社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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グループホームピースA

2021年04月27日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 グループホームピースA
評価対象種別サービス 共同生活援助
設立年月日 2005年12月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 特定非営利活動法人綾瀬あがむの会
③ 理念・基本方針 法人の理念
「地域で共に生きる」を理念に掲げています。

法人の名称「綾瀬あがむの会」の「あがむ」は、「あせらず」「がんばらず」「むりをせず」の頭文字からなっています。精神疾患の正しい理解を深め、精神保健福祉の増進を図る普及啓発活動、精神障がい者の社会復帰に関わる事業及び障害福祉サービスの利用に関する事業(ファミール)、精神障がい者の安定した生活を支援する事業(ピースA)等の運営に取り組んでいます。
④ 施設・事業所の特徴的な取組 ⑴  利用者が地域での安心した生活と社会参加ができるように支援しています 
職員は、自治会等と連携し、利用者が地域で安心して暮らすと同時に社会参加もできるように取り組んでいます。利用者は、自治会に参加して、地域住民との交流を図っています。職員は事業所や利用者をより理解してもらうため、自治会役員や民生委員の来訪時には、利用者とのコミュニケーションの場を提供しています。また、利用者は、美化キャンペーンや防災訓練、年末清掃、福祉まつり、餅つき大会等で社会参加を行っています。日頃散歩や買い物の際には地域住民と挨拶をかわし良好な関係を築いています。 

(2) 家庭菜園で野菜等を育てています
事業所の庭で家庭菜園を行っています。利用者が水やり等を行って、ほうれん草等の野菜を育てています。庭には、アジサイなどの花が時季折々に咲いています。また柿の木等も植わっています。野菜や花木の育つのを、実るのを直接に感じながら手をかけ育てています。収穫できた野菜や果実は、副菜として、おやつとして活用しています。利用者たちは、自分たちが育て、収穫できたことを話題にし、楽しみながら食しています。また庭は、綺麗に咲く花や木々を利用者各自の部屋からも、また共有のリビングからも眺められ、やすらげる環境の場所となっています。事業所は、やや高台に位置していて、富士山や大山、丹沢の山々の景観が望めます。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2020年10月21日
終了:2021年04月19日(評価結果確定日)
受審回数:3回(2015年度)
詳細評価PDF

⑥ 総評

特に評価の高い点 (1) 事業所からの自立生活に向け関係機関と連携しています
現在、事業所からの自立生活を目指している利用者がいます。職員は、利用者本人の希望の実現に向けて支援しています。主治医や訪問看護師の医療機関、行政、法人、地域関係者、職員で支援会議を開催する等の協力体制を構築し、利用者の自立に取り組んでいます。以前、自立して現在地域生活を送っている利用者の経験を参考にしながら、職員は、二人目の自立生活に向けて働きかけを行っています。

(2) コロナウイルス対策に取り組んでいます
コロナウイルスの感染予防のため、行政などから情報を収集し、ピースAで出来うる対策を最大限に努めています。利用者や職員は、手洗いやうがい、マスクの着用、検温、手指のアルコール消毒等を徹底しています。事業所内の各所のアルコール消毒、並びに不要不急の外出自粛、及び通院送迎・関係者以外の事業所内入室禁止等に取り組んでいます。また感染者が出た場合を想定し、応援体制の検討、並びに使い捨てゴム手袋、フェースシールド、防護服、ゴーグル、生活用品等を購入し、備蓄しています。引き続き感染予防策の徹底に取組む考えです。
改善を求められる点 (1)個別支援計画作成についての手順書の作成
個別支援計画や業務日誌等の様式・記録類については、整備されています。しかしサービス提供に関わる各種業務のマニュアル類の作成について、更に整備・充実が期待されます。個別支援計画については、一定の様式にもとづいて実施・記録されています。しかし、個別支援計画に関する手順書の作成については、職員間で共有した利用者支援を考慮するうえで、業務の標準化は必要と考えており、検討課題としています。また、サービス等利用計画書や日中活動の個別支援計画とホームでの共同生活の個別支援計画の支援に差が生ずる場合もあり、タイムリーな内容変更について検討課題としています。引き続き検討が期待されます。
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇努力、工夫していること

理念をホームページやリーフレット等によって、周知しています。「地域で共に生きる」を理念に掲げ精神障がい者が基本的人権を享有し、安心して暮らせる地域づくりを目指しています。また利用者や家族等の各方面に発信しています。

◇課題と考えていること

事業所の支援に関する基本方針を定め、理念にもとづく運営や目指す組織の将来像を明示していくことを考えています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇努力、工夫していること

法人の総会で事業計画や報告、運営方針等について図っています。これらの方針等を認識し、職員は、入居者の支援にあたっています。

◇課題と考えていること

組織全体の経営状況について、総会等で取り組みや方針を説明しているが、職員によっては説明不足と受け止めている職員もいます。組織全体で情報共有できる様に取り組んで行くことを考えています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇努力、工夫していること

事業計画を策定し、組織全体及び法人の会員や運営委員会等を通して周知を図っています。

◇課題と考えていること

組織の将来や中長期ビジョンの計画がなく将来像がつかめていません。組織としての将来の目標を掲げることが必要であり、明文化することが大事であると考えています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇努力、工夫していること

サービス等利用計画等は、相談員との連携が出来ており、定期的モニタリングによって、サービス管理責任者と一緒にサービスの状況等を確認できています。

◇課題と考えていること

福祉サービスの内容については、スタッフミーティングや役員会等に於いて、職員や関係機関、理事を含めて方針を検討しています。しかしPDCAサイクルのもとで取り組んでいるとは言い難い状況であると考えています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇努力、工夫していること

職員間のコミュニケーションを図るため、共同作業ツールである「チームス」等を利用し、スケジュール管理やリモート会議等を行い連絡を取りやすく改善しました。業務効率の向上に取り組みました。管理者は、法令順守の観点で経営に関する研修や勉強会に参加しています。

◇課題と考えていること

職務分掌について、文書化等が行われているとは言えないが、小規模事業所が取り組める工夫があると考えています。 
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇努力、工夫していること

小規模事業所であることもあって、人材の確保が難しいが、予算規模の範囲内で福祉に理解ある人材の確保について工夫・努力を重ねています。外部研修に関する情報提供を行い、参加を推奨しています。

◇課題と考えていること

人材育成については、人材育成プログラムにもとづいて継続的に行うことが難しいと考えています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇努力、工夫していること

法人の「綾瀬あがむの会通信」に活動状況や事業計画、予算決算等を掲載して、会員や利用者、関係機関に情報を発信、またホームページで活動内容について啓発を行いました。第三者評価も3回目を受審しました。

◇課題と考えていること

事業も次第に増えていますので、外部の専門家による監査や相談できる体制を検討する必要性があると認識しています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇努力、工夫していること

地域防災計訓練や環境美化キャンペーン等の地域行事を優先して事業所一丸となって参加しています。また地域の方が事業所に出入りしやすい雰囲気を職員一人ひとりが努めています。地区社協の役員を管理者が担っています。福祉関係の相談窓口の紹介並びに、地区社協の事業に助言や専門的な情報を地域に還元しています。

◇課題と考えていること

コロナウイルス感染症予防のために地域行事に参加できない状況です。地域の方々と顔の見える関係を築いてきましたが、交流できない状況が長期化しています。事業所の取り組み等について情報の伝え方を検討した方がよいと考えています。「綾瀬あがむの会通信」等の送付先について、更に送付先を拡げる必要があるか考えています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇努力、工夫していること

プライバシーの保護につては、「個人情報の提供にかかわる同意書」を交わしています。個人情報の提供は、必要最低限とし、サービス提供に関わる目的以外に利用しないことを明記しています。権利擁護及び虐待防止については、組織における研修やミーティング、外部研修等を通して認識を深めています。

◇課題と考えていること

業務の基本となる支援に関する倫理行動マニュアルや支援マニュアルの整備が必要と考えています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇努力、工夫していること

事業所利用希望者へは、環境・生活・費用などを丁寧に説明し、体験入居をしていただいています。契約時に事業所のサービス提供の内容等について、パンフレットや利用契約書、重要事項説明書等を用いて、本人や家族等へわかりやすく説明し、最終的には、本人の自己決定を尊重して契約を行っています。

◇課題と考えていること

意見を言える入居者となかなか言えない入居者がいますが、特性や個性を理解し、面談等では、時間をかけて気持ちをくみ取るようにしています。個別支援会議で調整を図り、本人の自己決定や生活に関する要望を丁寧に応えるように取り組んでいます。しかしその対応までの過程に時間がかかりすぎる場合があります。 
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇努力、工夫していること

利用者の生活上の改善点や要望などを利用者満足の向上のために、毎週水曜日にメンバーミーティング(利用者と職員)を開催しています。最近では食事に関しての希望(ご飯の量、みそ汁の味等)や入浴時間などについて話し合っています。最近は、コロナ対策のために食事を全員一斉ではなく2組に分かれ、時間をずらして行うことにしました。

◇課題と考えていること

要望や気持ちをメモ書きにして事務所に届けてくれる入居者もいるが、意見箱の設置に至っていません。利用者満足度調査について、今後行うことも検討したいと考えています。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇努力、工夫していること

水曜日のメンバーミーティングで利用者の意見を吸い上げた中で、緊急性のある内容は、その都度事務室で詳細に協議し、対応しています。また事務室のドアを閉めないようにして、利用者が出入りしやすいようにしています。職員と気軽に話しやすい雰囲気を大切にしています。

◇課題と考えていること

メンバーミーティングの内容について、事業所内の取り組みや、調整事項、確認事項、並びに入居者の一人ひとりの用事や動向に関する報告もあって、話題が盛り沢山になることもしばしばあります。報告事項が中心になりがちなので、話し合いが楽しくなる工夫が必要と考えています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇努力、工夫していること

スタッフ全体研修等で緊急対応マニュアルの読み込みを行う等、緊急時の対応について職員間で確認・共有を行っています。新型コロナウイルスに罹患した場合の支援のフローチャートの整理に取り組んでいます。事故防止の観点から、ホワイトボードに各入居者の一日の活動を記録・把握して見守りができるようにしています。

◇課題と考えていること

夜間等は、職員不在の事業所の支援体制で、夜間等の対応が緊急電話を携帯する管理者1人体制となっており、手薄感が否めません。大規模災害時や新型コロナウイルス等のクラスタ―が発生した場合の事業所全体の支援や緊急支援体制の人的支援体制の整備が必要と考えています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇努力、工夫していること

利用者の日々の情報はグループホームと地域活動支援センターの間でパスワード管理のもとデータ共有を行っています。それにより、職員は利用者に、よりきめ細かい支援ができています。事業所内では職員間で詳細メモによる申し送りも行い利用者に対し目配り気配りに努めています。

◇課題と考えていること

現在事業所では、業務に関する一連の流れを記した業務マニュアルの作成を行っていない状況にあります。職員間で共有した利用者支援を考慮する上では、職員の関連業務の標準化は必要と考えており、マニュアル作成が課題となっています。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇努力、工夫していること

利用者、家族からの基本情報や意向を確認し個別支援計画を作成しています。事業所ではその計画に基づいて支援を行っています。見直し時にはモニタリングを行い、掲げた目標に対する利用者の考え等をケース会議で検討しています。状況変化により支援内容の変更には随時対応しています。

◇課題と考えていること

計画相談支援事業所で作成されたサービス等利用計画とピースAで作成した個別支援計画の内容に差がある場合があります。両事業所で話し合い、整合性を図る必要がありますが、現状では状況に追いついていないため課題となっています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇努力、工夫していること

日々の記録はデータ管理された業務日誌に記載しています。緊急時には電話等で管理者に連絡した後、迅速に対応し詳細は業務日誌や個人ファイルに記載しています。業務日誌等の記録は会議でも報告され職員間で共有しています。

◇課題と考えていること

随時、連絡や報告を受けて状況を把握しています。また、業務日誌をデータ共有していることから効率化を行ってきました。一方で職員の記録に割く時間や事務量が多くなっており、入力方法の改善など工夫が必要と考えています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇努力、工夫していること

日常生活でのいろいろな決め事は、基本的に利用者本人が決定しています。時によって、利用者からの相談を受けることがあります。その際には利用者の意向に沿った解決方法をアドバイスしていますが、「最後に決めるのは自分自身である」。と伝えるようにしています。また、水曜日に利用者が行う「メンバーミーティング」で決定した事項は、メンバー全員で守るようにしています。

◇課題と考えていること

障害特性により意思疎通が困難な場合があるため、職員は、利用者一人ひとりの特性を把握していくことが必要となっています。利用者の身体的、精神的状況に合わせて、「自己決定、自己責任、権利要求」等に関しては利用者にできるだけ分かり易い説明を行っていくことが大切と考えています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇努力、工夫していること

権利擁護に関しては、職員は契約時に重要事項説明書の中で「権利を擁護するための苦情申し立ての仕組み」について利用者、家族に説明しています。また、職員は積極的に倫理行動や苦情処理、虐待防止に関する研修に参加し自己研鑽に努めています。研修で学んだ事は報告書を作成し、職員会議等で共有しています。事業所内ではプライバシーにも配慮し、個人面談は相談内容が漏れることが無いように事務室を使用する等心がけています。

◇課題と考えていること

昨年度までは利用者の外出に関しては、リスク管理の面から「いつ」「何処へ」は確認していたが、「誰と」までは聞くことを行っていませんでした。しかし、本年度はコロナ禍の影響もあり、利用者の外出に一定の制限を講じることが必要になっています。権利侵害を考慮しつつ、感染症対策について、利用者に説明をして理解を得られるようにしていくことが課題となっています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇努力、工夫していること

事業所では、ほとんどの利用者が入浴、食事、衛生面、清掃、洗濯、外出といった日常生活に関しては自立している状況にあります。そのため職員は、できない部分の支援と見守ることを支援の基本と考えています。特に職員は、利用者が事業所での共同生活や日中活動先での悩みや相談を聞く事を大切にしています。周囲の人との関わり方や自分の思いの表現方法等を助言する等、利用者と一緒に解決方法を考えています。

◇課題と考えていること

職員は利用者からの悩みや相談を受け入れ、解決を図るように支援しています。しかし、利用者は一人ひとり異なる障害特性があるため、利用者同士の相互理解を得ることが困難な場合が多くあります。今後は職員間でのチーム支援を行うため、個別対応を考慮した支援マニュアルの作成が必要と考えます。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇努力、工夫していること

食事は献立表を事前に貼りだして利用者にメニューを伝えています。弁当の提供もありますが、調理員が手作りを行う場合は、利用者と談笑しながら食事作りをしています。庭には家庭菜園があり、季節の野菜を収穫して食事の副菜に利用しています。また、本年度はコロナ禍の影響で外出ができにくい状況にあります。利用者の気分転換を図るため月に1回はレクリエーション活動としておやつ作りを行っています。

◇課題と考えていること

利用者の高齢化の影響もあり、体調に応じた支援方法が必要になっています。職員は利用者一人ひとりの状況に合わせた支援方法を心がけていますが、今後はコロナ禍の影響も配慮し、身体的、精神的変化を考慮した関係機関との連携が必要と考えています。
A-2-(3)生活環境

◇努力、工夫していること

事業所の建物は2階建てで周りを木々に囲まれ、自然豊かな環境にあります。居室は南向きになっており、トイレ、洗面台、ミニキッチン、クローゼットが設置されています。居室ごとにプライバシーに配慮し鍵を掛けてあります。職員は利用者と協力して、特にコロナ禍の影響もあり、所内の清掃、衛生管理を徹底して行っています。ゴミの処分や資源ごみについては利用者間の話し合いで当番を決めています。

◇課題と考えていること

事業所は建築から10年以上経過し、老朽化が目立ち始めています。職員は建物の維持管理に時間を要してしまい、本来の利用者支援や対応が後手に回ることもあります。住環境の調整、維持管理に課題があります。

A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇努力、工夫していること

事業所の利用者は日常生活活動に関してはほぼ自立しています。そのため自立度を高めて、生活行動や体力を維持向上する目的で土曜日、日曜日の食事提供を行わないようにしています。利用者は自身で食事メニューを考え、食材の購入をすることになっています。職員は利用者からの相談にはその都度関与して、品物の購入の際にはサイズやコスト面についての助言を行っています。

◇課題と考えていること

最近は利用者の高齢化が見られ、その対応や対策が必要になっていきています。高齢な利用者からの要望があり、コロナ禍等の長期休日の際には弁当の配食を検討しました。今後は高齢な利用者への対応と同時に、地域での生活を希望している利用者に対しても適切なサービスを提供していく必要があります。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇努力、工夫していること

毎日朝夕に検温を行い、週に1回は血圧測定を実施しています。その結果は健康記録票に記録しています。利用者によっては個別支援計画で訪問看護支援の必要性がある場合は、訪問看護ステーションの看護師が来所しています。その際は健康状態のアセスメント、服薬管理、心理面の支援、医療面の相談や助言を受けています。また、事業所としては利用者に市の特定検診やがん検診を受診するように勧めています。

◇課題と考えていること

利用者によっては障害特性により主治医に本人の健康状態を正確に伝えることができないことがあります。特に症状が急変した場合にはすぐに情報を把握することが困難でかつ、また服薬の変更等の情報を正確に入手していないこともあります。本人からの依頼や医療機関からの同行依頼の際は職員が対応していますが、今後は事業所自体の「かかりつけ医」が必要と考えています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇努力、工夫していること

本年度はコロナ禍の影響で地域の行事は中止の状況になっています。昨年度は寺尾南自治会では美化キャンペーンや防災訓練、年末清掃に参加しています。特に11月に開催された餅つき大会では「いろいろな種類のつきたて餅をたべることができた」、と利用者に好評でした。また、地区社協主催の「寺尾南地区社協福祉まつり」に参加し、「ピースぼっくり」の飾りをみんなで作り販売し完売しています。

◇課題と考えていること

利用者の高齢化や体調面の変化の影響もあり、社会参加には個人差があります。今後は一層高齢化が予想されていますので、利用者一人ひとりの状況を考慮して情報提供を行っていく必要があると考えています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇努力、工夫していること

事業所から自立し地域の中で生活をしている利用者がいます。まず、利用者本人の希望を汲み取り、行政や法人内の他事業所、主治医・訪問看護師等の医療機関、職員が会議を重ねることで希望を反映しています。その際、地域の社会資源を活用し、支援者を含めた協力体制を構築することができています。現在もその利用者には、継続した支援を行い、事業所の行事にも参加する等良好な関係を築いています。

◇課題と考えていること

現在も利用者の単身生活の希望があり、その思いを実現する為に準備を行っています。職員は、支援者や関係機関等の関わりや支援が引き続き必要であると考えています。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇努力、工夫していること

利用者の家族には法人が作成している広報誌「NPO綾瀬あがむの会通信」を送付しています。この広報誌では法人内での取り組みについて情報を家族に提供しています。9月号では事業所内での花火大会の写真が掲載され、利用者が花火を楽しんでいる様子が報告されています。また、12月号では11月に開催された地域活動支援センター主催の「野菜・自主製品即売会」で利用者が手作りした「クリスマスぼっくり」を販売している様子が載っています。

◇課題と考えていること

利用者の高齢化に伴い、家族がいない利用者や家族が高齢になり体調面の変化により、連携、交流が困難な利用者もおります。利用者一人ひとりの家庭環境を把握した上での対応が必要になっています。

その他特記事項:第三者評価機関として今後、特に課題として取り組みを期待したい事項

評価対象 第三者評価機関からのコメント
分類 理念に基づく基本方針の策定
「地域で共に生きる」という法人の理念を実現するための、基本的な姿勢や考え方を示す基本方針の策定が望まれます。どういう考え方や方向性で理念を実現するのかを基本方針によって明確にし、それをもとに中長期計画・単年度計画を策定することによって、各計画がより具体的な行動指針となります。
分類 中長期計画の策定
単年度計画については、一定の手順のもとに策定され、職員及び各方面に周知されています。また着実な実施に取り組んでいます。更に今後は、理念や目標等の実現に向けて中長期計画の策定について考えています。引き続き検討が期待されます。
分類 標準的な支援方法のマニュアル化
事業所では個々のマニュアルがありますが、業務の流れを記した業務マニュアルがありません。職員間で共有した利用者支援を考慮する上では、職員の関連業務の標準化は必要と考えており、マニュアル作成が期待されます。
利用者調査の結果
①ヒアリング調査(本人) <ヒアリング対象者>
利用者本人 2 名(男性 1名、 女性 1名)

<ヒアリング方法>
職員事務室に於いて行いました。調査員と利用者1人ひとりと面談しました。

<調査結果の意見>
利用者2名からは、次のとおり事業所や職員への概ね好意的な意見が聞かれました。
① 職員に話しやすいです。丁寧に話してくれます。几帳面な職員もいます。
② ノックしてから入る。前もって部屋へ行くことを言ってくれる。
③ 希望を聞いてくれます。ご飯の量をすぐに希望どおり対応してくれた。食事は、大勢でした方が好きです(現在は、2班に分かれて、時間をずらして、少人数で食事しています)。自分で食事を作れないので、助かっています。
④ 面談があります。計画シートを受け取って持っています。
⑤ お金を預かってもらっていません。自分で管理しています。
⑥ 相談には、すぐに応じてくれます。
⑦ 日中活動事業所の職員に相談ができます。母と相談できます。
⑧ 職員は、具合が悪い時、すぐに対応してくれる。今のところ元気です。
 訪問看護師さんが来てくれることになっている。
⑨ 外出は、自由にできます。今は、自粛中です。ボードに行き先と帰りの予定時間を書いて出かけます。
⑩ 楽しく過ごしています。
評価後(評価結果を受け取った後)のグループホーム「コメント」
当法人としては、三度目の受審でした。評価機関から第三者評価について説明を受けた直後に、ホームスタッフから「法人の基本方針や職員行動規範の創生を意識した受審を目指して、法人の組織全体で第三者評価に取り組みたい」と申し出がありました。内部から法人組織全体を意識した申し出があったことがとても嬉しく、未来の組織につながる良い効果や手応えある受審となるに違いないと思いました。
一方でシフト制による勤務のため、組織内の全職員が集まる時間の調整をすることの大変さに加えて新型コロナウイルス予防の対応対策と体制の確認、入居者や職員の体調管理やBCP(業務継続計画)対策の並行業務で、全員が日々緊張の連続でした。さらに今回は、評価項目が367項目にボリュームアップされて、スタッフ間で一言一句に共通認識を図ったため、振り返りの自己評価を行うミーティングでは、言葉の確認等で議論になり相当時間がかかりました。そのため受審して報告が出るまでのスケジュールの見立てが甘く報告書を上げる時期が迫ってしまったことは、管理者としての反省点です。とはいえ、時間をかけて自己評価したことが、職員それぞれの考えや価値観の擦り合わせの場になり、価値ある有意義な時間でした。バージョンアップされた自己評価の項目については、相当大変ではありましたが、組織の指針を考える機会になり、たくさんの自己評価の項目が「考える糸口」を与えてくれ、法人の将来像や方針について希望が確信に変わりました。そして改めて第三者評価受審がもたらした、たくさんの恵みに感謝しています。
第三者評価機関とは、過去から未来へとヒアリングの場面でたくさんの価値を共有しました。共に立場を超えて意見を交換し相互に影響し会える同志であり、出会いや瞬間が「一期一会」であり地域づくりです。その真摯な姿勢に感謝したいと思います。