社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 評価結果検索サイト

ストロベリーハイツ

2023年02月20日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細

評価結果報告書

評価機関名 株式会社フィールズ
評価対象事業所名 ストロベリーハイツ
評価対象種別サービス 共同生活援助(障害者グループホーム)
設立年月日 2007年10月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人県央福祉会
③ 理念・基本方針 <法人の理念>
1. ソーシャルインクルージョンを目指します。
2. 先駆的で開発的な事業を展開します。
<法人の基本方針>
1.人権の尊重とサービスの向上をはかります。
2.インフォームドコンセント及びエンパワーメントを大切にした利用者さん主体の支援を推進します。
3.地域との共生を目指します。
4.ニーズの多様化と複雑化に対応します。
5.社会のルールを遵守します。
6.説明責任を徹底します。
7.人材の確保・育成のための研修体制を充実します。
8.柔軟で行動力のある組織統治を徹底します。
9.財務基盤の安定化に努めます。
10.国際化への対応に取り組みます。
11.社会貢献活動に取り組みます。

法人の理念・方針をもとに活動し、グループホームの役割を突き詰めます。皆さんのお家として安らげるアットホームなホームを目指しています。
④ 施設・事業所の特徴的な取組  利用者さんの自己決定を尊重する支援を心がけています。具体的な所だと、休日のガイドヘルプの予定決めなど、月1~2回、30分程度、職員との話し合いの時間を設け、ご本人の意志が表現できるよう配慮しています。一人暮らしを目指している方については、金銭管理を中心に、一人暮らしに必用なスキルのトレーニングを意識した支援を行っています。また、利用者の半数が後見人の支援を受けているので、後見人との意思疎通も良いのが特色と言えるかも知れません。
 就労されている方や、自力で通所されている方には、駅から徒歩1分の交通アクセスの良さがアピールポイントのひとつです。また、話し好きな職員が多く明るい雰囲気であること。一人暮らしに向けて、日々挑戦を続けている利用者さんもいます。「無理」と諦めていたことも、再度挑戦できる雰囲気があることです。
 課題として、主婦層が多く、アットホームな雰囲気ですが、PC業務に苦手意識があったり、限定的な仕事意識があったりと、職員によって意識のムラを感じます。PC業務などは限られた職員しか取り組めないこともあり、使える記録作成、スムーズな事務処理など課題となっています。
⑤ 第三者評価の受審状況 開始:2022年05月16日
終了:2023年01月20日(評価結果確定日)
受審回数:2回(2019年度)
⑥ 総評
◇ 特長や今後期待される点
1)利用者の持てる力を引き出し、自立支援を図っています
利用者個々の特性を理解し、それぞれの能力に応じた支援を行っています。日常生活の中でも、職員に依頼しがちな事項に対して、まずは自分でやってみるように声をかけ、できないことは一緒に行うという姿勢で対応しています。上手くできなくても諦めず、失敗を恐れず体験することの大切さを伝えて支援しています。利用者用の調理室を設けて、休日は自分で食事作りができるよう支援しています。利用者一人ひとりの自己決定・自立支援に向け取り組んでいます。
2)法人の基本方針に沿った利用者支援を行っています 
アットホームな雰囲気のなか、法人の基本方針「人権の尊重とサービスの向上を図ります」を目指して支援しています。常に障害者グループホームの目的・方針に立ち返り、支援の提供を行っています。利用者一人ひとりの暮らしを尊重し、個々のペースで生活ができていることが利用者から評価されています。職員が連携し、利用者の声を受け止めて日常生活を支援しています。
3)マニュアル類を整備して記録方法の標準化が期待されます
マニュアル類の整備が十分でなく、定期的な見直し、改訂が行われていません。記録がパソコンであり、マニュアルが無いため担当者が一部の職員に偏っています。必要な情報共有が出来ず、記録内容が次の支援計画書つながらないこともあります。マニュアルを整備。周知して、記録方法の課題解決が期待されます。
⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント この度は貴重な評価を頂きありがとうございました。
支援度が高い利用者さんを受け入れていること、利用者さんとのコミュニケーションに重きを置いていた事を評価いただいたことで、自分たちの目指すものの裏付けを頂き、自信にもつながったと思います。
また、事業所の課題であるものもご指摘に上がったところから再度確認できました。十分に話し合い改善に向けての一歩を踏み出したいと思います。
今回は新型コロナウイルスの影響で、訪問調査や利用者さんへの聞き取りなどが十分に実施できず、まだまだ改善の余地がある部分をお伝えできていないところです。いただいた意見をもとにより充実した事業所運営、利用者さん支援に還元していきたいと思います。この度は誠にありがとうございました。
詳細評価PDF
Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織
Ⅰ-1 理念・基本方針

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

法人の理念、基本方針が適切に明文化されています。年度初めや変更のあった時期の会議で確認するなどで職員への周知が図られています。利用者や家族等への周知は書類を渡すにとどまり、家族会等での周知方法が課題となっています。
Ⅰ-2 経営状況の把握

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

事業経営を取りまく環境と経営状況が的確に把握・分析されています。経営環境と経営状況の把握・分析に基づき経営課題を明確にし、具体的な取組を進めています。
Ⅰ-3 事業計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

法人のマスタープランを受けて、事業所の年度別の事業計画書を作成しています。目的、方針、今年度の重点目標、事業所としての取組などを明示し、運営しています。利用者や職員への周知を課題と考えています。
Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

定められた評価基準にもとづいて、年に1回以上自己評価を行うとともに、第三者評価を定期的に受審しています。定例会議で日々の支援などの練り直しを行っています。記録作成者が一部のため、全員による情報共有が課題となっています。
Ⅱ 組織の運営管理
Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

所長は「利用者と職員を守る」を基本に業務にあたっています。利用者との日常会話を大事にし、相談しやすい相手を目指して事業所運営を行っています。
Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

人材の確保が困難な状況ですが、事業所は非常勤職員の採用に募集広告の掲載などの工夫をしています。職員の育成はOJT中心で行い、職員の個性を考え、言葉やペースに配慮して
指導育成にあたっています。
Ⅱ-3 運営の透明性の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

ホームページ等の活用により、法人の理念や基本方針、提供する福祉サービスの内容、事業計画、事業報告、予算、決算情報が適切に公開されています。第三者評価の受審結果、苦情・相談の体制や内容にもとづく改善、対応の状況について公表しています。
Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

自治会に加入しています。コロナ禍の影響で地域清掃活動などへの参加は控えています。ガイドヘルプや外出支援ボランティアの支援を受けています。

Ⅲ 適切な福祉サービスの実施

Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
Ⅲ-1-(1)利用者を尊重する姿勢の明示

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

法人の理念や基本方針、倫理綱領、運営規程、契約書などには基本的姿勢として利用者尊重の姿勢を明示しています。人権委員会を開催し、会議毎にサービス実施の確認、個人情報保護法・身体拘束・虐待防止などの研修で利用者の人権を守る重要性を確認しています。職員都合の支援にならないよう、利用者を尊重する姿勢の理解に努めています。
Ⅲ-1-(2)福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

契約書や重要事項説明書に福祉サービスの提供内容についてルビを振り、詳細に記載し、読み合わせによる説明を行い、同意を得てサービスを提供しています。説明時はわかりやすい言葉に変え、事例を掲げながら説明しています。利用者・家族が納得して、同意を得られるように取り組んでいます。提供サービスの内容の変更時は、その都度説明し、理解を得ています。
Ⅲ-1-(3)利用者満足の向上

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

具体的なアンケートでの聞き取りは、第三者評価の利用者調査のみです。サービス内容、職員の支援の仕方や希望などは、日々の会話の中から聞き取りをしています。ペーパーによる調査は文章内容の理解が困難で、職員が仲介し、本音が引き出せるかとの疑問があり実施には至っていません。今後は、楽しい、嫌、好きなどで返答できる、短く簡単な質問調査なら取り組めるか検討中です。
Ⅲ-1-(4)利用者が意見等を述べやすい体制の確保

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

利用者は自身の仕事のこと、私的なことなど相談内容により、相談しやすい職員を選び相談をしています。利用者が意見を述べやすいように職員がそれぞれ違う役割を担い、良好な関係性を築けるように取り組んでいます。他者に配慮して相談室や居室での聞き取りを行っています。
Ⅲ-1-(5)安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

危機管理委員会を開催しています。事故防止、感染症防止、災害防止など各リスクのマニュアルを作成しています。会議では訓練実施の反省や事故報告書の再発防止策など、サービス提供の方法を見直していますが、職員へのフィードバックが課題と考えています。コロナ感染では、法人と連携し、迅速な対応で拡大を防止できています。緊急時フローチャートや利用者個別の緊急対応を事務所内に掲示しています。
Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
Ⅲ-2-(1)提供する福祉サービスの標準的な実施方法の確立

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

サービスの標準的な実施方法は、重要事項説明書に詳細に記載しています。職員用に業務マニュアルを作成しています。入職時に説明し、支援会議では随時話し合い、担当者が更新をしています。マニュアルには利用者の権利やプライバシーの配慮を含め、利用者ごと個別に時系列にサービス内容を記載しています。職員の実施状況に問題が生じた時は会議で検討し、個人でなく全体として適切な実施に向けて取り組んでいます。
Ⅲ-2-(2)適切なアセスメントによる福祉サービス実施計画の策定

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

基礎情報シート、入所後の生活状況、日々の記録「日別記録」、業務日誌などからアセスメントをしています。健康状況、日常生活動作(ADL)、地域資源(エコマップ)、経済状況、生活歴、希望する生活など多方面からアセスメントしています。入所後は2ヶ月後、その後6ヶ月ごとにモニタリングして再アセスメントし、個別支援計画書を策定しています。
Ⅲ-2-(3)福祉サービス実施の適切な記録

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

サービスの実施の記録はPCの「日別記録」日中・夕方・夜間別に、時系列に実施内容と利用者の状況を記録しています。計画書に沿ったサービスの提供状況はPCの「サービス提供実績表」に記録しています。記録がPC入力、記録者の限定、偏りや時系列の記録であり、計画書のサービス提供内容が適切なアセスメントに繋げられるような記録の改善や、全員が記録できることが課題となっています。
A-1 利用者の尊重と権利擁護
A-1-(1)自己決定の尊重

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

職員は月1~2回30分位、個々に合わせて話し方を工夫し、意見の抽出をしています。入浴時間や回数、食事時間や食事内容、外出や買い物の機会など、利用者自身が決定しています。決定事項は表などで共有を図っています。利用者自身の意思決定が困難な場合は、クローズドクエスチョンや本人が選択しやすいよう具体的提示、情報提供、利用者自分が内容調査などして自己選択・自己決定できるように支援しています。
A-1-(2)権利侵害の防止等

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

権利侵害の防止として、身体拘束廃止委員会、虐待防止委員会を毎月開催しています。コロナ禍で研修を実施できていませんが、例年は毎年実施し、防止に取り組んでいます。今年度の重点目標に「人権尊重と権利擁護」を掲げ、定例会議で権利侵害の根拠の確認と人格の尊重及び基本に立ち返ることを話し合い、共有し、実施に取り組んでいます。「虐待の芽のチェックリスト」を実施し、職員は自己の支援の振り返りをしています。
A-2 生活支援
A-2-(1)支援の基本

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

支援の基本として個々の意思及び人権を尊重し、地域で自立生活を送れるよう支援しています。ホームの生活での支援の基本姿勢は、重要事項説明書に詳細に記載しています。利用者自身の希望する支援を聞き取り、持てる力を生かし、出来ないところを支援するようにして、声かけや見守りで自立生活の向上が図れるよう取り組んでいます。社会資源の情報提供、利用や関係機関と連携しています。
A-2-(2)日常的な生活支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

日常生活の支援は、個々の希望や状況、自立化と個別化を目指した支援をしています。食事は、好き嫌いや体調に配慮した食事の提供や誕生日メニューやカレーの日など利用者の意見を取り入れています。希望の席や出勤・帰宅時間に合わせた食事の提供をしています。個々の入浴時間や曜日に応じてお湯を張り、適温調整をしています。排泄では失禁時は人目につかぬよう対応に配慮しています。
A-2-(3)生活環境

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

設備や居室の修繕や整理整頓、温度管理を適宜行い、安全・快適な環境を図っています。壁の剥がれ修繕、LEDへの切り替え、水回りの改善などを実施しています。共有部分の清掃は確認チェックし、清潔保持に努めています。担当職員のみならず、気が付いた人が行う習慣ができています。居室は利用者の意向に応じ、掃除の手伝いや本人が行い、また好みの家具や飾りつけなど過ごしやすい環境となっています。
A-2-(4)機能訓練・生活訓練

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

個別支援計画をもとに、能力、目標に沿って散歩やガイドヘルパー利用の外出、地域のプールの利用などをしています。利用者の希望することを無理と決めつけず、可能な限り実現できるよう調整し、利用者自身も挑戦するように支援しています。毎日の日課を自力でこなすことが生活訓練となるので、職員に頼りがちな事でも、自ら取り組むよう声かけしています。コロナ禍で訪問リハビリや地域の機能訓練の活用は中止しています。
A-2-(5)健康管理・医療的な支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

コロナ感染予防で毎日検温・消毒を実施しています。巡回看護師が月1度訪問し健康チェックや健康相談を行い、必要に応じて受診に繋げています。腎臓疾患の利用者は訪問診療や訪問看護師が健康チェックや膀胱洗浄などを行い、職員と連携しています。職員は日々目視で健康状態を確認し、必要時にバイタルチェックをしています。個別疾患対応マニュアルを作成し、障害に応じた健康管理をしています。家族との緊急時対応の同意などの必要性を感じています。
A-2-(6)社会参加、学習支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

今年度はコロナ禍により、社会参加、学習支援は積極的に取り組めていません。その中で地域の水泳大会に参加し、記録の挑戦やスポーツ講座への参加などをしている利用者もいます。映画の情報は利用者が自ら集め、ホーム内に掲示しています。
A-2-(7)地域生活への移行と地域生活の支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

独立して地域での一人暮らし、入寮を希望している方がいます。移行にあたり金銭管理の指導や買い物、通院、役所などの外出の付き添い、日常の日課を理解し自立してこなすなど、自分で行動ができるように支援しています。成年後見制度や日常生活自立支援事業の利用も指導しています。現在、地域移行の支援を経験した職員が異動し、新たな担当職員の育成に取り組んでいます。
A-2-(8)家族等との連携・交流と家族支援

◇取組の状況(努力・工夫していること、課題と考えている事)

家族に連絡をする際は、必ず利用者の意向、連絡の了承を得ています。コロナ禍で未実施ですが、例年は年1回家族懇談会を実施し、利用者の生活状況、金銭管理、利用料金、事故報告など日々の取組を報告していました。毎月家族には施設での様子、変更事項、通所事業所との連絡帳内容などを報告し、家族が利用者を迎える時は直接口頭で伝えています。高齢化する家族の相談・支援にも取り組んでいます。

評価後のコメント<別紙3>

利用者調査概要 利用者調査総合結果
利用者総数:12名
アンケート調査対象:12名
ヒアリング調査対象:2名
①  アンケートで評価の高い内容と%
・グループホームでは自分のペースで過ごしていますか(90.9%) 
・グループホーム内で悩みを聞いてもらったり、相談できるひとはいますか(81.8%)


②  アンケートで評価の低い内容と%
・あなたは自分のお金がどのくらいたまっているか知っていますか(27.3%)

③ 調査全体でとらえた利用者の状況
 (障害特性や利用者の背景や表情等も含め記述)
利用者の意向に沿った支援で、肯定的な意見が60パーセントを超えており、ホームでの生活を楽しんでいる様子が伺える。相談できる人もホームにおり、安心して生活をしている。地域で自立に向けた訓練を受け、自活したい意向が伝わってきます。