社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会

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ティンクル上野川保育園

2022年03月25日公開
評価結果報告書 第三者評価詳細
① 第三者評価機関名
第三者評価機関名 株式会社フィールズ

② 施設・事業所情報
名称 ティンクル上野川保育園 評価対象サービス 2021 保育所版
対象分野 認可保育所 定員 50(52名) 名
所在地 216-0044
川崎市宮前区西野川2-37-13 
TEL 044-752-2868 ホームページ http://www.seisa.or.jp
【施設・事業所の概要】
開設年月日 2010年04月01日
経営法人・設置主体(法人名等) 社会福祉法人 星槎
職員数
常勤職員:12 名
非常勤職員:3 名
専門職員
保育士:13 名
栄養士:1 名
調理師:1 名
施設・設備の概要
保育室:2
トイレ:1カ所
調理室:1
事務室:1
園庭:なし

③ 理念・基本方針
<理念>
・人を認める、人を排除しない、仲間をつくる

<保育方針>
保育所保育指針を基本とし、園児一人ひとりの育ち、多様化する子育て事情に柔軟に対応するとともに、育ちの連続性を重視していきます。
また、地域に開かれた社会資源として、「社会福祉法人」「学校法人」の有する専門的機能を近隣の方々が活用できる施設とします。

<保育目標>
・心身共に健康なこども、誰にでも思いやりを持てるこども、感謝の気持ちを持てるこども、自主性、自発性のあるこども、何事にも意欲的に取り組めるこども、創造性のあるこども、生命の大切さを知るこども

④ 施設・事業所の特徴的な取組
・戸外活動
 近くの公園や畑など季節を肌で感じることができる緑豊かな自然環境を生かし、1年を通して各年齢に応じて様々な場所への散歩、また、同法人の野川南台保育園、ティンクルくぬぎ坂保育園の園庭などを利用しての木登りやクライミングウォールなど体全体を使っての遊びや、砂、水、泥んこなどの自然に触れたダイナミックな遊びを十分に取り入れ、運動機能の発達や豊かな感性を育てていきます。

・室内活動
 定員50名の小さな保育園ですので、家庭的な雰囲気を大切にしながら、1歳児から6歳児までお友だちとごっこ遊びなどを楽しむ中で、言葉の獲得を促し、思いやりの心を育てていきます。
 また、様々な道具、素材を使っての絵画製作、うたや音楽あそびなど、それぞれの年齢に応じた活動を日々取り入れこどもたちの創造性を広げています。

⑤ 第三者評価の受審状況
評価実施期間 2021/06/01(契約日) ~2022/03/04(評価結果確定日)
受審回数(前回の受審時期) 1 回(2013年度)

⑥総評
特に評価の高い点 1)地域の環境を活用した戸外活動を展開しています

園には園庭がありませんが、子どもたちは毎日の戸外活動を通して思い切り体を動かして運動機能の発達や豊かな感性を育んでいます。毎日の散歩コースには安心して遊べる自然環境豊かな公園が多くあり、子どもたちの五感を刺激しています。畑での収穫の体験は、子どもたちの食材への関心を高める取組の一環になっています。近隣には、同一法人が運営する保育園があり、その園庭を利用して、木登りやクライミングウォールにチャレンジしたり、どろんこあそびに興じたりしています。

2)美味しく、楽しく食べられる食事提供をしています

栄養士、調理師を配置して、作りたての美味しい食事を提供しています。栄養士は、定期的に保育士と食事内容について意見交換をしたり、子どもたちの食事の様子を観察して、子どもたちが美味しく食べられる調理を心がけています。魚の臭みをとる下処理の工夫をしたり、食材の切り方を改善するなど、子どもの食べやすさに配慮しています。保育士は、食の進まない子には、「これ、おいしいよ」「一口だけ頑張ってみようか」など声かけをして、子どもの苦手な食材も慣れてもらえるように励ましています。幼児クラスでは、一人ひとりの適量を盛り付けて完食の達成感を味わえるようにしています。足りない子どもには、おかわりができるよう十分な量を用意しています。

3)異年齢保育と職員のチームワークを強みとしています

保育室はワンフロアを2部屋に区切り、1・2歳児と3・4・5歳児が各部屋を合同で使用しています。クラスごとの活動は更にロッカーでスペースを区切り使用しています。こうしたハード面の課題を職員のチームワークで乗り越え、異年齢保育を園の強みとしています。子どもは日常的に異年齢児との関わりを多く持ち、年長児は自然なふるまいで年少児の面倒をみたり、年少児は年長児の姿に学び成長する多くの機会を得ています。全体がワンフロアであることから、職員は常時他クラスの状況が把握でき、職員は担当外のクラスの子どもについても十分に理解しています。必要に応じてクラス間で連携し、落ち着かない子どもには園長や主任が居室から落ち着けるスペースでマンツーマンで対応するなど、全体で助け合いながら保育を行っています。
改善を求められる点 1)保護者等への基本方針の周知とマニュアル整備

園は理念、保育方針などを明確にしていますが、保護者からはその認知が低い状況です。保護者等に理念や基本方針を周知することにより、保育に対する安心感や信頼を高めることにつながります。またボランティア受け入れやプライバシー保護なども含めて周知することが期待されます。

2)人材確保と職員への理解

園は人材確保に向けて各種の施策を講じ工夫しています。職員の定着も含めて職員は人材確保を課題と認識しています。職員を交えて人材の定着・確保の検討と理解が期待されます。

⑦ 第三者評価結果に対する施設・事業所のコメント
前回、第三者評価を受審してから期間が空いており、その時からは職員も大きく変わっているため全職員それぞれが自己評価チェックを行い、園の運営や自分たちの保育、自分自身のこどもや保護者への関わりについて振り返りました。外からの視点で見ていただくことで、職員が理解できていることできていないことが明確になり、職員間でもう一度理解を深めることができました。さらに、職員全員で第三者評価の結果を共有し、今以上により良い保育を行うためにはどうすれば良いかを考える機会となり、コロナ禍の中でもコミュニケーションを深めることができました。 
 保護者からのアンケートでは、多数の肯定的な意見をいただき、職員の自信につながったと思います。改善点などを記入してくださった意見は真摯に受け止めて、改善に努めていきたいと思います。

詳細評価PDF

評価対象Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織

Ⅰ-1 理念・基本方針
【1】Ⅰ-1-(1)-① 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。

【第三者評価結果:b】

保育理念、保育方針は、園のパンフレット、入園のしおり、ホームページ等に記載され、職員の行動規範として機能する内容となっています。職員は、法人の全体研修や職員会議の中で、理念、方針を学び合い、日常の保育活動に生かされています。保護者には、入園説明会や各行事等の機会に、入園のしおりを活用して説明しています。しかし、保護者には内容が十分に伝わっていないようです。分かりやすい説明資料をもとに、さらに周知されることを期待します。

Ⅰ-2 経営状況の把握
【2】Ⅰ-2-(1)-① 事業経営をとりまく環境と経営状況が的確に把握・分析されている。

【第三者評価結果:b】

法人の園長会、区の園長会での情報交換や行政からの情報提供により社会福祉事業全体の動向を把握し、分析をしています。見学者への対応や地域の子育て支援の活動の中で、地域の保育ニーズの把握も行っています。毎年の収支予算の策定にあたっては、法人と連携して保育のコスト分析や利用者数の動向を分析しています。地域の福祉計画の内容把握は不十分です。地域の福祉計画は保育所の経営の維持・改善に欠かせません。区の地域福祉計画の内容把握、分析をされることを期待します。

【3】Ⅰ-2-(1)-② 経営課題を明確にし、具体的な取り組みを進めている。

【第三者評価結果:b】

法人の理事会や園長会で経営課題について話し合っています。人材確保、今後の保育ニーズの把握、安心安全な保育の提供などが経営課題と考えています。人材確保のために市主催の就職説明会への参加や地方での就職説明会にも参加しています。また、地方の養成校を直接訪問して説明会を開催し、園の見学に来た学生を採用につなげるなど、経営課題の解決に取り組んでいます。しかし、経営課題についての職員への周知が不十分です。経営上の課題を解決するためには職員の意見を聞いたり、職員同士の検討など組織的な取組が必要です。

Ⅰ-3 事業計画の策定
【4】Ⅰ-3-(1)-① 中・長期的なビジョンを明確にした計画が策定されている。

【第三者評価結果:b】

法人の策定した中・長期計画は、経営数値、目的を達成するため目指すべき姿、などが明確に示されています。法人の理念や運営方針をもとに経営課題や問題点の解決・改善に向けた具体的な内容になっています。会議では、問題点の解決や改善策を話し合うなど見直す機会を作っていますが、具体的な取り組みに関しては検討中です。実施状況の評価を行うには至っていません。

【5】Ⅰ-3-(1)-② 中・長期計画を踏まえた単年度の計画が策定されている。

【第三者評価結果:a】

中・長期計画を反映した単年度における事業計画書を策定しています。単年度法人運営計画は、理事会・評議員会を中心とした法人の円滑な運営を基盤に明確にしています。園の単年度事業計画は、「地域の子育て支援に対する計画」「保護者との連携の計画」「研修計画」「安全安心に対する取組計画」など21項目の実行可能な具体的計画となっています。法人の中・長期計画を踏まえて、年度末に事業計画書にて実施状況を評価しています。

【6】Ⅰ-3-(2)-① 事業計画の策定と実施状況の把握や評価・見直しが組織的に行われ、職員が理解している。

【第三者評価結果:a】

事業計画は、日々の保育や年間行事の反省意見を踏まえ策定しています。保護者からの意見も集約し、反映しています。年度初めに全職員を対象に事業計画の周知を図るための会議を開き、理解を促しています。年度末には計画の見直し、振り返りの機会を持ち、評価しています。計画期間中においても行事が行われる都度、職員間で話し合いがもたれ、反省点を次年度に生かしています。

【7】Ⅰ-3-(2)-② 事業計画は、保護者等に周知され、理解を促している。

【第三者評価結果:a】

事業者計画は、入園前の説明会や保護者会、懇談会などで園における事業内容の説明を行い保護者に周知されています。入園説明会の際には、パワーポイントの使用によって写真を入れながら説明し、保護者等がよりわかりやすいような工夫を行っています。毎月1日に園便りを発行し、その月の行事予定を知らせて保護者等の参加を促しています。

Ⅰ-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
【8】Ⅰ-4-(1)-① 保育の質の向上に向けた取組が組織的に行われ、機能している。

【第三者評価結果:b】

指導計画の週案、月案にある担当保育士の「評価・反省」欄を活用して、保育実施内容を振り返り、保育の質の向上に向けて取り組んでいます。年度末には、全体的な計画、年齢別の指導計画の実施結果について、職員会議で振り返りを行い、次年度の計画につなげています。以前、第三者評価の受審実績がありますが、保育所全体の自己評価は実施されていません。保育の質の向上のためには、PDCAサイクルを回す評価の過程が欠かせません。第三者評価の評価項目等を参考に、保育所全体の自己評価の仕組みを構築されることが期待されます。

【9】Ⅰ-4-(1)-② 評価結果にもとづき保育所として取組むべき課題を明確にし、計画的な改善策を実施している。

【第三者評価結果:a】

年度初めに立てた目標の振り返りと自己評価を5段階で表す表グラフで分析し、次年度の園全体の計画・年間カリキュラムを見直しています。季節行事、遠足の内容、保育計画の月案などを職員の意見を取り入れ改善しています。必要に応じて、改善すべき課題を明確にし職員会議で議題に挙げ、次回に生かせるよう取り組んでいます。

評価対象Ⅱ 組織の運営管理

Ⅱ-1 管理者の責任とリーダーシップ
【10】Ⅱ-1-(1)-① 施設長は、自らの役割と責任を職員に対して表明し理解を図っている。

【第三者評価結果:b】

施設長の役割や責任等の職務分掌は、運営規程に明記されています。同規程には、主任保育士は、園長を補佐するとしており、施設長不在時は主任保育士に権限委任することが明確にされています。施設長は、日頃から職員とコミュニケーションをとり、風通しの良い職場環境作りに努めています。しかし、施設長は、自らの保育所の経営・管理に関する取組を明確にし、職員に周知する取組が不十分です。施設長は、自らの役割、責任、取組について文書化するなど職員に十分伝え、一層の理解を得ることを期待します。

【11】Ⅱ-1-(1)-② 遵守すべき法令等を正しく理解するための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、保育所内に関係法令集や運営の手引き等を整備し、定期的に内容更新をするなど法令遵守の体制を整えています。法人の理事会や園長会、区内保育園の園長会では、法令遵守の視点での経営について意見交換をしています。また、環境への配慮の具体的な取組としては、コンポストで堆肥を作って子どもたちと野菜作りをしたり、ゴミの分別収集に協力をしています。また、保育士は、子どもたちと一緒に、トイレットペーパーの芯やペットボトルなど廃材を活用しておもちゃなどを作り楽しんでいます。

【12】Ⅱ-1-(2)-① 保育の質の向上に意欲をもちその取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

指導計画の週案、月案にもとづく保育実践について、担当保育士は週ごと、月ごとに評価・反省を行っており、施設長はそれらを踏まえて保育内容の評価・分析を行い、担当保育士に指導、助言を行うなど、保育の質の向上に指導力を発揮しています。月に1回開催される「乳児会議」、「幼児会議」は、保育士の振り返りや意見交換の場になっており、施設長も積極的に参画しています。また、法人内外の必要な研修受講の機会を設け、保育の質の向上に取り組んでいます。

【13】Ⅱ-1-(2)-② 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している。

【第三者評価結果:a】

施設長は、働き方改革の一環として、ICTの活用などにより、時間内に事務処理ができるような体制を構築しています。ICTの導入により、連絡帳、月案・週案、SIDSチェック、身体測定結果、登降園管理、職員の勤怠管理が効率的にできるようになりました。職員会議の進行、たより類の編集・作成、各種行事、防災・防犯などの業務を職員が担当し、業務の実効性を高めています。また、働きやすい環境整備の一環として、職員が休暇を取得しやすいよう人員配置について配慮しています。

Ⅱ-2 福祉人材の確保・育成
【14】Ⅱ-2-(1)-① 必要な福祉人材の確保・定着等に関する具体的な計画が確立し、取組が実施されている。

【第三者評価結果:b】

毎年、必要とされる保育士、栄養士、調理師等の人材確保を計画的に行っていますが、職員は人手不足を感じています。食育の推進に力を入れるため、栄養士、調理師職員を採用しています。施設長は、法人本部と連携して採用活動に取り組んでおり、求人サイトの活用や就職説明会への参加などの取組をしています。地方の就職説明会に参加したり、意欲ある学生を確保するため、直接養成校を訪問して説明会を行うなどしています。また、学生にアルバイト体験をしてもらい、採用につなげる工夫もしています。

【15】Ⅱ-2-(1)-② 総合的な人事管理が行われている。

【第三者評価結果:b】

職員マニュアルに、初任者、中堅職員、リーダー的職員、主任保育士のそれぞれの業務遂行能力を示す「期待される組織上の役割」を明確にしていますが、「期待する職員像等」にはなっていません。保育所の理念、基本方針の実現を目指すための「期待される職員像等」を明確にすることが求められます。施設長は、自己申告書をもとにして職員との定期的な面談を実施するなど、職員の意向を把握したり、職務遂行能力、成果、貢献度等を評価しています。しかし、職員が自ら将来の姿を描くためのキャリアパスの明確化は不十分です。

【16】Ⅱ-2-(2)-① 職員の就業状況や意向を把握し、働きやすい職場づくりに取り組んでいる。

【第三者評価結果:a】

職員の勤務シフトを作成する際には、主任保育士が職員の意向を把握しながら有給休暇の計画的な取得、研修への参加、さらには職員のワーク・ライフバランスに配慮した取組等をしています。施設長は職員との年2回の個別面談で職員の意向を聴いており、更に相談があればいつでも応じてコミュニケーションを図っています。法人では、職員宿舎の借り上げや永年勤続表彰制度を設けたり、文化活動や体育活動を実施するなど働きやすい職場環境作りに努めています。

【17】Ⅱ-2-(3)-① 職員一人ひとりの育成に向けた取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

職員は、自己申告書の中で、目標、具体的取組事項、達成時期を記載し、年度末に振り返りをしています。施設長とは年度当初の面談で目標や具体的事項を話し合い、年度末に目標の達成度を確認しています。しかし、中間期の達成状況の確認のための面談が行われていません。また、目標設定の前提となる「期待される職員像」が明確になっていないので、組織として「期待される職員像」を明確にされることを期待します。

【18】Ⅱ-2-(3)-② 職員の教育・研修に関する基本方針や計画が策定され、教育・研修が実施されている。

【第三者評価結果:b】

保育所の年間研修計画を策定し、計画的に職員研修を実施しています。法人内では、全体研修や階層別研修、グループごとの研究と発表などをしています。キャリアアップ研修等の外部研修も計画に位置づけ、職員が計画的に受講できるように配慮しています。区が実施したデリバリー研修では、エピペン、嘔吐処理、食具の持ち方などを学んでいます。ただ、外部研修受講者が研修内容を職場内で伝える仕組みが不十分です。基本方針や計画に「期待する職員像」を明示することが求められます。

【19】Ⅱ-2-(3)-③ 職員一人ひとりの教育・研修の機会が確保されている。

【第三者評価結果:a】

施設長は、職員一人ひとりの知識や経験を把握して、必要な研修を受講できるよう取り組んでいます。外部研修では、特に「キャリアアップ研修」を受講できるように努めており、スキルアップと処遇改善につながるように支援しています。外部研修に関する情報提供を行っており、職員が必要とする研修に参加できるように配慮しています。法人内では、全体研修を始め階層別研修を実施しています。新入職員には、OJTにより基本的な知識、技術が身につくように指導しています。

【20】Ⅱ-2-(4)-①実習生等の保育に関わる専門職の研修・育成について体制を整備し、積極的な取組をしている。

【第三者評価結果:b】

「実習生等受け入れ事務取扱規程」を整備し、実習生の受け入れに関する基本的な考え方を明文化しています。実習生には、「実習の目標」、「内容」、「留意点」等を記載した文書を用意しており、実習にあたっては、主任が効果的な実習となるように指導をしています。実習生派遣元の学校とは、実習生のニーズに合った研修となるように協議して実習プログラムを作成しています。しかし、実習生の受け入れ実績は少ない状態が続いています。福祉人材育成のために、積極的な取組が期待されます。

Ⅱ-3 運営の透明性の確保
【21】Ⅱ-3-(1)-① 運営の透明性を確保するための情報公開が行われている。

【第三者評価結果:b】

保育所のホームページやパンフレットでは、保育所の理念・保育目標を、ホームページでは予算・決算情報を公表しています。重要事項説明書では苦情、相談の体制を記載していますが、その内容や改善、対応の状況の公表までには至っていません。個人情報に配慮しながら、事業報告書等で概要を公表して保育の質の向上につなげることを期待します。また、事業計画書、事業報告書は公開されていません。保育所運営の透明性を確保するために公表されることを期待します。

【22】Ⅱ-3-(1)-② 公正かつ透明性の高い適正な経営・運営のための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

保育所の事務、経理等については、法人の担当部門が確認して適切な業務執行をしています。また、法人が契約している外部の専門家によりチェック、指導もされており、適正な運営に努めています。保育所内では、事務処理等に関するルール、事務分掌と権限・責任を明確にした文書等は確認できませんでした。保育所内での事務、経理処理等の内容、職務分掌、権限・責任を明確にした文書等を作成し、職員に周知することが求められます。

Ⅱ-4 地域との交流、地域貢献
【23】Ⅱ-4-(1)-① 子どもと地域との交流を広げるための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

地域との関わり方についての基本的な考え方は、事業計画や全体的な計画の中で文書化をしています。社会資源や地域の情報は、保育所内の掲示板に掲示するなどして保護者に提供をしています。子どもたちは、区内の「保育まつり」や「区民ギャラリー」に参加して地域と交流をしています。また、近隣の高齢者施設を訪問して歌や踊りを披露したり、祭りに参加して魚釣りなどを楽しんでいます。近くの消防署から保育所に消防車の訪問があり、子どもたちを喜ばせています。

【24】Ⅱ-4-(1)-② ボランティア等の受入れに対する基本姿勢を明確にし体制を確立している。

【第三者評価結果:c】

ボランティアの受け入れにあたっては、「ボランティアの心得」を渡し、ボランティアの目標、内容、留意点を説明しています。中学生のボランティアや近隣小学生の体験学習を受け入れて、様々な質問に答えたりするなど、学校教育への協力を行っています。しかし、ボランティア受け入れの基本姿勢が明文化されておらず、受け入れマニュアルも未整備です。これらを整備して、職員間でボランティア受け入れについての基本姿勢を共有することが期待されます。

【25】Ⅱ-4-(2)-① 保育所として必要な社会資源を明確にし、関係機関等との連携が適切に行われている。

【第三者評価結果:a】

区役所、児童相談所、小学校、ボランティア団体等の関係機関の情報はファイル化して、連携が図れるような関係を築いています。職員には、職員会議などでその都度、連携状況等を伝え情報の共有化を図っています。区の幼保小連携会議への参加、区内保育園の年齢別会議へ参加、さらに進学先の小学校との連携を進めています。要保護児童対策地域協議会の場を活用して、権利侵害が疑われる子どもについて連携し対応しています。

【26】Ⅱ-4-(3)-① 地域の福祉ニーズ等を把握するための取組が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の子育て支援事業として、近隣の公園で定期的に実施している地域の子どもとの交流事業やクリスマス会等保育所行事への参加者等を通して、直接地域の保護者から生活課題等を聞いています。また、幼保小連携会議や民生委員・児童委員との会議でも地域の福祉ニーズが話し合われています。保育所のパンフレットには、育児相談・栄養相談の案内がありますが、具体的な相談の実績がありません。さらに、積極的な取組が期待されます

【27】Ⅱ-4-(3)-② 地域の福祉ニーズ等にもとづく公益的な事業・活動が行われている。

【第三者評価結果:b】

地域の福祉ニーズに基づいて地域貢献事業を積極的に実施しています。具体的には、地域の子育て支援として、地域の子どもと保護者を園のクリスマス会や人形劇等に招待して交流しています。地域のボランティア団体が主催する子育てサロンの活動には保育士を派遣して協力しています。今年はコロナ禍で活動が困難になっていますが引き続き支援をしていく考えです。高齢者施設への子どもたちの訪問は、お年寄りに大変喜ばれています。災害時には地域住民にも利用いただけるように飲料水や非常食の備蓄もしています。地域コミュニティーの活性化やまちづくりへの貢献活動にも取り組まれることが期待されます。

評価対象Ⅲ 適切な福祉サービスの実施
Ⅲ-1 利用者本位の福祉サービス
【28】Ⅲ-1-(1)-① 子どもを尊重した保育について共通の理解をもつための取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

「ひとを認める」「ひとを排除しない」「仲間をつくる」との法人理念をもとに、子どもを尊重した保育について、事業計画書、全体的な計画、年間指導計画へと具体化して記載しています。職員マニュアルには、「全国保育士倫理綱領」や「子どもの権利条約の前文」を掲載しています。区のデリバリー研修では、非常勤職員を含む全職員が参加し、「子どもの権利条約」を学びました。職員は、子ども同士で呼び捨てではなく、「くん、ちゃん」をつけてと呼ぶように声かけし、子どもが互いを尊重する心を育むよう努めています。

【29】Ⅲ-1-(1)-② 子どものプライバシー保護に配慮した保育が行われている。

【第三者評価結果:b】

プール遊びの際には、遮光ネットや衝立を設置するなど、周りから見えないように配慮しています。着替えの際はパーテーションを設置し、トイレには個室や衝立を設置するなど子どものプライバシー保護に配慮しています。保護者からの相談は、プライバシー保護のため、土曜日や子どもが少ない時間帯に対応するようにしています。職員マニュアルには、「プライバシーを守る」との記載はありますが、子どものプライバシー保護に関して具体的な内容は記載されていません。

【30】Ⅲ-1-(2)-① 利用希望者に対して保育所選択に必要な情報を積極的に提供している。

【第三者評価結果:a】

園のパンフレットには、法人の理念、保育の目標、保育のプログラム、利用料を明示し、カラフルな色や絵を用いて必要な情報をわかりやすく伝えています。法人のホームページ内のブログ「園のまいにち」では園の行事や保育の様子をカラー写真で紹介し、随時更新しています。コロナ禍では見学者や利用希望者の見学は中には入らず入口で行い、パンフレットを用いて説明や質問への対応をしました。入園予定者には集団での説明会に代えて個別面談を設定し、「入園のしおり」を用いて詳細な情報提供を行いました。

【31】Ⅲ-1-(2)-② 保育の開始・変更にあたり保護者等にわかりやすく説明している。

【第三者評価結果:a】

新入園児については、コロナ禍により集団での説明会に代えて、入園前の個別面談を行い、「重要事項説明書」の説明を行うと共に、保護者の同意をもらっています。在園児については、新年度の「重要事項説明書」を保護者に手渡し、内容を確認の上で同意のサインを依頼しています。「重要事項説明書」の変更点については、入口に掲示をしたり、ICTを活用して周知を図っています。外国籍の保護者には重要事項説明書にルビを振るなど、分かりやすい説明に努めています。

【32】Ⅲ-1-(2)-③ 保育所等の変更にあたり保育の継続性に配慮した対応を行っている。

【第三者評価結果:b】

保育所の変更に関する手順書や引継ぎ文書は定めていません。変更にあたり、特に配慮が必要な場合は、役所を通じて変更先の施設との引継ぎや情報共有を図っています。保育所の利用を終えた後の相談方法や相談窓口について、説明文書を作成したり、文書による説明などは行っていません。相談があれば園長または主任保育士が対応しています。今後は保育の継続性に配慮し、引継ぎの手順と文書の定めや、相談方法等についての丁寧な説明が期待されます。

【33】Ⅲ-1-(3)-① 子ども満足の向上を目的とする仕組みを整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:b】

クラス懇談会を開催し、園長やクラス担任が利用者満足を把握する機会としています。保護者が参加する行事の後に保護者アンケートを実施しています。運動会、生活発表会、ティンクルまつりや、保育参観(参加)、新入園児の給食の試食会のアンケート結果を入口に掲示し、保護者にフィードバックしています。アンケート結果を受けて行事の職員体制を見直すなど、具体的な改善にもつなげています。利用者満足の一層の向上に向けて、把握した結果を分析・検討する仕組みの整備が望まれます。

【34】Ⅲ-1-(4)-① 苦情解決の仕組みが確立しており、周知・機能している。

【第三者評価結果:b】

「苦情処理要領」を定め、苦情解決責任者、苦情受付担当者、第三者委員の設置など苦情解決の体制を整備しています。「重要事項説明書」には苦情・要望に係る園の相談窓口と第三者委員を明記し、廊下に第三者委員の連絡先を掲示しています。苦情受付後は、園長に報告し対応協議の上、申出者には翌日の回答に努めています。第三者委員について保護者への周知は不十分です。苦情解決の仕組みを分かりやすく説明した掲示物の掲示や情報提供の工夫など、理解促進への取組が望まれます。苦情対応の公表についての検討も期待されます。

【35】Ⅲ-1-(4)-② 保護者が相談や意見を述べやすい環境を整備し、保護者等に周知している。

【第三者評価結果:b】

 「入園のしおり」では「ご相談、ご意見、ご要望をお聞かせください」との項目立てで、園児、友だち、子育てについて等、担任への相談を促しています。気づいた点、改善要望事項の相談は、意見・要望等の受付担当者(主任保育士)、相談解決責任者(園長)、第三者委員を相談窓口とし、相談相手を選べるように情報提供をしています。ホームページ上には問い合わせフォームがありますが、保護者の利用には至っていません。保護者が相談相手や方法を選択できるよう、選択肢を明示した文書の掲示や発信により、更なる周知が望まれます。

【36】Ⅲ-1-(4)-③ 保護者からの相談や意見に対して、組織的かつ迅速に対応している。

【第三者評価結果:b】

連絡帳はICTを活用し、保護者がいつでも相談可能なツールとなっています。日々の送迎時の会話や個人面談、クラス懇談会、行事ごとのアンケートなどにより、保護者の相談・意見を積極的に把握するよう取り組んでいます。相談や意見の内容は速やかに園長や主任に報告し、協議の上、翌日には回答するよう努めています。行事のアンケート結果は保育の見直しや改善につなげています。「苦情処理要領」に相談受付後の手順等を定め、「相談・苦情処理票」に記録しています。「苦情処理要領」の定期的な見直しは行っていません。

【37】Ⅲ-1-(5)-① 安心・安全な福祉サービスの提供を目的とするリスクマネジメント体制が構築されている。

【第三者評価結果:b】

園長を責任者とし、主任保育士と共にリスクマネジメントを行っています。事故発生時の対応等は「負傷の対応の手順」や「健康管理マニュアル」の関係箇所を職員に周知しています。職員は事故やヒヤリハット事案を所定の報告書にまとめ、園長に報告しています。会議では報告書を使って事案について話し合い、再発防止に向けて取り組んでいます。今後、一層の効果的な事故防止に向けては、ICTの活用も視野に、収集した事例の要因分析を行い、再発防止策の検討や、対策の実効性についての定期的な評価・見直しが望まれます。

【38】Ⅲ-1-(5)-② 感染症の予防や発生時における子どもの安全確保のための体制を整備し、取組を行っている。

【第三者評価結果:a】

保育室は1時間毎に換気し、空気清浄機を設置しています。玩具の消毒は使用当日に行います。職員には嘔吐処理の実地研修を行っています。感染症対策は国の「保育所における感染症対策ガイドライン」を参照しています。サーベイランス担当の主任は、市の感染症情報発信システムを活用し、地域の発生動向を確認して職員に周知しています。保護者には「入園のしおり」で予防方法や登園基準を周知し、「ほけんだより」で季節に流行する感染症の注意喚起をしています。感染症発生時は主任から保護者にメールで知らせています。

【39】Ⅲ-1-(5)-③ 災害時における子どもの安全確保のための取組を組織的に行っている。

【第三者評価結果:a】

「避難訓練計画」に基づいて毎月避難訓練を行い、年1回、保護者の引取り訓練を実施しています。火災・地震を想定した訓練のほか、ハザードマップ上の水害の危険を踏まえ、洪水を想定した訓練を行い、水害時の避難場所も決めています。近隣姉妹園と共に行う3園合同訓練では消防署の協力を得て実施しています。保護者への安否確認の連絡はICTシステムから登録者へ一斉送信し、登録者以外は電話で確認しています。職員の安否確認は連絡網を使用しています。備蓄リストの作成・管理は園長が行い、年1回備蓄品のチェックをしています。

Ⅲ-2 福祉サービスの質の確保
【40】Ⅲ-2-(1)-① 保育について標準的な実施方法が文書化され保育が提供されている。

【第三者評価結果:b】

「保育園職員マニュアル」に「全国保育士倫理綱領」を掲載し子どもの最善の利益の尊重、プライバシーの保護、利用者の代弁など権利擁護の姿勢を明示しています。保育実践については、記録、伝達・連絡、環境整備・点検、登降園時の対応、健康の確認、家庭との連携、応急処置などについて標準的実施方法を文書化しています。園長はこのマニュアルで新入社員の研修を行っています。今後、標準的実施方法に基づいた保育が実施されているか確認する仕組みづくりが望まれます。

【41】Ⅲ-2-(1)-② 標準的な実施方法について見直しをする仕組みが確立している。

【第三者評価結果:b】

標準的実施方法について、職員間で話し合い、子ども達の様子や指導計画の内容を反映させています。今後、保育の標準的な実施方法の検証・見直しは、時期や方法を組織で定めると共に、定期的に実施することが期待されます。

【42】Ⅲ-2-(2)-① アセスメントにもとづく指導計画を適切に作成している。

【第三者評価結果:b】

「全体的な計画」にもとづき指導計画を作成しています。年間指導計画は園長、主任、クラス担任により4月のクラス会議で協議します。月案及び3歳未満児・障害児の個別指導計画は、園長、主任、クラス担任、給食職員により、最終週のカリキュラム会議で協議します。週案は各クラス担任で検討します。発達状況のアセスメントは「観察・個人記録」を用います。計画作成の責任者はクラスリーダーで、主任保育士がチェックしています。今後個別指導計画には新たな欄を設けるなどし、子どもと保護者のニーズを明示する必要が認められます。

【43】Ⅲ-2-(2)-② 定期的に指導計画の評価・見直しを行っている。

【第三者評価結果:b】

年間指導計画は、クラス毎の年度末の会議で、園長・主任・クラス担任が評価・見直しを行い、結果を「一年間の保育に対する自己評価欄」に記入しています。月案と個別支援計画は、園長、主任、クラス担任、給食職員が出席するカリキュラム会議で評価・見直しを行い、結果の記載は備考欄にしています。週案はクラス毎に振り返りを行い、その結果を、「評価・反省欄」に記載しています。今後、保護者の意向把握と同意の手順を含め、現行の評価・見直しの手順を明文化し、組織的な仕組みとして定めることが期待されます。

【44】Ⅲ-2-(3)-① 子どもに関する保育の実施状況の記録が適切に行われ、職員間で共有化されている。

【第三者評価結果:b】

子どもの記録は統一した書式で作成しています。記録はファイリングし、職員間で情報共有をしています。記録する職員によって記録内容や書き方に差異が生じないように、主任保育士が記録内容や表現をチェックし、園長と情報共有しながら職員への指導にあたっています。情報の分別や必要な情報が的確に届く仕組みの整備は不十分です。今後、手書きからICTによる記録作成に移行する方向で、円滑な情報共有の仕組みづくりに向けて準備を進めています。

【45】Ⅲ-2-(3)-② 子どもに関する記録の管理体制が確立している。

【第三者評価結果:a】

「個人情報管理規程」では、個人情報管理責任者を法人理事長としています。記録の保管、破棄、第三者提供などについて規定を定めると共に、個人情報の漏えいなどの違反を行った職員を懲戒処分の対象とする旨を定めています。職員は入社後の法人研修にて個人情報保護についての研修を受けています。記録は園外への持ち出しを禁止しています。保護者には、入園時に「入園のしおり」で個人情報の取り扱いを説明すると共に、契約時に「個人情報使用同意書」にもとづき個人情報の使用の範囲などについて説明し同意をもらっています。


評価結果内容評価

A-1 保育内容
【A1】A-1-(1)-① 保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて全体的な計画を作成している。

【第三者評価結果:a】

「全体的な計画」には、保育理念、保育方針、保育目標を掲げ、法人の理念をもとに、「保育所保育指針」の目標が達成されるよう教育を行うこととしています。「養護」と「教育」の各項目では、乳児から5歳児まで各年齢毎に子どもの発達過程を考慮し、計画を立案しています。「全体的な計画」は法人の姉妹園4園の主任・副主任が年度末に協議・作成し、園の職員会議で職員に周知しています。計画の振り返りについては、年度末に各クラスで年間カリキュラムの実施結果や評価をまとめ、園長・主任が同席する職員会議で発表し、次年度計画につなげています。
 

【A2】A-1-(2)-① 生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。

【第三者評価結果:b】

保育室はワンフロアを2部屋に区切り、1、2歳児と3、4、5歳児が各部屋を合同で使用しています。年齢ごとの活動もロッカーや棚でその都度仕切って使用しています。子どもがくつろげるスペースの確保は困難で、以前部屋の一部をパーテーションで区切り、落ち着けるスペースづくりを試みましたが、思うような効果は得られませんでした。現在は、落ち着かない子どもには園長や主任が保育室の外に連れ出し一対一で対応をする形とし、一定の効果が得られています。トイレは職員がクラス毎の利用の順番を日々話し合い、円滑な利用を工夫しています。保育室の換気は1時間に1回、排煙窓を開放し、換気扇や空気清浄機も使用しています。玩具の消毒は使用当日に行います。その他の玩具は土曜日に洗い、天日干しにしています。

【A3】A-1-(2)-② 一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。

【第三者評価結果:a】

言葉で気持ちをうまく伝えられずに泣いている乳児に対しては、職員が一対一でそばについたり、部屋の隅に一人でいる幼児には、どうしたの、と声をかけて話しを聴いたり、手をつなぐなど、一人ひとりの子どもの気持を汲み取りながら寄り添う保育に努めています。個々に異なる子どもの状態を理解し、寄り添う保育を行うために、全クラスの職員が出席するカリキュラム会議の場で情報共有や協議をしています。担任から、かんしゃくを起こしたり、他児に手が出るようになった、など子どもの変化について報告があった場合には、職員が話し合い、一対一での対応を確認し合うなど、職員間で対応方法の共通理解を図っています。園長、主任も同席し、客観的な立場で子どもの変化を捉え、保護者との連携を強めることなども助言しています。

【A4】A-1-(2)-③ 子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。

【第三者評価結果:a】

基本的な生活習慣は、発達に応じた適切な教え方を職員間で共有できるよう努めています。手洗いでは、1歳児には職員が一対一で付き、水を出す、手を濡らす、水を止める、石鹸をつける、手を洗う、水を出す、などの一連の動作を、一人ひとりの状態に応じて丁寧に伝えるよう配慮しています。スプーンやフォークの使い方も1歳から教え始めます。家庭でも実践できるよう、「えんだより」などを通じて保護者にも園のやり方を伝えています。午睡については、5歳児は就学に向けて11月頃から徐々に減らしています。寝ない日を12月は週2日、1月は週3日と徐々に増やしていきますが、活動内容や長時間保育による子どもの疲れ具合なども考慮し、個々に応じた柔軟な対応をしています。コロナ禍において3歳以上の子どもについてはマスク着用を習慣づけ、屋外でははずし、室内ではマスクを着用する習慣を身につけることができています。

【A5】A-1-(2)-④ 子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。

【第三者評価結果:a】

園庭はありませんが、戸外で自然と触れ合い、十分に身体を動かすことができる環境づくりを工夫しています。近隣の公園や畑などの自然環境の中を散歩し、地域の人と挨拶を交わす機会も得ています。近隣の姉妹園への散歩の際は、園庭で木登り、クライミングウォール、どろんこ遊びなどを楽しんでいます。室内の自由遊びでブロックやおままごと、プラレールなどのコーナーを設け、子どもが自由に自発的な遊びをじっくりと遊べる環境も用意しています。特色ある保育としては、音楽や身体を通した表現活動を挙げています。3歳児以上の週1回の体操教室のほか、リズム遊びでは、月1回以上、年齢に応じて園長の弾くピアノのリズムに合わせて身体を動かしています。法人内の太鼓の指導者が毎月1回来園し、5歳児は運動会や発表会での披露に向けて、沖縄の伝統芸能の太鼓「パーランクー」を皆で練習し、その姿は年少・年中児の憧れとなっています。

【A6】A-1-(2)-⑤ 乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:非該当】

0歳児の受入れはしていないため非該当

【A7】A-1-(2)-⑥ 3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

1歳児は保育者との信頼関係の下、友だちに関心を持ち一緒に遊ぶ楽しさを味わうことを目標としています。2歳児は保育士との安定した関わりの中で、身の回りのことを自分でできた喜びを感じることや、異年齢児と同じ遊びを楽しめることなどを目標としています。子どもは保育者と共にキラキラ光るペットボトルの玩具を楽しんだり、スナップボタンのついた筒形の布をつないだり、腕に巻きつけるなどの遊びを通じて保育者との信頼関係を育んでいます。粘土、お絵描き、ぬり絵やおもちゃなど複数の遊びを用意し、子どもが遊びを自発的に選択できる環境づくりにも努めています。17時以降は3、4、5歳が1、2歳の部屋に行き、合同保育を行っています。1、2歳児が年長児と一緒に玩具で遊ぶなど、年長児がお世話をする機会にもなっています。職員は異年齢の子どもたちが安全に楽しく遊べるように仲立ちや見守りに努めています。

【A8】A-1-(2)-⑦ 3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

3歳児は、保育者や友だちとの触れ合いを通して人との関わりやコミュニケーション力を身に付けることを年間目標としています。活動の中で模造紙に手形を押したり、折り紙を貼るなど、子どもが集団の中で職員や友だちと一緒に一つの作品を作り上げる取組に力を入れています。4歳児は友だちと楽しみながら自己発揮できることが目標です。女子が主体の今年度は、人気のあるハートや星などの素材を取り入れ、友だちと楽しみながら力を発揮できる制作活動を工夫しています。5歳児は、集団内で意欲的に活動し、仲間との関わりを通して生きる力の基礎を培うことが目標です。個性を生かしたTシャツづくりや、行事に向けて友だちと協力して作品を作っています。保育者は見守りや仲立ちををしながら、子どもが各年齢に応じた友だちとの関わりが十分に持てるように努めています。生活発表会や運動会など子どもの育ちを保護者等に伝える機会も設けています。

【A9】A-1-(2)-⑧ 障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

障害のある子どもについては個別指導計画を立案し、保育を行っています。障害について職員から子どもたちに特段の説明は行っていませんが、周囲の子どもは本人に助けが必要な場面を自ら感じ取り、自然なサポートを行っています。当該児童の保護者とは年1回の面談のほか、必要に応じて面談の機会を設けています。保育内容について主治医の助言が必要な場合は、保護者を通じて助言内容を確認しています。職員は、障害のある子どもの保育について「川崎市保育士等キャリアアップ研修」などで必要な知識や情報を得ています。その他の関連する研修の情報は随時職員に情報提供し、受講を促しています。園内の設備面では玄関のスロープや廊下の手すりなどを設置しています。

【A10】A-1-(2)-⑨ それぞれの子どもの在園時間を考慮した環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。

【第三者評価結果:a】

長時間保育では、子どもが家庭的な雰囲気の中で安心してすごせるよう配慮しています。17時以降3、4、5歳が1、2歳の部屋に行き合同保育を行っています。子どもは日中の時間帯も異年齢の子どもと多くの時間を過ごすことから、年長児は自然なふるまいで年少児の面倒をみています。合同保育では職員が見守り、子どもがなるべく自由に遊べるように配慮しています。夜の時間帯は、子どもが寂しくないように、本人が希望する玩具を出したり、スペースを存分に使いかくれんぼをするなど、本人が望む遊びで遊ぶことにしています。18時以降にはおせんべいやクッキーなどのおやつを提供し、19時以降にはおにぎりやパスタなど手作りの補食を提供しています。担任は、ICTの連絡帳を活用し食事・睡眠・排泄など1日の子どもの様子について保護者との情報共有に努めています。職員同士の引継ぎにもICTを活用しています。

【A11】A-1-(2)-⑩ 小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。

【第三者評価結果:a】

5歳児の年間指導計画では就学に向けて、小学校の見学や訪問を行うこととしています。コロナ禍以前は1年生や上級生と交流し、教室で椅子に座ったりランドセルを背負うなど、子どもが小学校への興味関心や期待を持てるような取組を行ってきました。職員は小学校教員と意見交換をしたり、教員が園に来訪し、入学予定の子どもに会って、クラス編成の参考としてきました。園では子どもが小学校の生活に見通しを持てるよう保育を行っています。就学に向けては、箸の持ち方、立ったまま靴をはくこと、椅子に座って居られる時間を延ばしていくことや、昼寝をしないことなどに取り組んでいます。保護者に対しても、担任が登降園の時間を捉え、家庭での協力を依頼しています。役所からの就学前健診のお知らせなど就学に関わる情報も園内に掲示しています。

【A12】A-1-(3)-① 子どもの健康管理を適切に行っている。

【第三者評価結果:a】

「健康管理マニュアル」にもとづき子どもの健康管理を行っています。登園時の子どもの健康状態について把握すべき内容を掲示しています。母子手帳や保護者が記載する「健康ノート」で生育歴や既往症、予防接種の状況把握に努め、随時更新しています。体調の急変やけがの発生時は速やかに保護者に連絡しています。子どもの日々の健康状態については、連絡帳に保護者が入力しています。職員は出勤時に連絡帳をタブレットで確認しています。職員が保護者から口頭で確認した情報は、乳児と幼児それぞれの「引継ぎノート」に記入しています。職員会議で子どもの健康状態の情報共有にも努めています。毎月発行の「ほけんだより」では「健康管理年間計画」の月の目標や、季節毎の注意事項を掲載しています。乳幼児突然死症候群(SIDS)については「入園のしおり」にて園の取組を周知するとともに、家庭での対応についても注意喚起しています。子どもの健康管理のため、法人所属の看護師が定期的に巡回しています。

【A13】A-1-(3)-② 健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。

【第三者評価結果:a】

健康診断を1歳児は毎月、2歳児以上は年に3回行っています。歯科健診は全園児について年1回行っています。健康診断や歯科健診後には、「健康ノート」に健康診断結果や歯科健診結果を記録し、保護者に結果を伝え、職員間でも情報共有をしています。コロナ禍において園では歯磨き指導は行っていませんが、保護者に家庭で歯磨きの徹底をお願いしています。

【A14】A-1-(3)-③ アレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。

【第三者評価結果:a】

アレルギー疾患のある子どもに対しては、市の「健康管理マニュアル」にもとづき対応を行っています。除去食の提供を希望する保護者は、園長との面談後、主治医意見書と共に除去食に係る申請書を提出します。川崎市保育所入所児童健康管理委員会の検討を経て、提供が認められた場合に除去食を提供しています。その後は半年に一度、検査書類の提出を保護者に依頼しています。配膳の際は、除去食のトレイを他児のトレイと色分けしています。職員は食事提供時に献立の確認により除去の内容を共有し、誤食防止に努めています。食事場面では除去食を提供する子どもには職員が横に座り誤食がないよう注意しながら、他児と同じテーブルで食事をとっています。職員はリモートで川崎市保育士等キャリアアップ研修に参加し、「食育・アレルギー対応」についの知識を得ています。

【A15】A-1-(4)-① 食事を楽しむことができるよう工夫している。

【第三者評価結果:a】

全体的な計画に「食育の推進」を掲げ、「食育計画年間カリキュラム」では、年齢ごとに「ねらい」と「内容」を盛り込んで、食に関する計画的な取組をしています。食事の量は、子どもがその日の献立を見てから一人ひとり希望を聞いて量を減らしたり、たくさん食べる子にはお代わりもできます。苦手な食材があっても、「一口だけでも食べようか」などと声かけし無理なく食べられるように支援しています。苦手な食材については、保護者に家庭での食事の状況を聞いたり、「給食だより」でレシピを紹介するなど、家庭との連携にも努めています。園庭のプランターでは、夏野菜やブロッコリーを栽培したり、近隣の畑で芋掘りを楽しんで食材に関心を持てるような取組をしています。

【A16】A-1-(4)-② 子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

【第三者評価結果:a】

発達差の大きい乳児クラスでは、一人ひとりの月齢等に応じて、食材の切り方を工夫しています。保育士は、「喫食状況報告書」で残食の状況を栄養士、調理師に報告し、連携して献立、調理の改善に取り組んでいます。魚の臭みをとるために、話し合って下処理の工夫をしたなどの改善例があります。季節感のある献立となるように、旬の食材を積極的に取り入れています。節句、彼岸、七夕、クリスマス会では食文化を楽しめる行事食を提供しています。五月の節句ではハンバーグを鯉の形にしたり、七夕では食材を星形に切り抜いたりしています。栄養士は、定期的に三色食品群について、絵を見せたり実物を見せたりしながら、子どもが食材に興味を持てるような話をしています。衛生管理については、川崎市作成の「保育園給食の手引き」に基づいて実施しており、「衛生管理チェックリスト」により、毎日、食材・設備の状況をチェックして安心、安全な食の提供をしています。

A-2 子育て支援
【A17】A-2-(1)-① 子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。

【第三者評価結果:b】

家庭との連絡帳は、ICT「はいチーズシステム」を活用しています。このシステムでは、3歳未満児の個別の連絡のほか、園だよりや行事予定を載せています。3歳以上児も必要に応じて双方向の個別の連絡ができるようになっていますので、安心な情報共有のツールになっています。今年は、コロナ禍でやむを得ず懇談会や保育参観等を実施していませんが、この「はいチーズシステム」を活用するとともに、登降園の際にクラスだよりの内容を丁寧に説明するなどの対応をしています。また、子どもの写真を玄関先に掲示して、子どもの活動の様子を伝えるように努力しています。しかし、園での子どもの活動の情報が十分に家庭に伝わっていない面も見受けられます。コロナ禍で大変な状況ではありますが、家庭との一層の情報交換に取り組まれることを期待します。

【A18】A-2-(2)-① 保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。

【第三者評価結果:b】

毎日の登降園の際に声かけをしたり、ICT化した連絡帳の活用などにより、保護者とのコミュニケーションを図り、信頼関係が築けるように取り組んでいます。保護者等から相談があれば、担任保育士が対応し、必要に応じて園長、主任保育士がサポートする体制になっています。相談対応の中で、保育所の専門性を生かしたり、子育て支援機関の紹介等をしています。具体的には、区役所の担当課や子どもの状況によっては療育センターの説明をしています。相談の内容は、業務日誌に記載していますが、別のノートに「相談記録」としてまとめ、個人ファイルにも綴じ込むとともに、職員間での情報共有にもつなげる取組が求められます。また、保護者が相談しやすい環境作りにも努めていますが、十分ではありません。情報提供など保護者支援の一層の取組が期待されます。

【A19】A-2-(2)-② 家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

【第三者評価結果:a】

子どもに対する虐待等の権利侵害を見逃さないように、「児童虐待に対する対応マニュアル」を整備し、早期発見のためのチェックリストを活用しています。毎日の登園時には、顔や肌の出ている部分を視診したり、着替えの際には身体に変化がないか確認をしています。子どもの様子に変化があったときは、「何かあったの?」など声かけを行い、家での様子を聞いています。虐待等の兆候があれば、区の保育所管課や児童相談所に連絡し、警察や児童相談所から問い合わせのある時に対応をしています。虐待等が感じられたときは、保護者支援にも配慮するようにしています。保護者の様子を見ながら「最近どうですか?」等とさりげなく声かけをして精神面の支援をするようにしています。職場内でマニュアルにもとづく研修を実施したり、外部研修に参加して早期発見、早期対応に継続的に取り組んでいます。

A-3 保育の質の向上
【A20】A-3-(1)-① 保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。

【第三者評価結果:b】

全体的な計画や年間指導計画にもとづく「週案」、「月案」についての振り返りを行い、その上で次の計画策定をしています。振り返りに当たっては、保育実践について職員間で話し合いをすることにより、学び合いや意識の向上につながっています。年間指導計画については、各期ごとに養護、教育の5分野ごとに反省を行っています。年度末には年間カリキュラム会議で時間をかけて話し合い、「年間指導計画の反省」を作成し、反省を踏まえて次年度の計画につなげています。保育士等の自己評価を踏まえた保育所の自己評価は確認できませんでした。第三者評価の際に実施する自己評価の「判断基準」や「評価の着眼点」等を参考にされるなどして、保育士の自己評を保育所全体の自己評価につなげる仕組みを構築されることを期待します。