けて、実現に至っています。思ったこと感じたことを率直に伝え合える関係性が築かれています。

3)関係団体との連携強化が期待されます
行政とは、重度障害に見合った医療やサービスの必要性について話し合いの場を設けています。また、相談支援事業所との連携を通じて、短期入所やグループホーム利用の支援体制を構築しています。一方、地域の関連団体との連携では、藤沢市障がい福祉法人協議会に所属はしていますが、会議などには出席していません。同協議会以外の団体も含め外部団体との交流により、より広い視野で福祉ニーズを把握することや、定期的な連絡会などを通じて団体共通の問題に対する解決策を検討し具体的な取組を行うなど、地域の関係団体との連携強化が期待されます。

4非常勤職員へのサポートが期待されます
職員への研修計画を作成し、研修などを通じて職員の育成を進めています。常勤・非常勤を問わずに研修の機会を設けていますが、非常勤の受講は少ない状況です。必要な福祉人材への計画についても職員の周知・理解に課題があります。非常勤職員のサポートの工夫について、事業所全体での取り組みが期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
第三者評価は、3年前に行っており今回で3度目となります。3年ぶりとなる為、情報が古く差し替えが出来たことで、内容の見直しが出来た良い機会となりました。当日に、アドバイスを頂けたことは、すぐ改善出来たこともあります。
また、項目の中で至らない所などは、今後改善するべき点として課題を残しました。改めて、振り返り内容を確認出来たことが、大きいです。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

法人は、理念として「ソーシャルインクルージョン(共生社会)を目指します」「先駆的で開拓的な事業を展開します」を掲げています。理念・基本方針は、玄関ホールや作業室、事務所に掲示しているほか、法人のホームページ、パンフレットや職員ハンドブックに記載して周知しています。事業所では、入職時研修での周知に加え、職員との個別面談の際に毎年確認して、理解を深めるよう取り組んでいます。理念については、家族には、従来家族会で事業計画や予算とともに説明していましたが、コロナ禍で開催できないため説明できていません。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

社会福祉事業全体の動向や地域の福祉計画の策定動向は、法人が情報収集して分析しています。法人が把握・分析した情報は、所長が月1回の管理者会議(理事長、執行役員、管理者が出席)で情報収集しています。行政からの書類やメールでも情報を得ていますが、職員への周知が課題となっています。地域の課題や実情については、近隣事業所との情報交換や事業所が加入している自治会から情報収集しています。所長は、毎月損益状況について予算と実績を記載した試算表を作成し、収入、人件費などに関するコメントを記載して法人に報告しています。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

事業所では、収益の向上を図るため利用者数の増加を経営課題として掲げ、法人と共有して取り組んでいます。具体的な取組として、藤沢市の進路業務連絡会に参加して、養護学校の先生と情報交換しています。職員には、職員会議(常勤職員が出席)や作業室会議(全職員が出席)で、利用者を増加させる背景・目的などを説明し、理解を得られるよう努めています。会議に出席していない職員には、朝の打ち合わせでの説明や資料を回覧して周知していますが、所長は職員への浸透が課題と認識しています。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人は、理念・基本方針の実現に向けて、2022年度~2024年度中期経営計画を策定しています。事業所の中期展望も含め他計画における職員周知が課題です。中期経営計画は「既存事業」「新規事業」「法人本部」別に今後3年間のビジョン・方針、定量目標を明示した、目標実現に向けた3ヶ年のマスタープランとなっています。また、計画は、取組方針・事項を明確にして、経営課題や問題点の解決・改善に計画的に取り組めるよう、各種数値を明示した具体的な内容となっています。また、直近3年間の財務面の振り返りと、今後3年間の財務目標も明示した総合的な計画となっています。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

法人は、中期経営計画を踏まえて年度事業計画を策定しています。所長は、法人の中期経営計画や年度事業計画を踏まえて、事業所の年度事業計画を策定しています。2022年度の事業計画は、「事業所としてのユニークで独創的な取組」「今年度の重点課題」「実施運営」「業務」「研修」「会議等」「年間行事計画」「社会貢献・地域貢献の取組」「苦情解決」など12項目について、時期や頻度などを明示した、実行可能な具体的な内容で策定しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:b】

所長は、日常会話や個別面談、会議などから把握した職員の意見などを踏まえて、事業計画を策定しています。事業計画は、年2回、職員会議で実施状況や成果などの評価を行い、9月に中間報告、3月に事業報告を作成し、法人に報告しています。事業報告や職員の意見などを踏まえたうえで、次年度の事業計画を策定しています。事業所では、事業計画を策定後、書面で職員に配布し、職員会議で所長が説明して理解を促していますが、職員に浸透を図るため、更に理解を深める取組が期待されます。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、利用者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:b】

従来、家族会において事業計画を書面で家族に配布し、所長が説明していましたが、コロナ禍で家族会が開催されていません。対面での説明に変わるものとして、家族向けに「グランツ遠藤からのお知らせ」(以下、お知らせ)を2ヶ月に1回程度発行して、事業計画の主な内容を伝えています。「お知らせ」では、イベントの内容や防災訓練などの業務を分かりやすく伝えています。「お知らせ」は、家族への連絡帳に挟み、全ての家族に案内しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 福祉サービスの質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

法人や事業所は、事業計画・個別支援計画の評価・見直しや、個人目標に対する自己評価の実施などにより、職員にPDCAの実践が身につくような仕組みを取り入れています。それぞれの評価・見直しは、所長がチェックしています。事業所では、3年ごとに第三者評価を受審しています。第三者評価の結果の分析・検討は、職員会議と作業室会議で行っています。第三者評価以外の事業所の自己評価は実施していません。年1回は事業所独自の自己評価を行うことが期待されます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき組織として取り組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:b】

受審した第三者評価の結果に基づく改善取組は、改善実施計画を立てて実施するまでには至っていませんが、結果を踏まえて事業計画を策定しています。事業計画は、半期ごとに職員会議で評価・見直しを行っています。今回の第三者評価の自己評価は、職員の意見を踏まえて所長がまとめて作成しています。所長は、第三者評価の自己評価をした結果、経営課題や事業計画などの職員への伝え方に工夫が必要だと認識しています。今後、具体的な取組が期待されます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 管理者は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:a】

所長は、事業所の経営・管理に関する方針と取組を事業計画で明確にしています。また、自らの役割と責任については、2ヶ月に1回程度発行する「お知らせ」で表明しています。役割と責任の具体的な内容は、職務権限規程、運営規程に明記しています。職員には、会議などで所長が説明しています。法人は「危機管理対策本部要綱」で、職務の代行等についてのルールを定めています。所長はルールに基づき、不在時の権限は支援課長に移譲することを職員に会議などで周知しています。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

所長は、法人の階層別研修や外部講師による研修でマネジメントや経営、法令遵守などを学び、利害関係者と適切な関係を保持するよう取り組んでいます。事業所の業務は、障害者総合支援法、障害者虐待防止法、労働基準法、個人情報保護法などに留意して運営しています。職員は、職員ハンドブックをもとに、入職時研修や個別面談で法令遵守について学んでいます。事業所では、毎日の打ち合わせ時に、法令遵守に関するヒヤリハットも作成して共有することで、職員の遵法意識の向上に繋げています。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 福祉サービスの質の向上に意欲をもち、その取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は、作業室の観察や活動日誌・業務日誌のチェックなどで、福祉サービスの質の現状について日常的に評価・分析しています。評価・分析は、理念・基本方針や事業計画などと齟齬がないかなどに基づき行っています。気になることがあった場合は、都度、個別に指導しています。福祉サービスの質の向上に向けて、日常の会話や個別面談、会議などの機会に職員の意見を聞いています。事業所では、利用者の要望を取り入れ、階段に手摺りを設置して安全に移動出来るようにするなど、環境整備に取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

所長は、経営の改善や業務の実効性を高める取組として、職場の働きやすさを第一と考えています。人員配置は、ベテランと新人などの経験や相性を踏まえて行っています。職員の休暇などで要員が足りない場合は、所長がサポートしています。所長が現場の職員と働き、会話することによって問題点を見出し改善するように努めており、職員も評価しています。事業所では、帰りの打ち合わせで、職員に時間外労働の内容・時間を申告してもらうことで、仕事の効率化に対する意識を高め、時間外労働の削減に繋げています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

法人は、福祉サービスの質を確保するために必要な人材や人員体制に関する計画を策定し、事業所と連携して採用や育成に取り組んでいます。人材確保の計画は職員に十分に周知・理解されていません。常勤職員の採用は法人が行い、研修を実施したうえで各事業所に配属しています。事業所は、採用前実習で協力しています。非常勤職員の採用は事業所が行っています。Webや広告のほか、職員採用チラシ(事業所や近隣の保育園などに掲示)や、他の事業所からの紹介などで採用しています。採用にあたっては、2次面接や実習を実施して、福祉の特性に合った人材を確保する体制を整備しています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人は「期待する社員像等」を職員ハンドブックや倫理行動要領などで明文化しています。採用、配置、異動、給与などの人事基準は、就業規則に明示しています。常勤職員は、6月に所長と目標設定に関する面談を行い、年間目標を設定しています。その後、9月頃に中間面接、2月頃に年度末面接を行い、それぞれ自己評価と上司評価を行っています。非常勤職員は、目標設定は行いませんが、所長が年2回個別面談を行い意見交換などをしています。法人全体として総合的な人事管理制度を整備していますが、職員の理解に課題があります。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:b】

所長は、ICカードでの勤怠管理や有給台帳をもとに労務管理を行っています。また、個別面談や法人の意向調査で、職員の異動の希望、やりたい業務などを把握しています。健康診断、ストレスチェックで職員の心身と健康状態を把握しています。また、法人は、心のサポート相談室を設置して心理カウンセラーが相談に当たっています。法人の福利厚生会が、慶弔金の支給、健康診断費用の助成などを行うなど、事業所と法人が連携して、働きやすい職場づくりに取り組んでいます。今後も継続的な取組が期待されます。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

法人は、組織として「期待する社員像等」を職員倫理行動綱領で明文化しています。法人では、職員の育成を目的に、職員ごとの目標管理を行っています。職員は、職種・職位別に期待されるレベルの年間目標を検討し、6月に所長と面談のうえ目標を設定しています。所長は、職員との面談の際に、スキル、経験に見合った目標となるよう話し合っています。その後、9月頃に中間面接、2月頃に年度末面接を行い、それぞれ自己評価と上司評価を行っています。非常勤職員の目標設定は行っていませんが、所長が年2回個別面談を行っています。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:a】

法人は、職員倫理行動綱領・マニュアルに、期待する職員像や、職員に必要な専門技術を明示しています。また、職員研修方針や年間研修計画を策定して、入職後の年数・職位別に実施する階層別研修、各エリア・部会・委員会主催の専門分野別研修の2系列で豊富なプログラムを用意しており、研修後は、アンケートを実施しています。また、法人は、テーマ別の研修動画を作成し、職員がパソコンで受講できるようにしています。事業所では、行動援護就業者養成研修などの外部研修にも積極的に参加できるよう取り組んでいます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

事業所では、入職時の履歴書や、入職後の業務の実践の観察などをもとに、職員の知識、技術水準を把握しています。専門資格の取得状況は、法人の人事統合システムの登録情報により把握しています。事業所での新人のOJTは、作業室の先輩職員が行っています。法人主催の階層別研修と専門分野別研修で、対象となっている常勤職員と非常勤職員は、参加できるように勤務調整をしています。受講が必要な研修の参加費用は事業所負担とするとともに、研修受講を業務扱いとして研修への参加を推奨しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-① 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:c】

実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成に関する基本姿勢が明確になっていません。また、実習生受け入れマニュアルなどの整備も不十分な状況で、実習生の受け入れもできていません。今後は、マニュアルの作成をはじめとした、実習生受け入れのインフラ整備に取り組むことが望まれます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

法人はホームページで、理念や基本方針、事業計画、事業報告、予算、決算情報などを公開しています。今回の第三者評価の受審結果は、かながわ第三者評価推進機構HPなどで公表します。事業所の苦情解決体制は、玄関ホール2ヶ所に掲示して公表しています。苦情・相談の内容や改善・対応の状況の公表は、現所長就任後の実績はありません。事業所では、理念や基本方針は見学者にパンフレットで説明しています。また、バウムクーヘンの販売店や公民館にリーフレットを置くなど、運営の透明性を確保するよう取り組んでいます。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

事業所の経理関連業務は、経理規程に基づき実施しています。経理規程は、事務室に備え付け、閲覧できるようにしています。事業所では小口現金のみ取り扱っています。経理処理で不明な点がある場合は、法人の経理部に相談しています。事業所は、現所長就任後(1年6ヶ月間)、法人の担当者による内部チェックを受けていません。法人は、事業、財務などの経営状況について、監査法人による外部監査を受けています。指摘事項があれば迅速に対応して経営改善を図るなど、適切な経営・運営のための取組を行っています。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 利用者と地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

地域交流の基本的な考え方を事業計画で明示しています。従来は、3月に事業所のお祭りを実施し、100名を超える地域住民が参加し交流していましたが、コロナ禍で中止しています。地域の社会資源や行事などの情報は「お知らせ」で利用者に提供しています。利用者が、公民館のお祭りなどの行事に参加する場合は、職員が付き添って支援しているほか、木曜日に、希望する利用者が近隣のコンビニにおやつを買いに行く際に職員が同行しています。また、事業所の製品のチラシを近隣にポスティングして、地域交流を図っています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:b】

ボランティアマニュアルを作成して「ボランティアを通じて地域との関りを持つ」「障がい者の方とのふれあいからグランツ遠藤を知ってもらう」などの目的を明示し、ボランティアの受け入れに対する基本姿勢を明文化しています。また、マニュアルには、ボランティアの内容、事業所の体制、登録までの流れ、交通費・食費などを、具体的に記載しています。補助的作業や利用者の見守りなどで、定期的に受け入れていたボランティアは、現在、コロナ禍で受け入れを中止していますが、受け入れの体制は整備しています。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 福祉施設・事業所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の障害サービス事業所、地域生活支援センターや児童発達支援センターなどの、個々の利用者の状況に対応できる社会資源に関するパンフレットをファイリングして、事務所に備え付けています。職員はいつでも閲覧することが可能です。地域の相談支援事業所の職員がモニタリングで来訪する際に情報交換をしています。事業所は、藤沢市障がい福祉法人協議会に所属していますが、会議などには出席していません。地域の関係機関・団体との連携の強化が期待されます。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

所長は法人の藤沢地区グループ長を兼務し、藤沢エリアの福祉ニーズの把握に努めています。重度障害に見合った医療やサービスの必要性について、行政と話し合いの場を持っています。相談支援事業所と連携を通じて、短期入所やグループホーム利用の支援体制を構築しています。また、利用者送迎時に家族と接する中で、親の高齢化による送迎サポートの困難さや親亡き後の支援についてなど、問題提起を真摯に受け止めています。外部団体との交流により、より広い視野で福祉ニーズを把握していくことが期待されます。

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

休日活動として、3ヶ月に1回、利用者と職員が地域清掃を行っています。自治会からの依頼を受け、道路に面した敷地内に防犯カメラを設置することで地域で継続した役割を持っています。近隣の文化体育館での献血への参加や、事業所内へのチャリティー自販機の設置など 公益事業にも参加しています。災害時の福祉避難所として登録していますが、これまでに実績はありません。地域の避難訓練に参加して顔の見える関係を築いたり、地域と防災協定を取り交わして、災害時の受け入れ体制を具体化することが今後の課題となっています。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 利用者を尊重した福祉サービス提供について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

入職時研修では、法人の「2つの理念と11の基本方針」により、福祉の基本姿勢を学んでいます。倫理行動綱領とその具体的規程である倫理行動綱領マニュアルを整備しています。職員ハンドブックには「利用者支援の基盤は、基本的人権の尊重である」と明記し、入職時はもとより、定期面談でも日頃の支援を振り返る拠りどころとしています。また、虐待防止と身体拘束排除についての項目もあり、虐待の通報義務や関連法律についても記載しています。人権擁護のためのセルフチェックリストをインターネット上に格納し、活用を促しています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 利用者のプライバシー保護に配慮した福祉サービス提供が行われている。

【第三者評価結果:a】

プライバシー保護についてのマニュアルを整備しています。排泄介助は同性が行い、更衣室は男女別とし、鍵付きのロッカーを使用するなどの配慮をしています。静養室にはベッド1床のみを置き、長椅子数脚を他室コーナー部分に配置し、部屋をパーテーションで区切るなど、疲れやすさや発作時に対処しています。これら環境整備などのプライバシー保護の取組を、利用開始時に利用者や家族に説明し、また随時利用状況を連絡帳や電話で伝えることで周知を図っています。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して福祉サービス選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

事業所内に法人パンフレットと事業所リーフレットを置き、訪問者に手渡し、求めに応じて懇切丁寧に説明しています。バウムクーヘン販売所や公民館でのパネル展示の横にも据え置き、利用希望者が入手できる環境としています。資料は写真を多用し、明るい色調で、わかりやすい文章表記になっています。パンフレットは毎年理事長メッセージを更新し、リーフレットは苦情解決委員の変更などを反映させています。主に養護学校を通じて利用希望者を受け入れ、1日~5日程度の体験実習を実施しています。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 福祉サービスの開始・変更にあたり利用者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:b】

利用開始時や事業所変更時には、利用者本人、家族とともに、サービス利用契約書と重要事項説明書を読み合わせています。契約書にはルビをふる工夫をしています。A4用紙1枚の「グランツ遠藤を利用するにあたって」の紙面を用いて、持ち物、利用時間、送迎、家族会、日課などについて、詳しく説明しています。養護学校から実習生を受け入れた際には、体験実習利用アンケートや実習評価表の写しを資料として保管し、利用者理解に役立てています。契約時の支援体制として、意思決定が困難な利用者への配慮をルール化することが期待されます。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 福祉施設・事業所の変更や家庭への移行等にあたり福祉サービスの継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

生活介護事業所の変更、短期入所の利用開始、グループホーム入所時には、相談支援事業所や先方の事業所との連絡を密にしています。利用者が安心して新しいサービスに馴染めるように、職員が送迎したり、1泊介助をするなどの個別対応もしています。組織として引き継ぎ文書を定めるとともに、終了後のフォロー体制についても書面で伝える必要があります。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 利用者満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

第三者評価を3年に1度受審し、利用者アンケートから満足度を把握しています。個別支援計画書を半年ごとに見直す際、利用者と面談を行い、要望やサービスへの満足度も聴取しています。しかし、随時把握していく個々の意見や要望に対応するだけでは、組織としての有効な改善には結びつき難いと思われます。利用者や家族の満足度を把握するためには、調査担当者を決めて定期的に満足度調査を実施するなど、積極的・継続的な取組が期待されます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情解決に関する規則」「苦情解決事務手続き(マニュアル)」を作成し、苦情解決の担当者を重要事項説明書や事業所リーフレットに明記しています。玄関ホール2ヶ所に、苦情解決の仕組と担当者を記載したポスターを掲示しています。家族からの苦情は、送迎時などに直接口頭で聞き取ったり、電話で受けることが多い状況となっています。一件一件丁寧な対応を心掛け、マニュアルに沿って記録しています。苦情案件となった場合は、事業報告書に、日時、苦情内容、対応を公表する仕組みがありますが、現所長就任後は実績がありません。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 利用者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、利用者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

玄関ホールにその日に出勤している職員の顔写真を貼り出し、話をしたい職員がいるか、どの職員に話しかけたいかなど、利用者が状況を理解し、選択・決定できるようにしています。しかし、相談の仕方や相手を自由に選べることを説明する文書は未作成のため、利用者への周知の更なる工夫が期待されます。相談や意見を述べやすい場所としては、相談室、ドアで区切られた作業室、作業室の奥まった一角、事務室などを臨機応変に利用できるようになっています。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 利用者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

その時々の利用者の状態から、相談や意見聴取の必要性を察知して応じています。その日のうちに職員打ち合わせで報告し、対応策を協議、共有しています。玄関ホールに意見箱を設置していますが、利用者とのやり取りは殆どを口頭で行っています。記録方法や報告手順などを記したマニュアルは整備されていません。一連の流れを言語化することで、組織として、標準的対応を示していくことが期待されます。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

法人では危機管理委員会を組織して、事故発生時対応と再発防止についてのマニュアルに基づいて、研修を計画しています。事業所のリスクマネジメント責任者は、管理者に一任しています。利用者の他人への対応、利用者の飛び出し事故、送迎車両事故、発作対応など、日頃のサービス提供における安全確保については、朝夕の打ち合わせや職員会議で話し合いを重ね、リスクへの備えを強化しています。また、ヒヤリハットや事故報告を職員間で共有することで、リスクへの気づきを促し、事故防止に役立てています。リスクの定期的な見直しが課題となっています。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における利用者の安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

感染症、特に新型コロナウイルスの感染拡大防止策は、法人の危機管理委員会が中心となり、迅速に対応しています。法人では新型コロナウイルスに対するガイドラインを随時更新して各事業所にFAX送信しており、それを基に、事業所では、朝夕の打ち合わせや職員会議で周知しています。マスク着用、手指消毒、手洗いうがい、検温を励行しています。1、2回目のコロナワクチン接種については、事業所で集団接種を実施しています。また、法人のクリニックでPCR検査を実施する機会を設け、クラスターの発生予防に努めています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における利用者の安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

防災計画を策定し、災害時の対応体制を災害発生時マニュアルに明記しています。年2回法人全体で防災訓練を実施し、安否確認や一斉通報も実地で行っています。事業所単独の避難訓練は、地震と火災を想定したものを2~3ヶ月おきに実施し、備蓄については管理者の責任のもと、食料や水の消費期限切れのものを廃棄し、リストを作成して管理しています。避難訓練では消防署の参加を得て、専門的見地からの助言を受けています。訓練状況の振り返りから、災害時の安全移動のために、車椅子用ベルトと簡易担架の購入を実現しています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 提供する福祉サービスについて標準的な実施方法が文書化され福祉サービスが提供されている。

【第三者評価結果:a】

法人作成の「職員倫理行動マニュアル」「職員ハンドブック」に、標準的なサービスの実施方法を記載しています。利用者の意向尊重、利用者の人権侵害に通じる行為の禁止、守秘義務など、利用者支援の基準をわかりやすく明文化しています。新人研修用ビデオを作成し、マニュアル内容の可視化により、職員への周知徹底を図っています。利用者一人ひとりの状況に応じた支援の標準化としては、個別対応マニュアルを作成しています。職員によって対応が異ならないように、支援の方向性を職員間で共有できる仕組みとなっています。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:a】

法制度改正や業務改善の都度、法人ではマニュアルの見直しを行っています。事業所では、毎日の打ち合わせや職員会議で変更内容を周知し、共通理解を図っています。事業所と利用者に見合った適切な支援を職員会議などで見直し、改善点を話し合っています。また、職員と利用者の意見や提案をモニタリングや管理者の作業室巡回などからくみ上げて、個別支援マニュアルに反映させています。声かけの工夫や理学療法士のアドバイスなど、利用者の状態変化に応じて内容を更新しています。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく個別支援計画を適切に策定している。

【第三者評価結果:a】

「利用者状況」シートを用いて、健康、日常生活、コミュニケーション、社会参加、家族支援などの課題を分析しています。個別支援計画の策定にあたり、作業室担当者、所長、看護師、理学療法士が協議し、所長が最終チェックを行っています。個別支援計画書には利用者と家族の要望、目標、具体的課題、支援内容などを明示し、利用者や家族の合意を得ています。日々の利用者支援については作業室会議を振り返りの場としています。他害、幻覚、てんかん発作など、利用者状況に応じて、個別・的確なサービス提供に努めています。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に個別支援計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:a】

6ヶ月ごとに個別支援計画を見直しています。各作業室の職員が支援状況について振り返るとともに、利用者面談を通じて、利用者や家族からの意見や要望を聞き取っています。モニタリング内容を中間評価表にまとめ、今後の方向性について話し合い、支援内容や支援方法、次の目標設定を明示しています。個別支援計画の変更内容は、朝夕の打ち合わせや職員会議を通じて、職員間で共有しています。利用者の小さな変化も把握して、緊急時にも迅速に対応しています。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 利用者に関する福祉サービス実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:a】

利用者一人ひとりの身体状況や生活状況は、介護ソフトを使用して記録しています。事務室には9台のパソコンがあり、サービス実施状況をいつでも確認できる体制となっています。記録の基本的な書き方は入職時研修で学び、その後、所長が実地で指導しています。記録の他にも、作業室会議、朝夕の打ち合わせ、職員会議を通じて、利用者状況を共有しているので、状態変化や不測の事態への迅速な対応が可能となっています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 利用者に関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

法人では個人情報保護規程を定め、利用者情報の安全管理や適正利用などについて明記し、各事業所所長を監督者に指名しています。情報セキュリティ委員会を組織し、インターネット上にもプライバシーポリシーを載せています。事務所の全パソコンにパスワードを設置しています。入職時研修にて、職員倫理行動綱領と就業規則から個人情報保護について学び、法令を遵守しています。サービス利用契約時には、必要最低限の個人情報使用について同意書を取り交わしています。


評価結果内容評価

A-1 利用者の尊重と権利擁護
【A1】A-1-(1)-① 利用者の自己決定を尊重した個別支援と取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

利用者が自分で選択できる場面を重視しています。日常生活の疑問や不安へアドバイスはしますが、最終的には利用者の決定を見守る姿勢をとっています。お楽しみ会での綿菓子作りや玉入れなどの担当も、利用者の希望を優先して担当を決めています。バウムクーヘン作りの作業工程を小刻みにして習得しやすくしたり、時間をかけてゆっくり対応したり、利用者一人ひとりのペースに合わせて進めています。利用者の意向や個性を尊重し、衣服や髪型などは特に規則を設けていません。施設でのルールに当初馴染めず、不安や怒りを表す利用者もいますが、根気よく伝え続け気持ちのコントロールを図っています。利用者の権利については、作業室会議や職員会議で、日頃の利用者支援を振り返りながら学び合っています。

【A2】A-1-(2)-① 利用者の権利擁護に関する取組が徹底されている。

【第三者評価結果:a】

身体拘束排除と虐待防止については、職員倫理行動綱領と職員ハンドブックにわかりやすく記載し、入職時研修の資料になっています。毎月開催の作業室会議や職員会議を話し合いの場としています。また、サービス利用契約書には、安全配慮義務、説明義務、守秘義務、身体拘束の禁止、虐待防止のための措置、これら5つの具体的義務を明記し、利用者と家族に伝えています。緊急やむを得ず身体拘束を一時的に行う場合の具体的な手続きと記録方法は法人のマニュアルでルール化しています。職員倫理行動マニュアルでは、人権侵害、命令語や禁止語の使用、不遜な態度を戒め、虐待の早期発見と早期対応のための通報義務についても触れています。利用者個別のロッカーは鍵付きで、静養室や空間をパーテーションやカーテンで区切るなど、プライバシー保護に取り組んでいます。

A-2 生活支援
【A3】A-2-(1)-① 利用者の自律・自立生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

「~がしたい、~してみたい」といった利用者の希望には、利用者の意欲を引き出すような声かけをしてステップアップを図れるような対応をしています。家族や相談支援事業所と連携し、移動支援や短期入所の利用を実現しています。短期入所先の不慣れな環境で過ごせるように、職員が一泊目に付き添い、順調な利用開始にこぎつけた人もいます。一日の活動スケジュールを自分で把握できるように、個人用ホワイトボードに時系列で書き込み、わかりやすく伝える工夫をしています。タイマーを机に置き、「あと何分か」の見通しがたち、作業に集中できた利用者もいます。作業手順の可視化により、自分の力で管理できるようになり、利用者の自信につながっています。

【A4】A-2-(1)-② 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

コミュニケーション手段として、絵カード、写真、文字盤などを使用する場面もあります。手話やジェスチャー、声の調子や目の動きでも意思疎通を図り、適切な利用者理解に努めています。たくさんの情報があると理解しづらい利用者には、簡潔な言葉やごく短い文章で関わっています。安心できるように肯定的な言葉を選び、根気良く利用者の言葉を待ち、利用者との信頼関係を築いています。何気なく口にした言葉や、その時々の利用者の思いを大切にして支援しています。必要に応じて、家族や後見人、グループホーム職員に利用者の意向や要望を聞き取っています。

【A5】A-2-(1)-③ 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

個別支援計画の見直し期の個人面談の他、日頃の関わりの中で、いつでも職員に相談できる体制としています。日常生活で生じるちょっとした疑問や不安を聞き取り、精神的安定につなげています。「髪の毛を切りたいけれど、どうしたらいいのか」「パラリンピックで見たローリングバレーボールをやってみたい」などの発言に対し、職員は不明点を調べたり、関係機関に問い合わせて、一つひとつ丁寧に対応しています。利用者の相談や発言は、その日の打ち合わせで共有し、職員間で統一した支援を継続しています。その結果、支援内容やサービス関連機関の変更は個別支援計画に反映させ、現況に則した個別支援計画が作成されています。随時、家族の相談も受けています。高齢化が進み「親亡き後」の支援体制や自力送迎の限界について話し合い、共に具体策を検討しています。

【A6】A-2-(1)-④ 個別支援計画にもとづく日中活動と利用支援等を行っている。

【第三者評価結果:a】

日中活動では、利用者の希望と心身状態に合わせて、職員と一緒に作業に取り組んでいます。バウムクーヘンの製造・販売、割り箸の袋詰め、アクセサリー部品の仕分け、化粧箱折り、アルミ箔のスクラップなどを行っています。一人ひとりの状況に合致した治具を揃え、スケジュールを設定し、環境を整えています。新しい作業としては、法人内の特定非営利活動法人から研修資料のホチキス止めや製本作業を受注し、作業のマンネリ化防止と利用者の選択機会の確保に効果を得ています。休日の余暇活動は、初詣、お花見ドライブ、お月見、演奏会などの楽しみがあります。イベントごとに参加不参加の意向を聴取して、利用者のニーズを把握しています。半年に一度個別支援計画の見直しと同時に、日中活動や余暇の項目も見直しています。

【A7】A-2-(1)-⑤ 利用者の障害の状況に応じた適切な支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

障害特性を理解した専門性の高い支援を目指して、自閉症についての研修や行動援護従業者養成研修に参加しています。個別の配慮について検討しながら、作業室会議や職員会議で話し合っています。自傷や他害、大声、物を壊す、パニック、飛び出し、こだわりの強さなど行動障害と称される状態の原因をじっくりと見極め、その背景に応じた対応を基本姿勢としています。利用者一人ひとりと丁寧に向き合った経過を、個人記録や日誌に記載しています。暴言や暴力が表出した場合は、疲れさせないように配慮したり、安心感が得られるような声や表情で言葉をかけるなどの対応をしつつ、心身状態の調整を心掛けています。また、ヒヤリハットに上げて職員間で共有し、改善策を話し合っています。

【A8】A-2-(2)-① 個別支援計画にもとづく日常的な生活支援を行っている。

【第三者評価結果:a】

委託会社に調理を依頼し、月1回開催の給食会議では、メニューや食形態について利用者の希望や意見が反映するように心掛けています。丼物、肉、魚、肉、麺類の週間ルーチンの評判が良く、10年以上継続しています。食事は小分け、一口大、刻みなど、個々に合わせた形態で提供しています。通常の日中支援での入浴はしませんが、一泊旅行の際は入浴介助をしています。初めての場所で、安全に快適に入浴できるように介助や見守りを行っています。排泄介助は同性介助を基本とし、羞恥心への配慮をしています。また、トイレットペーパーを延々と引き出す行為に対して、四つ折りペーパーを代替としています。送迎は施設~湘南台駅のコースのみの為、高齢の家族にとっては自宅から湘南台駅までの送迎が困難になりつつあります。自宅~施設間の送迎コースを設けるなど、送迎方法拡充の検討が期待されます。利用者状況により、杖の種類や車いすへの移行を提案しています。

【A9】A-2-(3)-① 利用者の快適性と安心・安全に配慮した生活環境が確保されている。

【第三者評価結果:a】

利用者と職員が一緒に事業所内の整理整頓や掃除を行い、清潔な環境の継続を図ると共に、生活リズムの定着に取り組んでいます。事業所内は掃除が行き届き、余分な飾りつけはせずに、シンプルで刺激が少なくて、利用者にとって安心感のある空間になっています。作業室を分割してパーテーションで区切り、一人で落ち着いて作業ができる環境としています。静養室の他にも、長椅子と毛布をセッティングしたコーナーや男女別の休憩室など、横になって休める場所を設けています。ストレスや感情が高まった時にクールダウンするリラックススペースともなっています。家族の要望により、階段の手すりやガラス窓に日除けを設置し、生活環境の改善に取り組んでいます。

【A10】A-2-(4)-① 利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の心身の状況に応じた機能訓練・生活訓練としては、法人のトランス・フィットネスや、ラジオ体操、散歩などを実施しています。トランス・フィットネスは、トラックにトレーニング用のマシンとツールを載せて事業所に来訪するもので、脳トレ、ストレッチ、トレーニング、骨盤体操、チェアピックスを中心としたプログラムからなっています。事業所では、その中からフィットネスマシンを借りて日常的に訓練に取り入れています。利用者の障害状況に応じて、専門職の理学療法士から助言・指導のもとに、利用者ごとの個別支援計画を策定し、関係職種が連携して機能訓練・生活訓練を行っています。また、理学療法士からは、嚥下や側彎症などのアドバイスも受けています。機能訓練・生活訓練については、活動日誌や連絡帳などをもとに、定期的ではありませんが一人ひとりの振り返りを行い、利用者の状況や意向に沿うよう個別支援計画を見直して取り組んでいます。

【A11】A-2-(5)-① 利用者の健康状態の把握と体調変化時の迅速な対応等を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

8月と3月に身長・体重・血圧・血液・胸部レントゲン・尿検査などの健康診断を実施しています。バウムクーヘンに関する作業に関わる利用者は、3ヶ月に1回検便を実施しています。健康診断の結果は、原本を利用者に渡し、事業所はコピーを保管しています。法人職員の医師が、2~3ヶ月ごとに定期巡回で事業所に来訪しています。医師は、職員から利用者の状況など確認するほか、連絡帳などを確認して、気になる場合は、利用者から話を聞き体調の変化などを確認しています。また、週1回のペースで法人の職員の看護師が、健康管理で来訪しています。職員は、医師や看護師から適宜、個別指導を受けています。利用者の体調が急変した場合は、家族からの事前指示に基づく対応、医師への相談、家族への連絡、救急搬送など、利用者の状態・症状などに応じて、個別に判断して迅速な対応を適切に行っています。

【A12】A-2-(5)-② 医療的な支援が適切な手順と安全管理体制のもとに提供されている。

【第三者評価結果:非該当】

非該当

【A13】A-2-(6)-① 利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者が地域の養護学校へ通う際や、業務委託会社に商品の納品に行く際に職員が同行するなど、利用者の社会参加の支援を行っています。レクリエーションでは、利用者が地域のスポーツに参加するなど社会参加を促しています。また、休日活動として、利用者が、初詣やドライブなどで外出できるよう支援しています。従来、利用者の社会参加の機会として、事業所内に屋台を開いたり、ゲームを行ったりする地域住民との交流イベントや、年1回宿泊旅行のイベントを開催していましたが、現在はコロナ禍で中止しています。コロナ禍で利用者の希望と意向を尊重した社会参加や学習のための支援が課題となっています。

【A14】A-2-(7)-① 利用者の希望と意向を尊重した地域生活への移行や地域生活のための支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の地域生活への移行に関しては、グループホームの空き状況や新設のグループホームの情報などを提供し、相談支援事業所とも連携しながら支援しています。グループホームに入所を希望する利用者には、体験として短期入所を勧め、初回は安心してもらえるよう職員も一緒に泊まり込んでいます。グループホームに入所する場合は、事業所での生活に関する情報をグループホームに提供し、現在の生活が継続できるように支援しています。所長は、利用者が入居したグループホーム(法人以外も含む)を訪問し、利用者の希望と意向を尊重した地域生活が送れるよう支援しています。グループホーム以外の移行も課題です。

【A15】A-2-(8)-① 利用者の家族等との連携・交流と家族支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

利用者の家族やグループホームとは、毎日の連絡帳を通じて情報共有を図っています。連絡帳には、利用者の一日の様子を記載するとともに、献立表やお知らせのプリントを挟んで渡しています。家族が、事業所に直接送迎の場合や、湘南台駅の送迎の場合など、送迎の際には、職員が家族に声を掛け、コミュニケーションをとっています。事業所では、利用者と年2回個別面談を行い、家族の要望や意見を聞く機会を設けているほか、常時相談は受け付けており、必要に応じて助言を行うなどの支援をしています。相談内容は、活動日誌に記録しています。事業所の状況などは、2ヶ月に1回程度発行する「お知らせ」に記載して案内しています。利用者の体調不良や急変時は状況に応じて対応していますが、家族等への報告・連絡ルールが明確になっていません。ルールの策定などが期待されます。

A-3 発達支援
【A16】A-3-(1)-① 子どもの障害の状況や発達過程等に応じた発達支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

A-4 就労支援
【A17】A-4-(1)-① 利用者の働く力や可能性を尊重した就労支援を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A18】A-4-(1)-② 利用者に応じて適切な仕事内容等となるように取組と配慮を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外

【A19】A-4-(1)-③ 職場開拓と就職活動の支援、定着支援等の取組や工夫を行っている。

【第三者評価結果:評価外(障害児支援、就労支援以外の福祉施設・事業所)】

評価外